2017年3月30日配信<0510archives>「『東芝解体』の戦犯は経団連会長輩出企業の呪縛から逃れられずに粉飾を繰り返した歴代社長と原発を死守した経産官僚」<事件>

いずれは…?(☚wikipedia)


 6兆円企業「東芝」の解体が進んでいる。

 既に、白物家電は中国に、医療機器は「キャノン」に売却し、半導体と原発の二つを主力に生き残りを図っていたが、米原子力事業で最大7000億円の損失が発覚、3月末の債務超過は免れないとして、半導体事業の分社化を検討、残る原子力もリスクは大きく、単独では生き残れない。

 「東芝」は、戦後、石坂泰三、土光敏夫という2人の経団連会長を輩出、日本を代表する製造業の雄であった。

 その名門が消え去る原因として、「東芝」が強みを持つ事業分野の市場環境の変化や、今回の巨額損失の引き金となった福島原発事故後の安全基準の引き上げなどが挙げられているが、つまるところは歴代経営陣の「経営の失敗」である。

 まず、失速の原因となった粉飾決算はなぜ表面化したか。

 この原点に立ち返ると、東芝解体の主犯が浮かび上がってくる。

 証券取引等監視員会の告発要請にも関わらず、「東芝を事件化で追い込みたくない」という官邸の意向を受けた検察は、「捜査着手しない方針」を固めているため、粉飾を指示した西田厚聰、佐々木則夫、田中久雄の歴代3社長の罪の具体的中身は判明していない。

 ただ、四半期末ごとにパソコン事業で利益を調整、決算を“化粧”していたのは、「経団連会長の座を狙う企業にふさわしい業績を」という歴代経営陣の思惑だった。

 その思いが最も強かったのが西田厚聡で、2013年の人事で、自らは会長にとどまって社長の佐々木則夫を副会長職に就け、院政を敷きやすい田中久雄を社長にした。

 異例の3トップ体制になったのは、「社長・会長であることが経団連会長の条件」であるため、14年に控えた経団連会長人事を意識した西田が、会長に居座った。

 当時、佐々木は経団連副会長。地位も名誉も奪われた佐々木の西田への恨みはつのり、両派の確執が証券監視委への告発合戦となり、長年の“膿”が噴出。それが、証券監視委が問題視したパソコン事業など各種粉飾の表面化であり、その最大のものが、「米・ウエスチングハウス(WH)の業績は好調」というごまかしによる粉飾だった。

 06年に「WH」を約6000億円の高値で購入したのは当時の西田社長であり、その後の経営陣も「WHの業績は好調」と言い続け、約4000億円の「のれん代」を正当化してきた。

 ようやく巨額の減損処理を行うのは16年3月期であり、こうした弥縫策も「東芝」の屋台骨を蝕んだのだが、そんな「東芝」の原発シフトを裏で推進、国策企業への道を歩ませたのは経済産業省の官僚である。

 名門重電メーカーだった「WH」は、電力自由化で業績を低迷させ、英国の国営企業の原子力部門が再建を引き受けたものの、欧米での原発事業の低迷もあって再建を断念。売り先を探し、そこに手を挙げたのが「東芝」で、挙げさせたのは経産官僚だった。

 「原発推進の旗を振る経産官僚にとって、WH買収は日本が原子力の平和利用である原発の“盟主”となることを意味した。そこに経済界に大きな足跡を残したいという野心家の西田の思惑も重なった」(元経産官僚)

 だが、この積極策が裏目に出る。

 11年の福島原発事故は、その時点で「のれん代」の減損による赤字転落と原発建設費用の高騰による業績の悪化など、今日の事態を想定させるものだったが、粉飾体質は身に染み付いており、そのうえこの期に及んでも猟官活動を続けていた西田とその子飼いの役員は、原発事業の失敗を表に出せなかった。
 
 東芝経営陣には、「経産省がなんとかしてくれる」という思いもあった。

 実際、「WH」を「東芝」に押し付けた経産省は、その代役を「日立製作所」「三菱重工業」に求めたが、さすがに「東芝」の轍を踏むことになるのを恐れた両社は首を縦に振らなかった。

 今や「脱原発」は、世界の重電メーカーの趨勢となっている。

 だが、原発推進の旗を下ろせない経産省は、最後は「東芝」の原子力部門を「日立製作所」と「三菱重工」の原子力部門と合体、「日の丸原発」を目論んでいる。

 「保身と名誉欲」に駆られて粉飾を継続してきた歴代東芝経営陣と、それを容認しつつ「東芝」を国策の“駒”として使い切った経産官僚。――そんな"戦犯"たちによって、「東芝」19万人の従業員とその家族の"流浪"が始まろうとしている。【未】

 

 

 

 

 

 


2017年3月22日配信「贈賄申し込み罪に続いて背任罪!?―刑事告発が続く森友学園事件を立件できないのなら検察特捜は張子の虎!?」<事件>

渦中の籠池泰典氏
(☚森友学園HP)


 

 小学校の設置認可を取り下げ、理事長退任を表明!――自民党筋からの“入れ知恵”で一歩後退を演出、てっきり騒動を沈静化させようとするためのポーズと思い聞きや、突如として作家で『日本会議の研究』の著者・菅野完氏の独占インタビューに応じたのを機に、これまでの態度を一変。籠池泰典・森友学園前理事長が、「佐川宣寿・近畿財務局長から弁護士宛に10日ほど身を隠して欲しいとの連絡があった」、「安部首相から100万円の寄付金を貰った」ことを暴露したことで、事態はさらに混迷の度合いを深めつつある。

