2019年12月3日配信「『桜を見る会』で疑惑噴出の安倍首相を刑事告発する意味と特捜捜査の行方」<事件>

 
疑惑の桜を見る会(wikipedia)

 

 「秩序を守る役割の検察が、秩序を揺るがす捜査なんてできる訳がない!不起訴に決まっているから捜査に意味はない!」――安倍晋三首相が主催する「桜を見る会」に公職選挙法と政治資金規正法違反の疑いがあるとして、11月20日、「税金私物化を許さない市民の会」が、安倍晋三首相を被告発人として刑事告発した際、司法関係者を含む大半のプロの反応は、斯くも冷ややかなものだった。
 
 この告発は、地元後援会約850人を「桜を見る会」に招き、飲食供応したことそのものを公職選挙法違反、その前日、前夜祭を開いてひとり5000円を徴収しながら政治資金収支報告書に記載しなかったことを政治資金規正法違反とした。
 
 今後、同種の告発が別の観点、他の罪状などで出されることが予測され、告発を受けた東京地検特捜部は、いずれ受理して捜査しなければならないが、歴代の首相が慣例的に行なってきた「桜を見る会」の利用を、安倍首相に限って問題視、起訴して公判に持ち込む可能性は低い。
 
 まして安倍政権と検察は、証拠改竄事件を起こして「特捜改革」に踏み切らざるを得なかった検察を、司法取引の導入などで安倍政権が支えてきたという事情がある。
 
 その貸し借りに加え、内閣人事局の発足以来、検察に対しても官邸が強くなったという変化が加わり、さらに秩序を揺るがさないという検察本来の役割を考えれば、「不起訴に決まっている」という見方もわかる。
 
 だが一方で、捜査の進展は侮れない。
 
 思わぬ事実が表面化、安倍首相がこれまで繰り返してきた弁明との辻褄が合わなくなり、辞任を余儀なくされる局面があるかも知れない。
 
 あるいは、疑惑発覚を逆手に取り、「国民の信を問う」と、解散・総選挙に打って出る可能性もあり、不起訴かも知れないが、「意味はない」ことはない。
 
 例えば、誰もが不審に思う「ホテルニューオータニ」との関係である。
 
 前夜祭の約850人の出席者に対し、入金を確認しないまま5000円の領収書を出し、安倍氏によれば「請求書も明細書もない」というのだが、そんな杜撰なことを「ホテルニューオータニ」のような一流ホテルがするだろうか。
 
 今は、安倍事務所とホテル側との間で口裏合わせが行なわれ、領収書、見積書、請求書に関し、両者に齟齬はないが、捜査が始まれば、そうはいってられない。
 
 1万1000円がパーティーの最低基準価格の「ホテルニューオータニ」で、5000円は明らかなダンピング価格。パーティーを主催した安倍晋三後援会が、その補填をしていれば、有権者への寄付行為を禁じた公職選挙法に抵触する。
 
 ホテル側も無傷ではいられない。
 
 前夜祭の不記載が政治資金規正法違反として捜査に入れば、本来、後援会名義の領収書を出すべきなのに、ホテルの領収書にしたのは政治資金規正法逃れを幇助したことになる。
 
 また、5000円の不足分をホテル側がサービスとして提供していれば、政治資金規正法に違反の企業献金となる。
 
 ホテル側は、「顧客情報の秘匿」ということで見積書や請求書の有無を明らかにしていないが、検察捜査となれば表面化するし、内部告発の形でコピーがメディアに流出することも考えられる。
 
 そうなった時、安倍氏はどう言い繕うのか。
 
 森友学園・加計学園事件でも政権や官邸、あるいは昭恵夫人が追い込まれる局面はあったものの、基本的に「官僚の忖度」であり、安倍氏の責任にはならなかった。
 
 だが、今回は被告発人が安倍氏であり、前言との違いは、「首相のウソ」として糾弾されよう。
 
 それは、違法かどうかを問う検察捜査とは別問題。そういう意味で憲政史上最長の通算在職日数となった安倍政権は、捜査着手によって記録が止まりかねない大きなリスクを背負うことになった。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年11月21日配信<0510archives>「法務・検察利権の公証人天下り制度に読売新聞が切り込んだ”裏事情”」<事件>

 
(☚wikipedia)


 久々ぶりの快挙である!――「法務・検察」の呆れた実態が、「読売新聞」が連続追及した『公証人シリーズ』で明らかになった。
 
 遺言や金銭貸借など法的証明力が認められる公正証書は、公証役場に行き、法務大臣が任命する公証人に作成してもらう。
 
 同紙は、その公証人を元検察官と元裁判官が独占、人事システムに組み込んだ法務・検査利権であることを暴いた。
 
 民間への開放を促す目的で2002年度から始めた公募は形式だけ。東京と大阪など高収入が見込まれる公証人ポストは検査官と裁判官のOBで独占している。
 
 典型は東京で、106ポストのうち104ポストは固定化し、元検察官から元検察官、元裁判官から元裁判官に引き継がれていた。
 
 どの幹部をどこの公証役場に配置するかの原案は、法務省人事課で作成。収入は年収2000万円前後の検事正収入を下回らないように配慮、高収入が見込まれる都内の公証人になれば3000万円前後だという。
 
 任期も5年から10年と定められていて、検察官OBの場合、天皇の認証官で定年年齢の高い検事長以上は公証人になれないので、公証人の対象者は検事正を経験した60歳前後。50歳代後半なら10年後、60歳以上なら70歳までに退任するのがルールになっていて、退職を誓約する「念書」を入れるのだという。
 
