2019年10月16日配信<0510archives>「企業保育でも活躍した学者政商・竹中平蔵氏に改めて問われる“罪”!」<政治>


貧乏エビス(Wikipedia)

 

「経済犯罪の巣窟」と指摘されていた企業保育の助成事業に東京地検特捜部のメスが入り、川崎大資被告らが逮捕・起訴された。
 
 改姓・改名前の塩田大介時代から「カネのためなら違法を問わず、使える人脈は何でも使う」といったタイプの人物だけに、「保育所落ちた、日本死ね!」のメールから始まったアベノミクスの目玉事業は、年間に1000億円以上も投じられながら、当初は児童育成協会の職員10数名が、申請書類をチェックするだけの大甘体制だっただけに、川崎被告にとっては格好の詐欺の舞台だった。
 
 事件化は制度を見直す良い機会となったが、この制度設計に政府の産業競争力会議(現・未来投資会議)が関わり、メンバ−の竹中平蔵氏が会長を務める「パソナ」が事業の中核を担ったことは、あまり指摘されていない。
 
 制度説明会は、16年度から全国で開催され、その多くを「パソナ」が受注した。
 
 また、「パソナ」は児童育成協会から委託を受け、保育所の指導・監督業務を行なっており、その委託料は6億9000万円(18年度)にのぼる。
 
 一方で子会社の「パソナフォスター」は、18カ所の企業主導型保育所を運営している。
 
 監督するものが運営する!――二律背反が批判されるのは当然だし、「なぜパソナなのか」と、問われた時、制度設計に竹中氏が関わったことが指摘されるのも当然だが、竹中氏はそれを臆面もなくやる人として“認知”されている。
 
「いかがなものか」ではあるが違法ではない。
 
「我田引水」をやるから竹中氏なのであり、だから「学者政商」と呼ばれる。
 
 公的インフラ運営の民営化についてもそうである。
 
 産業競争力会議で、空港6件、下水道6件、有料道路1件、水道6件などの民営化を数値目標として提案。その流れのなかで、18年、浜松市は全国で初めて下水道を民営化したが、それを請け負った「浜松ウォーターシンフォニー」には「オリックス」が出資。同社の社外取締役は竹中氏である。
 
 小泉純一郎内閣で金融相など主要閣僚を歴任。その勢いで、一度、参院議員となるが、小泉退陣に合わせて政界を引退、学究の道に戻って、慶応大学教授を経て、現在、東洋大学教授。その一方で産業競争力会議のほか「国家戦略特区」の政府委員を務めている。
 
 これは、特定の地区において規制を緩和、特定業者の参入を認めて支援する会議だが、ここでも「パソナ」「オリックス」が有利に特区参入を果たしている。
 
 まさしく「学者政商」の名に恥じない活躍ぶりだが、「いかがなものか!」で批判がとどまっていたのは、グローバリズムと新自由主義が、竹中氏の信念に基づくものであり、そこから導き出される「規制緩和と構造改革は、日本の成長に欠かせない」という認識が、国民にもあったからだ。
 
 それは、「自民党をぶっ壊す」と公言した小泉氏が、05年9月の郵政選挙の際、郵政民営化の「踏み絵」を踏ませ、反対の議員には「守旧派」のレッテルを張って刺客を送り込み、「既得権益を守ろうとする守旧派は日本のためにならない」と、国民に刷り込んだためでもある。
 
 しかし、今、竹中氏が推進した規制緩和と構造改革が、「成長どころか日本の不況を深刻にした」という批判が起きている。
 
「長引く不況は、平成とほぼ時期を同じくしてデフレが進行していたため」という認識が、経済界で共通のものとなっている。
 
 デフレは需要が不足して供給が過多の際に発生する。
 
 需要を増やすためには、正規雇用を増やして賃金を上げ、規制を強化して新規参入を阻み、料金の下落を防ぐなど、政府の権限を活用して供給サイドを絞り、需要を喚起すべきなのに、竹中路線は派遣の拡大やタクシーの規制緩和による料金と賃金の暴落など、デフレを進行させるものばかりだった、という批判である。
 
 自由競争は過当競争となって料金を引き下げる。参入障壁の撤廃は外資の乱入によって値引き競争となる。規制緩和は新規参入の業者を増やして過当競争を生む。――根っからの新自由主義者の竹中氏は、この混乱が、切磋琢磨となって日本の成長に繋がるという信念を持つのだが、デフレ下に行なわれたこうした施策は、ひとにぎりの成功者が総取りするという二極化を生み、大多数の国民の収入は上がらず、需要には繋がらないというデフレスパイラルを生んだ。
 
「学者政商」は、多くの国民を不幸にして“身内”を富ませているだけではないのか!――今やこうした批判が、“貧乏エビス”さながらの竹中氏に向けられているのだが、それに対する同氏の説得力ある回答は、未だない。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年10月10日配信「米トランプ大統領の“お墨付き”を得て、北朝鮮が次々に発射するミサイルへの対抗策は日本にあるのか?」<政治>

 
高価すぎる気休め?(Wikipedia)


 北朝鮮が、「飛翔体」という呼ぶミサイルを次々にぶっ放している。
 
 10月2日には、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を日本海に向けて撃ち、島根県隠岐諸島沖の排他的経済水域内に落下、安倍晋三首相は「国連決議違反であり、厳重に抗議して、強く非難する」と、記者団に語った。
 
