2019年3月5日配信「日大利権OBグループ会社が断末魔に利用した40億円偽造為替手形の使い道」<事件>

甘い話にはご用心なのだが
(☚wikipedia)

 

 

 昨年末、2枚の偽造為替手形のコピーが市中に出回り、騒動となった。


 1枚は額面が40億円。振出日が平成30年7月25日で支払期日が31年1月25日。振出人は東京・板橋に本社を置く「エヌ・エス・ティー」で、引受人は東京・中野の西武信用金庫である。

 もう1枚は、額面が11億円。振出人、引受人とも同じだが、振出日は平成30年7月31日で支払期日が31年1月31日である。

 こんな巨額の為替手形が流通するわけはなく、問い合わせに対し、西武信金は「(エヌ・エス・ティーとの)取引関係はなく、為替手形に押印、記名したような事実はない」と回答。つまり偽造為替手形である。

 「エヌ・エス・ティー」の前代表取締役は、過去に倒産歴のある安藤季賢氏。日大問題が騒がしかった昨年春、「日大利権人脈のひとり」として報じられたことがあり、『週刊文春』(18年6月14日号)は、「日大病院建設の裏ガネ工作を行なった人物」として紹介した。

 その安藤氏の傘下企業には「エヌ・エス・ティー」の他、同住所に本拠を置く「NU校友会蝓廚ある。
「NU」とはNIPPON UNIVERSITYの略で安藤氏は、日大生産工学部OBで田中英寿・日大理事長の右腕といわれる石井進常務理事と昵懇だが、日大の役職についているわけではなく、「NU校友会」は石井−安藤ラインの利権会社だった。

 その「NU校友会」は、日大アメフト部の危険タックルに端を発した日大問題が噴出している最中の6月20日、関連3社とともに、負債総額7億7000万円で破産した。

 3社は、「MFCジャパン」、「スペースパワーホールディングスジャパン」、「一般社団法人都市未来研究所」である。

 安藤氏のグループ企業が、断末魔の状況で、手形を降り出したのが破産を免れた「エヌ・エス・ティー」なのだろう。

 今後、手形偽造での事件化は避けられないのだが、その利用の一端が、警視庁捜査2課に提出された告訴・告発状で明らかになった。

 ただ、訴状は手形詐欺事件ではなく、「アジアコインオークション」を経営する石川雄太氏が、リクルート株購入のために投じた50億円を詐取された、という詐欺事件として告訴・告発がなされている。

 事件は複雑な過程を経ており、その分、被告の数も多く8名に達する。

 被告8名が組んで石川氏を騙したというより、3段階で詐取した印象が強く、まず、50億円をリクルート株に変える段階で2億円が保証料として詐取され、次に、その購入がうまくいかなかったとして一度は50億円が返却されるものの、50億円を運用して55億円にするという名目でコンサルタント料の1億円が引かれた。

 その運用先が「エヌ・エス・ティー」で、同社は、6月15日、見せガネのような形で石川氏の口座に、まず11億4230万円を振り込み、そのうえで次のような説明が石川氏に対してなされたという。

 「『エヌ・エス・ティー』の実質的経営者は、被告訴人兼被告発人の安藤季賢(以下安藤)であること。安藤が50億円を管理しているため、『エヌ・エス・ティー』が振込名義人となっていること。55億円から上記送金額を控除した残額については、Y(本文実名)名義で、石川が代表を務める『EVONE GOLD』の銀行口座に3500万ドルを振込送金したとのことだった」(訴状)

 しかし、実際には送金されず、その代わりに7月25日、石川氏に差し入れられたのが、額面40億円の偽造為替手形だった。

 この50億円のそもそもの出し手が、旅行大手「HIS」とテーマパーク「ハウステンボス」澤田秀雄会長であることから、事件は大きく展開するのは必至。日大問題は不起訴で終結したが、リクルート株詐取事件が、解明されなかった日大利権人脈に伸びそうだ。【卯】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年2月13日配信「ゴーンを保釈させるか否かーー検察と外圧の狭間で右顧左眄する裁判所」<事件>

 
ヒラメ砦(Wikipedia)


 保釈を認めたり、認めなかったり、カルロス・ゴーン被告の処遇を巡って、裁判所が右顧左眄を重ねている。

 保釈を認めなかったのは、検察と一体となって「秩序を守る」という原則から外れ、裁判所が自立しているようにも見えるが、一方で今年に入って、長期勾留に応じているのは、元の原則に戻ったようにも思える。

 裁判所の“揺らぎ”を検証してみよう。

 昨年12月20日、東京地裁が東京地検の勾留期間延長を却下した時、大慌てした特捜部は、前倒しでゴーン被告を特別背任容疑で再逮捕した。

 これは「異例の事態」――「特捜案件」で、東京地裁が勾留延長を却下するなど過去に例がない。

 そこで、「人質司法」と呼ばれているような容疑者・被告が否認する案件については、「何ヵ月でも拘置所を出さない」という“イジメ”のような刑事手続きを止め、法律に沿った裁判所に変化する兆しではないかと、受け止められた。

 ゴーン被告が世界的に著名な経営者で、ブラジル、レバノン、フランスに国籍を持つエスタブリッシュメントにしてコスモポリタンだけに、「弁護士を立ち会わせずに取り調べ、長期勾留して自白を迫る刑事手続きは人権を無視している」と、海外メディアは批判。裁判所は、その“外圧”に屈したようにも思われた。

