2019年12月27日配信「中国企業とカジノで組むという秋元司代議士の“悪手”を嫌った地検特捜部が外為法違反で摘発した事件の行方」<事件>  


留寿都村(☚wikipedia)

 

 さながら2000年代前半のITバブル時代の名残り?――国営ITコングロマリットが大株主「500ドットコム」という社名の中国企業の日本法人が、東京地検特捜部の摘発対象となってマスメディアを賑わせている。
 
 同社関係者が、違法に海外から資金を持ち込み、17年当時、北海道のリゾート地・留寿都で進めていたカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致活動に使ったのではないかというもの。これには秋元司代議士の元政策秘書らが関与。外為法違反事件として特捜部の捜査を受けている。
 
 それにしても秋元氏の信じられない脇の甘さである。
 
 カジノといえば、犯罪組織が万が一にも関与してはならないと、米ではゲーミング管理委員会などによって、厳しく監視され参入障壁も高い。
 
 日本もそれに準拠する体制整備が、IRの事業化を前に行なわれている。
 
 そうしたIRを担当する衆議院内閣府の委員長として、それを十分に知っているハズなのに、「500ドットコム」に取り込まれてしまった。
 
 しかも同社は、オンラインカジノ業者ではあってもディーラーが差配する“生”のカジノ運営の経験はない。
 
 さらに、サポート要員として雇った執行役員は、沖縄県日中友好協会事務局長の肩書を持つが、国内外を舞台に投資家をつのるブローカーのような人物で、トラブルも多い。
 
 特捜部が秋元氏に目を付けたのは、後援者の川崎大資被告を、19年7月、企業主導型保育事業の詐欺容疑で逮捕。その政界ルートとして秋元氏が浮上、調べを進めるうちに別件ながら外為法違反事件に行き着いた。
 
「検察のエース」として内外から期待される森本宏特捜部長は、小躍りして喜んだに違いない。
 
 特捜部は、日産元会長のカルロス・ゴーン被告を逮捕し、久々に「最強の捜査機関」に相応しい存在感を見せつけた。
 
 しかし、まだ課題が残っており、それは中央政界への捜査である。
 
 09年の政治資金団体・陸山会事件は、当時の小沢一郎民主党元代表を狙ったものの果たせず、秘書の逮捕に留まった。
 
 この時、石川知裕代議士を逮捕、起訴したが、小沢氏の秘書時代の罪についてであり、真の意味の政治家逮捕ではない。
 
 というわけで、政治家逮捕は02年の鈴木宗男代議士、03年の坂井隆憲代議士まで遡る。
 
「バッヂを狙え!」は、特捜部の使命感を伝える合い言葉だが、都合16年以上、その役割を果たしていないことになる。
 
 秋元事務所が絡む外為法違反事件は、そんな状況を払拭することになった。
 
 展開は早い。――特捜部は、12月7日、秋元氏に仕えていた2名の元秘書宅を家宅捜索した。
 
 2人は、11年7月に設立されたコンサルタント会社の代表を務めており、元政策秘書が17年6月に退任すると、元私設秘書が代わって就任した。
 
 秋元氏は記者会見を開き、落選中の設立時から14年まで顧問を務め、顧問料を受け取っていたことは認めたものの、「以降、会社との関わりは一切ない」としている。
 
 だが、否定されても立件できる材料はあるということで、さらに証拠を積み重ねるために、12月19日、江東区の地元事務所議員会館を家宅捜索した。
 
 容疑の外為法違反は入り口に過ぎない。
 
 あの「ロッキード事件」がそうだったように、外為法違反は政界事件などの入り口に使われることが多い。
 
 その分、奥は深く、今回、検察は官邸に捜査着手の報告はしたが、何のどんな容疑が本線かは伝えていない。
 
 それだけ本気だということだが、IR担当として職務権限はあるだけに、贈収賄事件としての立件が、“本線”になる」(検察OBの弁護士)
 
「500ドットコム」の中国人代表は、留寿都の前は沖縄IRに関心を示し、17年8月、那覇市でシンポジウムを主催したことがある。
 
 その基調講演を中国人代表とともに行なったのが秋元氏だった。
 
 中国企業がIRという国家プロジェクトに参入するというだけで、日本の司法当局は警戒する。
 
 なのに秋元氏は、国内の通常の陳情を捌くのと同じ気軽さで“相談”に乗ってしまったわけだが、その前からターゲットだったという意味で、特捜部に狙われる要件は、十分に満たしていたのである。【酉】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年12月24日配信「風雲急!――秋元司代議士元秘書を家宅捜索した東京地検特捜部の狙い?」<事件>

 
秋元司代議士(wikipedia)

 カルロス・ゴーン逮捕で久々に「最強の捜査機関」に相応しい存在感を見せつけた東京地検特捜部だが、中央政界の捜査は成果を上げられずにいる。
 
 09年の政治資金団体・陸山会事件は、当時の小沢一郎民主党元代表を狙ったものの果たせず、秘書逮捕に留まった。
 
 この時、石川知裕代議士を逮捕、起訴したが、小沢氏の秘書時代の罪についてであり、正確にはダッシュマークがつく逮捕であり
「政治家逮捕」は02年の鈴木宗男代議士、03年の坂井隆憲代議士まで遡る。
 