 しかし、いくら抗議しても非難してもムダである。
 
 米・トランプ大統領は、米本土に届く中・長距離ミサイルの発射でなければ問題視しない考えを明らかにしているからである。
 
 その“お墨付き”を得て、金正恩・朝鮮労働党委員長は、国内向けには米国に屈しない姿勢を示し、日・米・韓にはミサイルというカードを有効に使うために、今後も発射を繰り返す。
 
 トランプ大統領のミーイズムがハッキリしている以上、「北の脅威」には自前でミサイル防衛を整えるしかないのだが、これがとてつもない“カネ食いシステム”で、しかも相手が精度を向上させる以上、永遠の未完成形で、そのうえ完全な防御はあり得ない、という厄介な“代物”である。
 
 日本のミサイル防衛は3段階。米国の早期警戒衛星によってミサイル発射の情報を得ており、兆候を掴んだ段階で陸海空のレーダー網で追尾、海上配備のイージス艦から海上配備型迎撃ミサイル「SM3」でまず迎撃、地上に近付けば地対空誘導弾パトリオットミサイル「PAC3」を発射する。
 
 だが、それだけでは弾道ミサイルの脅威に対応できないとして、現在、イージス・アショアの設置が決まり、予算化されている。
 
 ギリシャ神話の「女神・アテナが持つ、あらゆる邪気を祓う盾」を意味する「イージス」に陸上の盾の「イージス」を掛け合わせたイージス・アショアに対する期待は高かったが、その装備内容と予算が判明にするにつれ、批判が高まっている。 
 
 まず、レーダーシステムの脆弱さであるが、ロッキード・マーチン社製のLMSSRが選定され、それにアナログデータ用のベースライン9を組み合わせることになっている。
 
 専門家は等しく、「開発中で未知領域の多いLMSSRに、一世代前のソフト・ベースライン9の組み合わせはいかにも不自然。しかも、米海軍との互換性が考慮されていない。政治的な背景で決まったのではないか」(防衛省OB)と、指摘する。
 
 政治的とは、米海軍への装備品納入で最近、不調のロッキード社が、日本で巻き返し工作を行なったというもの。その真偽はともかく、コストが膨大になっている。
 
 当初、1基800億円(構想は秋田と山口の2基)から始まった取得費は、2基2474億円と膨らみ、30年間の維持・運営費を含めて4459億円と公表された。
 
 さらに、ミサイルの取得費、建屋の整備費などで数百億円、加えて開発案件なのでミサイル実験は日本の責任において行なわなければならず、それに1000億円超は確実で、最低でも6000億円、場合によっては1兆円近いと目されている。
 
 SM3、PAC3に、このイージス・アショアと、大枚を叩いたところで、完全防御にはまだ足りない。
 
「望ましいのは、迎撃対象を広範囲に設定する統合防空システム(IAMD)です。イージス・アショアでは対応できない弾道が低高度の新型ミサイル、巡航ミサイル、超音速滑空弾などへの対応も必要になります」(前出のOB)
 
 攻撃より防御の方が、当然、難しい。加えて、イージス艦やイージス・アショアのSM3だけでは足りないと、高高度迎撃ミサイルのTHAAD(サード)を導入したらどうか、という議論もある。
 
 ただ、それらをすべて揃えたとしても、同時多発のミサイル発射には到底、対応できず、何発かのミサイルは日本に到達。――つまり何兆円かけようと、ミサイル防衛は所詮、単なる“気休め”なのである。
 
 この現実を認めることなく、いくら膨大な資金を注ぎ込もうと単なる無駄遣い、「北の脅威」には向き合えないであろう。【酉】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年9月20日配信「談合=利権癒着で総工費が2兆5500億円に膨れ上がった辺野古新基地建設の醜悪」<政治>

 
辺野古岬(☚Wikipedia)


 県知事選、県民投票、沖縄衆院3区補選などで、ことごとく辺野古新基地建設反対の「民意」は示されているのに、昨年12月に始まった埋め立て工事は着々と進められている。
 
 これもまた「安倍1強」がもたらした強引な官邸主導によるものだが、工費が10倍に膨らんでいることへの批判が、まだまだ足りない。

 

 工費が膨らむ理由は、各種報道で暴かれており、『赤旗日曜版』(9月15日)は、埋め立てに使用する土砂の「官製談合」をスクープした。

 

 以下に経緯を辿ろう。
 
 信じられないことだが、政府は14年、計画段階での総工費を約2400億円と明かしただけで、以後、総工費を明らかにしていない。
 
 数字が大きくなれば、さらに反発が大きくなるためで、抗するように沖縄県は、約2兆5500億円という独自試算を公表した。
 
 7本で約78億円だった護岸工事の予定価格が、約12倍の約920億円となったことを受けてのもので、少し“乱暴”ではあるが、閉じれば強引にこじ開けるしかない。
 
 また、建設反対の「民意」の裏にある業界の「本音」が、談合という政官民の癒着を経て工費を膨らますという構図が明らかになってきた。
 
 現在、埋立用には「岩ズリ」という採石場などで出る砕石を使用しているのだが、単価は運搬費も含めて1平方メートル当たり1万1290円である。
 
 沖縄県の公共工事の資材単価表では、「岩ズリ」より良質な「雑石」で1平方メートル当たり4750円、国の出先機関の沖縄総合事務局で「岩ズリ」は3550円。つまり、辺野古の土砂は4倍近い高さである。
 
