2023年4月20日配信<0510archives>「関西電力事件で役立たずが明らかになった検察OBを日本の企業社会はいつまで重用するのか?」<事件>

 

 

 

 政府は、10月18日、会社法の改正を閣議決定、今国会で法案を成立させる方針。目的は上場企業のガバナンス(統治)を強化することで、そのうちのひとつが社外取締役設置の義務化である。
 
 既に、東京証券取引所がコーポレート・ガバナンスコードの設置により、経営から独立した2名以上の社外取締役の設置を求めており、現在約98%が社外取締役を置いているが、法制化でより強化される。
 
 この社外取締役と同時に、「就任前5年間、会社と関係のなかったもの」という規定のある社外監査役も、会社から独立した存在として、厳格な監査が期待されている。
 
 ガバナンスとコンプライアンス(法令遵守)の強化は、今や企業社会では当然と受け止められており、社外取締役、社外監査役の重要性は増しているのだが、一方で適任者は少なく、経営陣の友人知人、シンパの評論家やジャーナリスト、監督官庁OBなどを雇うと、中立性が疑われる。
 
 そこで重宝されるのが検察官OB(ヤメ検)である。
 
 法律の専門家としての見識に加え、企業社会の監視役として粉飾決算、金融・証券犯罪、脱税などに目を光らせてきた実績がある。
 
 つまり“座り”が良く、反論しにくい。
 
 それが「形だけのもの」であったのを示したのが、関西電力事件だった。
 
 森山栄治元高浜町助役から3億2000万円の工作資金を20人の経営幹部が受け取っていたことを突き止めていた社内調査委員会の小林敬委員長は、「個人の問題ではなく、会社の体質」として不問に付した。
 
 関電コンプライアンス委員会の委員でもある小林氏は、元大阪地検検事正で関電との関係は社外監査役を務めた土肥孝治元検事総長との関係によるものである。
 
 土肥氏らの監査役会は、小林委員長の「報告書」で原発マネーの還流を知りながら、「報告書は妥当」として、取締役会への報告も公表もしなかった。
 
 土肥氏は、今年6月、社外監査役を退任するが、後を受け継いだのは佐々木茂夫元大阪高検検事長。――つまり関西検察OBたちは、経営体制のチェック役ではなく守護神なのである。
 
 関電は、10月9日、その甘い社内調査報告書を見直すために、第三者委員会を立ち上げたが、委員長に就いたのは但木敬一元検事総長である。
 
 土肥氏の後輩ながら東京検察OB。ラインが違うとはいえ「先輩の失敗」に踏み込むような精神は持ち合わせておらず、但木氏もまた「検察一体の原則」のなかで生きてきた。
 
 結局、第三者委員会も人選と費用は関電が拠出するのだから中立性は形だけ。関電にとっては、12月中をメドとした報告書が公表される頃には、人々の記憶が薄れ、“穏当な糾弾”となっていることを期待している。
 
 つまり、ヤメ検は使い勝手がいいのである。
 
 社外取締役、社外監査役、コンプライアンス委員会委員など、企業社会に「法的・倫理的な監視」が求められるようになり、その格好の人材供給先がヤメ検となった。
 
 それも、ひとり当たりの就任会社数が多く、とてもまともに経営チェックなどできない。
 
 社外取締役や社外監査役に就いている検察OBリスト(17年3月末)によれば、2〜5社の就任は当たり前。あまりに数が多いので高検検事長以上に限っても、次のようなOBたちが顔を並べている。
 
樋渡利秋元検事総長(ホンダ、トーヨーカネツ、野村證券、鹿児島銀行)、◇大林宏元検事総長(三菱電機、大和証券、日本たばこ産業、新日鐵住金)、◇但木敬一元検事総長(日本生命保険、大和証券グループ本社、ミロク情報サービス、イオン)、◇頃安健司元検事長(東海旅客鉄道、古河電気工業)、◇勝丸充啓元検事長(大陽日酸、シマノ)◇河村博元検事長(石井鉄工所、旭硝子)……。
 
 いうまでもないことだが、これでもほんの一部である。
 
 これに元検事正や各地検の部長、副部長などの幹部で退職したヤメ検を加えればその人数は星の数。いかに彼らが上場企業を“浸食”しているかがわかる。
 
 建前では、彼らの雇用はガバナンス強化のため。それを政府も東証などは、制度化で後押しする。
 
 だが、現実には「関電社内調査報告書」のような代物を作成する際の“権威付け”であり、それを外部に批判させない“監視役”であり、捜査・調査機関が乗り出した際の“ガード役”である。
 
 ガバナンスとコンプライアンス強化のためのシステムが、ヤメ検によって“骨抜き”にされているという現状と、それによって生ずる矛楯をどう解消するか。――論義すべき段階に入っているのではあるまいか。【辰】

 

 

 

 

 

 

 

 


 


2023年3月16日配信<週刊0510archives>「『ついに来ました!』――再審決定!!――『袴田事件』再考のきっかけとなった映画『BOX』を企画した後藤忠政氏の近況」<事件>











「これ以上の拘置は、耐え難いほど正義に反する…」――
静岡地裁の村山浩昭裁判長は、静岡市で起きた強盗殺人事件で死刑が確定していた袴田巌元死刑囚の再審開始を決定。同時に、検察側の顔色をなからしめる最大級の言葉を用いて拘置の停止を告げた。

