2017年3月8日配信「石原元都知事が記者会見で名指しして非難した前川燿男練馬区長の語られざる履歴」<政治>

 
前川燿男練馬区長(区役所HP)


 石原慎太郎元都知事が、3月3日に行った豊洲移転に関する記者会見は、責任逃れに終始して都民に不満を残した。

 それが、3月20日の百条委員会での証人喚問で解消するとは思えないが、一点、「私が喋れば困る人が出てくる」と語っていた「困る人」のひとりが、前川燿男練馬区長である?ことを明かしたのは"収穫"である。

 既に、「東京ガス」に天下った前川氏の利益相反疑惑については、これまでも指摘されていたものの、当時の最高責任者が名指しした意味は大きく、前川氏を表に引きずり出せば、豊洲移転を含む東京都の「利権構図」まで明らかになる。

 前川練馬区長とはどんな人物か。

 71年、東大法学部を卒業後、都庁に入庁したエリートで、石原都知事時代の2000年、福祉局長に取り立てられ、02年、事務方トップの知事本部長、04年には知事本部が知事本局となって局長に就いた。

 石原氏が、「(瑕疵担保責任を免除するという)実際の契約を結んだ人物が、いきなり『東京ガス」の執行役員になった」と、前川氏を批判したのを受けて、前川氏は、すぐに練馬区庁で会見を開き、「部下の責任にするとは言語道断。それに契約書が結ばれたのは、私が退職して6〜7年も経っている。いい加減にして欲しい」と、怒りを顕にした。

 だが、土壌汚染対策に関する話し合いと合意は、前川知事本部長印が押された02年の「豊洲地区整備に係わる合意」、前川知事本局長印が押された05年の「豊洲地区用地の土壌処理に関する確認書」のなかでなされただけに、たとえ「瑕疵担保責任」という文言はなくとも、前川氏が現役時代に作った流れに沿うものであるのは明白だ。

 ましてかつての上司である前川氏が、東京ガス執行役員として在職していれば、後輩の都庁幹部に契約の際、配慮と遠慮が生じるのは当然だろう。

 前川氏の前に石原氏が豊洲移転を一任していた元副知事・浜渦武生氏は、「前川関与」を次のように明言している。

 「『東京ガス』がきれいにしてから売買するということを決めていたのに、なぜそこをやらせずに都が汚染対策費まで出したのか。(中略)私が(副知事を)辞めた後、知事本局がしっかり詰めていくことになっていた」(『サンデー毎日』17年3月5日号)

 護岸工事を東京都、汚染対策を「東京ガス」がやることになっていたのに、後任の知事本局、つまりは前川氏が「東京ガス」に譲歩した、と言いたいのである。

 忘れてはならないのは、石原氏の信任を受けていた浜渦氏が、この頃、「都議会のドン」の立場を確立しつつあった内田茂都議や、内田氏と組む都庁幹部と深刻な対立関係にあったことだ。

 この時、浜渦氏が標的にしたのが前川氏で、同氏が福祉局長時代に開校した都社会福祉学院に問題ありとして、浜渦氏は旧民主党都議に「やらせ質問」を依頼。それが暴露されて百条委員会が立ち上がり、05年5月、浜渦氏は副知事退任を余儀なくされた。

 つまり前川氏は、事務方のトップでありながら、石原氏の右腕である浜渦氏と敵対関係にあった。もちろん、一官僚が立ち向かうには敵が大き過ぎる。

 そこで頼ったのが内田都議であり、内田氏と組んで「反石原」を鮮明にしていたフィクサーの山田慶一氏である。

 当時、山田氏の事務所には「反石原」の官僚や官僚OBが出入り、そのなかには前川氏のかつての上司の石川雅已千代田区長もいた。

 前川氏は、いかに山田氏とドップリだったのか。

 それを示すのが、中央区銀座の山田事務所内に設立された「大都市政策研究センター」で、前川氏は「東京ガス」在職中にこの会社の代表に就任、「東京ガス」を退職後、練馬区長選に立候補するまで役員を継続していた。

 浜渦氏に怨念を抱く前川氏が豊洲移転の後任となった。

 その路線をキチンと踏襲したのか、それとも新たな「自分の路線」を敷いたのか。少なくとも「東京ガス」に天下りをした事実から推測されるのは、東京ガス」に何らかの約束事をしたという疑念?である。

 浜渦氏は先のインタビュー記事で、「今は喚問前なので言えないが、喚問では『本当の戦犯』を名指しする」と、語っている。

 自らを放逐した百条委員会から12年の歳月が流れた。

 来る3月19日――今度は浜渦氏が"怨念"を晴らす番である。【戌】

 

 

 

 

 

 

 


2017年2月21日配信「何を今さら!――豊洲移転を実現した浜渦武生元副知事の言い分」<政治>

 
築地市場は永遠?(☚wikipedia)


 なぜ土壌汚染が顕著な豊洲に生鮮喰品を扱う築地を移転させたのか――。

 環境基準を大幅に上回る有害物質が検出されたことで豊洲市場問題は、原点に返ることになった。

 東京都が、老朽化した築地の整備を決めたのは、6代前の鈴木俊一知事時代に遡る。

 当初は現地建て替えだったが、次の青島幸男都政の95年頃から豊洲移転の話が出始め、01年12月、石原慎太郎知事時代に豊洲移転が決まり、土地所有者の「東京ガス」との合意書も結ばれた。