 「バッヂを狙え!」は、特捜部の使命感を伝える合い言葉だが、17年近くその役割たしていないことになる。
 
 そんな状況を払拭することになるのだろうか――。
 
 東京地検特捜部は、12月7日、秋元司代議士に仕えていた2名の元秘書宅を家宅捜索した。
 
 2人は、11年7月に設立された芸能関係会社の代表を務めており、元政策秘書が17年6月に退任すると、元私設秘書が代わって就任した。
 
 秋元氏は記者会見を開き、落選中の設立時から14年まで顧問を務め、顧問料を受け取っていたことは認めたものの、「以降、会社との関わりは一切ない」としている。
 
 容疑は海外から多額の現金を不正に持ち込んだとされる外為法違反だが、具体的な内容は伏せられており、秋元氏も「心当たりはない」と、断言した。
 
 だが、外為法違反は「入り口」だろう。
 
「ロッキード事件がそうだったように、外為法違反は政界事件などの入り口に使われることが多く、その分、奥は深い。
 
 今回、検察は官邸に捜査着手の報告はしたが、どんな容疑が本線なのかは伝えていない。それだけ本気で政治家を狙っているということ」(検察OBの弁護士)
 
 家宅捜索の1週間後には、北海道庁のIR(カジノを含む統合型リゾート)関係部署にも特捜部が赴き、中国系企業・F社のルスツリゾート進出に絡む不可解なカネの流れに着目、任意で資料提供を求めている。
 
 同社のH代表は、沖縄IRにも関心を示し、17年8月、那覇市でシンポジウムを主催したことがある。
 
 その基調講演を中国人代表とともに行ったのが、当時、IRを担当する衆院内閣委員会の委員長を務め、超党派のIR議連の副幹事長でもある秋元氏だった。
 
 ただ、北海道に限っているわけではなく、「幅広く、秋元関連を調べている」(司法担当記者)という。
 
「特捜部が秋元代議士に興味を持つきっかけは、内閣府の企業主導型保育事業を巡る助成金詐欺事件の過程で、主犯格の川崎大資被告と秋元氏との親密な関係が浮上、事業関係者から献金を受け取っていたことが判明してからです。特捜部の参考人聴取が活発に行なわれ、それが保育事業と関係のない分野にまで広がった」(同)
 
 それは、秋元氏の「来る者拒まず、清濁併せ呑む」という政治スタイルと無縁ではない。
 
 師匠といえるのが、秘書として仕えた小林興起元代議士。同じようにウイングが広く、人脈もまたグレーゾーンの人種を厭わない小林氏を真似ているし、一部はその人脈を引き継いでいる。
 
 今回、家宅捜索という本格捜査の前に、特捜部は太陽光など再生エネルギー、パチンコ・パチスロ、公共工事に強い地方の建設、街金と呼ばれる高利金融、増資を繰り返す業績不振企業など多方面に任意の形で調査・捜査を入れていたが、挙句のルスツIRであり、今後はそれを軸に捜査は展開されよう。
 
 秋元氏は、内閣府、環境省、国土交通省などの副大臣を務め、それなりに職務権限を持つ。
 
 指揮を執るのは、「検察のエース」の森本宏特捜部長。――国会が始まれば不逮捕特権があるだけに、年明け1月20日の通常国会招集までに動きを見せると目されている。【子】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年12月21日配信<0510archives>「『Black Box』(伊藤詩織著・文藝春秋)が告発する司法の歪み」<事件>



 


 

 

 

 

 レイプ被害者として「顔出し告発」していた伊藤詩織さんが、10月18日、『ブラックボックス』(文藝春秋)を上梓した。
 
 今年5月、詩織さんは検察審査会に不起訴処分を受けて異議を申し立て、記者会見で経緯を説明した。
 
 その時も衝撃だったが、検察審査会での「不起訴相当」を受けて著した本書では、そうした会見などでは伝わらぬ思いが、時系列で詳細に語られ、一級のノンフィクションであると同時に、日本の司法システムに対する鋭い告発書にもなっている。
 
 圧巻は、「安倍晋三首相に最も近い記者」という評判の元TBS記者・山口敬之氏と、詩織さんにとって同氏に対する「顔を思い出したくもない加害者」であるという辛さを封印して、責任を追及するために行った交換メールの公開と、高輪署、警視庁捜査一課、そして検察との「山口氏の圧力」を感じながらの切迫した交渉だろう。
 
 率直に感じられるのは、詩織さんの強さである。
 
 それは5月時点の「顔出し会見」で証明されてはいたが、今回、明かされたジャーナリストを目指して欧米で学んだという経歴が、告発への動機を裏付けるとともに、そうした意志も強さも持っている人が、それでも「司法のカベ」に跳ね返されてしまった。
 
 強さは、レイプ犯を許さないという一貫した姿勢にあるが、その一方で、詩織さんの心は常に山口氏の“幻影”に怯えており、「魂の殺人」だというレイプが被害者に与える傷の深さに慄然とさせられる。
 
 それだけのプレッシャーを受けながら、これまでのレイプ被害者の大半が、「正体を晒しても何の得にもならない」と、勝訴しても自分の胸の内にしまい込むか、示談に応じて事件を封印するなか、詩織さんが実名告発し書籍まで発売したのは、個人的な恨みを晴らすのではなく、「私に起こったことが、あなたに、あるいはあなたの大切な人に降りかかってくるか、誰にも予測はできないのだ」(まえがきより)と、訴えたいからである。
 
 その告発するという行為の結果として、司法の“歪み”が露呈した。

 

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                                                                      BBC公式HP
 

 

