トランスデジタルの捜査が大詰めで注目される二人の「大物金融屋」
昨年9月、民事再生法の適用を申請して倒産したトランスデジタルの周辺が騒がしくなっている。
「警視庁の捜査が本格化、役員は連日のように事情聴取を受けている。株主を含めトランスデジタルの増資に関わった連中は、みんな戦々恐々だ」(取引先幹部)
事件化必至の倒産劇だった。
情報通信機器の販売会社として知られ、1989年にはジャスダックへの上場も果たしたトランスデジタルだが、90年代後半に入ると失速、ここ数年は、株式市場からの資本調達で細々と生き永らえてきた。
問題となったのは、倒産直前の昨年7月11日に発表した新株予約権による資金調達。8月27日までに全予約権が行使され、「31億円を調達しました」と発表、ところがその翌日には小切手などで不渡りを出し、負債総額約26億円で倒産した。
架空増資であったのは明白。新株予約権の譲渡先には金融屋がいて、経営陣は資金繰りのために新株予約権で「高利のカネ」に手を出し、調達資金はその返済に回ったうえに、仲介した増資ブローカーらによって“中抜き”された。
経済事犯を担当する捜査2課が、倒産直後から情報収集に動いたのは当然ながら、この事件で興味深いのは、2人の「大物金融屋」が新株予約権を行使した大株主として登場したことだった。
野呂周介と永本壹桂……。
金融業界では、知らぬ者とてない大物である。株や不動産で「急ぎのカネ」が必要な時、二人には即断即決する度胸と資金力がある。ただ、その分、条件は厳しい。また、広域暴力団にそれなりに太いパイプを持ち、そうした自らの“属性”を自覚しているから、決して表に姿を現さない。
ところが、トランスデジタルの増資では、名前を出してしまった。大株主として登場した野呂氏は、「株式に転換していなかった」として名簿を訂正したものの、後の祭り。自らのグループ企業名などで名乗りをあげた永本氏は、引くに引けないところまでトランスデジタルの資金調達に関与していた。
業績不振の上場企業が、「資本のハイエナ」「増資マフィア」といわれる連中のテクニックによって資本を調達、架空増資、株価操縦、偽計取引などによって摘発されるのは珍しいことではない。だが、そこに資金を流し込む投資家や金融業者が摘発されることはない。「善意の第三者」と見なされるからだ。
しかし、この種のマネーゲームが「犯罪の温床」である以上、“常連”の金融屋が「善意の第三者」であるハズがない。トランスデジタルにその突破口を見いだした警視庁は今、「二人の大物」の摘発も視野に入れた捜査を、急ピッチで進めている。【伯】
「警視庁の捜査が本格化、役員は連日のように事情聴取を受けている。株主を含めトランスデジタルの増資に関わった連中は、みんな戦々恐々だ」(取引先幹部)
事件化必至の倒産劇だった。
情報通信機器の販売会社として知られ、1989年にはジャスダックへの上場も果たしたトランスデジタルだが、90年代後半に入ると失速、ここ数年は、株式市場からの資本調達で細々と生き永らえてきた。
問題となったのは、倒産直前の昨年7月11日に発表した新株予約権による資金調達。8月27日までに全予約権が行使され、「31億円を調達しました」と発表、ところがその翌日には小切手などで不渡りを出し、負債総額約26億円で倒産した。
架空増資であったのは明白。新株予約権の譲渡先には金融屋がいて、経営陣は資金繰りのために新株予約権で「高利のカネ」に手を出し、調達資金はその返済に回ったうえに、仲介した増資ブローカーらによって“中抜き”された。
経済事犯を担当する捜査2課が、倒産直後から情報収集に動いたのは当然ながら、この事件で興味深いのは、2人の「大物金融屋」が新株予約権を行使した大株主として登場したことだった。
野呂周介と永本壹桂……。
金融業界では、知らぬ者とてない大物である。株や不動産で「急ぎのカネ」が必要な時、二人には即断即決する度胸と資金力がある。ただ、その分、条件は厳しい。また、広域暴力団にそれなりに太いパイプを持ち、そうした自らの“属性”を自覚しているから、決して表に姿を現さない。
ところが、トランスデジタルの増資では、名前を出してしまった。大株主として登場した野呂氏は、「株式に転換していなかった」として名簿を訂正したものの、後の祭り。自らのグループ企業名などで名乗りをあげた永本氏は、引くに引けないところまでトランスデジタルの資金調達に関与していた。
業績不振の上場企業が、「資本のハイエナ」「増資マフィア」といわれる連中のテクニックによって資本を調達、架空増資、株価操縦、偽計取引などによって摘発されるのは珍しいことではない。だが、そこに資金を流し込む投資家や金融業者が摘発されることはない。「善意の第三者」と見なされるからだ。
しかし、この種のマネーゲームが「犯罪の温床」である以上、“常連”の金融屋が「善意の第三者」であるハズがない。トランスデジタルにその突破口を見いだした警視庁は今、「二人の大物」の摘発も視野に入れた捜査を、急ピッチで進めている。【伯】
- 2009.06.29 Monday
- 事件
- 05:10
- comments(6)
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- by polestar0510
コシ事件みたいに中途半端に終わるのでは?と心配しています。