2016年10月4日配信「上へ、上へ!?――警視庁組対4課は野球賭博の頂点にいる大胴元に辿り着けるのか!」<事件>

警視庁(☚wikipedia)


 警視庁組織犯罪対策4課が摘発した野球賭博事件で、巨人軍野球選手らを賭博に誘い込み、笠原将生投手ら3人を引退に追い込むきっかけをつくった飲食店経営の斉藤聡被告(38)は、事件のキーマンだった。

 事件後も笠原元投手が、地元の福岡で斉藤被告考案の「うにシャブ店」を経営しているのを見てもわかるように、面倒見のいい兄貴分気質なのだろう。

 笠原元投手だけでなく、福田聡志元投手、高木京介元投手が相談を持ちかけ、他に面識のある巨人軍選手は8選手にのぼるという。

 それだけに組対4課は、斉藤被告の「上」を狙いたかった。

 捜査本部の置かれた原宿署は、早い段階で「上」の口座を特定、客の事情聴取を活発化させていた。

 その「上」が、24日、逮捕された広域暴力団山口組系矢嶋組幹部の三宅雅剛容疑者(42)である。

 愛媛県今治市に本拠を置く矢嶋組は、かねて野球賭博を組の収益源とする博徒として知られている。

 三宅容疑者は、4次団体若頭のポストに就いており、組織的なポジションは高くないが、東京の野球賭博の責任者を務めており、都内の暴力団関係者や野球賭博に関わっているグループの間では、「野球屋」と呼ばれていた。

 2010年に警視庁が摘発した大相撲の現役力士による野球賭博事件でも、ハンデ表の作成や賭け金の回収には暴力団が絡んでいるとして、警視庁は「上」を狙ったが、野球のない月曜日に回収と配当を現金で行うという慣習が、「上」への道を阻んだ。

 今回、斉藤被告の役割を「客を持つ小胴元」と位置づけ、「中胴元」の三宅容疑者に辿り着くことができたのは、三宅容疑者が元矢嶋組組員の酒井良昌(37)、福岡勝美(36)両容疑者の口座を使って、資金回収や配当の振込を行っていたからである。

 口座の特定は早い段階でできており、捜査本部の置かれた原宿署には、多くの利用客が呼ばれ、捜査協力を求められて調書の作成に応じた。

 いずれも携帯電話の提出を求められたわけではなく、つまり不逮捕を前提の捜査協力であり、そうした証言から「中胴元」としての三宅被告の存在が裏付けられ、それに斉藤被告ら確かな顧客の履歴をもとに、暴力団に行き着くことができた。

 マスメディアは、警視庁発表をもとに「大胴元」を頂点にしたピラミッド型の組織図を作成、「三宅容疑者の上部組織の解明」という組対4課の狙いを明かしている。

 「上部組織」とは矢嶋組であり、組対4課は、矢嶋組が「どこよりも精巧で客の射幸心を煽る」というハンデ表を作成、組の重要な資金源となっていることを解明したい考えだ。

 が、ここから先は難しい。

 ピラミッド型の組織図はわかりやすく構造を示してはいるが、現実には「中胴元」が直接、顧客の相手をすることがあり、型にはまってはいない。

 東京の野球賭博の大口客にとっては、「野球屋」の三宅被告が「大胴元」であり、そこで完結。その先は、三宅被告の矢嶋組への「上納金」という感覚だ。

 それも野球賭博の構造を示すものではあるが、賭博と金銭移動を証拠や証言で裏付けるわけではなく、野球賭博事件とすることはできない。

 仮に、ここで終わったとしても、「野球賭博に暴力団が絡む構造」を摘発した意味は大きいのだが、「上」に捜査を向けたため、「野球選手に蔓延する野球賭博」には手をつけなかったことには触れておくべきだろう。

 斉藤被告は、逮捕前、さまざまなマスメディアに接触、「他の野球選手の遊び(賭け事)」に言及していた。

 それは自分や笠原元投手らに事件が集中するのを拡散させる目的もあったが、「野球賭博にはまっているのが巨人元4投手だけではない」というのは、誰にでも容易に想像できた。

 だが、組対4課が、「下」ではなく「上」に伸ばしたのは、プロ野球界全体を覆った「早期解決」の声に、警察が配慮したためである。

 そこには4人もの処分者を出した野球界の盟主・読売巨人軍の警察当局への"根回し"があったと言われているが、ともあれ野球選手が野球賭博に手を染めるという前代未聞の事件は、捜査当局にとっての"宿願"を叶えるとともに、野球界への傷を最低限に抑えるという「理想に近い形」で決着することができたのである。【午】

 

 

 

 

 

 

 


2016年9月16日配信<0510archives>「ついに警視庁が失踪事件に捜査着手!――新橋4丁目・資産家女性の土地売却の謎に迫る!」<事件>

 

 

 炎天下の8月10日、警視庁愛宕署の署員ら約50人が、新橋5丁目の路上を、一時、通行閉鎖して、膨大なゴミの山に取り組んだ。

 目的は、今年3月、5億円以上の資産を残して、忽然と姿を消した高橋某女(60)の自宅を家宅捜索。片付けが苦手でゴミ屋敷と化していた家からゴミの山を運び出し、搜索の手がかりを見つけるためだ。

 きっかけは、「新橋『資産家女性失踪事件』を追え」と題した『週刊現代』(8月1日発売号)の記事だった。

 両親は20年以上前に亡くなり彼女は一人っ子。地元では土地持ちの資産家で知られ、借地代で暮らせるほどだった。

 しかし、高橋女史は猜疑心が強く、人との交流を好まず、しかもアルコール依存性で、今年に入って、酒を飲んで暴れて愛宕署の厄介になったことは一度や二度ではない。

 酒のための寸借を、3万円、5万円と重ねる「困ったオバサン」が、愛宕署員に付き添われて家に帰った3月12日以降、まったく姿を見せなくなったため、心配した町内会長が、愛宕署に「失踪届」を提出した。