 

 まさに「窮鼠猫を噛む」――籠池理事長の"爆弾発言"に驚愕、「私人」を理由に国会への「参考人招致」を拒否していた自民党までが、「総理に対する侮辱だから籠池氏に質さなければいけない」と整合性の取れない理由で急遽、籠池理事長を「証人」として喚問することに同意。事態は新たな局面を迎えている。

 

 それはともかく、これまで瑞穂の國小學院の設立のために奔走してきた籠池氏にまつわる疑惑は別モノ。触法行為については、刑事告発のうえで検察に受理させ、捜査によって解明するしかない。

 既に、政治経済紙(Web版も有り)『日本タイムス』川上道大発行人は、鴻池祥肇元防災担当相が記者会見で「カネなのか、コンニャクなのかは知らんが、『これでお願いします』と、おばはんが泣いて紙袋を差し出した」と、述べたのを受けて、3月3日、大阪地検特捜部に贈賄申し込み容疑で刑事告発した。

 贈賄は、申し込んだ時点で罪になる。


 籠池サイドの代理人・S弁護士(辞任)は「商品券」と弁解したが、金銭に相当するのは事実であり、金額が幾らだったかも含めて、特捜部は受理して捜査していい案件だろう。

 一般には無名でも、『日本タイムス』は情報の早さと深さで知られており、東京地検特捜部が捜査着手した東北復興利権狙いの「豊田建設事件」は、同紙のスクープ記事が発火点になっている。

 続いて、この問題の真相究明活動を続けている豊中市の木村 真市議や弁護士などが、今月22日をメドに、土地の買収交渉にあたった財務省幹部職員などを氏名不詳ながら背任容疑で刑事告発する準備を進めている。

 国有地が、なぜ8億円も安く払い下げられたのか。

 地下に廃棄物が発見され、撤去作業を行う必要があった為、という説明だったが、それほど大量の廃棄物は確認されておらず、そもそも除去費用も含めた正確な価格算定がなされた様子はない。

 木村市議は、「払い下げ価格を公表しないのはなぜか」と、財務省に訴え続けて、今回の騒動を巻き起こした人物だけに、資料も証言も揃っており、財務省は最も“厄介な人”に告発されることになる。

 まず、背任が疑われ、その後で役人にそう仕向けた「政治家の罪」が問われる。

 保守系団体の「日本会議」に所属、政治家の使い方を心得ていた籠池氏は、小学校の設立認可や国有地払い下げにおいて鴻池氏だけでなく、政治家への陳情を繰り返していた。

 その際、「無礼者!」と、投げ返した鴻池氏と異なり、受け取った政治家や秘書がいれば、あっせん収賄あっせん利得処罰法違反の疑いが生じる。

 あまりにズサンな申請書類の数々に、驚きを通り越して呆れるほかはないが、補助金が絡み、既に、支給されたものもあるだけに、補助金不正受給や公文書偽造も捜査対象にすべきだろう。

 学園傘下の幼稚園の園長を「専任」ではないのにそう届け出て、2年間で1000万円を不正に受給していた籠池氏の妻・諄子女史は、「知らなかった。返します!」と、直撃インタビューに答えていたが、返せば済むという問題ではない。

 小学校建設費用についての金額の異なる3枚の契約書もそうだ。

 大阪府(7億5600万円)、関西エアポート(15億5000万円)、国土交通省(23億8400万円)と、契約書を使い分けたのは、大阪府には財務状況をよく見せかけ、国土交通省などからは補助金額を多く掠め取るためだろう。

 「詐欺的手法」と述べたのは、松井一郎・大阪府知事だが、既に補助金は給付されており、「詐欺的」ではなく「詐欺」と断じてもいい。

 これだけ"犯罪"の痕跡が数々、残され、いつもこうした際、刑事告発する共産党系市民団体なども準備を進めている。

 2010年の証拠改竄事件以降、政界案件については「死んだふり」を続けている特捜部だが、これを放置したのでは国民はとても納得できず、「特捜不要論」がさらに大きくなるに違いない。【寅】

 

 

 

 


2016年3月14日配信「震災を“食い物”にした老詐欺師・三木誠が遂に逮捕」<事件>


詐欺師界のレジェンド!


 「根っからの詐欺師」とは、こういう人のことをいうのだろう。

 三木(旧姓・篠原)誠、御年84歳――。

 「娑婆と刑務所を出たり入ったり」と、表現される犯罪者は少なくないが、三木の場合は圧倒的に刑務所にいる期間の方が長い。

 1985年10月、青森県むつ市で5億円強奪事件が発生し話題になったが、当時、篠原姓だった三木は、主犯格として裁かれ、懲役11年の刑を受けて服役した。

 出所後、すぐに小切手偽造、手形詐欺事件などを引き起こして逮捕・起訴され、2000年に懲役11年の実刑判決を受けて、岐阜刑務所で服役した。

 出所したのは12年12月である。

 そこから手を染めたのが震災復興絡みの“仕掛け”である。「ボランティア活動をやっている(やりたい)」といって資産家に近付き、資金提供を受ける。あるいは、補助金付きの事業を手がける。

 それから4年余りが経過。各地で“悪評”を撒き散らしていたが、今年2月21日、宮城県警石巻署に逮捕された。

 逮捕容疑は詐欺未遂。三木は、配下の唐島基成(52)、徳田貴光(43)とともに、宮城県東松島市の68歳の男性に対し、「外国のカネを使って復興支援をしたいが、口座から資金を引き下ろすのに諸経費が必要。ついては資金支援して欲しい」と、100万円を振込送金させようとした。