「よくある話だし、事件として捜査するのは難しいですよ」
 
 担当する高輪署のA氏が、最初に投げかけたのはこの言葉であり、詩織さんは「それはあまりに残酷な言葉だった」と、嘆く。
 
 以降、「今まで努力してきた君の人生が水の泡になる」と、被害届の提出を考え直すように説得するA氏を、むしろ詩織さんが引っ張る形で捜査は進み、山口氏の帰国を待って逮捕するところまで進展した。
 ところが、15年6月8日、成田空港に山口氏逮捕に出向いたA氏から「逮捕できません」という連絡が入る。
 
 理由を問うと「ストップをかけたのは警視庁のトップです」という返事。後に、それが中村格警視庁刑事部長(当時)であることが明らかになる。
 
 以降、所轄の高輪署から警視庁捜査一課に事件は移送され、A氏も担当検事も配置替えとなり、事件は封印の方向に向かう。
 
 捜査一課の捜査が、不起訴へ持っていくためのものであるのは、「なぜ逮捕状が出たのに逮捕しなかったのか」という詩織さんの問いかけに、「逮捕状は簡単に出ます」と断言。「社会的地位のある人は、居所がはっきりしているし、家族や関係者もいて逃走の恐れがない。だから、逮捕の必要がないのです」と、いってのけた捜査一課幹部の言葉で明らかだ。
 
 官邸から中村部長へと伝えられたことで発生した“忖度”は、捜査現場を動かして起訴には不十分な捜査内容となり、不起訴処分は出た。
 
 その証拠に沿って国民からくじで選抜される検察審査会の審査員が、検察官に誘導される形で事件性を審査すれば、「不起訴相当」となるのも無理はない。
 
 司法は、そのシステムを熟知し、方向性を変えうる力のある人間が操作すれば、簡単に歪むものである。
 
 レイプが行われたとされる15年4月4日以降、2年半の歳月をかけて詩織さんが著した『ブラックボックス』で、我々が読み取るべきは、レイプ被害の傷跡の大きさとともに、それを見逃してしまった司法システムの検証であろう。【午】

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年12月19日配信「苫小牧にIRを誘致せず――鈴木北海道知事の決断に橋本五輪相、森章・森トラスト会長などが予定を狂わされて大落胆」<事件>

 
鈴木直道北海道知事(Wikipedia)


 「苫小牧へのIRの誘致を見送ります」――アベノミクスの経済浮揚策で首相官邸が期待、地元政財界も景気対策や雇用確保のために誘致一色かと思われたカジノを含む統合型リゾート(IR)に、初めて「ノー」が突き付けられた。
 
 鈴木直道・北海道知事は、11月29日、道議会で誘致を見送る表明をした。
 
 理由は「自然環境への影響」で、候補地の苫小牧市植苗地区が、希少動植物が生息する自然豊かな地で、「21年7月という誘致申請期限までに、環境への適切な配慮を行うことは不可能」と、見送りの理由を説明した。
 
 既に、苫小牧市は誘致を推進する決議案を可決、道内4経済団体も誘致表明を求める緊急共同宣言を道に提出していた。
 
 集客は年間840万人を見込み、雇用は1万人と試算され、最大で年約1600億円の売り上げが期待できるとあって、みんなが前のめりとなっている印象だった。
 
 だが、住民の意向を尊重したものではない。
 
 道が行ったアンケート調査では三分の二がIRへの誘致に「不安」と回答。「治安の悪化」と「ギャンブル依存症問題」が主たる理由で、自然保護団体からは「環境保護の方が大切」という声が上がっていた。
 
 IRに関し、政財界や行政と住民との間に落差が大きいのは「誘致表明」をしたばかりの横浜も同じだが、説得して推進するのが行政の前提と思われたIRに、鈴木知事が下した「誘致せず」の決断は、IRに多様性をもたらした。
 
 とはいえ、関東(東京か横浜)にひとつ、関西(大阪市)にひとつ、地方にひとつの計三つのIRが既定方針となっているなか、北海道・苫小牧は最有力候補と目されていただけに、推進派の落胆は大きい。
 
 政界では橋本聖子五輪相である。
 
 東京五輪開幕の年に生まれて「聖子」。冬のスケート、夏の自転車と計7回の五輪に出場、銅メダルを獲得。引退後、政界に打って出て、現在、参院5期目。今年9月の内閣改造で、五輪相という念願の閣僚ポストを手に入れた。
 
 出身は、苫小牧に隣接する安平町で、最大級のスポンサーは競走馬の世界で知られた社台グループである。
 
 吉田照哉、勝己、晴哉の「吉田三兄弟」が運営する社台グループはIR誘致にも熱心で、勝己氏が苫小牧統合型リゾート推進協議会の副会長。しかも勝己氏が社長を務める「ノーザンレーシング」は、約100ヘクタールの所有地を、IR用として市に無償提供することになっていた。
 
 橋本五輪相と勝己氏の思惑は一致。『週刊新潮』は、10月31日号から3週連続で、次のような疑惑を報じた。
 
 「マラソン・競歩を札幌で行う代わりに鈴木道知事にカジノ誘致を了承させる」――結果的に“誤報”だったが、政治家も経済界も行政も、それだけ期待を込めていたのは事実。そして、日本最大級の都市とリゾートの開発事業者である「森トラスト」も、大きく計画を狂わされた。
 
 今年83歳となった森トラスト会長の森章氏は、3年前、娘の伊達美和子氏に社長を譲ってからは、人生最後の夢を苫小牧に託すとして、一大リゾート計画を推進してきた。
 
 会社にリスクを取らせるわけにはいかないと、「MAプラットフォーム」という個人会社で約1000ヘクタールもの土地を取得した。
 
 その後、「森トラスト」は、ここにIRの進捗と合わせ、高層ホテル、広々としたコンドミニアム、温泉を含むスポーツ・レクリエーション施設などを建設、2500億円を投じることになっていた。
 