 公証人の数は全国で約500人。堂々と検察と裁判所で分け合い利権化、他省庁の国家公務員の各種天下り規制をあざ笑うかのようだ。
 
 ただ、この実態を知らされたのは「読売新聞」の読者だけ。他のマスメディアは、一切、報じず、後追いもしない。
 
「昔から知っていたことで今更」(他紙の社会部記者)であり、「倫理違反であるのは明らかだけど、法的に違反しているわけじゃない。検察がこの利権を手放したくないのは明らかで、尻馬に乗って追いかけると、検察幹部に嫌われて情報が取れなくなる。記事にするつもりはない」(同)という。
 
 2人のキャリア官僚逮捕につながった文科省事件は、天下り規制違反の発覚から端を発している。
 
 前川喜平事務次官は退任し、その後、逮捕された2人が前川氏の官房長時代の課長で、前川氏を支える「助さん格さん」であったことから、「文科省に鉄槌を加えたかった官邸の意を受けた捜査」(検察事情通)という指摘もあった。
 
 そういう意味で、法務・検察の自らの脱法的天下りには蓋をして、他省庁には襲いかかる姿勢と、それを無視して検察の“歓心”を買おうとする司法マスコミの姿は、度しがたくみっともない。
 
 では、どこよりも「当局との密着」を得意?とし、検察報道でもスクープを飛ばす読売が、どうして“さざ波”を承知で、報じたのか。
 
 以下の記事が参考になるかも知れない。
 
<「日本はいつの間にかレッテル社会になってしまった。最近は、大蔵と名が付けば全部ダメ。検察ならいいという空気になっている。検察OBがそれぞれにふさわしいポストに起用されるのは歓迎だが、レッテルだけに目が向く上滑りな風潮が見え始めている」――ある検察OBは、そう警世の言葉を語るのである。
 検察OBには三つのグループがある。(1)中途退官してヤメ検弁護士になる、(2)定年近くにやめ、公証人になる、(3)検事長や検事総長などまで上り詰め、企業顧問などに就くケースである。>
 
 今から21年前の98年4月に書かれた「検察OBの研究」で、執筆したのは社会部の山口寿一記者。同記者は、続けて元検事と元裁判官で独占する公証人の実態を明かしている。
 
 公証人の裏は、20年以上前から知られていたわけで、執筆者の山口記者は、その後、渡辺恒雄主筆の覚えもめでたく異例の出世を続け、今や、読売新聞グループ本社の社長で読売巨人軍オーナーとなった実力者。それだけに、読売としては「社として取り組めるテーマ」だろう。
 
 そこにも取材現場の“忖度”が働いたのかも知れないが、「法務・検察の闇」を照らす作業は、何がきっかけとなってもノー・プロブレム。――この構図を温存している法務・検察と、それを熟知しているのに放置している司法マスコミこそ批判されて然るべきだろう。【寅】

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年11月16日配信<0510archives>「保育所事業補助金詐欺の川崎大資(塩田大介)容疑者をスポンサーにしていた秋元司国交副大臣に捜査は及ぶのか?」<事件>


 渦中の秋元司国交副大臣
(☚wikipedia)

 

 「川崎大資」というより、改姓改名前の「塩田大介」の方がしっくりするし、また「塩田らしい」といって差し支えないのが、企業主導型保育事業に絡み、横浜幸銀信用組合から約1億1000万円を騙し取った疑いで逮捕された川崎大資容疑者である。
 
 摘発したのは、塩田姓時代の昔、脱税容疑で摘発したことがある東京地検特捜部だ。
 
 申請書類を偽造、金融機関を騙したという、よくある詐欺事件。しかも金額は1億円強と少なく、足場も福岡という良くない場所の事件を、なぜ特捜部が手掛けたのか――。
 
 そう司法記者に聞かれた検察幹部は「彼(川崎)は、お客さんだから」と、答えた。
 
 脱税だけでなく、当時、経営していた「ABCホーム」の上場を狙った工作などで、塩田は検察の要注意人物だった。
 
 脱税の次の摘発は、居城といっていい「西麻布迎賓館」を競売されそうになり、“登記の魔術師”の小野塚清氏と組んだ競売妨害事件だった。
 
 これは警視庁組織犯罪対策4課の扱いとなったが、政治家、暴力団、反社会的勢力から芸能界まで、カネにあかせて人脈を広げる川崎容疑者は、「何かしでかす人物」であり、実際、今回は制度の隙間を巧みについて助成金を詐取した。
 
 つまり、書類偽造の詐欺事件は入り口で、今後、安倍政権の目玉政策のひとつで、3年間に3800億円以上も投じた企業主導型保育事業の助成金詐取に延びる。
 
 さらに、「ABCホーム」が隆盛の頃、西麻布迎賓館には政治家も含む華麗なる人脈が遊びに来ていて、川崎容疑者は至れり尽くせりの接待をした。
 
 脱税摘発の2年前、都内のホテルで開いた結婚式には、上場企業経営者はもちろん、野村克也監督夫妻、酒井法子夫妻、中村玉緒、竹内力ら多くの著名人が出席。媒酌人は中川秀直元官房長官で、他にも政界から官僚を含む5人の国会議員が出席した。
 
 要は、川崎容疑者は「撒く人」であり、その性癖は、簡単には変わらない。
 
 それが分かっているから特捜部は、制度利用の際、政治家の口利きはなかったか、あるいは窓口の「児童育成協会」への工作を行なわなかったか、といった観点からの捜査を続ける。
 
