2018年7月18日配信「助成金は3500万円/年!――裏口入学で文科省局長を落とした東京医大の“前歴”」<事件>

 
黒い巨塔(wikipedia)

 

 「森友学園事件」を不発に終わらせた検察が、次に選んだのは東京医大だった。

 東京地検特捜部は、国の支援事業で東京医大に便宜を図った見返りに、自分の息子を同大医学部に裏口入学させたとして文科省前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者を逮捕した。

 佐野容疑者と大学を仲介、受託収賄幇助容疑で逮捕された谷口浩司容疑者の他、点数を水増し、不正合格を指示した東京医大トップの臼井正彦理事長、鈴木衛学長の不正も暴かれ、今後、文科省と私大の補助金を介しての「癒着の構図」にメスが入れられる。

 森友学園では、安倍晋三政権に配慮、財務省官僚の罪を不問に付しながら、政権に関係なければ遠慮なく「霞が関」に踏み込む検察のご都合主義はさておき、補助金と監督権限を武器に、天下りの受け皿にすると同時に“財布代わり”にし、そればかりか自分の子供まで押し込む官僚の腐敗は、徹底的に糾明すべきであろう。

 同時に、東京医大という大学の持つ“体質”についても触れておくべきだ。

 東京医大が450億円の新病院建設工事を巡って、スキャンダルに見舞われたのは2012年から14年かけてのことである。

 まず、時系列で眺めてみよう。

 東京医大は、16年に創立100周年を迎えるということで、それに合わせて新大学病院と既存病院の改修工事を行なうことになった。

 工事を受注したゼネコンは、かねて理事会と親密で過去に実績もある「大成建設」だった。

 だが、学内には「特定の業者に決めつけるのではなく、公正を期すべきではないか」という声があり、その急先鋒が、コンプライアンス担当理事でもある飯森眞喜雄副学長(当時)だった。

 その飯森氏に「不倫疑惑がある」とした怪文書が流れたのは、12年6月頃のことで、それと連動するように右翼団体の正氣塾が街宣活動を行なった。

 その直後、「大成建設」の多田博是副社長が飯森氏に接触、「大成建設への受注協力」を持ちかける。

 12年7月25日、2人はホテルオークラの「山里」で会談、攻撃が続いていた飯森氏は会話をICレコーダーに収めた。

 「力になれば、ニンジン(キックバック)はあるの?」という飯森氏の問いかけに、多田氏が「1%を合法的なコンサルタント料として還元したい」と、述べるなど、かなり生々しい。

 しかし、飯森氏は応じず、正氣塾の攻撃は続いていることから同校OBが「事態打開のため」と称して動き、大成本社に飯森氏を連れていって、「辞表をかけ」と迫っている。

 「書く理由がない」と、飯森氏は断ったが、こうした一連の工作と動きを、警察に相談したこともあって、東京医大は調査委員会を立ち上げて調査を開始する。

 その結果、「飯森攻撃」は収まり、「大成建設」は工作が表面化したこともあって、公募型プロポーザルには参加せず、結局、受注したのは「大林組」だった。
 
 こうした不自然な工作は、いつか必ず社会問題化する。

 13年春頃から受注過程を問題視した警視庁捜査2課が、関心を持って内偵捜査に入った。

 それをいち早く伝えたのが経済月刊誌『FACTA』(13年6月20日発売号)で、半ページほどの短いコラムで経緯を書いたところ、それに過剰反応した東京医大は、すぐに同誌を名誉毀損で提訴した。

 ここから『FACTA』が連続掲載、『週刊文春』が追撃して「録音データ」を公開、東京医大はスキャンダルにまみれた。

 事実なら由々しき事である。

 東京医大は私大なので、大学経営陣とゼネコンなど業者との癒着を立件するのは難しいが、バックリベートがあれば背任罪での摘発は成り立つとして、捜査2課とは別に、東京地検特捜部直告1班が内偵捜査に入った経緯がある。

 また、攻撃を受けた飯森氏も一連の経緯は許し難いとして、警視庁捜査2課に強要未遂で刑事告訴、そちらの捜査も始まった。

 しかし、検察、警察ともに決め手を欠き、なかでも「大成建設」が下りて、受注に至らなかった点が大きく、大きな謎を残しながらも事件は終結した。

 そうした“過去”があるにも拘わらず、東京医大という大学の「体質」は変わらなかった。

 当時、特捜部直告1班を率いていた副部長が、現特捜部長の森本宏氏である。

 東京医大の癒着・隠蔽体質を知る森本部長だけに、今回の摘発は、リベンジの意味合いもありそうである。【寅】

 

 

 

 

 

 

 


2018年7月14日配信<0510archives>「『Black Box』(伊藤詩織著・文藝春秋)が告発する司法の歪み」<事件>



 


 

 

 

 

 レイプ被害者として「顔出し告発」していた伊藤詩織さんが、10月18日、『ブラックボックス』(文藝春秋)を上梓した。
 
 今年5月、詩織さんは検察審査会に不起訴処分を受けて異議を申し立て、記者会見で経緯を説明した。
 
 その時も衝撃だったが、検察審査会での「不起訴相当」を受けて著した本書では、そうした会見などでは伝わらぬ思いが、時系列で詳細に語られ、一級のノンフィクションであると同時に、日本の司法システムに対する鋭い告発書にもなっている。
 
 圧巻は、「安倍晋三首相に最も近い記者」という評判の元TBS記者・山口敬之氏と、詩織さんにとって同氏に対する「顔を思い出したくもない加害者」であるという辛さを封印して、責任を追及するために行った交換メールの公開と、高輪署、警視庁捜査一課、そして検察との「山口氏の圧力」を感じながらの切迫した交渉だろう。
 
 率直に感じられるのは、詩織さんの強さである。
 
 それは5月時点の「顔出し会見」で証明されてはいたが、今回、明かされたジャーナリストを目指して欧米で学んだという経歴が、告発への動機を裏付けるとともに、そうした意志も強さも持っている人が、それでも「司法のカベ」に跳ね返されてしまった。
 
