2020年7月7日配信「イージス・アショア騒動を奇貨として安保戦略改定、憲法改正へと向かう安倍首相の計算と目算」<政治>

 
時代遅れ?(☚wikipedia)

 

 閣僚が、管掌する省庁の事業を自ら投げ出し、一からやり直すなど、聞いたことがない。
 
 河野太郎防衛相は、それを実行、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備停止に踏み切った。
 
「一言居士で言い出したらきかない。党の行革推進本部長を務め、ムダな予算にはひときわ厳しい太郎さんだからできたこと」(自民党関係者)
 
 2基1600億円で始まったイージス・アショア配備予算が、いつの間にか膨れ上がって約6000億円になり、発射後に切り離される推進装置のブースター改修のために約12年2000億円もかかるというのだから、停止は英断である。
 
「ミサイル防衛そのものが古くなっているのに、12年後では北朝鮮や中国の新型ミサイルに対抗できず、無用の長物となっている恐れがあった」(防衛省OB)
 
 その英断を認めたのは官邸だが、前代未聞の「事業停止」の背景には、「総裁任期があと1年でレイムダック化している中、最近はこらえ性がなく、すぐに認めてしまう。」(政治部記者)と、安倍首相の“やる気のなさ”を指摘する向きもあるが、一方で「憲法改正へ向けた深慮遠謀がある」(官邸筋)と、“深読み”する人も少なくない。
 
「首相は、敬愛する祖父・岸信介の悲願だった憲法改正を、なんとか成し遂げて、自分のレガシー(遺産)としたい。もちろん衆参議員3分の2以上の発議に、国民投票で過半の賛成とハードルは高い。でも、任期内にやり遂げたいし、そのためにはなんだってする。イージス・アショアの配備停止に合意したのも、戦略のひとつだ」(同)
 
 そういえば、安倍首相は配備停止を契機に、安保戦略の包括的な見直しに着手する方針を固めた。
 
 6月18日、国会閉幕を受けた記者会見でこう述べている。
 
「相手の能力が、どんどん上がっていくなかで、今までの論義に閉じこもっていていいのか。抑止力とは何か。突き詰めて考えないといけない」
 
 そこにあるのは、かねて持論の「敵基地先制攻撃」である。
 
 国会答弁で、「今まさに日本を攻撃しようとしているミサイルに対して、『米軍が攻撃して下さい』と、頼む状況でいいのか」と、踏み込んだこともある。
 
 自民党内では、イージス・アショアの配備停止を機に、敵基地攻撃の議論が盛り上がっており、7月中に党の提言を政府に提出することになっている。
 
 この動きを後押ししているのは首相であり、そうなると公明党が反対するのも折り込み済みである。
 
「自公連立の弱味は、公明党が改憲に慎重なこと。これまでは譲歩を続けてきたが、安倍さんとしては、宿願の改憲のためには、公明を揺さぶらなければならない。そこで、コロナ対策で急速に人気を高めた日本維新の会との連立を匂わせて、『改憲を認めて連立に残るかどうか』と、踏み絵を踏ませるのではないか」(前出の自民党関係者)
 
 今、総選挙をやれば、自民党は大幅に減少、公明党は横這い、維新は吉村洋文大阪市長の人気もあって、かなり議席数を増やすと見られている。
 
 人気が下降気味の安倍政権だが、過剰流動性相場で株価が堅調、大盤振る舞いの財政出動で景気の底割れを防いでおり、夏に向けてコロナ感染者数がそれほど増えなければ、共闘できない野党のだらしなさもあって、「改憲勢力3分の2」を確保するという見通しもある。
 
 安保戦略の見直し課題は、第一にイージス・アショアの代替案をまとめることだが、ほかにサイバー・宇宙空間での安保対応、感染症の水際対策など、安全保障の概念から幅広く諸問題に対応する。
 
 その際、コロナ禍でハッキリした危機管理対応の拙さ、責任の所在がハッキリしない体制の見直しが論義され、その時、自民党の改憲4項目にある緊急事態条項が、「パンデミックのような非常時、都市封鎖も可能な強権が必要ではないか」と、急浮上するだろう。
 
 今のままでは改憲は遠い。だが、コロナとミサイル防衛を端緒に改憲論議を高めることはできる。
 
 残り少ない?余命の前に改憲!――安倍首相は河野防衛相の決断を奇貨として、新たな改憲シナリオを描き始めたのではないだろうか。【🐓】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2020年6月30日配信「一騎打ち?気配の都知事選は、国政への野望を秘めた小池百合子、山本太郎両氏のポピュリズム対決!」<政治>


  ポピュリズム対決(wikipedia)

 

 密集を避けなければならず、いつもより控え目な都知事選だが、その分、各候補の公約は華やかで夢に満ち、コロナ禍で打ちひしがれた都民に「安全安心」を約束する。
 
 いつも繰り返される光景とはいえ、事実上の「2強」となった小池百合子、山本太郎両氏に、都知事の座を“踏み台”としか考えていない姿勢がうかがえるだけに、そのポピュリズムに溢れた公約が気になる。
 
 自治体首長の立場でそれが可能なのか――。
 
 小池氏が、前回の知事選で訴えた“七つのゼロ”(=待機児童、満員電車、残業、都道電柱、介護離職、多摩格差、ペット殺処分をゼロにする)という公約を記憶している人は少なかろう。
 
 賑々しく並べられた、これらの公約のうち、達成したのはペット殺処分だけだった。
 
 今回の公約は、東京版CDC(疾病対策センター)の創設も含めたコロナ対策が主で、未達成の前回公約については、「都の長期計画に折り込み済み」だという。
 
 1期4年の小池都政でハッキリしたのは、都民の生活より自分を際立たせるのが第一目的だったことだ。
 
 16年8月の就任直後、豊洲移転東京五輪に言及、「都民にとって大切なものは何か。立ちどまって考える」と、再考を訴えた。
 
 その後の移転延期による「盛り土騒動」や五輪施設の再考による「黒い頭のネズミ騒動」は、今も記憶に焼き付いている。
 
 テレビのワイドショーを中心にした“小池劇場”が約1年も続き、移転問題では石原慎太郎元都知事と歴代の都の中央卸売市場長が、五輪問題では黒い頭のネズミの筆頭とされた内田茂前自民党都議が、それぞれ敵役となって攻撃された。
 
