2017年6月29日配信「加計学園騒動・第2幕――官邸から文科省への逆襲が始まった!」<事件>

 
前川喜平・奇兵隊長(TV朝日)


 

 文部科学省のトップに上り詰めた前川喜平・前同省事務次官が、「私の座右の銘は『面従腹背』」と言い放ち、効率よくマスコミを捌いて官邸に歯向かった事件は、「前川の乱」として長く記憶されるだろう。

 「霞ヶ関」の官僚にとって、「面従腹背」は座右の銘ではなくとも当然のことである。

 頭の良さも国家への忠誠度も、自分たちに敵うものがないと思っているエリート集団は、選挙を戦い抜いただけの与野党国会議員の言うことを聞く気は、ハナからない。

 だからうまく“調教”して使いこなそうとする。

 その「霞ヶ関」の伝統を打ち壊し、「永田町」との力関係を完全に逆転させたのが安倍晋三政権だった。

 官庁人事を牛耳る内閣人事局を最大限に利用して省庁を押さえ込み、離反を許さなかった。

 また、許認可権にまで口を突っ込み、医学部や歯学部同様、規制することで役所の権限を見せつけてきた獣医学部の新設をゴリ押しした。

 だから、前川氏は反乱を起こしたが、建前では上位の「永田町」に逆らったのだから、前川氏と文科省内の“喜平隊員”と呼ばれる「前川チルドレン」は、官邸からの逆襲を覚悟しなければならない。

 ターゲットとなるのは、民進党やマスコミに流れた内部文書をもとに反乱を起こした前川氏を、結果的に裏から支えた官僚たちである。

 もちろん正体はバレていないが、義家弘介・文科副大臣は、国家公務員法違反を指摘、犯人を特定しての告発も示唆している。

 それを承知の「反乱」だけに犯人の特定は容易ではないが、文書管理の甘さは突くことができる。

 既に、菅義偉官房長官は、6月21日の記者会見で、「今年度内の公文書管理指針の見直しと行政文書の定義化」を示唆した。

 個人の備忘録的なメモを「個人フォルダ」ではなく「共有フォルダ」に入れ、騒動を大きくした文科省への警告の意味も含めており、担当セクションは責任を取らされる。

 具体的には、高等教育局の獣医学部を担当する専門教育課の縦ラインである。

 常磐豊局長、浅野敦行課長、牧野美穂課長補佐、生方寛昭企画課長といった、獣医学部新設を強引に進める内閣府とやりあった面々が槍玉にあげられる。

 なかでも、大半の文書を作成した牧野氏の左遷は間違いない。

 最初に流出した際、菅官房長官が「怪文書のようなもの」と、言い放った文書も大半が牧野氏のもので、当初、省内調査に「記憶にない」と語っていたが、2回目の調査では、「当時、作ったメモ」と、認めた。

 が、流出については、当然、否定した。

 しかし、その後、発覚した首相の関与を示唆する「萩生田(光一官房副長官)メモ」では、個人メモのハズが「共有フォルダ」に入れていたために、複数の官僚が情報を共有、拡散していった。

 牧野氏は前川氏の子飼いで「前川チルドレン」のひとりで、「ベリーダンスが趣味の美人官僚」として知られており、責任を取らせるという意味ではアナウンス効果もある。

 『読売新聞』を使った前川氏の「出会い系バー通い」については、官邸の「行き過ぎた工作」が批判されたものの、今回の「ズサンな文書管理」は誰しもが認めるものだけに、「粛清人事」への批判はしにくい。

 また、今後、交流人事名目で、官邸の意を受けた経産省や国交省の官僚たちが文科省の主要部局に送り込まれ、文科省の秩序をガタガタにすることも考えられる。

 「役所の文化」を壊すという意味では、これほど効果的な粛清人事はない。

 だからと言って“進駐軍”が自在に操れるものではないが、役人だけに抵抗する側の論理も手法も心得ており、いずれ古巣に戻る彼らは、文科省の相対的な地位低下を主導しても躊躇するところがない。

 こうした粛清に対抗するには、第二、第三の矢を放ち続けなければならないが、それには限りがあるうえ、これまでの経緯が示すように、「文書」は所詮、「言った」「言わない」の世界でウヤムヤになってしまう。

 攻守交替!――文科官僚は、しばらく官邸の反撃を耐えしのがねばなるまい。【辰】

 

 

 

 

 

 

 


2017年6月27日配信<0510archives>「米国はFBI、韓国は検察が政権を監視!――行政と検察・警察・マスコミが一体となって"安倍1強"を護る日本の無残な現状!」<事件>

 
前川奇兵隊長(☚TV朝日)

 

 米国ではFBIが、長官解任の横暴に負けず、トランプ大統領に噛み付いて、女婿のクシュナー大統領上級顧問の捜査を始めた。

 韓国では検察が、朴槿恵前大統領を逮捕の上、収賄容疑など18件で起訴。本人は容疑をすべて否認しているが、懲役40年以上の実刑判決が下される可能性がある。

 権力は腐敗するから監視機能が必要だというのは、健全な国家を運営するのに欠かせないルールで、「米韓」はその機能を見せつけたが、逆に日本では「安倍1強」が続く間に、機能がすっかり失われたことが判明した。

 そればかりか、もうひとつのチェック機構のマスコミは、政権に歯向かう者の追い落としに回り、権力の走狗になり下がっている。

 加計学園騒動は、そんな日本の惨状を露呈した。

 加計学園の獣医学部新設は、「官邸の最高レベルの意向」であることは、文部科学省の8枚の内部文書から明らかであり、それを当時の事務方トップである前川喜平前事務次官がインタビューや会見で明らかにした。

