2019年2月19日配信「金城湯池の斎場を持つ廣済堂を巡って、ベインキャピタルと村上ファンドが四つ相撲」<企業>

 

四ツ木斎場(☚東京博善HP)

 

 

 「廣済堂」といえば東証1部に上場する老舗ながら、近年はメインの印刷部門がペーパーレスの煽りを受けて芳しくなく、「横ばい」の業績が続いている。

 

 かつて、創業者の桜井義晃氏が君臨。印刷、広告、出版という事業もさることながら、政界はもちろん右翼、暴力団にまで及ぶ桜井氏の幅広い人脈と、それを生かした国士的活動で知られていた。

 

 その桜井氏が死去して14年、番頭で人脈を受け継いだ平本一方氏も亡くなって4年が経過、「普通の会社」となった「廣済堂」の買収合戦が始まっている。

 

 最初に手を挙げたのは、外資の「ベインキャピタル」である。

 

 ベイングループは、世界に拠点を持つ投資ファンドで運用資産は約1050億ドル(約11兆円)に達する。

 

 その巨大ファンドが、1月17日、TOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。

 

 買い付け期間は、1月17日から3月1日までで買い付け価格は株式1株につき610円。全株取得で目的は、土井常由社長らの要請に基づくMBO(マネジメント・バイアウト)だとしており、ベイン社と経営陣との合意のうえでTOBを行ない、非上場化のうえでスピーディーな業態転換を図るということだ。

 

 これに対して、「買い付け価格は安過ぎる」と、猛然とした「買い」を入れているのが、村上世彰氏が率いる村上ファンドの中核企業「レノ」だ。

 

 「レノ」は、市場で廣済堂株を買い集め、1月22日の3・42%を皮切りに徐々に買い増し、1月30日の時点で9・56%、238万1000株に達している。

 

 インサイダー事件以降、「日本が嫌になった」と、シンガポールへ住居を移した村上氏だが、やはり「投資への欲求」は押さえられず、最近は割安株を買って、ソフトに会社に注文をつける投資手法に変えている。

 

 また、青少年向けの『今、君に伝えたいお金の話』(幻冬舎)も上梓、テレビ番組に出演するなど“イメージチェンジ”を図っている。

 

 その村上氏にとって、「割安株」だったのが「廣済堂」で、周辺には「廣済堂の株価が610円なんてありえない」と、語っている。

 

 確かに、公表前日の終値に43・87%のプレミアムを加えたとはいえ、610円という価格は、国内屈指の総合斎場である桐ヶ谷を始め、代々木、堀之内、落合、町屋、四ツ木の6斎場の価値を正当に評価したとはいえない。

 

 実は、「廣済堂」の価値は、売上高では82億円と全体の約23%に過ぎないものの、収益率は抜群で、毎期、30億円前後の利益を叩き出し、他部門の赤字を埋める葬祭事業にある。

 

 この「廣済堂」の金城湯池は知る人ぞ知るところだったが、葬祭事業を担うのは「廣済堂」が6割以上の株を持つ「東京博善」。別会社のうえ火葬場が絡む複雑さもあって、買収を仕掛けてくる会社はなかった。

 

 それは逆に、「都内に二度と認可されることのない民間の斎場を6ヶ所も持つ」という経営資源を、経営陣がうまく生かしていないわけで、本誌では、4年前、「M&Aの予感?――利益率40%の葬祭事業を生かせない『廣済堂』経営陣に批判の声、続々」と題して配信した(2014年12月23日)。

 

 昨年6月の株主総会で、三井物産出身の土井氏が社長に就任し、一気に再生へ向けて動き出したが、「企業価値の値付け」でケチがついた。

 

 村上ファンドの爆買いもあって、2月6日には、TOB価格を230円も上回る848円を示現。――「都内に眠り続けた宝の山」を巡る駆け引きが激化の様相を見せている。【子】

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年4月18日配信「コインチェックを買収した松本大・マネックスブループ社長の深慮遠謀」<経済>

 松本大マネックスグループ社表
(☚wikipedia)


 