 一度は、形ばかりの捜索を行ったものの、後は放置。が、新橋5丁目の自宅とは別に所有権を持つ4丁目の土地が、彼女の知らない間に?売却され、しかも、その直前、住所が縁もゆかりもない大田区大森南のワンルームマンションに移されていたことで、「地面師による犯罪ではないか?」と、ネット情報誌などで騒がれるようになっていた。

 住民票を移して印鑑証明を取り、偽造の免許証などで本人に成りすます人間を用意、土地を収奪する地面師事件は、意外に手間暇がかかり、所轄の手には負えない。

 そのため放置していた愛宕署だが、事件性の高さを総合週刊誌に指摘されたのでは動かざるを得ない。

 地面師事件を扱う捜査2課、あるいは関与した不動産業者のなかに反社会的勢力が存在するために、組織犯罪対策3課、同4課といった部署が、不正登記などでまず捜査着手することになる。

 トラブル案件であるのは、不動産登記簿謄本からうかがえる。

 1990年、相続によって高橋女史が取得した約40坪は、昨年4月28日、木更津市の「三京」なる砕石・解体業者に売却され、わずか3ヶ月後、最終ユーザーの「NTT都市開発」の手に渡るまでに「三京」→合意解除→「CKエージェント」(相模原市)→「平和恒産」(千代田区)→「京栄商事」(港区)→「中央都市管理」(新宿区)→「京栄商事」「NTT都市開発」(千代田区)と目まぐるしく変遷する。

 売買に関与した不動産業者によれば、新橋から虎ノ門に抜ける環二道路(通称マッカーサー道路)に面した一画で、「NTT都市開発」が再開発ビルの建設を計画。その地上げを「京栄商事」に依頼し、その計画地内に高橋女史の所有物件があった。

 契約では「NTT都市開発」が、15年7月から16年10月までの間にが物件を取得。総額は50億円で、そのために12億円が前払いの形で「京栄商事」に渡っていたという。

 ただ、「名もない地上屋」と「NTT都市開発」が、直接、契約を結ぶには不安があるということで、著名弁護士が設立した信託会社が「立会人」となって保証。事業は動き始めた。

 しかし、誤算だったのは「京栄商事」には「NTT都市開発」が考える以上に“借り”が多かった。

 所有権が転々とするのは、世話になった業者に“借り”を返すためだと考えられる。

 また、土地の所有権は「NTT都市開発」に移したものの、借地権(建物)は、西岡進氏(菱和ライフクリエイト元社長)「ウエスト」などに売却しているのは、「NTT都市開発」に12億円の約2割の違約金を支払ってでも、この物件で資金繰りをつけなければならないという差し迫った状況を想像させる。

 そうした"窮状"のなかでの地上げであり、高橋女史の土地の転売過程に登場する業者のなかにも、たとえば「平和恒産」のように「差し迫った業者」は少なくない。

 そのなかにアル中気味で、ホテルを転々としている高橋女史のいない間に土地を収奪した業者がいたのか。

 そして、ホテルに滞在するカネが尽き、地元に戻ってトラブルを繰り返す彼女に不安を覚えた業者がいたのか。

 連日の猛暑の中、一体、高橋某女は何処へ消えたのか?――"悪い予感"さえ覚える都心のミステリーの解明は、捜査当局の手に委ねるしかない【酉】

 

 

 

 

 


2016年9月9日配信「再びの激震?――暴力団関係者の代弁者から"脅迫"されて捜査が始まる巨人の受難」<事件>

(☚wikipedia)

「巨人の受難」が続いている。

野球賭博事件は、笠原将生元投手が被告となり、賭博常習者とされた福田聡志、松本竜也の両投手が引退を余儀なくされ、賭博への関与が薄かったとされた高木京介元投手が失格1年の処分となった。

それで治まったかと思えば、今度は「日本野球機構」(NPB)から追放処分を受けた元暴力団組長A氏の「関係者」と名乗る男性B氏が、元巨人球団職員の携帯電話に、次のような電話をかけてきた。

「巨人の選手と一緒に写った写真もあるし、メールのやり取りも残してある。みんな一軍の選手ばかり10数人だ」

「(元組長の)親分筋の人は、人殺しも平気でやる怖い人だ。球界にとって、事を荒立てない解決があればいい」

金銭的な要求があったわけではないが、「自分が間に入る」と、暗に解決を匂わせる表現は「脅迫」といっていい。

巨人は、この事実を8月12日に記者発表した。

事前に相談を受けていた警視庁は、「脅迫相手に警戒感を抱かせる」と発表に不満だったが、巨人としては週刊誌やネット雑誌などにスクープ報道され、尾ひれがついて伝播することを危惧、先手を打って発表した。

A氏とはどんな人物か。

野球選手との密接交際をスクープした『週刊文春』によれば、「広域指定暴力団元組長で、13年に上部組織から破門。交流があった選手は8球団28名(OBも含む)で、飲食をともにして面倒を見る一方、選手らからは野球チケットや見学パスなどで便宜を受けていた」という。

この件が明るみに出たのは、「NPB」が各球団に向けて、「緊急」と赤文字で書かれた、まるで「手配書」のようなA氏の写真入り文書を配布したからで、実際、「この男は試合観戦契約約款第3条に該当する排除対象者」であるとして、その後の接触が禁じられていた。