 未遂だし金額も小さいが、詐欺の常習犯であり、公判になれば厳しい結果となることが予想される。

 また、多くの余罪があり、今後、他の事件に発展することも考えられる。

 長身で背筋が伸び、80代には見えないといわれる三木だが、実刑判決を受ければ、これからの懲役は辛いものになるだろう。

 娑婆より長い服役生活を思えば、「凄腕」といっていいのかどうか疑問だが、懲役という結果はともかく「騙しのテクニック」は超一流である。

 岐阜刑務所の受刑者であった時から目を付けていたのが、宗教法人「幸福の科学」大川隆法総裁の前妻・大川きょう子女史である。

 出所後、すぐに、震災後、「みちのく衛生の会」というNPO法人を立ち上げ、ボランティア活動をしていた大川女史に電話をかけ、「自分も手伝いたい」と持ちかけ、翌年1月には面談、1億数千万円を引き出している。

 どうして簡単に騙すことができたのか。

 次のように申し向け、巧みに相手の“欲”を刺激するからだ。

 「香港のナンバーアカウント口座に150億円以上のカネがある。ただ、(懲役で)長期間不在だったので口座を凍結していたこともあって、簡単にカネを下ろせない。当面の活動資金として、カネを貸してもらえないだろうか。凍結解除になれば、どんなお礼でもするから…」

 

 とにかく、カネは借りた方が強い。

 一度、貸すと、関係を切られ取り戻せなくなるのが怖くて、ズルズルと借金の求めに応じてしまうのである。

 三木に対する大川女史の債権は7億5000万円にも達したが、三木は、弁護士を通じた大川の返還要求に対し、「返すつもりはあるがカネがない」と回答するのみ。要するに踏み倒しである。

 大川女史だけではない。

 出所後、上野・御徒町界隈を根城にしていた三木は、小料理屋の女将、スナック経営のママなどからもカネを借り、ボランティア活動に引き込んだ。

 篠原から三木姓となったのは、13年6月、当時、スナックのママだった女性との婚姻によるものである。

 三木と大川女史の決裂は、いつまで経っても口座が開かず、返済されない借金問題が大きかったが、そのほか収益活動はしないハズなのに、三木が夫人を代表にコールセンター事業を始めたことも原因だった。

 コールセンター事業とは、「震災に伴う国の雇用創出事業を利用した詐欺まがいの会社」と、後に叩かれた「DIOジャパン」(代表は日清紡時代に元社会人卓球チャンピオンになった本門のり子)と組んで設立した「おいらせコールセンター」である。

 この会社を巡っては、14年11月、町と交わした補助金に関する契約関係書類が、山梨県でパチンコ屋を経営する会社に流れていたことが判明、町で大騒ぎとなった。

 書類は、山梨の会社を信用させるために担保替わりに預けたもので、後にこの会社は三木らを刑事告訴、一時は山梨県警が捜査に当たっていた。

 そして、「おいらせコールセンター」の事務局長を名乗っていたのが、今回、一緒に逮捕された徳田だった。

 詐欺師人生一直線!――事件化こそしなかったが、秋田県の有名観音像を巡る詐欺未遂事件など、小誌が知るだけでも余罪は数件ある。

 

 遵法精神の欠片もない三木は、再びの懲役生活を迎えるのだろうか。(敬称略)【卯】

 

 

 

 

 

 

 


2017年2月28日配信「府立医大事件が証明する京都暴力団社会の没落!」<事件>

 
京都府立医大附属病院(wikipedia)


 山口組系淡海一家・高山義友希総長に虚偽診断書を作成、収監を逃れさせていた「京都府立医大附属病院事件」は、担当医師、腎臓移植を行った吉村了勇院長、そして高山受刑者との度重なる会食が報じられた吉川敏一学長などの刑事責任を問う捜査に発展、京都の医療界と暴力団社会との癒着の深さを見せつけている。

 検察当局の事件化の狙いは、「診断者が虚偽で懲役8年の実刑判決の確定から1年半もシャバに居続けた高山総長を収監するだけでなく、別ルートの偽診断書作成先の康生会・武田病院を起点に、暴力団と深く結びつく京都の医療界にメスを入れること」(検察幹部)にあった。

 そういう意味で、病院長から学長、そして武田病院へと捜査を広げているのは、捜査着手の時点で決まっていたことである。

 その対象が高山総長なのは、「京都の特殊性」を示している。

 京都裏社会の支配者は150年の歴史を持つ広域暴力団・会津小鉄会で、高山受刑者は同会の高山登久太郎・同会三代目の長男である。

 登久太郎三代目は、構成員数は少なくとも、押し出しの良さと幅広い人脈で、暴力団社会で独自の存在感を示し、京都の独立性を保った。

 それは古都・京都に誇りを持ち、「政・官・業」が"インナーサークル"を形成、「白足袋」と呼ばれる僧侶、茶人、公家などが影響力を行使する京都に、居場所を持っていることを意味した。

 そして、義友希総長の妹が京都の医大出身の医者と結婚したのを機に、登久太郎三代目は医療界との関係を深め、なかでも親密になったのが武田病院だった。

 ただ、登久太郎三代目は長男の義友希総長には稼業の道を歩ませなかった。

 そこで、東京の大学を出て京都に戻った義友希受刑者は、金融・不動産・レジャー開発などの会社を経営する。

 が、経営者としての手腕はなく、逆に巨額の負債を抱え、それが97年の登久太郎三代目の引退につながった。

 03年に登久太郎三代目は死去するが、「重し」がなくなったことで義友希総長への風当たりは強くなったことで、"避難"するように山口組を頼り、弘道会会長で高山清司・6代目山口組若頭の舎弟となって、滋賀県に淡海一家を立ち上げた。