 コインチェック買収が吉と出るか凶と出るか――。

 580億円の仮想通貨流出事件を引き起こした仮想通貨交換業の「コインチェック」は、インターネット証券大手の「マネックスグループ」の傘下に入ることになった。

 吉凶の判断が難しいところだったが、証券市場は好感した。

 6日の株式市場は、コインチェック買収の発表を受けてマネックス株が急騰、値幅制限の上限となる前日比80円高の480円で取引を終えた。

 買収によるリスクは、事件後、コインチェックが幾つもの訴訟を抱えたことであり、G20(20ヵ国財務省・中央銀行総裁会議)で、「通貨とは認めず、暗号資産と位置づける」と判断されたように、先行きに不透明感が漂うことである。

 逆にメリットは、仮想通貨の持つ収益力の高さだろう。

 18年3月期のコインチェックの営業利益は1000億円を上回るという。

 17年末の仮想通貨バブルを映しての数字だが、ビットコインのような指標銘柄はともかく、「その他大勢の仮想通貨」であれば、仕込んだ仮想通貨をユーザーの注文にぶつけてサヤを抜くことが出来る。

 また、仮想通貨交換業のシステムを新たに作るのは大変だが、「マネックス」はそれを36億円で手に入れた。「安い買い物」ということもできる。

 証券市場は好感したが、「マネックスグループ」を率いる松本社長には、やむにやまれぬ事情もあった。

 本業の低迷である。

 松本氏は、東大法学部を卒業して外資に入り、ゴールドマンサックス証券では30歳という若さでゼネラルパートナーとなり、99年、退社して「マネックス証券」を立ち上げた。

 プライベートでも14年9月、テレビ東京の大江麻理子キャスターと結婚するなど華やかだ。

 ただ、足元の「マネックスグループ」の業績は芳しくない。

 17年の株式の個人委託売買代金に占める割合は、「SBI証券」、「楽天証券」、「松井証券」、「カブドットコム証券」に次ぐ第5位で、5%強のシェアしかない。

 また、SBIや樂天が総合金融業の強みを生かし、手数料も値下げして顧客を囲い込み、松井やカブドットコムが銀行など他の金融業との連携で活路を切り開いているのに比べると、マネックスにはその戦略が見えず、じり貧の印象だ。

 そこでフィンテックに大きく舵を切り、その宣言といえるのがコインチェック買収だった。

 金融庁には、仮想通貨とブロックチェーンで日本のフィンテックを育成するという戦略があり、世界に先駆けて仮想通貨交換業に登録制を敷いた。

 「免許のように厳しくせず、業界を育成する」という姿勢だったが、それが裏目に出た。

 常時、回線をつないだ状態にし、複数の秘密鍵を持たなかった「コインチェック」はやすやすとハッカーの侵入を許した。

 また「コインチェック」は「登録」ではなく「みなし業者」だが、「みなし」でも営業を許すという温情が仇となった。

 金融庁は育成から規制強化に舵を切り、業務停止命令や業務改善命令を連発、業界再編を進めている。

 「コインチェック」に改善命令を出したのは2度。和田晃一良社長ら経営陣は継続の気持ちを持っていたが、金融庁は絶対に認めようとせず、和田社長らは、仮想通貨交換業への進出を希望していたマネックスに相談、松本社長は渡りに船で飛びついた。

 ビットコインですら通貨として認められず、決済にも送金にも使われない状況のなか、訴訟などで今後、何が飛び出すか分からない「コインチェック」に36億円を投入するのは博打と指摘するムキも少なくない。

 だが、金融庁が規制強化策を続けるなか、松本社長には「救済合併」は金融庁への“貸し”につながるという計算もある。

 詐欺の温床といわれる通貨引換証のトークンによる資金調達のICO、武器やクスリなどダークマーケットで仮想通貨が決済手段として使われているという現実。そして脱税やマネーロンダリングに使われ世界各国が規制を強めるなど、仮想通貨の将来性には疑問符がつけられている。

 だから価格も低迷しているのだが、逆に言えば、今だからこそ打って出るチャンスという逆張りの発想もある。

 松本氏は、「ゴールドマンサックス」にあと半年いれば、10億円以上のプレミア報酬をもらえたのだが、退社して「マネックス証券」創業の道を選んだ。

 今回の「コインチェック」の買収は、それ以上の大博打⁉――今後の展開から目が離せない。【丑】

 