『文春』のインタビューに応じたA氏は、親しい関係にあるプロ野球選手がいることを認めたうえで、「(暴力団関係者であるという)身分を偽っていた」と、反省していた。

A氏は、住吉会系3次団体の元組長。芸能、飲食などの事業を行っていて、B氏がいうような「武闘派暴力団」に所属している印象はないという。

一方、B氏はどんな人物か。

「関東の広域暴力団に所属していた元暴力団幹部。息子がプロ野球に入団したことで、野球界に人脈が広がった。注目されたのは、原辰徳前監督の1億円恐喝事件の“仲介者”となってからで、刑事事件にはならなかったものの、それを報じた『文春』を巨人が名誉毀損で訴えたために、公判の場で、長くその名が取り沙汰される結果となった」(球界関係者)

この事件は、原氏との不倫相手の女性が綴った日記を入手した暴力団幹部が、"誠意ある解決"を求めて接触してきたことが発端となった。

この時、B氏は、日記を手に入れた暴力団幹部の“窓口”のような形で原氏に接触、球団にも警察にも相談せず、個人的に用立てた原氏から1億円を受け取っている。

事件が起きたのは06年だが、発覚したのは、なんと6年後の『文春』が報じた12年6月。驚いたことに巨人は、恐喝を問題にするのではなく、報じた文春を名誉毀損で提訴。1審も2審も巨人は敗訴となり、報道は「真実」と認定された。

そのB氏が絡んでいるだけに、今回の脅迫疑惑はややこしい。

まず、A氏とB氏の関係が、現在のところ不明である。

写真やメールを認識しているのだから親しい関係にあるのは間違いないが、巨人との交渉をB氏に頼んだのかどうか。

また、前回、争われていたのは民事であり、B氏がトラブルの仲介者か、あるいは共犯者かは刑事事件的には不明のままである。

となると、今回、「事を荒立てない解決策」を“提案”してきたB氏の金銭的要求のない発言を、刑事事件に問うのは難しそうだ。

いずれにせよ巨人軍選手は、その名前だけでチヤホヤされ、「カネと博打と女の誘惑」が絶えないのは"宿命"である。

「親の心 子知らず」――20代から30代前半の“遊び盛り”の若者をどうコントロールするか。

「紳士たれ」を掲げる巨人軍の永遠の課題だろう。【未】


2016年9月8日配信「『セイクレスト事件』で逮捕された“大物粉飾アレンジャー”=松尾隆容疑者の転落の軌跡」<事件>

 

「あなたたちは、口を開けば粉飾、粉飾と騒ぐが、業績不振で金融機関などが見放した企業に“合法的な手法”で資金調達の手伝いをすることが、どうしていけないんだ!」――証券犯罪を取材テーマにしている記者に対峙した際の、“大物粉飾アレンジャー”=松尾隆容疑者のコメントは、いつも“合法の自信”に満ち溢れていた。
 
 つまりは“粉飾を正当化する達人”なのである。それだけに、気に障った取材や記事に対しては執拗に抗議、相手が音を上げるまで止めない熱心さは、数ある“兜町の怪人”のなかでも右に出る者はいないと言っても過言ではない。
 
「上手の手から水が洩れた?」――その達人が「セイクレスト」(元ジャスダック・5月2日破産申請)の水増し増資疑惑で遂に逮捕された。
 
 だが、今回の逮捕容疑は、粉飾があまりにも露骨すぎて、情けなかった。
 
 2010年3月期決算で債務超過に転落しそうだった「セイクレスト」元社長で、今回一緒に逮された青木勝稔容疑者が、松尾に相談。松尾が実質的に経営する不動産会社を引受先にして、現物出資による第三者割当増資を計画、20億円と不当に高く評価して債務超過を逃れたという疑いである。
 
 本誌は、今年4月に大阪府警と証券取引等監視委員会(SEC)が、合同で家宅捜索した時点からこの事件に注目、「逮捕寸前!『佐渡SEC』に睨まれた“元祖増資マフィア”=松尾隆の“黒い軌跡”!」(2012・6/6)と題した記事を配信した。
 
 それから逮捕までに5カ月以上が経過、証券界では「今回も松尾は逃げ切るんじゃないか?」という声も流れたが、当局のテーマが「何が何でも松尾の逮捕!!」だっただけに潰れることはなかった。
 ここまで時間を要したのは、松尾らが法廷で繰り出してくるであろう「合法の論理」を崩しておくのに時間がかかっただけである。
 
 しかし、松尾容疑者が“異能の人”であるのは認めないわけにはいかない。
 
 1969年3月、一橋大学経済学部を卒業して「日産自動車」に勤務。71年2月に退職、いったんは一橋大学商学部に学士入学するが、中退して「山種証券」に入社、84年3月に外資系の「スミスバーニー証券」に転籍。マーケットがバブル経済に沸き始めた頃、外資に移ったことが、資金調達アレンジャーとしての“凄腕”につながり、「プレデンシャル証券」を経て、94年4月、バブル崩壊に呻吟する上場企業が増えた頃に独立したことが、資金調達=粉飾アレンジャーとしての松尾の“居場所”につながった。
 
 実際、“怪しい資金調達の元祖”と言っていい。
 
 まだ海外のタックスヘイブン(租税回避地)を利用した資金調達が一般化していない頃、魑魅魍魎が跋扈、没落した製鉄会社「ヤハギ」が香港で発行するユーロ建て転換社債の発行に関与、タックスヘイブンのペーパーカンパニーを受け皿に、私募CB(転換社債)を発行させた。それが今から14年前の98年のことである。
 
 その後も松尾は、常に先端を走った。
 
 時価より安く発行価格を決める私募CBの次は、転換価格を自由に調整できるMSCB(修正条項付き転換社債)の発行を資金難の企業に伝授した。
 
「ヤハギ」「ヒューネット」「ヤマシナ」「日本ファーネス工業」「キーイングホーム」「ゼクス」、そして今回の「セイクレスト」――松尾容疑者が関与した銘柄は数多く、いずれにも“増資マフィア”、“資本のハイエナ”と呼ばれる連中が群がったが、調達に関わったのは一緒でも、株価操縦やインサイダー取引など、違法を承知でカネ儲けに走る連中と“同列”に見られることを極端に嫌い、一線を画していた。
 