 「なぜ豊洲だったのか?」を探るには、20年以上も前の記憶と記録を掘り起こさねばならず、作業は容易ではない。

 しかし、小池百合子知事は石原元知事の責任を問う住民訴訟で石原氏の責任に言及する方針を固め、都議会は全会一致で石原氏の参考人招致を決めた。

 その際、キーマンと目されるのは石原氏の側近で、担当副知事として「東京ガス」との交渉をまとめた浜渦武生氏である。

 「なんで私の責任になるのか。前任の(福永正通)副知事が何度、交渉してもうまくいかなかったのを、私がまとめただけ。合意事項は、都が護岸工事を、『東京ガス』が土壌改良をすることで、双方、実施した。『東ガス』の改良工事は、当時の環境基準をクリアするもので、何の問題もなかった」

 浜渦氏は、出演したテレビ番組などで、憮然とした表情でこう語った。

 剛腕で鳴らした人だけに、強気で抗弁すると、司会者はタジタジだった。

 ただ、当時の「東京ガス」の幹部によれば、「売却にウンといわなかったのはウチの方で、それを浜渦さんは口説き落とした。『苦労してまとめたのに、今になって』という彼の気持ちも分かる」と、理解を示す。

 そのうえ、豊洲移転を推進したのは、青島時代の東京都の都議会実力者と都の港湾局幹部であり、99年に初当選した石原氏の側近として浜渦氏は交渉を引き継いだだけである。

 しかも皮肉なことに、移転推進派はその後、東京都利権を巡って浜渦氏と鋭く対立する内田茂都議であり、石川雅已千代田区長であり、知事本局長の後、練馬区長となる前川燿男氏だった。

 当時、「東京ガス」の会長は安西邦夫氏。インフラを担う公営企業ながら、同社は「法王」と呼ばれた安西浩氏が長年に渡って支配、その次男の邦夫氏が社長、会長を歴任したことから私物化批判が絶えなかった。

 それでも浩氏の弟の正夫氏が昭和電工会長を務め、その長男・孝之氏が美智子皇后の妹と結婚するなど閨閥は華麗な広がりを見せ、安西家に表立って反対するものはいない。

 浜渦氏は、そこを巧みに利用した。

 浩氏の長女・和子さんは佐藤栄作元首相の次男・信二氏と結婚していた。信二氏は栄作氏の後を継いで政治家となり、旧通産相を経験していた。

 浜渦氏は石原ルートで信二氏に接触、監督官庁の通産省から「公営企業が無駄な資産を持つのはいかがなものか。必要なければ処分して、ガス料金を値下げすべき」と、圧力をかけさせ、売却への道筋をつけたのだった。

 浜渦氏とすれば、青島時代からの懸案を片付けたという思いがある。

 しかも、石原氏が知事になった時、自民党は野党であり、なかでも内田氏はことごとく敵対、副知事への就任に反対したし、05年には浜渦氏が「やらせ質問」を行わせたとして、百条委員会を設置、浜渦氏を都庁から追い出した張本人である。

 石川、前川の両氏は、都の官僚時代から内田氏に可愛がられていた。

 浜渦氏としては、自分の“功績”を横取りして豊洲移転を利権化したのは内田氏らという思いがあり、だからインタビューなどでは「私の後任の悪い奴らが企んだ」と、語っている。

 

 「悪い奴ら」が誰を指すかをいうまでもなく、今は、千代田区内の利権を巡って内田氏と袂を分かった石川氏が、「敵の敵は味方」という論法で小池知事が持ち上げていることが、片腹痛いに違いない。【丑】

 

 

 

 

 


2017年2月14日配信「石原=浜渦コンビに手をかけ、疑惑の汚染調査に突っ込む『小池劇場』の今後」<政治>


俺は逃げないゾ!?(wikipedia)


 千代田区長選に勝利、7月の都議選で過半を制することに自信を持った小池百合子都知事だが、明確な「敵」を作って戦い、都民の関心を集める「小池劇場」を止めるつもりはない。

 多勢に無勢の「東京五輪問題」は一服しているものの、環境基準値の79倍もの有害物質ベンゼンなど汚染が顕著で移転が延期された豊洲新市場は、移転を決めた石原慎太郎元知事への批判の高まりのなか、同氏の責任を求める住民訴訟で、都側は元広島高検検事長の勝丸充啓弁護士を団長とする新弁護団を結成した。

 「(石原氏の)賠償責任の有無などについて事実関係を究明、適切な訴訟活動をする」と、小池知事は言明しており、都議会の一部が推進している百条委員会と合わせ、石原氏は厳しい立場に追い込まれた。

 石原氏は、担当の浜渦武生元副知事に責任を被せて逃げ切るしかない、と察知している浜渦氏は、報道番組にも出演、「石原さんの命を受けてやったことだ。私と東ガスとの約束では護岸は東京都、土壌汚染対策は東ガスがやることになっていた。なぜ、都が巨費を投じたかは、私の退任(05年)後のことなので分からない」と、反論に転じた。

 石原氏の"藩屏"だった浜渦氏も衰えが目立ち、責任を転嫁する石原氏から逃げるしかない。

 石原軍団に向けられた「小池の矢」は、「石原=浜渦」というかつての都政の両輪の対立を生み、法廷や百条委員会での暴露合戦となって、「小池劇場」を盛り上げることになる。

 さらに、小池氏は疑惑の汚染対策の犯人探しという、これまた注目を集める事件を手がける。

 なぜ、7回まで一度も環境基準を超えたことがなく、8回目も微量だった豊洲の地下水モニタリング調査の結果が、9回目に201ヵ所のうち72ヵ所から有害物質が検出されたのか。

 4回目から8回目までは、5街区鹿島JV、6街区清水JV、7街区大成JVと、建設工事を受注したゼネコングループが随意契約で採水と分析を受注しており、「出来レース」を疑われるのは当然で、有害物質が出ないような手抜き調査だったことが、十分、考えられる。