「誘致見送り」の報を受けても、森章氏は「予定通りに開発を行う」と、強気の姿勢を崩さなかったが、単独での2500億円プロジェクトは難しく、修正を余儀なくされよう。
 
「MAプラットフォーム」が、予定地を開発権利付きで購入した時の価格は約55億円。だが、原価は12億6000万円に過ぎず、「2割の利益を乗せたとしても40億円も高い買い物をさせられた」ということで、森氏は当時の社長を相手に損害賠償請求訴訟を行っている。
 
 この売買には、仲介業者として森氏と親しい謎の中国人女性が絡んでおり、複雑な様相を呈している。
 
 国税当局も取引を怪しみ、未だに調査を続けており、IRが予定通り進展すれば、そうした“躓き”は解消されただろうが、構想に終わったことで痛みは引きずる。
 
 IRの見送りは、こうした数々の「痛みと落胆」を、準備を進めていた政・官・財界の人間に与えることになりそうだ。【巳】

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年12月17日配信「執念と強欲に塗れた馬毛島を防衛省が“破格”の160億円+αで購入!」<政治>

 

 「ついに」というべきだろう。――政府は、11月29日、米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転先となっていた馬毛島の購入について、地権者と合意した。
 
 「基地絡み」の話だけに、交渉がもつれるのは予想できたが、取得以来、延々20余年。防衛省と執念の交渉を繰り返し、国ばかりか債権者の鼻面を引き回しながら、交渉してきた地権者の粘りは、驚嘆に値する。
 
 種子島の西方12キロの南シナ海に浮かぶ無人島の馬毛島を所有するのは「タストン・エアポート」。――政府=防衛省との尋常でない交渉を続けてきたのは、同社が所属する立石建設グループを率いる立石勲氏である。
 
 鹿児島県出身で水産高校を卒業後、船乗りを経て建設設計分野に進み、砂利採取、再生砕石、産業廃棄物処理と幅広く事業展開する立石建設グループを一代で築き上げた。
 
 事業は多方面に及ぶが、現在、86歳の立石氏が、人生を賭けた事業といっていいのが、95年に購入した馬毛島に、民間初の国際貨物空港を建設することだった。
 
 馬毛島は、数奇な運命を辿った島である。
 
 石油備蓄基地、一大レジャーランド、防衛庁(当時)レーダー基地など幾つもの構想が生まれ、いずれも実らず、その島を船乗り時代に横目で眺めていた立石氏が、4億円で取得した。
 
 以降、憑かれたように飛行場建設を進め、南北4200メートル、東西2400メートルの“粗滑走路”を敷設した。
 
 それに目をつけたのが防衛省である。
 
 11年、訓練基地に関して日米が合意に達し、大きな騒音を伴うFCLPを無人島で米軍基地に近い馬毛島で行なう計画が浮上する。
 
 ネックは価格だった。
 
 防衛省は、17年3月、「日本はもっと防衛負担を!」と、主張するトランプ大統領の誕生を機に、立石氏との交渉を急ぎ、45億円という鑑定価格を出して交渉に入った。
 
 だが、「これまでに150億円は投じた」と、主張する立石氏は、国の足元を見透かしたように、自ら依頼した鑑定士事務所の結果をもとに、約400億円を主張して譲らなかった。
 
「国の予算」なので、倍の開きでも難しいのに10倍近い価格差で暗礁に乗り上げたが、立石氏は一歩も退かない。
 
 だが、一方で立石氏にも差し迫った事情があった。
 
 将来の見通しもない空港建設に、資金を突っ込んだおかげでグループの経営は“火の車”となった。
 
 そのため、都内や川崎市などに持つグループの資産には限度枠いっぱいの抵当権が設定され、残る馬毛島を切り売りするように、金融業者に担保提供せざるを得なくなった。
 
 丁寧で腰は低いが、図太いのが立石氏の真骨頂。のらりくらり、あの手この手で借金を重ね、総額は約250億円に達したという。
 
 「売却に成功したら10億円」といった根拠のない“空証文”を連発、厳しく取り立てた金融業者が恐喝で逮捕されたこともある(不起訴処分)。
 
 その苦境を利用して、防衛省が債権者をけしかけて、昨年夏には第三者破産に持ち込んだこともあったが、辛くも新たな金融業者S社の支援を受けて乗り切った。
 
 が、売却しなければ、借金が返せない状況に変わりなく、S社主導の防衛省との交渉が、今年に入って再開され、2月に一旦は160億円で合意。だが、「それでは借金は返せても立石建設は立ち行かない」と、5月の段階で白紙に戻った。
 
 その後、方々に声をかけて急場を凌ぐ綱渡りのような金策が続いたものの、10月に入ると不渡りを出して万事、窮した。
 
 再び、S社の支援を受けざるを得なくなり、「ごね得」を封じ、売却価格は160億円でプラスαを求める交渉に入った。
 
 結局、「プラスαの中身は公開されていないが、工事に関することだ」(周辺関係者)という付帯条件がついたことで、ようやく11月末の防衛省との合意となった。
 
「工事に入れば、それなりの仕事が出てくる。それを『立石建設』が受注するということ。それなら160億円では足りない分をカバーできるし、債権者も納得する」(防衛省関係者)
 