 
「私は、企業再生のアドバイザーであり、資金調達のお手伝いをしているだけだ。批判されるいわれはない!」
 
 これが松尾の変わらぬ主張である。
 
 だが、「企業再生といいながら、再生した企業など皆無ではないか」と、反論されると、「それは経営者サイドの問題であり、経営者の質がどんどん悪くなっているから再生できないのだ」と、問題をスリ替えた。
 
 ただ、松尾が「合法」にこだわったのは確かである。
 
 05年には「ヤマシナ」で「10株を1株に併合、ただし転換価格は従来通り」とするとんでもない増資を仕掛けている。
 単純計算で「10倍の儲け」が引受先にもたらされたが、株主総会の議決など手順は踏んでおり、グレーゾーンではあっても違法ではなかった。
 
 もちろんSECも証券業界も手をこまぬいていたわけではない。
 グレーゾーンは次々につぶしていき、私募CB、MSCB、株式併合マジックなどは、使えなくなっていった。
 
 そうした逆風のなか、追い詰められた松尾容疑者が手を染めたのが、二束三文の土地を高く鑑定させるという工夫の見えない粉飾アレンジだったのである。
 
 証券トラブルによって、多くの民事訴訟を起こされ、儲かってもいないし、調達企業に感謝されたわけでもない。そのうえマスコミには叩かれ、捜査当局には狙われ続けて最後には逮捕された。

 逮捕前の松尾は、「法に触れることは何もしていないから、逮捕されることはない。仮に逮捕、起訴されても、当然無罪だ。最悪のケースでも、執行猶予ですぐ出て来る」(周辺関係者)と強がっていたと言われるが、相手は満を持して逮捕に踏み切ったSECだけに予断は許さない。
 
 一体、自己弁護の達人”である“大物粉飾アレンジャー”は、傍目には、苦労の多い、収支の合わないとしか思えない金融マンとしての人生を、どう総括しているのだろうか。【鰍】(2012年12月5日配信)

 

 

 

      

                                                      (記事と大いに関係があるかも?)

 

 

 

 

 

 

 

 


2016年8月16日配信「カウントダウン開始?――元経済革命倶楽部総帥、山本一郎・競球HD会長に訴訟ラッシュ!」<事件>



 稀有壮大、奇想天外、荒唐無稽――様々な四文字熟語で形容されるのが、山本一郎(意致朗)競球ホールディングス(HD)会長のビジネスモデルである。

 同氏については、競球HD会長というより、KKC(経済革命倶楽部)元会長といった方が、一般的には馴染みがあろう。

 今から20年以上前の1995年に立ち上げ、わずか2年の間に1万2000人の会員から350億円を集め、97年、詐欺罪で逮捕された人物だ。

 稀代の詐欺師!――1審判決で、裁判長からこう断じられた山本氏は、8年の懲役を終えて出所後、事件当時と同じ「未常識の経済」を掲げ、「競球」なる事業に行き着き、広く投資を呼びかけるに至った。

 今や東京・浅草に自社ビルを持ち、押しかける投資家に向けて"借り入れ"と"利払い"の作業を続けている。

 2年で350億円には及ばないが、競球事業を本格化させて5年で少なくとも100億円は集めたという。

 だが、さすがに“息切れ”がしてきた。

 月に20%以上という法外な金利を支払い続けるには、次々に投資家を募って、その投資されたカネを利払いに当てる自転車操業を続けなければならず、最近は中国人の口コミに支えられていたが、それも限界に達し、昨年9月からは何度も資金ショートを起こした。

 その度に、”言い訳”を繰り返し、「今年1月18日、強盗に入られて2億5000万円を強奪された」として何度目かの利払い中止を行ったが、投資家は山本氏を見限り始め、民事・刑事での責任追及が始まった。

 第一弾の民事訴訟が、2月26日から東京地裁で行われている。

 原告は3人。いずれも中国籍か日本籍を持つ在日中国人で、被害金額は300万円から700万円。――この種の投資被害は、日本人の場合、和牛商法や未公開株商法で証明されているように100万円が基本。被害に遭っても諦めがつく金額で、投資を受けた方にとっても訴訟のリスクが少なくて済む。

 だが、中国人の競球事業への平均投資金額は平均で600万円に達するということで、日中の資力の差と、リスクを恐れない博打好きな中国人の性癖をよく表している。

 なかには1億円以上もいて、(現在判明している限りでは)4億円近くの資金を投じた資産家が分かっている。

 レース場の長さを700メートルに設定、その周りを観客席にし、1球の値段を3億円に設定して約2000個を販売。24時間、50レースが可能で、世界に5万軒の場外球券場を募集、1軒の売上が毎日平均1億円で、1日5兆円に達することも夢ではない――。

 この奇想天外な競球事業の実現性について語っても意味はない。

 中国人を中心とする投資家たちは、山本氏の提唱する事業に夢を託したのではなく、同氏の机に山と積まれた1万円札に惹かれた。

 長短で金利の差はあるが、平均して20%以上。500万円を預ければ、月に100万円近くが戻ってくる。

 目の前で、山本氏が紙幣計数機に無造作に万札を入れ、威勢良く勘定された札束が、利息を受け取りに来た投資家に次々と渡される。

 投資家は、その光景に痺れた。

 当初、カネ集めが伸び悩んだのは、いかに立て板に水の弁舌で事業への夢を語り、カネをバラ撒いても、日本人には「KKC事件」の記憶が蘇るからである。

 そこで、2年ぐらい前からは中国人相手にシフト、中国語を話せるスタッフを充実させると、面白いようにカネが集まり始めた。

 しかし、無限連鎖には限りがあり、爆発的な伸びが利払い停止を早めた。

 既に、まともに支払われなくなってほぼ1年。――見限った中国人は、中国大使館を動かして日本政府に働きかける一方で、上述のように民事訴訟を提起。先日の東京地裁前の抗議デモに参加したメンバーの一部は、刑事告訴の準備も始めたという。

 台東区西浅草3丁目!――老舗すき焼屋の裏にある"山本一郎競球城"落城の日が近づきつつある。【戌】



 

2016年8月9日配信「ネットで見つけたVALUABLE ARTICLE」

(記事と大いに関係があるかも?)