 検察幹部も、「海外から批判されて裁判所は日和った」と、批判した。

 しかし、本来は保釈は被告人の権利。刑事訴訟法第89条で、保釈の請求があれば、証拠の隠滅、逃亡の恐れがない場合、原則として保釈を認めなければならない。

 ところが、特捜案件の場合、「お上」に逆らって否認している限り、保釈を認めず、何百日も留め置き、事実上の懲罰を加えるのが“原則”だった。

 もっともらしい理由だが、「証拠隠滅」と「逃亡」は、あくまで検察と裁判所の言い逃れに過ぎない。

 全国的に顔と名前が知られ、国会論戦やマスコミ報道で、どこにも逃れられるハズがなく、隠滅する証拠もないのに、「森友学園事件」で被告となった籠池夫妻を1年近くも勾留していたのは、その典型だろう。

 裁判所が特捜案件の被告を否認のまま閉じ込めておくのは100%に近く、被告の有罪率は99・9%に達する。

 特捜案件は、「検察と裁判所が一体となって裁く国家に対する犯罪」であり、無罪であってはならなかった。

 この“予定調和の世界”は、裁判所が検察に従属することによって成り立っている。

 裁判官は、外に対してほとんど情報発信することがない、いわば「ひきこもり族」である。

 ツイッターでつぶやいていたことを理由に懲戒処分を受けた岡口基一裁判官は、その理由をこう語っている。

 「秘密のベールに包まれていれば、権威は高まります。実際、20代で裁判官になっても一人前になるには時間がかかりますから、彼らの実力を知られたら困るわけです」

 また、『絶望の裁判所』(講談社現代新書)の著者の瀬木比呂志元裁判官は、裁判所の実態をこう切り捨てている。

 「日本の司法というあなたの前のステージは、ピラミッド型ヒエラルキーのキャリアシステムと、その奴隷であり、それに毒された裁判官たちによって、すっかり汚されてしまっている」

 そうした「物言う裁判官」の発言から浮かび上がってくるのは、なるべく自分で判断せず、過去の慣例に従っていれば、裁判所の権威は保たれ、最高裁の覚えもめでたいという究極の「事なかれ主義」である。

 だから、勾留する、しないの判断は検察に任せ、「人質司法」を容認した。

 が、その予定調和の世界が、ゴーンという「黒船」の登場で変わった。

 もともと、8年の有価証券報告書の虚偽記載を、5年と3年の2回に分けて最長で40日勾留。その間に特別背任など次の事件を固めるという検察の捜査手法が間違っていた。

 それを容認すれば、海外のメディアから批判され、それを日本のメディアが報じて権威が侵されるのが裁判所には耐えられなかった?ことが、昨年12月20日の勾留期間延長棄却の理由である。

 ただ、それで完全に検察から自立したわけではない。

 今年に入って、特別背任罪で起訴した後も、起訴後勾留を続け、弁護人の2度の保釈請求を却下している。

 「口裏合わせによる証拠隠滅」を疑い、保釈しないということだが、本当は、勾留理由の開示請求や、獄中で『日本経済新聞』のインタビューに応じ、日本の司法批判を続けるゴーン被告が許せない。

 それでは保つべき裁判所の権威が汚される。――それが、保釈を認めない理由だという。

 そもそも裁判所に守るべき権威はあるのか!――揺れ動く裁判所の判断は、逆に、その姑息な思いを内外に抱かせる結果となっている。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年2月5日配信「歌舞伎町銃撃、川崎発砲、大宮刺傷……暴力団による“内向きの事件”頻発の背景」<事件>

 
同類相食む?(☚wikipedia)

 

 

 暴力団が絡む殺傷事件が相次いでいる。

 1月21日午後6時半頃、東京・歌舞伎町のカラオケ店個室で、広域暴力団住吉会系向後睦会の阿部勝幹部(56)が、同じ住吉会系中村会の香山興宗元幹部(65)を射殺した。

 日本有数の繁華街、しかも暴力団の組事務所が密集している場所とあって、「暴力団同士の抗争か」という情報が流れ、一時は警察と地元組織が騒然としたが、「個人的なトラブル」ということで沈静化した。

 住吉会系組織の幹部が、こう解説してくれた。

 「阿部が長期服役中、香山氏が阿部の女に手を出し、クスリ漬けにしたのがトラブルの原因。話し合いはつかず、激高した阿部が、香山氏に数発の銃弾を撃ち込んだ。あまり表沙汰にはしたくないみっともない話だ」

 阿部容疑者は、現場からバイクに乗って逃走し、24日、指名手配された。

 その4日前の1月17日には、午後8時半頃、川崎市川崎区の路上で、広域暴力団稲川会系山川一家若頭補佐の大井司・大井組組長の車に乗っていた男女が、近付いてきた男に撃たれ、重傷を負った。

 運転手を務めていた組員(51)と、組長の姐さん(47)で、銃弾は組員の首、姐さんの肩に当たったものの、命に別状はなく、大井組長は無事だった。

 スーツに帽子、マスク姿の犯人はその場から逃走したが、捜査関係者は、こう推測する。

 「山川一家は稲川会の中核組織で、今も内堀和也組長が稲川会ナンバー2の理事長を務める。その分、組織内の主導権争いは激しく、内紛が絶えない。今回もその一環という説がある」

 その翌日の1月18日には、さいたま市大宮区の雑居ビルに置かれた住吉会系平塚一家の組事務所で、午後3時過ぎ、同じ組織に属する男が、51歳と49歳の組幹部を刃物で襲い、腹を刺して逃走した。

 大宮駅東口駅近くの繁華街。近くには学校などもあって騒然としたが、警察は防犯カメラの映像からすぐに平塚一家組員の柴田郁男容疑者(49)を逮捕。刺された組幹部の命に別状はなかった。

