2021年4月9日配信<0510archives>「日・米・欧の中央銀行が超金融緩和と財政ファイナンスでコロナ禍を吹き飛ばす株高を演出中?」<経済>
日本最大の仕手筋(wikipedia)
日・米・欧、先進国の株価上昇が続いている。
日経平均株価も3月中旬を底に、上げ相場が続いており、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準に戻りつつある。
証券界の一部で伝えられる「悪材料を折り込んだうえでの経済再開への期待」といった見方は、肯定的に相場を捉えようとする兜町流の“こじつけ”で、実態は日・米・欧が共同で行っている官製の工作相場である。
それも過去に例がないほど大がかりで、日銀も米連邦準備理事会(FRB)も欧州中央銀行(ECB)も、放置すれば奈落の底に落ちていく経済に驚愕、なりふり構わず量的緩和に走り、社債やコマーシャルペーパー(CP)を買い入れ、企業活動を下支えしている。
また、各国政府に中央銀行が連動、新型コロナ対策の自粛で空いた国内総生産(GDP)の穴を財政出動で埋めようと、財政規律を度外視。国債の増発に踏み切っているが、それを中央銀行が事実上の財政ファイナンスで支えている。
超金融緩和と巨額財政出動、それに社債、CP、上場投資信託を通じた株の買い支え――。日米欧の官製相場で株価を持ち上げているわけで、現在の株価は実体経済を反映したものではない。
今後、自粛は解除されても、世界の感染者が増え続け、国境のカベで人的交流が途絶え、第2波、第3波の心配は絶えず、供給網がズタズタのままで、株価が上がるわけはない。
株価が「経済を映す鏡」であるのは、3月上旬から中旬にかけてまでだろう。
新型コロナの感染力の強さが判明、世界経済への影響が深刻化するなか、3月に入って株価は急落を続け、3月12日は米株式市場でダウ平均株価は一時2200円安となり、日経平均株価は1万9000円を下回り、欧州株式市場で英独仏の株価指数は、前日比10〜11%安となった。
パニック売りであり、その後も日経平均株価は下げ続け、3月19日は1万6553円の年初来安値を記録した。
だが、そこで中央銀行が、市場介入への明確な意思を示したことで、潮目は変わり、株価は上昇に転じた。
FRBは、3月15日、定例の連邦公開市場委員会を緊急で開き、1%の利下げによる「ゼロ金利政策」の復活と大規模な量的緩和の再開を決めた。
遅れることなく日銀も、金融政策決定会合を前倒しして16日に開き、ETFや不動産投信リートの追加買い入れや企業金融を支援するための資金供給を決定。なかでもインパクトがあったのがETFの年間買い入れを6兆円から12兆円に倍増させたことである。
「以降、現物でも先物でも売りが出てくれば日銀が拾うという相場展開となり買いに安心感が広がった」(ファンドマネージャー)
ECBが決めたのは、総額7500億ユーロ(約91兆円)のパンデミック緊急購入プログラムであり、国債、社債、CPを買い入れて景気を支えた。
日米欧の緩和マネーの伸びは著しく、20年末の資産は、前年比1・5倍の2400兆円に達する可能性がある。
今後も資産を膨らませて株価を押し上げるわけで、FRBも日銀も、「国債は無制限で買い上げる」と宣言、ECBは7500億ユーロのパンデミック緊急輸入購入プログラムに6000億ユーロを積み上げ、1兆3500億ユーロ(約164兆円)とした。
まさにカネをじゃぶじゃぶにし、国が全部面倒を見ると宣言をしたうえでの管理相場で、株価は上がらない方がおかしいが、問題はいつまで野放図な政策を続けることができるのか、である。
バブルは必ず破裂することを我々は何度も学んできた。――が、その時、世界はどう対応すればいいのだろうか。【🐎】
- 2021.04.08 Thursday
- 経済
- 06:57
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- by polestar0510