2018年8月14日配信「5年で31億円の水増し請求は“詐欺!!――正直申告もあまりの酷さに『ヤマトHD』に業務停止命令も?」<事件>

 

 

 「ヤマトホールディングス」(ヤマトHD)を激震が襲っている。

 国交省は、引っ越し費用の過大請求で、「ヤマトHD」本社を含む関係先の立ち入り検査に入る予定で、また既に、内部告発の相談を受けている警視庁は正式な告発状が出されれば、捜査に着手する予定だ。

 発端は『あかはた日曜版』が7月1日号で報じた子会社の「ヤマトホームコンビニエンス」(YHC)の常態化した引っ越し費用の水増し請求であり、それを受けての槇本元・YHC元四国支店長の記者会見だった。

 法人契約を結んでいる引っ越しの見積もりは、法人側が「YHC」を信じてまともなチェック作業をしないのをいいことに、引っ越し荷物の総量を多くし、その分、料金を水増し。それが組織的に行われている――。

 衝撃的な会見だったが、取り上げるマスメディアは少なかった。

 告発者はひとり。それも四国という地方で発覚した疑惑であり、「ヤマトHD」という1兆5000億円企業からすれば、1件あたり10万円の引っ越し荷物を例えば20万にする水増し請求は、それほど大きな疑惑とは受け止められなかった。

 むしろ、早めに手を打とうとしたのは「ヤマトHD」サイドである。

 7月24日、国交省記者クラブで記者会見を開き、記録の残る2016年5月から今年6月までに、約12万4000件の邦人向け引っ越し件数のうち、約4割に当たる約4万8000件(2640社)で不適切な請求があり、過大請求総額は約17億円にのぼることを明らかにした。

 会見には山内雅喜・ヤマトHD社長が出席、「事前の見積額でそのまま請求、過大になってしまった」と説明し陳謝。「詳細は第三者による調査委員会に委ねる」として具体的な説明は避けたが、「組織的な犯罪ではない」と、そこは強調した。

 槇本元支店長の会見をほとんどのマスメディアが無視しただけに、謝罪会見で初めて「水増し請求」の事実を知った国民は多く、実際、多くのメディアがトップニュースで扱った。

 昨今の財務省や文部科学省、あるいは日本大学や東京医科大学などの不祥事に見舞われた「官・学」が、逃げに終始したことを考えれば、トップ自らが説明責任を果たした「ヤマトHD」は大企業としての矜恃を見せたと言えよう。

 また、7月31日には約17億円に加え、調査結果を踏まえて約14億円を見積もり、「過去5年で約31億円の水増し請求があった」と発表。「もっと遡るべきではないか」というメディアの批判に応えた。

 逆にいえば、こうした「先取り処理」は、ヤマトHDの危機感の現れだった。

 槇本氏が、最初に内部告発を行ったのは、8年前の法人営業支店長時代からだった。

 自分で獲得した法人客の引っ越し代金が水増しされていたのに気付いた槇本氏は、是正を求め、本社に直訴し、それは修正され、過大分は返金されたものの、担当幹部も担当者も処分されることなく、逆に上司の四国統括支店長に、「なんで通報するんだ!」と、食ってかかられる始末だった。

 ここから槇本氏の「たったひとりの反乱」は始まり、昨年、定年延長で続けてきたドライバー職を辞めるまで、会社側との折衝の場で指摘し続けた。

 8年に及ぶ告発が会社上層部に伝わらないハズはなく、逆に、無視したことが全支店、営業所に伝搬する結果となった。

 不正は、出発の支店である「発作業店」で行われるが、それを受ける「着作業店」でも不正が分かる仕組みとなる。

 少ない荷物で多くの請求が行われていることが分かるからで、「バレなければ水増しは許される」という文化を生んだ。

 紛れもなく「組織的」である。

 上司が「指示する」ということはなく、「バレなければ許される」という不正の蔓延であり、それは8年間、告発し続けた槇本氏の声を封印したことで始まり、そして大きくなった。

 国交省は、社内調査とは関係なく、貨物運送事業法に基づき、立ち入り検査。過大請求は全国128事業所のうち123カ所で発覚しており、「組織的不定」である疑いを強めているが、安全面を指導監督する立場の国交省が、顧客との取り引きにまで検査の範囲を拡大するのは異例だ。

 それだけ事態を重くみているわけで、「支店ぐるみの過大請求の事案」をもとに刑事告発がなされ、それを調べる警視庁の動きと合わせることになれば、「ヤマトHD」を大きく揺るがす事件に発展しそうである。【午】

 

 

 

 

 

 


2018年8月7日配信「幹部2名の収賄逮捕で満身創痍となった文部科学省の自業自得」<事件>

 
「世の中万事〜〜」

 

 

 「モリ・カケ・スパ」など安倍政権を直撃した数々の事件・疑惑では見事なまでに及び腰だった検察特捜部が打って変わって大張り切り。おかげで現職の局長と国際統括官が収賄疑惑で逮捕された文部科学省が、「倫理観なき役所」と、総攻撃を受けている。

 

 その橋渡し役として活躍したのが、文科ブローカーともいうべき谷口浩司被告である。


 政治家の事務所に出入り、その官庁人脈を使って役人と親しくなり、民間業者とのパイプ役となって稼ぐブローカーは少なくなく、「霞が関周辺者」と呼ばれる。

 いわば「官」と「業」の“潤滑油”だが、公共工事などでの談合摘発が相次いだことで、他の省庁ではその種の人物は排除するか、報告義務のある「5000円まで(課長補佐以上)」という範囲内でのランチなどが主流となった。