 霞ヶ関の官僚が、退任後とはいえ政府方針に逆らって告発するのは異例のことだ。

 そこには、過去にも小泉純一郎政権時代、「三位一体改革」に反対の論陣を張った前川氏の個性と、前川製作所創業者の孫で、中曽根弘文元文相の親族という前川氏の恵まれた環境も左右している。

 また、新国立競技場の白紙撤回に至る文科省の不手際と、内閣官房の所管となった高級官僚人事に逆らった文科省の天下り斡旋問題など、官邸と文科省のギクシャクした関係も背後にあった。

 ただ、その前川氏の言論を封殺、そればかりか人格攻撃に走って、証言を貶めようとする官邸の意向と、それに乗った警察とマスコミは異常である。

 『読売新聞』は、朝日報道で加計学園への官邸圧力が明らかになった直後に前川氏の出会い系バー通いを報じた。

 報じたのは22日(月曜)であり、『週刊文春』の締切日。読売は、その週の25日(木曜)、同誌に「前川インタビュー」が掲載されるのに合わせて掲載したが、前川氏を恫喝するとともに、氏の人間性を貶めることになる報道は、官邸の意向に沿ったものと考えてよかろう。

 加計学園の学部新設は、「安倍首相のお友達の要望」を、官邸と内閣府が文科省を抱き込む形で無理に進めたもので、その表面化を官邸の意を受けた警察とマスコミが、一体となって潰しにかかったという「安倍1強の末期症状」を表すものだった。

 そして、その前に捜査着手した森友学園騒動は、検察が官邸に配慮、「国有地はなぜ安値で売却されたか」という本質的問題を抜きに、「籠池前理事長の個人犯罪」で蓋をしようとしており、こちらも検察が「国家の護持役」を、自ら放棄している。

 今年2月の問題発覚以降、告訴告発が相次ぎ、5月末の時点で➀「籠池の補助金不正受給及び詐欺」◆嶌睫馨粉盈修僚駑倏亡及び背任」「安倍昭恵夫人と付人の国家公務員法違反」と、争点は定まった。

 捜査する大阪地検特捜部は、籠池前理事長の補助金不正受給から着手、施工業者などの事情聴取を活発に行っており、家宅捜索を経て「籠池氏逮捕」は規定の路線とされている。が、その先のシナリオは描いていない。

 「『悪いのは籠池』を印象付ける事件です。昭恵夫人は籠池氏に利用されたことを示さねばならず、そのために捜査着手したといっていい。財務省ルートなど、“捜査するフリ”をするだけです。既に、官邸と法務省の間で話はついています」(検察関係者)

 すべてに優先するのは官邸の意向!――しかし、安倍夫妻を守るのが検察・警察・マスコミの役割といった異常が、いつまでも続くわけではないし、続けていいわけはない。

 両事件は、その異常を露呈したものであり、反応の早いネットでは、批判が凄まじい勢いで広がっており、それを修正する動きが、捜査当局とマスコミの内部から起こることが求められているのだが……。【辰】

 

 

 

 

 

 

 

 


2017年6月23日配信「人間を丸裸にするビッグデータ、人工知能、SNS時代に成立した共謀罪法の底知れぬ怖さ」<事件>

 

 

 ネット空間では、ニュース、ゲーム、メール、会話、地図、そして多種多様な情報を、「原則タダ」で入手できる。

 全てのモノに値段を付け、その売買によって生活を豊かにするという資本主義の原則に従えば、「タダの空間」はありえない。

 実際、利用者は、サービスを提供するプラットフォーマーたちに、「個人情報の提供」という“対価”を支払っている。

 ログイン情報を通じて、年齢、氏名、性別、住所といった基礎情報を提供しているのはもちろん、通話の相手、メールの相手と内容、検索を通じた趣味嗜好、友人の種類とつきあいの幅、位置情報の提供を通じた生活パターンまで提供、丸裸といっていい状態だ。

 グーグル、ヤフー、ライン、フェイスブック、アマゾンといった検索エンジン、ネットワーク構築、物品販売を通じたプラットフォーマーたちは、得た情報を自社のビジネスに生かす一方、広告空間の提供という形で莫大な利益をあげている。

 今、広告分野ではネット広告が主流になりつつあり、ラジオ、雑誌、新聞はとうに抜き去られており、二ケタ成長が続く現状では、テレビCMを抜くのも時間の問題だ。

 ネット広告が優れているのはターゲティングである。

 例えばフェイスブックでは、趣味嗜好はもちろん人種や宗教、政治的傾向まで「いいね!」を送った友人知人の傾向で、読み解くことが可能で、そうした個人データを分析の上、より成約に至る確度の高いターゲティング広告を打つことができる。

 また個人情報は、ビッグデータとして集められ、それを日々、超速に進歩している人口知能が、選別し識別する。

 そうした情報が欲しいのは物品やサービスを売る企業だけではない。

 政党政治家メディアも、すべてが欲しい。

 そして情報を握った者が、マーケットだけでなく権力を握る。

 そんな時代を我々は生きているだけに、むしろ個人情報を保護し、商売のために利用させない手立てや処罰を論じなければならない時に「共謀罪法」が成立した。

 まともに法案の趣旨も内容も把握していない法相のもと、「一般人が含まれるかどうか」といった大切な論議が尽くされないまま施行(7/11)されるが、「人間を丸裸にするビッグデータ、人工知能、SNS時代」は、「友達の友達は友達」という形で人脈が広がって、誰もが組織犯罪グループの一員になりうる。