 だが、小池氏が創設した希望の党が「排除発言」で失速、17年10月の衆院選で惨敗すると、小池ブームは一挙に去り、今回、コロナ騒動で復活、その勢いのまま都知事選になだれ込むまでは、「そういえば、何をなさっていたんですかね。シンポジウムや新規プロジェクトなど華やかな席に出席するのは好きで、よく企画させていたけど、地道に公約に取り組む姿は記憶にない」と、都の職員ですら思い悩む。
 
“豪華な公約”という意味では、立憲民主、社民、共産などの支援を受けた宇都宮健児氏のお株を奪う形で、小池氏の対立候補となった山本太郎氏「東京都8つの緊急対策」――全都民に10万円を給付、授業料の1年間免除、中小企業・個人事業主のマイナス分の補填、病院への診療報酬額の補償、医療従事者などへの日額2万4000円の危険手当、第2波、第3波の場合の10万円給付――も引けをとらない。
 
 8つ公約のうちのひとつである「コロナ損失の底上げ」の財源は、15兆円の地方債で賄えると言い、そのほか、都職員の増員、低廉な家賃で利用できる住宅の確保、コロナ対策の充実、災害対策、保育所や特別養護老人施設の増設と介護・保育職の処遇改善と、7つの公約が並び、政策課題は一挙に解決する勢いである。
 
 だが、いくら大都市・東京の知事といえども、一自治体の長に過ぎない。
 
 MMT(現代貨幣理論)の信奉者として知られる山本氏は、前回、参院選の時のように、「財源は国債を発行すればいいんです。国家の借金は国民の資産。自国通貨建ての国債発行で国が破たんすることはありません」と、主張できない。
 
 今回は国債の代わりに地方債の発行を主張するが、公債費率には上限もあるし、地方税収など東京都の財源のなかから返済しなければならず、MMTと違って財源は無尽蔵ではない。
 
 さらに山本氏は、国に働きかけることにより、国の政策とリンクさせることを主張するのだが、そもそもMMTでも青天井の紙幣発行=国債増発が認められているわけではない。
 
 増刷が貨幣の信認を失いかねず、将来のハイパーインフレに繫がりやすいことから、調整は「課税」で行うことになっている。
 
 つまり税によってコントロールするわけだが、これは憲法84条に基づく租税法律主義に沿って行わねばならず、国会の同意を得るのは容易ではない。
 
 所得税も法人税も大企業、富裕層は反対で、それを覆すのがどれほど大変かは、消費税アップ論義が証明する。
 
 結局、山本氏が見据えているのは「国政」である。
 
 れいわ新選組人気を落とさず、選挙資金を集めるためにも、恒常的な山本氏の活動は欠かせず、コロナ禍で全国を回る辻説法が出来なくなったために、都知事選を選んだ。
 
「反緊縮財政、格差是正の旗」は、財源確保という意味で都知事の範囲ではないことを知りつつ、次の衆院選に繋げるためには掲げる旗を大きく振る必要があるのである。
 
 小池氏も同じである。
 
 今回、自民党都連の黒い頭のネズミと握って、事実上の支援を受けたのは、次の総選挙を睨んでのこと。縮小か中止かはともかく、来夏の五輪を済ませば、小池氏はもう東京都に用はなく、その時、「ポスト安倍」で政局になっていれば、「二階(俊博幹事長)パイプ」を活用して、国政に復帰する考えだろう。
 
 そうなれば、希望の党で頓挫してしまった、「初の女性宰相」の芽が出てくる可能性もあるし、それが小池氏の秘めた狙いだ。
 
 小池氏も山本氏も、狙いは「都知事選、都知事という座」を利用した野望の実現であり、そのためのポピュリズムである。
 
 ともに兵庫県出身の稀代のポピュリスト対決!――7月5日、都民はどちらに投票するのだろうか。【🐗】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2020年6月23日配信<0510archives>「学歴詐称疑惑・空疎な横文字並べ・掛け声公約・都議会自民党の怨念――楽勝ムードの小池候補に囁かれる不安要素」<政治>

 

 コロナ禍を利用、完全に勢いを取り戻したのが小池百合子都知事である。
 
 緊急事態宣言下、自粛要請などでリーダーシップを執るのは都道府県知事なので注目されるのは当然ながら、「見せ方」の巧さでは群を抜く。
 
 自ら立ち上げた希望の党が、排除発言で失速して雲散霧消。以降、マスメディアに大きく採り上げられることはなかったが、この人にはやはり「乱世」が似合う。
 
 なかでも「敵」を作って、その対比のなかで世論を味方につけるテクニックは抜群で、今回、踏み台にされたのは政府だった。
 
 感染者数が増え始めた3月23日、「ロックダウン」という耳慣れない言葉を使って欧米並みの都市封鎖に言及、「まだ緊急事態宣言を出す環境にない」という安倍晋三首相に決断を促すように会見などで深刻な状況を訴え、政府が4月7日、ようやく宣言を出すと、こんどは西村康稔経済再生担当相との間でバトルを繰り広げた。
 
 自粛要請の範囲を拡げ、一気に新型コロナウイルスの拡散を防ぎたい小池氏と、各種業界団体やその窓口となっている政治家などの圧力を受け、自粛の幅を狭めたい西村氏――。経済への影響が、今ほど懸念されない段階では、小池氏に分はあった。
 