 無実の人間に殺人犯の汚名を着せ、暴行を加えて自白に追い込み、公判で否認に転じると、証拠をでっち上げて、死刑判決に追い込んだ。――これが、ほぼ明らかになった「袴田事件」の真相である。

 国家権力を背景にした捜査機関が暴走を始めると、どんな非道も行なうことができることの証明であり、それは通常の犯罪者の罪より数倍、重く、「耐え難いほど正義に反する」のである。

 こんなでっち上げで、48年も死刑囚という異常な環境に留め置かれた袴田氏が、精神的におかしくなるのも当然で、死刑制度の存廃論議に一石を投じることになった。

 再審決定までの袴田氏の姉・秀子さんや弁護団の苦労は察するに余りあるが、「袴田事件」が冤罪であるという世論の構築に、大きな貢献をしたのが、死刑判決を言い渡した一審の3人の裁判官のひとりだった熊本典道・元判事だった。

「判決は間違いでした。袴田さんは無罪です」

 07年2月26日の『報道ステーション』(テレビ朝日)で、熊本氏はこう告白。大きな反響を呼んだ。

 それは後に、熊本氏を主人公にした映画『BOX 袴田事件−命とは−』となって、さらに一般国民の関心を引いた。

 映画化に動いたのは、脚本家の夏井辰徳氏で、『報道ステーション』の報道後、「袴田巌さんを救う会」に連絡して、同会の協力と熊本氏の了解を得て、製作に取りかかった。

 バックアップしたのは後藤忠政氏。3億円と言われる製作費を提供し、企画者に「忠叡」の名を刻んでいる。

 後藤氏は、指定暴力団山口組の“武闘派”として知られた直系組長だったが、08年10月、除籍となって引退。09年4月、神奈川県伊勢原市の浄発願寺で出家(得度)し、法名を「忠叡」とした。

 もともと大物右翼・故野村秋介氏との交遊で知られ、政治や経済への関心は高かったが、堅気となるとともに国内外での社会貢献活動に力を入れるようになった。

 袴田事件への“肩入れ”の最も大きな理由は、後藤組の本拠が事件場所の近郊の富士宮市であったことから、地元で起きた冤罪事件であることを確信、映画の企画・制作という形で袴田氏を支援することになった。

「俺は、殺人犯と一緒ちゃ……俺を死刑にしてくれんね」

 こう慟哭する熊本氏の心の痛みは、安易に導入された裁判員制度への問い掛けにもなっており、「あなたなら、死刑といえますか?」という映画の宣伝文句とともに、胸に突き刺さった。

 監督は高橋伴明氏で、主役の熊本元判事役は萩原聖人、袴田役が新井浩文、袴田氏の精神と肉体を極限まで追い込む刑事役を石橋凌、ダンカンといった個性派が演じた。

 映画は、2010年5月に封切られ、小沢一郎氏の政治資金規正法事件、厚労省官僚・村木厚子氏の冤罪事件など、捜査手法と裁判の在り方が論議されている最中でもあり、現在につながる冤罪事件として注目された。

 後藤氏は、現在、カンボジアに住み、昨年5月には市民権も取得した。

 月刊『宝島』(14年1月号)のインタビューでは、カンボジアでの事業(養鶏業やトウモロコシ農園)や、「日本とカンボジアとの懸け橋になりたい」という夢を語っている。

 後藤氏は、日本を去る際の“置き土産”とした「袴田支援映画」が、再審決定の一助となったことを彼の地で喜んでいると言われ、関係者の間では『BOX』の再上映を待望する声も挙がっているという。【洸】 (2014年5月30日配信)




 


2022年11月18日配信「70年ぶりの漁業法全面改正で、当局が佐世保・九十九島の“顔役”・片岡一雄長崎北漁組長の周辺捜査を開始?」―⑴−<事件> 

 
佐世保市・九十九島(☚wikipedia)

 

 

「いよいよ年貢の納め時期か!」――ここにきて“佐世保港のドン”、“九十九島の顔役”の異名をとる片岡一雄・長崎県北漁業協同組合長の周辺が騒がしい。
 
 片岡氏は、佐世保市では「昔から暴力団と親しいことは周知の事実」(地元建設業者)ということもあってか、最近は「時代遅れの関わりたくない人物」として周囲からソッポを向かれっ放し。さすがに相手が不在では、縦になったり、横になったり、煮ても焼いても食えない達人級の“掛け合い術”を駆使することも難しくなったせいで、「言動に焦りが見え始めた」(漁組関係者)と囁かれていた折も折、タイミングを合わせるかのように、筆者の許に、捜査当局の内偵開始の一報が飛び込んできた。
 
 一体、何が当局を動かしたのか。
 
 以下、片岡氏に指摘されている複数の疑惑について述べるが、その前に長崎北漁協に所属する漁組関係者に聞いた、片岡氏の「人となり」を紹介してみたい。
 
――佐世保漁協の片岡組合長に当局が注目しているようです。
 
「今頃ですか?(苦笑)遅すぎますよ。とにかく片岡の横車の押し方は異常です。時代は令和になったというのに、片岡の頭の中は昭和でストップ。漁協の同意が必要なプロジェクトに対して、『佐世保の海と組合員を守るため』というワンパターンの理屈を並べて反対、その見返りに漁業補償名目の大枚を要求する“恐喝まがいのスタイル”ですから。いずれはと思っていましたから、驚きはしませんよ(笑)」(H漁協組合員)
 