 最初に浮かび上がった政治家が、秋元司内閣府副大臣である。
 
 今年5月23日の衆議院厚生労働委員会で、立憲民主党の石橋通宏参院議員が、秋元副大臣にこう質した。
 
 「川崎容疑者は、拠点を福岡市に移し、そこで『WINカンパニー』という会社でキッズランドという保育所を運営するほかコンサルタント業務を展開している。


 同社のコンサルを受けた業者は、『秋元副大臣を川崎容疑者に紹介してもらい、各種の陳情を行なう一方、(川崎容疑者の)要請に従ってパーティー券を購入した』と、地元のネットメディアに証言している。
 川崎大資という人物とどういう関係なのか――」
 
 こう質問した石橋議員に対して、秋元副大臣は「口利き依頼」については否定、問い合わせについては「パンフレットなどで説明した」と、述べ、川崎容疑者とは「20年前に知り合い、パーティーなどの席で5〜6年前に会った」と、記憶を辿った。
 
 献金については、「WINカンパニー」と献金を要請された企業とのメールのやり取りが公開されており、政治資金収支報告書にも記載されてことで、川崎容疑者を仲介者とする「陳情と献金」の関係は明らかだ。
 
 だが、逆にそこがネックとなる。
 
 危うい関係が多かった小林興起元代議士のもとで秘書として働き、秋元副大臣は「危険なカネの処理」には長けているという。
 
 陳情をパーティー券購入という表で処理した時、それを贈収賄の構図で問うのは難しい。
 
 「特捜部が政界ルートを狙うには、明確な口利きの事実を立証しなければならず、犯歴があり、名前まで変えている塩田のために、機を見るに敏な秋元が、そこまでやってやるとは考えにくい」
 
 双方を知る政界関係者は、捜査の先行きについて悲観的な見方をするが、それとも巷間噂されるように久しぶりにバッヂに手が届くのか?――今後の捜査の進展から目が離せない。【午】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年11月14日配信<0510archives>「本誌既報のKAZMAXを文春オンラインが追撃で不正を暴露、金商法違反での摘発はこれからだ⁉」<事件>

 
危うしKAZMAX

 

 KAZMAXという投資顧問がいることを、株好きの50代以上の投資家は、ほとんど知らない。
 
 本名・吉澤和良で1989年生まれの30歳。月額3万円のオンライン投資サロンを経営、投資の世界では、「ビットコインの暴落を予言した天才トレーダー」であり仮装通貨の人だが、株式ではまだ無名だ。
 
 本誌は、オンライン投資サロンを経営、またたく間に4000人の会員を集め、月額1億2000万円の収入を手に入れ、資産50億円を豪語していた頃のKAZMAXの正体を、本紙は昨年10月4日付配信記事で触れた。
 
 もともとは、「情報商材屋」と呼ばれる、カネ儲けの手口をネット上で教えると称し、会費などを取って自分だけが儲ける怪しげな錬金術師で、「秒速で稼ぐ」と称した与沢翼が有名だが、およそモラルの欠片もない。
 
 仮想通貨だけでなく、株の世界でも1日20時間、チャートを見て値動きを研究、「人間心理の集合体」から学び到達したのが、「三尊天井というチャート分析の世界」というのだから、クラシックでいかにも底が浅い。
 
 そんな人間でも月に「1億2000万円」である。
 
 投資環境の急激な変化であり、それを映すのがKAZMAXだが、6月20配信の文春オンラインで改めて批判された。
 
「資産50億円トレーダー・KAZMAX氏の手口を元側近が告発 サロン生を食い物に」というタイトルで、通常、オンラインは『週刊文春』本誌と連動するが、この記事はオンライン配信のみ。このあたりに週刊誌読者層の高齢化と、カネ儲けを含む雑多な情報を欲しがるかつての読者が、ネットに移行したことを表している。
 
 側近が、LINEのチャットを公開しながら手口を明かすのだから、「騙しのテクニック」は、具体的、かつ明快だ。
 
 ただし、その手口も三尊天井同様、意外に古典的だ。
 
 事前に仕込んでおいて、「買い」と「売り」を誘い、一定方向に誘導する前に仕込み、高騰、暴落の前に、いち早く売り抜ける。――最も確実な儲け方であるのはいうまでもないが、これではサロン生への裏切りだ。
 
 もっと悪辣なのは、KAZMAX自身が含み損を抱えている局面である。
 
「ドテン(逆ポジションに切り替えること)」を利用した手法で「ドテンサロン砲」と名付けられており、一度、損切りしてから、逆のポジションを持った後に、「損切りしました」とオンラインサロンやツイッターでつぶやく。するとサロン生が追随、損切りするので、逆張りしているKAZMAXが持つポジションに動き、KAZMAXは、損を取り戻せる。
 
 顧客を利用して自分が儲ける――。悪徳投資顧問の典型で、株が仮想通貨に変わっても同じということだが、それをKAZMAXは、自分に近いものから優先順位をつけ、儲けさせていった。
 
 情報はLINEで流されるが、最初にサロン運営側にいる約10名に流され、その次に特別会員的な約40名がいて、その先にいるのが約4000人のサロン会員で、最後はフォロワー数約10万人に対するツィッターで、ツイッターに流れるのは、会員らが儲けた後の“カス情報”である。
 
 悪徳投資顧問であり、紛う事なき相場操縦である。
 
 仮想通貨が金融商品取引法に縛られていないので証券取引等監視委員会も放置しているが、いずれ取り締まりの対象になる。――そう文春オンラインも警告しているが、既に、KAZMAXは違法領域に突入している。
 
 文春オンラインは触れていないが、KAZMAXは「FIP投資顧問」という投資顧問業の会社を取得し、今年2月からは株式情報も発信している。
 
 同社は、既に、3月25日、金融庁から1カ月の業務停止処分と業務改善命令を受けているのだが、問題となったのは、―斗廚併実を巡る誤解を生じさせる表記、∩安緝修砲茲覯饉匯饂困了篥流用、の二点である。
 
