2020年6月2日配信「東京高検検事長賭け麻雀事件を教訓とすべきは、むしろ司法担当記者だ!」<事件>

 
(wikipedia)

 

 黒川弘務東京高検検事長が、政府の自粛要請中に賭博罪に相当する「賭け麻雀」を繰り返していたことが発覚、自ら職を辞したが、賑やかな辞任報道に比べ、ほとんど触れられないのが、「検察とマスコミ」の関係だろう。
 
 弊誌は、5月21日配信で検察庁法改正を先送りさせた「検察の正義」について論考した。
 
 黒川氏を検事総長に就けようとした安倍政権の工作の数々を押し戻したのは、ツイッターに代表される国民の声であり、国会審議で抵抗した野党であり、政府への意見書やインタビューなどで検察人事の公平性と中立性を訴えた検察OBらの熱意だった。
 
 しかし、検察は、「正義を具現する組織」と言われるほど単純な官庁ではない。
 
 すべて「正義」は相対的なもの。「検察の正義」もあれば「官邸の正義」もある。
 
 これまで特捜検察がどれだけ強引な捜査を繰り返してきたか。彼らが手掛けた過去の数々の政界摘発事件を振り返れば、それは明らかであり、政権が検察の“行き過ぎ”に歯止めをかけようと、過去に何度も規制しようと試みたことでも分かるというものである。
 
 検察庁は公訴権を持つ特別官庁で準司法ではあるが、一方で法務省は政府が人事権を持つ行政組織であり、人事に影響力を行使しようとするのは当然のことである。
 
 文春砲の炸裂後、燎原の火の如く反対の声が湧き上がったのは、「森友学園」、「加計学園」や「桜を見る会」で証明された「首相がウソを押し通し、官僚がそれを忖度して支える」という構図にうんざりし、「政府を監視する検察までそんな組織になってはならない」という思いでみんなが一致したからだ。
 
 しかし、黒川辞任で改めて証明したのは検察の独善である。
 
 稲田伸夫検事総長は、形ばかりの謝罪コメントを発表したが、本人の肉声での陳謝の言葉はなく、また法務省の調査も形ばかりで、「訓告」で幕を引きたいのは明々白々。本来なら検察官適格審査会に黒川氏をかけるべきであり、さらに後任が黒川氏と検事総長ポストを争っていた林真琴名古屋高検検事長とくれば結局、スキャンダルを利用して官邸圧力を排し、当初の目論見通り、検察人事を完全に取り戻したことになる。
 
 この手前勝手な「検察の正義」を、これまで“補完”したのがマスコミ各社の司法担当記者だった。
 
 地検特捜部だけでなく、国税、証券監視委員会、公正取引委員会などの捜査・調査機関は、すべて公訴権を持つ検察に事前相談、事件の「筋」を決めるために、あらゆる大型事件の情報は検察に集まり、各社数名の“腕きき”を司法記者会に配置する。
 
 一線検事がマスコミ対応することはないが、検察幹部は会見だけでなく、それなりに取材に応じてレクチャーし、時に捜査情報をリークするので、検事と記者の関係は“主従”に近い。
 
 検事の意向は絶対である。
 
 今回、「産経」「朝日」の記者が接待麻雀を行っていたが、自粛期間中でもやろうという意欲を持ったのは、間違いなく“積み木中毒”の黒川氏であり、記者の立場で拒むことなど出来なかった。
 
 ただ、現在は、検察情報に沿って強制捜査をいち早く報じることが、それほど価値を生む時代ではない。
 
 夜討ち朝駆けで人間関係を作り、スクープを飛ばすことでどれだけ読者の関心を呼ぶかは心もとなく、その価値観ではマスコミが滅び行く運命にあるのは、日々、減少する新聞発行部数が示している。
 
「マスコミ」を「マスゴミ」と称するのはネットの画一的な批判だが、検察報道で当たっているのは、司法記者が読者より情報をくれる検察幹部を意識した記事を書くことが多い点だ。
 
 上述したように、事件発覚後の「稲田検察の独善と秘密主義」は目に余った。
 
 黒川氏の定年延長にも、接待麻雀にも、なんら意思を表明することなく、無言でやり過ごして人事を取り戻した。
 
 それは、検察の唯我独尊と傲慢を象徴しているが、司法記者はそれを検証することも批判することもない。
 
 これでは賭け麻雀事件は、一過性のものとして忘れ去られ、検察は不可侵の立場を継続し、司法担当記者との主従関係も旧態依然のままでは、国民の信頼を得ることはできない。
 
 国民が期待する情報は、抜いた抜かれたの「スクープ」ではない。
 
 SNSに瞬時に情報があがる状況で、プロの司法記者に求められるのは「検察に媚びない正確な情報」と、その「背景説明」である。
 
 今回の事件を教訓とすべきは、むしろ「マスコミ司法記者」であろう。【🐕】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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