 取材開始早々の辛辣なコメントには正直、面食らったが、人物評は人様々。たとえ問題のある補償交渉であっても、「海を守るため」、「組合員の生活を守るため」という大義は、一理も二理もある真っ当なもの。「盗っ人にも三分の理」、頭から片岡氏の交渉手法を「けしからん」と決めつけるのは如何なものか。
 
「掲げる大義通りに、組合員のためや港を整備するための費用として補償金が使われるのならいいのですが、片岡の場合は、組合を補償金を釣り上げるための“道具”として利用、補償金を施主や元請企業に支払わせるだけでなく、片岡と意を通じた下請企業を強引に工事に参入させてピンハネ、あの手この手でせしめた補償金の大半を私物化、その一部をおこぼれとして側近たちに配っていると言われています」(前出)。
 
 既に傘寿、本来なら好々爺の年齢なのだが、信条は「佐世保湾で底引網ならぬ“カネ集め網”を引く」こと。名刺の肩書は「片岡水産」ではなく、どういう意味なのか「フリーマン」。住まいは公表されている鹿子前ではなく隣県の嬉野温泉、それも2軒を所有。以前、倒れたことに懲りてか、酒は一切飲まず、趣味は健康管理と佐世保競輪。マスコミの取材は一切拒否し、VIPよろしく許可のない所持が禁止されている伸縮式の警棒を持ったボディガードが猛スピードで運転する大型レンタカーで移動。――万事において天上天下唯我独尊を貫く片岡氏の日頃の言動に眉をひそめるムキは少なくない。が、だからと言って、それが直ちに刑事事件につながるとは限らない。
 
「行動原理は、すべてが自分にとって『損か得か』で徹底しています。すぐカッとなり大声で怒鳴るし、表面的には強面ぶっていますが、内面は超がつく小心者ですよ。以前、借金返済をめぐるゴタゴタで右翼団体の街宣車に街宣されたこともあってか、これ見よがしに防弾チョッキを着用していた時期もありましたが、これも『俺は大物だ!』と誇示するパフォーマンスです。そんな彼が一番気にしているのが、『フグ(カネ)は食いたし、毒(逮捕)は恐し』で、当局の動きには異常なほど神経質です。マスコミと一切会わないのもボロを突つかれるのを警戒しているからで、配下の組合長にもマスコミには『一切会うな、何も喋るな』と緘口令を敷くなど、とにかく猜疑心の強さは尋常ではありません」(前出)
 
「悪名は無名に勝る」とはいえ、惻隠の情のカケラもない片岡評には、さすがに片岡氏が気の毒になってくるが、100人の敵がいても100人の味方がいるのが人の世。一組合員だけのコメントだけで片岡氏を“組合長失格”と決めつけることはできない。
 
 気を取り直して、佐世保北漁協にあって巷間、片岡氏のシンパのひとりと目されているA漁協の幹部氏に取材を申し込んだ。アポイントを取っていなかったこともあって、最初は渋っていたが、筆者が東京から来たことを気の毒に思ってくれたのか、「ピッタリ20分だけ」という制限付きながら取材を受諾。早速「なぜ、長きにわたって片岡氏がトップの座に座り続けている理由」を単刀直入に聞いてみた。
 
「確かに、とかくの噂が数多くあることは承知しているし、組合長としての言動に非があるのも事実だ。頭の回転は早いし、人情家でもあるんだが、いざカネが絡む話になると“暴君”になっちゃうんだなあ(笑)。率直に言って、片岡の周りは目先の損得だけでつながっている奴ばっかりだから、彼が腹蔵なく相談できる人間なんかいないと俺は思うよ。本来なら、佐世保北漁協を健全な組織にするべく人物が声を上げて然るべきなのだが、イザ役員選挙となると、本音はともかく、ほとんどが御身大事で及び腰。今の自民党と同じで(笑)、片岡に取って代わる人物がいないことが、片岡政権が長寿の理由だな」
 
 筆者の許にH漁協の若手組合員から、「こんな“老害役員”たちによる旧態依然とした組合運営では、ただでさえ衰退気味の漁業組合は完全にダメになる」という悲鳴にも似た直訴状が届いたことを告げたが、こうした声があることを片岡組合長の耳に届いているのだろうか。
 
「もちろん知っているだろうが、片岡の耳は都合の悪いことには“日曜日”だからな(笑)。ウチの組合だけでなく、他の漁組でも世代交代の声が上がっていることは分かっているだろう。しかし、人間関係が濃密な狭い世界だから、『即、明日から』というわけにはいかないのが実情だ(苦笑)」
 
 既に15分が経過、約束の時間まであと5分。外出支度を始めた幹部氏に、最後の質問として筆者が取材当初から抱いていた「何が、片岡氏を余人に替えがたい“掛け合い名人”に仕立てあげたのか」という疑問をぶつけてみた。
 
「片岡が“掛け合い名人”になった理由? あんたは面白いことを聞くねえ(笑)。さっきも言ったが、彼は賢いし、駆け引きをする術は天性のものだろうなあ。しかし、本当に片岡を悪知恵の働く人間に育てた張本人は、交渉相手だった防衛省、佐世保市役所などの行政や工事を受注したゼネコンだよ。その時その時の担当者にすれば、自分の在任中に交渉をまとめたいから、“裏技”というか、『こうすれば上は納得するよ』と自分たちの手の内を片岡に教えたんだな。手の内ばかりでなく、近い将来に法律が変わることや、その対処法まで巧みに聞き出し、片岡は、それを自分が独力で会得した“武器”であるかのように装って使用、首尾よく事をまとめるから、周りの人間は『さすがは組合長!』と称賛。さらに彼の傲岸不遜さに拍車がかかるわけだ。現在も防衛省と揉めているのだって、歴代の担当者が、甘やかしてきたことのツケだよ」
 