 この問題を今年1月、追及したのは『東京新聞』の「税を追う」取材班で、辺野古を含む一連のシリーズが評価され、7月に日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞した。
 
 「岩ズリ」の単価が高くなっているのには理由がある。
 
「原則として3社以上から見積もりを聴取する」という内規に反し、13社に「岩ズリ」の見積もりを頼んだところ回答があったのが1社だけ。単価を高くしたい業界の思惑に乗せられたわけである。
 
 この問題を『赤旗日曜版』が、さらに深掘りした。
 
 運賃込みで1万1290円という価格を、沖縄防衛局は入札前の18年1月25日、入札参加を希望するゼネコンに、「補足説明書」をFAXするという形で教えていた。
 
 入札前に単価を業者に伝えるのは、官製談合防止法に違反する恐れのある危険な行為。埋立工事は、5工区で18年2月8日に入札が実施され、大成・五洋・國場JV、安藤・間・大豊・大米JVなど本土と沖縄のゼネコンがJVを組んで受注した。
 
 総額は約240億円。埋立工事代金のうち岩ズリ関係費用が半分を占めるといわれているだけに、「官製談合」によってゼネコン各社はかなりの利益を手にしたことになる。
 
 また、1社だけ高値見積もりを提出したのは「琉球セメント」で、沖縄を代表する素材産業の同社は、自民党を中心に幅広い政治献金を行なっている。
 
 ここにあるのは、政官業の昔ながらの癒着構図である。
 
 埋立工事という今後、13年かけて実施される辺野古新基地建設工事の最初に、談合によって「みんなが食える体制」を確立した。
 
 「政」は公共工事を推進、「官」は高値見積もりを許し、「業」はカネと天下りで「政官」を支える!――絵に描いたような、三方一両得の“おいしいスキーム”である。
 
 実際、2兆5500億円に膨れ上がるかどうかは分からないが、「民意」が新基地建設に反対姿勢を示せば示すほど、思惑をひとつにする「政官業」の癒着は強まり、それが総工費を引き上げる。
 
 既に、まだ工事が始まっていない大浦湾側の海はマヨネーズ並みの軟弱地盤で、3年8カ月の地盤改良工事を予定しており、さらに埋立工事費用が嵩むのは必至である。
 

 いつ完成するのか、いくら掛かるのか、肝腎なことが分からぬままズルズルと!――辺野古新基地工事は、さながら”アリ地獄”の様相を呈しつつある。【酉】

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年8月30日配信「白紙から一転、誘致!――安倍=菅ラインを取り込んだカジノ利権の正体を“ハマのドン”が暴露」<政治>


 命懸けの89歳!

 

 林文子横浜市長が表明した「山下埠頭へのカジノ誘致」は、反対派が「だまし討ち」と批判、抗議活動を活発化させ、「ハマのドン」と呼ばれる藤木幸夫・横浜港運協会会長が記者会見を開いて、「死んでも阻止する」と訴えるなど、前途多難の船出となった。
 
 これまでの経緯を振り返れば無理もない。
 
 石原慎太郎、猪瀬直樹と続いた2人の元東京知事が「お台場カジノ」を推進していたのに、スキャンダルで失脚した舛添要一前都知事の後を受けた小池百合子都知事は、「東京オリンピックを控えてそれどころじゃない」と、完全に腰を引き、お台場は遠のいた。
 
 そこで色気を見せたのが横浜市で、林市長は2期目の14年には、カジノを含む統合型リゾート(IR)を検討するプロジェクトをスタートさせて以降、着々と準備を進めてきた。
 
 だが、17年7月の市長選では、「カジノ反対派」が多数を占める市民感情を考えて白紙撤回。「ハマのドン」も、当初は推進派だったが、「カジノ依存症問題を抱えているし、観光都市ヨコハマに相応しくない」と、反対派に回ったために、林氏の方針を支持した。
 
 ところが統一地方選、参院選を終えた8月22日、突如、カジノ誘致を発表。経済効果は年間6300億円〜1兆円、IRの訪問者数は年2000万〜4000万人、市への増収効果は年820〜1200億円と試算した。
 
 菅義偉官房長官を横浜市議となる前の議員秘書時代から知り、二階俊博・自民党幹事長など中央政界にも知己の多い藤木氏は、記者会見で「カジノ誘致」の裏を明かし、横浜港の港湾業者などで構成する横浜港ハーバーリゾート協会が公表した「カジノなしの山下埠頭再開発」を訴えた。
 
 カジノ誘致の裏とは何か。
 
 藤木氏は固有名詞こそ明かさなかったものの、林市長に次のような圧力があったことを示唆した。
 
 圧倒的なパワーを持つ米国のトランプ政権が、安倍晋三首相に首都圏でのカジノ推進を迫り、その意を受けた菅官房長官が、自らの選挙区である横浜でのカジノ誘致を“子飼い”といっていい存在の林市長に迫り、それを林市長は受けた――。
 
 そうした背景を証明するように、米カジノ運営大手の「ラスベガス・サンズ」が、林市長の発表に合わせて「大阪でのIRは追求せず、東京と横浜での開発機会に注力する」と、発表した。
 
 同社のシェルドン・アデルソン会長は、14年2月の初来日で、「日本に1兆円を投じる」と公言した人物で、同時に、トランプ大統領の最大級の支援者である。
 
 大統領選では、2000万ドル、就任式では500万ドルを寄付。日本円にすれば25億円を超えているわけで、日米の献金システムの違いとはいえ、これでトランプ大統領がアデルソン氏に配慮しない方がおかしい。
 