 既視感があるのは、シンボルカラーの緑色で16年の都知事選を戦って圧勝。その人気のまま都庁に乗り込み、都議会自民党を敵にして、「豊洲」と「五輪」で不正を糾弾。ジャンヌダルクと称して人気を集め、自身の地域政党「都民ファーストの会」で17年の都議選に勝利し、都議会を制圧した手口である。
 
 築地市場の豊洲移転も、東京五輪招致も、石原慎太郎、猪瀬直樹、舛添要一と続いた都知事が、都政を継承して取り組み、完成にこぎつけたプロジェクトである。
 
 ところが小池氏は、16年8月2日、初登庁の記者会見で、「都政改革本部」を設置し、「豊洲」と「五輪」を再調査したいとぶち上げた。どんな行政も多かれ少なかれ、政界や業界との癒着のなかにあり、ほじくり返せば不正も出る。
 
 豊洲市場では「盛り土」だった。
 
 汚染された土壌を掘り返し、そこに新たな土を入れ(盛り土)、無害化するという約束はウソで、「盛り土」部分は高さ2メートルの「地下空間」になっていた。
 
 五輪予算では、7340億円の予定が大きく膨らんで3兆円近くになっており、小池氏は「お豆腐じゃあるまいし、1丁、2丁と膨らむなんて」という言葉とともに、有明アリーナなど施設の見直し作業に入った。
 
 豊洲の敵は、汚染の豊洲に決めた石原元知事と浜渦武生元副知事、並びに都の市場担当幹部であり、石原、浜渦の両氏は百条委員会にかけられ、都の幹部は処分を受けた。
 
 五輪関連は、大きな見直しを実行することはできなかったものの、五輪を含めた公共工事を独占する構図を明らかにし、自民党都連幹事長として権勢を振るった内田茂氏らを利権と癒着した“黒い頭のネズミ”と呼んで、喝采を浴びた。
 
 闘う都知事として、連日、ワイドショーなどに採り上げられ、人気はいやが上にも高まり、17年7月の都議選を制し、同年9月、希望の党を旗揚げする。
 
 民進党を飲み込み、10月の衆院選の結果如何で、「女性初、小池首相の誕生か?」という予想すら生まれたのに、「憲法など国家感の合わない人は、当然、排除する」という発言をきっかけに、急速にブームはしぼみ、小池氏は国政に復帰することなく”敗軍の将”となった。
 
 以降、「普通の首長」として過ごしていたが、コロナ禍が神風となって復活した。
 
 ここにきて学歴詐称疑惑など芳しからざる噂が蒸し返されているが、「都知事選に勝利するのは、ほぼ確実」(都議会担当記者)と見られているが、第2波、第3波と新型コロナが感染が再発した時、再び「乱世の小池」として指導力を発揮できれば、レイムダック化した安倍首相の4選が絶望的な状況のなか、人材枯渇の間隙を縫って首相候補として再浮上することも考えられる。
 
 「五輪があってもなくても、来年10月の任期満了までに行われる総選挙は、『ポスト安倍』を選ぶ選挙となる。安倍氏が禅譲を考えている岸田文雄政調会長では心もとないうえ、菅義偉官房長官が大嫌い。その菅氏が安倍総理と対立色を深めており、反安倍の筆頭の石破茂元幹事長と組む可能性もある。
 
 その時、小池氏が二階俊博幹事長の同意を取り付けていれば、反主流派が小池氏でまとまる可能性も考えられる」(自民党関係者)――吹かせた風が”大嵐”にならなければならないシナリオだが、小池氏は自ら風を起こし、その風に乗って飛び続けてきたん“政界渡り鳥”である。
 
 小池氏も来年7月15日には68歳。首相候補に名乗りを上げるためには、今回の都知事選をぶっち切りで勝利し、存在感を示す必要があるのだが、無党派層が多い東京の場合、知事選に吹く風は、いつも気まぐれである。

 

 「選挙は下駄を履くまで分からない」――スッキリしない学歴詐称疑惑、空疎な”横文字並べ”で煙にまく政治姿勢、掛け声だけの美しい公約、加えて話題にはならないが前回の選挙で煮え湯を飲まされた都議会自民党の”怨念”――「風向きが変わる要素」は多分にあるだけに、果たして下馬評通りの楽勝になるか、どうか?ーー審判は7月5日である。【🐇】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2020年6月4日配信<0510archives>「安倍政権の揺らぎを横目に権限を拡げてポストを獲得、焼け太りの検察と警察」<政治>

 
(wikipedia)


 

 長期政権は緩み、澱み、腐敗する!――憲政史上、最長となった安倍晋三政権も例外ではない。
 
「安倍一強」は、菅義偉官房長官、麻生太郎財務相、二階俊博官房長官などが一体となって支えていたが、「ポスト安倍」の筆頭候補に躍り出た菅氏を安倍首相が忌避、安倍=麻生、菅=二階の対立構図が出来上がった。
 
 その変化のなかで「菅バッシング」が続いている。
 
 文春砲3連発で叩かれた菅原一秀前経産相、河井克行前法相、和泉洋一首相補佐官はいずれも菅側近。安倍側近の今井尚哉首相補佐官らの仕掛けを疑う人は少なくない。
 
 が、安倍氏自身も無傷ではいられない。
 
 「桜を見る会」は、森友学園、加計学園の時と違い、安倍首相自らが招いた騒動であり、複数、出されている市民団体の告発状は、いずれも被告が「安倍晋三」である。
 
 河井克行・案里夫妻の容疑は、公職選挙法違反だが、案里議員に自民党本部が拠出したカネは、通常の10倍の1億5000万円。その厚遇の背景に、安倍氏の不遇時代、「過去の人」呼ばわりした案里氏の対立候補・溝手顕正前参院議員に対する安倍氏の怨念があったといわれており、それもまた「長期の驕り」が為せることだろう。
 