 KAXMAXが購入する前からロクな会社でなかったのは、△陵由から明らかだが、投資助言者となったKAZMAXは、業務停止命令を受ける前の時点で、ファンクラブ運営などの「SKIYAKI」(マザーズ)、インテリアなどの「五洋インテックス」(ジャスダック)などの株式情報をサロン生に発信している。
 
 その行為に仮想通貨の時のような株価操縦はなかったのか――。証券監視委は即刻、調査に乗り出すべきであろう。【丑】

 

 

 

 

 

 

 


2019年11月12日配信「京都市と契約して所属芸人にステマツィートをさせた吉本興業の『税金喰いビジネス』」<事件>

 

 

 「京都最高――みんなで京都を盛り上げましょう!! 京都を愛する人なら誰でも京都市を応援できるんです! 詳しくはここから!」
 
 こんなツイートをしたのは、「吉本興業」のお笑い芸人で兄弟コンビの「ミキ」である。
 
 イケメンの弟・亜生に不細工ないじられキャラの兄・昴生――。若い女性を中心に人気急上昇のミキだが、兄弟で4回のツイートをしただけで100万円の報酬が支払われたというので論義を呼んだ。
 
 ひとつは、いかに多くのフォロワーが存在していたとしても、4回で100万円はあまりに法外。しかも吉本は、京都市と18年9月3日〜18年10月14日までの期間、京都国際映画祭や京都市の重要施策のために420万円で委託契約を結んでおり、ツイートはその一環。つまり税金である。一体、ツイート4回にどれだけの効果があったのか。
 
 もうひとつは、広告であることを明示しないステルスマーケティングではないかというもの。情報発信力のある芸能人などを利用したステマは、それを受け取った人を惑わせ、広告と知らずに誘引させるとして、禁じられている。
 
 京都市は「♯京都市盛り上げ隊」といったハッシュタグがついていることを理由に、「ステマではない」と主張したが疑わしさは否めない。
 
 また京都市は、ミキだけでなく俳優などにも進出している木村祐一のツイートにも50万円を支払っていた。
 
 昨年3月の京都市が定めた「伝統産業の日」をPRするために、木村は和服姿で登場して「着物で乾杯@北野天満宮」と投稿。この業務委託契約は216万円。これもステマ批判があったのに加え、「50万円の税金を支払うだけの価値があったとは思えない」という市民の声が上がった。
 
 行政べったりは、最近の「吉本戦略」である。
 
 今夏の「吉本興業」は、カラテカ入江の仲介による「闇営業」が発覚、ワイドショーを独占する騒動となったことがある。
 
 その際、本誌は<所属芸人の闇営業より深刻な「吉本興業」と「クールジャパン機構」との怪しい関係>(9月6日配信)と題し、吉本が官民ファンドの「クールジャパン機構」から122億円もの大金をせしめていることをお伝えした。
 
 海外へ向けての日本文化の発信というコンセプトはいいのだが、運営があまりにズサンで、18年3月期に当期損失37億円、累積赤字97億円を計上、経営刷新を余儀なくされた。
 
 ここに最も食い込んでいるのが吉本で、アジア向けコンテンツ制作に10億円、大阪城のコンテンツ発信事業に12億円、沖縄を拠点に教育コンテンツを発信する事業に最大100億円の委託を「クールジャパン機構」から受けている。
 
 同機構の惨状を思えば、食い込んでいるというより食い散らかしているという表現の方が当たっている。
 
 役所狙いはそれだけではない。
 
 47都道府県に吉本芸人を送り込み、「あなたの町に“住みます”プロジェクト」を実行しているのはよく知られている。
 
「定住させることによる心のインフラ作り」がキャッチフレーズで、これまでに百数十名が定住したが、ここでの地域活性事業が、吉本のビジネスにつながる。
 
 また、官公庁とタイアップした取り組みは、法務省の「社会を明るくする運動」への協力、「もっと欲しい法務省」の動画制作、国土交通省の「建設業における女性活躍応援キャンペーン」への協力、消費者庁の「消費者月間PR動画」の制作、観光庁の「スポーツ観光モニターツアー」への参加など数多い。
 
 吉本は、09年、株式の公開買付で非上場化を実現、暴力団との関係遮断を宣言した。
 
 その実証として売れっ子芸人・島田紳助のクビを切ったのだが、以降、大崎洋会長は、政治に傾斜。橋下徹、松井一郎といった政治家への個人的パイプを太くするとともに、政府の各種委員会委員を務め、吉本のイメージアップを図るとともに、政府や自治体への食い込みに躍起となった。
 
 京都市とは、京都国際映画祭の運営委託を受けて関係を深め、冒頭のようなツイートで100万円、50万円といった法外な報酬の確保に繋げている。
 
 暴力団の次は政界、政府、自治体という変わり身の早さはさすがだが、京都市の芸人を通じた仕掛けが、来年2月の京都市長選で4選を狙う門川大作市長の「多選批判を封じて圧勝しようとする門川市長の宣伝に繋がっている」という指摘もある。
 
 また、闇営業騒動やチュートリアル・徳井義実の脱税事件に見られるように、芸人は破天荒が“性”で、簡単に秩序の側、正論の側に回れないという“宿命”もある。
 
 それを踏まえたうえでの行政への擦り寄りと税金喰い!――“お笑い王国”の安易な行政との一体化を、泉下の先達たちはどう思っているであろうか。【寅】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年11月9日配信<0510archives>「稀代の仕事師・許永中氏の自叙伝出版に合わせたように晩節を汚す元住友銀行・國重惇史氏の“悲劇”!!」<事件>