 強さは、レイプ犯を許さないという一貫した姿勢にあるが、その一方で、詩織さんの心は常に山口氏の“幻影”に怯えており、「魂の殺人」だというレイプが被害者に与える傷の深さに慄然とさせられる。
 
 それだけのプレッシャーを受けながら、これまでのレイプ被害者の大半が、「正体を晒しても何の得にもならない」と、勝訴しても自分の胸の内にしまい込むか、示談に応じて事件を封印するなか、詩織さんが実名告発し書籍まで発売したのは、個人的な恨みを晴らすのではなく、「私に起こったことが、あなたに、あるいはあなたの大切な人に降りかかってくるか、誰にも予測はできないのだ」(まえがきより)と、訴えたいからである。
 
 その告発するという行為の結果として、司法の“歪み”が露呈した。

 

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                                                                      BBC公式HP
 

 

「よくある話だし、事件として捜査するのは難しいですよ」
 
 担当する高輪署のA氏が、最初に投げかけたのはこの言葉であり、詩織さんは「それはあまりに残酷な言葉だった」と、嘆く。
 
 以降、「今まで努力してきた君の人生が水の泡になる」と、被害届の提出を考え直すように説得するA氏を、むしろ詩織さんが引っ張る形で捜査は進み、山口氏の帰国を待って逮捕するところまで進展した。
 ところが、15年6月8日、成田空港に山口氏逮捕に出向いたA氏から「逮捕できません」という連絡が入る。
 
 理由を問うと「ストップをかけたのは警視庁のトップです」という返事。後に、それが中村格警視庁刑事部長(当時)であることが明らかになる。
 
 以降、所轄の高輪署から警視庁捜査一課に事件は移送され、A氏も担当検事も配置替えとなり、事件は封印の方向に向かう。
 
 捜査一課の捜査が、不起訴へ持っていくためのものであるのは、「なぜ逮捕状が出たのに逮捕しなかったのか」という詩織さんの問いかけに、「逮捕状は簡単に出ます」と断言。「社会的地位のある人は、居所がはっきりしているし、家族や関係者もいて逃走の恐れがない。だから、逮捕の必要がないのです」と、いってのけた捜査一課幹部の言葉で明らかだ。
 
 官邸から中村部長へと伝えられたことで発生した“忖度”は、捜査現場を動かして起訴には不十分な捜査内容となり、不起訴処分は出た。
 
 その証拠に沿って国民からくじで選抜される検察審査会の審査員が、検察官に誘導される形で事件性を審査すれば、「不起訴相当」となるのも無理はない。
 
 司法は、そのシステムを熟知し、方向性を変えうる力のある人間が操作すれば、簡単に歪むものである。
 
 レイプが行われたとされる15年4月4日以降、2年半の歳月をかけて詩織さんが著した『ブラックボックス』で、我々が読み取るべきは、レイプ被害の傷跡の大きさとともに、それを見逃してしまった司法システムの検証であろう。【午】

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年7月10日配信「“地獄の釜の蓋“が開いた!――細野豪志元環境相氏に5000万円!で大炎上するソーシャルエンディング業界」<事件>

 

 

 

 

   ネット上に開示された情報をもとに、個人が企業に事業資金を貸し付け、配当を得るサービスをソーシャルレンディングと呼ぶ。

 不特定多数の個人から広く資金を調達するのは、不動産や再生可能エネルギーなどを融資対象とする会社が多いが、金融機関の融資基準に達していない業者が多いため、その分、利回りは高く10%内外を約束する。

 それが魅力で、ここ数年で急増、2017年の市場規模は、前年比2・5倍の1316億円だった。

 だが、ハイリターンにハイリスクはつきもの。ソーシャルレンディングの場合は、集める業者と使う業者が、ほぼ同じ。要するに、右のポケットから左のポケットへ移し換えるだけである。

 誰もチェックしないのだから開示情報はウソが多く、そこを金融庁に突かれて、「みんなのクレジット」は事実上、破綻し、「ラッキーバンク」は行政処分を受けた。

 「次はどこか?」に注目が集まるなか、今年1月から証券取引等監視委員会の調査を受けながら、処分が出ないうちに『朝日新聞』が、「細野豪志元環境相に5000万円」(6月27日付)と報じたのが、「グリーンインフラレンディング」(GIL)の資金を使っていた「JCサービスグループ」だ。

 政治資金は明白なのだが、細野氏は「個人で借り入れ、利子も含めて全額、返済した」と、逃げている。

 同じ論法で逃げた猪瀬直樹前東京都知事は、結局、公職選挙法違反を認めて辞職した。

 この問題は、さまざまな要因を秘めている。

 まず政界への波及。JCサービスが親しくしていたのは細野氏だけではない。細野氏への直接の貸付窓口である「JC証券」には、和田隆志、田村謙治、松田学といった3人の元代議士が、役員に名を連ねていた。

「旧民主党のタニマチ」として知られる「大樹総研グループ」「JCサービス」中久保正己社長との人間関係によるものだ。

 「JCサービス」は、ソーシャルレンディングのプラットフォームである「maneoマーケット」を使って「GIL」が資金を集め、それを「JCサービス」が太陽光発電やバイオマス発電など再生可能エネルギー事業に回す、というビジネスモデル。「大樹総研グループ」には、かつて鈴木康友浜松市長が在職していたこともあり、浜松市は「JCサービス」の拠点でもある。

 細野氏はもちろん、上述のような現元政治家、あるいは現役の経産省、環境省に絡む政治家や官僚が、許認可や補助金などで便宜を図っていた可能性もあり、事件化の芽はいくらでもある。

 また、ソーシャルレンディング全体への波及も避けられない。

 