 同じようなケースで、「モニタリング室」という名の地下空間を設置、盛り土をしないことを決定しながら、それを公表せずに隠蔽していた問題がある。

 この盛り土犯については、「空気のなかで物事は進行していた」と、小池知事は述べた後、中西充副知事ら8人の懲戒処分を発表した。

 今回も「手抜き調査」の有無が問われるが、6000億円の豊洲市場をドブに捨てることになるかも知れない"犯罪的手抜き"であり、内部調査や議会での参考人招致が始まれば、豊洲騒動は治まらず、それは更なる小池人気の継続につながる。

 ただ、長く戦いを続けていると、「敵の敵は味方」という荒っぽい小池知事の手法にも綻びが生じてくる。

 内田茂都議との戦いによってクリーンなイメージの石川雅已・千代田区長だが、かつては内田氏の誘いで都庁官僚から区長となり、内田氏が剛腕の浜渦氏と対決する際には、共同戦線を張って、「浜渦追い落とし」に成功した人物である。

 しかし、「昨日の友は今日の敵」――その後の両者の喧嘩は、千代田区の利権を巡る争いだった。

 石川区長の背後に、ゼネコン談合や道路公団疑惑に顔を出すフィクサー・山田慶一氏が控えているのがその象徴で、その山田氏が、かつて自分の事務所に会社を作らせ、代表に据えたのが前川燿男・練馬区長だった。

 前川氏は、東京都の知事本局長として「東京ガス」との合意文書などに署名した責任者でありながら、退職直後の05年9月、「東京ガス」に天下り。同社を退職後の14年、練馬区長選に出馬し、当選する。

 前川区長が、山田氏と共同で事業をしていたのはその間だが、山田氏は内田都議の盟友であり、内田・前川・山田の3氏は、築地の豊洲移転に強権発動する石原=浜渦体制に反発、最後は内田氏が、浜渦追及の百条委員会を立ち上げたところで浜渦氏は退任した。

 豊洲はこうして、都議・都知事・フィクサーなどが入り乱れた利権争いの場で、誰が良い、悪いという単純な話ではない。

 「因果は巡る小車や 善し悪しともに巡り果て」――敵か味方か、黒か白かの単純な二元論で「小池劇場」を続けていれば、いつか破綻の危機を迎えるかも知れない。【戌】

 

 

 

 


2017年2月7日配信「小池都知事に擦り寄る都議会各派の節操の無さと八方美人化する塾長に対する『希望の塾』塾生の不安と不満!」<政治>

女策士(☚wikiedia)


 小池百合子都知事の人気が衰えないなか、7月に行われる都議選の前哨戦である、2月5日投開票の千代田区長選で現職の石川雅巳氏(75)が1万6371票を獲得、他の2候補に予想以上の大差をつけて当選した。

 対立構図を作り出して、敵を明確にするのが得意な小池氏は、5選に挑んだ石川雅已氏を「百合子カラー」の緑に包んで清新なイメージを打ち出し、対立する与謝野馨元財務相の甥の信候補(41)を、そのバックのドン・内田茂都議が抱え持つ"黒いイメージ"に追いやる作戦が見事に功を奏した。

 「敵(内田)の敵(石川)は味方」という戦略だが、4期16年、千代田区長を務めた石川氏は、トップダウンで区政を推進する大物区長であり、ドン・内田を敵にしつつも自民都議・区議団を巧みに操る策士である。

 昨年は、区議に経費として支給される政務活動費の月額15万円のうちの10万円を議員報酬に上乗せする案を検討。「政務活 動費の支出先を厳格にしようという全国的な流れに逆行するもの」と批判され、最終的に石川区長は議案を提出しなかったが、この"付け替え"は、「区長による議会対策」と、指摘された。

 小池知事は、そうした「策士を抱え込む策士」であり、所属する政党を転々としながらも、閣僚を2回、経験するなど政界遊泳術の巧さはダテではない。

 今、都議会各派は、この人気と実力を兼ね備えた小池氏に、みっともないほどの"擦り寄り"を見せている。

 小池新党である「都民ファーストの会」は、現在のところ「旧かがやけTokyo」の3名を抱えるのみだが、夏の都議選に向けて30〜40人規模の都議選候補擁立を検討。都議会は定数127で42の選挙区なので、場合によっては全選挙区から公認候補が立つことになるわけで、現職都議の心中は穏やかではない。

 「昨年の知事選結果を42の選挙区に当てはめると、全選挙区で小池知事が最多得票だった。それが新党票だとすれば、一人区を含めて全員当選。他党の都議は、激戦を強いられる」(都議会関係者)

 そこで各党は、小池知事の懐の深さ、計算高さを頼りに"工作"を図っている。

 常に与党であろうとする「公明党」は早々と自公連携を解消。「民進党」は蓮舫代表が「(小池知事と)目指すところは同じ」と、秋波を送り、一枚岩のハズの「自民党」からも3人が別会派を立ち上げ、「親小池」を鮮明にした。

 本来なら、都議会自民党は"敵前逃亡"の彼らを除名すべきなのに、「新風自民党」という会派を認めて党籍も自民党のまま。完全な腰砕けであり、「ドンとその一派」が孤軍奮闘している印象だ。

 小池知事は、すべてを融通無碍に受け入れ、「頑固に見せて八方美人」――これが彼女の“芸風”だが、政治家を目指す「希望の塾」の塾生には、小池氏の真意が見えない。

 「塾といっても事務局があって、日常のやりとりがあったり、相談を聞いてくれるわけではありません。試験の日程や、合否が一方的に伝えられるだけで、都議選に向けてのスケジュールや公認、推薦の基準なども分からず、小池さんの考え、『都民ファーストの会』の方向性などは、マスコミを通じて知るだけです」(都議選候補選抜試験の合格者)