 だが、佐野太前科学技術・学術政策局長や川端和明前国際統括官は、谷口被告に誘われるままゴルフや高級クラブで接待を受け、ゴルフバックなどの贈答品を受け取っていた。

 トップクラスの相次ぐ逮捕は、「文科官僚の体質」と、断罪されても仕方がない。

 しかも、舞台が東京医科大であることが象徴するように、彼らは「2018年問題」を抱える私大の弱みにつけ込んで、私腹を肥やしている。

 2018年問題とは、「18歳人口」のツルベ落とし的な減少である。

 18歳人口は、1992年の205万人をピークに減り続け、最近は120万人程度で推移していたものの、18年からは再び減少に転じ、31年には100万人を割って、95万人に落ち込むと予想されている。

 この人口減が、今でも厳しい私大経営を直撃する。

 全国の私大の定員割れは半数近いが、なかでも深刻なのが学生数を収容定員で割った充足率の低下校が増えている点である。

 既に80校以上が70%の要注意水準を切っており、そこに18年問題が到来。私大倒産の続出が現実のものとなる。

 そうした状況を作り出してきたのは文科省である。

 18歳人口の減少が始まった91年に大学設置基準が大幅に緩和され、90年の507校が、15年には1・5倍の779校と大学数は増えた。


 文科官僚が、18年問題を察知して取り組んできたとはとてもいえず、むしろ大学の増加が補助金を武器にした権益の強化と天下り先確保につながるからと、放置してきた。

 文科省の“武器”は、各種の補助金・助成金である。

 受託収賄罪で逮捕された佐野被告が、「ブランディング」という訳の分からない私大支援事業の「通し方」を伝授。それを受けて東京医大前理事長の臼井正彦被告が佐野被告の息子を裏口入学させたところに象徴されている。

 私学助成金は年間3000億円にも達し、この配分は文科官僚のさじ加減ひとつであり、それ欲しさに大学側は天下りを受け入れてきた。

 ただ、組織的な斡旋は禁止されており、昨年は文科省の組織的天下りが発覚、大量の処分者を出した。

 そのなかに安倍晋三官邸との対決姿勢で脚光を浴びた前川喜平前事務次官がいた。

 「行政は歪められた」という“名言”で時の人となった前川氏だが、獣医学部や医学部の新設を、「告示」という国民へのお知らせで封じ、岩盤規制を堅持した抵抗勢力である。

 そこを安倍政権は突破しようとした。

 アベノミクスを掲げる安倍官邸が、あの手この手で“障害”を取り除こうとするのは不思議ではない。

 間違っていたのは、規制緩和で益を得るのが「腹心の友」だったからで、前川氏は霞が関と文科省の権益を守ろうとしたのであって、国益や国民のためではなかった。

 その体質が、私大の「私物化」に繋がり、その傲慢さが生んだのが、私大から利益供与を受けるのは当然という歪んだ意識だった。

 組織的な天下り斡旋、前川の乱、そして今回の贈収賄事件――文科省で発生した混乱の芽は同根であり、彼らの満身創痍も自業自得というしかあるまい。【戌】

 

 

 

 

 

 

 


2018年7月24日配信「東京医大裏口入学事件、タイ発電所贈賄事件!――司法取引連発で大活躍の東京地検特捜部だが、権力の監視役にはまだまだ?」<事件>

 (☚wikipedia)


 東京地検特捜部は、タイの発電所建設に絡む現地公務員への贈賄疑惑で、大手発電機器メーカー「三菱日立パワーシステム(MHPS)」と合意、司法取引(協議・合意制度)を用いて不正に関与した社員らを立件(在宅起訴)した。

 今年6月に施行された司法取引第1号事件である。

 現在、特捜部が手掛けている案件に文科省の前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者を、東京医科大に文科省の支援事業に便宜を図った見返りに、自分の息子を入学させたという受託収賄事件がある。

 「霞が関」の高級官僚逮捕という華々しい事件と同時並行で、不正競争防止法が禁じた外国公務員への贈賄を、司法取引の第1号事例として摘発するわけで、大阪地検不正事件後の「特捜改革」のなか、仕事らしい仕事が出来ず、「ムダ飯喰らいの腰抜け集団」と揶揄された頃がウソのような張り切りぶりだ。

 企業も官僚機構も政界も、統治が長期化すると制度疲労が起きて、腐敗する。

 それは宿命といえるもので、組織内の自浄作用で是正できればいいが、それが無理な場合は捜査権力に頼らざるを得ず、そこに地検特捜部の役割があった。

 その復活は喜ばしいが、司法取引の乱用には目を光らせるべきだろう。

 佐野容疑者の受託収賄事件も、その前に行なわれたリニア談合事件も、実質的な司法取引だった。

 自白すれば逮捕もせず、在宅起訴だが、否認するようなら許さない。ガサ入れは何度も行なうし、保釈は認めず実刑判決――この言葉通りとはいわないが、リニア談合事件では「大林組」と「清水建設」が取引に応じて罪を認め、「大成建設」と「鹿島建設」は否認を続けて担当幹部は逮捕された。

 東京医大捜査でも、臼井正彦前理事長鈴木衛前学長は、素直に罪を認め、検察の要望に応じて「裏口入学リスト」など必要なものは全て任意提出。逮捕と大学へのガサ入れは免れている。

 検察捜査への批判は、本格捜査の段階で「事件シナリオ」は構築されており、それに沿った自白を迫って事件を自分たちの望み通りに作り上げる、というものだった。

 その反省から捜査の可視化(録音録画)が図られ、その反対給付として司法取引が導入されたわけだが、リニアや東京医大で繰り返されたのは、自白に甘く否認に厳しい対応をすることで望み通りの捜査を展開するという司法取引の“悪用”だった。