 既に凋落は始まっている。
 
 それでも政権崩壊の兆しが見えないのは、統一できず、追い込めない野党に救われているからだ。
 
 そうした政権のダッチロールを横目に、権益を拡大しているのが「安倍一強」の補完勢力として機能してきた検察・警察の捜査権力である。
 
 両者は、その見返りにポストを与えられ、権限を強化してきたのだが、政治の落ち込みに反比例するように勢いを増している。
 
 まず、「法務・検察」は明らかに復権した。
 
 2010年、証拠改竄が発覚、特捜部長らが逮捕された大阪地検事件がドン底だった。
 
 以降、「特捜改革」に踏み切り、録音・録画の可視化を義務付け、密室での自白を強要する捜査からの脱却を図り、その見返りに刑事訴訟法が改正され、「司法取引」「改正通信傍受法」を獲得した。
 
 被疑者に、罪の減免を条件に口を割らせる司法取引で立件が容易になるのはいうまでもなく、通話を専用の機器で傍受、メールのやり取りを解析できる通信傍受は、参考人・被疑者を丸裸にする手法で、捜査をやりやすくする。
 
 この「果実」を得るために、検察は“死んだふり”をして政権に尽くした。
 
 メディアで“腹黒川”と叩かれたのは、黒川弘務東京高検検事長。――法務省官房長、法務事務次官として「永田町の窓口」となり、甘利明元経産相の事務所が裏献金を受け取った疑惑などに蓋をした。
 
 今年2月、63歳の検事長定年を迎えて退任するが、特捜部が、17年ぶりの政治家逮捕に踏み切った背景には、菅氏との関係が特に深かった黒川氏の退任を目前に控えていたこともあっただろう。
 
 特捜部は、「政」の前に文科省官僚を収賄罪で立件、さらに著名経営者のカルロス・ゴーン被告を特別背任罪などで起訴。「政官財の監視役」として復活を遂げた。
 
 一方の「警察」もパワーアップしている。
 
 杉田和博官房副長官が、内閣人事局長として約700人の霞が関高級官僚人事を握り、滝澤裕昭内閣情報官が国内外の情報を分析して官邸に届け、危機に際しては沖田芳樹危機管理監が事に当たる。
 
 78歳の杉田氏を筆頭に4人とも警察官僚出身である。
 
 滝澤氏の前任者は、8年もの長きにわたり内閣情報官として内閣情報調査室を指揮した北村滋氏。安倍首相の信頼も厚く、外務省が「天領」としていた国家安全保障局長に就任。北村氏も警察OBだが、ほかに警察は、宮内庁と原子力規制庁の長官ポストも手に入れている。
 
 安倍政権に忠節を尽くす『官邸ポリス』は、匿名作家「幕蓮」の創作で、杉田、北村氏らがモデルであるのは読めばわかるが、汚れ仕事を厭わないOBと現役警察官僚の姿をリアルに伝えている。
 
 小説の中で「安倍本」の作者である元TBS記者の準強姦容疑での逮捕を未然に防いだ警察庁総括審議官が登場するが、モデルとなった中村格氏は今年1月16日付けで次期警察庁長官含みの警察庁次長に就いた。
 
「忠節の見返り」は、こうして用意されている。
 
 検察も警察も、それぞれの事情と思惑のなかで安倍政権を支え、一強政治に加担してきたが、今、安倍政権は長期化ゆえの綻びが目立つなか、双方の捜査機関は、捜査権や権益を拡大させた。
 
 その「焼け太り」が、国民生活や企業活動を圧迫することはないのか。――そんな監視の目が必要になりそうだ。【🐓】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2020年5月16日配信<0510archives>「新型コロナ肺炎の世界的蔓延の元凶・中国が“健康シルクロード”の名で進める世界制覇」<政治>

 

 中国系メディアの“増長”が目に余る。
 
 国営新華社通信は、医療用マスクや防護服、人工呼吸器、治療薬などを世界各国に送っていることを理由に、「世界は中国に感謝すべきだ」という論陣を張り、中国共産党系メディアの「環境時報」は、「新型コロナ(ウイルス)が米国の世紀を終わらせた」と、断じた。
 
 湖北省武漢市で感染が沈静化した3月初旬以降、中国が世界120ヵ国に各種医療品を送っているのは確かであり、「マスク外交」と呼ばれている。

 しかし、そもそも新型コロナを世界に撒き散らし、世界的大流行にしたのは、中国ではなかったか。
 
 昨年12月8日、武漢市内で最初の新型コロナの肺炎患者が発症、市内海鮮市場で多くの感染患者が発生、警告した医師がいたにも関わらず、逆に拘束。年が明けた1月25日からの旧正月「春節」の前後に、多くの市民が国内外へ出かけ、コロナ感染を世界に拡げている。
 
 果たして中国が、新型コロナを完全に鎮圧したどうかは疑わしい。
 
「2次感染は必ずある。国境の閉鎖がいつまでも出来ない以上、感染者は入国、変異した強力な新型コロナとして新たに感染者を増やす可能性がある。今でさえ、感染者数や死亡者数のごまかし、無症状感染者の存在が指摘されているのに、今後も新型コロナが世界で拡散されるなか、中国だけが例外というわけにはいかない」(厚労省関係者)
 
 ウイルスの征圧には、国民の3分の2以上が感染して抗体を持つか、ワクチンや治療薬の完成を待つしかない。
 
 現在、中国では幾つもの抗コロナウイルス薬の治験を進めているが、効果が認められているのは抗インフルエンザ薬のファビピラビルだけ。それも感染初期の患者に効くという錠剤で、肺炎を起こした重症患者への効果は期待できない。
 
 だが、中国は、3月10日、習近平国家主席が武漢視察に出かけて以降、まず中国の国家戦略である一帯一路計画に基づき、先進国で唯一、加盟しているイタリアへのマスク外交を始め、医療チーム300人と30トン以上の医療資材を送り、医療崩壊したイタリアを支えた。
 
