2016年6月23日配信「2016年株主総会シーズンの注目銘柄『プラコー』に登場する仕手&ヤメ検&ヤメ警の奇妙なトライアングル」<事件>

        プラコー株価チャート(☚Yahoo JAPAN)

 

 

 証券界事情通の間で、本番を迎えた2016年株主総会シーズンの注目銘柄となっているのが、ジャスダックに上場する「プラコー」(本社・埼玉県さいたま市)である。

 

 現在、プロキシファイト(委任状争奪戦)を実施中で大株主から役員一掃の株主提案を出され、会社側が必死の防戦に務めているのは同社ホームページからも伺える。

 

 「株主提案に対する反対表明」(5月27日)をニュースリリースしているのはもちろん、「社外取締役の意見受領書」(6月3日)、「議決権助言会社ISSの当社取締役候補者全員への賛成推奨」(6月17日)などを通じて、企業価値向上には会社提案の方が優れていることを訴えている。

 

 事情通が関心を寄せたのは、株主提案をしている大株主と役員候補の顔ぶれである。

 

 約20%の株式を保有する「フクジュコーポレーション」(本社・東京都中央区)が提案するのは、取締役5名と監査役1名の選任で、氏名と経歴は次のように記されている。

 

 【取締役候補者】
 ・井出和成(貴社の発行済株式433万7000株を保有する通知人の代表者)
 ・國枝博昭(東京工業大学教授として技術開発等に関する見識を持つ)
 ・玉置修一郎(日本興業銀行に入行して常務を務め、民間企業役員を歴任)
 ・友田純子(出光興産に入社し、その後民間企業代表を歴任)
 ・南 隆(東大法学部卒業後、警察庁に採用され、内閣情報調査室内閣審議官を最後に退職)
 【監査役候補者】
 ・石川達紘(名古屋高検検事長などを歴任し、退官後は弁護士活動を行う)

 

 情報が渦巻く証券界では、表と裏にグレーゾーンを含めた分野に通じていないと怪我をするが、それをわきまえた事情通にとっては、なんとも興味深いメンバーだ。

 

 「フクジュコーポレーション」の背後には、「ヤマゲン証券」のオーナー・荒木武氏が控えており、井出、荒木の両氏がこれまで、仕手筋的な動きを繰り返してきたために、証券界の評判はそれほど芳しいものではない。

 

 さらに眉をひそめざるをえないのは、今年3月、約9%の株式を持つ大株主として平原宏一氏が登場したことだ。

 

 平原氏は、大量保有報告書で「officeヒラハラ」(本社・東京都港区)を経営する投資家と紹介されているが、08年4月、マザーズに上場する「アーティストハウスホールディングス」の社長に、32歳の若さで就いたことで話題になった。

 

 しかし、マネーゲーム的な動きを繰り返し、平原氏の社長在任中に上場廃止となったことで、証券界では業績不振企業に取り付いて儲ける「増資マフィア」のひとりと目されている。

 

 奇妙なのは、井出氏らが「プラコー」に示した提案に、それなりの著名人が名を連ねていることだ。

 

 現在、83歳の玉置氏は、「興銀」が日本を代表する銀行だった時代から、「酸いも甘いも噛み分けたバンカー」として知られていた。

 

 南氏は警察庁キャリア官僚として順調に出世。トラブルを起こしての退官ということだったが、内閣情報調査室時代に培った幅広い人脈で知られる。

 

 石川氏は、77歳となった今でも検察庁の後輩に隠然たる影響力を行使できる大物ヤメ検である。

 

 いわば、「日本の秩序」の維持を担った人物が取締役・監査役候補に名を連ねているわけで、株主提案をしている反市場勢力的なメンバーとの"ギャップ"は大きい。

 

 また、社外取締役で弁護士の小沢剛司氏が提出した意見書に「取締候補者の方々全員が株式会社プラコーの事業のみならず経営改善に一切関与された経験がないことから、過去の過ちを今後のコーポレート・ガバナンスの維持・強化に活かすということについて、多大な不安を抱かざるを得ません」とあるように、「プラコー」が"狙われ易いハコ企業"ではなく、プラスチック加工機専業という技術力のある事業会社であるために、「無茶な提案」と映るのも事実だ。

 

 とかくの噂の仕手とヤメ検、ヤメ警が"三位一体"となった乗っ取り劇の狙いは何か。――今月29日に迫った株主総会が注目される。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2016年6月9日配信「池田組若頭射殺で内輪揉めから本格抗争へ!?――水面下で続く6代目山口組vs神戸山口組の虚々実々の駆け引き」<事件>



 山口組が分裂して9ヶ月、遂に"本格抗争"に突入した!