 324人の合格者のなかには、小池氏が知事選に立候補した時から支援、ポスター貼りや選挙応援に汗を流した区議、市議など地方政治家もいる。

 そんな"旗本議員"は、小池直系として立候補したいのに、「反内田」なら何でも受け入れる小池氏の方針によって、対立軸を明確にできないうえ、そもそも公認、推薦を受けられるのかという不安を抱えている。

 確かに、外部からも分かりにくくなっている。

 既に都議選を意識、街中には演説会に名を借りた都議のポスターが貼られているが、「新風自民党」の都議のなかには、上半分は小池知事と本人の握手のツーショットで下半分は安倍首相の写真に「東京大改革」の文字を浮かべたポスターを作成している人がいる。

 このキャッチフレーズは、都議会自民党に代表される旧来型政治を改革するためのものであるハズなのに、分かりにくさ満載の"両建て作戦"である。

 「一寸先は闇」――小池知事も筋を通さず、調子に乗っていると"身内"から思わぬ離反者が出るかもしれない…。【午】

 

 

 

 

 

 

 


2017年1月11日配信「切り崩される自民、白旗掲げた公明――今年も続く『小池劇場』の“被害者”たちの泣き言」<政治>

劇場支配人(wikipedia)


 小池百合子都知事が、豊かで巨大な東京都庁に群がる「黒い頭のネズミ」を退治する「小池劇場」は、今年も継続。マスコミの新春インタビューなどで「新党結成」を示唆するとともに、1月7日には7月に行われる都議選に出馬する政治塾「希望の塾」の候補者を絞り込むための筆記試験を行った。

 絶えずマスコミに話題を提供。飽きさせることがない手法は今年も健在である。

 豊洲移転、東京五輪施設などの見直しは、必ずしも思い通りの成果は上げられなかったが、税金の使途について都民、国民を覚醒させる効果はあったし、「利権を握る者たち」をあぶりだしたのは事実である。

 小池都知事の次の目標は、「東京大改革」を阻む「ドン・内田茂都議」らを排除することである。

 その第一弾が来月5日投開票の千代田区長選で、第二弾が7月の都議選である。

 既に、自民都議団からは3人の離反者が出て「新風自民党」を結成しており、今後も、事実上の切り崩し工作が続くのは間違いなかろう。

 内田氏の右腕の高島直樹都連幹事長は、「一枚岩で行こう」と、呼びかけているものの、後援者らに「反小池じゃ選挙に勝てないよ」と、脅され浮き足立っている。

 現世利益追求?のために「常に与党」であることを自らに課している公明党は、早くも自民党と袂を分かち「親小池」に寝返った。

「議員報酬見直しを巡って自民党と決裂した」と、報じられているが、それは“建前”であって、小池都知事に擦り寄ることによる利権継続の道を選んだ。

 そこは、対決色を変えない自民党に比べると、よほどしたたかで狡いが、こうした変節は毎度のことである。

 内田氏の前の「ドン」が、公明党の藤井富雄氏であったことでも分かるように、ハコ物から土木工事、上下水道、産業廃棄物などに至るまで、公明党の都政への影響力は、自民党と遜色ない。

 都庁の官僚は、05年に藤井氏が議員を引退した後は、内田氏の了解を事前に取り付けるのが慣行となったが、それは「ドンの座」を藤井氏が内田氏に"禅譲"したからだ。

 一般会計予算が約7兆円で都税収入は約5兆2000億円。国から交付金をもらわない唯一の自治体で16万人の職員を抱える東京都には、既得権益が網の目のように張り巡らされており、自民党はそれを小池都知事と対決することで死守する道を選び、公明党は従うことで柔軟に対処する道を選んだ。

 今の勢いで行けば、勝負は見えている。

 40人程度の候補を立てるという小池新党は、公明党と利権に縁がなく「親小池」を表明している民進党、新風自民党などの自民脱退者に配慮して選挙区を選ぶことになっており、自民党の敗北は免れない。

 小池新党は「30議席は固い」と言われており、となれば小池支持派が都議定数127の過半数を大きく上回るのは確実だ。

 これまで東京都の利権構図は、都知事が誰であろうと、政官業の癒着によって守られてきた。

 交付金をもらわない分、国会議員が口利きをする場面は少なく、歴代、「ドン」と呼ばれるような大物都議が、公共工事の仕切り役、調整役となり、都庁の官僚はそこへの根回しを欠かさなければ支障なく事業を進めることができ、ゼネコンなどの業者は、その構図に従うことで受注を果たした。

 財政が豊かな自治体だけに余禄は大きく、都議は年収約1700万円と自治体の中でも最高ランクで、都の官僚は国家公務員のように監視を受けることなく、都政に関係する100近い外郭団体、公益法人などに天下り、民間企業にも再就職して高収入を確保。また業者は、政官の予定調和の世界をカネと票で支え、事業を談合で分けあった。

 そのトラインアングルを「大改革」で打ち壊すというのだから既得権を握る者は戦々恐々。なかでも最初に標的にされた自民党都議からは、悲観的な都議選予想が伝えられて“恨み節”しか聞こえてこない。

 このまま小池旋風に弾き飛ばされるのを座して待つのか、公明党のよにな面従腹背の道を選ぶのか。

 小池新党が候補者を絞り込むという3月がひとつの山場となりそうだ。【酉】

 

 

 

 

 

 

 

 


2016年12月28日配信<0510archives>「"第2の豊洲"?ーー大赤字の都立広尾病院移転は必要なのか!」<政治>

 

 