 また、ビッグデータで拾い集めた行動履歴、読書傾向、検索履歴は、行動心理学などの専門家によって、「心の内」をいかようにも解釈されてしまう。

 さらに、テロ防止、犯罪予防を口実に、Gメールやラインの履歴を捜査当局に求められれば、プラットフォーマーは簡単に提供する。

 そうなると、どんな「読み取り方」も可能になり、既にSNSは犯罪捜査に利用されており、ある強盗殺人の容疑者は、殺人実行者との「ラインのメール記録」を突きつけられ、「お前も共犯だろう」と、責め立てられた。

 捜査員とすれば、「自供すれば拾い物」といった感覚かも知れないが、メールのやり取りをもとに犯罪集団の一員とされ、検索履歴や行動履歴が、犯罪との関係を示す傍証とされるのでは、誰もが「被疑者」になりかねない。

 そうしたネット時代に拡散する個人情報の怖さを、さらに加速することになるのが共謀罪法である。

 共謀を認定するのは検察や警察であり、彼らが今、人事権を握られ、官邸に対してヒラメのような存在になっていることを立証したのが、「森友学園」、「加計学園」、「山口敬之レイプ疑惑」だった。

 今、メディアに求められているのは、共謀罪法の乱用を許さない監視とともに、グーグルやフェイスブックなどが安易に個人情報を売り渡さないようにする「歯止め」を確立させることだろう。【午】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2017年6月15日配信「森友学園・加計学園・山口敬之――“疑惑の忖度3連弾”で明確になった官邸の“罪”」<事件>

 
忖度の館(☚wikipedia)


 今年に入って、森友学園、加計学園、山口敬之氏と、安倍晋三首相周辺が、いずれも「官邸の力を利用した」として、騒動を引き起こしている。

 いっそ安倍首相が、官僚の忖度を引き起こすのではなく、明確な指示を発して、“お友達”の利益になることの対価として献金などを受け取っていたのなら、問題が明確化してスッキリする。

 だが、今回は「忖度」で物事が進み、指示したかどうかは曖昧で、直接の対価が発生していないように思われるところが弱い。

 そんな安倍政権を擁護、牽強付会の論陣を張る読売新聞、産経新聞、夕刊フジなどの一部マスコミは論外だが、内閣支持率が落ちないのも、「安倍首相が、悪いことをやったわけじゃない」という国民感情が底流にあるのかもしれない。

ただ、個別に眺めれば、たいしたことではないかもしれないが、さすがに「3件」も続くと官邸の組織的な罪が見えてくる。

 それは、官僚人事を官邸が握ったことによる「霞ヶ関の支配力」の強化であり、官邸中枢を身内で固めてしまうことによる「権力の拡大」である。

 さらに危惧すべきことは、権力の監視機構として「霞ヶ関」と「永田町」に睨みを効かせるはずの「検察と警察」が、官邸に取り込まれていることだ。

 ここが最も問題で、彼らは「3つの疑惑」の事件処理に関わっている。

 森友学園疑惑の本質は、安倍昭恵夫人が名誉校長であることを忖度して、財務省が国有地を8億円も安く払い下げたことだった。

 従って追及すべきは、国有地を管理する財務省の誰が、埋まってもいないゴミがあるとして安く払い下げる決定をしたのか、それはどんな命令系統で行われたのか?である。

 だが、官邸は当初から「ワルは籠池(泰典前理事長)」という構図を描き、大阪地検特捜部に受理させて捜査を早め、国会閉幕後の早い時期、遅くとも6月末までに強制調査に入る方針を固めている。

 加計学園騒動の本質は、獣医学部新設は必要ないとしていた文部科学省の方針を覆し、国家戦略特区を使って官邸が、強引に安倍首相の「腹心の友」である加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園に決めたことである。

 だが、官邸はその圧力を暴露し始めた前川喜平・前文科事務次官の“謀反”を憂慮、「出会い系バー通い」を読売新聞に書かせ、証言の信頼性を失わせようとした。

 しかし、これは「あまりにもあざとい印象操作」だとして逆効果だったうえに、文科省官僚の組織的抵抗に会い、「官邸圧力文書の再調査」を命じるなど、後退を余儀なくされた印象である。

 しかし、政権を揺るがすことはない。

 たとえ加計学園絡みで刑事告発がなされたとしても、検察は捜査するつもりはなさそうである。

 そんな官邸の検察、警察への支配力を見せつけたのが、山口敬之氏が起こしたとされる準強姦事件だった。

 「安倍首相に最も近いジャーナリスト」と言われてきた山口氏は、TBSワシントン支局長時代の15年4月、就職希望の詩織さんを宿泊先のホテルに連れ込んでレイプしたとして刑事告訴され、6月には逮捕寸前だった。

 だが、中村格・警視庁刑事部長(当時)の判断により逮捕は延期され、結局、書類送検の後、16年7月、嫌疑不十分で不起訴処分となった。

 この処分に納得しない詩織さんは、今年5月29日、顔出し告発し、検察審査会に審査を申し入れた。

 「起訴相当」となって再捜査される可能性が高いが、ここで問題となっているのは「事件つぶし」の疑いがあることだ。

 中村刑事部長が捜査を止めただけでなく、事件は高輪署から警視庁捜査一課に移送され、担当捜査員は他の署に異動、検事も変わってしまった。

 所轄署長の権限で処理される準強姦事件としては極めて異例で、何らかの政治力か、強力な忖度が働いたに違いない。

 中村氏は、刑事部長の前に官房長官秘書官を5年も経験、また「出会い系バー通い」を前川前次官に突きつけた杉田和博・副官房長官は、警察で警備公安畑を歩み、内閣情報調査室長を歴任、副官房長官は在職5年。また、今夏、杉田氏の後任となる予定で、山口氏の相談を受けていたとされる北村滋・内閣情報官は、やはり警備公安畑出身で情報官歴は6年。さらに、官邸人事で法務省事務次官に就いた黒川弘務氏は、5年の官房長の間に「政権に最も近い検事」となった。