 これを機に山口組の京都進出が本格化、淡海一家はその橋頭堡となった。

 それが、「京都建設業界のドン」と呼ばれるU氏を恐喝した事件につながった。

 「両高山」は、10年4月に逮捕され、高山清司若頭は一足早く14年12月に服役した。

 淡海一家を拠点に京都に強引に進出する弘道会のやり方は、「弘道会方式」と呼ばれ、恐れられる高山若頭の統治手法だった。

 その腕力の前に縮こまっていた山口組は、同若頭の服役で枷が取れて分裂。15年8月、神戸山口組が立ち上がり、六代目山口組と覇権争いを繰り返している。

 「山口組分裂」は、暴対法や暴排条例で食えなくなった暴力団の更なる衰退を示すものであり、最大勢力の山口組がそうなら会津小鉄会はもっと悲惨である。

 脱落者が続出、もはや単独では成り立っていかない状況で、2月に入って馬場美次六代目の引退騒動を経て、馬場派が金子利典会長を継承者に七代目会津小鉄会になり、原田昇若頭が「6代目の引退」を理由に七代目会津小鉄会を名乗っている。

 金子会長のバックには神戸山口組がつき、原田会長は六代目山口組が支えている。

 京都で独自の存在感を持っていた会津小鉄会は実質的に消滅、その引き金を引いたのが義友希総長だった。

 バブル期に暴力団は頂点を迎えるが、その反動で国が暴対法を施行させようとした時、各界を糾合、先頭に立って反対運動を巻き起こしたのは高山登久太郎三代目だった。

 その「先見の明」を示すように暴力団は弱体化した。

 会津小鉄会が終焉を迎えようとしている時、義友希総長の蒔いた種でわずかに残った"インナーサークル"の存在が暴露され、その関係も消滅。それが「京都府立医大事件」の持つもうひとつの側面だろう。【申】

 

 

 

 

 

 


2017年1月24日配信「会津小鉄会分裂騒動でますますハッキリした神戸山口組VS6代目山口組の実相」<事件>


 
会津小鉄会(wikipedia)


 年明け早々、京都の広域暴力団・会津小鉄会で発生した原田昇若頭によるクーデターは、馬場美次・6代目会長が巻き返しを図り、原田若頭を絶縁処分にするとともに、自らは総裁にあがり、7代目会長を金子利典・4代目いろは会会長に譲ることで決着した。

 原田氏が、7代目の看板を下ろしたわけではないものの、親分の力が絶対の暴力団社会で絶縁の回状が出された以上、正統な7代目は金子氏ということになる。

 それにしても、150年の歴史を持ち、「大ひょうたん」の代紋で知られた「会津小鉄会」が、今や何の力も持ち得ないことを知らしめた事件だった。

 始まりは、1月10日、会津小鉄会傘下の心誠会会長の原田若頭が、6代目山口組傘下の弘道会の組員20〜30人を従えて馬場6代目に面談、引退を迫ったことだった。

 馬場氏は、通帳をだまし取ったとする詐欺罪で、昨年、懲役1年の実刑判決を受けているが、捜査の過程で自らの引退を捜査当局に示唆したことが、引退を迫られた理由だったという。

 「原田昇をもって、7代目会津小鉄会会長とし、不肖私の跡目とすることを決定しました」

 この文書が、馬場氏の本意でないことは、すぐに判明。馬場氏と連携する神戸山口組傘下の「山健組」の組員40人以上が、11日早朝、会津小鉄会本部を訪れ、留守番の若い衆を袋叩きにして追い出し、馬場氏の釈明と原田氏の絶縁を回状にして、全国の組織にFAX。馬場総裁=金子会長体制の発表は、翌12日だった。

 それにしても、クーデターを仕掛けた原田氏の実行部隊が弘道会で、その奪還を行ったのが山健組であるところに山口組分裂騒動の実相が表れている。

 山口組を名古屋の弘道会方式で締め上げ、締め付けることへの不満が5代目山口組体制下で中核だった山健組にあり、決起して神戸山口組を立ち上げた。

 究極の争いは、山健組VS弘道会――。

 当初から指摘されていたことではあるが、神戸山口組では「弘道会以外の6代目山口組関係者と付き合うのは構わない」という“内示”を出すなど、対立構図はより鮮明になってきている。

 それにしても、跡目争いに他組織の力を借りる会津小鉄会はどうなっているのか。

 「会津小鉄で威勢のいいのは、もう外に出て、両山口組に吸収され、今は年寄りしか残ってない。現役で活動する組員は100名強で、そのうち弘道会派が7割ぐらいで、残りが山健組派。そういう意味では、同組内でもっとも勢力があり、人望もある原田若頭が、京都を抑えたい弘道会の思惑に乗って、クーデターを起こすのは分からんでもない」(6代目山口組系幹部)

 当局に対して、引退を示唆していたという馬場6代目は、75歳と高齢のうえ、詐欺罪での1年間の服役は免れない。

 弘道会としては、この機に原田氏を前面に立てて、「京都侵略」を果たしたかった。

 もともと馬場氏は、山健組先代の桑田兼吉3代目の頃から山健組に近く、その関係は現在の井上邦雄4代目体制となってからも続いている。

 従って、井上氏が「逆盃」となるのを厭わず、神戸山口組を立ち上げると、神戸山口組派であることを隠さなかった。

 「会津の小鉄」こと、上坂仙吉を初代に1868年に結成された会津小鉄会は、京都を地盤に、人数的には少なくとも、神戸を拠点とする山口組に対して一歩も引かず、独自の存在感を保ってきた。