 「みんなのクレジット」が45億円(17年2月末までの累計応募額、以下同)、「ラッキーバンク」が155億円と、それなりに影響力は大きかったが、147億円の「GIL」に軒先を貸していた「maneoマーケット」1103億円と群を抜いている。

 「GIL」は行政処分によって破たんする可能性があり、そうなると投資家は、「maneoマーケット」に攻撃の矛先を向けるのは必至。ソーシャルレンディング業界全体が、見直しを迫られる。

 さらに、「JCサービス」には“余罪”がある。

 福島の太陽光発電の設備IDをめぐって、前所有者と中久保社長が、仲介業者を間に挟んでトラブルになっている。

 その問題解決のために、中久保氏が反社会的勢力に“説得”を依頼したという情報もあり、警視庁組織犯罪対策4課が内偵中だという。

 同種の反社との関係は、「LCレンディング」など他のソーシャルレンディング業者でも指摘されている。

 ネット上の事業計画だけで資金が集まる環境と、それを実現するために早く事業展開しなければならない時間的制約が、地上げの論理と同じで反社を引き寄せる。

 証券監視委と金融庁は、「GIL」にメスを入れることが、ソーシャルレンディング業界全体をつぶしかねないことを自覚、慎重に調査を進めていた。

 「JCサービス」の福島問題を含め幾つかの案件を抱える警視庁も同様である。

 また、「朝日新聞」、「NHK」といった先行するマスコミも、「報道がソーシャルレンディングに引導を渡すことになる」と、手控えてきた。

 そういう意味で、『細野氏に5000万円』という報道は、“地獄の釜の蓋”を開けたに等しい。

 検察や警察による事件解明はこれから進み、業者への行政処分を経てソーシャルレンディング業界全体が大炎上。「ワルは誰か」の見極めが、これから必要になる。【子】

 

 

 

 

 

 

 


2018年7月3日配信「『かぼちゃの馬車事件』の次は『レオパレス21』と『大東建託』⁉――サブリース事業が生む、欠落住宅を掴まされローン地獄に陥るオーナーたち」<事件>


レオパレス21本社
(☚wikipedia)

 


 女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」を巡る事件が、底知れぬ広がりを見せている。

 本誌は、6月26日配信で「事件の黒幕はスルガ銀行」と、指摘した。

 確かに「かぼちゃの馬車」を運営する「スマートデイズ」は、経営破綻を折り込み済みの詐欺商法だったが、それを承知でローンをオーナーに組ませ、審査書類の改ざんを承知していたのは「スルガ銀行」だった。

 「地銀の雄」として知られ、そのユニークな個人向けローンが金融庁に賞賛されていた「スルガ銀行」が、詐欺商法に加担していたことを示す今回の事件ほど、ビジネスモデルを失った地銀の迷走を示すものはない。

 さらに事件は、サブリースという業態で繰り広げられているビジネスが、「かぼちゃの馬車」同様の怪しさに彩られていることを証明した。

 アパートオーナーと住宅メーカーは、建築から入居者募集、建物の維持管理まで含める多彩な仕事を、アパートオーナーが住宅メーカーに一括して任せるというサブリース契約を結ぶ。

 この際、オーナーを集めるために過大広告を打つのがサブリース業界の通例で、それが極端に行き過ぎていたのが「スマートデイズ」だった。

 「頭金不要、利回り8%、30年家賃保証」といった惹句でオーナーを募るのだが、オーナーの年収によって物件を決め、不動産売買における中抜き、建設会社からのキックバックなどで高額物件を売りつけながら、高い利回りを設定するのだから空き家率が高くなるのも当然で、それが契約見直し(賃料引き下げ)のあげくの経営破たんに繋がった。

 この怪しい商法が、「スマートデイズ」とその背後の「スルガ銀行」だけでないことは、5月29日に放映されたテレビ東京の「ガイアの夜明け」でも証明された。

 この番組は前半で「スルガ銀行」、後半はアパート・マンション大手の「レオパレス21」を取り上げた。

 驚くべきは、「ゴールドネイル」「ニューゴールドネイル」といった「レオパレス21」のアパートシリーズに建築基準法違反の疑いが発覚したことだ。

 放映されたアパートの屋根裏には、各部屋の仕切り部分がなく、耐震、防犯、防音などさまざまな点で問題のある違法建築物だったが、シリーズで現存する184棟を調べたところ、9割以上の168棟の屋根裏に仕切りがなかったという。

 レオパレスは、「ガイアの夜明け」の放映日に記者会見して「違法建築物の疑い」を認めている。

 そのうえで外部機関や建築士事務所の協力を得て、全棟3万7852棟の調査に踏み切る方針を明らかにした。

 その実現可能性に疑義が生じているのはもちろん、オーナーがレオパレスに不信を抱いているのは、サブリース契約を一方的な理屈で、契約解除に踏み切ったり、家賃減額を通告することがある点だ。

 さすがに売上高約5310億円の企業だけに、倒産を織り込んだ「スマートデイズ」のようないい加減さはないものの、契約を結んだらこっちのものと、住宅を手抜きで建設、都合が悪くなれば勝手に条件変更。その無責任さの裏に、高額ローンを抱えて苦悩するオーナーがいる点は同じである。

 その先にいるのが、アパート経営の雄、サブリース業界の盟主といわれる反面、猛烈なノルマと離職率の高さで知られる“ブラック企業”の「大東建託」である。

 『週刊ダイヤモンド』などで何度も批判の特集を組まれ、最近も『大東建託の内幕』(三宅勝久)が上梓された。

 同書は、サブタイトルに「アパート経営商法の闇を追う」とあるように、どこに需要があるかわからない場所にアパート群が立ち並ぶ商法のカラクリと、社内事情などが明かされている。

 売上高約1兆5570億円を誇る大手の「大東建託」から、業界中堅の「レオパレス21」、そして設立5年で300億円企業となりながら倒産した「スマートデイズ」に共通するのは、サブリース事業である。