 「日本一の仕事師」という異名を取ったこともある許永中の自叙伝『海峡に立つ 泥と血の我が半生』(小学館)が、8月28日に上梓され、好調な売れ行きを見せている。
 
 コーポレートガバナンス(企業統治)とコンプラインス(法令遵守)を重視する世相は、企業社会からグレーゾーンの反社会的勢力を排除したが、建前ばかりの清廉な経営からは人間臭いドラマは生まれず、許が体現した貧困と差別から己の才覚と腕力でのし上がっていく過程は、読者を魅了する。
 
 「イトマン」という老舗商社の内紛にかこつけて、伊藤寿永光というもう1人の事件屋を表に立て、暴力団社会との接点が色濃い自分は裏に回り、「イトマン」から「伊藤プロジェクト」に3000億円を流し込み、そのメインバンクの旧住友銀行にまで駆け上がろうとする姿には、戦慄すべき凄みがある。
 
 イトマン社長と担当専務、西武百貨店幹部と絵画担当課長、「住銀の帝王」と呼ばれた磯田一郎会長とその娘、画廊フィクサー・福本邦雄と竹下登の女婿…。
 
 いずれも許と伊藤が“手玉”に取った。
 
 ふたりとも、頭の回転の早さと弁舌の巧みさは抜群で、相手の望むものを与えて取り込む籠絡のテクニックを持ち、誰もが、気が付くと2人の術中に嵌まっていた。
 
「型に嵌まる」と抜け出すのは容易ではないし、当事者にとっては地獄である。
 
 だが、経済ドラマの読み手、観客としてはこれほど面白い世界はない。
 
 バブル期の物語が、暴力団を含むグレーゾーン領域を活写するものとして人気が高いのは、「白」と「黒」にハッキリ分けた平成の中期以降、人間ドラマが面白みのない法律と弁護士に奪われるようになったからだ。
 
 許の自叙伝は、仕事師にならざるを得なかった男の一代記だが、その発売直後の8月30日、イトマン事件で許に対峙した男のフェイスブック(FB)が、驚愕の内容で関係者の注目を集めた。
 
「僕は完治しない難病に罹患しています。今は車椅子ですが、寝たきりになる前に過去を懺悔して、いつか天国に昇りたいです」
 
 こんな書き出しで始まる文書を書いたのは、現在、都下の老人施設で療養生活を送る國重惇史である。
 
 昭和20年生まれで学年は許のひとつ上。だが、経歴は真逆で東大経済学部を卒業して住友銀行に入行、旧大蔵省を担当するMOF担として名を売り、取締役東京支配人を経て子会社副社長。その後、三木谷浩史に乞われて「樂天」に転じ、「樂天証券」、「樂天銀行」など金融部門を統括した。
 
 住銀エリートが、「イトマン」の異常事態に気付いたのは、約1兆3000億円の資産のうち約6000億円が固定化、金利負担が重くのしかかっていたからで、90年3月、「バブルを謳歌している日常の裏で、恐ろしい出来事が起きている」という直感のもと、「イトマン」に関し、詳細なメモを取り始める。
 
 そこから始まった戦いは、大蔵省銀行局長への内部告発となり、その文書がメディアに流出したことでイトマン事件が周知のものとなる。
 
 國重は、日経新聞記者などの協力を得て、住銀に防御体制を敷くとともに、事件化への道筋をつけた。
 
 その過程を綴った膨大なメモをもとに、16年10月に著わしたのが『住友銀行秘史』(講談社)である。
 
 同書は13万部を超えるベストセラーとなったが、「秘史」は住銀関係者にとっては、文字通り“秘す”べきものであり、國重は住銀のみならず金融界での立ち位置を失った。
 
 ただ、それは樂天を退職後、東証2部に上場する「リミックスポイント」の社長に就任した頃から始まっていた。
 
 樂天退任は数々の女性スキャンダルが発覚した結果だったし、「リミックスポイント」は金融界では評判の良くない松浦大助グループと目されていた。
 
 パーキンソン病に似た難病に罹患、リミックス社を退任してからは、松浦グループに面倒を見てもらう状況だったが、病気の進行は体の自由を完全に奪い、一方で過去の女性との金銭トラブルは解決せず、それがリミックス株で行なった不正行為の数々をFBで暴露するという開き直りにつながった。
 
 俺の口を塞ぎたければ、俺の面倒を見ろー−。國重の気持ちを代弁すれば、こんなところだろうか。
 
 許の健在を示す自叙伝の出版と國重の零落を物語るFBでの告発。――イトマン事件から27年が経過、同時代を生きた2人は、さながらドラマのような好対照を見せている。(文中敬称略)【寅】

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年10月31日配信<0510archives>「月刊『Hanada』で復活を果たした山口敬之氏の暴論と限界」<事件>


 
(伊藤詩織著・文藝春秋)


 

 

 颯爽とデビュー、確固とした地位を築いていた言論人の“転落”は、目にしたくないものである。


 元TBSテレビのワシントン支局長だった山口敬之氏が、退社後にフリーとなり、2016年5月、『総理』(幻冬舎)を著した時、「迫真のリアリティをもって描く政権中枢の人間ドラマ」という惹句がピッタリの内容で、安倍晋三首相をはじめとする政権中枢への食い込みに、読者は驚嘆した。

 が、そこからの“転落”は早かった。

 1年後の17年5月、「山口氏にレイプされた」と、ジャーナリストの伊藤詩織さん(28)が記者会見を開き、顔を出して告発した。

 それまで山口氏は、報道番組などに頻繁に登場、政権擁護発言をするジャーナリストとして知られていたが、一切、表には出なくなった。

 同氏がマスメディアから忌避されたのは、「レイプ疑惑の主」だったからではない。

 詩織さん(告発当初は姓を名乗らなかった)の訴えを警視庁は受理して捜査、山口氏を送検したものの、検察の結論は嫌疑不十分で不起訴処分だった。

 記者会見は、詩織さんの検察審査会への申し立てを理由とするものだったが、この時、山口氏がメディアに対して、真摯な対応をしていれば、「山口バッシング」は起きなかっただろう。