 しかし、今回のクーデター騒動で判明したのは、もはや独立組織ではなくなっていることで、それは同時に、「山健組VS弘道会」という対立構図が、全国の組織を巻き込みつつ、消耗戦によって弱体化していく暴力団の将来像を映している。【辰】

 

 

 

 

 

 

 


2017年1月18日配信「組織ぐるみは明々白々!――『佐川急便身代わり出頭事件』で検察は罰金刑でも警察の追及は燎原の火の如く!?」<事件>

佐川急便本社(☚wikipedia)


 宅配便大手の「佐川急便」が揺れている。

 警視庁が、2016年9月、運転手が駐車違反での検挙を逃れるために知人らを身代わり出頭させたとして東京営業所を家宅捜索した事件は、検察が12月22日、犯人隠避などで略式起訴、罰金刑で一応は終結した。

 6人を逮捕、40人が関与したとして調べを進めていただけに、「(30万円以下の罰金刑で済んだのは)意外に軽かった」というのが運輸業界に共通した声だが、佐川急便問題の根は深く、これで終わりそうもない。

 ハッキリしているのは、これが東京営業所だけでなく佐川急便全体に万延している事件であることだ。

 違反の取り締まりを受けると、運転業務をしない「下車勤」となって、昇進や収入に悪影響を及ぼす。そこで逮捕された管理職が、運転手が駐車違反をして警察署に出頭する際、「身代わりという手があるよ」と提案。出頭した身代わりには、運転手から2万〜2万5000円の報酬が支払われていたという。

 こうしたシステムが東京営業所だけでないのは、事件化後、多くの内部告発や投書が警察に寄せられたことで明らかだ。

 

 「バイト料を支払って身代わり出頭、ということが普通に行われていたので、それほど悪いことだという認識はなかった。ところが、逮捕者まで出たことで、『自分もやられるんじゃないか』と動揺した社員や家族が、訴え出るようになった」(佐川急便関係者)

 社内の動揺は、退職者が相次いでいることにも証明されている。

 『毎日新聞』(12/27)は、「7都府県で遅配 荷物集中や人員不足原因か」と、題して、現在、「佐川急便」の遅配が目立ち、「クリスマス関連イベントの荷物や歳暮などの配達を待つ利用者から、困惑の声があがっている」としたうえで、解消のメドは立っておらず、「想定以上の荷物集中や人員不足が原因」と、報じている。

 年末へ向けての混乱は、多分に今回の事件が影響していると見て間違いあるまい。

 さらに深刻なのは、「身代わり出頭」の常態化は、コンプライアンスの低下を物語っていること。その象徴が、代引き金額改竄による詐取事件だろう。

 12月18日、ネット社会で著名な人物が、Twitterで、「佐川急便に代引きの値段を書き換えられ、多くお金をとられました」と、呟いた。

 この投稿者は、伝票の画像を添付、荷受人(投稿者)が受け取った伝票金額は1万8783円で「6」が「8」に改ざんしているような痕跡があった。
 指摘を受けた会社側は、改竄の事実があったことを認めたうえで、荷受人に報告して謝罪、お金を返したという。

 広報担当者は「このようなことは、これまでにはなかった」と、説明していたが、コンプライアンスの欠如が指摘されている最中の事件だけに、「佐川急便」の運送業者としての信頼性は失われた。

 では、2016年末をもって、佐川急便を揺るがせたコンプラの欠如、信頼性の喪失は区切りを打ち、17年は再生への道を踏み出すのか。

 警察関係者は、「それほど単純ではない。捜査終結は、あくまで東京営業所で発覚した犯人隠避事件です。その後、都内だけでなく、各府県警に告発や投書が送られている問題を処理しなければなりません。組織ぐるみと判断された場合には、佐川急便本社をターゲットにした合同捜査本部を置くことになる。捜査は今後も継続です」という。

 一部には「警察OBの天下り先確保のための捜査継続」(業界関係者)という穿った指摘もあるが、それはともかく、安易に行っていた身代わり出頭が、「佐川急便」の経営の屋台骨を揺るがす"蟻の一穴"になるかもしれない。【寅】

 

 

 

 

 

 

 


2016年12月22日配信「『立石建設工業』対K氏!――防衛省が買収を躊躇する馬毛島を巡るトラブルの中身」<事件>

馬毛島(☚wikipedia)

 

 防衛省は、米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)のために、馬毛島の買収を内定。2017年3月末を期限に土地価格の算定作業に入っている。

 最終的には、島を持つ「タストン・エアポート」立石勲代表との交渉になるが、その前に問題視されているのが、16年1月に設定されている5億円の根抵当権設定仮登記である。

 権利者は、東京・町田の金融業者のK氏で、債権の範囲は「金銭消費貸借取引手形債権 小切手債権」だが、問題となっているのは、K氏が広域暴力団傘下の元組長であることだ。

 「元」とはいえ、5年前にも銃刀法違反で逮捕された過去があり、どういう経緯で立石氏が資金提供を受け、現状、どうなっているかを確認しないことには、日米安保の“要”ともなるFCLPの訓練基地用に馬毛島を取得することはできない。

 東京に本社を持つ立石建設グループは、砂利採石、産業廃棄物などを営む事業会社だが、95年に4億円で馬毛島を取得して以来、防衛省の買い取りを想定した飛行場建設工事に着手、立石氏は事業家としての「夢」を膨らませてきた。