 こうした検察、警察人脈が働いて、準強姦事件という「国家にとっては何の影響もないハズの事件」が潰されたとしたら、これぞまさしく「強過ぎる官邸の力」の証明であり、今こそ、この歪みを徹底的に暴き、追及する必要があるのは無論の事である。【丑】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2017年5月25日配信<0510archives>「"売り"は安倍首相との近さ!――急浮上した加計学園・加計幸太郎理事長の強みと弱み」<事件>

 加計幸太郎理事長
  (☚加計学園HP)

 
 「政商」は、時の政権との近さを“売り”に幅広くビジネスを展開、あまりいいイメージで語られることはない。

 在任5年を超えた安倍晋三政権に、強いコネクションを利用して大きくなった企業があってもいいが、実は、そうした企業は意外に少ない。

 「ゴリゴリと強引に突っ込んでくるような人間は嫌い。成蹊大出身の二世らしく上品を好む。だからといって知的エリートも苦手。だから昔からの『気のおけない友達』と付き合う」(官邸詰め記者)

 そうした友人のひとりが、「加計学園」の加計孝太郎理事長だろう。

 やはり二世で、創業者は父の勉氏。同氏が、広島県に1955年に設置した「広島英数学館」が母体で、現在、「岡山理科大」、「倉敷芸術科学大」、「千葉科学大学」など3大学に専門学校、付属高校・中学そして幼稚園などを持つ一大学校法人グループである。

 安倍首相と加計氏との関係は、両氏が20代の頃、ともに米国に留学していた時からだというから40年近く前にさかのぼる。

 この歴史と、今も多い時は年に5回も食事をともにし、時に夫人同伴になるという親密さ、そしてアベノミクスの成長戦略を加計学園が取り込んでいるという実態が、「政商」としての加計氏を裏付ける。

 「加計学園」は、「森友学園」とは比べ物にならない安倍首相との親密さを誇る。

 そもそも「森友学園」の“正体”が割れ、そのことで、籠池泰典前理事長の資金力のなさと無計画性が判明した。

 校舎を買う資金がないから国有地を借り、運営資金がないから「安倍晋三記念小学校」の名で寄付を集めようとした。

 しかも、安倍首相を誘い込めないので「私の名前を使っていい」と、公言する昭恵夫人を引っ張り込んだ。

 大阪地検特捜部は、森友学園の捜査に着手しているが、「官僚による忖度」という事件の"本質"には触れない。

 それは、安倍政権を守るためだけに行う「国策捜査」だからで、マスコミは捜査の是非は問わない。

 そこには「所詮、籠池は詐欺師的言動で、教育界を渡り歩いてきた男」という蔑視がある。

 ならば、アベノミクスの国家戦略特区利用で大きく事業展開してきた「加計学園疑惑」をマスコミは追及するのか。

 これも、あまり期待はできない。

 民放は、「安倍批判は、基本的にタブー」であり、ネット系は「ネトウヨ」を中心に政権を支える論調で、新聞も「親安倍」と見られるところが少なくない。

 だが、それでいいのだろうか。

 安倍首相が、千葉科学大学創業10周年というどうでもいい式典に、岸田文雄外相を引き連れて参加したり、学園傘下の「御影インターナショナル」に昭恵夫人が就任したりと、加計氏の"安倍利用"は、籠池氏以上だ。

 役人の忖度にしても、過去52年も新設がなかった獣医学部が、突如、安倍首相が諮問会議議長の国家戦略特区で認められ、愛媛県今治市の特区に立候補したのが「岡山理科大」だけだった。

 「役所と地方自治体が一強安倍内閣に配慮した結果」(民進党関係者)と、取られるのも無理からぬところだ。

 この獣医学部の認可には、"もうひとつの配慮"があった。

 最初、優勢だったのは「京都産業大」だったが、突如、条件が変更になり、「獣医学部の空白地域に限って認める」となったところで、関西圏の「京都産業大」はダメになり、四国の「岡山理科大」が浮上した。

 前述のように安倍首相は諮問会議議長である。

 何の接点もない籠池氏と比べ、加計氏の首相パイプはあまりに太い。

 加計学園が「第二の森友」と呼ばれる以上、マスコミは今こそ、調査報道によって、「加計学園と首相との関係」に切り込むべきである。【巳】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2017年5月20日配信「5月末の改正個人情報保護法などどこ吹く風で貪欲に稼ぎまくるアドテク業者たち」<事件>


盛況の第1回Web&デジタルマーケティングEXPO


 

 「マイクロターゲティング」「ONE TO ONE」とは、広告業界の言葉で、年齢、性別、趣味嗜好に合わせた広告を打つことを意味する。

 テレビ、新聞、雑誌などの従来型広告が、幅広い視聴者・読者に向けたイメージ広告であるのに対し、ネット広告は、誰が、どの機器を使って、どんなサイトを見ているかが、ある程度、把握できるために、個人へ向けたターゲティング広告を打つことができる。

 このネット広告の環境が、パソコンからスマホへの情報・通信ツールの進歩と、ビックデータといわれる莫大な量の情報の蓄積、それを整理して必要なものを取り出せる人工知能の進化、広告主と媒体を取り結ぶアドテクノロジー(アドテク)の超速の進歩によって、ネット利用者の欲望や関心を早取りして効果的な広告を打てるようになった。

 温泉へ行きたいと思えば、望む地方のお手頃価格の広告が現れ、ミュージカルや演劇を休日に楽しもうと思えば、希望に沿ったチケット情報が表示され、お腹が空けば宅配のピザや寿司、休日の午後にポッカリとした時間があれば自宅近辺で行われているイベントを紹介してくれる。