 立て続けに起こった3件の事件に共通しているのは、組織内のトラブルである。

 それも抗争につながる話ではなく、個人的な恨みの果ての殺傷事件の可能性が高く、少なくとも、暴力団以外の企業や組織、人物に“刃”が向かったものではない。

 暴力団担当刑事がいう。

 「一般社会に危害を加えれば、どれだけ激しい弾圧が待っているかを、暴力団幹部はよくわかっている。だから、手を出すことはない。その分、暴力団同士の争いが激しくなり、山口組のように分裂するが、抗争はただでさえシノギが厳しく弱っている組織を、さらに弱める。勢い、うっぷんは内部に向かい、組織内での近親憎悪的なトラブルが多い」

 暴力団への締め付けが、縄張り争いを含む抗争となり、その段階を過ぎて、抗争さえままならなくなると、持て余した暴力が、身内に向かうわけである。

 しかも、高齢化が目立つ。

 暴力団の中核が50代から60代になっているのを象徴するように、今回の事件は、被害者も加害者も“若い衆”にはほど遠い年齢ばかりである。

 暴力団構成員数は、2017年末で3万5000人を割った。――前年比5000人減。確実に絶滅に向かって進んでおり、頻発する身内の抗争は、その“断末魔ぶり”を映している。【丑】

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年1月29日配信「渦中のシンガポール人が有罪判決で、竹田JOC会長の起訴はますます濃厚に」<事件>

落馬寸前?(Wikipedia)


 絶妙のタイミングとはこのことだろう。

 シンガポール地裁は、1月16日、20年東京五輪招致を巡って、収賄疑惑をかけられている東京五輪招致委員会(理事長・竹田恒和氏)の振込口座の持ち主であるイアン・タン被告に対し、当局の事情聴取に虚偽の説明をした罪で禁固1週間の有罪判決を言い渡した。

 その前日、竹田氏は記者会見を開き、仏司法当局が収賄疑惑に絡んで本格捜査に着手したことを受けて、「疑われる事実はない」と、一方的にペーパーを読み上げて7分間の会見を終え、ブーイングを受けた。

 それだけならメディアを敵に回しただけのことだが、タン氏の口座が「収賄口座」だというシンガポール地裁の“間接的”な認定は、今後、捜査共助の形で仏司法当局にもたらされる可能性が高く、竹田氏を追い詰める。

 弊誌(1/16)は、竹田会見に先立ち、疑惑の構図を『仏司法が暴く東京五輪疑惑の焦点は、電通と竹田恒和JOC会長の癒着!』と、題してお伝えした。

 収賄疑惑とは、招致委(㊟既に解散して業務は日本オリンピック委員会<JOC>に)が、招致活動の過程で、アフリカ票の取り込みを狙って、実力者のラミン・ディアク・国際陸上競技連盟前会長の息子であるパパ・マッサタ・ディアク氏と親しいタン氏の口座に、180万ユーロ(約2億2000万円)を振り込んだというもの。

 疑惑は、16年5月に発覚、国会でも取り上げられる騒動となったが、竹田氏は「タン氏は電通から紹介された優秀なコンサルタント。成果物(報告書など)は得ており、収賄の意図も指示もない」と、否定していた。

仏司法当局は、ロシア陸上選手のドーピング問題をきっかけに、タン氏の会社「ブラック・タイディングス」の口座が、実質はパパ・マッサタ氏が自由に使うダミー口座であることを掴んでいた。

 この口座の“帰属”を調べていたシンガポール汚職捜査局に、タン氏は「(パパ・マッサタ氏からの送金は)コンサルタント料だった」などと説明していたものの、その後、「パパ・マッサタ氏に命じられ架空の請求書を作成した」と、明かした。

 地裁の判決は、この虚偽部分だけを罪に問うたものだが、招致委問題に当てはめれば、タン氏口座がパパ・マッサタ氏口座となったわけで、招致委は国際陸連前会長で、国際オリンピック委員会(IOC)委員の親族のダミー口座に、現金を振り込んだことになる。

 収賄以外のなにものでもない――疑惑発覚後、JOCは調査委員会を立ち上げ、約3カ月の調査の末、「疑惑はなし」とする調査結果を公表した。

 しかし、これこそ“お手盛り”の代表のようなレポートで、タン氏やパパ・マッサタ氏らの協力を得られることはなく、その背景や口座の資金移動など客観的証拠も押さえることもなく、招致委内部の証言とタン氏を紹介した「電通」などの調べだけで、結論を出しているのだから、「嫌疑なし」となるのも当然で、あえていえば、手続き上の問題がなかったのは事実なのだろう。

 仏の刑事司法手続きは、日本とは違い、起訴までに2段階を踏む。

 今回も、まず検察当局が3年前から東京五輪招致に疑惑があるとして捜査を進め、ある程度の確証を得られたことで予審判事の手に委ねられ、昨年12月からの本格捜査となった。

 既に、竹田氏は仏で聴取を受けており、予審判事が起訴する確率は平均で8割だ。

 80年代からサッカーのワールドカップ、オリンピック、世界陸上などは急速に商業化が進み、放映権料なども高騰、招致合戦は札束の乱れ飛ぶ激しく危ういものになった。

 そこに踏み込んで行ったのが「電通」で、リード役を務めたのが高橋治之元専務。その高橋氏が、慶応の幼稚舎時代の後輩で、「カズ」と呼ぶほど親しかった竹田氏を東京五輪招致で支えた。

 タン氏の推薦も、タン氏への支払いも、実際に仕切ったのは「電通」であり、その旨は「調査報告書」にも書かれている。

 シンガポール汚職捜査局に対して行なったタン氏の「自白」は、タン氏の役割については捜査過程で掴んでいる筈の仏予審判事の訴追手続きを、さらに一歩進めるものとなった。

 起訴され、公判請求される頃には、さらに証拠と証言が集まり、竹田氏と「電通」を追い詰めるに違いない。

 その時、政府と東京都とJOCはどうするのか。――ナントカのひとつ覚えで「潔白だ!」と弁解を繰り返す前に、その日に備えた“準備”を急ぐべきであろう。【巳】

 