 そして第1号となった司法取引を“利用”したのは、企業側だった。

 切られたのは、「組織のため」に贈賄を行なった担当社員であり、その上司の取締役。会社側は罪を逃れ起訴されない。

 協議・合意制度というのは、捜査対象者や容疑者が、他人の犯罪について捜査機関に供述、証拠を提出する見返りに、罪を軽くしてもらうものである。

 贈収賄など証拠が残らず、供述が頼りとなる難しい事件や、暴力団や大企業などの組織で、「上」の命令に逆らえずやった構成員・社員が、「上」の指示を供述することによる組織犯罪の立件が想定されていた。

 だが、今回は逆である。

 MHPS社は、タイ発電所建設工事の資材を港で荷揚げする際、桟橋の使用量名目で現地公務員から賄賂を要求され、15年2月、約6000万円を支払ったという。

 内部告発で不正を把握したMHPS社は、実行行為者だけでなく法人に対する両罰規定があることから、これを逃れるために司法取引を利用。そのために、今年6月の施行を待ち、MHPS社の弁護士と検察官が協議、合意が成立した。

 組織を守るために社員をあっさりと切り捨てる!――6000万円が担当社員の一存で支払えるわけはなく、だから担当取締役の指示が指摘されているが、そこにあるのは「会社のため」という論理と、それを黙認する組織の体質だろう。――にもかかわらず、それを司法取引利用で乗り越え、組織に波及させなかった。

 後味の悪い司法取引第1号である。

 復活とはいえ、大阪地検特捜部の森友学園捜査が「財務省には波及させない」という官邸を忖度する捜査であったことで証明されるように、まだ本来の「権力の監視役」にはなっていない。

 “焼け太り”の地検特捜部が、今後、司法取引を“活用”しながら、どんな事件を手掛けていくのか。――メディアによる厳しい監視が必要なのだが、緩みっ放しの彼らに、それを期待するのは「ないものねだりの子守歌」かも……?【巳】

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年7月18日配信「助成金は3500万円/年!――裏口入学で文科省局長を落とした東京医大の“前歴”」<事件>

 
黒い巨塔(wikipedia)

 

 「森友学園事件」を不発に終わらせた検察が、次に選んだのは東京医大だった。

 東京地検特捜部は、国の支援事業で東京医大に便宜を図った見返りに、自分の息子を同大医学部に裏口入学させたとして文科省前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者を逮捕した。

 佐野容疑者と大学を仲介、受託収賄幇助容疑で逮捕された谷口浩司容疑者の他、点数を水増し、不正合格を指示した東京医大トップの臼井正彦理事長、鈴木衛学長の不正も暴かれ、今後、文科省と私大の補助金を介しての「癒着の構図」にメスが入れられる。

 森友学園では、安倍晋三政権に配慮、財務省官僚の罪を不問に付しながら、政権に関係なければ遠慮なく「霞が関」に踏み込む検察のご都合主義はさておき、補助金と監督権限を武器に、天下りの受け皿にすると同時に“財布代わり”にし、そればかりか自分の子供まで押し込む官僚の腐敗は、徹底的に糾明すべきであろう。

 同時に、東京医大という大学の持つ“体質”についても触れておくべきだ。

 東京医大が450億円の新病院建設工事を巡って、スキャンダルに見舞われたのは2012年から14年かけてのことである。

 まず、時系列で眺めてみよう。

 東京医大は、16年に創立100周年を迎えるということで、それに合わせて新大学病院と既存病院の改修工事を行なうことになった。

 工事を受注したゼネコンは、かねて理事会と親密で過去に実績もある「大成建設」だった。

 だが、学内には「特定の業者に決めつけるのではなく、公正を期すべきではないか」という声があり、その急先鋒が、コンプライアンス担当理事でもある飯森眞喜雄副学長(当時)だった。

 その飯森氏に「不倫疑惑がある」とした怪文書が流れたのは、12年6月頃のことで、それと連動するように右翼団体の正氣塾が街宣活動を行なった。

 その直後、「大成建設」の多田博是副社長が飯森氏に接触、「大成建設への受注協力」を持ちかける。

 12年7月25日、2人はホテルオークラの「山里」で会談、攻撃が続いていた飯森氏は会話をICレコーダーに収めた。

 「力になれば、ニンジン(キックバック)はあるの?」という飯森氏の問いかけに、多田氏が「1%を合法的なコンサルタント料として還元したい」と、述べるなど、かなり生々しい。

 しかし、飯森氏は応じず、正氣塾の攻撃は続いていることから同校OBが「事態打開のため」と称して動き、大成本社に飯森氏を連れていって、「辞表をかけ」と迫っている。

 「書く理由がない」と、飯森氏は断ったが、こうした一連の工作と動きを、警察に相談したこともあって、東京医大は調査委員会を立ち上げて調査を開始する。

 その結果、「飯森攻撃」は収まり、「大成建設」は工作が表面化したこともあって、公募型プロポーザルには参加せず、結局、受注したのは「大林組」だった。
 
 こうした不自然な工作は、いつか必ず社会問題化する。

 13年春頃から受注過程を問題視した警視庁捜査2課が、関心を持って内偵捜査に入った。

 それをいち早く伝えたのが経済月刊誌『FACTA』(13年6月20日発売号)で、半ページほどの短いコラムで経緯を書いたところ、それに過剰反応した東京医大は、すぐに同誌を名誉毀損で提訴した。

 ここから『FACTA』が連続掲載、『週刊文春』が追撃して「録音データ」を公開、東京医大はスキャンダルにまみれた。

 事実なら由々しき事である。

 東京医大は私大なので、大学経営陣とゼネコンなど業者との癒着を立件するのは難しいが、バックリベートがあれば背任罪での摘発は成り立つとして、捜査2課とは別に、東京地検特捜部直告1班が内偵捜査に入った経緯がある。