 斯くも正鵠を射た意見が聞けるとは予想外、もう少し話を聞きたかったのだが、約束の20分が経過。「今日はお忙しいところ、突然の訪問にもかかわらずありがとうございました。次回はキチンとアポを取ってお邪魔しますので宜しくお願いします」と告げたところ、「佐世保駅までなら送るよ」との誘い。遠慮なく同乗させて頂いた次第。
 
「詳しくは言えないが、仮に国税でも入ったらアウトだから、これまでも『程々にしないと、九仞の功を一気に欠きかねんよ!』と忠告してきたのだが、年齢のせいだろうな、一向に昭和時代の意識が抜けないんだな(笑)。彼は良くも悪くも、佐世保という特別な軍港都市が産んだ“傑物”だから功績もあるし、自愛して欲しいんだが、時代の流れを読めないというか、読んでしまうと自分の存在価値がなくなると思っているのだろうな(苦笑)」 (次号に続く)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2022年10月27日配信「往年の覇気は何処へやら?――今や昔の物語、天下の電通・鬼十則」


電通汐留本社ビル(wikipediaより)


第一条 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。

第二条 仕事とは、先手先手と働き掛けて行くことで、受け身でやるものでない。

第三条 大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己を小さくする。

第四条 難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある。

第五条 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…。

第六条 周囲を引きずり回せ、引きずるのとひきずられるのとでは、永い間に天地の開きができる。

第七条 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。

第八条 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。

第九条 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ。サービスとはそのようなものだ。

第十条 摩擦を恐れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ。でないと君は卑屈未練になる。






 


2022年10月14日「羽田空港格納庫を舞台にした元参院議員業務上横領事件の“真相”」<事件>

問題の羽田空港格納庫(国交省HP)

 

 昨年11月28日、警視庁捜査2課に業務上横領容疑で逮捕された山内俊夫元参院議員の第1回公判が10月14日に開かれる。

 

 山内氏は早大卒、広告代理店勤務の後、青年会議所四国地区協議会会長を歴任、91年に香川県議会議員に初当選、2期務めた後の98年に参院議員に当選、04年に再選。党副幹事長、参院総務委員長を経て、08年には福田内閣で文科副大臣に就任。2期12年の任期を満了後、09年に政界を引退した。

 

 報道によれば、逮捕に至った理由は、「WOL」が羽田空港に所有する格納庫を買収するため、2018年当時、山内氏が代表理事を務めていた一般社団法人「資源外交戦略研究所」と「マルナカHD」(中山明憲社長、本社・高松市)が共同で設立した「羽田空港格納庫合同会社」(以下「羽田合同」)から約1億円を流用した」とされている。

 

 報道通りなら羽田空港内の格納庫という希少物件を“材料”にしたシンプルな詐欺事件だが、「真実は報道では分からない」。

 

 そもそもの経緯は、山内氏が県議時代から昵懇のマルナカ側に「羽田の格納庫を買えば将来、50億円以上で転売できる」と持ちかけ、それに同意した「マルナカHD」は約28億円を「羽田合同〜」に。そのうち約26億円で「羽田合同〜」は格納庫を購入、残金は国交省から営業権取得後に支払うための地代として一時プールしていたが、国交省との交渉が予想より長引いたことで、京都府や香川県などの不動産購入代金として約1億円を一時流用した」ことが、業務上横領に該たるとされたものである。

 

 それにしても、参院議員時代に副大臣まで務めた山内氏が、私腹を肥やすためにイージーに1億円もの私的流用をするものなのか。

 

 山内氏の周辺関係者は、一様に「まさか?」、「何かの間違いでは?」と首を傾げるが、なかでも参院議員時代に親交の深かったA氏は、「信義に厚いことで知られる山内先生には考えられないことです。それにマルナカHDの先代である中山芳彦氏(明憲社長の実父)とは県議時代から昵懇の仲だし、2015年にマルナカが競売で手に入れた朝鮮総連ビルの売却に関しては、独自の人脈を活かして総連幹部と交渉、マルナカに20億以上の売却益をもたらしたと聞いています」
 
 また香川県議時代から交流のあるB氏も、「とにかくアイデアマンで、行動力は抜群でした。たとえば丸亀競艇場が全国で最初にナイター設備を設けた時も、先頭に立って尽力。また四国の青年会議所でも率先垂範、常に県民のためという姿勢は、後にも先にも山内さんだけです。そんな山内さんが、私利私欲で横領するなんて、私には信じられません。今回の逮捕も相手に信を置きすぎで脇が甘くなったことを逆手にとられたのでは?と思います」

 

 昨今の国会議員は現職、元職に限らず、カネ、オンナに絡んだ事件が頻発、劣化が著しいのは事実である。そのせいか、今回の事件についても、マスコミ各社は、さしたる取材もせぬまま、当局のコメントを拠所とする記事を連発しているが、逮捕以来、1年近くも要したことでも窺われるように、スンナリと一件落着するとは思えないのだが……。 (以下続く)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2022年8月31日配信<0510archives>「『ハウステンポス50億円詐欺事件』にも関与――逮捕された日大事件屋・安藤季賢容疑者の正体」<事件>

 
日大板橋病院(wikipedia)

 

