詐欺だという指摘もある「カーボンオフセット」を国土交通省が推進する怪しさ

 地球温暖化防止には二酸化炭素(CO2)削減が不可欠だとして、日常生活で出すCO2を途上国の省エネ事業などで埋め合わせるカーボンオフセットという仕組みがある。
 自家用車に乗っても、ホテルに泊まっても、とにかく何をしても、人間は生きている限りCO2を排出する。そこで、その排出量を金額に換算、それに見合う分を、例えば途上国の風力発電などに投じてもらう。ホテル1泊のCO2を100円と計算すれば、カーボン(炭素)を風力発電への100円投資でオフセット(相殺)する。
 自己満足の仕組みではあるが、「CO2削減のためなら何でもやる」という意識を持つ英国などでは、国をあげて取り組んでいる。
 もっとも批判する向きもある。世界的な環境NGOとして知られるFoE(フレンズ・オブ・ジ・アース)は、6月2日、「カーボンオフセットは、その小さな自己満足が、炭素排出プロジェクトへのゴーサインとなる詐欺のような仕組み」と、酷評した。
 確かに、今は流行らない「マイ箸ブーム」と同じで、「得られるのは自己満足だけ」といういかがわしさがある。
 ところが、官僚は目ざとい。
 『朝日新聞』は6月22日の夕刊社会面トップでこう報じた。
 「カーボンオフセットを身近な交通機関や旅行にも広めようと、国土交通省と財団が新たなシステムを立ち上げようと決めた」
 財団とは国交省が理事長や理事に多数のOBを送り込んでいる交通エコロジー・モビリティー財団。ここがオフセット取引の窓口となって、交通会社や旅行代理店などが旅行参加者などから集めたオフセット費用の払い込みを受け、途上国の事業に出資する。
 料金は、「国交省推奨」の算定方式などで計算され、例えば東京―大阪間は、一人当たり飛行機なら349円、鉄道なら73円、自家用車なら702円である。
 「環境への優しさ」が“売り”の『朝日新聞』は、当然のことながら全面賛成の論調で、FoEが指摘する「いかがわしき自己満足」に思いを馳せることもなければ、国交省の「天下り財団」が無駄な仕事を増やしていることへの論及もない。
 地球温暖化防止という誰にも反論できない“建前”を持ち出されると、モノがいえなくなるのがマスコミや有識者の“弱さ”だが、そこにいかがわしさが宿っているのが世の常である。
 今後も展開される地球温暖化防止キャンペーン……その裏で誰が稼いでいるかを、よく監視した方がいい。【礼】