 

 

 

 

 

 


2019年1月24日配信<0510archives>「人間を丸裸にするビッグデータ、人工知能、SNS時代に成立した共謀罪法の底知れぬ怖さ」<事件>

 

 

 ネット空間では、ニュース、ゲーム、メール、会話、地図、そして多種多様な情報を、「原則タダ」で入手できる。

 全てのモノに値段を付け、その売買によって生活を豊かにするという資本主義の原則に従えば、「タダの空間」はありえない。

 実際、利用者は、サービスを提供するプラットフォーマーたちに、「個人情報の提供」という“対価”を支払っている。

 ログイン情報を通じて、年齢、氏名、性別、住所といった基礎情報を提供しているのはもちろん、通話の相手、メールの相手と内容、検索を通じた趣味嗜好、友人の種類とつきあいの幅、位置情報の提供を通じた生活パターンまで提供、丸裸といっていい状態だ。

 グーグル、ヤフー、ライン、フェイスブック、アマゾンといった検索エンジン、ネットワーク構築、物品販売を通じたプラットフォーマーたちは、得た情報を自社のビジネスに生かす一方、広告空間の提供という形で莫大な利益をあげている。

 今、広告分野ではネット広告が主流になりつつあり、ラジオ、雑誌、新聞はとうに抜き去られており、二ケタ成長が続く現状では、テレビCMを抜くのも時間の問題だ。

 ネット広告が優れているのはターゲティングである。

 例えばフェイスブックでは、趣味嗜好はもちろん人種や宗教、政治的傾向まで「いいね!」を送った友人知人の傾向で、読み解くことが可能で、そうした個人データを分析の上、より成約に至る確度の高いターゲティング広告を打つことができる。

 また個人情報は、ビッグデータとして集められ、それを日々、超速に進歩している人口知能が、選別し識別する。

 そうした情報が欲しいのは物品やサービスを売る企業だけではない。

 政党政治家メディアも、すべてが欲しい。

 そして情報を握った者が、マーケットだけでなく権力を握る。

 そんな時代を我々は生きているだけに、むしろ個人情報を保護し、商売のために利用させない手立てや処罰を論じなければならない時に「共謀罪法」が成立した。

 まともに法案の趣旨も内容も把握していない法相のもと、「一般人が含まれるかどうか」といった大切な論議が尽くされないまま施行(7/11)されるが、「人間を丸裸にするビッグデータ、人工知能、SNS時代」は、「友達の友達は友達」という形で人脈が広がって、誰もが組織犯罪グループの一員になりうる。

 また、ビッグデータで拾い集めた行動履歴、読書傾向、検索履歴は、行動心理学などの専門家によって、「心の内」をいかようにも解釈されてしまう。

 さらに、テロ防止、犯罪予防を口実に、Gメールやラインの履歴を捜査当局に求められれば、プラットフォーマーは簡単に提供する。

 そうなると、どんな「読み取り方」も可能になり、既にSNSは犯罪捜査に利用されており、ある強盗殺人の容疑者は、殺人実行者との「ラインのメール記録」を突きつけられ、「お前も共犯だろう」と、責め立てられた。

 捜査員とすれば、「自供すれば拾い物」といった感覚かも知れないが、メールのやり取りをもとに犯罪集団の一員とされ、検索履歴や行動履歴が、犯罪との関係を示す傍証とされるのでは、誰もが「被疑者」になりかねない。

 そうしたネット時代に拡散する個人情報の怖さを、さらに加速することになるのが共謀罪法である。

 共謀を認定するのは検察や警察であり、彼らが今、人事権を握られ、官邸に対してヒラメのような存在になっていることを立証したのが、「森友学園」、「加計学園」、「山口敬之レイプ疑惑」だった。

 今、メディアに求められているのは、共謀罪法の乱用を許さない監視とともに、グーグルやフェイスブックなどが安易に個人情報を売り渡さないようにする「歯止め」を確立させることだろう。【午】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年1月16日配信「仏司法が暴く東京五輪疑惑の焦点は電通と竹田恒和JOC会長の癒着!」<事件>

 
揺れる電通城⁉
(☚Wikipedia)

 

 

 日本の検察が、仏国有企業のルノーCEOのカルロス・ゴーン被告を取り調べしている絶妙なタイミングで、仏司法当局が、東京五輪招致における贈賄容疑で竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)会長の捜査を本格化したことが明らかになった。

 実際は3年前から続いている捜査の一環で、仏検察当局の調べが予審判事の手に移り、起訴するかどうかの捜査を行うことになったものだが、ゴーン事件が、日産をルノー傘下にしたくない官邸(経産省)と日産と検察がスクラムを組んだ国策捜査なら、東京五輪の疑惑工作への捜査着手はその報復のカウンター捜査と連想されてもおかしくはない。

 「ゴーン事件と偶々、タイミングが重なっただけ」(仏紙記者)というのだが、階級社会の仏で「エリート仲間」のゴーン容疑者を突如、逮捕し、長期勾留する日本司法への対抗意識がないといえばウソになる。

 事件は16年5月、英ガーディアン紙の報道で明らかとなり、仏司法当局が事実を認め、国会でも取り上げられたが、その概略は、東京五輪招致委員会が、国際オリンピック委員会(IOC)委員でスポーツ界に影響力のあるラミン・ディアク国際陸上競技連盟(IAAF)に、「東京支持」を取りまとめてもらおうと、2回に分けて180万ユーロ(約2億2000万円)を振り込んだというものである。

 時期は最初が13年7月で、次が13年10月。招致決定は13年9月なので、最初が手付金、次が成功報酬と読める。振り込みの口座はシンガポールのブラック・タイディングス(BT)代表のイアン・タン氏だった。