 これでも立石氏は不満だというが、その「執念と強欲」が、鑑定価格の「3倍プラスα」という条件を国から引き出したのだから、老いの一徹が奏功したと言うしかない。【午】

 

 

 

 

 

 

 


2019年12月14日配信「立石勲・立石建設代表が驚異の“粘り腰”で馬毛島を高値売却に成功した背景」<事件>

 
(☚wikipedia)


「ついに」というべきだろう。――政府は、11月29日、米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転先となっていた馬毛島の購入について、地権者と合意した。
 
「基地絡み」の話だけに、交渉がもつれるのは予想できたが、取得以来、延々20余年。防衛省と執念の交渉を繰り返し、国ばかりか債権者の鼻面を引き回しながら、交渉してきた地権者の粘りは、驚嘆に値する。
 
 種子島の西方12キロの南シナ海に浮かぶ無人島の馬毛島を所有するのは「タストン・エアポート」。――政府=防衛省との尋常でない交渉を続けてきたのは、同社が所属する立石建設グループを率いる立石勲氏である。
 
 鹿児島県出身で水産高校を卒業後、船乗りを経て建設設計分野に進み、砂利採取、再生砕石、産業廃棄物処理と幅広く事業展開する立石建設グループを一代で築き上げた。
 
 事業は多方面に及ぶが、現在、86歳の立石氏が、人生を賭けた事業といっていいのが、95年に購入した馬毛島に、民間初の国際貨物空港を建設することだった。
 
 馬毛島は、数奇な運命を辿った島である。
 
 石油備蓄基地、一大レジャーランド、防衛庁(当時)レーダー基地など幾つもの構想が生まれ、いずれも実らず、その島を船乗り時代に横目で眺めていた立石氏が、4億円で取得した。
 
 以降、憑かれたように飛行場建設を進め、南北4200メートル、東西2400メートルの“粗滑走路”を敷設した。
 
 それに目をつけたのが防衛省である。
 
 11年、訓練基地に関して日米が合意に達し、大きな騒音を伴うFCLPを無人島で米軍基地に近い馬毛島で行なう計画が浮上する。
 
 ネックは価格だった。
 
 防衛省は、17年3月、「日本はもっと防衛負担を!」と、主張するトランプ大統領の誕生を機に、立石氏との交渉を急ぎ、45億円という鑑定価格を出して交渉に入った。
 
 だが、「これまでに150億円は投じた」と、主張する立石氏は、国の足元を見透かしたように、自ら依頼した鑑定士事務所の結果をもとに、約400億円を主張して譲らなかった。
 
「国の予算」なので、倍の開きでも難しいのに10倍近い価格差で暗礁に乗り上げたが、立石氏は一歩も退かない。
 
 だが、一方で立石氏にも差し迫った事情があった。
 
 将来の見通しもない空港建設に、資金を突っ込んだおかげでグループの経営は“火の車”となった。
 
 そのため、都内や川崎市などに持つグループの資産には限度枠いっぱいの抵当権が設定され、残る馬毛島を切り売りするように、金融業者に担保提供せざるを得なくなった。
 
 丁寧で腰は低いが、のらりくらりが立石氏の真骨頂。、あの手この手で借金を重ね、総額は約250億円に達したという。
 

 「売却に成功したら10億円」といった根拠のない“空証文”を出し、厳しく取り立てた都下の金融業者が恐喝で逮捕されたこともある(不起訴処分)。
 
 その苦境を利用して、防衛省が債権者をけしかけて、昨年夏には第三者破産に持ち込んだこともあったが、辛うじて金融業者N社の支援を受けて乗り切った。
 
 が、売却しなければ、借金が返せない状況に変わりなく、N社主導の防衛省との交渉が、今年に入って再開され、2月に一旦は160億円で合意。だが、「それでは借金は返せても立石建設は立ち行かない」と、骨肉の争いの末、5月の段階で白紙に戻った。
 
 その後、方々に声をかけて急場を凌ぐ綱渡りのような金策が続いたものの、10月に入ると1回目の不渡りを出して万事、窮した。
 
 再び、N社の支援を受けざるを得なくなり、「ごね得」を封じ、売却価格は160億円でプラスαを求める交渉に入った。
 
 結局、「プラスαの中身は公開されていないが、工事に関することだ」(周辺関係者)という付帯条件がついたことで、ようやく11月末の防衛省との合意となった。
 
「工事に入れば、それなりの仕事が出てくる。それを『立石建設』が受注するということ。それなら160億円では足りない分をカバーできるし、債権者も納得する」(防衛省関係者)
 
 これでも立石氏は不満だというが、その「執念と強欲」が、鑑定価格の「3倍プラスα」という条件を国から引き出したのだから、老いの一徹が奏功したと言うしかない。【午】


2019年12月10日<0510archives>配信「鼎の軽重を問われる関西検察――市民団体が『特別背任と収賄と脱税』で、12月13日に告発する関西電力不正還流事件の行方」

 
関西電力本社(wikipedia)

 

 福井県の反原発市民団体などで構成される「関電の原発マネー不正還流を告発する会」が、11月14日、永田町の憲政記念会館で東京集会を開き、代理人の河合弘之弁護士が、会社法上の特別背任と収賄、及び脱税での刑事告発を視野に作業を進めていることを明らかにした。
 
 告発は12月13日を予定だが、告発先については、当初、予定されていた大阪地検にするか、東京地検にするかを、まだ決めかねているという。
 
「真剣に取り組んでくれるところを選びたい」(河合氏)というのが、その理由だ。 

 関電役員ら20名が、「原発フィクサー」の森山栄治元高浜町助役から約3億2000万円の原発還流資金を受け取っていたというとんでもない事件。その原資は、関電が森山氏の顧問先である「吉田開発」(高浜町)に発注した直接間接の原発資金だった。
 