 うざいと感じたり、プライバシーを覗かれているようで不快感を持つ層もあるが、属性特定によって、それもやがては取り除けるようなネット広告環境になると言われており、急成長しているネット広告が、現在トップのテレビCMを追い抜くのは時間の問題だ。

 そんなネット広告の「今」を伝える「第11回Web&デジタルマーケティングEXPO」(5月10日〜12日)イベントが、東京ビッグサイトで開かれた。

 同時にビッグデータ活用展、クラウドコンピューティングEXPO、通販ソリューション展、IoT/M2M展、情報セキュリティEXPOなども開かれているから、ITが人と企業を今後、どのように変えていくかを指し示す祭典だった。

 昨日の技術が今日は陳腐化、今日のデータ蓄積量が明日は10倍になるIT分野の進化は、個人を驚く程の細かさで特定。それが前述のようなターゲティング広告につながるのだが、怖いのは個人情報が本人の同意なしにやり取りされることだ。

 否、「同意なし」というのは正確ではなく、そんな形で使われるとは思わなくて「同意」したものが、いいように加工され、使用されることになる。

 ネット利用で欠かせないのがログイン情報で、グーグル、ヤフーなどの検索エンジン、アマゾンのような通販、フェイスブック、ツイッター、ラインのようなSNSを利用しようと思えば、必ず住所、氏名、年齢などの個人情報を書き込むわけで、その情報を、業者が利用することに「同意」を求められた時、サービスに進むためにクリックする。

 この情報が、次々に積み重ねられ、人物像が友人、知人の存在とともに明らかになっていく。

例えばフェイスブックなら、訪問履歴や友人知人への「いいね!」クリックによって、肌の色、思想信条、支持政党までが推定されるようになり、それはビッグデータに保管される。

 瞬時に個人を層として捉えるアドテクは、例えば「田園調布駅半径300メートル以内のピザ好きな20代男性」に向けて、ボリュームある新製品のネット広告を配信することができる。

 怖いのは、個人情報保護法が改正を重ねられて厳しくなり、5月末施行の抜本改正で、個人情報法の漏洩はほぼ許されなくなっているのに、ネット広告業者は「同意」を得ていることと住所と氏名の特定は行わず、「層」として分類していることを隠れ蓑にしてこの問題をクリア、個人を“丸裸”にして広告を打ち続けていることだ。

 それも含めて「ITの祭典」に溢れる怖さは、グーグルやフェイスブックなどのプラットフォームを持つ業者が、その利用なしに人が暮らせないことをいいことに、情報をかき集め、広告に使うという行為が、他の人工知能、クラウドコンピューティング、ビッグデータなどの利用と重なることで、政治、金融、教育、などにも利用される危険性があることだ。

 既に、トランプ大統領誕生の陰に、フェイスブック情報を利用した「ケンブリッジ・アナリティカ」という選挙対策チームがいたことはよく知られている。

 マイクロターゲティングにより「最後のプッシュでトランプに投票する有権者」を把握、そこに集中して攻勢をかけることで、逆転勝利に導いた。

 個人の属性をそこまで把握すれば、どんな金融商品を誰に販売すれば、どんな親にどんな進学先を勧めれば、といった情報操作を行えるようになり、それを悪用すればどんな犯罪も可能になる。

 しかし、「祭典参加者」にそんな危機感は微塵もなく、出展者たちは個人情報利用のアピールに余念がなかったが、その状況を野放しにしていいかどうかの本格的な論議が、早急に必要であろう。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 


2017年5月16日配信「織田絆誠という“花形スター“が仕掛けた神戸山口組分裂の深層」<事件>

(☚wikipedia)

 

 

 

 神戸山口組が分裂、4月30日、任侠団体山口組が組織され、日本最大の広域暴力団山口組は、2年足らずの間に六代目山口組、神戸山口組、そして任侠団体山口組と三つに分かれた。

 仕掛けたのは、神戸山口組若頭代行で井上邦雄組長の信頼が最も厚いといわれていた織田絆誠氏である。

 50歳という若さを誇り、スリーピースにノーネクタイで頭頂部を少し盛り上げた短髪というスタイルを保ち、全国の神戸山口組を回って、六代目山口組に対する示威活動を指揮する武闘派というイメージを確立、暴力団が久々に生んだ“スター”だった。

 昨年6月には、六代目山口組との“統合”に向けた話し合いに組を代表して出席。話し合いは決裂したが、その際、「(全面降伏の)ポツダム宣言なら呑む。ただし、絶縁したものは切るのが条件」という六代目山口組の要求を呑まず、「織田は退散した」という情報が六代目山口組サイドから流され、織田氏は激怒して西岡研介氏のインタビューに応じ、結果は『山口組分裂「六神抗争」365日の全内幕』(宝島社)に掲載された。

 その時、頭の回転の早さと説得力の高さをいかんなく発揮。「六代目が引退して総裁に付き、井上組長が七代目」となるか、「六代目体制はそのままで井上組長を若頭」とするかの二者択一を迫った、という“裏話”を外連味なく語って、リーダーとしての素養を見せつけた。

 六代目側と神戸側の主張は大きく異なるが、六代目側が匿名情報として流されたのに対し、神戸側は織田氏が実名で登場、こちらの説得力の方があった。

 初代倉本組で20代の時から若頭補佐を務めるなど、早くから関西の暴力団社会では名を売っており、波谷組との抗争で長期服役も経験。02年、井上組長が会長に就いていた山口組山健組健竜会に所属。ここでも順調に出世、井上組長が山健組を四代目として継承すると若頭補佐を務めた。