 疑惑発覚時、竹田氏は「『電通』からの推薦でBT社に決まったが、私は選定などに関与していない。しかし、正当なコンサルタント費用だった」と説明、外部の調査委員会の報告書もそうまとめられていた。

 仏では、そうした弁明は通らず、調査委員会の報告書も“お手盛り”だとして捜査が継続していたわけだが、この事件の解明に欠かせないのが電通の役割である。

 「BT社を推薦したのが電通」という竹田氏の説明だが、そんなアドバイザー的なものではない。五輪招致の主体は招致委員会で、その理事長が竹田氏なので「竹田疑惑」となっているが、実態は「電通」が仕掛け、電通人脈のなかで行われた工作であり、「電通疑惑」というのが相応しい。

 その黒幕は、電通元専務で世界のスポーツ界に幅広い人脈を持ち、慶応大学の先輩として竹田氏をプライベートでは「カズ」と呼び捨てにする高橋治之氏である。

 同氏は、バブル紳士として名を馳せた高橋治則氏(故人)の実兄で、かつては「治則氏の兄」という存在だったが、30代の頃から数々の国際大会の招致を手掛け、スポーツ界では知らぬ者のない実力者だ。

 「電通」が、国際的なスポーツイベントで力を発揮するのは、アディダス創業家の故ホルスト・ダスラー氏とともに設立した「インターナショナル・スポーツ&レジャー」(ISL)で、そのノウハウを学んだからである。

 だが「ISL」は放漫経営とダスラー氏の急逝もあって01年に倒産。それまでに経営方針の違いからISL株を売却していた「電通」だが、業務の引き継ぎのためもあってIOCのあるスイスに、子会社からの出資で「アスレチック・マネジメント&サービシズ(AMS)」を設立する。

 実は、東京五輪招致疑惑の発覚は、国際陸連のドーピング疑惑(ロシア選手にドーピングを見逃す見返りに金銭を要求)を捜査していた仏捜査当局が、ディアク会長父子が利用した口座を見つけたことだった。

 それがBT社のシンガポール口座で、そこを洗っているうちに日本の招致委員会からの180万ユーロの振り込みが発見され、「これは賄賂ではないか?」と、なった。

 代表のイアン・タン氏は「AMS」が雇用するコンサルタントで、「電通」と「IAAF」は、独占マーケティング契約を結んでいる。

 つまり、国際スポーツイベントの表も裏も知る「電通」が、ペーパーカンパニーの「BT」を使ってディアク父子に工作したと疑われるのも無理からぬことである。

 そして、その招致委員会の理事長で、最終決定責任者が竹田氏。その竹田氏と公私ともに親しく意見を言える立場が高橋氏。――どこから見ても「電通疑惑」なのである。

 「スポーツの祭典」、「平和の祭典」と美しい言葉で形容される五輪が、招致を巡ってカネまみれであることを知らない人はいない。

 今回は「約2億2000万円」――ほんの一部が露呈したに過ぎないが、BTとはヒンドゥー語で「黒いカネの洗浄」を意味するという。――むしろ暴かれるのが遅すぎたと言えるのでは…。【亥】

 

 

 

 

 

 

 


2019年1月8日配信「日産事件、ゴーン再逮捕は吉か凶か?――地検特捜部70年の盛衰史」<事件>


 裁判所の思いがけない“造反"にあって、カルロス・ゴーン被告が保釈されそうになった12月21日、東京地検特捜部は特別背任容疑での再逮捕、という“荒技”を繰り出した。

 最初の有価証券報告書への役員報酬の不記載と同じように、いかにゴーン容疑者が「日産自動車」を“食い物”にしたかという検察のリークをもとにしたマスコミ報道が連日のように続いている。

 私的な投資で発生した評価損18億5000万円を自身の資産管理会社から日産に付け替えたうえ、その際に“世話”になったサウジアラビアの知人に、「委託費」などの名目で1479万ドル(現在のレートで約16億円)を振り込ませた――。

 確かに、露骨な特別背任行為である。

 報道によれば「海外の連結子会社の中東日産から、業務委託費など偽装しやすい名目にして、3〜4億円ずつ分散して送金した」という。

 だが、ゴーン容疑者は、相変わらず強気に容疑を否認。「損失の付け替えでは日産に実害は出ておらず、知人への送金はトラブル解決などのために業務委託をしていた」と、主張している。

 特捜検察には捜査権と公訴権がある。

 自らが逮捕した容疑者は、自らの手で起訴するのは当然のこと。公判では、金融商品取引法違反(有価証券報告書の不記載)と、会社法違反(特別背任)の二つで裁かれるが、合法にこだわり、部下などにそう指示したハズの「ゴーンのカベ」を突破できるのか。

 「不記載」についてゴーン被告は、弁護士のグレッグ・ケリー被告や、やはり弁護士で今回は司法取引で敵に回ったハリ・ナダ専務執行役に、しつこく「合法的にやれ」と命じていた。

 おそらく今回も同じだろうが、08年のリーマンショック後の付け替えと09〜12年にかけての振り込みが、直接、つながる証拠はない。

 ブラジル、フランス、レバノンと3ヵ国の国籍を持ち、紛争地帯レバノンで大学までを過ごしたゴーン容疑者は、違法が身を滅ぼすことは百も承知。合法の仕掛けは怠りなくやっているに違いない。

 今回、スキーム作りに関わったのが、司法取引に応じた二人のウチのひとりで、秘書室元幹部であることが特捜部の“強み”だが、この容疑には、「自己または第三者の利益を図る目的」を立証しなければならないという高いハードルがある。

 加えて、サウジアラビア人を共犯にしなければならないが、「資産家の王族」という人物の捜査などできるのか。

 実質的に初めての「司法取引案件」となったことで、検察に失敗は許されない。

 万一、戦いに敗れれば、ゴーンの逆襲とそれに乗るルノーの攻勢にあい、日産経営陣は追い詰められ、それは日本の国益に沿わないばかりか、今後の司法取引を利用した捜査に重大な影響を及ぼす。