 馬毛島は、鹿児島県種子島の西方約15キロの東シナ海に浮かぶ無人島で、軍事・訓練基地には最適。現在、南北4200メートル、東西2400メートルの滑走路が敷設されている。

 もちろん米軍基地用には、精緻な舗装作業が必要だが、この段階に漕ぎつけるまでに立石氏は約150億円を投じたという。

 防衛省がこれまでにも働きかけたことはあったが、積年の思いと無理をした資金繰りの苦しさもあって、立石氏が一定期間リースしたうえでの売却を希望するなど条件が合わず、交渉はまとまらなかった。
 
 今回、再び動いたのは、リース契約を引っ込め、一括売却に同意したからで、83歳を迎えた立石氏としては、自分の代での決着を望んでいるという。

 障害となっている仮登記は、資金繰りが苦しくなった立石氏が、「急ぎのカネ」を用意してくれるK氏に頼らざるを得なかったためで、K氏が用立てたカネは4億円にのぼり、立石氏は3億円と1億円の二つの手形を切り、K氏は書き換えに応じていたという。

 だが、16年の段階で立石氏は、警視庁に恐喝被害を訴え、警視庁は同年11月末、恐喝容疑でK氏を逮捕。再逮捕までしたもののK氏は不起訴処分に終わった。

 ぶち切れたK氏は、信頼関係が完全に切れたとして、16年1月、それまで留保していた根抵当権を設定した。

 この仮登記については、16年10月、タストン社が原告となって、K氏に対して登記抹消を求めた訴訟を起こしている。

 まだ係争中だが、14年9月6日付で、立石氏が「確約書」を提出。そこには「9月20日までに返済できなければ、馬毛島に抵当権を設定致します」と、書かれており、切迫した状況が窺える。

設定そのものは16年1月だが、設定原因は14年10月であるのは、登記書類を預かりながら、猶予していたからで、その理由は「元暴力団組長からの借金が表沙汰になるのは、防衛省との交渉のうえからも拙い」という立石氏サイドの意向で、K氏もそれを容認していたためである。
 
 また、仮登記を巡る訴訟の前には、3億円と1億円の手形の支払いを求める手形訴訟も起こされている。

 こちらは原告がK氏で被告が「立石建設工業」である。

 訴訟のなかで立石氏は、借金があるのは認めたものの、そのうちの一部は、仲介者であるW氏に返済したと陳述するなど、複雑な金銭模様が窺える。

  また、15年8月には、「覚書」として立石氏が、K氏とその近親者に、「馬毛島が決まりましたら6億7000万円をお礼として支払います」という文書も残している。


 防衛省は、土地交渉の前に、まずは両者間の「ややこしい人間模様」を解明する必要があろう。でなければ、話は前に進まない。【戌】

 

 

 

 

 


2016年12月14日配信「売上高2400億円!――食肉のドン・浅田満元会長収監でも『ハンナン帝国』は安泰!!」<事件>

 ハンナンは1947年の創業以来、半世紀にわたり食肉の流通に携わってまいりました。
 その中で当社が大切にしてきた信念があります。
 それは、「お客様にご満足いただける経営」に徹することです。安心安全でおいしい商品をお届けするのは勿論のこと、ハンナンフーズグループならではのお役立ちをお届けしてまいりました。
 現在、国内外に15の工場と46の拠点を設け、お客様のニーズにお応えする商品、製品を提供できる体制を敷くハンナンフーズグループは、なくてはならないパートナーとしてお客様に選んで頂けますよう、安心安全な商品とサービス提供に取り組んでおります。
 我々は食肉に関するプロフェッショナル集団として、創業100年を目指して新たな革新に挑み、お客様とともに歩み続けていきます。

 

(☚ハンナンHP)


 牛肉偽装事件で、「食肉のドン」と呼ばれた「ハンナン」の浅田満元会長が詐欺容疑で逮捕されたのは、2004年4月である。

 長い公判の末、最高裁が上告を退け、懲役6年8月の実刑判決が確定したのは昨年4月。以降、病気を理由に刑の執行が停止されていたが、検察は収容に耐えうると判断、11月23日までに執行した。

 逮捕時から12年以上が経過、浅田受刑者は77歳になっているが、「ドン不在」でも連結売上高2400億円のハンナングループは万全だという。

 「ウチは販売ルートが確立、経営基盤がしっかりとしているうえ、公判の過程で、甥の浅田勘太郎社長に権限を委譲。グループ経営に問題はなく、そこは満元会長も心配していない」(ハンナン幹部)

 事件の過程で喧伝されたのは、同和利権を握り、暴力団を背景にした力の論理で食肉業界を制したとされる「ドンの強さと怖さ」だった。

 確かに、そうした面があったのは否定できない。

 父・浅田浅太郎が、終戦直後の1947年に起こした食肉卸の「浅田商店」を、現在の日本有数の食肉加工・販売会社にしたのは、浅田家の次男・満だが、その過程でハンナンを「触ると怖い」という存在にし、それがグループの成長に寄与した。

 浅太郎は、長男・清美、次男・満、三男・照次、四男・英教、五男・暁と5人の男子に恵まれたが、長男の清美が温厚な人柄で商売に向いていなかったこともあり、食肉業は、中学校すら満足に卒業せず、食肉店に奉公に出た満が継いだ。