 事実、17年2月の公式訪米では、安倍首相とアデルソン氏らカジノ業者との朝食会をセッティングしたという。
 
 藤木氏は、「港湾業者が山下埠頭から追い出され、そこに外資がやってきてどうなるか。収益の7割を海外に持って行かれるだけじゃないか。山下埠頭を植民地にしていいのか」とも訴えた。
 
 実際、カジノで潤うのは運営会社。だからサンズだけでなく、「MGMリゾーツ」、「ウィン・リゾーツ」、「メルコリゾーツ」、「ゲンティン・シンガポール」など有力業者はこぞって日本への進出を目論んでいる。
 
 アデルソン氏ではないが、要するに1兆円投下してもカジノは儲かるのである。
 
 横浜カジノでサンズの攻勢が明らかになったその日、MGMは「大阪でのIR実現に全力を尽くす」と、発表した。
 
 横浜より一足早く大阪市は夢洲への誘致を行なっているが、ここでリードしているのはMGMと目されており、サンズが去って、MGMがさらに浮上した格好で、MGMと組んでいる「オリックス」の株価が急騰した。
 
 カジノで潤うのは誰か。――「ハマのドン」の反乱は、図らずもカジノ利権にうごめく日米の権力構図を浮き彫りにしたと言えよう。【巳】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年7月13日配信「公約はすべての弱者救済!――異色の候補者10人を擁立した山本太郎代表率いる『れいわ新選組』が台風の目に!」<政治>

 
台風の目!(☚wikipedia)

 

 

 21日投開票で行なわれる第25回参院選が、マスメディアの支持率調査や当落予想が活発になってきた。
 
 ただ、2000万円不足の年金問題などはあるものの、総じて与野党間の争点に乏しく、支持率は横這い、「自公優位」の情勢分析に変わりはない。
 
 そうしたなか、日本政治の方向性を占う”羅針盤”のような役割を果たすのが、山本太郎参院議員が率いる「れいわ新選組」が、何人の当選者を出すかである。
 
 「永田町の色もの」を自称、牛歩戦術など議会でのパフォーマンスが目立つ山本議員だが、「政治家としての伸びが著しい」というのが、政界ウォッチャーの共通した見方だ。
 
 「初当選の頃の訴えは反原発一本。ところが、れいわ新選組の立ち上げと、それに伴う消費税廃止を柱とする公約の熟度、3億円の寄付で10人の候補者を立てるという戦術、公約のバラ撒き批判をものともしない会話術、核心を衝く演説力は党首に相応しいものがあります」(政治部ベテラン記者)
 
 公約の「八つの緊急政策」は、1、消費税の廃止、2、最低賃金1500円、3、奨学金徳政令、4、公務員増員、5、第一次産業戸別所得補償、6、「トンデモ法」の一括見直し、7、辺野古新基地建設中止、8、原発即時禁止、である。
 
 公約は一見、「財源はどうする」のひとことで相手にされないような政策ばかりだが、反緊縮財政を基本とする山本氏の考えは、「不足財源は国債で!」というものだ。

 

 それは、最近、取り上げられることの多いMMT(近代貨幣理論)に依拠する発想で、インフレ率が一定の上限(例えば2%)に達するまで、財政赤字を認めるのである。
 
 山本氏自身は、財政に通じているわけではなく、MMTを完全に理解しているわけでもない。
 
 が、世界各国が、この間、行なってきたグローバル化、新自由経済主義のなかでの緊縮財政が、それだけ人々を痛めつけたかは知っており、そこからの脱却がなにより大切なことで、「財源」は二の次。「イザとなれば、富裕層や大企業から取ればいい」という考えが根底にある。
 
 それは、ひとり山本氏だけではない。
 
 反緊縮は世界的な潮流で、米・サンダース、英・コービン両氏などがその流れで、「左派ポピュリズム」ともいわれる。
 
 英のEU離脱や仏の黄色いベスト運動もその流れとして語られるのだが、新自由主義経済がもたらしたのは、二極化による大半の国民の窮乏だった。
 
 国家はその痛みに対し、「国に頼らなくて済むように、活力ある企業を育て、人を呼び込み、国力の増強を図る」と、我慢を呼びかけ、福祉や教育、公共投資などを削減してきた。

 

 が、富むのは資本家と多国籍企業ばかりで、彼らはグルーバル化のなか、国籍も居住地も納税地も選べ、国家への還元を意識しないのに、国民は窮乏を強いられたうえに、消費税を上げられ、年金をカットされ、「収奪される存在でしかない」ことに気づき始めた。
 
 それが、世界的に勢いを増す「左派ポピュリズムの正体」である。
 
 日本の分裂野党は、財政再建の呪縛から逃れられず、せいぜい「消費税の凍結」であり、自民党と同じ土俵で戦っている。
 
 もうひとつ世界的潮流のなかでは「右派ポピュリズム」もあって、広く捉えれば米トランプ政権もそれにあたるが、もっと狭義の移民排斥の極右政党を含め、日本では自民党がその受け皿となっており、ネット右翼や在日特権を許さない市民の会(在特会)も安倍政権を支持する。
 