 

 

 

 

 


2016年12月16日配信「まとめ情報サイトの責任者・村田マリ女史を人身御供にして幕引き?を図る『DeNA』の問題点」<企業>

DeNA本社が入る渋谷ヒカリエ(☚wikipedia)

 

 顔の見えない不特定多数に大量の情報を発信、「カネになるかならないかは効率性のみ」という究極のマネー資本主義を突っ走っているのがインターネット企業である。

 ネットの情報は、「原則タダ」だから仕入れの情報は安い方がいい。

 一方で、ビジネスモデルは検索エンジンの上位に表示されるようにして、広告収入を増やすというものだから、内容は刺激的なものの方がいい。

 この双方の需要を満たすのが、「DeNA」の情報まとめサイトだった。

 問題発覚後、「DeNA」は健康医療情報サイト「ウェルク」など10個のサイトを閉鎖、記者会見を開いて、南場智子会長、守安功社長が陳謝したが、肝心の総責任者は「海外在住で体調不良」を理由に出席しなかった。

 IT業界関係者なら、この問題の責任者が同社の執行役員でメディア統括部長の村田マリ女史(38)であることを知っている。

 彼女はIT関係会社を何社も立ち上げ、出口戦略としてそうした企業を売却して巨利を得て、著名投資家と結婚。シンガポールに移住して出産。その順調満帆ぶりは、現代日本の成功者のひとりであり、『AERA』(2015年6月1日号)が特集した「日本を変える最強人脈」にも選ばれた。

 本人もそうした「成功者としての立場」を自覚、「自分に続きなさい」とばかりに多くのインタビューに登場、成功の軌跡とそのノウハウを語っている。

 高校を中退して早大第二文学部に入学後も学校には出ず、Webサイトの立ち上げに熱中。就職先に選んだのはネット広告の「サイバーエージェント」で、新規事業の立ち上げに関与し、3年後、自らWeb制作の会社を立ち上げて独立した。

 以降、「住まい・インテリア情報サイト」で、「掃除、料理、子育てを含む母親の応援サイト」でもある「iemo」を立ち上げ、それをもうひとつのサイトとともに50億円で「DeNA」に売却。執行役員に就任するとともに情報まとめサイトの責任者となり、シンガポール在住はそのままで、テレビ会議などで指示を出す。

 画に描いたような彼女の「成功物語」は、ネットのなかで作られ、そこで完結する。

 つまり顧客はすべてネットの向こうであり、直接、触れ合うことがない。

 1字50銭、1本2000字の記事を1000円で買い上げる著者・筆者・ライターとも出会うことはなく、通達や伝達はネットとメールであり、それも今は部下がこなすから直接の接触はない。

 ふれあいがない中で効率性を求めれば、結論として出てくるのは経費の節減である。

 判断材料は検索エンジンの上位に来るかどうかで、質が問われることはなく、著作権などややこしいものは、マニュアルでそれに引っかからないようにし、ライターには量で稼がせて経費を省く。

 「有効性」「信頼性」「社会性」といった広告料に加算されないものは排除され、ビジネスモデルから抹消される。

 情報まとめサイトの成功者である村田女史が、「PCオタク」の果てに辿り着いたのはこんな世界であり、それはなにも特別ではなく、「DeNA」に代表されるIT関連企業の持つ宿痾である。

 いい例がコンプガチャ問題である。

 携帯電話などのソーシャルゲームにおけるアイテム課金だが、希少アイテムを手に入れるために未成年者が親のカネを使い込むなどのトラブルが続出。消費者庁が違法と認定、「DeNA」などは陳謝のうえで廃止した。

 だが、それが悪いと思っていないのは、情報の利用者を念頭に置くことも、著作権者の権利を守るという発想もない今回の問題が証明している。

 村田女史が会見に出なかったのは、健康問題かもしれないが、穿った見方をすれば、神妙な顔の守安社長が述べた「第三者委員会の報告」で彼女に責任を取らせ、幕引きを図るためではないか。

