2016年10月4日配信「上へ、上へ!?――警視庁組対4課は野球賭博の頂点にいる大胴元に辿り着けるのか!」<事件>

警視庁(☚wikipedia)
警視庁組織犯罪対策4課が摘発した野球賭博事件で、巨人軍野球選手らを賭博に誘い込み、笠原将生投手ら3人を引退に追い込むきっかけをつくった飲食店経営の斉藤聡被告(38)は、事件のキーマンだった。
事件後も笠原元投手が、地元の福岡で斉藤被告考案の「うにシャブ店」を経営しているのを見てもわかるように、面倒見のいい兄貴分気質なのだろう。
笠原元投手だけでなく、福田聡志元投手、高木京介元投手が相談を持ちかけ、他に面識のある巨人軍選手は8選手にのぼるという。
それだけに組対4課は、斉藤被告の「上」を狙いたかった。
捜査本部の置かれた原宿署は、早い段階で「上」の口座を特定、客の事情聴取を活発化させていた。
その「上」が、24日、逮捕された広域暴力団山口組系矢嶋組幹部の三宅雅剛容疑者(42)である。
愛媛県今治市に本拠を置く矢嶋組は、かねて野球賭博を組の収益源とする博徒として知られている。
三宅容疑者は、4次団体若頭のポストに就いており、組織的なポジションは高くないが、東京の野球賭博の責任者を務めており、都内の暴力団関係者や野球賭博に関わっているグループの間では、「野球屋」と呼ばれていた。
2010年に警視庁が摘発した大相撲の現役力士による野球賭博事件でも、ハンデ表の作成や賭け金の回収には暴力団が絡んでいるとして、警視庁は「上」を狙ったが、野球のない月曜日に回収と配当を現金で行うという慣習が、「上」への道を阻んだ。
今回、斉藤被告の役割を「客を持つ小胴元」と位置づけ、「中胴元」の三宅容疑者に辿り着くことができたのは、三宅容疑者が元矢嶋組組員の酒井良昌(37)、福岡勝美(36)両容疑者の口座を使って、資金回収や配当の振込を行っていたからである。
口座の特定は早い段階でできており、捜査本部の置かれた原宿署には、多くの利用客が呼ばれ、捜査協力を求められて調書の作成に応じた。
いずれも携帯電話の提出を求められたわけではなく、つまり不逮捕を前提の捜査協力であり、そうした証言から「中胴元」としての三宅被告の存在が裏付けられ、それに斉藤被告ら確かな顧客の履歴をもとに、暴力団に行き着くことができた。
マスメディアは、警視庁発表をもとに「大胴元」を頂点にしたピラミッド型の組織図を作成、「三宅容疑者の上部組織の解明」という組対4課の狙いを明かしている。
「上部組織」とは矢嶋組であり、組対4課は、矢嶋組が「どこよりも精巧で客の射幸心を煽る」というハンデ表を作成、組の重要な資金源となっていることを解明したい考えだ。
が、ここから先は難しい。
ピラミッド型の組織図はわかりやすく構造を示してはいるが、現実には「中胴元」が直接、顧客の相手をすることがあり、型にはまってはいない。
東京の野球賭博の大口客にとっては、「野球屋」の三宅被告が「大胴元」であり、そこで完結。その先は、三宅被告の矢嶋組への「上納金」という感覚だ。
それも野球賭博の構造を示すものではあるが、賭博と金銭移動を証拠や証言で裏付けるわけではなく、野球賭博事件とすることはできない。
仮に、ここで終わったとしても、「野球賭博に暴力団が絡む構造」を摘発した意味は大きいのだが、「上」に捜査を向けたため、「野球選手に蔓延する野球賭博」には手をつけなかったことには触れておくべきだろう。
斉藤被告は、逮捕前、さまざまなマスメディアに接触、「他の野球選手の遊び(賭け事)」に言及していた。
それは自分や笠原元投手らに事件が集中するのを拡散させる目的もあったが、「野球賭博にはまっているのが巨人元4投手だけではない」というのは、誰にでも容易に想像できた。
だが、組対4課が、「下」ではなく「上」に伸ばしたのは、プロ野球界全体を覆った「早期解決」の声に、警察が配慮したためである。
そこには4人もの処分者を出した野球界の盟主・読売巨人軍の警察当局への"根回し"があったと言われているが、ともあれ野球選手が野球賭博に手を染めるという前代未聞の事件は、捜査当局にとっての"宿願"を叶えるとともに、野球界への傷を最低限に抑えるという「理想に近い形」で決着することができたのである。【午】
- 2016.09.29 Thursday
- 事件
- 08:42
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- by polestar0510





































