 金額に違いはあるとはいえ、八木誠前会長、岩根茂樹社長ら経営陣みんなが受け取っていたという意味で、「関電総体の事件」であり、社内調査委員会が事件を1年間、封印していたことを考えれば、強制捜査権を持つ検察への告発は当然のことだ。
 
 発覚を受けて、関電は10月9日、新たに第三者委員会を立ち上げているが、「調査費用は関電が出しており、会社のコントロール下に置かれている」(河合弁護士)という意味では、役員らに同情的で厳しい追及をしなかった社内調査委員会と同じ土俵にある。
 
 検察捜査に期待がかかるのは、還流資金の出し手である「吉田開発」に話を聞くことができるし、関電や「吉田開発」、森山氏の自宅や関係先に捜査を入れて帳簿類などを押収できるうえ、発覚のきっかけとなった税務調査の資料を税務当局に提出させることもできるからだ。
 
 森山氏が今年3月、死去しているのは痛手だが、そうした証拠と証言の積み重ねで起訴に持ち込むのは可能だろう。
 
 会社法上の特別背任は、任務に背いて会社に損害を与えたことを立証しなければならないが、余剰利益があったからこそ「吉田開発」には森山氏に回すカネがあったわけであり、それは適正発注ではなく、役員らは任務に背いて、そのカネが自分たちに還流していることを認識しながら利益を得る立場にあった。
 
 同じく収賄は、不正の請託を受けて「吉田開発」に便宜を諮ったことを立証しなければならないが、「吉田開発」が関電から直接、発注を受けたのは22件で、うち随意契約が10件である。
 こうした発注の際、森山氏に対して事前に工事物量や概算額の情報提供が為され、吉田開発側が同席していた例もあり、不正の請託を行なう局面はあった。
 
 脱税については、金額概算で2人が1億円を超えている。
 後で返すつもりだったということで、実際、修正申告して税金を納めているが、1億円を超える無申告はあまりに悪質で納税しても脱税は成立する。
 
 関電エリアの住民の事件への反発は強く、金品の還流が明らかになっている以上、12月13日に告発があれば、大阪地検特捜部は、受理して捜査するのは当然の流れのはずだが、濃密な人間関係が交錯する関西検察の反応は鈍い
 
「カネの出し手が死んでいる以上、立証は極めて困難」(検察関係者)というのがその理由だが、その裏には、「関西検察のドン」である土肥孝治元検事総長が今年6月まで関電社外監査役で、後を継いだのが佐々木茂夫元大阪高検検事長。さらに社内調査委員会の委員長が元大阪地検検事正の小林敬弁護士だった、という事情もある。
 
 つまり、「関電の守り役」である先輩たちの“顔”を、関西検察の後輩たちは潰せないし、連綿と受け継がれてきた秩序を乱せば、退官後の天下りにも差し支える。
 
 それを読み、河合氏ら弁護団は東京地検への告発も視野に入れている。
 
 厚労省女性局長逮捕に絡む証拠改ざん事件を起こし、検察の威信を地に落としたのは大阪地検だった。
 
 森友学園事件では、籠池泰典理事長夫妻を国策で逮捕・起訴しながら、証拠隠滅など数々の違法行為を犯した財務官僚に踏み込むことはなかった。
 

 そして今回は、先輩らに配慮してまともに捜査しない?――まさに関西検察の鼎の軽重が問われている。【巳】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年12月3日配信「『桜を見る会』で疑惑噴出の安倍首相を刑事告発する意味と特捜捜査の行方」<事件>

 
疑惑の桜を見る会(wikipedia)

 

 「秩序を守る役割の検察が、秩序を揺るがす捜査なんてできる訳がない!不起訴に決まっているから捜査に意味はない!」――安倍晋三首相が主催する「桜を見る会」に公職選挙法と政治資金規正法違反の疑いがあるとして、11月20日、「税金私物化を許さない市民の会」が、安倍晋三首相を被告発人として刑事告発した際、司法関係者を含む大半のプロの反応は、斯くも冷ややかなものだった。
 
 この告発は、地元後援会約850人を「桜を見る会」に招き、飲食供応したことそのものを公職選挙法違反、その前日、前夜祭を開いてひとり5000円を徴収しながら政治資金収支報告書に記載しなかったことを政治資金規正法違反とした。
 
 今後、同種の告発が別の観点、他の罪状などで出されることが予測され、告発を受けた東京地検特捜部は、いずれ受理して捜査しなければならないが、歴代の首相が慣例的に行なってきた「桜を見る会」の利用を、安倍首相に限って問題視、起訴して公判に持ち込む可能性は低い。
 
 まして安倍政権と検察は、証拠改竄事件を起こして「特捜改革」に踏み切らざるを得なかった検察を、司法取引の導入などで安倍政権が支えてきたという事情がある。
 
 その貸し借りに加え、内閣人事局の発足以来、検察に対しても官邸が強くなったという変化が加わり、さらに秩序を揺るがさないという検察本来の役割を考えれば、「不起訴に決まっている」という見方もわかる。
 