 習主席は、コンテ首相と電話で会談、「健康シルクロードに取り組んでいる」と、述べたという。
 
 中国資本が、海外で鉄道や港湾などのインフラを建設、中国と世界をつなぎ、共存共栄を目指すのが一帯一路計画だが、イタリアは独・仏などEUへの窓口となる重要拠点。北部などで港湾建設を進めているが、もともと中国人はイタリアが強みを持つ服飾産業の重要な担い手で、約30万人が移住している。
 
 イタリアが米国に次ぐ感染国となったのは、中国からの帰省客、観光客がウイルスをもたらしたからと目されているが、現時点ではコンテ首相も謝意を述べざるを得ない。
 
 他の国もそうだろう。
 
 中東や欧州各国、それに日本や韓国にも、品不足の医療用や不織布のマスクを中心に医療品が送られており、米国でさえ、ニューヨーク州のクオモ知事が人工呼吸器1000台の寄贈を受け、呼吸器不足で多くの命が失われているだけに、「われわれに大きな変化をもたらす」と、謝辞を口にした。
 
 だが、そうしたことが米国に代わって、中国が世界の主役になることを意味するものではない。
 
 一党独裁の強圧が、感染症を押さえ込んだのは事実だが、各国は世界的反緊縮の流れのなかで医療をないがしろにしたことを反省、中国を“世界の工場”にしたことで発生したマスクを始めとする物不足を悔やみ、グローバル化がもたらす怖さを改めて実感した。
 
 感染症を広めた中国が、マッチポンプ的に「健康シルクロード」を謳っても、同調する国はなく、謝意は面従腹背、もしくは表向きでしかなかろう。
 
 そのことを理解せずに公言する不遜さも中国の欠点だが、それが国内で指摘されることはない…。【🐎】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2020年4月2日配信「コロナショックで理事が“敵前逃亡”!――国民の年金を運用するGPIFは大丈夫か?」<政治>

 

 

 世界最大級のファンドで、公的年金の運用を一手に引き受けている「年金積立金管理運用機構」(GPIF)が、コロナショックによる株価大暴落で大変なことになっている。
 
 世界的な株高と円安が寄与して、19年10〜12月期の運用資産の収益率は4・61%で、約169兆円に達した。
 
 それだけに20年に入ってからのコロナショックの落ち込みによる落差は大きく、株式だけで20兆円近い含み損を抱えたと見られる。
 
 天変地異や疫病によって市場が暴落するのは避けられないが、GPIFの場合には政治的、組織的な問題を抱えており、「不可抗力」で逃げることはできない。
 
 GPIFが株式運用に思い切ってシフトしたのは、14年1月、安倍晋三首相がダボス会議で「成長持続へGPIFを改革する」と、国際公約したのがきっかけだった。
 
 有識者会議が立ち上がり、「国債偏重から株式へシフトすべきだ」という結論が出され、同年10月、GPIFは基本ポートフォリオの見直しを決めた。
 
 それまでは、国債を中心とした国内債券に60%、外国債券に11%、国内株式に12%、外国株式に12%、短期資産に5%という比率だった。
 
 面白みはないが手堅く、「減らさない運用」である。
 
 それを国内株式25%、外国株式25%、国内債券35%、海外債券15%と変えた思い切った株式シフトである。
 
 この頃から、「日本銀行」が日本株ETF(上場投資信託)を買い増しており、日本の株式市場は日銀とGPIFが両輪となって株式市場を支える構図となった。
 
 それは、アベノミクスを支えることでもあり、そのためGPIF改革を進めたのは官邸である。
 
 本来、所管の厚生労働省が改革を推進すべきで、塩崎恭久厚労相(当時)はそう構想していたが、14年末、菅義偉官房長官が「GPIF改革について」というペーパーを塩崎大臣に渡したことで方向性は決まった。
 
 官邸推薦で英「コラ―キャピタル」のパートナーだった水野弘道氏が最高投資責任者(CIO)に就いた。
 
 同氏は世耕弘正官房副長官の友人で、その強い推薦もあった。
 
 水野CIOのもとで、新しいポートフォリオに沿った運用が行われることになったが、「コラ―キャピタル」は未公開株流通が専門で、その前職が「住友信託銀行」なので水野氏には巨大ファンド運営の経験がない。
 
 そこで、厚労省は16年3月、農林中金専務理事として運用を担当、「凄腕ファンドマネージャー」として知られる高橋則広氏を独断専行が目立つ水野氏の監視役として理事長に就けた。
 
 高橋―水野体制で運用は、総じて順調だった。
 
 18年10〜12月期の世界同時株安で大きく運用損を出したこともあったが、「トランプ相場」もあって世界が株高に向かい、前述のように、19年末は169兆円にまで運用資産を積み増していた。
 
 それが一気に逆転、20兆円の含み損がどこまで広がるかわからない。
 
 しかも、株価下落を債券でヘッジするというリスク管理が、近年、出来なくなっていた。
 
 それは水野CIOが自覚していたことで、19年8月、米年金基金で行った講演のなかで、「あらゆる資産で損失が発生、為替差損も被るなどして、株価の下落を債券でヘッジするという従来の方程式が使えなくなった」と、述べている。
 
 折も折、GPIFの資産運用の欠落が判明した最中に、高橋理事長の女性スキャンダルが発覚した。
 
 18年12月の日付が入った「デート写真」が流出、それがGPIFや厚労省に送り付けられて、19年10月、高橋理事長は減給6カ月の処分を受けた。
 
 任期が切れる20年3月末での退任が決定的となったが、そうしたスキャンダルの背後に「反高橋派」の工作があったとして、水野CIOと厚労省出向の三石博之理事が疑われ、3人の関係がギクシャクするようになり、結局、3月末での3理事全員の退任が決まった。
 
