2011年5月30日配信 「会員無視!!――“企業の論理”ばかりが横行する『PGM対アコーディア=太平洋クラブ騒動』の舞台裏」 <内幕>

ゴルフ場の「預託金制度」が崩壊して久しい。ゴルフ会員権に資産的価値はなくなり、会員は「メンバー」とは名ばかりの単なるゴルフ場利用者でしかなくなった。
そうした時代的な変化は差し引いても、ここまで会員を“愚弄”していいものかと思わせたのが、「PGMホールディングス」と「アコーディア・ゴルフ」の経営統合を発端とした争いである。
「アコーディア」は今年1月に倒産した「太平洋クラブ」のスポンサーに名乗りを挙げていたから、『PGM対アコーディア=太平洋クラブ』の構図のなかで、「会員がないがしろにされている」といって差し支えない。
複雑な話ではがあるが、ごく単純化すれば以下のようになる。
米ファンドのローンスター系の「PGM」と米投資銀行のゴールドマン・サックス系の「アコーディア」は、ともに破綻したゴルフ場を買い叩いて100コースを超える運営会社となり、株式上場にも、株式売却という“出口戦略”にも成功。さらに両社が経営統合して大きくなろうとする「PGM」は、グループ会社の「オリンピア」が統合を株主提案、それを拒否した「アコーディア」経営陣との間で、6月末の株主総会に向けた委任状争奪戦が勃発。この騒動の為に、太平洋クラブの再生計画案の提出は、先送りされてしまった。
こうした一連の騒動をもたらしているのは、「企業の論理と市場の原則」、そして会社を私物化して恥じない「経営陣の堕落」である。これでは株主もメンバーも泣くに泣けない。
問題となるのは、まず「太平洋クラブ」である。
1971年に設立されたゴルフ界の名門ゴルフ場は、「三井住友VISAマスターズ」を開催する御殿場を始め、札幌、軽井沢など全国に18の人気コースを持つ。
旧平和相互銀行が「環太平洋にゴルフ場を展開」と、壮大な構想でスタートさせただけにコースは一流で、それを受け継いだ旧住友銀行が積極支援、「預託金制度のゴルフ場の最後の砦」と見られていた。
しかし、1万3000人の会員と預託金のない入会金だけのパーソナル会員7000人は、1月23日、会社が負債総額1276億円で倒産した際、「三井住友銀行」が5年も前に“逃走”していたことに驚かされる。古くからの会員が、今も怒っている。
「入会金は『三井住友銀行』でローンを組み、会員になることを行員が勧める。『三井住友VISAマスターズ』も継続していた。その銀行が、我々には何の説明もないまま、『東急不動産』に株と債権を売却していた。“三井住友のゴルフ場”だから潰れないだろうと、倒産寸前に会員になった人もいる。看板を隠れ蓑にした背信行為だ!」
倒産に向けた準備は周到だった。
「東急不動産」や「大和証券キャピタル・マーケット」が株主となって「太平洋ホールディングス合同会社」が設立されていたが、昨年4月、社長に就任した桐明幸弘氏は、会計士事務所トーマツ出身の“企業再建屋”である。
また、2年前には御殿場コースなど優良コースが、「東急不動産」など債権者と会社側の都合によって「太平洋アリエス」など別会社に分割されていたが、この事実も会員には伏せられていた。
そのうえで「太平洋クラブ」は、「アコーディア」をスポンサーに選ぶのだが、その手際の良さは「最初からアコーディアありき」で、会員らが「権利を守る会」などを立ち上げ、「会員を無視した狡猾な計画倒産」と、怒りの声を上げるのも当然のことだった。
この「太平洋クラブ」の問題は、「ゴルフ場は誰のものか!!」を再考させるもので、「権利を守る会」などによる詐欺容疑などの告発によって、刑事事件化の可能性も出ているのだが、「アコーディア」と「PGM」の争いもまた会員無視だ。
「アコーディア」の竹生道巨前社長(5月23日に退任して取締役)のスキャンダルは、秋本一郎前専務(現取締役)が記者会見を開くなどして訴えたために、周知の事実となった。
多くの新聞・雑誌が報じ、同社コンプライアンス委員会も訴えの多くを認め、ニュースリリースしているので繰り返さないが、親密女性をモニターにしてカネを払うなど、甚だしい「私物化」があった。
ただ、このスキャンダルを仕掛けた秋本氏が、「PGM」に完全に取り込まれ、その絵を描いたのが、「PGM」の神田有宏社長だというのだから、なんとも胡散臭い。
神田氏は、元アコーディア役員で竹生氏の部下。会社統合戦略は、ゴルフ運営会社の企業価値を高めるために必要だというのが神田氏の持論で、昨年までは同氏自身が、「PGM」に持ちかけていた。それが受け入れられずに竹生氏と対立、「PGM」に移って、自説を貫いた。
そこにあるのは、「日東興業」(アコーディアの前身)時代からの“ゴルフ屋”の竹生氏と「自分は違うんだ」という神田氏の自負だろう。
ゴールドマン時代からシビアな投資銀行家だった神田氏にとって、何よりも優先するのは「企業価値の向上」であり、会員への配慮は薄い。騒動の渦中にも雑誌インタビューなどに登場、「太平洋クラブの価格は安いほどいい」と公言、預託金は切り捨てて当然の人である。
運営会社に会員や投資家を巻き込んだ三つ巴、四つ巴の戦いは、6月末の「アコーディア」の株主総会まで続くが、過去も現在も、桐明、竹生、神田といった経営陣の脳裏に、「会員への配慮が欠けている」ことだけはハッキリしている。【駿】
- 2012.05.28 Monday
- 事件
- 17:23
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- by polestar0510




































