 だが一方で、捜査の進展は侮れない。
 
 思わぬ事実が表面化、安倍首相がこれまで繰り返してきた弁明との辻褄が合わなくなり、辞任を余儀なくされる局面があるかも知れない。
 
 あるいは、疑惑発覚を逆手に取り、「国民の信を問う」と、解散・総選挙に打って出る可能性もあり、不起訴かも知れないが、「意味はない」ことはない。
 
 例えば、誰もが不審に思う「ホテルニューオータニ」との関係である。
 
 前夜祭の約850人の出席者に対し、入金を確認しないまま5000円の領収書を出し、安倍氏によれば「請求書も明細書もない」というのだが、そんな杜撰なことを「ホテルニューオータニ」のような一流ホテルがするだろうか。
 
 今は、安倍事務所とホテル側との間で口裏合わせが行なわれ、領収書、見積書、請求書に関し、両者に齟齬はないが、捜査が始まれば、そうはいってられない。
 
 1万1000円がパーティーの最低基準価格の「ホテルニューオータニ」で、5000円は明らかなダンピング価格。パーティーを主催した安倍晋三後援会が、その補填をしていれば、有権者への寄付行為を禁じた公職選挙法に抵触する。
 
 ホテル側も無傷ではいられない。
 
 前夜祭の不記載が政治資金規正法違反として捜査に入れば、本来、後援会名義の領収書を出すべきなのに、ホテルの領収書にしたのは政治資金規正法逃れを幇助したことになる。
 
 また、5000円の不足分をホテル側がサービスとして提供していれば、政治資金規正法に違反の企業献金となる。
 
 ホテル側は、「顧客情報の秘匿」ということで見積書や請求書の有無を明らかにしていないが、検察捜査となれば表面化するし、内部告発の形でコピーがメディアに流出することも考えられる。
 
 そうなった時、安倍氏はどう言い繕うのか。
 
 森友学園・加計学園事件でも政権や官邸、あるいは昭恵夫人が追い込まれる局面はあったものの、基本的に「官僚の忖度」であり、安倍氏の責任にはならなかった。
 
 だが、今回は被告発人が安倍氏であり、前言との違いは、「首相のウソ」として糾弾されよう。
 
 それは、違法かどうかを問う検察捜査とは別問題。そういう意味で憲政史上最長の通算在職日数となった安倍政権は、捜査着手によって記録が止まりかねない大きなリスクを背負うことになった。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年11月21日配信<0510archives>「法務・検察利権の公証人天下り制度に読売新聞が切り込んだ”裏事情”」<事件>

 
(☚wikipedia)


 久々ぶりの快挙である!――「法務・検察」の呆れた実態が、「読売新聞」が連続追及した『公証人シリーズ』で明らかになった。
 
 遺言や金銭貸借など法的証明力が認められる公正証書は、公証役場に行き、法務大臣が任命する公証人に作成してもらう。
 
 同紙は、その公証人を元検察官と元裁判官が独占、人事システムに組み込んだ法務・検査利権であることを暴いた。
 
 民間への開放を促す目的で2002年度から始めた公募は形式だけ。東京と大阪など高収入が見込まれる公証人ポストは検査官と裁判官のOBで独占している。
 
 典型は東京で、106ポストのうち104ポストは固定化し、元検察官から元検察官、元裁判官から元裁判官に引き継がれていた。
 
 どの幹部をどこの公証役場に配置するかの原案は、法務省人事課で作成。収入は年収2000万円前後の検事正収入を下回らないように配慮、高収入が見込まれる都内の公証人になれば3000万円前後だという。
 
 任期も5年から10年と定められていて、検察官OBの場合、天皇の認証官で定年年齢の高い検事長以上は公証人になれないので、公証人の対象者は検事正を経験した60歳前後。50歳代後半なら10年後、60歳以上なら70歳までに退任するのがルールになっていて、退職を誓約する「念書」を入れるのだという。
 
 公証人の数は全国で約500人。堂々と検察と裁判所で分け合い利権化、他省庁の国家公務員の各種天下り規制をあざ笑うかのようだ。
 
 ただ、この実態を知らされたのは「読売新聞」の読者だけ。他のマスメディアは、一切、報じず、後追いもしない。
 
「昔から知っていたことで今更」(他紙の社会部記者)であり、「倫理違反であるのは明らかだけど、法的に違反しているわけじゃない。検察がこの利権を手放したくないのは明らかで、尻馬に乗って追いかけると、検察幹部に嫌われて情報が取れなくなる。記事にするつもりはない」(同)という。
 
 2人のキャリア官僚逮捕につながった文科省事件は、天下り規制違反の発覚から端を発している。
 
 前川喜平事務次官は退任し、その後、逮捕された2人が前川氏の官房長時代の課長で、前川氏を支える「助さん格さん」であったことから、「文科省に鉄槌を加えたかった官邸の意を受けた捜査」(検察事情通)という指摘もあった。
 
 そういう意味で、法務・検察の自らの脱法的天下りには蓋をして、他省庁には襲いかかる姿勢と、それを無視して検察の“歓心”を買おうとする司法マスコミの姿は、度しがたくみっともない。
 
 では、どこよりも「当局との密着」を得意?とし、検察報道でもスクープを飛ばす読売が、どうして“さざ波”を承知で、報じたのか。
 
 以下の記事が参考になるかも知れない。
 
<「日本はいつの間にかレッテル社会になってしまった。最近は、大蔵と名が付けば全部ダメ。検察ならいいという空気になっている。検察OBがそれぞれにふさわしいポストに起用されるのは歓迎だが、レッテルだけに目が向く上滑りな風潮が見え始めている」――ある検察OBは、そう警世の言葉を語るのである。
 検察OBには三つのグループがある。(1)中途退官してヤメ検弁護士になる、(2)定年近くにやめ、公証人になる、(3)検事長や検事総長などまで上り詰め、企業顧問などに就くケースである。>
 