 日本大学付属板橋病院の近くに薬局を出店できると偽って、1月28日、2億円を詐取したとして逮捕された安藤季賢容疑者(69)は、「日大利権屋」のひとりだった。
 
 騙した相手は薬局大手「サンドラッグ」の子会社。大学病院近くの「医療モール」に出店させるとして、14年から15年にかけて保証金名目で2億円を騙し取ったという。
 
 このところの安藤容疑者はトラブル続きだった。
 
 日大OBで「大学につなぐ」と、口利きをする“輩”は少なくないが、安藤容疑者はその筆頭クラス。なにしろ「ニホン・ユニバーシティ−」の頭文字を冠した「NU校友会」という株式会社を持っていたほどだからパラノイアである。
 
 今回の詐欺事件の前には、「神田駿河台の日大病院の業務を委託できる」として、14年3月までの間に3800万円を騙し取ったとして提訴されている。
 
 訴状にはこう書かれている。
 
<被告安藤は、被告NU校友会の代表取締役と称し、自分は被告日本大学の執行部と常に仕事をしており、被告日本大学に特別な力を有しており、被告日本大学に関する大抵のことなら何でも可能であると自慢げに話し、その直後、原告B(訴状では実名)に対して、実際に被告日本医学の常務理事である被告C(同)を紹介した>
 
 このCが安藤容疑者の日大パイプであり、二人が親密であるのは間違いないが、それほど力がないのは、利権に結びつかず、民事・刑事で訴えられていることが証明する。
 
 あげく、「NU校友会」を始めとする安藤グループの4社は経営破たん、18年6月、東京地裁から破産開始決定を受けた。
 
・NU校友会(都内板橋区)負債総額約2億3000万円
・MFCジャパン(都内文京区)負債総額約4億8000万円
・スペースパワーホールディングスジャパン(都内文京区)負債総額約5000万円
・都市未来研究所(都内豊島区)負債総額約1000万円

 
 何をやってもうまくいかず、詐欺でカネを引っ張るしかなかった断末魔がうかがえる。

 その延長線上にあるのが、ハウステンボス50億円詐欺事件である。
 
 19年3月、民事訴訟が始まったことで明らかになったこの事件は、旅行代理店大手「エイチ・アイ・エス」の澤田秀雄代表が、金取引業「アジアコインオークション」を経営する石川雄太代表の「リクルート株を市価の1割引きで購入できる」という誘いに乗り、18年5月、ハウステンボスから50億円を振り込んだものの、リクルート株を入手できなかったばかりか、「代替運用」の話もウソで騙し取られたというもの。
 
 登場人物が数多く、40億円の偽造手形も登場するなど背景は複雑。司法当局による解明を待つしかないが、この50億円の流出先として登場するのが安藤容疑者と、彼の配下で一緒に詐欺容疑で逮捕された山本英一容疑者(54)である。
 
 民事で訴えたのは石川氏で、資金主の澤田代表は表に出ていない。
 
 訴状によれば、50億円の運用を委託されたのは実業家のY女史で、その振込窓口になったのは山本容疑者が代表を務める(株)エヌ・エス・ティー(板橋区)だった。
 
 18年6月14日、手数料、金利、コンサルタント料などの名目で差し引かれた残りの41億円が振り込まれたが、ひと月足らずの間に9個人3法人に引き出された。
 
 つまりは「溶けた」わけである。
 
 破産と同時期に発生したこの事件。安藤、山本の両容疑者は、公判で「口座を貸しただけで何が起きたかは知らない」と主張。だが、捜査が始まれば、そんな“言い訳”が通るとも思えない。
 
 いずれにせよ、幾つも同時並行で詐欺話が進行、その尻ぬぐいに追われた末の犯行!――日大利権屋の寂しい末路というしかない。【🐎】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2022年8月27日配信<0510archives>「『Black Box』(伊藤詩織著・文藝春秋)が告発する司法の歪み」<事件>



 


 

 

 

 

 レイプ被害者として「顔出し告発」していた伊藤詩織さんが、10月18日、『ブラックボックス』(文藝春秋)を上梓した。
 
 今年5月、詩織さんは検察審査会に不起訴処分を受けて異議を申し立て、記者会見で経緯を説明した。
 
 その時も衝撃だったが、検察審査会での「不起訴相当」を受けて著した本書では、そうした会見などでは伝わらぬ思いが、時系列で詳細に語られ、一級のノンフィクションであると同時に、日本の司法システムに対する鋭い告発書にもなっている。
 
 圧巻は、「安倍晋三首相に最も近い記者」という評判の元TBS記者・山口敬之氏と、詩織さんにとって同氏に対する「顔を思い出したくもない加害者」であるという辛さを封印して、責任を追及するために行った交換メールの公開と、高輪署、警視庁捜査一課、そして検察との「山口氏の圧力」を感じながらの切迫した交渉だろう。
 
 率直に感じられるのは、詩織さんの強さである。
 
 それは5月時点の「顔出し会見」で証明されてはいたが、今回、明かされたジャーナリストを目指して欧米で学んだという経歴が、告発への動機を裏付けるとともに、そうした意志も強さも持っている人が、それでも「司法のカベ」に跳ね返されてしまった。
 
 強さは、レイプ犯を許さないという一貫した姿勢にあるが、その一方で、詩織さんの心は常に山口氏の“幻影”に怯えており、「魂の殺人」だというレイプが被害者に与える傷の深さに慄然とさせられる。
 
