2018年2月16日配信<0510archives>「『セイクレスト事件』で逮捕された“大物粉飾アレンジャー”=松尾隆容疑者の転落の軌跡」<事件>

 

「あなたたちは、口を開けば粉飾、粉飾と騒ぐが、業績不振で金融機関などが見放した企業に“合法的な手法”で資金調達の手伝いをすることが、どうしていけないんだ!」――証券犯罪を取材テーマにしている記者に対峙した際の、“大物粉飾アレンジャー”=松尾隆容疑者のコメントは、いつも“合法の自信”に満ち溢れていた。
 
 つまりは“粉飾を正当化する達人”なのである。それだけに、気に障った取材や記事に対しては執拗に抗議、相手が音を上げるまで止めない熱心さは、数ある“兜町の怪人”のなかでも右に出る者はいないと言っても過言ではない。
 
「上手の手から水が洩れた?」――その達人が「セイクレスト」(元ジャスダック・5月2日破産申請)の水増し増資疑惑で遂に逮捕された。
 
 だが、今回の逮捕容疑は、粉飾があまりにも露骨すぎて、情けなかった。
 
 2010年3月期決算で債務超過に転落しそうだった「セイクレスト」元社長で、今回一緒に逮された青木勝稔容疑者が、松尾に相談。松尾が実質的に経営する不動産会社を引受先にして、現物出資による第三者割当増資を計画、20億円と不当に高く評価して債務超過を逃れたという疑いである。
 
 本誌は、今年4月に大阪府警と証券取引等監視委員会(SEC)が、合同で家宅捜索した時点からこの事件に注目、「逮捕寸前!『佐渡SEC』に睨まれた“元祖増資マフィア”=松尾隆の“黒い軌跡”!」(2012・6/6)と題した記事を配信した。
 
 それから逮捕までに5カ月以上が経過、証券界では「今回も松尾は逃げ切るんじゃないか?」という声も流れたが、当局のテーマが「何が何でも松尾の逮捕!!」だっただけに潰れることはなかった。
 ここまで時間を要したのは、松尾らが法廷で繰り出してくるであろう「合法の論理」を崩しておくのに時間がかかっただけである。
 
 しかし、松尾容疑者が“異能の人”であるのは認めないわけにはいかない。
 
 1969年3月、一橋大学経済学部を卒業して「日産自動車」に勤務。71年2月に退職、いったんは一橋大学商学部に学士入学するが、中退して「山種証券」に入社、84年3月に外資系の「スミスバーニー証券」に転籍。マーケットがバブル経済に沸き始めた頃、外資に移ったことが、資金調達アレンジャーとしての“凄腕”につながり、「プレデンシャル証券」を経て、94年4月、バブル崩壊に呻吟する上場企業が増えた頃に独立したことが、資金調達=粉飾アレンジャーとしての松尾の“居場所”につながった。
 
 実際、“怪しい資金調達の元祖”と言っていい。
 
 まだ海外のタックスヘイブン(租税回避地)を利用した資金調達が一般化していない頃、魑魅魍魎が跋扈、没落した製鉄会社「ヤハギ」が香港で発行するユーロ建て転換社債の発行に関与、タックスヘイブンのペーパーカンパニーを受け皿に、私募CB(転換社債)を発行させた。それが今から14年前の98年のことである。
 
 その後も松尾は、常に先端を走った。
 
 時価より安く発行価格を決める私募CBの次は、転換価格を自由に調整できるMSCB(修正条項付き転換社債)の発行を資金難の企業に伝授した。
 
 「ヤハギ」「ヒューネット」「ヤマシナ」「日本ファーネス工業」「キーイングホーム」「ゼクス」、そして今回の「セイクレスト」――松尾容疑者が関与した銘柄は数多く、いずれにも“増資マフィア”、“資本のハイエナ”と呼ばれる連中が群がったが、調達に関わったのは一緒でも、株価操縦やインサイダー取引など、違法を承知でカネ儲けに走る連中と“同列”に見られることを極端に嫌い、一線を画していた。
 
 
 「私は、企業再生のアドバイザーであり、資金調達のお手伝いをしているだけだ。批判されるいわれはない!」
 
 これが松尾の変わらぬ主張である。
 
 だが、「企業再生といいながら、再生した企業など皆無ではないか」と、反論されると、「それは経営者サイドの問題であり、経営者の質がどんどん悪くなっているから再生できないのだ」と、問題をスリ替えた。
 
 ただ、松尾が「合法」にこだわったのは確かである。
 
 05年には「ヤマシナ」で「10株を1株に併合、ただし転換価格は従来通り」とするとんでもない増資を仕掛けている。
 単純計算で「10倍の儲け」が引受先にもたらされたが、株主総会の議決など手順は踏んでおり、グレーゾーンではあっても違法ではなかった。
 
 もちろんSECも証券業界も手をこまぬいていたわけではない。
 グレーゾーンは次々につぶしていき、私募CB、MSCB、株式併合マジックなどは、使えなくなっていった。
 
 そうした逆風のなか、追い詰められた松尾容疑者が手を染めたのが、二束三文の土地を高く鑑定させるという工夫の見えない粉飾アレンジだったのである。
 
 証券トラブルによって、多くの民事訴訟を起こされ、儲かってもいないし、調達企業に感謝されたわけでもない。そのうえマスコミには叩かれ、捜査当局には狙われ続けて最後には逮捕された。

 逮捕前の松尾は、「法に触れることは何もしていないから、逮捕されることはない。仮に逮捕、起訴されても、当然無罪だ。最悪のケースでも、執行猶予ですぐ出て来る」(周辺関係者)と強がっていたと言われるが、相手は満を持して逮捕に踏み切ったSECだけに予断は許さない。
 
 一体、自己弁護の達人”である“大物粉飾アレンジャー”は、傍目には、苦労の多い、収支の合わないとしか思えない金融マンとしての人生を、どう総括しているのだろうか。【鰍】

 

 

 

      

                                                      

 

 

 

 

 

 

 

 


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