 程度の差こそあれ、そこにあるのは1億円、2億円といった高額物件を「売れば目的は達成」というビジネスモデルの持つ危うさである。

 少子高齢化が進み「空き家」が社会問題化している時に、「アパート経営」が利殖として優れているとは思えないが、業者は数多く、それぞれが多彩なメニューを持ち、将来の社会不安を感じる層に働きかければ、契約は可能で、「スルガ銀行」のようにそこに活路を見いだす金融機関と組めば、ビジネスは成り立つ。

 それが、詐欺商法を誘引することは、「かぼちゃの馬車事件」で証明されたことで今、サブリース事業そのものが点検を迫られている。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年6月26日配信「かぼちゃの馬車事件の“黒サギ”=スルガ銀行の株主総会は大荒れ必至!」<事件>

 
スルガ黒サギ銀行(wikipedia)


 詐欺師の“上前”をハネる詐欺師のことを「黒サギ」といい、尊敬はされないが腕と頭脳は一流の証である。

 だが、「黒サギ」であることがバレた時は、詐欺師に自らの罪も抱かせているのだから強く指弾されることは当然だろう。

 今、そんな疑惑を抱かれているのが、静岡県を拠点とする「スルガ銀行」(沼津市)だ。

 かぼちゃの馬車事件に関与、当初、「運営会社の「スマートデイズ」が、通帳などを改竄して物件を売りつけていたとは知らなかった」と、言い逃れをしていたものの、次第に改竄はスルガ銀行行員との“合作”であることが明らかになった。

 かぼちゃの馬車事件とは、女性専用シュアハウスの「かぼちゃの馬車」を運営する「スマートデイズ」が行なっていた悪徳商法である。

 「利回り8%で30年家賃保証」などと広告を打ってオーナーを集めながら、不動産売買の中抜きや建設業者からのキックバックで高額物件を買わせ、その結果、高額家賃で空き部屋が続出、自転車操業に陥って破綻に向かって突き進んだ。

 操業5年で売上高300億円という「スマートデイズ」の基盤を築いたのは、ビデオ安売り王として名を馳せた佐藤太治氏で、一気に業容を拡大してチェーン展開、最後は自転車操業に陥るのがいつものパターンなので、佐藤氏が「スルガ銀行」を巻き込んだように見えた。

 だが、その後、「ゴールデンゲイン」、「サクト・インベストメント・パートナーズ」、「ガヤルド」など同業のシェアハウス業者も、同じようなビジネスモデルを構築、破綻に至っていた。

 これらの企業に融資したのも「スルガ銀行」で、窓口となっている支店はバラバラ。例えば、「スマートデイズ」は横浜東口支店だが、「ゴールデンゲイン」は渋谷支店、「ガヤルド」は川崎支店である。

 これは何を意味しているのか。

 「銀行ぐるみで審査書類の改ざんなどを認めていたということに他なりません。既に、銀行は5月15日の記者会見で、『多数の行員が、不正を認識していた』といい、その詳細の解明は第三者委員会に委ねた、と逃げていますが、それ以降も、続々と、行員が改竄を指示する証拠が見つかっています」(被害オーナー)

 証拠は、音声データやLINEなどの会話記録などに残されているが、事例は多く、しかも指示内容は様々で「一部の行員がやったこと」で済まされるレベルではない。

 さらに、「スルガ銀行」にとって致命的なのは、2000億円の融資残があるシェアハウス事業だけではないことである。

 融資総額3兆2000億円のうち、約1兆円がシュアハウスを含む一般のマンション、アパートローン向けパーソナルローンで、同じ状況を抱えている。

 他の地銀幹部が明かす。

 「地銀の平均貸出金利は1%台がやっと。ところが『スルガ銀行』は3%台の半ばをキープしていた。その理由が高金利のパーソナルローンで、しかも7%台のフリーローンを抱き合わせで借りさせるなど、収益確保になりふり構わなかった」

 審査書類を改竄して「貸せない層を貸せる層」に変えただけでなく、シェアハウス業者が行なう「頭金ゼロ」や自転車操業に陥るのが必至の「高利回り表示」を黙認していた。

 そこには、6期連続で増収増益を達成していた経営陣から現場への、強いプレッシャーがあったという。

 つまり、かぼちゃの馬車事件は氷山の一角。――個人向け融資に大きくカジを切り、高利回りのためなら手段を選ばず、怪しい業者も厭わないというスルガ商法が根底にあり、実態はスルガ銀行事件だった。

 今や“悪夢案内人”と化した「スルガ銀行」の株主総会は6月28日。――被害者オーナーたちが大挙して押しかけ、「詐欺商法に騙された」と、声を上げるのは必至!?今年最大の注目される総会となりそうだ。【寅】


2018年6月19日「個人を司法取引と通信傍受で丸裸⁉――警察国家への道、着々‼」<事件>

 
すべて丸裸?(☚wikipedia)

 

 警視庁が、日本大学アメリカンフットボール部選手の「殺人タックル事件」捜査に着手した。

 警視庁調布署が、タックルを受けた選手・家族の傷害罪での被害届と告訴を受けて、5月28日、東京・市ヶ谷の日本大学本部を訪れ、関係者の事情聴取を行なった。

 腰が重く、被害届や告訴告発を受けても、なかなか着手しない警視庁だが、国民注視の事件だけに、今回は動きが速かった。

 警視庁捜査一課と調布署が、総力を挙げ、実行犯の宮川泰介選手、直接、指示をした井上奨コーチ、指揮官である内田正人監督を調べることになる。

 着手は一斉に報じられたが、5月31日発売の『週刊文春』は、警視庁関係者の話としてこう書いた。

 「警察当局はすでに宮川選手と井上前コーチの携帯の通話記録を取り寄せ、井上前コーチが宮川選手に送信した“口止め”ともとれるメールも入手している」

 何気なく読めば、捜査は着実に進んでいるということだが、事件発覚から1ヵ月も経っておらず、被害届を受けて2週間に満たない時点で、当然、当事者の宮川選手や井上コーチの事情聴取に踏み切る前の段階で、なぜ通話記録を入手しているのか。