 「豊洲と広尾は相似形だ!」「第2の豊洲」として広尾病院の移転が問題化の様相を強めている。

 移転場所を都が勝手に決め、「豊洲」の場合は築地の仲卸業者や利用者、「広尾」の場合は広尾病院や医療業界関係者の意見をまったく聞いていない。

 どちらも最初に土地と予算ありきの構図である。

 「豊洲」は、築地に近いまとまった土地が「東京ガス跡地」の豊洲にあった。

 ここに移転すれば、銀座に近い一等地である築地を民間に高値で売却できるので、臨海副都心など都の特別会計の赤字を補填したうえで、築地再開発という事業をゼネコンなど再開発業者に与えることができた。

 また、「広尾」の場合は、国にとっては青山の国有地「こどもの城跡地」を都に高値で売却できるというメリットがあったし、都にとっても「こどもの城」と隣接した都有地の「青山病院跡地」を一体開発できるメリットがあった。

 同時に広尾病院跡地は、築地同様、開発業者にとっては魅力ある一等地である。

 欠けているのは、利用者のメリットと都民の目線である。

 豊洲では、東ガス跡地に環境基準4万3000倍のベンゼンが検出され、仲卸業者の多くが「安全性に問題あり」と、反対の立場だったが、既に決定していることだからと、反対業者を切り崩しつつ強引に建設を決定、消費者団体などの反対意見は、最初から聞く耳を持たなかった。

 広尾病院では、都が佐々木勝・前院長などの反対意見をねじ伏せ、息のかかった設計事務所に、お手盛りのような「移転推進」のための報告書を提出させ、密かに370億円の土地買収資金を予算化、今年3月の都議会を通してしまった。

 医師会や病院協会など医療関係者が猛反発しているが、都は一度、決めた移転を取りやめるつもりはない。

 だが、反対意見は根強い。

 広尾病院は「首都災害医療センター」で、都内の救急救命医療の拠点と位置づけられている。

 その役割の重要性についての異論はないが、広尾病院の移転問題を機に、「そもそも都立病院は必要なのか?」という意見が盛り上がっている。

 「都内には、8つの都立病院と都の保健医療公社に属する6つの病院があります。これがいずれも大赤字状態で、都立病院には年間400億円の、公社病院には100億円の運営費補助金が支出されています。救急医療や僻地医療などの役割を担わされているとはいえ、公立病院ゆえの放漫経営と政治家や官僚などの政治利用が、赤字の大きな原因です。民業圧迫の公立病院は見直すべきでしょう」(医療評論家)

 確かに、民間の及ばない部分をカバーする目的で存在している公立病院だが、赤字体質はかねてより問題になっていた。

 前述の数字は都内だが、全国に広げると公立病院の運営費補助金はピーク時で1兆2000億円、現在でも8000億円に達している。

 こうした現状を変えるために、総務省は今年3月、新たにガイドラインを策定、地域医療構想のなかでの公立病院の役割の明確化を求めている。

 そうなると住民が密集、医療体制の充実した都内に、都立病院が病床を多く抱えた現状のままで存続する意味はない。

 なかでも年々、病床利用率が落ち込み、昨年度は60%台となり、都が運営費を27億円も補てんした広尾病院は、「存続の意味」が問われており、新たに土地代に建設費も加えて750億円を投じて青山に移転する必要性などないという。

 「首都災害医療センターは、その役割に特化したものを23区内に設置するか、現在の広尾病院を改修すればいい話。移転の必要性を感じているのは官僚と再開発業者だけでしょう」(前出の医療評論家)

 しかし都の役人は、「第2の豊洲」と呼ばれるようになっても、「騒ぎは一時的なものにすぎない」と意に介さず、青山移転を進める考えである。

 「百年河清を俟つ」――東京都庁の懲りない面々の“悪癖”を変えるのは容易ではない。【子】

 

 

 

 

 

 

 


2016年11月4日配信「中西充副知事ら元市場長2人、塩見清仁・オリンピック準備局長ら元部長6人を"盛り土犯人グループ"に特定!――小池流ブレーン重用の都政改革に反発する都庁官僚にサボタージュの気配?」<政治>

伏魔殿?(☚wikipedia)


 

 「もう、ついていけません。手勢を率いて自分だけで改革をやるというのなら、勝手にやったらいい」

 都庁幹部が、こう本音を吐露する。

 小池百合子都知事が誕生して約3ヵ月が経過。圧倒的な人気に気圧されるように、都庁官僚は「豊洲」や「五輪」の改革に付き合ってきたが、政権交代後、100日は続けられる「ハネムーン期間」も終了したとして、自己主張を始めている。

 すなわちサボタージュである。

 多くの都官僚がキレたのは、豊洲の「盛り土犯人」を特定(中西充、岡田至・元中央卸売市場長、塩見清仁・元管理部長、宮良真・元新市場整備部長、臼田仁、加藤直宣・元基盤整備担当部長、砂川敏雄、久保田浩二・元施設整備担当部長)のうえ、8人の懲戒処分を発表したことだ。

 9月末に公表した内部報告書は、「地下空間設置の責任者を特定できなった」とするもので、小池知事は「空気のなかで物事が進行していた」として、山本七平が『空気の研究』で「日本型システムの特長」として指摘した「空気」に“解”を求めた。

 中央卸売市場の関係者によれば、「それが事実であり実態だ」という。

 「盛り土のうえの構造物がいい、というのは専門者会議の段階まで。それでは費用が嵩むし工期が長引くというので、08年8月、技術会議が設置された。そこでは『モニタリング空間』という名の地下空間を設けた構造物にするのは、みんなの了解事項だったが、09年の総選挙や都議選で民主党が躍進。築地移転反対の民主党が政権を取り、都議会第一党となったことで、地下空間は密かに進行させざるを得なくなった」