 投資の継続性を考えれば大問題だ。
 
 ポートフォリオ見直しを含むGPIF改革の時から、「アベノミクス支援の株高」という狙いがあったわけで、その思惑は邪だった。
 
 加えて理事たちはコンプライアンス上の問題を抱えていた。
 
 コロナショックは、図らずも国民の年金が置かれた“歪んだ状況”を伝えることになったが、我らが年金は大丈夫なのだろうか。【🐏】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2020年3月17日配信<0510archives>「談合=利権癒着で総工費が2兆5500億円に膨れ上がった辺野古新基地建設の醜悪」<政治>

 
辺野古岬(☚Wikipedia)

 

 

 県知事選、県民投票、沖縄衆院3区補選などで、ことごとく辺野古新基地建設反対の「民意」は示されているのに、昨年12月に始まった埋め立て工事は着々と進められている。
 
 これもまた「安倍1強」がもたらした強引な官邸主導によるものだが、工費が10倍に膨らんでいることへの批判が、まだまだ足りない。

 

 工費が膨らむ理由は、各種報道で暴かれており、『赤旗日曜版』(9月15日)は、埋め立てに使用する土砂の「官製談合」をスクープした。

 

 以下に経緯を辿ろう。
 
 信じられないことだが、政府は14年、計画段階での総工費を約2400億円と明かしただけで、以後、総工費を明らかにしていない。
 
 数字が大きくなれば、さらに反発が大きくなるためで、抗するように沖縄県は、約2兆5500億円という独自試算を公表した。
 
 7本で約78億円だった護岸工事の予定価格が、約12倍の約920億円となったことを受けてのもので、少し“乱暴”ではあるが、閉じれば強引にこじ開けるしかない。
 
 また、建設反対の「民意」の裏にある業界の「本音」が、談合という政官民の癒着を経て工費を膨らますという構図が明らかになってきた。
 
 現在、埋立用には「岩ズリ」という採石場などで出る砕石を使用しているのだが、単価は運搬費も含めて1平方メートル当たり1万1290円である。
 
 沖縄県の公共工事の資材単価表では、「岩ズリ」より良質な「雑石」で1平方メートル当たり4750円、国の出先機関の沖縄総合事務局で「岩ズリ」は3550円。つまり、辺野古の土砂は4倍近い高さである。
 
 この問題を今年1月、追及したのは『東京新聞』の「税を追う」取材班で、辺野古を含む一連のシリーズが評価され、7月に日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞した。
 
 「岩ズリ」の単価が高くなっているのには理由がある。
 
「原則として3社以上から見積もりを聴取する」という内規に反し、13社に「岩ズリ」の見積もりを頼んだところ回答があったのが1社だけ。単価を高くしたい業界の思惑に乗せられたわけである。
 
 この問題を『赤旗日曜版』が、さらに深掘りした。
 
 運賃込みで1万1290円という価格を、沖縄防衛局は入札前の18年1月25日、入札参加を希望するゼネコンに、「補足説明書」をFAXするという形で教えていた。
 
 入札前に単価を業者に伝えるのは、官製談合防止法に違反する恐れのある危険な行為。埋立工事は、5工区で18年2月8日に入札が実施され、大成・五洋・國場JV、安藤・間・大豊・大米JVなど本土と沖縄のゼネコンがJVを組んで受注した。
 
 総額は約240億円。埋立工事代金のうち岩ズリ関係費用が半分を占めるといわれているだけに、「官製談合」によってゼネコン各社はかなりの利益を手にしたことになる。
 
 また、1社だけ高値見積もりを提出したのは「琉球セメント」で、沖縄を代表する素材産業の同社は、自民党を中心に幅広い政治献金を行なっている。
 
 ここにあるのは、政官業の昔ながらの癒着構図である。
 
 埋立工事という今後、13年かけて実施される辺野古新基地建設工事の最初に、談合によって「みんなが食える体制」を確立した。
 
 「政」は公共工事を推進、「官」は高値見積もりを許し、「業」はカネと天下りで「政官」を支える!――絵に描いたような、三方一両得の“おいしいスキーム”である。
 
 実際、2兆5500億円に膨れ上がるかどうかは分からないが、「民意」が新基地建設に反対姿勢を示せば示すほど、思惑をひとつにする「政官業」の癒着は強まり、それが総工費を引き上げる。
 
 既に、まだ工事が始まっていない大浦湾側の海はマヨネーズ並みの軟弱地盤で、3年8カ月の地盤改良工事を予定しており、さらに埋立工事費用が嵩むのは必至である。
 

 いつ完成するのか、いくら掛かるのか、肝腎なことが分からぬままズルズルと!――辺野古新基地工事は、さながら”アリ地獄”の様相を呈しつつある。【酉】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年11月2日配信<0510archives>「企業保育でも活躍した学者政商・竹中平蔵氏に改めて問われる“罪”!」<政治>


貧乏エビス(Wikipedia)

 

「経済犯罪の巣窟」と指摘されていた企業保育の助成事業に東京地検特捜部のメスが入り、川崎大資被告らが逮捕・起訴された。
 
 改姓・改名前の塩田大介時代から「カネのためなら違法を問わず、使える人脈は何でも使う」といったタイプの人物だけに、「保育所落ちた、日本死ね!」のメールから始まったアベノミクスの目玉事業は、年間に1000億円以上も投じられながら、当初は児童育成協会の職員10数名が、申請書類をチェックするだけの大甘体制だっただけに、川崎被告にとっては格好の詐欺の舞台だった。
 
 事件化は制度を見直す良い機会となったが、この制度設計に政府の産業競争力会議(現・未来投資会議)が関わり、メンバ−の竹中平蔵氏が会長を務める「パソナ」が事業の中核を担ったことは、あまり指摘されていない。
 