 そういう意味では、関西の山口組のなかでは名の売れた存在だったが、全国区となったのは、前述のように、分裂以降、若頭代行として組織の引き締めと交渉事を一手に引き受けるようになってからである。

 任侠団体山口組を結成した4月30日、同組は異例の記者会見を開き、ゞ眩の吸い上げ、井上組長の出身団体のひいき、0羮總板垢進言諫言を聞かないこと、の三つを離脱理由としてあげた。

 「カネとポスト」が喧嘩の原因となるのは暴力団社会の常だが、それを正直に語ったことになる。

 この会見を仕切ったのは四代目真鍋組の池田幸治組長で織田氏は出席をしなかったが、任侠団体山口組の代表が織田氏で本部長が池田氏という組織構成も合わせて公表された。

 神戸山口組からの主な離脱は2名で、残りは山健組から引き抜いた組長たち。だが、30数組織でスタートしたものの、早くも離脱者が続出。任侠団体山口組は、想像以上に小規模での出発となった。

 この離反劇で明らかになったのは、壊れ始めていた暴力団秩序が、もはや修復不能の状態に達していることだ。

 一度、盃を交わして親と子の誓いを立てたら、それをどこまでも守る。――これまで明らかになっている織田氏の言動は、「掟と行動原則に忠実な暴力団幹部」というものだった。

 ところが今回は、奇妙にねじれている。

 暴力団社会の盃がもたらす約束事を最初に捨て、「逆盃」を厭わなかったのは神戸山口組である。

 その一員で右代表といっていい存在の織田氏が、今度は自ら親子の縁を切って、親を批判した。

 「逆盃」の「逆盃」――「任侠団体山口組」という呼称は、原点に帰るという意思表示なのだが、そうなると六代目山口組への帰還を意味するのか。

 今、神戸山口組から流れてくるのは、「織田は弘道会から何億円もらった。池田は借金をチャラにしてもらうのが、神戸山口組を出る条件だった」といったカネ絡みで今回の離反を説明するものばかりだが、これは中心メンバーの2人を貶めて切り崩しを図ろうとする作戦だろう。

 一方、織田氏は、9月8日発売の『週刊現代』で溝口敦氏のインタビューに応じ、「神戸山口組離脱の理由」を語っている。

 今回も、西岡氏のインタビューの時と同様、たっぷりと語り、話は「新しい暴力団組織の在り方」にまで及んで、織田氏の頭の回転の早さを改めて印象づけた。

 ただ、盃の重さに最も忠実だったハズの織田氏が、新たな盃事はせず、代表にとどまって、月10万円の会費を徴収、横で連帯するという任侠団体山口組の姿が、どうしてもイメージできない。

 織田氏がいう「自由人であるチンピラ」を、つなぎ止める鎖が盃であり、その上下関係が理不尽な行動を可能にし、それが表社会を畏怖させ、彼らのシノギにつながったのではなかったか。

 それだけに、神戸山口組が流布させている「織田らはカネで転んだ」という説に、説得力が生まれ、合わせて一部に観測されている「六代目山口組に合流するための一時的な体制」という任侠団体山口組の「在り方」も説得力を持つ。

 「逆盃」の「逆盃」は、元の鞘に納まるという理屈である。

 それも含め、ここ数年、暴力団社会のキーマンとして動いてきた織田氏の動向からは、今後も目が離せない。【卯】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2017年5月1日配信「森友学園経営破綻で籠池泰典前理事長の"標的"は維新の会」<事件>

 
   塚本幼稚園(☚wikipedia)

 

疑惑発覚から2ヶ月強で"ギブアップ"、「森友学園」が経営破綻し、民事再生法に駆け込んだ。

負債総額は約17億円。既に、「瑞穂の國記念小學院」の設置は断念、系列保育園の存続も危ぶまれるなか、「森友学園」は籠池泰典前理事長「保守本流の幼稚園」と自賛していた「塚本幼稚園」単体での再建を目指す。

ただ、籠池前理事長夫妻は経営に口を挟まず、長女の町浪理事長のもと、「天皇国日本」を希求していた“籠池色”は影を潜め、“普通”の幼稚園に近くなる。

念願の小学校設置が目前だった籠池氏にとっては断腸の思いだろう。

そのうえ既に補助金適正化法違反で出されている告発を大阪地検特捜部が受理しており、捜査は始まった。

狙いは「籠池逮捕」を前提とする国策捜査にあるのは明白で、籠池氏が、やり場のない怒りを抱えていても不思議ではない。

その怒りの矛先はどこか。

籠池包囲網は、安倍晋三・昭恵夫人、大阪府、財務省、国土交通省、顧問弁護士など、全員が掌を返したことによって狭まった。

もともと園児に教育勅語をそらんじさせる「塚本幼稚園」の教育方針に批判はあったにせよ、安倍夫妻を始め平沼赳夫、稲田朋美など保守派の政治家には評価されている幼稚園で、橋下徹前大阪府知事による「私立小学校の設置基準緩和」によって念願の小学校設置の道が開けた。

その後、大阪府と財務省の役人の忖度によって本決まりになり、神風が吹いてほとんど自己資金なしに建設工事が9分9厘まで進んで、後は設置認可を待つだけだった。

ところが、2月9日、地元豊中市議の告発受け、『朝日新聞』が「国有地安値払い下げ」を記事化したことで、順風はその何倍もの逆風となって籠池夫妻を襲った。

そこから、マスメディア批判が始まり、恐れをなした安倍夫妻、大阪府、財務省が「反籠池」に回り、もともと脆弱な経営基盤だっただけに、白旗を上げざるを得なかった。

3月23日の証人喚問後、マスコミに対して沈黙を守っている籠池氏だが、怒りを燃やし続けているのが「松井一郎大阪府知事と日本維新の会」だという。

「維新が圧倒的に強い土地柄とはいえ、『森友学園』の小学校建設に関わったのは、ほとんど維新で利権化もしていた。なのに、設置認可を出さずに学園を追い詰め、保育士不足を理由に保育園を存続不能にし、さらに補助金、助成金の不正受給で刑事告発するという。籠池さんが怒る理由もわかる」(籠池氏擁護の保守人脈)