 議会や市場関係者に地下空間の存在を伝えなかったのは、移転を密かに、スケジュール通りに、しかも盛り土より安く進めるためだったという。

 その意思決定が、今、問題視されているわけだが、石原慎太郎都知事が「地下空間のようなものを検討したらどうか」と、指示したことで判明しているように、都庁では「盛り土不要」で意思統一が図られていた。

 となると、「盛り土犯」は都知事以下全員ということになる。

 小池知事は、その「空気のような意思決定システム」を知りつつ、あくまで犯人を特定、公表した検証報告書で当時の市場長ら8人を厳しく断罪した。

 「小池劇場を続けるために、無理やり犯人を仕立て上げた」(前出の市場関係者)と、小池知事が、今後も「劇場」を続ける意思を示したことへの不満は大きい。
 
 そして「小池批判」は、上山信一慶応大教授をリーダーとする都政改革本部の特別顧問、特別参与、特別調査員らの「16人衆」にも向けられる。

 彼らの特徴は、「マッキンゼー」と「維新」である。

 上山氏は世界的コンサルタント会社のマッキンゼー出身。市場の論理で効率化を追求してムダを排除するのがマッキンゼー流で、大阪では橋下徹府知事(市長)の要請で特別顧問に就任、ズバズバと切り込んだ。

 「16人衆」のなかには、ほかにもマッキンゼー出身者がいるほか、「維新改革」を担った人物もいて、大阪改革と相似形だ。

 「あなたたちは、真面目に取り組む気があるんですか」といった高圧的な物言いで迫る彼らに反発する都幹部は少なくない。

 といって、小池知事は「大阪維新」のように、徹底した改革派ではない。

 東京10区の補選で若狭勝候補のために自民党と手を組んだのを見ても分かるように、党本部とは良好関係を保ちたい。

 それは20年東京五輪後は、中央政界に復帰して「首相を目指す」という自らの“野望”のためでもある。

 だが、人気は保ちたいから都官僚と都議会自民党は敵に回す。

 当選後、3ヵ月を経て、そんな“いい所取り”を続けているのが見えているだけに、都知事への忠誠心が生まれるべくもない。

 16万人の都庁職員が、本気でサボタージュしたらどうなるか。

 「面従腹背術」と「自己保身術」にかけては"免許皆伝揃い"の"伏魔殿"での暗闘だけに小池都知事が掲げる「都政改革の道」は決して平坦ではない。【酉】

 

 

 

 

 

 


2016年11月3日配信「つくば市長選挙公示直前に有権者も唖然の怪文書騒動!」<政治>

 
賢者の選択は?
(つくば市HP)

 

 

 「筑波名物数あれど ガマの油に 毎度毎度の泥沼選挙」――市原健一市長の任期満了に伴う「つくば市長選」の公示(11月6日)を前に怪文書が乱舞、期待を裏切らない"汚い選挙"になりそうな気配である。

 つくば市は1987年、谷田部町、大穂町、豊里町、桜村が合併して誕生。翌年に筑波町、さらに2002年に茎崎町を編入。旧5町1村からなるわが国最大の学術都市である。

 北に日本百名山のひとつ・筑波山を望む市内中心部は、広々とした道路が走り、近代的な研究施設やビル、ホテルが林立。もともとが農村地域だけに緑も多く、自然に恵まれた環境は抜群。新旧がマッチした「理想の新興都市」らしい佇まいを見せている。

 ところが、そうした「理想都市」とは裏腹に、いざ「選挙」となると、国政から村政に至るまでドロドロ、グチャグチャ。その汚さは、もはや「伝統」といえるほどで、農村部特有の濃密な地縁、血縁も相俟って、誹謗中傷は当たり前、時には週刊誌を使ったバッシングや暴力沙汰さえ起こる「仁義なき選挙戦」を繰り返してきた。

 こうした選挙に慣れっこの地元民は、「4年にいっぺんの"戦さ"みたいなもんダッぺ!」と涼しい顔。今や自他ともに認めるガマの油に並ぶ筑波の2大名物となっている。

 ただでさえややこしい選挙事情を抱える地域を、さらにややこしくしたのが、上掲の「つくば市の誕生」で、筑波大学や政府機関の関係者、いわば大量の「新住民」の流入で、先祖代々この地に住む「旧住民」との間で新たな軋轢を生むことになった。

 もっとも、「新住民」は、住民票はつくば市にあるが、選挙には比較的無関心な「無党派層」が多く、選挙では依然として、旧住民の意思が反映されてきたのだが、そこへ『つくばを変える』と蛙マークを掲げて2度目の市長選に望むのが、怪文書で批判の矢を浴びている五十嵐立青元市議である。

 今回の選挙に立候補の意向を表明しているのは、五十嵐氏のほか、元衆院議員の大泉博子氏、市議の飯岡宏之氏の3人であるが、市内一円に撒かれた怪文書の標的にされているのは、現時点では五十嵐氏だけである。

 同氏は、現在、2010年に自身が設立した障害者自立支援団体「NPO法人・つくばアグリチャレンジ」の代表理事を務めているが、その経歴はピカピカ。地元桜村生まれで、土浦一高、筑波大、ロンドン大学留学。2004年に最年少で市議に当選。2期務めた後、前回の市長選(2012年)に立候補。現職の市原市長に1万2000票差で落選したものの、絵に描いたような華麗な経歴の持ち主である。
 
 地元・桜村の出身とはいえ、まさに「新住民」好みの足跡に、反対勢力が危機感を抱くのは当然のことであろう。

 そんな折も折、市内に撒かれたのが、今回の怪文書で、小誌が入手した怪文書は全部で4枚。『つくばアグリチャレンジの活動実態に給付金請求に関する大きな疑惑』のタイトルのもと、鋭い筆致で書かれている。

 その文書が指摘する「NPO法人つくばアグリチャレンジ」の「疑惑」とは何なのか?