 それが、一度は諦めた「特別背任での逮捕」を復活させた理由である。

 特捜部は、マスコミを引き連れて、世論をリードしながら自分たちの思い通りの決着を目指すかつての唯我独尊組織に“先祖返り”した。

 そうした姿勢が吉と出るか凶と出るか――。

 2018年は、特捜部誕生から70年目の年だった。

 旧日本軍の不正を取り締まる陰退蔵事件捜査部として47年11月に発足。昭電疑獄、炭管疑獄などの摘発を経て存在価値を認められ、49年5月、東京地検特捜部となる。

 そこからは、政官財の不正摘発を任務とするだけに、浮沈の連続で勢いよく捜査着手し、国民の喝采を浴びるかと思えば、調子に乗って突き進み、政界からの逆襲、無理な捜査への国民的批判を浴びて失速する。

 戦後の混乱期、政治家の連続摘発などで恐れられる存在となり、54年、造船会社からの賄賂を多数の政治家が受け取っていた造船疑獄では、佐藤栄作・自民党幹事長の逮捕許諾請求を出した段階で、法務大臣が指揮権を発動、事件は潰された。

 そこから復活を遂げ、76年、「今太閤」といわれた実力者の田中角栄元首相を逮捕したロッキード事件では、「闇将軍」となった角栄元首相が、法相を自派閥で独占、以降10年、「検察冬の時代」に突入した。

 85年、「闇将軍」が脳梗塞に倒れてから、政界捜査が復活、砂利船汚職、撚糸工連事件などを経て、「政・官・財・マスコミ」を未公開株で汚染していたリクルート事件に着手、喝采を浴びた。

 以降、特捜部は「黄金期」を迎えたものの、98年、総会屋事件を機に、旧大蔵省と日本銀行の官僚たちを接待容疑で逮捕(大蔵・日銀接待汚職事件)、「接待は潤滑油で慣行。特捜部はやり過ぎだ」という批判を浴び、しばらく小休止に入った。

 捜査手法の見直し、特捜検事のローテーション人事などもあり、全体に捜査力の衰えを指摘されるようになった09年頃から、大阪地検と東京地検のそれぞれ特捜部が、特捜弱体化の声に反発するように“無理筋”の案件を手掛けるようになり、いずれも失敗した。

 「西」が厚労省局長を狙った村木厚子事件であり、「東」が小沢一郎・旧民主党幹事長を狙った陸山会事件である。

 なかでも大阪地検特捜部は、証拠資料まで改ざんしていたことが発覚、特捜部長以下が逮捕された。

 以降、「厳冬期」といわれる状況となったが、その陰で検察幹部が腐心していたのが、新しい捜査手法の司法取引を獲得するための刑事訴訟法の改正だった。

 ゴーン事件の実体は、「ルノー」に「日産」を併合させないという国策捜査であり、グローバル化のなか海外要人でも逮捕するという意気込みを見せた捜査であり、司法取引を使った絶対に負けられない捜査事例の第1号である。

 掛かっているのは71年目に入った特捜部の意地と名誉であり、存在価値である。

 

 はてさて賽の目はどちらに出るか?――吉と出て当然、凶と出れば地獄である。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年12月20日配信「“反社スーパー玉手”を買収⁉――“エッグ・キング”伊勢彦信イセ食品社長の迂闊!」<事件>

 

 黄色い外観の派手な電飾で知られた「スーパー玉出」の創業者逮捕が、鶏卵生産トップの「イセ食品」や、同社に出資する「豊田通商」のコンプライアンス問題にまで発展、今後の動静が注目されている。

 大阪府警は12月3日、「スーパー玉出」創業者の前田託次容疑者(74)が、飛田新地の「売春宿」として使われている店舗の賃料を、指定暴力団山口組系極心連合会幹部などから受け取っていたという組織犯罪処罰法違反容疑で逮捕した。(☛罰金30万円)

 前田容疑者と反社の関係は、関西ではよく知られたところで、過去に外国人不法就労で問題になったこともあるし、不動産を巡る怪しい取引に、前田容疑者の名が指摘されることも少なくなかった。

 だが、「スーパー玉出」自体が、今回の事件で、直接、影響を受けることはなかった。

 今年7月、営業権を「イセ食品」の関連会社に譲渡していたからだ。

 45店舗の営業権総額は約50億円。不動産は、そのまま前田容疑者の関係会社が保有するものの、「反社スーパー」という“汚名”は免れた。

 逆にいえば、最良のタイミングで売り抜けた⁉わけだが、焦ったのは「イセ食品」である。

 同社は、創業100年を超える老舗で、売上高は471億円。「森のたまご」というブランド名で知られ、北米など海外でも事業展開、伊勢彦信代表「エッグ・キング」と呼ばれている。

 「前田逮捕」を受けて、「イセ食品」には問い合わせが殺到、急遽、ホームページで関係を否定した。

 <株式会社アイセ・リアリティーが設立した株式会社フライフィッシュがスーパー玉出のスーパー事業を譲り受けた件に関して、当社は株式会社アイセ・リアリティーと何らの情報共有を行なっておらず、方針決定にも全く関与しておりません>

 確かに「アイセ社」は、伊勢氏が全額出資する不動産会社。スーパー事業と鶏卵事業を分けるために、「アイセ社」が35%を出資、他の卸売業者や運送業者などからの出資を得て、「フライフィッシュ」を設立した。