 また、攻撃を受けた飯森氏も一連の経緯は許し難いとして、警視庁捜査2課に強要未遂で刑事告訴、そちらの捜査も始まった。

 しかし、検察、警察ともに決め手を欠き、なかでも「大成建設」が下りて、受注に至らなかった点が大きく、大きな謎を残しながらも事件は終結した。

 そうした“過去”があるにも拘わらず、東京医大という大学の「体質」は変わらなかった。

 当時、特捜部直告1班を率いていた副部長が、現特捜部長の森本宏氏である。

 東京医大の癒着・隠蔽体質を知る森本部長だけに、今回の摘発は、リベンジの意味合いもありそうである。【寅】

 

 

 

 

 

 

 


2018年7月14日配信<0510archives>「『Black Box』(伊藤詩織著・文藝春秋)が告発する司法の歪み」<事件>



 


 

 

 

 

 レイプ被害者として「顔出し告発」していた伊藤詩織さんが、10月18日、『ブラックボックス』(文藝春秋)を上梓した。
 
 今年5月、詩織さんは検察審査会に不起訴処分を受けて異議を申し立て、記者会見で経緯を説明した。
 
 その時も衝撃だったが、検察審査会での「不起訴相当」を受けて著した本書では、そうした会見などでは伝わらぬ思いが、時系列で詳細に語られ、一級のノンフィクションであると同時に、日本の司法システムに対する鋭い告発書にもなっている。
 
 圧巻は、「安倍晋三首相に最も近い記者」という評判の元TBS記者・山口敬之氏と、詩織さんにとって同氏に対する「顔を思い出したくもない加害者」であるという辛さを封印して、責任を追及するために行った交換メールの公開と、高輪署、警視庁捜査一課、そして検察との「山口氏の圧力」を感じながらの切迫した交渉だろう。
 
 率直に感じられるのは、詩織さんの強さである。
 
 それは5月時点の「顔出し会見」で証明されてはいたが、今回、明かされたジャーナリストを目指して欧米で学んだという経歴が、告発への動機を裏付けるとともに、そうした意志も強さも持っている人が、それでも「司法のカベ」に跳ね返されてしまった。
 
 強さは、レイプ犯を許さないという一貫した姿勢にあるが、その一方で、詩織さんの心は常に山口氏の“幻影”に怯えており、「魂の殺人」だというレイプが被害者に与える傷の深さに慄然とさせられる。
 
 それだけのプレッシャーを受けながら、これまでのレイプ被害者の大半が、「正体を晒しても何の得にもならない」と、勝訴しても自分の胸の内にしまい込むか、示談に応じて事件を封印するなか、詩織さんが実名告発し書籍まで発売したのは、個人的な恨みを晴らすのではなく、「私に起こったことが、あなたに、あるいはあなたの大切な人に降りかかってくるか、誰にも予測はできないのだ」(まえがきより)と、訴えたいからである。
 
 その告発するという行為の結果として、司法の“歪み”が露呈した。

 

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                                                                      BBC公式HP
 

 

「よくある話だし、事件として捜査するのは難しいですよ」
 
 担当する高輪署のA氏が、最初に投げかけたのはこの言葉であり、詩織さんは「それはあまりに残酷な言葉だった」と、嘆く。
 
 以降、「今まで努力してきた君の人生が水の泡になる」と、被害届の提出を考え直すように説得するA氏を、むしろ詩織さんが引っ張る形で捜査は進み、山口氏の帰国を待って逮捕するところまで進展した。
 ところが、15年6月8日、成田空港に山口氏逮捕に出向いたA氏から「逮捕できません」という連絡が入る。
 
 理由を問うと「ストップをかけたのは警視庁のトップです」という返事。後に、それが中村格警視庁刑事部長(当時)であることが明らかになる。
 
 以降、所轄の高輪署から警視庁捜査一課に事件は移送され、A氏も担当検事も配置替えとなり、事件は封印の方向に向かう。
 
 捜査一課の捜査が、不起訴へ持っていくためのものであるのは、「なぜ逮捕状が出たのに逮捕しなかったのか」という詩織さんの問いかけに、「逮捕状は簡単に出ます」と断言。「社会的地位のある人は、居所がはっきりしているし、家族や関係者もいて逃走の恐れがない。だから、逮捕の必要がないのです」と、いってのけた捜査一課幹部の言葉で明らかだ。
 
 官邸から中村部長へと伝えられたことで発生した“忖度”は、捜査現場を動かして起訴には不十分な捜査内容となり、不起訴処分は出た。
 
 その証拠に沿って国民からくじで選抜される検察審査会の審査員が、検察官に誘導される形で事件性を審査すれば、「不起訴相当」となるのも無理はない。
 
 司法は、そのシステムを熟知し、方向性を変えうる力のある人間が操作すれば、簡単に歪むものである。
 
 レイプが行われたとされる15年4月4日以降、2年半の歳月をかけて詩織さんが著した『ブラックボックス』で、我々が読み取るべきは、レイプ被害の傷跡の大きさとともに、それを見逃してしまった司法システムの検証であろう。【午】

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年7月10日配信「“地獄の釜の蓋“が開いた!――細野豪志元環境相氏に5000万円!で大炎上するソーシャルエンディング業界」<事件>

 

 

 

 

   ネット上に開示された情報をもとに、個人が企業に事業資金を貸し付け、配当を得るサービスをソーシャルレンディングと呼ぶ。

 不特定多数の個人から広く資金を調達するのは、不動産や再生可能エネルギーなどを融資対象とする会社が多いが、金融機関の融資基準に達していない業者が多いため、その分、利回りは高く10%内外を約束する。