 だが、同氏は「私は被疑者でも容疑者でもない」と強調、「間違った記述があれば、法的措置も辞さない」という強気のコメントは、取材者たちを鼻白ませた。

 要は、メディアを味方に付けることができなかった。

 詩織さんの検察審査会への申し立ては、4ヶ月後の17年9月、「不起訴相当」の議決となって認められなかった。

 詩織さんは納得できず、翌月『ブラックボックス』(文藝春秋)を著して、告発を続けた。

 それを受けて、山口氏は初めて反論に出た。

 保守派の言論雑誌で「親安倍路線」の『月刊Hanada』(12月号)で、「私を訴えた伊藤詩織さんへ」を、同じ路線の『月刊Will』(12月号)で「安倍総理の“どす黒い孤独”」を、それぞれ寄稿した。

 これまではメディアの記者、報道局、編集部などとのやりとりだけだったが、自分の思いを新たに表明すると同時に、“ジャーナリスト復帰宣言”ともいうべき記事だった。

 しかし、両作とも高い評価は受けられなかった。

 

 「詩織さんへ」と題する記事は、検察の「不起訴」と検察審査会での「不起訴相当」をもって自己弁護する内容で、「合意なくホテルに連れ込み、セックスに及んだこと」への道義的倫理的な反省はまったくなく、読者に不快感を残した。


 安倍首相への応援歌となった記事は相変わらずだったが、切り込みも分析も不十分で、政界と官邸から距離を置かれた?ジャーナリストの悲哀を感じさせた。

 「やはり『臨時国会冒頭』しか、(安倍首相の)解散の選択肢はなかったのである」と、最後にまとめた記事を誰が興味をもって読むだろうか。

 11月25日発売の『月刊Hanada』(1月号)は、さらに悲哀を感じさせる内容だった。

 「伊藤詩織問題 独占スクープ第2弾」として「記者を名乗る活動家 金平茂紀(TBS報道特集キャスター)と望月衣塑子の正体」と題し、自分に向けられた批判に対して反論しているのだが、罵詈雑言の類で、およそ読者の共感は得られないし、不快感ばかりが残る記事だ。

 冒頭、「取材依頼がなく、意見も聞かないから2人は記者ではない」というのだが、金平氏も望月氏も記者会見やインタビューでの発言であり、山口氏に取材依頼をして確認すべき内容ではない。

 なにより、山口氏は公式コメンを出したり、記事を発表しているのだから、それをもとに論評ないし、記者会見やインタビューで発言するのは認められる行為である。

 挙げ句、「金平という男は、気に入らない政治家を貶めるためなら、記者としての基本動作も放棄し、同僚や部下を平気で裏切り、自分だけは生き残ろうとする唾棄すべき人物である」と、言い切っている。

 この名誉毀損以外の何物でもない文章を執筆するにあたり、山口氏は金平氏に取材依頼をしたのだろうか。

 細かく書き連ねても仕方があるまい。

 

 何ら反省することなく、向かってきた勢力はすべて敵とみなして噛み付く!――レイプ疑惑は、刑事事件としては不起訴でも、そう疑われるような行為があったことをまず反省、そのうえで被害者やそれを報じようとするメディアにどう対応するかを山口氏は、真摯に考えるべきだろう。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年10月29日配信「関西電力事件で役立たずが明らかになった検察OBを日本の企業社会はいつまで重用するのか?」<事件>

 

 

 

 政府は、10月18日、会社法の改正を閣議決定、今国会で法案を成立させる方針。目的は上場企業のガバナンス(統治)を強化することで、そのうちのひとつが社外取締役設置の義務化である。
 
 既に、東京証券取引所がコーポレート・ガバナンスコードの設置により、経営から独立した2名以上の社外取締役の設置を求めており、現在約98%が社外取締役を置いているが、法制化でより強化される。
 
 この社外取締役と同時に、「就任前5年間、会社と関係のなかったもの」という規定のある社外監査役も、会社から独立した存在として、厳格な監査が期待されている。
 
 ガバナンスとコンプライアンス(法令遵守)の強化は、今や企業社会では当然と受け止められており、社外取締役、社外監査役の重要性は増しているのだが、一方で適任者は少なく、経営陣の友人知人、シンパの評論家やジャーナリスト、監督官庁OBなどを雇うと、中立性が疑われる。
 
 そこで重宝されるのが検察官OB(ヤメ検)である。
 
 法律の専門家としての見識に加え、企業社会の監視役として粉飾決算、金融・証券犯罪、脱税などに目を光らせてきた実績がある。
 
 つまり“座り”が良く、反論しにくい。
 
 それが「形だけのもの」であったのを示したのが、関西電力事件だった。
 
 森山栄治元高浜町助役から3億2000万円の工作資金を20人の経営幹部が受け取っていたことを突き止めていた社内調査委員会の小林敬委員長は、「個人の問題ではなく、会社の体質」として不問に付した。
 
 関電コンプライアンス委員会の委員でもある小林氏は、元大阪地検検事正で関電との関係は社外監査役を務めた土肥孝治元検事総長との関係によるものである。
 
 土肥氏らの監査役会は、小林委員長の「報告書」で原発マネーの還流を知りながら、「報告書は妥当」として、取締役会への報告も公表もしなかった。
 
 土肥氏は、今年6月、社外監査役を退任するが、後を受け継いだのは佐々木茂夫元大阪高検検事長。――つまり関西検察OBたちは、経営体制のチェック役ではなく守護神なのである。
 