「検事総長が自民党大物と仲が良いから民主党を狙う!?」という情報の真贋

 小沢事務所が天の声…。
 西松建設と民主党の小沢一郎前代表を巡る政治資金規正法違反事件で、6月19日、国沢幹雄前社長の公判が始まると、検察側は予想通り「冒頭陳述」で政治権力を利用した小沢氏の「天の声」を示唆、4件約123億円の受注につながったと指摘した。
 前代表の大久保隆規公設第一秘書の逮捕以来、「検察VS民主党」の戦いは尋常ではない。
 遅くとも9月までに実施される総選挙を控えて、「政界ルート」はすべて中断しているものの、総選挙後は、石井一副代表牧義夫代議士が関与した「郵便不正事件」の捜査を大阪地検特捜部は再開するし、西松建設事件は二階(俊博経済産業相)ルートとともに小沢前代表の税金問題が残っている。また、名古屋地検特捜部が捜査着手していた石井副代表や小沢氏の側近の山岡賢次代議士、前田雄吉代議士(民主党を離党)などが絡む「マルチ議連疑惑」も再開の可能性がある。
 なぜ検察は、ここまで民主党に挑戦的なのか。これまでは、「政治主導の官僚人事制度」の導入や「可視化法案」など捜査への政治介入など、「検察は民主党の“出しゃばり”を嫌った」と、言われていたが、ここにきて樋渡利秋検事総長自民党大物代議士との「親密な関係」が指摘されている。
 検察関係者が衝撃の事実を明かす。
 「西松建設事件では、その大物の息子が、九州地区の公共工事で『口利き』を約束、3000万円を取ったとして、東京地検特捜部の事情聴取を受けている。もちろん裏ガネ。政治資金規正法違反やあっせん収賄での立件が考えられるし、西松幹部を脅して『詐欺』でも摘発も可能だった。しかし、最初から特捜部はやる気がなかった。大物政治家と樋渡検事総長の関係は、有名な話だからね」
 この「息子」というのが札付きのワル。親父の威光を笠に着た「口利き」が“仕事”で、ベントレーやロールスロイスを乗り回し、「政治家二世の仲間」と派手に豪遊、過去に反社会的勢力とのつきあいなどで、何度もトラブルを起こしている。
 法務省勤務の長い「赤レンガ派」の樋渡総長は、予算や裁判員制度でこの大物の世話になることが多く、逆に大物は「バカ息子問題」の処理を頼むなど、「持ちつ持たれつ」の関係。さすがに今回は行状が目に余り、「永田町に本社を置くダミー会社の閉鎖と、営業活動の自粛」が、捜査中断の条件として息子に言い渡されたという。
 そんな関係にあるから、検察の民主党への姿勢は、余計に厳しいものとなり、民主党は逆に大反発。総選挙後は民主党が政権を取ることが予想されているだけに、両者の激突は、相当、激しいものになりそうだ。【伯】

サラ金、商工ローンが貸さなくなってヤミ金融の隆盛

 消費者金融や商工ローンが、顧客を開拓できないでいる。
 「金融庁の指導は厳しく、裁判所の判例も業者に不利なことばかり。まともに審査したら貸せないお客さんが大半で、貸さないのではなく、貸せないのです」
 大手消費者金融幹部がこう嘆くのも無理はない。消費者金融は、ブラックリストに載っている多重債務者以外は無担保融資に応じてきたし、商工ローンは保証人さえしっかりしていれば融資を阻むものはなく、両者とも回収には絶対の自信を持っていた。
 だが、過去、10年、20年と遡って過払い利息を請求され、その負担の重さと貸金業法改正による貸付条件の厳しさで、借りにきた顧客に貸す割合の成約率は、わずか30%にダウンした。
 優良顧客だけを相手にしているようでは、もはや消費者金融ではない。また、商工ローンは「最後の牙城」といわれたSFCGの倒産で、ビジネスモデルが壊れたといっていい。ただ問題は、消費者金融や商工ローンが業務を縮小するのと反比例する形で、認可されない金融業者(ヤミ金)が増えていることだ。
 ベテランの金融業者がいう。
 「いくらカネ貸しを厳しく取り締まったところで、高利でもいいからカネを貸してくれという人間がいなくなることはない。もし法律で規制すれば、貸す側は地下に潜るか表に出ない形で金利を取る。多重債務者は増え、回収は厳しくなり、暴力団と結び付くような業者が増える。決していいことではない」
 既に、萌芽は見え始めている。20%以上の金利は取れないからと、紹介料などさまざま名目で最初にピンはね、融資という形ではなく、出資という形にして法外な配当を受け取ることもある。要は、違法メニューが豊富になっただけで、借り手は厳しい条件を呑まされるケースが少なくない。
 もともと高金利に苦しむ多重債務者を救おうというクレサラ弁護団や、弱者救済代議士などの“善意”で始めたことではあるが、結局、既存の業者は過払い請求でビジネスモデルを壊されて経営危機を迎え、借り手はヤミ金融など高利のカネに走るようになった。
 今、儲かっているのは過払い請求を代行する「ハイエナ弁護士」で、これから儲かるのはヤミ金融業者という構図が透けて見える。
 貸金業法改正の仕上げは来年6月で、グレーゾーン金利は撤廃され、「借入上限は収入の三分の一まで」という総量規制が加わる。そうなるとヤミ金融はますます隆盛。締め付けるだけでいいのか、という問題を提起すべき時にきているのではなかろうか。【凛】