 考えられるのは、刑事訴訟法改正に伴う通信傍受法の改正で、通話記録やメールのやりとりを任意提出させたのではないか?ということである。

 刑事訴訟法の改正で、今年6月1日から司法取引が導入された。

 マスメディアは「司法取引とは何か」を、識者の解説や海外の事例をもとに説明しているが、実際のところ、司法取引第1号案件が現出しなければ、どんなものかを理解するのは難しい。

 指摘される「罪を逃れるための偽証」による冤罪の発生を含め、やってみないとわからないのは、検察、警察の捜査当局も同じだろう。

 だが、確実にいえるのは、被疑者となった国民は、国家(捜査当局)によって丸裸にされることである。

 被疑者や被告が捜査協力者となって検察と協議を重ね、組織トップや主犯格の犯罪摘発に協力。見返りに刑事処分の免責を得る「協議・合意制度」と呼ばれる司法取引は、対象犯罪数を一気に増やし、かなりの犯罪の通信傍受を認めた改正通信傍受法とセットになっている。

 証拠を改竄してまで厚労省女性局長を罪に陥れようとした「大阪地検特捜部事件」への反省から、取り調べの可視化(録音録画)が求められるようになった。

 が、そうなると贈収賄、脱税、談合、粉飾決算など国家秩序を揺るがす犯罪の摘発が難しくなるとして、法務・検察は新しい武器を求め、それが司法取引であり、通信傍受の拡大だった。

 二つ合わせて、捜査当局が手にしたのは、「供述頼りの捜査」からの脱却である。

 有罪判決を取るために、検事や刑事は密室の取調室で被疑者を徹底的に追い詰め、家族友人への事件の波及を臭わせるなどして落とし、それは供述調書にまとめられ、公判では絶対の証拠となった。

 刑事訴訟法の改正は、その無理を排する代わりに、被疑者を丸裸にして追い込むものである。

 スマートフォンの普及で、我々は、SNSやラインなどで通話歴、メール、位置情報などを残す。

 そうした情報を持つ通信大手や「フェイスブック」「ライン」などのプラットフォーマーは、裁判所の発する令状か、捜査機関が報告を求める捜査関係事項照会書によって、そうした記録を入手できる。

 そのうえ司法取引は、職場の上司、同僚部下が、刑事免責を求め、証拠を提出、証言を重ねるだけに、供述はもちろん、PCに入った資料、メール交換歴、備忘録などを提出。その結果、事件を含む被疑者の組織内での過去はすべて明らかになる。

 私的にも公的にも、捜査当局に狙われると、被疑者にプライバシーはなく、丸裸にされ、そのうえで追い込まれるのだから、「割り屋」と呼ばれるベテランの検事や刑事でなくとも自供させるのは容易だろう。

 そのうえに段階的に施行が続く刑事訴訟法の改正は、19年6月、暗号技術を利用した特定装置の導入で、最後の仕上げとなる。

 所轄の警察署にこの装置を配備すれば、被疑者の携帯、固定全ての通話が、圧縮され、すべて録音される。

 既に、国中に張り巡らされた監視カメラやNシステムと呼ばれるナンバー自動読み取り装置によって、国民は国家の監視対象とされているが、いったん捜査当局に狙われると、身内や同僚までが敵に回り、すべての会話やメールが筒抜けになり、証拠となって罰せられる可能性がある。

 それが、現在進行中の司法取引を含む刑事訴訟法の改正である。

 共謀罪は、司法取引や通信傍受法改正の対象には含まれていないというものの、捜査過程で得たメールや会話の記録が、共謀罪に援用される可能性は十分にある。

 つまり国民が、なんの気なしに使っている電話での会話やメール、パソコンの閲覧、スマホに残した移動記録などすべてが、捜査当局の捜査対象になるということだ。

 司法取引を含む刑事訴訟法の改正は、そんな警察国家への第一歩であり、国民はそれを自覚した対応を求められる時代となった。

 それは「日大事件」の何気ない報道にも表れている。【午】

 

 

 

 

 

 

 


2018年6月12日配信「『殺人タックル事件の深層』第3弾!――日大・田中理事長が繰り返してきた調査委員会利用のご都合主義」<事件>

             

                                                              

 

 「貝」になって殺人タックル事件から逃れている日本大学の田中英寿理事長だが、これまで修羅場を何度も経験してきただけに、思惑通りに「沈黙は金」の教訓は生き、和歌山ドンファン事件、米朝会談などに報道の中心は移っている。

 加えて、田中理事長には自分から説明することなく、外部の調査委員会に疑惑の解明を任せ、それで乗り切ってきたという過去がある。

 今回、日大は日弁連が定める「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に則り、勝丸充啓弁護士(元広島高検検事長)を委員長とする第三者委員会を立ち上げ、7月末までに結論を出すという。

 日大に利害関係のない弁護士を集めたとはいえ、発注者である日大にどれだけ厳しい報告ができるかは疑わしく、しかも調査の基本は「悪質タックル事件の真相」を探ることであり、それを生じさせた「ガバナンス体制の検証」は二の次である。

 内田正人監督・常務理事(辞任)の責任は追及されても、田中理事長の責任に行き着かないのは、本人は百も承知。だから「7月末に結果が出たら理事長が会見を開く」と、大塚吉兵衛学長に言わせている。

 こうした対応は今回だけでない。

 田中理事長は、過去2回、調査委委員会利用で逃げ切ってきた。

 最初は、本誌が「深層第2弾」の「日大問題の原点を指摘した驚愕の田中常務理事(当時)の黒い報告書」(6月5日配信)でお伝えした瀬在幸安元総長時代に「報告書」で暴かれた数々の疑惑である。

