2018年3月31日配信<0510archives>「籠池泰典前理事長逮捕でも“怪談・森友劇場”の幕は下りず!」<事件>

 
森友学園塚本幼稚園(☚wikipdia)


 去る7月31日午後、大阪地検特捜部が、籠池泰典・詢子夫妻補助金適正化法違反容疑で逮捕した。

 しかし、これで“ナニワの森友劇場”が治まるはずもなく、いわば本編の第2幕が開いたというべきであろう。

 逮捕に先立った27日に、森友学園の籠池夫妻に対して任意の事情聴取が行われたが、聴取に出かける前に即席の記者会見を開き、帰宅後は、親しい特定のメディアを呼び込んで聴取の様子を語っている。

 その模様は、中継で全国に流れるが、これまでも3月に「安倍昭恵・首相夫人からの100万円寄付」を、野党調査団に告げて以降、籠池氏は基本的に取材に対応してきた。

 従って、国民は大阪地検特捜部が告発を受理して捜査に着手した際、籠池氏がどんな感情を抱き、事件の背景に安倍政権(首相官邸)のどんな思惑があると感じているのかを知ることができた。

 そして家宅捜索の日には、自宅にテレビカメラを入れて待ち構えていたので、強制捜査がどんな形で行われるのかを目の当たりにした。

 家宅捜査の実況中継!――地検特捜部が捜査する「特捜案件」で、こうした対応をする被疑者は滅多にいない。

 公判まで見据えた顧問弁護士が、情報をコントロールしたいという思惑があって、メディアに口を開かせないからだ。

 だが、籠池氏は、事件の“キモ”である「刑事訴追に関すること」を除いては、すべてオープンにしてきた。

 森友学園事件では、2011年以降、専任教員の数を偽って人件費補助を申請、また「要支援児」の受け入れに関する虚偽報告で大阪府から約6200万円を詐取したとされた。

 また、「瑞穂の國記念小學院」の建設に絡み、国からの補助金約5600万円を不正受給した疑いが持たれている。

 もちろん、双方とも看過できない事件である。

 しかし国民は、事件発覚から短期間で特捜部が告発を受理した流れに、「ワルは籠池」で決着させたいという意図を感じ取っている。

 それは、「国策捜査だ」と、籠池氏が言い続け、それに同調するメディアが多いこともあるが、なにより大きいのは同時期に疑惑が表面化した「加計学園」との対比においてである。

 同じ“学園モノ”だが、双方の開きは大きい。

 籠池氏の窓口は昭恵夫人であり、安倍首相は会った?こともない。

 それに対して「加計学園」の加計幸太郎理事長は、米留学時代からの“腹心の友”だ。

 加えて、園児たちに「教育勅語」を斉唱させる変わった教育の幼稚園理事長に過ぎない籠池氏に対し、加計氏は三つの大学を擁する一大学園グループの総帥である。

 公訴権と捜査権を握り、いくらでも情実捜査を行える法務・検察は、早くから叩けばホコリの出てくる籠池氏を「資金繰りに窮した挙句の“詐欺”」で逮捕し、逆に「加計学園」には手を出さずに官邸に恩を売ることを決めていた。

 

 閣僚人事を抑えた今の官邸には、法務・検察に忖度させるぐらいの力はある。

 しかし、籠池氏に思わぬ“援軍”が現れた。

 前川喜平・前文科事務次官である。

 国会やメディアの前で「官邸からの圧力」で獣医学部新設が認められたことを明確に証言した。

 国有地を8億円も安く払い下げた「森友学園」のケースと、官僚の忖度は同じである。

 ところが事件発覚後の対応は180度違い、籠池氏を葬り、加計氏を必死で守ろうとしている。

 そこに国民は、「安倍1強」の歪みを感じた。

 都議選の自民党大敗北は、安倍政権への怒りの表明だった。

 都議選最終日、秋葉原に現れ、「嘘は、イカーン!」と、声を張り上げた籠池氏のパフォーマンスは、確実に安倍政権を痛撃した。

 100万円を安倍夫妻に返そうとし、その時の札束が上下2万円だけが本物で、あとは白紙だったという漫画チックなパフォーマンスは、籠池氏の信頼度を落としたが、一方で、「そこまで安倍が憎いのか」という奇妙な感慨を抱かせもする。

 籠池氏は、ネット社会にふさわしい"オープン・リーチの被疑者"である。

 マスコミが黙視したとしても、you tubeやtwitter、face bookなどで映像と主張が流されれば、マスコミも無視するわけにはいかない。

 その発言と自宅を撮影場所に解放する籠池氏の"戦略"によって、「司法記者クラブを味方につけて、事件を自分たちの方向に持って行く」という従来型の特捜捜査は通用しなくなった。

 籠池氏の“無勝手流の戦い”に、傷ついているのは安倍政権である。

 ボタンの掛け違いは、「昭恵夫人からの100万円寄付」を、籠池氏が口にした時、「トットと潰してしまえ!」と、官邸が“発想”し、「国会に呼んで偽証罪で逮捕させる!」と、策を弄した時から始まった。

 心血を注いできた「森友学園」を経営破綻に追い込まれ、身ぐるみ剥がされて刑事被告人になろうとしているにもかかわらず、籠池氏にはどこか剽軽なところがあり、そんなキャラクターを全開させる姿は、メディアにとっては得がたい存在である。

 「昨日の友は今日の難敵」――籠池氏という“特異な人物”の対策を読み違えたことが、安倍首相の“最大の失敗”である。【午】

 

 ※籠池夫妻は逮捕以来8ヶ月経った現在も保釈も叶わず、接見禁止のまま拘留中の身である。

 

 

 

 

 

 

 


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