 それが魅力で、ここ数年で急増、2017年の市場規模は、前年比2・5倍の1316億円だった。

 だが、ハイリターンにハイリスクはつきもの。ソーシャルレンディングの場合は、集める業者と使う業者が、ほぼ同じ。要するに、右のポケットから左のポケットへ移し換えるだけである。

 誰もチェックしないのだから開示情報はウソが多く、そこを金融庁に突かれて、「みんなのクレジット」は事実上、破綻し、「ラッキーバンク」は行政処分を受けた。

 「次はどこか?」に注目が集まるなか、今年1月から証券取引等監視委員会の調査を受けながら、処分が出ないうちに『朝日新聞』が、「細野豪志元環境相に5000万円」(6月27日付)と報じたのが、「グリーンインフラレンディング」(GIL)の資金を使っていた「JCサービスグループ」だ。

 政治資金は明白なのだが、細野氏は「個人で借り入れ、利子も含めて全額、返済した」と、逃げている。

 同じ論法で逃げた猪瀬直樹前東京都知事は、結局、公職選挙法違反を認めて辞職した。

 この問題は、さまざまな要因を秘めている。

 まず政界への波及。JCサービスが親しくしていたのは細野氏だけではない。細野氏への直接の貸付窓口である「JC証券」には、和田隆志、田村謙治、松田学といった3人の元代議士が、役員に名を連ねていた。

「旧民主党のタニマチ」として知られる「大樹総研グループ」「JCサービス」中久保正己社長との人間関係によるものだ。

 「JCサービス」は、ソーシャルレンディングのプラットフォームである「maneoマーケット」を使って「GIL」が資金を集め、それを「JCサービス」が太陽光発電やバイオマス発電など再生可能エネルギー事業に回す、というビジネスモデル。「大樹総研グループ」には、かつて鈴木康友浜松市長が在職していたこともあり、浜松市は「JCサービス」の拠点でもある。

 細野氏はもちろん、上述のような現元政治家、あるいは現役の経産省、環境省に絡む政治家や官僚が、許認可や補助金などで便宜を図っていた可能性もあり、事件化の芽はいくらでもある。

 また、ソーシャルレンディング全体への波及も避けられない。

 

 「みんなのクレジット」が45億円(17年2月末までの累計応募額、以下同)、「ラッキーバンク」が155億円と、それなりに影響力は大きかったが、147億円の「GIL」に軒先を貸していた「maneoマーケット」1103億円と群を抜いている。

 「GIL」は行政処分によって破たんする可能性があり、そうなると投資家は、「maneoマーケット」に攻撃の矛先を向けるのは必至。ソーシャルレンディング業界全体が、見直しを迫られる。

 さらに、「JCサービス」には“余罪”がある。

 福島の太陽光発電の設備IDをめぐって、前所有者と中久保社長が、仲介業者を間に挟んでトラブルになっている。

 その問題解決のために、中久保氏が反社会的勢力に“説得”を依頼したという情報もあり、警視庁組織犯罪対策4課が内偵中だという。

 同種の反社との関係は、「LCレンディング」など他のソーシャルレンディング業者でも指摘されている。

 ネット上の事業計画だけで資金が集まる環境と、それを実現するために早く事業展開しなければならない時間的制約が、地上げの論理と同じで反社を引き寄せる。

 証券監視委と金融庁は、「GIL」にメスを入れることが、ソーシャルレンディング業界全体をつぶしかねないことを自覚、慎重に調査を進めていた。

 「JCサービス」の福島問題を含め幾つかの案件を抱える警視庁も同様である。

 また、「朝日新聞」、「NHK」といった先行するマスコミも、「報道がソーシャルレンディングに引導を渡すことになる」と、手控えてきた。

 そういう意味で、『細野氏に5000万円』という報道は、“地獄の釜の蓋”を開けたに等しい。

 検察や警察による事件解明はこれから進み、業者への行政処分を経てソーシャルレンディング業界全体が大炎上。「ワルは誰か」の見極めが、これから必要になる。【子】

 

 

 

 

 

 

 


2018年6月26日配信「かぼちゃの馬車事件の“黒サギ”=スルガ銀行の株主総会は大荒れ必至!」<事件>

 
スルガ黒サギ銀行(wikipedia)


 詐欺師の“上前”をハネる詐欺師のことを「黒サギ」といい、尊敬はされないが腕と頭脳は一流の証である。

 だが、「黒サギ」であることがバレた時は、詐欺師に自らの罪も抱かせているのだから強く指弾されることは当然だろう。

 今、そんな疑惑を抱かれているのが、静岡県を拠点とする「スルガ銀行」(沼津市)だ。

 かぼちゃの馬車事件に関与、当初、「運営会社の「スマートデイズ」が、通帳などを改竄して物件を売りつけていたとは知らなかった」と、言い逃れをしていたものの、次第に改竄はスルガ銀行行員との“合作”であることが明らかになった。

 かぼちゃの馬車事件とは、女性専用シュアハウスの「かぼちゃの馬車」を運営する「スマートデイズ」が行なっていた悪徳商法である。

 「利回り8%で30年家賃保証」などと広告を打ってオーナーを集めながら、不動産売買の中抜きや建設業者からのキックバックで高額物件を買わせ、その結果、高額家賃で空き部屋が続出、自転車操業に陥って破綻に向かって突き進んだ。

 操業5年で売上高300億円という「スマートデイズ」の基盤を築いたのは、ビデオ安売り王として名を馳せた佐藤太治氏で、一気に業容を拡大してチェーン展開、最後は自転車操業に陥るのがいつものパターンなので、佐藤氏が「スルガ銀行」を巻き込んだように見えた。