 この時は、必死の巻き返し工作で田中派の総長誕生に成功。疑惑の指摘にとどめて難を逃れた。

 しかし、同じ利権構造を続けていたことから、8年後の2013年、『読売新聞』が、「日大理事長に500万円超 都内業者から」(2月1日付)と、報じた。

 続けて読売は「資金提供問題 日大 05年に内部調査 報告書で疑惑に言及」と題して、「不透明な業者との疑惑」が、過去にもあったと指摘した。

 それまで「だんまり」を続けていた日大は、「一部報道機関の報道について、外部委員で構成する特別調査委員会を設置、調査を委嘱した」と発表。その結果を13年6月19日、大学のホームページで公開した。

 「委員会はこのほど、複数の記事に記載されている金銭受領の事実はいずれも認められないとの結論をまとめ、調査報告書として本学に提出した」

 複数の記事とは、最初の読売記事と疑惑の「報告書」のことを書いた続報である。

 最初の報道は「記事は証拠も示しておらず、重大な事実誤認と不正確な推論」と決めつけ、「報告書」については、「裏付け調査もせず、重大な事実誤認があり、根拠のない推論を述べているにすぎず」と、散々な書きようである。

 であれば、「読売新聞社」を訴えればいいと思うのに、訴訟にすることはせず、逆に16年のシーズンから日大は読売ジャイアンツの公式スポンサーとなるなど、読売グループとの親しさを増している。

 このスポンサー契約は、日大の申し入れで5月28日に解除されたが、調査結果が出ていない時点で、なぜ解除を急いだのかがよく分からない。

 調査委員会利用はもうひとつある。

 山口組・司忍六代目組長と田中理事長とのツーショット写真が出回り、それを海外紙が報じたのを受けて、15年4月、衆議院文部科学委員会で、「日本オリンピック委員会(JOC)副会長でもある田中理事長と日本最大の暴力団組長とが親密な関係ならゆゆしきこと」という質問が飛び出し、下村博文文科相が調査を約束した。

 具体的には、文科省がJOCに調査を命じ、それを受けてJOCが第三者委員会を立ち上げて調査、6月末までに文科相に報告した。

 ただ、この時の調査結果は、文科省もJOCも「プライバシーに関わることなので」と、明らかにしていない。

 特別調査委員会であれ、第三者委員会であれ、「この程度のもの」という“象徴”だろう。

 権力を握る者に都合のいい結論が出され、都合良く公表され、都合が悪ければ公表しない。

 さらに田中理事長は、今回の第三者委員会の調査に要する「2カ月」の猶予時間を得た。

 これでは日大疑惑の解明は、とても望め…ないだろう。【卯】

 

 

 

 


2018年6月9日配信<0510archives>「東京地検と警視庁が捜査着手した神戸製鋼事件の“元凶”は“シマブン”が著書『失権』で明かした腐敗の連鎖!」<事件>

鉄鋼業界再編のきっかけ?


 

 「神戸製鋼所」のデータ改竄問題は、東京地検特捜部と警視庁が合同捜査する一大経済事件となった。

 同社のアルミや鋼製部材は、航空機や自動車などに幅広く使われており、ユーザーは国内外に及び、現在、米司法当局も調査を進めている。

「データ改竄」は、他社でも発覚しているが、「神戸製鋼所」ほど長期間に及ぶ悪質なものはなく、高品質を誇ってきた日本の製造業の浮沈に関わる問題だとして、同社をやり玉に挙げざるを得なかった。

 これは検察・警察が一体となった「国策捜査」であり、場合によっては、今年6月に施行される「司法取引」の第一号となることが想定される。

 「特捜部としては、第一号案件はカッチリとした誰にもわかりやすい案件で手がけ、国民への周知徹底を図りたい。データ改竄は、誰がどう指示したかの供述を取るのが難しいが、司法取引は『上司の指示』を部下に供述させる有力な材料になり、罪は不正競争防止法違反なので、それほど重くなく、供述する側の精神的負担も軽い」(司法記者)

 国内外のユーザーと関係当局を納得させる捜査で、司法取引という新たな武器を試したいという検察の思惑の裏にあるのは、コンプライアンスの欠如した「神戸製鋼所」の企業体質への怒りだろう。

 奇しくも、昨年末、「神戸製鋼所の闇を背負ってきた男」といわれる「シマブンコーポレーション」島田文六前社長が、『失権』(幻冬舎)を上梓した。

 同氏は、関西の花街や高級クラブでの派手な遊興で知られ、中村美律子が大ヒットさせた『島田のブンブン』のモデルである。

 島田氏は、1965年の「神戸製鋼所」と「尼崎製鉄」の合併に伴う内紛を、神戸製鋼所側に付くことで勝利に貢献した。

 当初、「尼崎製鉄」サイドに付いていたのは、大物右翼の故児玉誉士夫氏であった。

 「神戸製鋼所」は、児玉氏の名代である総会屋・木島力也を寝返らせることで、「尼崎製鉄」を制したのだが、その軍資金(裏金)の調達係だったのが島田氏である。

 『失権』のなかで島田氏は、「B勘」による裏金作りをこう明かしている。

 <「B勘」と言われる裏金づくりは、製鉄所内から払い下げる発生品数量の調整で行われる。伝票上で発生数量が100なら、実際は110。その余分な10が、製鉄所の外で換金され裏金となる>

 島田氏は、この裏金づくりをその後も続け、歴代社長に貢献する。

 島田氏とともに、このシステムを築き上げた総務部長の鈴木博章氏が、論功行賞で11代社長に就任したのを機に、総会屋窓口の総務部長、総務担当役員経験者が出世する会社となり、亀高泰吉氏、熊本昌弘氏、水越浩士氏と続き、99年、神戸製鋼利益供与事件の発覚で、この系譜は断ち切られ、事件当時会長だった亀高氏も退任した。

 著書のなかで島田氏は、亀高氏のことを「朋友」と呼んで、その関係を懐かしむが、検察にとって亀高氏は、総会屋との関係のみならず、他国の政治にもクビを突っ込む危ない経営者だった。