 制度説明会は、16年度から全国で開催され、その多くを「パソナ」が受注した。
 
 また、「パソナ」は児童育成協会から委託を受け、保育所の指導・監督業務を行なっており、その委託料は6億9000万円(18年度)にのぼる。
 
 一方で子会社の「パソナフォスター」は、18カ所の企業主導型保育所を運営している。
 
 監督するものが運営する!――二律背反が批判されるのは当然だし、「なぜパソナなのか」と、問われた時、制度設計に竹中氏が関わったことが指摘されるのも当然だが、竹中氏はそれを臆面もなくやる人として“認知”されている。
 
「いかがなものか」ではあるが違法ではない。
 
「我田引水」をやるから竹中氏なのであり、だから「学者政商」と呼ばれる。
 
 公的インフラ運営の民営化についてもそうである。
 
 産業競争力会議で、空港6件、下水道6件、有料道路1件、水道6件などの民営化を数値目標として提案。その流れのなかで、18年、浜松市は全国で初めて下水道を民営化したが、それを請け負った「浜松ウォーターシンフォニー」には「オリックス」が出資。同社の社外取締役は竹中氏である。
 
 小泉純一郎内閣で金融相など主要閣僚を歴任。その勢いで、一度、参院議員となるが、小泉退陣に合わせて政界を引退、学究の道に戻って、慶応大学教授を経て、現在、東洋大学教授。その一方で産業競争力会議のほか「国家戦略特区」の政府委員を務めている。
 
 これは、特定の地区において規制を緩和、特定業者の参入を認めて支援する会議だが、ここでも「パソナ」「オリックス」が有利に特区参入を果たしている。
 
 まさしく「学者政商」の名に恥じない活躍ぶりだが、「いかがなものか!」で批判がとどまっていたのは、グローバリズムと新自由主義が、竹中氏の信念に基づくものであり、そこから導き出される「規制緩和と構造改革は、日本の成長に欠かせない」という認識が、国民にもあったからだ。
 
 それは、「自民党をぶっ壊す」と公言した小泉氏が、05年9月の郵政選挙の際、郵政民営化の「踏み絵」を踏ませ、反対の議員には「守旧派」のレッテルを張って刺客を送り込み、「既得権益を守ろうとする守旧派は日本のためにならない」と、国民に刷り込んだためでもある。
 
 しかし、今、竹中氏が推進した規制緩和と構造改革が、「成長どころか日本の不況を深刻にした」という批判が起きている。
 
「長引く不況は、平成とほぼ時期を同じくしてデフレが進行していたため」という認識が、経済界で共通のものとなっている。
 
 デフレは需要が不足して供給が過多の際に発生する。
 
 需要を増やすためには、正規雇用を増やして賃金を上げ、規制を強化して新規参入を阻み、料金の下落を防ぐなど、政府の権限を活用して供給サイドを絞り、需要を喚起すべきなのに、竹中路線は派遣の拡大やタクシーの規制緩和による料金と賃金の暴落など、デフレを進行させるものばかりだった、という批判である。
 
 自由競争は過当競争となって料金を引き下げる。参入障壁の撤廃は外資の乱入によって値引き競争となる。規制緩和は新規参入の業者を増やして過当競争を生む。――根っからの新自由主義者の竹中氏は、この混乱が、切磋琢磨となって日本の成長に繋がるという信念を持つのだが、デフレ下に行なわれたこうした施策は、ひとにぎりの成功者が総取りするという二極化を生み、大多数の国民の収入は上がらず、需要には繋がらないというデフレスパイラルを生んだ。
 
「学者政商」は、多くの国民を不幸にして“身内”を富ませているだけではないのか!――今やこうした批判が、“貧乏エビス”さながらの竹中氏に向けられているのだが、それに対する同氏の説得力ある回答は、未だない。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年10月23日配信「米トランプ大統領の“お墨付き”を得て、北朝鮮が次々に発射するミサイルへの対抗策は日本にあるのか?」<政治>

 

高価すぎる気休め?(Wikipedia)


 北朝鮮が、「飛翔体」という呼ぶミサイルを次々にぶっ放している。
 
 10月2日には、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を日本海に向けて撃ち、島根県隠岐諸島沖の排他的経済水域内に落下、安倍晋三首相は「国連決議違反であり、厳重に抗議して、強く非難する」と、記者団に語った。
 
 しかし、いくら抗議しても非難してもムダである。
 
 米・トランプ大統領は、米本土に届く中・長距離ミサイルの発射でなければ問題視しない考えを明らかにしているからである。
 
 その“お墨付き”を得て、金正恩・朝鮮労働党委員長は、国内向けには米国に屈しない姿勢を示し、日・米・韓にはミサイルというカードを有効に使うために、今後も発射を繰り返す。
 
 トランプ大統領のミーイズムがハッキリしている以上、「北の脅威」には自前でミサイル防衛を整えるしかないのだが、これがとてつもない“カネ食いシステム”で、しかも相手が精度を向上させる以上、永遠の未完成形で、そのうえ完全な防御はあり得ない、という厄介な“代物”である。
 
 日本のミサイル防衛は3段階。米国の早期警戒衛星によってミサイル発射の情報を得ており、兆候を掴んだ段階で陸海空のレーダー網で追尾、海上配備のイージス艦から海上配備型迎撃ミサイル「SM3」でまず迎撃、地上に近付けば地対空誘導弾パトリオットミサイル「PAC3」を発射する。
 
 だが、それだけでは弾道ミサイルの脅威に対応できないとして、現在、イージス・アショアの設置が決まり、予算化されている。
 
 ギリシャ神話の「女神・アテナが持つ、あらゆる邪気を祓う盾」を意味する「イージス」に陸上の盾の「イージス」を掛け合わせたイージス・アショアに対する期待は高かったが、その装備内容と予算が判明にするにつれ、批判が高まっている。 
 
 まず、レーダーシステムの脆弱さであるが、ロッキード・マーチン社製のLMSSRが選定され、それにアナログデータ用のベースライン9を組み合わせることになっている。
 
 専門家は等しく、「開発中で未知領域の多いLMSSRに、一世代前のソフト・ベースライン9の組み合わせはいかにも不自然。しかも、米海軍との互換性が考慮されていない。政治的な背景で決まったのではないか」(防衛省OB)と、指摘する。
 