 

 

「自称大物華僑・葉剣英」投資詐欺師に手を貸した政治家とは

架空の介護事業をめぐる詐欺事件で東京地検に逮捕された自称「大物華僑・葉剣英」の畑隆氏容疑者(65)。長年にわたって、政治家との親しい交際や巨額の残高証明などの“小道具”を見せつけ、資産家らを「もうけ話」に引き込んできた。“知る人ぞ知る”畑容疑者の奇跡を追った。

東京地検の調べや関係者の話によると、畑容疑者は北海道生まれの日本人だが、本人は「葉剣英が本名。以前日本人の戸籍を買ったので、日中両国の国籍がある」と言い続けている。

1990年代半ばごろから、経営していると称するクレジットカード会社などをめぐる金銭トラブルで“葉剣英”の名前が何度も浮上。昨年摘発された日本エルエスアイカードの特別背任事件では、同社破たんの遠因となった15億円の転換社債引受先が畑容疑者の事務所(当時)と同じ所在地だった。

「昼食会に来た金子善次郎衆議院議員(自民、比例代表関東ブロック)はパーティー開催を畑容疑者に頼んでいた。大物だと思った」。逮捕容疑となった農事組合法人による介護事業を持ち掛け続けられ、出資した人が振り返る。

金子議員は畑容疑者が設立した「農事組合法人アジア・アグリ連合会」の代表理事で、太田豊秋参議院議員(同、福島選挙区)と西銘順志郎参議院議員(同、沖縄選挙区)も顧問を務めた。2003年に沖縄で開かれた同連合会設立総会では、最高顧問として熊谷弘元衆議院議員もあいさつした。

「有力議員がバックにいる」と印象づけ、畑容疑者は資産家らにこう切り出した。「実は農水省の各課に剰余金がある。集めれば膨大な金で、それを介護に回せる」

もう一つの小道具だった「華僑の資金力」。カード事業名目で会社経営者らから主資金を集めた際、約47億円の残高証明書を提示した。また5億円の残高証明書をつかって資本金5億円の会社を簡単に設立し、経営者らを驚かせた。

ところが、残高証明書の発行元は聞き慣れない金融機関で、所在地とされる東京都内のビルの管理会社は「そんな企業は存在しない」と話す。また「巨額の残高証明書を売っていた」と語る関係者もいる。(共同通信)

東京地検は福祉事業への架空の投資話で100人以上から数億円を集めた男を逮捕した。国会議員まで丸め込んでいたこの人物、その業界ではツトに有名な詐欺師だった。

逮捕されたのは畑隆氏(たかし)(65)。詐欺の手口はこうだ。

全国の金持ちに「規制緩和で沖縄に行政特区が認められ、農事組合本部を置けば福祉介護事業が展開できる」「建設費は国から補助金が出るから投資しないか」と持ちかけた。もちろんウソ。畑は農事組合法人アジア・アグリ連合会など70法人をでっち上げて信用させていた。

畑がすごいのは融資話の際に、民主党から自民党に移った国会議員・金子善次郎を同席させて信用させていたことだ。金子は落選中に元民主党幹部の紹介で畑と知り合い、「広告塔に利用された」と言っているが、脇の甘さは否めない。

この畑、裏世界では長年有名人だった。自称華僑。中国共産党創設期の幹部と同じ名前の「葉剣英」を名乗り、中国政府と太いパイプがあると吹聴していた。

「やってきたことは偽造書類詐欺。中国の大手銀行の残高証明を偽造して『保証金を積めば大型融資ができる』と持ちかけて金を取ったり、でっち上げの公図を見せて『宅地に転換できる農地があるから買わないか』と手付金を取ったり。いずれも後で『あなたの会社は審査で不合格になった。オレに恥をかかせたな』とすごんで騙(だま)し取っていました。融資した方ももともと脱税などの非合法な金なので、告訴できずに泣き寝入りでした」(事情通)

さまざまな事件や地上げ案件に首を突っ込み、かつて住友銀行赤坂支店を舞台にした巨額詐欺事件が発覚した際にも、首謀者の支店営業マンを自宅に匿(かくま)っていた。当時、取材に行った日刊ゲンダイ本紙記者が「あなたは華僑の葉剣英ではなく、北海道出身で本名は畑でしょう」と問うと、真っ赤になって怒り出したこともあった。裏世界では「よく今まで逮捕されなかったものだ」と妙な感心のされ方である。(日刊ゲンダイ)

またまた国会議員が広告塔となった詐欺事件。胡散臭い奴に手を貸した挙句、悪事が露見すると「名前を貸しただけ」だの「自分も被害者」だの白々しいコメントを発表すれば何のペナルティも問われない日本社会。有権者がこういう反社会的行為を許す限りいつまで経っても詐欺事件に加担する政治家は減らないでしょう。

自分の選挙区から選出された先生がこんな詐欺師と知り合いだなんて誰だって嫌なはず。あまり報道されないと知らないまま投票してしまう人が出てくるのでマスコミ、特に社会的影響力の大きいテレビはきちんと取り上げるべきだと思います。


【出典・テレビ大菩薩峠・2007年2月19日】

 

 

 

 

 

 

 

 


2016年8月5日配信<0510archives>「贈賄認定なら五輪返上!?――仏司法当局が捜査する『電通』関与の東京オリンピック招致疑惑はどこまで暴かれるのか?」<事件>


世界大運動会は"腐臭紛々"!?