 98年のベネズェラ大統領選で反米のウゴ・チャベス氏が当選するが、「神戸製鋼所」は対立候補に1億6000万円を献金。その後の株主代表訴訟で<右金員は、加古川製鉄所において生じたスクラップの売却代金を簿外処理することにより捻出>と書かれていた。

 こうして「神戸製鋼所」を40年近くも支え続けた島田氏だが、利益供与事件を機に、徐々に距離を置かれるようになり、08年のリーマンショックで受けた損失責任を問われ、やがて「シマブンコーポレーション」から追い出される。

 同時に、神戸製鋼経営陣の“総務部体質”に批判が寄せられ、技術畑からの社長が続くが、不祥事を隠す隠蔽体質が改められることはなく、06年、神戸、加古川両製鉄所で発覚した煤煙データ偽造事件、08年、子会社で発覚した検査データ偽造事件へと続く。

 検察の目には、「神戸製鋼所」は、コンプライアンスを無視、悔い改めることのない企業であり、その全てが明るみに出たことで今回の改竄が各部署で続けられ、それが数十年に及んだ、という日本の製造業を貶める事件と映った。

 東京地検特捜部は、警視庁と共同で、場合によっては司法取引も採用しながら徹底解明する方針である。【巳】

 

 

 

 

 

 

 


2018年6月5日配信「『殺人タックル事件の深層』第2弾!――日大問題の原点を指摘した驚愕の田中常務理事(当時)の黒い報告書」<事件>

 
震度8?(☚wikipedia)

 

 正直、食傷気味だが、「日大フェニックス・殺人タックル騒動」が収まらない。
 
 内田正人監督、井上奨コーチの対応の拙さが一番の原因で、「私が指示しました。申し訳ありませんでした。選手に罪はありません」と認めれば、ここまで炎上しなかったはずである。
 
 小誌は、5月24日配信で、「認めないのは、田中英寿理事長の”右腕”である内田監督が認めてしまうと、田中批判に繋がるからだ」と、その深層をお伝えした。

http://polestar.0510.main.jp/?eid=876782
 
 その第2弾として、田中支配の実態に迫りたい。
 
 田中氏は、学生時代、アマ横綱など数々のタイトルを総なめ。各界に入れば「最低でも大関は間違いない」と言われた強豪選手だった。

 

 しかし、卒業後は大学職員として残り、相撲部監督を務めた著名人だが、学究はもちろん経営にも縁がなく、アカデミックな人脈があるわけでもない。

 
 そんな田中氏が、昨年9月、4選を果たし、12年に及ぶ支配体制を確立できたのはなぜなのか。
 
 しかも田中氏には、業者との不透明な関係や暴力団関係者との交際を指摘され、弁護士で構成された特別調査委員会の調査を受け、数々の疑惑を指摘された過去がある。
 
 「責任を取らされて然るべき調査結果だったが、さらに調べると、そのカネが理事長、総長といった田中の『上』に献上されていた疑いもあり、調査は途中で中断された。それが逆に田中の力を強め、田中体制の確立に繋がった」(日大元理事)
 
 「黒」ではなく「灰色」に留め置いたことで、田中氏に権力を与える結果となった報告書とはどのようなものか。
 
 特別調査委員会の「中間報告書」は、05年8月15日、森田賢治理事長宛に提出された。
 
 「中間」ではあるが「最終」がない。
 
 報告書の提出直後、当時の理事長、総長が交代し、新執行部に引き継がれなかったためだ。
 
 しかし、「はじめに」に書かれた「今回の調査は、貴学校法人の常務理事田中英寿氏(以下田中常務理事という)の工事関係業者との金銭的結びつき及び暴力団関係者との交際関係の有無を主たる対象とするものである」という目的は、完全に果たしている。
 
 例えば、個別に最も関係が深いとされるX社(本文実名)については、00年から調査の05年までの間に17件と、実力以上の受注件数を誇り、これは「田中常務理事と同社の密接な関係を裏付けるもの」としたうえで、「同社は、田中常務理事の工事業者に対する謝礼要求に関与している疑いがある」とまで、書かれている。
 
 「工事業者に対する金員要求」の項では、「具体的な形で情報がもたらされるに至った」ということで、04年から始まった日大芸術学部江古田キャンパス工事のうちの電気工事について触れている。
 
 この情報提供に沿った調査は、一部本部教職員や弁護士の非協力によって不完全としつつも、受注企業の幹部役員が、A社を通じて指名・発注の謝礼を支払うのは当然と考え、「2回にわたりA社を訪れて、合計3000万円を本件工事の指名・発注に対する謝礼として(A社社長に)支払った事実が認められる」という。
 
 そのうえで報告書は、厳しくこう断じている。
 
 「かくして、田中常務理事が、芸術学部江古田キャンパス工事に際し、指名・発注に対する謝礼として金3000万円を受け取ったという極めて濃厚な疑いが残るというべきである」
 
 さらに、「暴力団関係者との交際関係」についても、イトマン事件の主役である許永中氏との関係を中心に、深い交際があったことを認めている。
 
 これについては、既に、さまざまな媒体で報じられた「組長との写真」などで関係は明らかなのに、田中氏の「写真は合成されたもの」という弁明はいかにも苦しい。
 
 本来なら、この「中間報告」の時点で、田中氏に身を退かせるべきだった。
 
 だが、田中氏は総長選挙における資金的貢献を材料に上層部を揺さぶり、居座ることができた。

 

 しかも、それが逆に「田中には触われない」という“暗黙”の了解事項になったという。
 
 アンタッチャブルになった田中氏は、08年、念願の理事長に就任。その直後から「中間報告」で指摘されたような“怪しいカネの流れ”を除外しようと、受け皿となる会社を考案、(株)日本大学事業部を設立する。
 