 政治的とは、米海軍への装備品納入で最近、不調のロッキード社が、日本で巻き返し工作を行なったというもの。その真偽はともかく、コストが膨大になっている。
 
 当初、1基800億円(構想は秋田と山口の2基)から始まった取得費は、2基2474億円と膨らみ、30年間の維持・運営費を含めて4459億円と公表された。
 
 さらに、ミサイルの取得費、建屋の整備費などで数百億円、加えて開発案件なのでミサイル実験は日本の責任において行なわなければならず、それに1000億円超は確実で、最低でも6000億円、場合によっては1兆円近いと目されている。
 
 SM3、PAC3に、このイージス・アショアと、大枚を叩いたところで、完全防御にはまだ足りない。
 
「望ましいのは、迎撃対象を広範囲に設定する統合防空システム(IAMD)です。イージス・アショアでは対応できない弾道が低高度の新型ミサイル、巡航ミサイル、超音速滑空弾などへの対応も必要になります」(前出のOB)
 
 攻撃より防御の方が、当然、難しい。加えて、イージス艦やイージス・アショアのSM3だけでは足りないと、高高度迎撃ミサイルのTHAAD(サード)を導入したらどうか、という議論もある。
 
 ただ、それらをすべて揃えたとしても、同時多発のミサイル発射には到底、対応できず、何発かのミサイルは日本に到達。――つまり何兆円かけようと、ミサイル防衛は所詮、単なる“気休め”なのである。
 
 この現実を認めることなしに、いくら膨大な資金を注ぎ込もうと「北の脅威」には向き合えないのである。【酉】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年10月10日配信「米トランプ大統領の“お墨付き”を得て、北朝鮮が次々に発射するミサイルへの対抗策は日本にあるのか?」<政治>

 
高価すぎる気休め?(Wikipedia)


 北朝鮮が、「飛翔体」という呼ぶミサイルを次々にぶっ放している。
 
 10月2日には、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を日本海に向けて撃ち、島根県隠岐諸島沖の排他的経済水域内に落下、安倍晋三首相は「国連決議違反であり、厳重に抗議して、強く非難する」と、記者団に語った。
 
 しかし、いくら抗議しても非難してもムダである。
 
 米・トランプ大統領は、米本土に届く中・長距離ミサイルの発射でなければ問題視しない考えを明らかにしているからである。
 
 その“お墨付き”を得て、金正恩・朝鮮労働党委員長は、国内向けには米国に屈しない姿勢を示し、日・米・韓にはミサイルというカードを有効に使うために、今後も発射を繰り返す。
 
 トランプ大統領のミーイズムがハッキリしている以上、「北の脅威」には自前でミサイル防衛を整えるしかないのだが、これがとてつもない“カネ食いシステム”で、しかも相手が精度を向上させる以上、永遠の未完成形で、そのうえ完全な防御はあり得ない、という厄介な“代物”である。
 
 日本のミサイル防衛は3段階。米国の早期警戒衛星によってミサイル発射の情報を得ており、兆候を掴んだ段階で陸海空のレーダー網で追尾、海上配備のイージス艦から海上配備型迎撃ミサイル「SM3」でまず迎撃、地上に近付けば地対空誘導弾パトリオットミサイル「PAC3」を発射する。
 
 だが、それだけでは弾道ミサイルの脅威に対応できないとして、現在、イージス・アショアの設置が決まり、予算化されている。
 
 ギリシャ神話の「女神・アテナが持つ、あらゆる邪気を祓う盾」を意味する「イージス」に陸上の盾の「イージス」を掛け合わせたイージス・アショアに対する期待は高かったが、その装備内容と予算が判明にするにつれ、批判が高まっている。 
 
 まず、レーダーシステムの脆弱さであるが、ロッキード・マーチン社製のLMSSRが選定され、それにアナログデータ用のベースライン9を組み合わせることになっている。
 
 専門家は等しく、「開発中で未知領域の多いLMSSRに、一世代前のソフト・ベースライン9の組み合わせはいかにも不自然。しかも、米海軍との互換性が考慮されていない。政治的な背景で決まったのではないか」(防衛省OB)と、指摘する。
 
 政治的とは、米海軍への装備品納入で最近、不調のロッキード社が、日本で巻き返し工作を行なったというもの。その真偽はともかく、コストが膨大になっている。
 
 当初、1基800億円(構想は秋田と山口の2基)から始まった取得費は、2基2474億円と膨らみ、30年間の維持・運営費を含めて4459億円と公表された。
 
 さらに、ミサイルの取得費、建屋の整備費などで数百億円、加えて開発案件なのでミサイル実験は日本の責任において行なわなければならず、それに1000億円超は確実で、最低でも6000億円、場合によっては1兆円近いと目されている。
 
 SM3、PAC3に、このイージス・アショアと、大枚を叩いたところで、完全防御にはまだ足りない。
 
「望ましいのは、迎撃対象を広範囲に設定する統合防空システム(IAMD)です。イージス・アショアでは対応できない弾道が低高度の新型ミサイル、巡航ミサイル、超音速滑空弾などへの対応も必要になります」(前出のOB)
 
 攻撃より防御の方が、当然、難しい。加えて、イージス艦やイージス・アショアのSM3だけでは足りないと、高高度迎撃ミサイルのTHAAD(サード)を導入したらどうか、という議論もある。
 
 ただ、それらをすべて揃えたとしても、同時多発のミサイル発射には到底、対応できず、何発かのミサイルは日本に到達。――つまり何兆円かけようと、ミサイル防衛は所詮、単なる“気休め”なのである。
 
 この現実を認めることなく、いくら膨大な資金を注ぎ込もうと単なる無駄遣い、「北の脅威」には向き合えないであろう。【酉】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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