 コンサルタント料という名の贈賄工作が、仏検察当局の手で暴かれようとしている。

 振り込んだのは東京オリンピック招致委員会で、振り込まれた口座の持ち主は五輪招致に影響力を行使できる立場にあったラミーヌ・ディアク国際陸上競技連盟(IAAF)前会長の関係者である。

 ディアク前会長とカリルとパパマサッタという2人の息子は、ドーピングに絡む収賄と資金洗浄の容疑で、既に仏司法当局によって逮捕(パパマサッタは逃亡中)されており、IAAFを利権の場にした"陸上マフィア"であることが証明されている。

 この問題を英ガーディアン紙が報じたのを受けて、13日、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は、「(振り込んだ約2億2000万円は)コンサルタント料であり、疑惑をもたれる支払いではない」と、明言した。

 だが、ディアク前会長が、息子2人をコンサルタントとして遇していたように、コンサル料は贈賄の“方便”として使われることが多い。

 しかも、振込先銀行口座を持つシンガポールの「ブラック・タイディングス社」は、老朽化した公営住宅の一室にあり、JOCの声明にある「アジア中東地域の情報分析のエキスパートで、正式な業務契約に基づく対価」を支払う会社とは思えない。

 代表は、スイスのルツェルンに本拠を置く「アスレチック・マネージメント&サービシズ」(AMS)でコンサルタントを務めるイアン・タン・トン・ハン氏だが、同氏もまた“隠れ蓑”であるのは、ブラック社の口座が、ドーピング事件の際にも入出金口座として利用されたことで証明されている。

 ドーピング事件と東京オリンピック招致疑惑――。主役はディアクIAAF前会長父子だが、事件解明のカギを握るのは広告代理店大手の「電通」である。

 それは、最初に報じたガーディアン紙の次の記述で明らかだ。

 「秘密口座は、広告大手の電通の子会社『AMS』のコンサルタントとして雇われたイアン・タン・トン・ハン氏が、シンガポールに所有していた。タン氏はディアク紙の息子・パパマッタ・ディアク氏と親密な関係にある」

 「電通」は、サッカーワールドカップ、国際陸上、オリンピックなど国際的なスポーツイベントに抜群の強みを発揮する。

 その原点といえるのが、1982年にドイツのスポーツ用品メーカー、「アディダス」の創業家であるホルスト・ダスラー氏と「インターナショナル・スポーツ&レジャー」(ISL)を設立したことだった。

 「ISL」は、国際スポーツのマーケティング利権を牛耳る存在となったが、手を広げ過ぎ、派手に工作をし過ぎていたこともあって、01年に破綻する。

 「AMS」は、かつてのISL幹部が横滑りしており、ISL利権を受け継ぐ会社だが、同社と「電通」の接点となるのが、電通元専務で同社のスポーツ事業を仕切ってきた高橋治之氏である。

 高橋氏は、かつて「南海のバブル王」として知られた故・高橋治則氏の実兄であり、ISL設立時から国際スポーツイベント関与、日本の第一人者として知られており、09年に「電通」は退社したが、企画会社「コモンズ」の会長で、東京オリンピック組織委員会理事を務めている。

 ディアク父子の他に、「電通」と高橋氏を主役に据えると、事件の構図が鮮明になる。

 五輪招致を成し遂げたかった「電通」は、ISL時代からのコネクションを通じて「IAAF」に君臨するディアク氏に食い込んでおり、AMSラインを通じてディアク父子にコンサル料という名の贈賄工作を行ったのではないか。

 「電通」は、「IAAF」の独占マーケティング権を2029年まで持つなど「IAAF」とは特別な関係にあり、「アジア中近東の情報分析」を求めて、自身の"分身"のような存在であるタン氏の口座に約2億2000万円も支払うハズがない。

 それを、高橋氏を窓口に招致委員会が、組織決定として行っていたら、収賄工作は明らかで、「五輪返上」が現実のものとなりかねない。――果たして、それを承知で、仏司法当局は本格捜査に乗り出したのだろうか。【申】









 


2016年7月26日配信「古巣の検察に異議申し立てをした証券取引等監視委員会・佐渡賢一委員長の思惑と覚悟」<事件>

佐渡賢一委員長
 (☚金融庁HP)


検察庁証券取引等監視委員会が、東芝3元社長の「粉飾決算事件」を巡り、前代未聞のバトルを繰り広げている。

証券監視委が、「明らかな粉飾決算。刑事告発するから受理して事件にしろ!」と迫り、検察が、「怪しい思惑の取引だけど、刑事事件にするほどのことはない!」と、突き返した。

従来ならここで終了。起訴する権利(公訴権)は検察にしかないからだ。

だが、今回は異なる。

証券監視委は刑事事件化にこだわって調査を継続。一時は、粉飾決算の証拠を公表して世論を喚起しようとした。

しかし、さすがに泥沼の争いになるということで、公表は延期した。

ここまで証券監視委が強気なのは、佐渡賢一委員長が元福岡高検検事長と検察OBであるのに加え、今年が3期9年の最終年度に当たり、日本の上場企業に蔓延する「粉飾の土壌」にメスを入れたいという強固な意志を持っているからだ。

東芝経営陣のどこに問題があったのかは、パソコン事業の「バイセル取引」に関するものでハッキリしている。

「東芝」は、調達するパソコンの部品を、製造を委託した台湾のメーカーにいったん売却、後から完成品を買い戻す。これがバイセル取引だが、その際、台湾メーカーに部品価格を高く設定して販売、その分を上乗せした価格で買い戻し、利益を調整していた。