 それだけのプレッシャーを受けながら、これまでのレイプ被害者の大半が、「正体を晒しても何の得にもならない」と、勝訴しても自分の胸の内にしまい込むか、示談に応じて事件を封印するなか、詩織さんが実名告発し書籍まで発売したのは、個人的な恨みを晴らすのではなく、「私に起こったことが、あなたに、あるいはあなたの大切な人に降りかかってくるか、誰にも予測はできないのだ」(まえがきより)と、訴えたいからである。
 
 その告発するという行為の結果として、司法の“歪み”が露呈した。

 

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                                                                      BBC公式HP
 

 

「よくある話だし、事件として捜査するのは難しいですよ」
 
 担当する高輪署のA氏が、最初に投げかけたのはこの言葉であり、詩織さんは「それはあまりに残酷な言葉だった」と、嘆く。
 
 以降、「今まで努力してきた君の人生が水の泡になる」と、被害届の提出を考え直すように説得するA氏を、むしろ詩織さんが引っ張る形で捜査は進み、山口氏の帰国を待って逮捕するところまで進展した。
 ところが、15年6月8日、成田空港に山口氏逮捕に出向いたA氏から「逮捕できません」という連絡が入る。
 
 理由を問うと「ストップをかけたのは警視庁のトップです」という返事。後に、それが中村格警視庁刑事部長(当時)であることが明らかになる。
 
 以降、所轄の高輪署から警視庁捜査一課に事件は移送され、A氏も担当検事も配置替えとなり、事件は封印の方向に向かう。
 
 捜査一課の捜査が、不起訴へ持っていくためのものであるのは、「なぜ逮捕状が出たのに逮捕しなかったのか」という詩織さんの問いかけに、「逮捕状は簡単に出ます」と断言。「社会的地位のある人は、居所がはっきりしているし、家族や関係者もいて逃走の恐れがない。だから、逮捕の必要がないのです」と、いってのけた捜査一課幹部の言葉で明らかだ。
 
 官邸から中村部長へと伝えられたことで発生した“忖度”は、捜査現場を動かして起訴には不十分な捜査内容となり、不起訴処分は出た。
 
 その証拠に沿って国民からくじで選抜される検察審査会の審査員が、検察官に誘導される形で事件性を審査すれば、「不起訴相当」となるのも無理はない。
 
 司法は、そのシステムを熟知し、方向性を変えうる力のある人間が操作すれば、簡単に歪むものである。
 
 レイプが行われたとされる15年4月4日以降、2年半の歳月をかけて詩織さんが著した『ブラックボックス』で、我々が読み取るべきは、レイプ被害の傷跡の大きさとともに、それを見逃してしまった司法システムの検証であろう。【午】

 

 

 

 

 

 

 

 


2022年8月4日配信「6月1日に完全施行!――国民を丸裸にする改正通信傍受法の危険度」<事件>

警察庁(wikipedia)


 2019年6月1日の改正通信傍受法の施行で、都道府県警が活用する専用パソコンは、外見は普通のパソコンとなんら変わらない。

 

 しかし、犯罪捜査においては傍受した暗号データをまとめて保存、後で解凍して再生できるということで、会話内容はもちろん、公私にわたる人間関係も行動パターンも手掛けている事業やビジネスの中身も、すべて警察が把握できるという“優れもの”だ。

 

 2010年、大阪地検特捜部で発覚した証拠デッチ上げ事件によって、「調書至上主義による自白の強要」がこのような事件を引き起こしたとして、刑事司法の改革が急がれるようになり、16年6月、改正刑事訴訟法が施行された。

 

 柱はふたつ。――ひとつは取り調べの可視化(録音録画)を導入することで難しくなる捜査を補強するために認められた司法取引。その破壊力は、実質的な第1号事案となったカルロス・ゴーン事件によって実証済みだ。

 

 もうひとつが、改正通信傍受法によって通信傍受の事件範囲が拡大されるとともに、それまで通信業者で行なっていた傍受を警察で出来るようにした。

 

 被告の罪を減じることによって、捜査や公判に協力させる司法取引が注目されがちな改正刑事訴訟法だが、国民一般には改正通信傍受法の影響の方が大きい。

 

 6月1日以降、国民は捜査当局によって丸裸にされる!――こう覚悟していた方がいい。

 

 ネットが、あらゆるものをつなげ、スマホ1台で個人が全世界と交流できる環境は、あらゆる情報を瞬時に取り出す簡便さをもたらす一方で、通信業者やプラットフォーマーに、個人情報を売り渡す結果となった。

 

 そうした環境下に置かれたうえで始まった改正通信傍受法は、薬物、銃器、集団密輸、組織的犯罪の4種類に絞られていた傍受を、殺人、傷害、詐欺、窃盗など9類型を追加したことにより、ほぼ全ての犯罪への適応が可能になった。

 

 この対象犯罪の拡大によって、警察は裁判官の発行する令状か、捜査機関が求める必要な事項照会によって、Google、LINE、Facebookなどのプラットフォーマーから情報を取り出すことができるようになった。

 

 強制(令状)であれ、任意(捜査関係事項照会書)であれ、警察から求められ、それを拒否する選択肢はプラットフォーマー側にはなく、その対象となるのは、被疑者とつながっている人すべてである。

 

 ある日、突然、Aという容疑者と親しく交わしていたLINEメールが原因で、メールを捜査員から突きつけられ、「お前も共犯だろう!」と、任意の事情聴取で攻撃された人がいる。――斯様に容疑はいつでも降りかかってくる。

 