 そういう意味で「れいわ新選組」は、世界経済の流れが生み出した貧困層、落ちこぼれ、年金生活者といった弱者に目を向け、その救済を第一義とする初めての政党である。
 
 その共感が、現時点で2億5000万円を超える寄付につながったのである。
 
 候補者は山本代表を含め10名。自身は、当選が確実な東京選挙区から立たず、代わりに自民党の補完勢力となった公明党の姿勢に異を唱える沖縄創価学会の幹部を擁立、そのうえ難病患者の2名を比例代表の特定枠(党が当選を優先)に入れるなど、文字通りの背水の陣。ここでもポピュリズム批判はあるが、それを含めて「すべての弱者救済」が山本氏の視点だ。
 
 支持政党なしが5割近い現状で、国家に疎外されていると閉塞感を持つ国民は少なくなく、その「受け皿」となった時、「れいわ新選組」は予想以上の当選者を出すかも知れない。【卯】

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年5月23日配信「ポスト安倍に急浮上した菅官房長官は、やはりナンバー2がお似合い⁉」<政治>

 
(Wikipedia)

 

 「安倍一強」を支えるシステムのひとつが、内閣人事局であることを疑う人はいない。

 「面従腹背」が「座右の銘」だと言った前川喜平・元文部科学省事務次官は、文科省放逐後も特異なキャラクターで生き残っているものの、前川氏が官房長時代に右腕だった佐野太、川端和明の両名は、文科省事件を引き起こして逮捕され、現在、被告人の身である。

 内閣人事局の今の局長は、元警察官僚の杉田和博・官房副長官。――内閣人事局は、人事で官僚を抑え込むだけでなく、官邸ベッタリとなった検察を動かすことができることを、文科省事件で証明、「霞が関」は震撼した。

 その内閣人事局を支配する内閣官房を牛耳っているのが、菅義偉官房長官である。

 「安倍一強」を支える「首相の女房役」は、行政機構と捜査権力に影響力を行使している。

 その女房役が、「ポスト安倍」の最右翼に浮上した。

 5月9〜12日の日程で訪米し、安倍首相を支える大物政治家であるとともに、次期首相候補でもあるということで歓待を行けた。

 ペンス副大統領、ポンペオ国務長官、シャナハン国防長官代行などと会談、「異例の厚遇を受けた(日本経済新聞・5月1日)」と、マスメディアは好意的に報じた。

 だが、国民的な人気があるとは言い難い。

 政治に関心がない、つまりは一般的な国民にとって菅氏は、「新元号の令和発表の際、額を掲げていた政治家」であり、ネットでは「令和おじさん」と呼ぶ。

 官房長官として記者会見を捌き、「ソツがなく、失言もせず、安定感がある」と、評されているものの、その手堅さは「面白みの無さ」でもあり、身にまとう暗くどんよりとした空気は、指導者のものではない。

 集団就職で秋田県から上京、段ボール工場で働きながら法政大学で学び、小此木彦三郎元代議士の秘書を経て横浜市議に。地方政治家として政治のノウハウを学び、国政に打って出て代議士となり、梶山静六、加藤紘一、麻生太郎、安倍晋三と、派閥にとらわれることなく担ぐ政治家を変え、“出世”してきた。

 苦労人で能吏であるのは間違いないが、その苦労が「顔」に出てしまうタイプ。また、したたかに政治の海を遊泳しながら出世してきた人だけに、しがらみが多く、その付き合いが「陰の部分」となって印象を暗くする。

 その典型が、港湾業者の「藤木企業」を率い、“ハマのドン”と呼ばれる藤木幸夫氏との関係だろう。

 藤木氏は、師の小此木氏の親族であり、市議時代からの有力スポンサー。16年の段階では、カジノを含むIR(統合型リゾート)積極派だった藤木氏が、翌年には「カジノ反対」に回って、IR推進派の菅氏は面目を失うが、藤木氏には文句も言えず、横浜カジノは急速に萎んでいる。

 「売り物」の官邸主導にしても、自ら乗り出しての工作は失敗続き。典型が馬毛島だろう。

 防衛省と地権者の立石勲・タストンエアポート代表との関係がこじれにこじれ、暗礁に乗り上げた時、官邸が乗り出した。

 具体的には、菅官房長官の指示で和泉洋人・首相秘書官が動き、昨年10月、タストン社の代表を立石氏から息子に代え、その“見返り”に110〜140億円の売値を160億円に引き上げ、今年1月、仮契約を結んだ。

 ところが、立石氏は株主権を利用して社長に復帰、国に「絶縁状」を叩き付けて、新たなスポンサー探しに入っている。

 この間、捜査権力を使った脅しもかけたが、86歳の強欲で頑固一徹の立石氏には蟷螂之斧。菅氏の完全な読み違いである。

 官邸に集中する権力の担い手として、「ポスト安倍」に急浮上した菅氏だが、官房長官の職権利用以外にさしたる政治力はない。

 また、良くいえば地味、悪くいえば華のカケラもない暗い70歳を迎えた苦労人を、国際政治のひな壇に並べたいと思う国民は少なく、「ポスト安倍」は、あくまで永田町の政治力学のなかで生まれた徒花的観測であろう。【巳】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年5月14日配信「『令和の決断』で辺野古移設見直すべきでは?――2兆5000億円を投じて13年後に完成の米軍基地に意味はあるのか⁉」<政治>

 
玉城デニー知事(☚Wikipedia)

 

 昨年9月の県知事選、今年2月の県民投票、そして4月21日に投開票された衆院沖縄3区補選――平成最後の年、沖縄県民は“トリプル”で辺野古移設反対の「民意」を示した。