郵便不正利用事件、総選挙後に先送りされた「政界ルート」はいずれも民主党

 大阪地検特捜部が手がける「郵便不正事件」は、中央政界を見据えながら、順調に展開している。広告代理店の脱税と郵便法違反での摘発をきっかけに、郵便事業会社幹部や利用者側のベスト電器幹部などを逮捕、やがて厚労省の役人にも飛び火、中央政界に延びるのは時間の問題となった。
 検察がターゲットにしている政治家は明白だ。摘発された白山会の守田義国会長と20年来の仲で、業者寄りの国会質問を行った牧義夫代議士と、白山会の設立に尽力した倉沢邦夫代表が、秘書として一時、仕えていた石井一議員である。
 民主党副代表の要職にある石井氏は、厚労省の幹部に倉沢代表への対応を依頼したという「口利き報道」に立腹しており、「(倉沢は)20年以上も前に出入りしていただけ。また、口利きの電話をしたような事実もない!」と、声を荒げている。
 遅くとも9月までには総選挙が実施されるだけに、捜査は「政界ルート」を目前に中断、しばらくは地下に潜る。選挙に影響を与えてはならないからで、それを承知の石井氏は、「ここは強く出て、潔白をアピールすべき」と、計算している。
 ただ、注意すべきは、総選挙の結果、民主党がかなりの確率で野党から与党になることだ。そこで検察は、遠慮なく民主党に牙を剥いてくることが予想される。
 「民主党はキャリア官僚幹部に辞表を迫るなど、霞が関の秩序を壊そうとしています。取調室での可視化法案など、捜査手法にも注文をつけている。法務・検察にとっては面白くない相手で、野党であったがゆえに緩やかだった検察の追及が、今後、鋭くなるのは間違いありません」(法務省OB)
 そうなると「裾の汚れた政治家」が狙われるのは自明で、石井議員には今回の郵便不正事件だけでなく、「マルチ議連」の「健全なるネットワークビジネスを育てる議員連盟」を立ち上げた過去がある。
 名古屋地検特捜部が内偵していたマルチ議連問題では、マルチ商法の政治団体から政治献金を受けて国会質問をした前田雄吉代議士に対する「国会質問と政治献金」との関係解明が行われておらず、今後、捜査が復活、他の民主党議員(石井氏や山岡賢次代議士など)を巻き込む事件に発展する可能性がある。
 検察捜査は、時の政治権力に対する法務・検察幹部のスタンスによって決まる。小沢秘書逮捕で「国策捜査」の怖さを知った民主党だが、ターゲットになるのはむしろこれからだ。西松建設事件小沢ルートも水面下では継続、小沢側近の石井氏と小沢チルドレンの牧、前田の両氏が絡む疑惑には、総選挙後、なんらかの動きがあると考えた方がいい。【伯】

グッドウィルM&A脱税で100億円を稼いだ弱冠30歳、緋田将士とは何者ぞ?