 満は、マメな性格と気配りで年長者に可愛がられ、酒も飲まずに仕事一筋。これと見込んだ相手には、接待、現ナマ攻勢をかけるカンと度胸の良さでのし上がっていった。

 「ハンナン」の成長過程は、「差別からの脱却」を掲げる政府の方針で同和対策事業に豊富な予算がついていた時代であり、時代に沿う形で同社は急成長。また、中川一郎、鈴木宗男といった農林族政治家や、農水省や畜産振興事業団といった農水官僚にも人脈を築いていった。

 その一方で、山口組にも深く関与。若い頃から腕っ節が強かった照次は、山口組系白神組の幹部となり、英教は山口組系山健組の舎弟として浅田会を率いた。
 いずれも早くに引退したが、「元暴力団組長」の肩書きは消えなかった。

 同和と暴力団――。

 これが「ハンナン」の“強面”を際立たせ、官界もマスコミも捜査機関も、浅田満をタブー視した。

 牛肉偽装事件の17年前の87年10月、満は畜産振興事業団の食肉部長への贈収賄事件の贈賄側として逮捕されるのだが、食肉行政の一方を担った末の事件であり、農水省の食肉行政から排除されることはなかった。

 その行政との一体化と、業界への隠然たる力が、ハンナングループを巨大にした。

 グループは、「ハンナンフーズ北海道」など食肉販売部門、「ハンナン食品」など加工部門を中心とした国内23社と、アメリカ、オーストラリア、中国など海外5社で構成され、偽装事件当時には売上高2000億円を突破。事件後も、安定して業績を伸ばした。

 73年生まれで43歳の勘太郎社長は、五男・暁氏の息子。事件とも暴力団社会とも最も遠いところにいたことから暁が事件後、会社をリード。その後、勘太郎が後継者として選ばれた。

 3代目となって、ハンナングループも“普通の会社”となった。

 同和行政が終焉、山口組が分裂の末、衰退が顕著となるなか、ハンナングループは健在。グループを自身の長期不在に耐えられる存在にしていたことが、「ドン」の最大の功績と言えよう。<敬省略>【辰】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2016年11月29日配信「『大統領の犯罪』を暴く韓国検察と『貸金業法違反』で建設業者の罪を暴く日本検察との落差!?」

 

(☚wikipedia)

 

 

 韓国検察当局は、朴槿恵大統領の友人である女性実業家の崔順実被告が国政に介入した事件で、崔被告らの起訴状に、「大統領の犯罪」を明記した。

 記者会見で検察の李永烈特別捜査本部長は、「相当部分、共謀関係があると判断した」と、断定したうえで、「大統領への直接聴取が不可欠だったが、それはできなかった」と、不満を表明した。

 現職大統領は、内乱罪などを除いて起訴できないという憲法上の縛りを受けながらも、韓国検察は思い切って踏み込んでおり、「大統領の犯罪」を認定したに等しい。

 権腐必然!――どんな為政者もこの現実から逃れることはできない。

 権力が長期化すれば、自らはもちろん、家族、側近政府機関のいずれかに腐敗が生じ、やがてそれは国を蝕む。

 近代国家は、その反省から権力監視機関を設けてきた。

 それが「検察」であり、各国に制度上の違いはあっても、国政や行政とは別の立ち位置を持ち、犯罪の事実があれば、公訴権や捜査権を持つ捜査機関として権力に切り込む役割を担う。

 韓国検察は、今回、その役割を果たし、国民とマスコミの後押しを受け、居座る朴大統領を追い込もうとしている。

 翻って、日本はどうか。

 東京地検特捜部が、最大権力者の田中角栄元首相を逮捕したロッキード事件から40年が経過。この間、リクルート事件、金丸信脱税事件など、最終処理に問題を残す局面もあったが、権力監視機関としての務めを果たしてきた。

 だが、2010年の2つの強引な事件から暗転、検察冬の時代を迎えた。東京地検特捜部が犯罪をデッチ上げしようとした小沢一郎政治献金事件と、大阪地検特捜部の障害者郵便制度悪用事件捜査での証拠改ざん事件である。

 それからの検察の堕落は、今さらいうまでもないだろう。

 違反行為が明白な甘利明事務所の政治献金事件では、告発者の関係先は家宅捜索しながら、被疑者の関係先である甘利事務所は、官邸の顔色をうかがって任意証拠提出に留め、結果は不起訴処分だった。

 会員制月刊誌の『選択』(16年9月号)は、『無駄飯喰らいの腰抜け集団』と、書いて揶揄した。

 その東京地検特捜部が、久々に動き始めた。

 10月中旬、愛媛県の貸金業者・H女史が「無免許で貸金業を行っていた」という貸金業法違反容疑で、同女史の融資先など数十箇所の家宅捜索を行ったのである。

 不可解なのは、この業者は「政商」に類するような大物でも、各界に人脈を擁するような著名人でもなく、単に高利のカネを業績不振企業に貸し付けるごく一般的な高利貸しにすぎない。

 同女史の元パートナーが3代目時代の山口組系金融業者として知られたY商事・O氏(故人)だった縁で、確かにグレーゾーンにそれなりの人脈は築いていたが、どう考えても特捜部が摘発するような相手ではない。

 では、なぜ「貸金業法違反」で摘発するのか。

 「問題は、H女史の貸付先である『豊田建設』(埼玉県八潮市)だ。売上高は50億円にも満たない中堅業者だが、除染工事絡みで『大成建設』に食い込んだのをきっかけに急成長。その過程で『豊田建設』が『大成建設』の“前捌き役”として、政官工作を担った可能性がある」(検察関係者)