 その10日後、令和の時代となった。

 今こそ「令和の決断」――安倍政権は、これ以上、沖縄の民意を無視することなく、名護市辺野古で進めている土砂搬入を中断、再考すべき時にきているのではないだろうか。

 沖縄県民だけではない。

 本土の多くの国民も、沖縄県民の気持ちを踏みにじって強引に工事を進めることに賛成ではない。

 『朝日新聞』が今年3月に行なったデジタルアンケートによれば、「名護市辺野古の埋め立てを続行すべきかどうか」という質問に対し、8割の人が「沖縄の反対は明確で、一から議論し直すべき」という回答だった。

 「朝日新聞だから…」と、色眼鏡で見る必要はない。

 感情だけでなく、現実的な移設工事の面でも、「埋め立て続行」に赤信号が点滅している。

 沖縄県の玉城デニー知事は、昨年11月28日、安倍首相との会談で、「移設に関わる総事業費は約2兆5000億円で防衛省当初計画の10倍となり、完成までの期間も当初予定を大幅に上回る13年」と、伝えた。

 これも、「移設反対の沖縄県知事だから」と、眉に唾する向きもあろうが、埋め立て利権を享受する沖縄県の建設業者が、こんな“本音”を漏らしていた。

 「想定以上の軟弱地盤だった。マヨネーズ状といっていい。相当な難工事になると思う。砂杭が何本必要か、検討がつかない。もっとも、その分、工費が膨らみ、工期も長くなるわけで、我々にとっては朗報だ」

 辺野古に普天間飛行場を移設、V字型滑走路を建設するために、約160ヘクタールを埋め立てねばならないが、6割以上の埋め立て区域となる大浦湾側は、水深が深く、軟弱地盤であることが明らかとなった。

 防衛省が国会に提出した地盤に関する報告書などによると、深さ90メートルでも地盤強度が基準値を下回る地点があったことで、防衛省は地盤改良工事を実施、約7万7000本の砂杭を打つことになっている。

 だが、作業船で打てる砂杭の深度は70メートルまで。残る20メートルは、地盤沈下を招く未改良部分ということになる。

 もともと、埋め立てに使う土砂は東京ドーム16・6杯分の約2000万立方メートルだったが、砂杭分も含め、相当な増量は否めない。

 それに加えて、「未改良部分」を残せないのは必定で、全国各地から土砂を集めないと間に合わず、それもあって工費は跳ね上がる。

 埋め立てのためには護岸工事が必要で、22本が建設されることになっているが、このうち7本分に投じた資金で、当初計画を12倍近く上回った。

 東京五輪予算に象徴されるように、「小さく産んで、大きく育てる」のが、公共工事に取りかかる際の役人の“習性”だが、この工事でも防衛省は、14年、沖縄県に「総事業費は約2405億円」と、届け出た。

 反対を顧慮した数字であるのは間違いなく、それは護岸工事の膨らみでも明らかで、そこから難工事の地盤改良に土砂搬入となれば、県が10倍と試算するのも無理はない。

 加えて、地盤改良工事には設計変更の申請が必要だが、県は決して承認しないのは明らかで、国は違法確認訴訟などで対抗するので、そのため工期は更に伸びる計算だ。

 それまで普天間の騒音と危険性が放置されたままなら、何のための辺野古移設なのか。――原点に立ち返って再考すべきだろう。【戌】

 

 

 

 

 

 

 


2019年4月23日配信「”ファースト”は都民ならぬ知事の座⁉――野田前特別秘書を東京都水道事業の中核企業に厄介払いした小池都知事の面妖人事⁉」<政治>

小池百合子都知事
(☚wikipedia)


 「緑の小池劇場」は遙か昔の出来事。今は、言いたい放題に罵った都議会自民党に再選狙いで頭を下げるなど、「政界渡り鳥」の面目躍如たるものがある小池百合子都知事が、今度は「都政の私物化」を断行した。

 4月12日、東京都水道事業の中核会社「東京水道サービス(TSS)」の社長に野田数前特別秘書(45)が就任すると発表したのだ。

 同社は株式会社だが、都が51%の株式を持つ外郭団体。都知事が「推薦」すれば自動的に社長となる。

 「TSS」は、同日、臨時株主総会を開いて野田氏の社長就任を決めた。

 「TSS」は、売上高160億円、従業員数約1400人の中堅企業だが、歴代の社長が水道局長経験者で、出向者やOB雇用で都の関係者が2割強を占めるという究極の天下り組織である。

 その気の緩みがガバナンス不全につながり、贈収賄、情報漏洩など不祥事続きで、昨年10月からは談合を疑って公正取引委員会が調査に入っている。

 そんな“緩み”を理由に、小池知事は「画期的な時期を迎えている今だからこそ、彼の突破力に期待したい」と述べ、「天下り批判」を一蹴した。

 「画期的」とは、水道事業の統合計画を指す。

 「TSS」は技術系の会社で、施設管理や国内外のコンサルタント業務を行なっているが、ほかに営業系の「PUC」という料金徴収を含む営業系の外郭団体もあり、こちらには約600名が在籍、19年度内に両社は経営統合することになっている。

 それを小池氏の側近として都知事選を戦い抜き、都議選で都民ファーストの会を躍進させる原動力となった野田氏に委ねるというのだ。

 確かに「しがらみがない分、大胆に立ち回れる」という良さはある。

 だが、都の水道事業を担うのだから、社長は、技術力とマネジメント能力の二つを備えていなければならない。

 ところが、政治経験といっても、市議2期に都議が1期。後は、アントニオ猪木氏や小池氏の秘書として、政治の裏舞台で根回しに当たってきた経歴の野田氏に、2000人を束ね、水道事業全般を仕切り、東南アジアを中心に海外にまで広げている水道事業を、さらに躍進させることができるのか。