 東京地検特捜部のエース班である直告1班が、西松建設事件の次に「グッドウィルM&A脱税」を手がけているのは、一瞬にして抜かれた383億円のカネの行方が興味深く、民主党の小沢一郎前代表を政治資金規正法違反で辞任に追い込めないなど失点続きの検察に、政界や暴力団につながる「宝の山」をもたらす可能性があるからだ。
 登場人物は少なく背景はシンプル。折口雅博氏が「日本一の派遣」を目指してクリスタルグループを買収、折口氏は883億円を用意したものの、M&Aに使われたのは500億円。残りの383億円は、公認会計士の中澤秀夫氏が経費込みで183億円、M&Aを仲介した極真空手の松井章圭館長と投資ファンド主宰者の緋田将士氏が、各100億円を受け取った。
 3人のなかで、ワールド創業者の畑崎広敏氏を初め関西の富裕層を顧客に抱える中澤、極真空手を率いる松井の両氏は、それなりに知名度はあるのだが、緋田(あけた)という珍しい姓を持つファンド主宰者はまったくの無名。年も30歳と若い。
 なぜ100億円の“余録”に預かったのか。
 「広島県呉市の出身。20歳の頃から港湾荷役などの人材派遣をやっていて、捌きのうまさと度胸の良さでクリスタルオーナーの(純一)さんに気に入られ、可愛がられた。林さんが会社売却を考えた時、旧知の松井館長に話を持って行って、グッドウィルによるM&Aが決まった。その功績が、莫大な配当につながった」(緋田氏の知人)
 沈着冷静で金融の知識もあるというが、M&Aが行われたのは06年10月で28歳の若さ。有頂天になるのも無理はなく、大物お笑い芸人Sに5000万円ものロールスロイスファントムをポンとプレゼントしたのは有名な話だし、その年に六本木で開いたクリスマスパーティーはバブルの絶頂を思わせる華やかさ。しかも友人知人を結集、07年春にかけて、UA(ユナイテッドアジア)グループと称する企業群を次々に設立した。
 マスコミには登場せず、緋田氏の名が「とてつもない資産を持つ若手実業家」として一部で知られるようになると、UAグループ各社の代表を降りるなど注意深いところを見せていた。だが、女優の飯島愛が急死すると、彼女が最後にかけていた実業(女性のためのコンドーム会社)の出資者として取り沙汰されるなど、目立つのは否めなかった。
 検察の興味は、「濡れ手に粟」の383億円を3人が浪費しただけではないということ。資金洗浄目的で海外ファンドに流れたカネは少なくなく、複数の政治家の名があがっているし、広域暴力団幹部への“上納”もあるという。
 果たして、緋田氏はどんな役割を担ったのか。…検察捜査は7月から本格化する。【仁】

TV各局はジャニーズに萎縮…「草事件」めぐるメディアの呆れた舞台裏!

 東京・赤坂の公園で全裸になったとして公然わいせつ容疑で逮捕され、不起訴(起訴猶予)となった人気アイドルグループSMAPの草剛さんが5月29日、フジテレビ系の「笑っていいとも!」で芸能活動復帰を果たした。バラエティー番組に似つかわしくない黒いジャケットにネクタイ姿。ややこわばった表情で頭を下げ、観客の大きな拍手を受けた。
 復帰の是非や時期について議論する気はない。一連の騒ぎで明らかになったのは日本のメディアの「平和」な風景だ。公然わいせつと言うと仰々しい感じはするが、要は酔っぱらいの悪ふざけレベル。都心とはいえ、午前3時の公園に「被害者らしい被害者」がいるとも思えない。
 にもかかわらず、朝日、毎日、読売の全国紙3紙は4月23日の逮捕を夕刊1面で報道。東京新聞にいたっては1面トップで伝えたが、5日後になって朝刊の看板記事である「こちら特報部」で“自己批判”。反省しないよりはマシだが、何とも締まらない。
 「外部から取材を受けると後づけで『社会的に影響力のある“公人”であることを考慮した』などと答えるのでしょうが、実際の現場でそんなことを考える余裕はありません。『騒がないより騒いでおいた方がいい』という程度で、逮捕や自宅の家宅捜索が妥当だったのかなど、社会部的な視点が欠如していると言われても仕方がない」(全国紙社会部記者)。
 つまるところ、新聞の社会面がテレビ化、2ちゃんねる化しているのが実情と言っても過言ではない体たらくなのである。
 また、報道に過剰反応して、横並びでCM放送の中止を決めたスポンサー企業も、メディアの“狂騒”が終わると、すぐに放送を再開。見事なまでに定見のなさを露呈した。
 それよりも、今回の騒動で浮き彫りになったのは、ジャニーズ事務所のように多くの人気タレントを抱える大手芸能事務所の「影響力」だ。一部女性誌で報じられたが、関係者によると、同事務所ともっとも関係が深いと言われる民放では、いち早く逮捕の情報をキャッチしたものの、テロップを流そうとした矢先に「編成」からストップがかかったという。結局は別の民放が報じたことから一気に報道は過熱したが、少しでも先行することは避けたかったというのが本音だろう。
 別の民放でも、社内で「あまり騒がないように」「煽るのはやめよう」という声が自然と上がったという。「テレビ局は、今回のような芸能事務所だけでなく、スポンサー企業の影響も常に受けています。だけど、実際に“タブー”と言われるものはそんなに多くありません。ジャニーズ事務所は数少ない例外のひとつです」(民放記者)。
 一方、別の民放記者は「実はうちの社ではジャニーズタブーはあまりありません。経営の状況によっても“媚びる”度合いは変わるようです」と話す。
 「貧すれば鈍す」…いずれにしてもジャニーズ事務所のタレントが出演する「ドル箱」番組を抱えていれば萎縮するのも仕方がないのかもしれないが、これでは日頃の“正論”は何処へやら?…マスコミ失格と批判されても已むを得ない。
 もうひとつの問題点は、こうしたテレビ局と大手芸能事務所との関係について全国紙などが関心を示さないことだ。「所詮は芸能話ということでしょうが、言論・報道の問題であることに変わりはないはずです。もっと真摯に議論すべきだと思います」(全国紙記者)【海老蔵】