 それなら、「豊田建設」を"被疑者"として捜査着手すべきだろうが、「豊田建設」とH女史との間で貸金を巡るトラブルに関して検察が同女史を任意で事情聴取したところ、望外の"お宝証言"が次々に飛び出したことで方針を変更。貸金業法違反の"裏付け捜査"の形で介入し、上手くウラが取れれば『豊田建設−大成建設』に踏み込もう?ということのようだが、それにしても随分と回りくどい捜査ではないか。

 「豊田建設」の政官界工作が事実なら、「瓢箪から駒」の展開があるやもしれない。

 しかし、H女史の"お宝証言"がオーバーに脚色されたものだったら事件は立たず、検察の面子が潰れる。

 だから、たとえ「豊田建設の疑惑」が不発に終わっても「貸金業法違反事件だけは立件できる」という、姑息な計算もあるのではないか。

 「腐っても鯛」ではないか!――「天下の東京地検特捜部」が、そんな腰の引けた重箱の隅をつつくような捜査で「巨悪」に迫れるのだろうか?【巳】

 

 

 

 

 

 


2016年11月22日配信「『性善説』が育む就労支援の"闇"――障害者総合支援法に棲む悪徳業者を放置していいのか!」<事件>

筑波山(本文とは関係ありません)(☚wikipedia)


 

 高齢化が進み、国の財政が軋むなか、介護や福祉の方向性は「自立」である。

 この自立に向けて、いち早く舵を切ったのが障害者福祉だった。

 戦後、始まった障害者福祉は、施設での保護が主な役割だったが、障害者も健常者と同じ暮らしを目座す「ノーマライゼーション」の広がりとともに、「自立支援」が中心課題となっていった。

 自立支援は、試行錯誤を重ねたうえ、2013年、障害者総合支援法が制定され、自立へ向けての理念と方向性が定まった。

 ただ、試行錯誤した分、制度が複雑になり、行政は監視、監督する機能を持たず、事業者の自主申告に委ねるようになった。

 そこにあるのは、「事業者性善説」である。

 「障害のある人は全国で約800万人。症状も重さも障害の内容も違う。それに合わせた自立支援の体制が組まれていますが、行政が細かくチェックすることは、人手の面からも予算の面からもできません。勢い、事業者さんを信頼することになる」(厚労省幹部)

 その結果、ノーチェックをいいことに悪徳業者がはびこっている。

 就労支援を例に取ろう。

 自立の最も望ましいのは就労して、自分で自活することである。

 だが、障害者が就労するには、それなりの訓練が必要だ。

 遅刻しないなど、規則正しく日常生活を送ることから始めて、挨拶や電話のかけ方、パソコンなど必須アイテムの使い方などを学ぶ。

 そのために、まず就労移行支援施設でトレーニングする。

 65歳未満で意欲のある人は誰でも利用できる。

 期間は2年間だが、現実は厳しく、ここでトレーニングしても一般企業に就職できるのは数%。その期間を終えた人は、就労継続支援A型就労継続支援B型を選ぶことになる。

 A型は、一般企業は難しくとも、それなりに勤労できる人で、雇用契約を結び、その地域の最低賃金が保証される。

 これには労働基準法に準じており、将来的な自立を促す施設である。

 B型は、障害の程度はさまざまだが、毎日の就労、決まった作業、秩序だった勤務形態を続けられない障害者の受け皿となる。

 雇用契約はなく、就労に応じた「工賃」が支払われるが、日当1000円平均で、とても自立できるレベルではない。

 まず就労支援、次にA型とB型への振り分け――。

 制度的に間違ってはないが、この就労支援の“悪用”は可能だ。

 前出の厚労省幹部が率直に認める。

 「移行支援もA型もB型も、担うのは事業者であり、国と県と市町村がそれぞれ分担し合って給付金が支払われます。就労支援事業の指定を受けた事業者に支払われるのは、障害者ひとりあたり月14〜15万円。これに対してB型であれば、事業者が障害者に支払う工賃は2万円程度。従って、B型の障害者を多く抱え込めば、それだけ収入が安定することになる」

 ここに生じるのが「性善説」の怖さである。

 月に15万円前後を給付するのだから、行政はそれなりの「届出」を事業者に求める。

 障害者の住所氏名、稼働日数とその時間、送迎があったかどうか、食事提供の有無、施設外支援(他の事業所に働きに出る事)の有無、サービス提供の状況・・・。

 事業者とすれば、給付金が増えるので、稼働日数と稼働時間はもちろん、加算される送迎や食事は多い方がいい。

 すると、単純計算だが、最も多いレベルの40人の障害者を抱える事業所で、障害者1人あたり15万円計算で月600万円、年7200万円の給付金を受け取ることになる。

 この性善説に基づくノーチェックを利用する悪徳業者は少なくない。

 「登録させて日当の1000円だけ渡して、遊ばせて帰す。それだけで15万円ですから貧困ビジネスの生活保護費の“中抜き”より、よほど効率がいい。しかも行政外(他市町村)の受け入れも認められるから、そちらは架空の『テンプラ障害者』ということもある。さらに相手が障害者だから人権上の配慮から、行政があれこれ聞きにくい」(障害福祉に従事している行政担当者)

 障害者就労のために行政が15万円を支払っているのに障害者に渡る工賃が2万円。これでは、「詐欺商法」を誘引しているようなものである。

 まともなところを探すほうが難しいといわれるB型事業所が全国に約10000箇所もあり、政界関係者など地元の名士が関っていることも多く、行政のチェックが、より難しくなっていることもあるという。

 白昼堂々の税金喰いビジネス!――障害者の自立に名を借りた姑息極まる「詐欺商法」を野放しにしてはなるまい。【巳】

 

 

 

 

 

 

 

 



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