2020年6月25日配信「緊縮財政のなか安倍経産利権を拡げた『政商・電通』の強欲」<企業>
電通本社(Wikipedia)
日本最大、世界5位の広告代理店である「電通」は、選挙広報などを通じて政権との関係が深い。
なかでも安倍晋三首相との関係は、昭恵夫人が電通出身で、平井卓也、中山泰秀ら中堅代議士に電通出身者がいて、「経産官邸」といわれるほど経済産業省の力が強い官邸に深く食い込み、相互依存の関係にある。
図らずもそれが明らかになったのが持続化給付金の民間委託問題で、「電通」に丸投げした「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」(推進協議会)の入居する築地のビルは、まさに「電通」の伏魔殿で、推進協議会の他、政府から直接、間接に委託を受ける「環境共創イニシアチブ」、「キャッシュレス推進協議会」などが入居する。
単に、政府の公共政策をサポートしてきたというわけでない。
持続化給付金を担当していた前田泰宏・中小企業庁長官が、推進協議会理事で元電通社員の平川健司氏とは米国の視察先のパーティーで一緒になるなどズブズブの関係で、11年前の家電エコポイント事業の時から組んでいた。
「電通」といえば、五輪招致などスポーツを中心に国際的なイベントで、ロビー活動など国を補完する役割を担ってきた。
20年東京五輪招致では、それが行き過ぎて、アフリカ票を握るラミン・ディアク氏の関係する口座に、約2億3000万円を振り込ませる疑惑が発覚、竹田恒和・日本オリンピック委員会会長の退任につながった。
振り込みを指示したのは「電通」だが、このように五輪やサッカーワールドカップ、国際陸上などのビッグイベントには大量の工作資金を必要とする。
それが慣例とはいえ、近年、ロシアのドーピング問題、国際サッカー連盟、国際陸連などが絡む贈収賄、脱税事件などの摘発が相次ぎ、危険なビジネスになりつつある。
実際、竹田氏は疑惑にとどまらず、仏検察当局の捜査対象者となり、現在も予審判事による捜査が続いている。
そうしたなか、「電通」が舵を切ったのが、規制緩和の流れに乗って、政府公共部門の外部委託を省庁とともに仕切り、“中抜き”によって確実な利益をものにすることだった。
政府発注の「受け皿組織」(今回は推進協議会)を設立、そこから「電通」に再委託、さらに「パソナ」など志を同じくする「政商」と組む――。
2001年に発足した小泉純一郎政権によって、日本は、中曽根康弘政権から始まり、橋本龍太郎政権に受け継がれた行革路線の最終的な詰めの段階に入った。
規制緩和による「官から民へ」が最重要課題となり、非正規雇用が増えるなど労働形態も変わった。
国立大学は独立行政法人となり、役所仕事は外注され、登記所、ハローワーク、学校給食などは委託事業となった。
この路線は、民主党政権を経て安倍内閣に引き継がれるが、“経産内閣”となっていた安倍政権が、エコポイントや今回のコロナ禍対策に絡む事業を展開する際、財務、厚労、文科といった官庁と違い、経産には地方組織など手足がない。
その不足分を、電通の総合力で各種企業を集め、電通が事実上のトップとして君臨する「政商ビジネス」を確立した。
竹中平蔵氏は、小泉政権下で閣僚を歴任した“顔”を生かし、政府関係の各種諮問委員会などの役職について規制緩和を推進、未来産業のインフラ作りなどを提言。それが実行されると、会長を務める「パソナ」の収益になるという政商の役割を果たしてきた。
それが“個人芸”だとすると、「電通」は選挙での官邸との結び付きを経産省の仕事につなげる“組織的政商”だった。
他に「電通」は、1兆7000億円の「Go Toキャンペーン」も仕切ることになっていたが、推進協議会の“中抜き”の発覚で頓挫した。
強欲な政商としての利権の発覚は、河井克行・案里夫妻の立件に見られるように、安倍官邸の力の低下、支持率低迷などレイムダック化と無縁ではあるまい。
「ポスト安倍」でも政商であり続けようとすれば、「底が割れた」だけに、厳しい監視の目をかいくぐらなくてならない。
「泉下の吉田秀雄翁は嘆いているだろうな(苦笑)」(電通OB)――今回の不祥事発覚を機に、日本の広告界をリードする1兆円企業に相応しいビジネスに回帰すべきではないだろうか。【🐵】
- 2020.06.21 Sunday
- 企業
- 08:46
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- by polestar0510