指標銘柄「ダヴィンチ」にXデー到来で不動産ファンド最終章

ダヴィンチHD
 小柄な体に闘志を漲らせ、強気の相場を語り続けていた男が、すっかりアク抜けしてしまい、犬の話題しかしないのだという。
 無類の愛犬家として知られ、会社設立時の飼い犬の名が「レオナルド」。…だから社名に「ダヴィンチ(ホールディングス)」とつけたというのだから人を食っている。
 純粋日本人ながら日本嫌い。論理的でなく情緒的な風土に嫌気がさし、15歳で米国に留学、そのまま住み着いて不動産流動化を学び、1998年の「日本不動産の底」を、「買い場」と信じて帰国、会社を設立した。
 米国の知人が「サム金子」と呼ぶ金子修氏は、証券化がもたらす不動産マジックを信じて疑わず、買いまくった。04年に運用を開始した不動産ファンドのムーンコインが4000億円、06年のカドべが1兆円。不動産ファンドブームを映したこの資金力で、金子氏は新宿マインズタワー(買収金額1000億円)、国際赤坂ビル(1000億円)、パシフィックセンチュリープレイス丸の内(オフィス部分のみで2000億円)、芝パークビル(1420億円)を買収、不動産関係者の度肝を抜いた。
 だが、今や「宴の後」である。
 地価の暴落は、75%前後のノンリコースローン部分を侵しており、大半の金融機関はリファイナンス(債務の借り換え)に応じないから、金子氏は、「デフォルト(債務不履行)するしかない」と、開き直っている。
 単にファンドを組成していただけならダヴィンチは信用を失うだけで済むが、これまでに稼いだカネを、約25%の資本(エクイティ)に突っ込んでおり、暴落で資産評価はゼロとなって債務超過は避けられない。また、ひとつがデフォルトすれば、金融機関は雪崩を打って回収に入り、資金繰り破綻に追い込まれる。もしくは、債務超過で上場廃止は免れない。
 不動産をローンとエクイティに分け、ローンを証券化、残るエクイティの投資家には20%、30%の利回りを保証する不動産マジックを日本に広めた金子氏は、エクイティもローンも巨額損失を被るような大恐慌を想定していなかった。金子氏ひとりの責任ではないが、みんなが弱気になっても逆バリで攻めたのだから、責任は重い。
 当面の危機は、芝パークビルがリファイナンスを迎える6月末。それをクリアしても次の大型案件が控えており、「デフォルト発言」をした金子氏は、既に「倒産やむなし」と、覚悟を固めたのだろう。不動産ファンドの先駆けとなった「サム金子」に、最終章が近づいている。【智】