 それに加えて、6月1日から始まる警察での通信傍受。18年、改正通信傍受法で通話が傍受されたのは12事件逮捕者は82名だった。

 

 少ない印象だが、東京の大手通信業者に出向き、業者立ち会いの下で通信傍受を行なうのはいかにも使い勝手が悪く、少ない数字は、その“証明”だった。

 

 警察庁は、「専用パソコンは管区警察局において貸し出し、傍受指導官を置いてチェックする」とし、乱用に歯止めをかけるという。

 

 だが、いずれも「身内」であり、第三者機関のチェックが入るわけではない。

 

 必要とあれば、広範に網をかけた事件捜査を名目に、どんな個人の携帯電話も盗聴できよう。

 

 ネット環境の便利さと引き換えに、我々は通信業者やプラットフォーマーに個人情報を無防備にさらけ出した。――それを警察が利用して摘発に利用するという危険性を、国民は自覚すべきだろう。【卯】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2022年7月27日配信<0510archives>「『人間が作るモノで偽造できないモノはない!』――“ニンベン界の巨匠”が語る近時、偽造ワールド事情!!<事件>

 


   

                      定価250000円也

                  (☚wikipedia)

 

※「偽造」=「本物を真似て類似の物を作ること。特に、悪用する目的で、通貨、文書、印章などの偽物を作ること」(「日本語 新辞典」・小学館)

 

 

 

 今回、ゲストにお迎えしたクボタ氏(仮名)は、実名を出せば裏世界の住人からは、「ああ、ニンベン博士の〜」とオウム返しに言葉が返って来る超有名人である。
 言うまでもなく“紛れもない悪党”である。しかし、チンケな「悪党」ではない。“重要無形文化財”と呼ぶべき「悪のレジェンド」である。
 「偽造」にかけては右に出る者なし。「形あるもので偽造できないものはない」と豪語する“ニンベンの匠”を直撃した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

――ご久しぶりです。今日はお忙しいところ、わざわざ足をお運び戴きありがとうございます。

クボタ氏「かれこれ4年ぶりになるかな。『週刊0510』はいつも無料で拝読させて貰ってるし(笑)、他ならぬ桂馬編集長の頼みとあらば無碍に断るわけにはいかんでしょう」

――お元気そうで何よりです。

クボタ氏「お迎えを待っているんだが、なかなか来なくてね(笑)。老醜を晒していますよ」

――早速ですが、今なお“現役”ですか?

クボタ氏「『老兵は消え去るのみ』――早く隠居したいのだが、依頼が多くてね。まだ生き恥を晒しているよ」

――業界の景気は如何ですか?

クボタ「依頼人が小粒且つ姑息になってるから儲からないし、何より醍醐味がなくなったのが寂しいな」

――やはり不動産取引に必要な文書が多いのでしょうか?

クボタ「そうだな。定番の運転免許証、パスポート、保険証など身分証明書類。他にはクレジットカードに未公開会社の株券。少なくなったが手形、小切手。それに印鑑、印鑑登録証。権利証は電子登録制になってめっきり減ったな」

――格言通り、形があるもので偽造できないモノはない!――ところで最近、作成した会心の作は?

クボタ「まだ表面化していないし、詳しく言うと支障が出るので、あまり言いたくないのだが、遺言状かな。7〜8通作ったよ」

――相続人からの依頼ですか?

クボタ「弁護士の依頼だった。作成料の400万円に釣られて、念には念を入れて作ったよ(笑)。あれはA級の鑑定人にも見破れないと思うな」

――エッ、依頼人は弁護士ですか?

クボタ「悪党のワシが言うのもおかしいが、頭数が増えて喰い詰めているのか、最近は事件屋顔負けの悪い弁護士が増えているな」

――嫌な時代ですね。

クボタ「事件を起こした悪人の“弁解係”を買うのは仕事だからいいけど、悪人と一緒になって犯罪を起こしてはイカンわな」

――最近は弁護士だけでなく、税理士、公認会計士、司法書士、行政書士など、いわゆる「士業」の人間が関与している事件も目につきます。

クボタ「国家資格を持った人間による犯罪には、法定刑を5割増にするべきだな(笑)」

――名案です!(笑)

クボタ「そういえば、癖のある依頼人だったので受けなかったが、つい最近、公正証書の依頼もあったな」

――偽造の公正証書なんて何に使うんでしょう?

クボタ「追い込みの小道具にでも使うのだろう」

――判決文だって偽造するご時世なんだから、公正証書だってアリでしょうね(笑)

(ここで電話あり。パスポート作成の依頼。1件25万円で商談成立)

――商売繁盛ですね。

クボタ「右を向いても、左を見ても詐欺師ばかり。――1億総詐欺師列島!――ホント、嫌になるねえ(笑)。まあ、政治家だって詐欺師みたいなもんだからなあ…(笑)」

――バレなきゃいい、たとえバレても「知らなかった」と開き直る。まったく嫌な風潮ですね。

クボタ「そうそう、一昨日に依頼があったんだが、人気俳優のMから『お願いしたい物がある』って電話があったよ」

――P中の噂もあるMからの依頼品って何ですかね?

クボタ「断ったから分からん」

――ところで、以前、「手掛けたことがないのは紙幣だけ」と言ってましたが、クボタさんでも紙幣の偽造は難しいですか?

クボタ「やってやれないことはないと思うが、コストが掛かり過ぎるし、流通するのが国内だとリスクがありすぎるわな」

――海外だとOK?