「瑞穂の國記念小學院」の施工業者である「藤原工業」は、維新の会に政治献金する後援企業であり、籠池氏に同社を紹介したのは、維新の会の元府議だった。

また、下請け業者のなかに「三栄建設」が含まれており、同社は維新の会が入居するビルのオーナー企業であり、社長は「経済人・大阪維新の会」の副会長である。

また、森友学園が経営破綻する原因は、顧問弁護士の酒井康生氏が、籠池氏に小学校設置認可の取り下げを進言、それを真に受けた籠池氏が、3月10日、申請を取り下げたことだった。

「その段階で、国有地の国への返却が決まり、校舎が完成すれば、建物を担保に融資するはずの金融機関が手を引きました。すべてが逆回転、なぜ弁護士がそんな進言をしたのか、いまも謎です」(全国紙社会部記者)

酒井弁護士は維新の会の足立康史代議士と昵懇だという。

しかも、校舎施工の前に、掘削などを請け負った「中道組」は、「藤原工業」同様、維新の会を支援、その「中道組」の関係者が酒井弁護士を籠池氏に紹介した。

酒井弁護士は、3月15日、籠池氏が「10日間、身を隠していろ、という財務省幹部の伝言を酒井弁護士から聞いた」と、漏らした途端、それを否定するFAXをマスコミなどに送って、顧問を辞任した。

大阪府の役人は、私学審議会の「森友の資金力で小学校の運営は大丈夫なのか」という懸念を解消、議論をリードする形で「認可相当」に持っていった。

いま、近畿財務局と大阪府で「忖度」を押し付け合っているが、どちらも籠池氏の政治力と安倍夫妻の影を感じて、忖度していたのである。

4月の開校は泡沫の夢どころか、刻々迫るXデー!――「天国と地獄」を見た籠池氏は自分を地獄に突き落とした維新の会に一泡吹かせようと、準備をしているのだという。【戌】


2017年4月18日配信「学園は破産の危機で籠池前理事長には詐欺疑惑?――瑞穂の國記念小學院のまさかの結末!?」<事件>

 
 うたかたの夢?(☚wikipedia)

 

 わずか二ヶ月で天国から地獄を味わったのが、「森友学園」の籠池泰典前理事長である。

 『朝日新聞』が、2月9日、学校用地となった国有地の払い下げ価格が8億円も安くなった点を疑惑として報じて以降、安倍昭恵首相夫人が「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長であったこともあり、政局につながりかねない騒動に発展した。

 沈静化を狙った官邸は、「籠池斬り」に入り、その意を受けた大阪府と財務省は「認可取り下げ」の方向に流れを作って籠池前理事長に断念させ、検察は資金繰りに苦しんで不正受給の多かった「森友学園」と籠池前理事長を立件する方針を固めた。

 それまでの籠池氏は、宿願の小学校認可と4月の開校を控えて得意の絶頂にあった。

 森友学園傘下の塚本幼稚園は、躾に厳しく教育勅語をそらんじさせる「保守の幼稚園」として知られていたが、しょせんは園児であり躾ではあっても教育ではない。

 「瑞穂の國小學院」では、右派集団「日本会議」で創設時から活躍した籠池氏が、64歳にして自分の理想とする教育を行えるハズだった。

 だが、成功は直前に潰えた。

 もちろん、夢を奪ったのは安倍晋三政権である。

 籠池氏は、「安倍晋三記念小学校」という校名にしようとするほど安倍首相に心酔していた。

 国会喚問で籠池氏は、15年9月5日の昭恵夫人の名誉校長就任以来、トントン拍子で開校へ向けて突き進んで行った様子を「神風が吹いた」と、表現した。

 そうさせたのは大阪府、財務省など設立認可とその前提となる小学校用地の払い下げに関わった官僚たちである。

 彼らは、鴻池祥肇、稲田朋美、平沼赳夫議員など中央政界の大物や大阪府議、大阪市議に人脈のある籠池氏の政治力を恐れた。

 そしてなにより、昭恵夫人が名誉校長に就いてからは、小学校の運営に支障が出ないように配慮した。

 それが事件の本質ともいえる「忖度」の中身だった。

 その象徴が、籠池氏の15年10月の手紙だろう。

 要求は三つである。

 第一に定期借地契約を10年から50年にすること、第二に賃料の250万円を半額にすること、第三に産廃除去費用の立替分を早期に支払って欲しいこと――。ムシのいい話ばかりで、夫人付きの谷査恵子氏が、「ご希望には沿えない」という返信をFAXで送るのは当然である。

 だが、ここから役人の忖度が始まる。

 その際たるものが16年3月になって建設用地から廃棄物がさらに出てきた問題である。

 これを機に、籠池氏は土地鑑定価格が安くなることを期待し、交渉に入る。

 すると国交省と財務省の役人が「昭恵夫人が名誉校長の学校の開校に支障があってはならない」と、忖度して8億円を値引きした。

 これによって、第一と第二の要望は叶えられ、第三の要望も16年4月に実行された。

 「ゼロ回答ではなく満額回答」と、野党議員が国会で追求するのは無理もない。

 だが、「神風」が、疑惑発覚以降はとんでもない「逆風」となる。

 忖度は罪ではなく役人の性だが、野党にとっては格好の攻撃材料である。

 まして安倍首相が「一強」のおごりからか、「私か妻が森友学園に関わっていたら議員辞職する」と、タンカを切ったので、国会は森友学園一色となり、籠池氏は証人喚問を受けた。

