2011年3月1日配信「TOB成立でオーナーが逃げ出す大東建託に将来はあるのか!」<内幕>

オーナーが、会社に全株を引き取らせて経営権を放棄する…。別に批判されることではない。
老齢、気力、環境、病気…理由はさまざまだろうが、会社を立ち上げたからといって、最後まで行く末を見守る責任があるわけではない。
むしろ老害を撒き散らす前の決断は、会社にいい影響を与えることが少なくない。
しかし、連結売上高が1兆円近い大企業とはいえ、発行済み株式の約30%を買い取らせるというのだから影響は半端ではない。
取得価格は約2100億円。自己資金717億円に加え、約1400億円を借り入れて対応、「手元流動性は確保している」と、会社側はいうものの、これだけの犠牲を強いたオーナーの脱出は、会社に見切りをつけた?と映るわけで、将来には暗雲が漂っている。
2月中にTOB(株式公開買い付け)を行っていたのは賃貸アパート建築・管理の最大手、「大東建託」である。
米倉涼子、津川雅彦、佐藤隆太、豊田エリーといった著名タレントを使った活発なCM戦略と、過酷なノルマを課せられた営業マンが、北海道から沖縄までの支店を拠点に農家を主とする「土地持ち」に営業をかけ、家賃保証で安定収入を約束して業績を伸ばしてきた。
同社は、右肩上がりの増収増益を続けてきた東証1部上場企業として知られている。
一方で、「人の2倍働いて3倍稼ごう」をモットーとする大東建託の労働環境はほめられたものではなく、社員の定着率は低く、労働紛争も絶えない。
またノルマに追われる営業マンが、リスクをきちんと説明しているかどうかも疑わしい。
「30年一括借り上げ」、「借り上げ家賃10年間固定」をうたってはいるが、イザとなると賃料の減額請求ができるという項目もあって、オーナーとの間でトラブルが絶えない。
善くも悪しくも、このビジネスモデルは創業オーナーの多田勝美会長が築いたものである。
1945年、三重県に生まれ、四日市市の高校を卒業後、10年の会社員生活を経て独立、「土地活用ビジネス」を展開する。放置された農地に目をつけ、貸倉庫、貸工場を建てて賃貸するサイドビジネスを農家に勧めた。
コメが供給過剰となり、現金収入の道が減った農家に喜ばれたが、倉庫や工場に汎用性はない。それを賃貸住宅に変え、家賃保証を採り入れたことで急成長した。
転機は、06年4月に訪れた。改正保険業法の施行である。
「大東建託」もそうだが、賃貸アパート経営の家賃収入は、共済制度が支えていた。
「家賃保証」を「大東建託」が行うのではなく、オーナーから集めた共済金によって保証、「大東建託」はノーリスクだった。
オーナーに借金させて賃貸アパートを建て、家賃保証もオーナーにやらせる。そんな“うまみ”のあるビジネスは閉じられ、連結子会社の「大東建物管理」による一括借り上げ方式へと移行した。
それは「大東建託」にリスクを移行させるものであり、徹底した利益追求主義を貫く同社は、リスクをオーナーに転化、家賃保証の切り下げを求めるようになった。
「共存共栄」のビジネスモデルは「対立」へと移行、多田会長はこの時から売却のハラを固めていた。
ファンドへの売却など検討は重ねられたものの、リーマンショックによる環境悪化もあって塩漬け。以降も多田氏の“脱出願望”は変わらず、野村グループによる資金提供もあって、会社による多田氏の持ち株購入を目的としたTOBが実施された。
自社株買いと同じであり、一株当たりの利益が上昇、株価は上がったものの、そのまま成長を続けられるだろうか。
なにより、65歳と老け込む年齢ではなく、個人では中国で事業展開するなど、事業熱は旺盛な多田氏が株を売る理由がない。
嗅覚が人並み以上に優れた多田氏は、将来の人口の減少と、アパート経営の終焉を読み込んだのではないか。
そして、「今が最後の売り時」と考えて多田氏が株式を売却したのだとすれば、株価算定のもととなる業績に“操作”はなかったか、といった疑惑も生じてくる。
関係者の間で「TOB成立後の『大東建託』は要注意だ」と囁かれるのも故なきことではない。【壹】
- 2011.02.27 Sunday
- 事件
- 11:48
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- by polestar0510












































