 だとすれば、こうして何人もの"人身御供"を出しながら延命、成長する企業に「社会的存在価値はない!」と言っても過言ではなかろう。【卯】

 

 

 

 

 

 


2016年2月16日配信「証券監視委の『エボ・インベストメント』に対する課徴金納付命令で業績不振企業の救世主『エボリューショングループ』に暗雲?」<企業>


ニューオータニガーデンコート(☚wikipedia)

 証券界が、今、注目しているのは、"業績不振企業の救世主"と、言われてきた「エボリューショングループ」の経営戦略に変化が生まれるのかどうか、という点だ。

 今年2月2日、「エボリューショングループ」の「エボ・インベストメント」(英領ケイマン島)が、東証マザーズに上場の「ディー・ディー・エス」の株式を、私設取引システム(PTS)を利用し、午前の立会時間前に約定する意思がないのに大量の成り行き注文を出し、自己に有利な価格で約定させて利益を得ていた、という理由で証券取引等監視員会課徴金納付命令を受けたためである。

 証券のプロがなすべきことではないが、「エボリューショングループ」が急成長する背景には、この種の"行き過ぎた取引"が散見されるとして、証券監視委は同グループの過去の履歴にも関心を抱いており、今後、調査が入れられる可能性がある。

 そうなると、業績不振企業に対して第三者割当増資や新株予約権の引受などで存在感を増してきた「エボリューショングループ」の商法そのものが問われるわけで、証券監視委の姿勢によっては、ビジネスモデルの改変を迫られる。

 そうなると"駆け込み寺"として同グループを頼りにしてきた企業が、資金調達の予定を狂わされる可能性もある。

 「エボリューショングループ」は、米プリンストン大学でアメリカンフットボールの選手だったマイケル・ラーチ氏が創業。世界20カ国に拠点を置く金融グループで、日本への本格進出は商品先物の老舗「エース交易」の買収だった。

 同社の創業オーナーは榊原秀雄氏だったが、約4年前に「投資の失敗」で行き詰り、株式を「エボリューショングループ」に売却。その際、エボリューション側との間に“密約”があったとして、創業者と「エボリューション」双方が批判的に報じられたものの、結局、会社は「エボリューションジャパン」として蘇った。

 現在、「エボリューションジャパン証券」、「エボリューションジャパンアセットマネジメント」、「エボリューションジャパン管財」、「エボリューション総研」などを擁する金融グループとして、日本でも存在感を示すようになった。

 同グループの強みは大胆な資本戦略への関与だ。

 不動産の「アルデプロ」(東証2部)の新株予約権発行による40億円の資金調達、創薬ベンチャーの「アンジェスMG」(東証マザーズ)の第三者割当増資による約3億8650万円の資金調達、バイオベンチャーの「リプロセル」(JQ)の新株予約権発行による約22億円の資金調達など事例は数多い。

 業績不振企業、あるいは金融機関からの調達が限界に達した上場企業で、資金余力を高めて事業展開を図りたい企業にとってはまさに救世主である。

「アルデプロ」は、最近、都内の「南青山3丁目」「代々木会館」「湖雲寺」など著名物件での活躍が目立つが、それを支えているのが「エボリューショングループ」である。

 具体的には、英領ケイマン島籍の「エボファンド」などが新株予約権などの割当先となり、資金調達を引き受ける。

 ファンドの代表はマイケル・ラーチ氏。「エボリューションジャパン」の代表はジョン・フー氏で、やはりプリンストン大学出身だ。

 この資本戦略は、「銀行の思惑に左右されず、手っ取り早く調達できる」というメリットを調達サイドにもたらす一方、会社が引受側の都合のいい株価形成に協力させられるという不安もある。

「エボリューショングループ」にその傾向があることはかねてより指摘されていたが、今回、証券監視委が指摘した取引は、増資戦略とセットとなっているわけではないものの"エボリューション商法"の一端と見られており、もし証券監視委の関心が増資ビジネス全般に及ぶようなら同グループの今後の事業展開にも影響を及ぼすかもしれない。【丑】

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