 こうなると権力の逃げ足は早い。

 官邸は政権維持のため、役所は忖度して認可や価格を捻じ曲げた行状を隠すために、籠池氏と距離を置き、やがて告発の側に回った。

 大阪府は、認可申請の書類に虚偽があったとして偽計業務妨害で訴えると脅し、大阪府と市は補助金、助成金の申請書類にもごまかしが多いとして告発の方針を固めている。

 国交省もまた補助金の不正受給を問題視、返還を求め、森友学園はこれに応じた。

 官邸の意向を受け、告発を受理した大阪地検特捜部の捜査が始まろうとしている。

 資金繰りに苦しんだ籠池氏は、補助金や助成金をできるだけ多く得ようとごまかしを重ねており、特捜部が本気になればどんな立件も可能だ。

 産廃処理費用の中から2000万円を業者にキックバックさせながら、国交省からは満額を受け取っていた問題は、詐欺事件に発展しそうだ。

 施工業者の「藤原工業」からは15億円が未払いだとして訴訟を起こされており、森友学園の存続も危ぶまれている。

 状況は一変した。――破産に逮捕! ――年初、得意の絶頂にあった籠池氏は、奈落の底に突き落とされることになりそうである。【亥】

 

 

 

 


2017年4月7日配信「森友学園騒動に隠された巨大利権官庁化した文部科学省の罪」<事件>

巨大化した利権官庁
(wikipedia)


 森友学園騒動が、ニュース番組はもちろんワイドショーやネットのブログまで席捲していた頃、密かに文部科学省で続けられていたのが違法天下り事件の調査である。

 文科省は、3月末、最終報告書を公表。それによると違法事案は62件に及び、歴代3事務次官を停職相当とし、元人事課長を停職とするなど37名を追加処分とした。それまでの処分者と合わせ43名に達しており、過去最悪の不祥事となった。

 森友学園騒動は、国有地という意味では財務省、国土交通省。幼稚園や保育園、そして小学校の設立認可という意味では大阪府と市が監督官庁で文科省の名が出ることはない。

 だが、認可と補助金が絡むという意味では教育利権を巡る問題であり、問われているのは教育行政であり、教育を利権化する「文科省の罪」ということができる。

 だから「第二の森友」といわれる「加計学園」や「第三の森友」といわれる「国際医療福祉大学」では、国家戦略特区を利用した学校法人による政権(官邸)籠絡の手口が問われている。

 「昭和」の時代には、交通網などのインフラや公共施設等の環境を整備することに力点が置かれたため、予算を消化する旧運輸省や旧建設省が利権官庁として幅をきかせたため、旧文部省は利権にも天下りにも縁のない"三流官庁"と言われ、族議員にしても「文部族」に大物はいなかった。

 が、現在は様変わりである。

 ラグビーワールドカップ、東京オリンピックという世界イベントの日本招致という事情はあるものの、小渕恵三氏の急死を受けて、突如、首相に就任した「三流政治家」で「文部族」の森喜朗氏は、今や、引退しても政界を始め各界に睨みを効かせる大物である。

 ただ、文科省の地位向上が日本の教育環境の向上に伴うものなら、官僚が“おこぼれ”に与ろうとするのもわからないではない。

 しかし現実は、少子化に伴う環境劣化のなか、文科省官僚が利権を手放さずに教育環境を歪めているという最悪のパターンにハマっている。

 今、日本の大学は「2018年問題」を抱えて呻吟している。

 これは、ここ数年、横ばいだった18歳人口が、18年からは減少に転じ、31年には100万人を割って、99万人に落ち込むと予想されている問題だ。

 当然、大学を抱える学校法人は、「18年問題」に向けて縮小均衡に備えるべきだが、事態は逆で、これまで大学数は増え続けている。

 1991年に大学設置基準が緩和され大学数は急増、90年の507校が15年には779校になった。

 当然、需給バランスは崩れ、現在、大学と短大を合わせた収容力は94%で高望みしなければ全入である。

 もちろん、そうはいかないから定員割れ続出で、充足率(学生数を収容人員で割った数字)20%、30%といった大学さえある。

 本来、策を講じるべき文科省が「18年問題」を放置してきたのは、大学数の多さが天下り先の確保と年間3000億円に達する私学助成金を利用した「学校法人支配の継続」につながるからだろう。

 実際、違法天下り先の多くが学校法人で、早慶のような著名校から名もなき大学にまで及んでおり、その豊富さと多彩なバリエーションによって、他省庁のOBに天下り先を“割り振る”ことまでやっていた。

 学校法人としては、新設や増設の認可、私学助成金など補助金・助成金の増減まで文科省官僚の“さじ加減”によって決まるのだから、喜んで受け入れざるを得ない。

 こうして文科省は利権官庁と化し、「第二の森友」=「加計学園」は獣医学部の新設で、「第三の森友」=「国際医療福祉大学」は医学部の新設で、岩盤規制を特区で跳ね飛ばして進出した。

 教育を錦の御旗に文科省は突っ走り、教育利権屋はそこに目をつけて安倍晋三首相に近づく。

 森友学園騒動では、籠池泰典前理事長の強烈な個性と過度の愛国教育で「文科省の罪」は見過ごされがちだが、その背景には「膨張する利権集団となった文科省がある」という視点を忘れてはならない。【辰】

 

 

 

 

 

 

 



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