この粉飾部分について、検察と証券監視委の間に意見の相違はない。

問題は、「チャレンジ」という言葉で、利益の必達を求めた西田厚聰、佐々木則夫、田中久雄の歴代3社長が、バイセル取引の利用を「指示」していたかどうかである。

既に進行中の民事訴訟で、3社長は粉飾の「指示」も「認識」も否定している。

本格的な取り調べはこれからだが、3社長が否認するのは間違いなく、しかも社内外の監査が入る大企業で、社長の責任のみを問うことの難しさが、検察をひるませている。

「東芝」の粉飾事件について、一般的な反応は、「大なり小なり、どこの企業もやっていること」といったものだろう。

「粉飾といっても、6兆円企業が6年間に2300億円を水増ししていたのだから誤差の範囲。在庫の調整や子会社や親密企業に売上協力を要請することで利益の調整を図るのは、どんな企業にも心当たりがあるだろう。課徴金という行政処分ならともかく、法律の杓子定規の判断で経営陣を逮捕するなど馬鹿げている」(上場企業経営者)

しかし、「誰でもやっているから見逃すべき」という感覚が、「粉飾の土壌」をはびこらせているという認識が佐渡委員長にはあり、「明確な指示と長期にわたる実例」が発覚している以上、許すわけにはいかないのである。

同時に、ここには検察が公訴権を振りかざし、事件を取捨選択してきた"常識"が、覆り始めたという時代の変化がある。

検察に司法取引を与えた刑事司法改革は、同時に可視化の導入も含めて、密室での取り調べや自白の強要を無くすなど公平性と透明性を求めるものだった。

検察の強みは、非公開性のなかで、特捜部という最強の捜査機関で捜査を進める一方、警察・国税・証券監視委・公正取引委員会など捜査・調査権を持つ役所を手足のように使えることだった。

まさに、「日本の秩序は自分たちが守る」という唯我独尊の組織だった。

その傲慢さが、一連の不祥事によって徹底的に叩かれ、司法取引の導入などによって新しい捜査手法を持つ、新しい組織に生まれ変わる時、捜査・調査機関が、これまでのように検察にお伺いを立て、「捜査の筋も事件化の可否」も検察に決めてもらう検察依存型組織であっていいはずがない。

つまり、検察が変われば、警察も国税も証券監視委も公取委も、みんなが立件への意思を持つ捜査・調査機関に変わらなければならない。

かつてなら考えられない「検察と証券監視委のバトル」は、そんな時代の節目に、退任間近の佐渡賢一という失うもののない"役者"が演じた"最後の大芝居"である。【亥】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2016年7月20日配信「米SECのアローラ前副社長に対するインサイダー疑惑調査で孫正義・ソフトバンク社長が直面する"次元の異なる危機"!?」<事件>

 

 

 

ソフトバンクの孫正義社長は、"大博打"を打ち続けながら、時にマスコミに叩かれ、時に監督官庁や捜査当局に睨まれつつ、一代で日本有数のIT・通信・エネルギー企業グループを築き上げた稀代の起業家である。

 本人は決して弱音を吐かず、弱みを見せることもないが、倒産の危機に瀕したことは過去に何度もある。

 だが、売上高約9兆円、株式時価総額約7兆円に達した今、「ソフトバンク」の経営基盤は簡単には揺るがないし、孫氏の大言壮語が批判されることもない。

 孫氏は、来年の還暦を前に、それだけのものを確立した。

 

 しかし、今回の危機は、かつてと次元が異なる。

 

 相手は米証券監視委員会(SEC)であり、かけられた疑惑は、孫氏が三顧の礼を持って迎えたニケシュ・アローラ副社長インサイダー取引と、それに伴う利益相反疑惑である。

 さらにそこに、孫氏が社外取締役を務める中国のオンライン市場会社「アリババ」が絡み、孫氏自身も疑惑の構図の中にいる。

 時系列で振り返ってみよう。

 孫氏が、「Google」のチーフ・ビジネス・オフィサー(CBO)だったアローラ氏を後継者含みの副社長として招請したのは、2014年10月。その時の報酬が約165億円だったことでも話題になった。

 今回、問題となっているのは、「ソフトバンク」に入社して以降も、アローラ氏が米投資会社「シルバーレイク・パートナーズ」の経営幹部だったことだ。

 「ソフトバンク」の投資部門の責任者であるアローラ氏が、そこで得たインサイダー情報で自らの米投資会社の投資活動に関与すれば、「利益相反によるインサイダー取引」の疑いが生じてくる。

 具体的には、アリババ株である。

 「アリババ」は、99年、ジャック・マー氏が起業した電子商取引の会社だが、翌年、中国でマー氏に面談した孫氏は、5分で出資を決断。従業員10名の赤字会社に、マー氏が望む2億円の10倍の20億円を即決したという孫氏らしいエピソードを残している。

 「アリババ」は、予想以上の発展を遂げ、14年9月にニューヨーク証券取引所に上場。その後の投資も含めて「ソフトバンク」が投じた105億円は、6兆7000億円の価値を生み、最大の成功例となった。

 約12兆円もの有利子負債を抱える「ソフトバンク」が揺るがないのも、このアリババ株の"大化け"のおかげである。

 「ソフトバンク」が出資し、大株主(現在32.2%)という経緯で、孫氏とマー氏は深い絆で結ばれ、孫氏は「アリババ」の、マー氏は「ソフトバンク」の、それぞれ社外取締役である。

 アローラ氏の「シルバーレイク」は、「アリババ」の業績悪化を理由に、保有株を15年半ばまでに売却している。

 また、SECは、「アリババ」の開示した情報に不審な点があるとして今年初めから調査に入り、それを「アリババ」は5月25日に開示した。

 翌日から株価は暴落したが、それに追い打ちをかけるように、6月1日、「ソフトバンク」はアリババ株の約4%を売却すると発表した。

 こうした経緯のなか、「ソフトバンク」に置かれた特別調査委員会は、6月20日、アローラ氏の一連の疑惑を調査した結果、「問題はなかった」と、結論づけた。

 そこで、続投かと思われたのだが、翌21日、「ソフトバンク」はアローラ氏の退任を発表。翌22日の株主総会で、孫氏は、「5年、10年とやりたくなった。欲が出てきた」と、社長続投を表明したのである。

