2011年12月30日配信「個人向け国債、劣後債の利回りアップでリスク拡大!!――忍び寄る金融危機に御用心!!」

「個人向け国債」の人気が高まっている。
今年7月、10年満期の変動金利の算定方法を変えたことで、これまでの0.37%が0.77%に跳ね上がったのが、その理由である。
その結果、前年同期比で同国債の発行額は4倍となったのだが、12月5日から年末にかけて発売される10年満期物も好調な販売が期待されている。
また高金利を謳い、11月には3社が発行した「個人向け劣後債」の人気も高い。
いずれも償還期間は10年で、利率は格付けAの「三井住友銀行」が1.56%、BBB+の「東京都民銀行」が2.38%、AA−の「三菱UFJ信託銀行」が1.52%だった。
劣後債は、デフォルト時の債務弁済順位が一般債務より低い債券で、その分、発行利率は高く設定されているのである。
前述の3行とも信用力が高い金融機関であり、10年後の金融情勢など誰にも読めないにもかかわらず、個人がリスクを取りに行くのは、将来の不況を見越し、利殖を真剣に考えているためだろう。
しかし、利率が高いということはリスクが増すということである。
証券界で話題を呼んだのは、「野村ホールディングス」(野村HD)が、先月24日に発表した「個人向け劣後債」だった。
償還期間は10年で金利は1.5%から2.9%。募集期間は12月12日から12月22日までで、条件決定は12月9日であるが、
“注目”を集めたのは、付けられた「債務免除特約」の“中身”である。
この社債に幾つも含まれている面倒な条項を列挙すると、優先順位の低い「劣後特約」、満期5年の「期限前償還条項」、満期まで待つしかない「期限の利益消失に関する特約」、そして公的資金導入の際の「条件付き債務免除特約」などである。
このうち前の三つの「特約」や「条項」もそれなりに厳しい面があるのだが、問題となってくるのは、最後の「条件付き債務免除特約」で、もし「野村HD」が経営破綻した際に公的資金が入った場合には償還はなくなってしまう。
もちろん経営危機に追い詰められ、公的資金が入らない場合は倒産しかないのだから、その場合も償還はない。
つまり、「経営破綻は即、社債が紙屑」となるわけである。
金融機関の社債を購入する際、多くの人は「金融機関は金融庁が救済する」という考えが、頭のどこかにあるものだ。
実際、公的資金の注入で生き延びたところは少なくなく、それが金融機関が発行する社債の購入動機という側面もある。
だが、「野村HD」のこの「個人向け劣後債」には公的資金を期待できない。最大2.9%の金利は、その条件を呑ませたうえでのものだからである。
いうまでもないことだが、国際金融環境は厳しい。当初は「PIGS」(ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペイン)固有の問題と思われていた金融危機は、今やヨーロッパ全体に飛び火、イタリアの金利は7%を突破、その不安心理が優等生のはずのドイツにまで波及、11月23日の10年物国債は、応札額が募集の61%で未達だった。
当然のことながら、プロはリスクを取れない。
債務残高のGDP比が200%を超える日本国債にデフォルトリスクが高まっていると考えるのは当然で、機関投資家がいつ国債購入にソッポを向くかわからない。
となると“標的”となるのは「個人」である。
03年から発売を開始した「個人向け国債」の不人気は、利率の低さにあった。だから算定方式を変えて、人気を煽った。
金融機関も同様に、資金融通がタイトになった分、リスクを取れる個人に“狙い”を定め、あの手この手で金利を上昇させ、資金調達を図っている。
昔から金融機関が金利を上げれば、経営危機と相場は決まっている。現在は、それに加えてソブリンリスクも高まった。
不況にリスクを取ることで立ち向かうのは“蛮勇”と言うほかない。
「少しばかり高い利率に幻惑されること勿れ!!」――国際金融危機が去らない現在は、『じっと我慢の大五郎』が正解ではないだろうか。【伯】 (読者のリクエストにより12/6記事を再配信しました)
- 2011.12.29 Thursday
- 事件
- 12:15
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- by polestar0510


































