 会社法上は完全な別会社だが、伊勢氏が経営に関与しており、広い意味ではイセ食品グループだろう。

 また、「イセ食品」とかねてより業務提携するなど親しかった「豊田通商」が、今年4月の時点で「イセ食品」に資本参加、社外取締役を送り込んでいる。

 飽和状態の国内市場から、東南アジア、インド、中国などに販路を広げたい「イセ食品」は、トヨタグループの商社部門である「豊田通商」の総合力に期待した。

 安売りスーパーの買収とトヨタグループとの連携――伊勢氏が、前向きな事業意欲を見せて、半年も経たずに反社との関係が表面化。前田容疑者の所有物件で営業を続けているという意味では“反社つながり”であり、トヨタグループまでその“輪”のなかに入れ込んでおり、早急の対策に迫られている。

 それにしても驚かされるのは、伊勢氏の89歳を迎えてなお衰えぬ事業意欲である。

 富山県出身で、農業高校を卒業後、父親が創業した「伊勢養鶏園」に入り、育種改良の技術者だった父のもとで養鶏を学ぶ。

 伊勢氏は、その小規模事業をアメリカの養鶏業を取り入れて大規模展開、グループ40数社の今の規模にした。

 一方で、伊勢氏は日本有数の美術品収集家として知られ、これまでに1000億円以上を投じたという。

 印象派絵画の一大コレクターで、尾形光琳によって大成した琳派の絵画、中国陶磁器、アール・ヌーボーなどのガラス器などでも日本屈指のレベル。所有するのはイセ文化基金だが、コレクションの収集意欲にも衰えはない。

 卒寿を迎えても意欲満々のワンマン経営者に意見する人などいないが、「スーパー玉出」の買収には、前田容疑者の評判もあり、社内に反対意見は少なくなかった。

 それを押しての買収だけに、「個人出資」の形を取ったが、「イセ食品」とトヨタグループにコンプラ問題を発生させてしまったのは痛恨の極みであろう。

 お節介ながら、いくら元気溌溂とはいえ、今回の“事件”は後継へのバトンタッチを考えるべき時期に来ていることを暗示する予兆なのでは…。【辰】

 

 

 

 

 

 

 


2018年12月11日配信<0510archives>「冗談千万?――官民ファンド『産業革新投資機構』の経営陣がノーリスクにもかかわらず1億円超の成功報酬を手にする理不尽」<政治>

 
剛腕⁉田中正明JIC社長


 役人に既得権を与えれば、決して手放さなさずに恒久化、権益をさらに膨らませて、所属省庁の貯金箱にする――。

 この“伝統”を、明確に伝えるのが、今年9月、官製ファンドの「産業革新機構」を継承した「産業革新投資機構」(JIC)だった。「JIC」は、役人が自己都合で存続させてきた「貯金箱」にして「実験場」である。

 しかも、所管する経済産業省は、スタートしたばかりの「JIC」の経営陣に成功報酬制度を導入する方針を明言、1億円超の報酬もあり得るという。

 「民間に引けを取らない報酬で、良い人材を確保したい」と、経産省幹部は説明しているが、原資は公的資金であり、身分は公務員に準ずる。

 つまり、「ノーリスク経営」で、それでいて「民間並み報酬」というのが理解できない。

 「JIC」の歴史を辿ってみよう。

 源流は、03年4月に発足の「産業再生機構」だった。

 本来、経営に失敗すれば、法に則って、整理されるのが事業会社の“定め”である。

 だが、有用な経営資源を持ちながら過大な債務を背負って倒産すれば、債権を抱えた金融機関も痛む。そこで、再生支援のために公的資金を注入する産業再生機構を立ち上げることで、金融機関を健全化するのが狙い、とされた。

 しかし、公的資金を破たん処理のために使うのは、あくまで例外措置として、5年の時限立法でスタート。07年、1年、前倒しで解散したものの、今度は、別名目で二つの組織を立ち上げた。

 ひとつが、地方経済の再生支援を目的とした「企業再生支援機構」であり、もうひとつがグローバルな環境に対応、世界に通用するベンチャー企業を育成するための「産業革新機構」で、ともに09年の設立である。

 本来、ベンチャー投資は数億、多くても数十億円単位で行なうものである。

 ところが、「産業革新機構」は2860億円の政府出資をもとに2兆円の融資枠でスタート。しかも設置期間は15年。規模も期間も破格。経産官僚が、自分たちの権益を広げるための組織にするのは明らかだった。

 実際、使い道はベンチャー投資にはほど遠く、融資枠の大半は、大企業の救済。「日の丸液晶」の「ジャパンディスプレイ」に2750億円、半導体の「ルネサスエレクトロニクス」に1383億円、「東芝メモリ」を2兆円で買収したファンドにも出資した。

 ちなみに、「企業再生支援機構」は、地方再生とは名ばかりで「日本航空」や携帯電話の「ウィルコム」といった大企業を支援、13年に「地域経済活性化支援機構」と名称変更のうえで存続している。

 「産業革新機構」の方は、ベンチャー投資という単一目的の看板を、幅広い出資対応に書き換えたが、新組織は、政府出資のファンドであり、実態はSWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)である。

 ただ、一般の「SWF」が石油や天然ガスなどの資源収入を原資に運用して、将来世代の蓄えにするのに対し、「JIC」は経産官僚が机上の政策を、公的資金で実験、企業に国策を担わせるのが目的。それがド「国家官僚の役割」ということのようだが、それこそ余計なお世話である。

 本来、官僚がやるべきは、民間企業が新しい分野にチャレンジする時、その障壁となる規制を取り除き、スタートアップを手助けすることであり、金銭的には減税、補助金などの措置で、金融支援に意味はない

 なのに、政府出資は「産業革新機構」の倍で、投資枠が4兆円。しかも報酬は民間並みで1億円超。――こんなお手盛りが堂々と罷り通る国に、「産業革新」など生まれないことだけは確かである。【辰】

 

 

 

 

 