 同社は体育会の牙城となり、フェニックスOBの井ノ口忠男氏が実務を担い、それを先輩の内田常務理事が取締役として管掌、もちろん支配権を握るのは田中氏だ。
 
 職員は相撲部とフェニックスOBが中心で、井上コーチも最初、新卒第1期として同社に採用され、その後、日大職員に転じ、日大フェニックスのコーチとなった。
 
 田中理事長、内田監督、井上コーチが恐れたのは、田中氏が築き上げた「日大利権支配」が、殺人タックル事件を機に表面化することではなかったか。
 
 こう考えれば、あの異様な開き直りも得心がいくのであり、その源流は13年前の報告書に露呈していたのである。【卯】

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年5月29日配信<0510archives>「"忖度病"に罹患!?――法務・検察が佐川宣寿前国税庁長官の文書改竄・背任容疑の立件を見送り?」<事件>

 

「秋霜烈日 バッ...」の画像検索結果

 愁霜劣日?(☚wikipedia)

 

 

 「安倍一強」のなか、人事権を握られて官邸の顔色を窺いながら仕事をしていた「霞が関」の官僚が、「安倍離れ」を始めている。

 財務省も文部科学省も防衛省も、政権に忖度した結果、メディアの攻撃を受け、責任を取らされているのだから、距離を置き、文書も資料もメールも、差し障りがなければ公開しようと思うのは当然だろう。

 そうした状況のなか、どっちつかずなのが法務省・検察庁である。

 現在、「森友学園事件」に絡み、佐川宣寿前国税庁長官ら財務官僚の公文書改竄、背任事件などを捜査、既に大阪地検特捜部は佐川氏を事情聴取しているが、ゴールデンウイーク後に出される予定の結論は、「立件見送り」の可能性が高いという。

 当初は、やる気を見せながら、どうしてそうなってしまったのか。

 法務・検察は、法務省という立場では行政権を持ち、検察庁という立場で司法権を持つ二刀流官庁である。。

 そういう意味では、政治と行政に足場を置いた「監視役」を期待される官庁だが、2010年に証拠改竄事件を起こして以降、牙を抜かれてすっかり大人しくなった。

 本来、財務省の決裁文書が改竄された森友学園事件では、国民の負託に応えるべく、誰が、なぜ、「公文書書き換え」という民主主義の根幹を揺るがすような罪を犯したかを徹底解明すべきなのだが、『毎日新聞』が、4月13日、「佐川氏、立件見送りへ」と報じて以降、大阪地検、大阪高検から聞こえてくるのは、「虚偽公文書作成罪は、権限を持つ者が文書の趣旨を大幅に変えることが成立要件になるので立件は難しい」という悲観論ばかりである。

 証拠改竄事件は、大阪地検特捜部の主任検事だった前田恒彦氏が、郵便不正事件で起こしたものだったが、その前田氏が自身のブログでこう述べている。

 <虚偽公文書作成罪には当らないとしても、今回の決裁文書は森友詐欺や財務省背任事件の「証拠」のひとつなので、少なくともその改ざんや改ざん後の文書をシレッと大阪地検に提出した行為は、証拠隠滅罪に当ると思うのですが…>

 

 森友学園事件そのものは、官邸を忖度した法務・検察の「国策捜査」として始まった。
 
 蜜月の時代もあった安倍首相に梯子を外されて窮鼠となった籠池泰典前理事長が、「安倍昭恵夫人から100万円の寄付をいただきました」と、内幕を暴露したことから「籠池を許すな」という声が湧き上がり、「証人喚問に呼んで偽証罪でパクらせる」という官邸の意向を汲んだ捜査が始まり、補助金適正化法違反や詐欺で籠池夫妻を逮捕した。

 16年7月、官邸の覚えがめでたい黒川弘務・法務省官房長を法務・検察の意向を聞かずに法務事務次官に就けて以降、官邸は検察捜査を意のままに操れるようになった。

 「裏献金した」という業者の証言を無視、甘利明事件を不起訴処分にしたのはその典型である。

 これも忖度した結果に他ならないが、そうした官邸ベッタリの姿勢に批判的な幹部が現われるようになり、その結果、東京地検特捜部は「安倍首相や麻生財相のお友達が登場する」という「リニア中央新幹線事件」「スパコン事件」に捜査着手、大阪地検は、国有地を8億円も値引きして売却した「森友学園事件」で、財務官僚らの背任容疑での告発を受理。「早めに結論を出せ」という検察首脳の意向を無視するように特捜部が捜査を継続していた。
 
 そういう意味では、他省庁と同じ、官邸ベッタリを見直すのでは?と期待された。

 証拠改竄事件以降、8年もの空白期が続き、「事件への欲が出てきた」(検察OB)という側面もあっただろう。

 それで「立件せず」はない。

 『毎日新聞』の報道も、大阪検察幹部の声も、悲観的なものばかりだが、世論の反応を伺いながら立件してきたのが特捜部であり、それができるのは捜査権に加え、起訴独占権も持っているからであり、どの罪で立件するかは検察の裁量の範囲である。

 国会で偽証を続けて議事を混乱させ、公文書を改竄までして昭恵夫人を守り、証拠隠滅も背任も厭わなかった佐川氏らが起訴されなくてもいいのだろうか。

 有罪率99・9%の無謬神話を守るために起訴のハードルを上げているが、裁判員制度を始めとする司法制度改革が、公判で白黒をハッキリさせるためのものであったにもかかわらず、メディアと国会でこれだけ多くの疑惑が出ている財務官僚の「犯罪」を不起訴で終結させたのでは何をか況や。国民が納得しないのは明らかである

 先週末には「国策拘留?10ヶ月」籠池泰典前森友学園理事長が保釈、「再びの活躍」を宣言した。

 

 そうした折も折、もし『毎日新聞』の報道通りに立件が見送られれば、再び「特捜部不要論」が喧しくなるのは必至であろう。【戌】

 

 

 

 

 



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