五味前長官の存在がネックで金融庁の対応が甘いという日本振興銀行の行く末

日本興行銀行本社

 日本振興銀行(振興銀)が元気だ。
 この一年で、預金を3倍に増やして4000億円強とし、メガバンクが揃って赤字に苦しんでいるのを尻目に黒字を確保、「週に数店」のペースで支店を出し、「全国100店舗」は目前だ。
 この強気で前のめりの経営は、「金融界の七不思議」である。
 メガバンク幹部が、率直な感想を漏らす。
「高利で集めた預金を商工ローンや消費者ローンなどに卸す、というのが振興銀のビジネスモデルです。その発想は理解できるが、上限金利や過払い請求問題で、外資も含めた金融機関が手を引いた隙間を縫って、振興銀が融資に乗り出した。シェアを上げるのは楽ですが、貸し倒れリスクは高い。その象徴がSFCG。二重譲渡されたローンを回収できなければ、たちまち債務超過です」
 SFCGが二重譲渡したローンは、報道では700億円で振興銀が把握している範囲で200億円弱ということだが、正味の自己資本が200億円しかない振興銀にとっては死活問題のはず。だが、オーナーの木村剛氏は強気で、前述のようにハイピッチで全国展開、「SFCGからは担保を取っているので何の問題もない」と、うそぶいている。
 その強気の裏にあるのが、五味廣文前金融庁長官との親密な関係である。2人に竹中平蔵元金融相を加えた「トライアングル」が、02年からの金融改革を主導、竹中氏は金融相、木村氏は金融庁顧問、五味氏は金融庁監督局長として、銀行を荒療治、再生への道筋をつけた。
 その時、貸し渋りの銀行を批判、「金融維新」と称して振興銀を立ち上げ、04年4月に開業させたのが木村氏で、お手盛り批判は免れず、認可を与えた竹中金融相、五味監督局長は、ともに木村氏に対する「特別扱い」を攻撃された。
 「国が、1000万円までの預金は保証します!」
 NISグループやSFCGなどの出身者を大量雇用、ペイオフ(預金払い戻し)を逆手に取った勧誘を続ける振興銀には、金融庁への苦情が多い。また、二重譲渡のSFCG問題でも金融庁は明確な姿勢を示さない。
 そこには、金融監督をそれまでの護送船団から業界の自治に委ね、金融を組み立て直そうとした「トライアングル」への遠慮が間違いなくある。官僚は先輩の失策をあげつらってはならない…。
 だが、銀行の破綻は国が処理するのであるから、監督機能の強化は当然のこと。折しも金融庁は、5月26日、振興銀に金融検査を通告した。開業以来初めて。金融庁は、予断を持たれないよう徹底的に検査しなくてはならない。【信】

日本一長者の「清原ファンド」が運用資産15分の1に激減で壊滅寸前

 2004年の長者番付で全国トップに躍り出て、鮮烈な印象を残した清原達郎氏が運営する「清原ファンド」が、今や運用資産200億円強にまで縮小、社員の解雇を続けて壊滅の危機を迎えている。
 世の中に、「ファンドマネージャー」という“おいしい仕事”があることを知らしめたのは、清原氏と「村上ファンド」の村上世彰氏の二人だった。彼らにもたらされるのは、年に2%程度の管理料と、利益が出た時の20%前後の成功報酬である。
 扱うのは機関投資家や富裕層の資産。つまり、「人のカネで打つ博打」で、損失は顧客に被せ、勝った時は儲けの一部を手にすることができる。この「リスクゼロ」の勝負師たちに最高の栄誉を与えたのが、04年から05年にかけての右肩上がりの相場で、清原氏は100億円稼いで「日本一長者」になり、村上氏はしこっていたニッポン放送株をライブドアの堀江貴文被告に売って巨利を得た。
 周知のように村上氏は、その時の売買がインサイダー取引にあたるとして有罪判決を受けた。では、マスコミに一度も登場したことのない清原氏は、冷え込んだ相場環境のなか、何をやっていたのか。
 「06年1月のライブドアショック(堀江逮捕で新興市場株が暴落)以降は、打つ手がすべて裏目に出ています。儲けはほとんど自分のファンドに突っ込んでいるから、公私ともに奈落の底。ファンドを維持する資金にも事欠き、投資顧問業から足を洗うかも知れません」(清原氏を知る証券関係者)
 振り返れば清原氏は、小型成長株のブームに乗っただけのファンドマネージャーで、「相場を読む目」を評価されたのではない。
 投資の手法は、小型株を買って(ロング)、大型株を売る(ショート)という「ロングショート」だが、小型株の「成長性を買う」のではなく、スキャンダルの発覚で暴落した時、底値で拾って反発を待つ「逆バリの度胸」で成功を収めただけだった。
 従って、新興市場が暴落したままだと打つ手がない。買っても上がらず、逆に大型株を売ると上がるという悪循環で、ピーク時3500億円に達して断るのに苦労したという「清原ファンド」は、200億円強と15分の1以下で、しかも3分の1近くは自分のカネだから、もはや運営している意味がない。
 会社は、ファンド運営のタワー投資顧問タワー証券の二つがメインだが、クビが相次ぎ社内には沈滞ムードが漂っている。
 会社も相場も展望が見えないなかで清原氏が熱心に取り組んでいるのが不動産投信のJ−REIT。当たれば復活の可能性はあるものの、「清原さんは相場が下手。何をやっても無理」といった辛辣な声が社内に充満しており、一世を風靡した「清原ファンド」は、退場の時期を迎えている。【悌】