 今から21年前の98年4月に書かれた「検察OBの研究」で、執筆したのは社会部の山口寿一記者。同記者は、続けて元検事と元裁判官で独占する公証人の実態を明かしている。
 
 公証人の裏は、20年以上前から知られていたわけで、執筆者の山口記者は、その後、渡辺恒雄主筆の覚えもめでたく異例の出世を続け、今や、読売新聞グループ本社の社長で読売巨人軍オーナーとなった実力者。それだけに、読売としては「社として取り組めるテーマ」だろう。
 
 そこにも取材現場の“忖度”が働いたのかも知れないが、「法務・検察の闇」を照らす作業は、何がきっかけとなってもノー・プロブレム。――この構図を温存している法務・検察と、それを熟知しているのに放置している司法マスコミこそ批判されて然るべきだろう。【寅】

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年11月14日配信<0510archives>「本誌既報のKAZMAXを文春オンラインが追撃で不正を暴露、金商法違反での摘発はこれからだ⁉」<事件>

 
危うしKAZMAX

 

 KAZMAXという投資顧問がいることを、株好きの50代以上の投資家は、ほとんど知らない。
 
 本名・吉澤和良で1989年生まれの30歳。月額3万円のオンライン投資サロンを経営、投資の世界では、「ビットコインの暴落を予言した天才トレーダー」であり仮装通貨の人だが、株式ではまだ無名だ。
 
 本誌は、オンライン投資サロンを経営、またたく間に4000人の会員を集め、月額1億2000万円の収入を手に入れ、資産50億円を豪語していた頃のKAZMAXの正体を、本紙は昨年10月4日付配信記事で触れた。
 
 もともとは、「情報商材屋」と呼ばれる、カネ儲けの手口をネット上で教えると称し、会費などを取って自分だけが儲ける怪しげな錬金術師で、「秒速で稼ぐ」と称した与沢翼が有名だが、およそモラルの欠片もない。
 
 仮想通貨だけでなく、株の世界でも1日20時間、チャートを見て値動きを研究、「人間心理の集合体」から学び到達したのが、「三尊天井というチャート分析の世界」というのだから、クラシックでいかにも底が浅い。
 
 そんな人間でも月に「1億2000万円」である。
 
 投資環境の急激な変化であり、それを映すのがKAZMAXだが、6月20配信の文春オンラインで改めて批判された。
 
「資産50億円トレーダー・KAZMAX氏の手口を元側近が告発 サロン生を食い物に」というタイトルで、通常、オンラインは『週刊文春』本誌と連動するが、この記事はオンライン配信のみ。このあたりに週刊誌読者層の高齢化と、カネ儲けを含む雑多な情報を欲しがるかつての読者が、ネットに移行したことを表している。
 
 側近が、LINEのチャットを公開しながら手口を明かすのだから、「騙しのテクニック」は、具体的、かつ明快だ。
 
 ただし、その手口も三尊天井同様、意外に古典的だ。
 
 事前に仕込んでおいて、「買い」と「売り」を誘い、一定方向に誘導する前に仕込み、高騰、暴落の前に、いち早く売り抜ける。――最も確実な儲け方であるのはいうまでもないが、これではサロン生への裏切りだ。
 
 もっと悪辣なのは、KAZMAX自身が含み損を抱えている局面である。
 
「ドテン(逆ポジションに切り替えること)」を利用した手法で「ドテンサロン砲」と名付けられており、一度、損切りしてから、逆のポジションを持った後に、「損切りしました」とオンラインサロンやツイッターでつぶやく。するとサロン生が追随、損切りするので、逆張りしているKAZMAXが持つポジションに動き、KAZMAXは、損を取り戻せる。
 
 顧客を利用して自分が儲ける――。悪徳投資顧問の典型で、株が仮想通貨に変わっても同じということだが、それをKAZMAXは、自分に近いものから優先順位をつけ、儲けさせていった。
 
 情報はLINEで流されるが、最初にサロン運営側にいる約10名に流され、その次に特別会員的な約40名がいて、その先にいるのが約4000人のサロン会員で、最後はフォロワー数約10万人に対するツィッターで、ツイッターに流れるのは、会員らが儲けた後の“カス情報”である。
 
 悪徳投資顧問であり、紛う事なき相場操縦である。
 
 仮想通貨が金融商品取引法に縛られていないので証券取引等監視委員会も放置しているが、いずれ取り締まりの対象になる。――そう文春オンラインも警告しているが、既に、KAZMAXは違法領域に突入している。
 
 文春オンラインは触れていないが、KAZMAXは「FIP投資顧問」という投資顧問業の会社を取得し、今年2月からは株式情報も発信している。
 
 同社は、既に、3月25日、金融庁から1カ月の業務停止処分と業務改善命令を受けているのだが、問題となったのは、―斗廚併実を巡る誤解を生じさせる表記、∩安緝修砲茲覯饉匯饂困了篥流用、の二点である。
 
 KAXMAXが購入する前からロクな会社でなかったのは、△陵由から明らかだが、投資助言者となったKAZMAXは、業務停止命令を受ける前の時点で、ファンクラブ運営などの「SKIYAKI」(マザーズ)、インテリアなどの「五洋インテックス」(ジャスダック)などの株式情報をサロン生に発信している。
 
 その行為に仮想通貨の時のような株価操縦はなかったのか――。証券監視委は即刻、調査に乗り出すべきであろう。【丑】

 

 

 

 

 

 

 



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