 しかも、小池氏の動機が不純である。

 小池氏と野田氏の仲違いは、都民ファーストの会など“仲間内”でもよく知られていた。

 「(17年7月の)都議選の大勝に小池さんは舞い上がり、日本初の女性宰相も可能だとして、希望の党の設立に乗り出したものの、『排除の論理』でブームは終焉。以降、小池さんへの期待は急速にしぼんでしまった。この国政進出に猛反対したのが野田さん。以降、2人の仲は悪くなる一方だった」(都議会関係者)

 人に任せることが苦手な小池氏は、「表」も「裏」も自分で仕切ろうとする。

 小池劇場の頃は、「裏」を行なう余裕はなく、野田氏に託したが、国政進出で対立、ブームが去った後は、「都民ファースト会の土台を作ったのは自分だ」という意識の強い野田氏がじゃまになってきた。

 18年になると、野田氏への依頼事項は減り、野田氏の登庁回数もめっきり減り、「退任はいつか」と、公然と語られるようになった。

 が、「裏」を担った野田氏を簡単には切れず、報酬にしても、年収1400万円超の特別秘書報酬と遜色のないところを“世話”しなければならない。

 その時、白羽の矢が当たったのが、「ガバナンス再構築」という面目が立ち、報酬的にも約1400万円で横並び。さらに社長改選期という絶好のタイミングにあった「TSS」だった。

 「適材適所」も「突破力」も取って付けた理由。要は権力利用の人事であり、都政私物化の極みという他ない。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年4月7日配信<0510archives>「『もんじゅ廃炉』で文科省が権益を失う一方で、経産省は『核燃料サイクル堅持』で焼け太り!」<政治>

 

(☚もんじゅwikipedia)

 

 

 1兆円もの国費を注ぎ込みながら、94年の初臨界(原子炉内での継続した核分裂連鎖反応)以降、200余日しか稼働せず、「原子力政策失敗の象徴」と言われた福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉が、避けられなくなった。

 青森県六ケ所村の再処理工場で使用済核燃料を溶かしてプルトニウムを取り出し、それを燃料として「もんじゅ」で使用、原子力発電を行うことは、ウラン資源問題と核廃棄物問題の双方を解決する手段にもなることから、大きな期待を集めてきた。

 ところが、冷却に使うナトリウムの取り扱いの難しさから本格稼働には至らず、発電できないどころか稼働さえままならず、黙っていても年間200億円もかかる「無用の長物」と化していた。

 実用化されれば「夢の原子炉」であるのに違いはなく、監督官庁の文科省は将来性をアピールし続けたが、再稼働には5800億円を要するという試算も明らかになり、政府は廃炉を決断した。

 この決断に対し、文科省は最後まで抵抗した。

 原子力規制委員会が、昨年11月、文科省傘下の「日本原子力研究開発機構」に代わって運営する組織を、半年をめどに見つけるよう、当時の馳浩文科相に勧告を突きつけた。

 「研究炉は文科省、実用炉は経産省」という“縄張り”のなかで権益を失いたくない文科省は、専門家会議を開いて「受け皿」を探す“フリ”はしたもののポーズだけ。実際は、今年5月、「御用学者たち」に玉虫色の「中間報告」を出させてお茶を濁し、継続を図ろうとしたが、「それならば廃炉しかない」という結論に至った。

 今後は、研究開発は継続するものの、「日本原子力研究開発機構」が持つ小型実験炉「常陽」やフランスの実験炉参画など、“細々”としたものに限られる。

 本来、「もんじゅ」は核燃料サイクルを担う中核施設であり、ここがなくなるということは、プルトニウムを取り出す再処理工場を含むサイクル全体の見直しにつながるハズだ。

 巨費を投じながら完成していないのは、再処理工場も同じである。

 こちらを所管するのは経産省。安倍政権への"影響力"が強いことで知られる経産省は、官邸だけでなく電力業界などへの根回しも怠らなかった。

 「もんじゅ廃炉」が話題となっていた9月16日、「電気事業者連合会」の勝野哲会長(中部電力会長)は、記者会見で「(『もんじゅ』がなくても)核燃料サイクルは成り立つ」と延べており、業界側からサポートした。

 核燃料サイクルは「もんじゅ」だけではない。

 もうひとつの柱がプルサーマル発電で、プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を普通の原発で使う事によって、サイクルは堅持できるという理屈である。

 官邸と経産省には、もうひとつ狙いがある。

 日米原子力協定の延長である。

 この協定は、非核保有国の日本だけに使用済核燃料を再利用する核燃料サイクルを認めたもので、1988年に発効し、30年後の2018年7月に期限切れとなる。

 既得権益確保には、「もんじゅ」は廃炉でもMOX燃料使用のプルサーマル発電は続けなければならない。

 原発再稼働を含め、事故があり、廃炉費用が問題となり、核燃料サイクルの前提が崩れても、経産省はフロントエンドの発電も、バックエンドの廃棄物最終処分に至る過程も、強く握り続けて離さない。

 そこには「トイレのないマンション」と揶揄されて久しい廃棄物最終処理が今も決まらない国民の不安への配慮はなく、あるのは省益堅持の満足感だけ。――「もんじゅ廃炉」の裏でほくそ笑む官僚がいることを忘れてはいけない。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 