三井住友銀詐欺事件の第二幕は行員逮捕と暴力団ルートの解明

三井住友銀行高円寺支店
 「山口組大物幹部とその組の若頭の名前を出して、『お世話になっています』というんです。変わった奴だと思いました」
 三井住友銀行から1億円をだまし取った疑いで逮捕されたコシ・トラスト社長中林明久容疑者(40)とつきあいがあった不動産会社の代表は、暴力団との交際をひけらかす中林容疑者に、不審の念を抱いたという。
 都内の私大を卒業後、野村證券に3年勤めて不動産業界に移り、2000年7月にコシ・トラストを設立した中林容疑者は、最初からヤクザに食い込まれていた。
 警視庁捜査関係者が言う。
「設立時に組んだのが住吉会系の企業舎弟。資本金を出してもらったので、随分、儲けさせた。だが、その人間は自殺。次に入り込んだのは、神奈川県に拠点を置く山口組系暴力団で、元組員が05年7月から1年半、役員に就任していた。そのほか複数の暴力団関係者とつきあっており、相当、食われた」
 暴力団は中林容疑者を食ったが、中林容疑者は三井住友銀行を食った。なにしろ612億円の融資を引き出し、164億円を焦げ付かせている。常人にできる“技”ではない。売上高などの財務データも法人税確定申告書も土地鑑定書もすべて偽造。審査をすり抜けることができたのは、歴代担当行員を取り込んでいたからである。行員らは女や酒食の接待を受け、ホテルやゴルフの請求書をつけ回ししていた。
「本人は風俗が大好き。中国人のホテトル嬢を囲っていたが、ソープランドも好きで、3行員のうち、大学が中林と同じで、もっとも仲が良かった初代担当のHは、ソープ接待を受けていた。他の2人も『毒食らわば皿まで』といったタイプ。接待につけ回し、リベートまで受けとっていた」(コシ社元幹部)
 三井住友銀が、コシ・トラストの紹介案件に、湯水のようにカネを注ぎ込んでいた02年から07年は、不動産がミニバブルの状態となっていた時期である。
 タガの外れた行員が、業者に取り込まれて過剰融資、そこに暴力団が絡むという構図は、イトマン事件、富士・東海銀事件、尾上縫事件、東京佐川急便事件といったバブル犯罪と変わるところがない。焦げ付き164億円は凄いが、バブル期に比べるとひと桁少なく、それがミニバブルの所以だろう。
 行員は事件への関与を否定、銀行は組織ぐるみという報道を恐れ、暴力団へ流れたカネの行方は曖昧模糊としている。
 このあたりもバブル犯罪と同じだが、警視庁捜査二課組織犯罪対策四課は徹底解明の方針を固めており、逮捕した中林容疑者らを徹底的に締め上げ、第二幕で行員と暴力団関係者らに捜査を延ばし、612億円を食った連中を逃さない方針だ。【伯】


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