 だが、その後、「ゴールデンゲイン」、「サクト・インベストメント・パートナーズ」、「ガヤルド」など同業のシェアハウス業者も、同じようなビジネスモデルを構築、破綻に至っていた。

 これらの企業に融資したのも「スルガ銀行」で、窓口となっている支店はバラバラ。例えば、「スマートデイズ」は横浜東口支店だが、「ゴールデンゲイン」は渋谷支店、「ガヤルド」は川崎支店である。

 これは何を意味しているのか。

 「銀行ぐるみで審査書類の改ざんなどを認めていたということに他なりません。既に、銀行は5月15日の記者会見で、『多数の行員が、不正を認識していた』といい、その詳細の解明は第三者委員会に委ねた、と逃げていますが、それ以降も、続々と、行員が改竄を指示する証拠が見つかっています」(被害オーナー)

 証拠は、音声データやLINEなどの会話記録などに残されているが、事例は多く、しかも指示内容は様々で「一部の行員がやったこと」で済まされるレベルではない。

 さらに、「スルガ銀行」にとって致命的なのは、2000億円の融資残があるシェアハウス事業だけではないことである。

 融資総額3兆2000億円のうち、約1兆円がシュアハウスを含む一般のマンション、アパートローン向けパーソナルローンで、同じ状況を抱えている。

 他の地銀幹部が明かす。

 「地銀の平均貸出金利は1%台がやっと。ところが『スルガ銀行』は3%台の半ばをキープしていた。その理由が高金利のパーソナルローンで、しかも7%台のフリーローンを抱き合わせで借りさせるなど、収益確保になりふり構わなかった」

 審査書類を改竄して「貸せない層を貸せる層」に変えただけでなく、シェアハウス業者が行なう「頭金ゼロ」や自転車操業に陥るのが必至の「高利回り表示」を黙認していた。

 そこには、6期連続で増収増益を達成していた経営陣から現場への、強いプレッシャーがあったという。

 つまり、かぼちゃの馬車事件は氷山の一角。――個人向け融資に大きくカジを切り、高利回りのためなら手段を選ばず、怪しい業者も厭わないというスルガ商法が根底にあり、実態はスルガ銀行事件だった。

 今や“悪夢案内人”と化した「スルガ銀行」の株主総会は6月28日。――被害者オーナーたちが大挙して押しかけ、「詐欺商法に騙された」と、声を上げるのは必至!?今年最大の注目される総会となりそうだ。【寅】


2018年6月19日「個人を司法取引と通信傍受で丸裸⁉――警察国家への道、着々‼」<事件>

 
すべて丸裸?(☚wikipedia)

 

 警視庁が、日本大学アメリカンフットボール部選手の「殺人タックル事件」捜査に着手した。

 警視庁調布署が、タックルを受けた選手・家族の傷害罪での被害届と告訴を受けて、5月28日、東京・市ヶ谷の日本大学本部を訪れ、関係者の事情聴取を行なった。

 腰が重く、被害届や告訴告発を受けても、なかなか着手しない警視庁だが、国民注視の事件だけに、今回は動きが速かった。

 警視庁捜査一課と調布署が、総力を挙げ、実行犯の宮川泰介選手、直接、指示をした井上奨コーチ、指揮官である内田正人監督を調べることになる。

 着手は一斉に報じられたが、5月31日発売の『週刊文春』は、警視庁関係者の話としてこう書いた。

 「警察当局はすでに宮川選手と井上前コーチの携帯の通話記録を取り寄せ、井上前コーチが宮川選手に送信した“口止め”ともとれるメールも入手している」

 何気なく読めば、捜査は着実に進んでいるということだが、事件発覚から1ヵ月も経っておらず、被害届を受けて2週間に満たない時点で、当然、当事者の宮川選手や井上コーチの事情聴取に踏み切る前の段階で、なぜ通話記録を入手しているのか。

 考えられるのは、刑事訴訟法改正に伴う通信傍受法の改正で、通話記録やメールのやりとりを任意提出させたのではないか?ということである。

 刑事訴訟法の改正で、今年6月1日から司法取引が導入された。

 マスメディアは「司法取引とは何か」を、識者の解説や海外の事例をもとに説明しているが、実際のところ、司法取引第1号案件が現出しなければ、どんなものかを理解するのは難しい。

 指摘される「罪を逃れるための偽証」による冤罪の発生を含め、やってみないとわからないのは、検察、警察の捜査当局も同じだろう。

 だが、確実にいえるのは、被疑者となった国民は、国家(捜査当局)によって丸裸にされることである。

 被疑者や被告が捜査協力者となって検察と協議を重ね、組織トップや主犯格の犯罪摘発に協力。見返りに刑事処分の免責を得る「協議・合意制度」と呼ばれる司法取引は、対象犯罪数を一気に増やし、かなりの犯罪の通信傍受を認めた改正通信傍受法とセットになっている。

 証拠を改竄してまで厚労省女性局長を罪に陥れようとした「大阪地検特捜部事件」への反省から、取り調べの可視化(録音録画)が求められるようになった。

 が、そうなると贈収賄、脱税、談合、粉飾決算など国家秩序を揺るがす犯罪の摘発が難しくなるとして、法務・検察は新しい武器を求め、それが司法取引であり、通信傍受の拡大だった。

 二つ合わせて、捜査当局が手にしたのは、「供述頼りの捜査」からの脱却である。

 有罪判決を取るために、検事や刑事は密室の取調室で被疑者を徹底的に追い詰め、家族友人への事件の波及を臭わせるなどして落とし、それは供述調書にまとめられ、公判では絶対の証拠となった。