 4枚のうち2枚には、ヽ毒度の事業報告書の不自然さ、◆屬瓦げんファーム」の定員オーバー問題、0天候下での参加人数の異常な多さ、ずGに入って出された大量の過誤申し立て、ド埆淑な調理器具、施設のうえ調理員がいないのに食事提供加算給付の請求など、5つの疑惑が箇条書きに書かれている。

 その詳細については、公示前でもあり、詳しく紹介するのは控えるが、いずれの項目も同法人の内部事情に詳しい人物の手によって書かれたことをうかがわせる内容である。

 特に、 ↓、については、特に具体的で、門外漢でも「さもありなん」と考えたくなる記述が並んでいる。

 もし指摘されていることが事実だとすれば、明らかに税金を原資とする「給付金」を詐取した由々しき"犯罪"である。

 「制度そのものが性善説でできているため、行政機関のチェックもほとんど入らないし、ポイント計算が少しばかり複雑ですが、やろうと思えば誰でも簡単にできます」(厚労省担当者)

 近時、給付金を詐取する事件は多発しているだけに、いくら掲げる目的が美しく、いくらピカピカの経歴の持ち主が代表を務めているとはいえ、「そんなバカなことがあるはずがない!」と、一笑に付すわけにはいかない。

 しかも、そんな疑惑が指摘されている人物が市長選挙に立候補しようというのである。

 五十嵐氏の選挙対策事務所は、疑惑を聞きつけた多くのマスコミの問い合わせに対して、「すべてが事実無根の誹謗中傷だ!」と否定するが、問題になっているのは、税金を原資とする「給付金の使途」であり、「選挙」とは無関係のはずである。

 選挙前であろうと、選挙後であろうと、否、選挙前だからこそ、十分な説明責任を果たしたうえで堂々と立候補すべきではないのか?と小誌は思うのだが…。

 そろそろ「筑波おろし」が冷たく感じられるようになってきた。

 

 寒風の中の選挙運動は、前回以上の白熱化が予想されるが、有権者16万人余が審判を下す日は10日後、11月13日である。 【巳】

 

 

 

 

 


2016年11月1日配信「稀代のリアリスト・小池百合子都知事が『反官僚』を脱して豊洲移転に踏み切るタイミング!」<政治>

 

渦中の豊洲市場(☚wikipedia)


 「小池劇場」が、都民の圧倒的な支持を受けている。

 敵を明示して、都民のフラストレーションを解消するかのように斬りかかり、喝采を浴びる手法は大受けで、老残の石原慎太郎元都知事、利権政治家の色が濃い「都議会のドン」の内田茂都議、傲岸不遜の森喜朗五輪組織委員会会長と、いずれも標的とするには格好の人物たちで、政治への不満が渦巻く都民は、小池百合子知事に共感を寄せている。

 ただ、「師」で「恋人説」が流れたこともある「小泉(純一郎)劇場」を真似た劇場型政治には限界があることを、政界を渡り歩きつつも、権力の中枢からハミ出すことのなかったリアリストの小池知事は知っている。

 いつかは来る「修正の時期」。――それは、東京都の官僚との関係改善の時であり、具体的には豊洲移転の決断時期だ。

 「小池劇場」で最初に敵に回したのは東京都の官僚だった。

 築地市場の豊洲移転に待ったをかけた段階では、「安全性より開業ありき」の手続きの問題だったが、盛り土問題の発覚以降、局面が変わった。

 市場長を始めとする都幹部が、嘘を言い続け、都民を欺いていたことが明らかとなり、小池知事は徹底調査と処分を口にせざるを得なくなる。

 これはこれで移転に待ったをかけた知事の判断の正しさを証明したわけで、小池人気に拍車をかけたが、6000億円をドブに捨てる決断はできず、16万人都職員とのケンカを望んでもいない。

 日本新党、新進党、自由党、保守党、自民党と渡り歩いた小池知事だが、同じ道程だった二階俊博自民党幹事長と一緒で、理想を求めて模索したわけではなく、自分にどう有利に働くかで時々のポジショニングを取ってきた。

 そういう意味で、新進党、自由党で従った小沢一郎・自由党代表の方が、より純粋で原理主義であった。

 結局、小沢氏の破壊衝動について行けずに別れた小池知事だが、その後の民主党政権と小沢氏の行方は、いい教訓となった。

 民主党の旗印は「反官僚」だった。

 最初は国民の官僚嫌いもあって高く評価されたものの、やがて民主党は官僚のサボタージュを受けて政権運営に支障をきたして失速した。

 小沢氏に至っては、検事総長人事など法務・検察の世界に手を突っ込んで強烈なしっぺ返しを受け、挙句の果てに東京地検特捜部の標的にされ、秘書を何度も逮捕され、事実上、政治生命を失った。

 そういう意味で、勘の鋭い小池知事は、都の副知事、局長から一般職員に至る強固な16万人のピラミッドを揺さぶり、打ち壊す破壊者になるつもりはない。

 豊洲問題で市場長を更迭、人事を刷新したように、必要な場面でグリップを強く握り、締め付けは行うが、官僚組織の秩序と論理は尊重する。

 

