2020年2月20日配信「送料無料問題で露呈した楽天の“イジメ体質”と三木谷浩史社長の“体育会気質”」<企業>
(☚wikipedia)
ネット通販大手の「楽天」が、出店者の“反乱”に揺らいでいる。
300内外の出店者で結成した「楽天ユニオン」が、「楽天」が打ち出した「3月18日から3980円以上の送料無料」という方針に反発、公正取引委員会に独占禁止法違反(優越的地位の乱用)で訴えた。
三木谷浩史会長兼社長は、「公取委と争うことになっても方針は変えない。出店者の売り上げもアップするし、悪い話ではなく、騒いでいるのは一部の店舗だけ」と、強気だった。
だが、公取委は本気だった。
告発を受けた直後から調査を開始、優越的地位の乱用は明らかという判断、2月10日には立ち入り検査を実施した。
メディアもいっせいに「楽天」の姿勢を批判。送料無料を中小零細の業者が主流の店舗に押しつけるのだから当然で、音を上げた三木谷社長は、13日に開いた19年12月期の決算説明会で、「送料無料」を「送料込み」と言い換え、店舗の裁量を優先、負担にならないように配慮する、と言明した。
だが、「送料込み」にしても店舗側の負担が大きくなるのは変わらず、「プライム価格はタダで、2000円以上は送料無料」を打ち出している「アマゾン」との競争を、店側に押しつける三木谷氏への不満は消えない。
それにしても、公取委、店舗、メディアが揃って批判するなか、どうして三木谷氏は頑強に方針を変えず、批判を浴びたのか。
「彼の性格というしかない。負けず嫌いで自分を通す。これまでそれで通してきたし、勝ってきた。その生き方は変えられないということ」(三木谷氏を知る経営者)
確かに、IT系企業の創業社長にみられるような線の細さは三木谷氏にはなく、体育会気質でグイグイと社員を引っ張り、経団連に反発して新経済連盟を立ち上げたように、既存の秩序や役人と戦ってきた。
今回も、これまでと同じ強気で乗り越えようとしたが、これまで以上の反発に驚いているというところだろう。
三木谷氏は、「一部の店舗の反発」といってのけた。
確かに、「楽天ユニオン」加盟店舗は、楽天市場に参加する5万のなかの300店で、集まった署名も約4000筆というのだから一部かも知れない。
だが、その底流には、これまで「楽天」の都合で規約を次々に変えられ、収益を低下させられたことへの恨みがある。
送料無料問題は、店舗に堪忍袋の緒を切らせたのであり、「楽天ユニオン」の背後には、「声なき声」がひしめいている。
次の店舗の声は、その典型だろう。
楽天ペイに加入させられ、アフィリエイト広告料を徴収される。そうしたことが、いきなり通知一本で行われる。反発しようにも、違反点数制度や罰金制度があって、『楽天』に嫌われたら、イジメられるんじゃないという恐怖感がある」
違反点数制度は、偽表示など市場内の違法行為を摘発、健全さを保つためのもので、制度自体はイジメではない。
だが、その指摘も「楽天」の裁量で、例えばユニオンの中核企業のなかには、「いわれなき中傷を受け、違反を指摘された」として楽天と争った店舗もある。
三木谷氏が強調したのは、「アマゾンとの競争」だが、物流網を整備し、早さと安さで勝負する「アマゾン」と同じ土俵で戦って勝利するのは難しい。
三木谷氏は、品揃えの豊富さや手作り感で定評のある「楽天」のメリットを活かさず、正面突破を目論んで送料の負担を店舗に押しつけたが、店舗側の反発に耳を貸すことなく、「それでも方向性は正しい」と思っているのは三木谷氏だけかも知れない。【🐏】
- 2020.02.19 Wednesday
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- 09:52
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- by polestar0510