クボタ「ドル紙幣みたいに、地球規模で流通している紙幣ならリスクはあっても、リターンが大きいからやるかもしれんが、円紙幣はダメだな。――そもそも紙幣っていうのは、『紙』そのものには価値はないが、“決済のための小道具”だろ。だから、ある一定の地域だけでグルグル流通している限りは、本物だろうと、贋物だろうと、“紙幣としての役目”が果たせれば、それで十分なんだ。昔は、貝殻や石だってカネとして扱われていたんだから、それを贋物だ、どうだって騒いだって意味がないだろう。贋物だって、本物としての役目を果たせば本物になるんとちゃうか(笑)」 (了)

 

 

 

 

 

 

 

 





 


2022年7月15日配信<0510archives>「月刊『Hanada』で復活を果たした山口敬之氏の暴論と限界」<事件>


 
(伊藤詩織著・文藝春秋)


 

 

 颯爽とデビュー、確固とした地位を築いていた言論人の“転落”は、目にしたくないものである。


 元TBSテレビのワシントン支局長だった山口敬之氏が、退社後にフリーとなり、2016年5月、『総理』(幻冬舎)を著した時、「迫真のリアリティをもって描く政権中枢の人間ドラマ」という惹句がピッタリの内容で、安倍晋三首相をはじめとする政権中枢への食い込みに、読者は驚嘆した。

 が、そこが天井。以後の“転落”は早かった。

 1年後の17年5月、「山口氏にレイプされた」と、ジャーナリストの伊藤詩織さん(28)が記者会見を開き、顔を出して告発した。

 それまで山口氏は、報道番組などに頻繁に登場、政権擁護発言をするジャーナリストとして知られていたが、一切、表には出なくなった。

 同氏がマスメディアから忌避されたのは、「レイプ疑惑の主」だったからではない。

 詩織さん(告発当初は姓を名乗らなかった)の訴えを警視庁は受理して捜査、山口氏を送検したものの、検察の結論は嫌疑不十分で不起訴処分だった。

 記者会見は、詩織さんの検察審査会への申し立てを理由とするものだったが、この時、山口氏がメディアに対して、真摯な対応をしていれば、「山口バッシング」は起きなかっただろう。

 だが、同氏は「私は被疑者でも容疑者でもない」と強調、「間違った記述があれば、法的措置も辞さない」という強気のコメントは、取材者たちを鼻白ませた。

 要は、メディアを味方に付けることができなかった。

 詩織さんの検察審査会への申し立ては、4ヶ月後の17年9月、「不起訴相当」の議決となって認められなかった。

 詩織さんは納得できず、翌月『ブラックボックス』(文藝春秋)を著して、告発を続けた。

 それを受けて、山口氏は初めて反論に出た。

 保守派の言論雑誌で「親安倍路線」の『月刊Hanada』(12月号)で、「私を訴えた伊藤詩織さんへ」を、同じ路線の『月刊Will』(12月号)で「安倍総理の“どす黒い孤独”」を、それぞれ寄稿した。

 これまではメディアの記者、報道局、編集部などとのやりとりだけだったが、自分の思いを新たに表明すると同時に、“ジャーナリスト復帰宣言”ともいうべき記事だった。

 しかし、両作とも高い評価は受けられなかった。

 

 「詩織さんへ」と題する記事は、検察の「不起訴」と検察審査会での「不起訴相当」をもって自己弁護する内容で、「合意なくホテルに連れ込み、セックスに及んだこと」への道義的倫理的な反省はまったくなく、読者に不快感を残した。


 安倍首相への応援歌となった記事は相変わらずだったが、切り込みも分析も不十分で、政界と官邸から距離を置かれた?ジャーナリストの悲哀を感じさせた。

 「やはり『臨時国会冒頭』しか、(安倍首相の)解散の選択肢はなかったのである」と、最後にまとめた記事を誰が興味をもって読むだろうか。

 11月25日発売の『月刊Hanada』(1月号)は、さらに悲哀を感じさせる内容だった。

 「伊藤詩織問題 独占スクープ第2弾」として「記者を名乗る活動家 金平茂紀(TBS報道特集キャスター)と望月衣塑子の正体」と題し、自分に向けられた批判に対して反論しているのだが、罵詈雑言の類で、およそ読者の共感は得られないし、不快感ばかりが残る記事だ。

 冒頭、「取材依頼がなく、意見も聞かないから2人は記者ではない」というのだが、金平氏も望月氏も記者会見やインタビューでの発言であり、山口氏に取材依頼をして確認すべき内容ではない。

 なにより、山口氏は公式コメンを出したり、記事を発表しているのだから、それをもとに論評ないし、記者会見やインタビューで発言するのは認められる行為である。

 挙げ句、「金平という男は、気に入らない政治家を貶めるためなら、記者としての基本動作も放棄し、同僚や部下を平気で裏切り、自分だけは生き残ろうとする唾棄すべき人物である」と、言い切っている。

 この名誉毀損以外の何物でもない文章を執筆するにあたり、山口氏は金平氏に取材依頼をしたのだろうか。

 細かく書き連ねても仕方があるまい。

 

 何ら反省することなく、向かってきた勢力はすべて敵とみなして噛み付く!――レイプ疑惑は、刑事事件としては不起訴でも、そう疑われるような行為があったことをまず反省、そのうえで被害者やそれを報じようとするメディアにどう対応するかを山口氏は、真摯に考えるべきだろう。【戌】      <2019年10月31日>

 

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