 刑事訴訟法の改正は、その無理を排する代わりに、被疑者を丸裸にして追い込むものである。

 スマートフォンの普及で、我々は、SNSやラインなどで通話歴、メール、位置情報などを残す。

 そうした情報を持つ通信大手や「フェイスブック」「ライン」などのプラットフォーマーは、裁判所の発する令状か、捜査機関が報告を求める捜査関係事項照会書によって、そうした記録を入手できる。

 そのうえ司法取引は、職場の上司、同僚部下が、刑事免責を求め、証拠を提出、証言を重ねるだけに、供述はもちろん、PCに入った資料、メール交換歴、備忘録などを提出。その結果、事件を含む被疑者の組織内での過去はすべて明らかになる。

 私的にも公的にも、捜査当局に狙われると、被疑者にプライバシーはなく、丸裸にされ、そのうえで追い込まれるのだから、「割り屋」と呼ばれるベテランの検事や刑事でなくとも自供させるのは容易だろう。

 そのうえに段階的に施行が続く刑事訴訟法の改正は、19年6月、暗号技術を利用した特定装置の導入で、最後の仕上げとなる。

 所轄の警察署にこの装置を配備すれば、被疑者の携帯、固定全ての通話が、圧縮され、すべて録音される。

 既に、国中に張り巡らされた監視カメラやNシステムと呼ばれるナンバー自動読み取り装置によって、国民は国家の監視対象とされているが、いったん捜査当局に狙われると、身内や同僚までが敵に回り、すべての会話やメールが筒抜けになり、証拠となって罰せられる可能性がある。

 それが、現在進行中の司法取引を含む刑事訴訟法の改正である。

 共謀罪は、司法取引や通信傍受法改正の対象には含まれていないというものの、捜査過程で得たメールや会話の記録が、共謀罪に援用される可能性は十分にある。

 つまり国民が、なんの気なしに使っている電話での会話やメール、パソコンの閲覧、スマホに残した移動記録などすべてが、捜査当局の捜査対象になるということだ。

 司法取引を含む刑事訴訟法の改正は、そんな警察国家への第一歩であり、国民はそれを自覚した対応を求められる時代となった。

 それは「日大事件」の何気ない報道にも表れている。【午】

 

 

 

 

 

 

 


2018年6月12日配信「『殺人タックル事件の深層』第3弾!――日大・田中理事長が繰り返してきた調査委員会利用のご都合主義」<事件>

             

                                                              

 

 「貝」になって殺人タックル事件から逃れている日本大学の田中英寿理事長だが、これまで修羅場を何度も経験してきただけに、思惑通りに「沈黙は金」の教訓は生き、和歌山ドンファン事件、米朝会談などに報道の中心は移っている。

 加えて、田中理事長には自分から説明することなく、外部の調査委員会に疑惑の解明を任せ、それで乗り切ってきたという過去がある。

 今回、日大は日弁連が定める「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に則り、勝丸充啓弁護士(元広島高検検事長)を委員長とする第三者委員会を立ち上げ、7月末までに結論を出すという。

 日大に利害関係のない弁護士を集めたとはいえ、発注者である日大にどれだけ厳しい報告ができるかは疑わしく、しかも調査の基本は「悪質タックル事件の真相」を探ることであり、それを生じさせた「ガバナンス体制の検証」は二の次である。

 内田正人監督・常務理事(辞任)の責任は追及されても、田中理事長の責任に行き着かないのは、本人は百も承知。だから「7月末に結果が出たら理事長が会見を開く」と、大塚吉兵衛学長に言わせている。

 こうした対応は今回だけでない。

 田中理事長は、過去2回、調査委委員会利用で逃げ切ってきた。

 最初は、本誌が「深層第2弾」の「日大問題の原点を指摘した驚愕の田中常務理事(当時)の黒い報告書」(6月5日配信)でお伝えした瀬在幸安元総長時代に「報告書」で暴かれた数々の疑惑である。

 この時は、必死の巻き返し工作で田中派の総長誕生に成功。疑惑の指摘にとどめて難を逃れた。

 しかし、同じ利権構造を続けていたことから、8年後の2013年、『読売新聞』が、「日大理事長に500万円超 都内業者から」(2月1日付)と、報じた。

 続けて読売は「資金提供問題 日大 05年に内部調査 報告書で疑惑に言及」と題して、「不透明な業者との疑惑」が、過去にもあったと指摘した。

 それまで「だんまり」を続けていた日大は、「一部報道機関の報道について、外部委員で構成する特別調査委員会を設置、調査を委嘱した」と発表。その結果を13年6月19日、大学のホームページで公開した。

 「委員会はこのほど、複数の記事に記載されている金銭受領の事実はいずれも認められないとの結論をまとめ、調査報告書として本学に提出した」

 複数の記事とは、最初の読売記事と疑惑の「報告書」のことを書いた続報である。

 最初の報道は「記事は証拠も示しておらず、重大な事実誤認と不正確な推論」と決めつけ、「報告書」については、「裏付け調査もせず、重大な事実誤認があり、根拠のない推論を述べているにすぎず」と、散々な書きようである。

 であれば、「読売新聞社」を訴えればいいと思うのに、訴訟にすることはせず、逆に16年のシーズンから日大は読売ジャイアンツの公式スポンサーとなるなど、読売グループとの親しさを増している。

 このスポンサー契約は、日大の申し入れで5月28日に解除されたが、調査結果が出ていない時点で、なぜ解除を急いだのかがよく分からない。

 調査委員会利用はもうひとつある。

 山口組・司忍六代目組長と田中理事長とのツーショット写真が出回り、それを海外紙が報じたのを受けて、15年4月、衆議院文部科学委員会で、「日本オリンピック委員会(JOC)副会長でもある田中理事長と日本最大の暴力団組長とが親密な関係ならゆゆしきこと」という質問が飛び出し、下村博文文科相が調査を約束した。