 その一週間後、米の複数のメディアが、アローラ氏のソフトバンク在任中の行為に関し、SECが「ソフトバンク」ともども調査に入ったことを報じている。

 アローラ招請とアリババ株の売却――SEC調査が複雑に入り組んでいて、どこに問題があるのかが見えづらいが、「ソフトバンク」と「アリババ」というインサイダー情報を共有している会社に、投資家の側面を持ったままのアローラ氏が副社長が入社、危機を見越したような売却を行えば、SECに疑われても仕方がない。

 加えて、アローラ氏の"円満な退任"を演出した孫氏の真意はどこにあるのか。

 隠蔽を疑われかねない行為は、孫氏自身にも何らかの弱みがあることを感じさせる。

 SECには孫氏の"神通力"は通用しない。

 むしろ、SECには、アリババ捜査を通じて中国企業の曖昧な情報開示にメスを入れようという思惑があり、調査はアローラ疑惑も含めて長引く可能性がある。

 直面する「次元の違う危機」に孫正義氏は、どう対処するのか?――今後の推移から目が離せない。【辰】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2016年7月6日配信<0510archives>「雌伏6年、司法取引で焼け太りの"死んだふり特捜"が牙を剥くタイミングとその理由」<事件>

(☚wikipedia)


 舛添要一都知事のみっともない政治資金の私的流用がマスコミの話題を独り占めしている最中、東京地検特捜部は甘利明前経済再生担当相の口利き疑惑を不起訴処分とした。

 このタイミングを見計らったような処分決定は、「甘過ぎる」という国民批判をかわすためだろうが、それは"要らぬ配慮"(笑)であった。

 本来、検察捜査のチェック機能を持つべき大手マスコミの司法記者たちが、「あっせん利得処罰法違反での立件は無理だった」と、検察幹部のレクチャーそのままの記事を書き、検察を“支援”したからである。

 事件の悪質性から言えば、公金を"横領"したに等しい舛添氏と、ゴネ得を狙った事件屋に政治資金を渡され、この問題に関し事務所ぐるみで9回も「都市再生機構」(UR)の幹部を呼びつけた甘利氏の罪は五十歩百歩。否、見方によっては甘利氏の方が悪質、重大であるともいえる。

 だが、「一匹狼の政治家・舛添要一」「官邸がバックアップする安倍晋三首相側近・甘利明」は、背景の政治力に雲泥の差がある。

 それが、不起訴を経て復活に向かう甘利氏と自民党も見捨てて四面楚歌に陥った舛添氏との差になった。

 「甘利不起訴」の理由は、「官邸の意向」である。

 検察は、「『国会で質問するぞ』といった、具体的な圧力がなければあっせん利得処罰法は使えない」と、法律の“不備”を指摘するが、それはゴタクである。

 国民感情に照らせば、甘利事務所の行った行為は明らかに不正であり、斡旋利得処罰法違反だけでなく、政治資金規正法違反、公職選挙法違反、横領など、あらゆる法律を駆使して切り込んでいくべきだった。

 時効を迎えていない行為もあるのに、この時期、あえて不起訴処分で幕引きを図ったのは、7月の参院選(場合によっては衆院選も想定できた)に悪影響を与えないように早めに処理し、検察が官邸に恩を売りたかったとしか思えない。

 政官界と国政の監視役としての役割も期待される「法務・検察」が、ここまで政界の意向を気にするようになったのは、6年前の大阪地検事件が原因であり、検察はそこから自主的な「特捜改革」と、それに歩調を合わせた「刑事司法改革」を、政界の"承諾"を得ながら進めて行かねばならなかった。

 「特捜改革」とは、検察が起訴しやすいシナリオを作成、それに合わせて無理な自白を引き出し、事件を作り上げる従前の特捜捜査からの脱却が狙いで、そのために取り調べの過程を録音・録画して透明性を高め、それで難しくなる捜査のために司法取引を導入しようというのが「刑事司法改革」だった。

 法案を通すのは国会であり、与党・自民党が圧倒的に主導権を握る政界の現状では、自民党=官邸の協力なしに刑事司法改革関連法案は成立しない。

 そのために「死んだふり特捜」が定着。その甲斐あって、5月24日、ようやく法案は成立した。

 といって、すぐに施行されるわけではない。

 司法取引は、供述によって刑事処分が軽減される「協議・合意制度」と、刑事責任免除を約束することによって証言させる「刑事免責制度」の二つが柱だが、初めての試みであり、2年の試行錯誤を経て、施行される。

 これまでにも事実上の司法取引はあった。

 ヤメ検が珍重されたのはそのためで、現役の検事とOBのヤメ検が、密室で保釈の時期や猶予刑とするか否かを協議、それによって証言内容を変えさせた。

 だが、今回は、密室をオープンにしてシステム化するのだからまったくの別物。そのために施行までには模擬的な司法取引を行う必要性があり、それまでは政界に邪魔されたくはない。

 従って、特捜の死んだふりはもう少し続く。

 だが、「司法取引」という道具を手に入れ、その使い方に習熟すれば、また検察は捜査権力を使いたくなるし、政・官にとって"怖い存在"になるのは必至である。。

 それに、司法取引の反対給付だったはずの可視化は、検察案件に限られるうえ、逮捕前や起訴後の可視化は義務付けられないなど「検察の焼け太り」の内容になっている。

 検察は、死んだふりの後に、いつどんな形で"牙"を剥きだしてくるのか。――マスコミは挙げて、それをチェックする作業を怠ってはならない。【巳】






 


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