 関電は、10月9日、その甘い社内調査報告書を見直すために、第三者委員会を立ち上げたが、委員長に就いたのは但木敬一元検事総長である。
 
 土肥氏の後輩ながら東京検察OB。ラインが違うとはいえ「先輩の失敗」に踏み込むような精神は持ち合わせておらず、但木氏もまた「検察一体の原則」のなかで生きてきた。
 
 結局、第三者委員会も人選と費用は関電が拠出するのだから中立性は形だけ。関電にとっては、12月中をメドとした報告書が公表される頃には、人々の記憶が薄れ、“穏当な糾弾”となっていることを期待している。
 
 つまり、ヤメ検は使い勝手がいいのである。
 
 社外取締役、社外監査役、コンプライアンス委員会委員など、企業社会に「法的・倫理的な監視」が求められるようになり、その格好の人材供給先がヤメ検となった。
 
 それも、ひとり当たりの就任会社数が多く、とてもまともに経営チェックなどできない。
 
 社外取締役や社外監査役に就いている検察OBリスト(17年3月末)によれば、2〜5社の就任は当たり前。あまりに数が多いので高検検事長以上に限っても、次のようなOBたちが顔を並べている。
 
樋渡利秋元検事総長(ホンダ、トーヨーカネツ、野村證券、鹿児島銀行)、◇大林宏元検事総長(三菱電機、大和証券、日本たばこ産業、新日鐵住金)、◇但木敬一元検事総長(日本生命保険、大和証券グループ本社、ミロク情報サービス、イオン)、◇頃安健司元検事長(東海旅客鉄道、古河電気工業)、◇勝丸充啓元検事長(大陽日酸、シマノ)◇河村博元検事長(石井鉄工所、旭硝子)……。
 
 いうまでもないことだが、これでもほんの一部である。
 
 これに元検事正や各地検の部長、副部長などの幹部で退職したヤメ検を加えればその人数は星の数。いかに彼らが上場企業を“浸食”しているかがわかる。
 
 建前では、彼らの雇用はガバナンス強化のため。それを政府も東証などは、制度化で後押しする。
 
 だが、現実には「関電社内調査報告書」のような代物を作成する際の“権威付け”であり、それを外部に批判させない“監視役”であり、捜査・調査機関が乗り出した際の“ガード役”である。
 
 ガバナンスとコンプライアンス強化のためのシステムが、ヤメ検によって“骨抜き”にされているという現状と、それによって生ずる矛楯をどう解消するか。――論義すべき段階に入っているのではあるまいか。【辰】

 

 

 

 

 

 

 

 


 


2019年10月18日配信「高山清司若頭出所!――弘道会と山健組の“最終戦争”で衰退の道を辿る?山口組!」<事件>  


山口組代紋(Wikipedia)

 

 暴力団組織には「鉄の掟」がある。
 
 親子・兄弟の盃は血縁より重く、襲撃を受けたら返し(復讐)をしなければならず、代紋に傷をつけるような行動は許されず、絶縁処分にしたものが稼業を続けることは許されない――。
 
 が、現実はそうはいかず、「6代目」と「神戸」と「任侠」の3つに分れた山口組の状況が示すように、己の利益を優先、親を裏切る「逆盃」を平気で行ない、絶縁処分を受けたところで平気で稼業を続けている。
 
 そうした無原則で筋を通さない生き方を、もっとも嫌っているのが、6代目山口組の盪垣胸兵稙だという。
 
 盪骸稙は、京都の建設会社オーナーを恐喝したとして、10年11月に逮捕・起訴され、懲役6年の実刑判決を受け、府中刑務所に収監されていたが、満期を迎え、10月18日に出所する。
 
 その直前、抗争事件が相次ぎ、神戸市内の山健組事務所前で、弘道会幹部が発砲し、組員2名を射殺したのは、「返しをしないでどうする!」という盪骸稙の叱責を恐れたからだという。
 
 それほどの統率力を持つ盪骸稙とは何者か。
 
 盪骸稙は、司忍6代目が最初の長期刑に服することになった東陽町事件(山口組と争っていた大日本平和会幹部を刺殺)の際、山口組系弘田組幹部の司6代目とともに襲撃に関与、懲役4年の実刑判決を受けた。
 
 懲役13年の司6代目が出所、弘田組若頭となると若頭補佐として支え、弘田武志組長の引退に伴って、84年、司6代目が弘道会を起こすと、付き従って弘道会の名古屋制覇の立役者となった。
 
「親分のためなら我が身を犠牲にする典型的な昔タイプのヤクザ。家も車も全て親分に最高のものを用意、博打で大負けしたら、そのツケは自分が払う。組織運営能力にも優れており、情報を徹底的に収集、分析して厳重に管理、それをもとに組の内部では、統制を厳しくして上納金を吸い上げ、対外的には戦闘能力を高めるという『弘道会方式』は、盪海確立した」(警察幹部)
 
 盪骸稙の逮捕がなければ、山口組が3分裂することなかったという。
 
 それは、分裂を阻止するだけの情報収集能力と組織運営力があったためだが、一方でその強圧名な「弘道会方式」が、それまで山口組を支えた山健組の反発を買っており、「カシラが居っても、いつかは山健(組)の井上(邦雄・現神戸山口組組長)とケンカ別れになるのは、避けられんかった」(山口組元直参)という。
 