 具体的には、文科省がJOCに調査を命じ、それを受けてJOCが第三者委員会を立ち上げて調査、6月末までに文科相に報告した。

 ただ、この時の調査結果は、文科省もJOCも「プライバシーに関わることなので」と、明らかにしていない。

 特別調査委員会であれ、第三者委員会であれ、「この程度のもの」という“象徴”だろう。

 権力を握る者に都合のいい結論が出され、都合良く公表され、都合が悪ければ公表しない。

 さらに田中理事長は、今回の第三者委員会の調査に要する「2カ月」の猶予時間を得た。

 これでは日大疑惑の解明は、とても望め…ないだろう。【卯】

 

 

 

 


2018年6月9日配信<0510archives>「東京地検と警視庁が捜査着手した神戸製鋼事件の“元凶”は“シマブン”が著書『失権』で明かした腐敗の連鎖!」<事件>

鉄鋼業界再編のきっかけ?


 

 「神戸製鋼所」のデータ改竄問題は、東京地検特捜部と警視庁が合同捜査する一大経済事件となった。

 同社のアルミや鋼製部材は、航空機や自動車などに幅広く使われており、ユーザーは国内外に及び、現在、米司法当局も調査を進めている。

「データ改竄」は、他社でも発覚しているが、「神戸製鋼所」ほど長期間に及ぶ悪質なものはなく、高品質を誇ってきた日本の製造業の浮沈に関わる問題だとして、同社をやり玉に挙げざるを得なかった。

 これは検察・警察が一体となった「国策捜査」であり、場合によっては、今年6月に施行される「司法取引」の第一号となることが想定される。

 「特捜部としては、第一号案件はカッチリとした誰にもわかりやすい案件で手がけ、国民への周知徹底を図りたい。データ改竄は、誰がどう指示したかの供述を取るのが難しいが、司法取引は『上司の指示』を部下に供述させる有力な材料になり、罪は不正競争防止法違反なので、それほど重くなく、供述する側の精神的負担も軽い」(司法記者)

 国内外のユーザーと関係当局を納得させる捜査で、司法取引という新たな武器を試したいという検察の思惑の裏にあるのは、コンプライアンスの欠如した「神戸製鋼所」の企業体質への怒りだろう。

 奇しくも、昨年末、「神戸製鋼所の闇を背負ってきた男」といわれる「シマブンコーポレーション」島田文六前社長が、『失権』(幻冬舎)を上梓した。

 同氏は、関西の花街や高級クラブでの派手な遊興で知られ、中村美律子が大ヒットさせた『島田のブンブン』のモデルである。

 島田氏は、1965年の「神戸製鋼所」と「尼崎製鉄」の合併に伴う内紛を、神戸製鋼所側に付くことで勝利に貢献した。

 当初、「尼崎製鉄」サイドに付いていたのは、大物右翼の故児玉誉士夫氏であった。

 「神戸製鋼所」は、児玉氏の名代である総会屋・木島力也を寝返らせることで、「尼崎製鉄」を制したのだが、その軍資金(裏金)の調達係だったのが島田氏である。

 『失権』のなかで島田氏は、「B勘」による裏金作りをこう明かしている。

 <「B勘」と言われる裏金づくりは、製鉄所内から払い下げる発生品数量の調整で行われる。伝票上で発生数量が100なら、実際は110。その余分な10が、製鉄所の外で換金され裏金となる>

 島田氏は、この裏金づくりをその後も続け、歴代社長に貢献する。

 島田氏とともに、このシステムを築き上げた総務部長の鈴木博章氏が、論功行賞で11代社長に就任したのを機に、総会屋窓口の総務部長、総務担当役員経験者が出世する会社となり、亀高泰吉氏、熊本昌弘氏、水越浩士氏と続き、99年、神戸製鋼利益供与事件の発覚で、この系譜は断ち切られ、事件当時会長だった亀高氏も退任した。

 著書のなかで島田氏は、亀高氏のことを「朋友」と呼んで、その関係を懐かしむが、検察にとって亀高氏は、総会屋との関係のみならず、他国の政治にもクビを突っ込む危ない経営者だった。

 98年のベネズェラ大統領選で反米のウゴ・チャベス氏が当選するが、「神戸製鋼所」は対立候補に1億6000万円を献金。その後の株主代表訴訟で<右金員は、加古川製鉄所において生じたスクラップの売却代金を簿外処理することにより捻出>と書かれていた。

 こうして「神戸製鋼所」を40年近くも支え続けた島田氏だが、利益供与事件を機に、徐々に距離を置かれるようになり、08年のリーマンショックで受けた損失責任を問われ、やがて「シマブンコーポレーション」から追い出される。

 同時に、神戸製鋼経営陣の“総務部体質”に批判が寄せられ、技術畑からの社長が続くが、不祥事を隠す隠蔽体質が改められることはなく、06年、神戸、加古川両製鉄所で発覚した煤煙データ偽造事件、08年、子会社で発覚した検査データ偽造事件へと続く。

 検察の目には、「神戸製鋼所」は、コンプライアンスを無視、悔い改めることのない企業であり、その全てが明るみに出たことで今回の改竄が各部署で続けられ、それが数十年に及んだ、という日本の製造業を貶める事件と映った。

 東京地検特捜部は、警視庁と共同で、場合によっては司法取引も採用しながら徹底解明する方針である。【巳】

 

 

 

 

 

 

 



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