2017年10月7日配信「豊洲市場と東京五輪を中断、国政に歩を進める『小池流改革大作戦』の功罪」<政治>

 
小池百合子東京都知事
(☚wikipedia)


 「情報公開を徹底し、しがらみ政治から脱却する」――設立された希望の党の代表に就任した小池百合子東京都知事は、開口一番、こう強調した。

 側近の若狭勝衆院議員も「25年の検事生活で痛感したのは、しがらみなき政治の必要性」と、訴えている。

 希望の党のキーワードは、「しがらみ」であり、それが日本の改革を妨げている以上、そこからの脱却を標榜するのは当然である。

 同時に、切るに切れないのがしがらみであり、その因習ともいえる連続性や、関係を保持することによる居心地の良さを放棄するのは大変だ。

 “ジャンヌ・ダルク百合子”は、そこに果敢に挑戦した。

 豊洲と五輪の中断は、しがらみだらけの密室政治で行われてきたことをオープンにするための作業であり、一旦、リセットした。

 その決断と、長きにわたり“都議会のドン”として君臨した内田茂前都議に代表される都議会自民党を敵に仕立て上げる戦略のうまさで、自らの手兵となる都民ファーストの会を都議選で大勝させた。

 だが、しがらみは断たれていない。

 自民党と公明党という保守勢力が、東京都の官僚やゼネコンなどの業界と、戦後、一貫して築き上げてきた政・官・業の癒着のシステムが、知事ひとりの力で簡単に変えられるわけはない。

 小池代表が5年、10年と知事を続け、都の官僚を完全に従わせ、都が主導する競争を前提とした入札などのシステムを、業界側が無理なく受け入れて初めて「しがらみなき政治」は完成するのだが、それまでは、副作用の方が大きい。

 小池代表が都知事になって取り組んだのは、「豊洲市場と東京五輪の見直し」である。

 その結果、豊洲では「盛り土問題」、五輪施設では「無駄な歳出」が判明して、移転と工事は中断。「決定の不透明さ」は明らかにされたが、かえって費用は膨らみ、スケジュールは遅延している。

 それを如実に表すのが、豊洲土壌汚染対策の追加工事である。

 豊洲が入札不調となって焦った東京都は、業界に参考意見を聞く形で、14年2月に再入札。青果棟を「鹿島JV」が約259億円で、水産仲卸売場棟を「清水・大林JV」が約436億円で、水産卸売場棟を「大成JV」が約339億円で夫々、落札した。

 スーパーゼネコン4社による「予定調和の世界」である。

 この3棟に「盛り土」がなされておらず、散々、批判を浴びた東京都は、地下空間の床にもコンクリートを敷くことになり、9月19日、「地下ピット床面追加対策工事」の入札を行った。

 だが、いずれも1社しか応札せず、不調となった。

 「小池改革」によって入札制度は変わり、6月から競争相手のない1社入札は認められなくなったからである。

 再公告に向けた発注条件などの見直しはこれからだが、来年6月までに完成させるというスケジュールは遅延する可能性が濃厚である。

 不調原因についてゼネコン幹部はこう説明する。

 「追加工事は、全てを知り臨機応変に対応するためにも最初に施工した業者が請け負うのが当たり前です。だから他の業者は手を上げないのです。見積もりなどするだけムダ。それをダメと言っていたのでは、話は前に進みません」

 これが公共工事の"現実"である。

 このシステムを維持するために、スーパーゼネコン4社は7人から9人の都の官僚を天下りで受け入れ、自民党都議を「票とカネ」で支え、都の官僚は仕事で業者と政治家に配慮、政治家は口利きで業者を、予算と人事で官僚を遇してきた。

 しがらみはこの"システム"のなかで生まれ、過去に都政を支配したこともある旧民主党も壊せなかったのである。

 容易には壊せない"壁"にぶつかって結局、小池氏は退歩した。

 五輪は会場などの施設見直しをぶち上げながら、ほとんど当初の計画のままに終わり、築地移転では「豊洲を活かし、築地を守る」という玉虫色のキャッチフレーズにより、コストは逆に大幅に増加した。

 しがらみは「日本型システム」の根幹を成している。

 脱却は、言うのはやさしいが実行に移すとなると困難なうえにコスト高となることは否めない。

 それを承知で「都民」は都民ファーストの会を選択したわけだが、都政をステップボードに、希望の党を率いて国政に軸足を移す小池代表を「国民」は、どう評価するのか。

 

 「選別させてもらう」――折しも、言わずもがなのひと言で"合体"するはずの民進党が"分裂"、同党のリベラル派とされる枝野幸男代表代行らを中心に立憲民主党が発足した。

 

 寄り合い所帯の民進党だけに、ある意味、当然の結果とはいえ、「小池代表の強引な手法が強調されたことで、これまで無敵だった"百合子パワー"に翳りが生じた」(全国紙政治部記者)のは明らかで、さらに都民ファーストの会の立ち上げ人である音喜多駿、上田令子都議が離党を表明、希望の党の足許に"亀裂"が生じ始めた。

 

 騎虎の勢いで東京都議会を制圧、余生を駆って国政に挑戦!――10月10日告示、22日投開票!――都議選のような"風"が吹くのか、それとも…?――衆院選で問われるのは「小池流ポピュリズム」の是非である。【戌】

 

 

 

 

 

 

 



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