 そのためには、どこかで豊洲移転を決断しなければならない。

 既に小池知事は、都民に嘘を言った罪は認めつつも、盛り土問題については、盛り土に杭を打ち、そのうえに構造物を置いては、耐震性に欠けるうえ、汚染水の侵食を招くため、地下空間で汚染水の上昇を遮断した方が、構造上も安全上も優れていることを認識している。

 だが、今の段階でそれは言い出せない。

 都官僚が、「盛り土なしの設計」を対外的に公言できなかったのは、09年から12年の設計施工の間、民主党政権下で都議会も第一党が民主党だったからだ。

 だから都官僚は秘密裏に“最善の策”を取った。

 その手続き上のミスの責任は、今回の更迭人事で取らせた。

 これからは、どう6000億円を投じた現実と折れ合いをつけ、振り上げた拳を下ろすかである。

 そのタイミングは実に難しいが、世論を誘導しつつ、豊洲移転を実現することができれば、自己保身の権化のような都官僚もその手腕を認め、「リアリスト知事」に、面従腹背でなく素直に従うハズ。――知事の“お手並み”を、固唾を飲んで見守っているのは、実は「都庁の官僚」たちであろう。【丑】

 

 

 

 

 

 


2016年9月14日配信「都知事と都議会とゼネコンに翻弄され続けた築地市場移転を検証する!」<政治>

築地市場(☚wikipedia)


 "百合子砲"が最初に炸裂、都政のこれまでの担い手に衝撃を与えているのが、築地移転の見直しである。

 ベンゼン、シアン化合物、ヒ素などが基準値を果てしなく上回る土壌汚染地の豊洲に、なぜ世界ブランドの築地中央卸売市場を移転させるのか――。

 1999年11月、築地市場再整備推進協議会で、築地での再整備が困難であるとして移転に方向転換して以降、豊洲に広大な工場跡地を持つ「東京ガス」との交渉が本格化、01年11月、豊洲への移転が決まった。

 この時からガス製造工場であった豊洲が、高度に汚染された土地であるのは周知の事実だった。

 製造者責任で「東京ガス」が、改良工事を行ったものの、規制の緩やかな旧基準をクリアすればいいというズサンなもので、07年、東京都が行った土壌汚染調査では、ベンゼンが環境基準の1000倍を記録、推進してきた石原慎太郎都知事をして、「びっくりした!」と、言わしめた。

 それならば計画を見直せば良かった。

 しかし、既に、計画は動き出し、都議会与党の自民、公明が推進派に回り、ゼネコンなどの業界は、その後の築地再開発など壮大な青写真を描いて推進体制を担っていた。

 小池都知事が、「都政改革」に踏み切る時、築地を最初の標的にしたのは理解できる。

 一度、権力に近い者が公共事業の歯車を回せば、「政」「官」「業」が、それぞれの思惑を持って動き出し、インナーサークルのなかで物事は決まり、都民の利害とは関係のないところで、事業は推進される。

 それを小池氏は、「都議会のブラックボックス」と呼び、ドン・内田茂前自民党都連幹事長をその代表とした。

 敵を作るのは最もわかりやすい戦術だし、築地移転問題はブラックボックスのなかで行われているシステムを理解するのに最適だ。

 築地移転は、99年4月、自民党が擁立した明石康元国連事務次長を破って都知事に当選した石原氏が、初めて取り組むビッグプロジェクトだった。

 担当となったのは側近の浜渦武生元副知事で、築地で根回しを行うとともに、「東京ガス」との交渉を続け、買収合意に漕ぎ着けた。

 当初、石原体制に距離を置いていた自民党都連は、都議会の場などで「浜渦副知事の独断専行」を名指しして批判していた。

 知事主導で事業が推進されることへの不満で、これはやがて浜渦氏が、「民主党都議を使ったやらせ質問」の糾弾へとつながり、浜渦氏は失脚した。

 主導権を取り戻した内田氏を中心とする都連は、築地移転を積極的に推進、石原氏との関係を修復し、「石原軍団」と呼ばれる秘書や側近と各種の調整を行った。

 つまりは利権の“棲み分け”である。

 難点は、10年10月22日、「移転を決断しました」と、石原氏が決意表明したものの、都議会が自民・公明の与党と旧民主党など野党が拮抗、「移転経費」を盛り込んだ11年度予算案の成立が微妙だったことである。

 だが、これは移転推進派の旧民主党議員を、「区長選擁立」という"エサ"で一本釣り、寝返らせて予算を通し、移転事業を推進した。

 この流れに、ゼネコンは業界を上げて乗った。11年8月29日、まず土壌汚染対策工事の入札が実施され、「鹿島JV」が5街区を約119億円で、「清水・大林JV」が6街区を約383億円で、「大成JV」が約89億円で落札した。

 14年2月13日には、一度は不調となり、予定価格を引き上げての入札が行われ、「鹿島JV」が青果棟を約259億円で、「清水・大林JV」が水産仲卸売場棟を約436億円で、「大成JV」が水産卸売場棟を約339億円で落札。――落札率は平均99.87%で、土壌汚染工事と一体で業者が決まっていることと併せ、ゼネコン談合は明白だ。

 生鮮市場に最も相応しくない場所が、一度、選定されると、歯止めが利かずに転がってしまい、当初予算を大幅に上回る約6000億円が投じられて完成してしまった。

 少なからぬ人が「おかしい」と感じることが、まかり通ることの怖さを小池氏は指摘、「待った」をかけた。

 それを「ブラックボックス」と呼び、「見える化」という名の情報公開によって正そうとしているのだだ、「17年の歴史」が証明するように政官業の運命共同体は岩盤のように強固だ。

 小池都知事は「都政改革本部」のメンバーとともに、相当な覚悟を持って臨まなければ、玉砕することになりかねない…。【丑】

 

 

 

 



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