 結局、暴力団を支えるのは、カネと権力(暴力)である。
 
 力のある所にカネは集まり、だから暴力団は山口組に集約されていった。
 
 それが代紋の力であり、だから暴力団は「代紋と盃」を大事にした。
 
 その暴力団を支えた原則が、度重なる暴対法の改正と暴排条例の施行で崩壊。「代紋」がカネを稼ぐのにジャマになり、暴力団が「食えない職業」になった。
 
 高齢化が進み、襲撃する方も、される方も50代、60代が中心。山健組襲撃の丸山俊夫容疑者が、出所後の将来などない68歳であるところに象徴されている。
 
 かつての「(襲撃犯となり)お務めを果たしたら約束される幹部の座」といったものはなく、先行き短い高齢者の“片道キップ”なのである。
 
 だが、5代目時代の山健組も6代目時代の弘道会も、組の代紋を使って大きくなった。
 
 今、構成員が激減、3派合わせて1万人を切るような惨状のなか、「山口組最後の争い」が神戸山口組(山健組)と6代目山口組(弘道会)の間で展開されようとしている。
 
 率いるのは、ともに古き良き時代の暴力団を知り、その恩恵も受け、それなりの財も残した井上邦雄組長と盪垣胸兵稙。――その最終戦争が、盪骸稙の出所を機に始まるのも、当然の「時代の流れ」なのかも知れない。【未】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年10月12日配信<0510archives>「JCサービス、ベアハグ、大樹総研をターゲットにした特捜トライアングル捜査の行方」<事件>


中久保正己JCサービス社長


 東京地検特捜部が、再生可能エネルギー事業を展開する「JCサービス」に対する捜査を本格化させている。

 

 細野豪志代議士に5000万円を貸し付けるなど、「特捜案件」となるに相応しい企業であることは知られていたが、他に特捜部が“お客さん”にしたいコンサルタントの「大樹総研」、リラクゼーション業界と政界を結びつけた「ベアハグ」との親しい関係が浮上、「政界ルート」を視野に入れたものになっている。
 
 「JCサービス」を率いる中久保正己社長は、謎が多く、「暴力団関係者とも昵懇で、平気で嘘をつき、目的のためには手段を選ばない人物」(同社関係者)のようだ。
 
 兵庫県庁職員だった時、阪神淡路大震災に遭遇。「多様なエネルギーインフラの必要性を感じ、03年、JCサービスを設立した」と、インタビューなどで述べているのだが、95年の大震災後、JCサービスを設立するまでに、「クオリティライフ」、「ジャパンコストプランニング」といった会社を設立、いずれも倒産させている。
 
 その信用性のなさを補うように、人脈作りに励み、結果、行き着いたのが「人脈商売」で永田町と霞が関に隠然たる勢力を振るう「大樹総研」だった。
 
 同時に、中久保氏が金融面で頼ったのが、ソーシャルレンディング事業を展開する「maneoマーケット」で、ここのプラットフォームを利用する形で、傘下の「グリーンインフラレンディング」(GIL)が約200億円を集めている。
 
 金融庁は、昨年7月、maneo社に業務改善命令を出している。
 
 原因は、GILがネット上で公開した募集内容とは違う事業に資金を流用していたからだが、GIL立ち上げの時から自転車操業に陥るのは自明だったという。
 
「中久保氏が右のポケットから左のポケットに移し替えるだけだから、目的外使用は折り込み済み。年々、太陽光などの買取価格が下がっていくなか、自転車操業になるのも当然だった」(電力業界関係者)
 
 しかし、その過程で事業を縮小、投資家保護を図るといったタイプではなく、太陽光からバイオマス、日本だけでなくタイへと事業を拡張、そのために政治力を頼った。
 
「大樹総研」の矢島義也会長は、16年5月に開いた盛大な結婚式に、菅義偉官房長官をはじめ与野党多数の政治家、中央官庁主要官僚を招いたという「与野党に人脈を持つ政界プロモーター的人物」(捜査関係者)。「JCサービス」は、その「大樹総研」に業務委託料などの名目で約5億円を支払っている。
 
 また、バイオマス発電でタイに関与することになった中久保氏は、超党派議員団の一員だった細野代議士とともに、17年末、タイを訪れている。
 
 中久保氏の政界パイプとなった矢島氏を紹介したのが、「ベアハグ」の稲川貴久前代表だが、一体どんな人物なのか。
 
「PL学園、亜細亜大学の剣道部出身で、整体師からスタートして、リラクゼーションのベアハグを立ち上げた人物。やり手で、顧客に茂木敏充(現経産相)さんがいたことから政界にも人脈ができ、その縁で大樹の矢島氏と知り合った。リラクゼーション業界が総務省に産業認定される際には、稲川氏の政界パイプが役に立ったとされた」(社会部記者)
 
 稲川氏は、17年11月、法人税4300万円を脱税したとして在宅起訴。捜査した特捜部は、稲川氏の「政界ルート」にも注目していたとされる。
 
 また、稲川氏は16年4月、中久保氏とともに「環境プロパティ」という太陽光の会社を立ち上げており、長野県上田市で太陽光発電事業に乗り出している。
 
 こうして眺めると、「JCサービス」を起点とする捜査は、「大樹総研」や「ベアハグ」にも及んで、それは「政界ルート」を視野にいれたものになるが、その前にやるべきことは投資家保護。「JCサービス」の資金流出に一刻も早く歯止めをかける必要があろう。
 
 maneoの業務改善命令以降、1年以上、資金調達ルートを失った「JCサービス」は、売電権や取得した不動産を売るなどして資金を回収しているが、それは窓口のmaneo社に返却されることはない。

 従って、投資家に返却されることはなく、「目外流用」の得意な中久保氏が、引き続き自由に使っている。
 
 投資家にとっては「詐欺」されたに等しく、被害金額を少なくするためにも、早急に捜査着手すべきだろう。【巳】

 

 

 

 

 

 



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