 


2018年12月7日配信「年末までに乗り越えられるか?――威信回復に燃える特捜部が挑むカルロス・ゴーン容疑者の“コスモポリタン障壁”⁉」<事件>

 

                                                          (wikipedia)

 

 

 日産をV字回復させたカルロス・ゴーン前会長は、小菅の東京拘置所でもタフなネゴシェーターぶりを見せつけているようだ。


 取り調べの検事を相手に、「金融商品取引法違反を伝えられる報酬の過少申告は、全て合法をグレッグ・ケリー前代表取締役に指示、そう処理されているので罪は犯していない」と、持論を展開しているという。

 特別背任や横領を指摘されている住居の私的利用、親族や家族への会社資金の流用なども、「合法」の説明がつくという。

 ゴーン容疑者は、ブラジルに生まれ、レバノンに育ち、フランスで教育を受け、日本で経営者としての才能を開花させた。

 いわばブラジル、レバノン、フランスに国籍を持つ多国籍ビジネスマンである。

 我が身を守る術が、カネと知識(法)であることを知り尽くしている。

 05年、ルノーCEOに就任、「ルノー・日産アライアンス(連合)」の頂点に上り詰めてからは、自分の力をグループに浸透させることに腐心した。

 経営的には「ルノー」からの政治圧力の排除であり、個人的には後継を育成せず、ナンバー2も置かずに「ルノー・日産アライアンス」の「帝王」として君臨した。

 国が15%を持つ国有企業で、雇用・景気のため、「ルノー」にさまざま注文をつけるフランス政府を交わしつつ、“天領”の「日産」では報酬を取りたいだけ取り、CEOオフィスを利用することで私物化を加速させた。

 CEOオフィスを管掌したのがケリー容疑者であり、その後任が、今回、司法取引に応じて、特捜部に全てを暴露したハリ・ナダ専務執行役である。

 二人はともに弁護士。確信犯として会社を私的に利用、得たいものを得る覚悟のゴーン容疑者だけに、「合法」には細心の注意を払う。

 だからCEOオフィスの長として、自分の税金問題や報酬、世界の住居、プライベートジェットを含む様々な経費などを扱う世話係のトップは、法律に明るい“忠臣”でなくてはならなかった。

 誤算は、ハリ・ナダ専務執行役が、ルノーの日産統合に舵を切ったゴーン容疑者に怒りを感じた日産プロパー幹部の、「ゴーンを放置すれば、やがてあなたも犯罪者」という“説得”に応じて検察と司法取引を結んだことだ。

 さらに、ハリ・ナダ専務執行役の部下として各種工作に直接、関わった大沼敏明元秘書室長が司法取引に加わって、告発の体制は万全となった。

 各種資料と数々の指示メールが提供され、オール日産が特捜部に協力するのだから障害は見当たらない、と思えた。

 だが、それは「誤算」だった。

 特捜部には司法取引は施行から2件目という経験の浅さがあり、ゴーン容疑者には強靱な神経と法的措置を施しているという自信があった。

 オランダのアムズテルダムに設立した子会社「ジーアキャピタルBV」が、タックスヘイブンに孫会社を設立、ブラジルとレバノンに20数億円でゴーンが私的に利用する家を購入した問題は、「海外で捜査が難しいうえに、『仕事でも使う』と主張され、物件的価値が毀損既存していなければ、特別背任に問うのは難しい」(捜査関係者)という。

 姉への年間10万ドルのコンサルタント料契約、プライベートジェットの私的利用、飲食・交通費などの家計へのつけ回しについても、「家族を犠牲にする24時間勤務のCEOには許容の範囲」と主張されれば、業務上横領という扱いは難しくなる。

 そのうえに、「年間10億円は、将来の受け取りにしていた」という「未記載の理由」については、「受取金額は確定していなかった」という理屈で、「確定しており記載すべきだった」という特捜部の見解に反対している。

 何が違法で、何が合法で、何がグレーなのか――ゴーン容疑者は、それに呆れるほどこだわり、手を打っている。

 「ジーア社」のように怪しいと思えば連結決算にせず、監査法人を別にしてグレーを堅持する。

 「未記載」が、金商法逃れであるのは明白だが、だから書式をひとつにせず、様々なパターンを想定、自筆サインを入れず、まるで後の捜査を想定していたかのように隙を見せない。。

 この「胆力と自信としたたかさ」は、国籍や民族にこだわらず、混乱と災いと支配を避け、税率に応じて住居を選ぶ。――すなわち「国境なきビジネスマン」であり、「どう生きれば得なのか」という”個人本位の哲学”から生まれたものである。

 だから、殊更「法」にはこだわるのである。

 大阪地検事件以来の「死んだふり」の8年を経て、その対価として得た司法取引を武器に、特捜部は「ゴーン逮捕」という大勝負で復活しようとしている。

 ただ、日本の検察の体質と個々の検事が抱える、「額に汗して働く人間たちの素朴な正義感を大切にする社会秩序を自分たちが守る」という「使命感」は変わらない。

 それは、堀江貴文、村上世彰両氏のような“小粒”な破壊者には通用したが、世界を股にかけるエスタブリッシュメントで、国籍を有する3ヶ国が“共闘”するゴーン容疑者には、なかなか通用しない。

 ゴーン容疑者が、「日産」という会社で展開していたのは、合法的にしつらえられた収奪の数々だった。

 しかし、木を見て森を見ないのでは、「悪を見過ごす」という意味で国を揺るがし、将来に禍根を残す。――どこかに立件への突破口はある。それが司法取引の強みのハズだ。

 ここで負けては、検察は再び“地獄”に落ちるのは必至である。

 

 12月10日に再逮捕して、起訴が大晦日直前。――それまでが、まさに正念場である。【亥】

 

 

 

 

 

 

 



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