 5月31日、神戸山口組系池田組の高木忠若頭が射殺され、「個人的な怨恨」、「同じ岡山県内の6代目山口組系大石組とのトラブル」、「6代目山口組の組織的犯行」と、様々に憶測が流れていたものの、6月5日、6代目山口組系弘道会傘下の山本英之容疑者が岡山県警に出頭、「組織的犯行」であることが明らかになった。

 「返し(報復)はするな!」

 高木若頭射殺事件の直後、神戸山口組の執行部はこう通達を出していたが、それは犯人の目星がつかなかった時の事である。

 が、犯人が名乗り出て、「怨恨」でも「トラブル」でもなく、「逆盃」で組を割って出て、挑発を続けて勢力を拡大させている神戸山口組総体を狙い、その代表として拡大路線の一翼を担った高木若頭のタマを取ったとあれば話は違ってくる。

 組織戦を仕掛けられては、「ヤクザ」である以上、放置はできない。

 神戸山口組で舎弟頭を務める池田孝志池田組組長は、資金力のある武闘派として知られ、「返し」を躊躇するような人ではないし、それを神戸山口組の執行部が抑えられるものでもない。

 ただ、約30年前の山口組分裂後の「山一抗争」の時と違い、法律でがんじがらめにされている暴力団は、上部組織への波及を恐れてストレートな抗争には発展しにくい。

 今回の実行犯は、弘道会系高山組系山本興業組長であり、司忍6代目からすれば4次団体の組長であり、遠い存在だ。

 しかし、山一抗争後に施行された暴対法は改正を重ねて上部組織の使用者責任を厳しく問うようになり、組織犯罪処罰法と合わせると、一気に組織のトップにまで駆け上がることができるようになった。

 従って、これまでの9ヶ月間もそうだったが、ますます水面下の情報戦は活発になり、捜査当局もマスコミも、両山口組の虚々実々の駆け引きのなかから本物の情報を見分けなければならない。

 これまでにどんな動きがあったのか。

 まず、射殺事件まで続けられていたという両山口組の「統一」に向けた話し合いである。

 サミット休戦には、「国家の行事に悪影響を与えられない」という暴力団なりの美学があったが、同時に、「無益な抗争で人が死んだり、シノギが枯渇するようなことは避けたい」という執行部の思惑があり、相当、真摯な話し合いが持たれていた。

 5月14日には、6代目山口組若頭補佐の高木康男清水一家総長と神戸山口組の織田絆誠若頭代行が会合を持った。

 その場で結論が出されることはなかったものの、「司6代目が総裁のような立場に就き、7代目を井上邦雄神戸山口組組長にするか、司6代目の下で井上組長が若頭となるか」といった案が検討され、それぞれ持ち帰った。

 次の会合予定日の5月16日には、2人に加え、6代目山口組からは若頭補佐の竹内照明弘道会会長、神戸山口組からは若頭補佐の剣柾和黒誠会会長が出席することになっていたが、竹内若頭補佐の都合で延期。そのまま流会すると思われたのだが、今度は、井上組長の「弟分」で、弘道会稲葉地一家の最高幹部にもパイプがあるという九州の有力団体のトップが間に入り、「共存」への新たな道を模索していたという。

 その最中の銃撃である。

 しかも、犯人の特定までには時間がかかり、「迷宮入り」も考えられるのに、4次団体とはいえ6代目山口組の傘下組長が名乗り出たということは、ヤクザとしての意地をみせつけると同時に、「野合」を進める執行部への反発だろう。

 今後、警察当局は、両山口組を「特定抗争指定暴力団」に指定することによって、暴力団事務所の使用を制限、5名以上、集まっただけで逮捕するなど、最も有効な法律を駆使して攻め立てると同時に、山本容疑者→南正毅高山組組長→竹内弘道会会長→司6代目山口組組長へと使用者責任を追及、連座して罪に問うべく捜査を進めるに違いない。

 一方の神戸山口組にしても、「返し」は避けられず、そうなると同じ方式で井上組長へと駆け上がる捜査となり、「両方、ぶっ潰すまでやりますよ!」と、警察庁幹部は宣言している。

 その網の目にひっからないように、両山口組は抗争へ向けてひた走りながら、虚実取り混ぜた情報を警察、マスコミ、実話誌などに発信しながら、捜査を攪乱しようとする。

 分裂後の山口組報道は、両山口組のポジショントークに乗せられて、牽強付会なものが多かったが、今回の射殺事件を機に、これまでの内輪揉めから本格抗争に移行するやもしれず、そうなれば「暴力団消滅」の流れに拍車が掛かるのは必至!?――今後の展開からは目が離せない。【寅】







 

2016年5月26日配信「東京五輪招致疑惑追及第2弾!!――FIFA、IAAF、IOCに華麗なる人脈を誇る高橋治之・電通元専務の果たした役割!」<事件>

電通汐留ビル(☚wikipedia)
 

 仏検察当局の捜査によって日本に飛び火した東京オリンピック招致疑惑の"正体"が、民進党による国会での追求やマスコミの追撃取材によって見えてきた。

 アフリカ票を取りまとめたラミン・ディアク国際オリンピック委員会(IOC)元委員(国際陸上競技連盟・IAAF元会長)に対し、日本の招致委員会が贈賄工作を行ったかどうかが焦点で、解明のカギを握るのは、招致委員会から約2億2000万円の振込を受けたシンガポールのコンサルタント会社「ブラック・タイディングス」代表のイアン・タン・トン・ハン氏である。

 招致委員会からの振込を受けたタン氏は、そのカネをアミン・ディアク氏の息子で親密な関係にあるパパマッサタ・ディアク氏に「工作資金」として渡したのか? そして、それは広告代理店大手「電通」の指示によるものではなかったのか?

 「電通」の指示が疑われるのは、国会で竹田恒和日本オリンピック委員会(JOC)会長が答えたように、JOCにも招致委員会にも「誰にどんな工作をすればいいか。どんなコンサルタントを雇えばいいか」というノウハウを持つ者がいないからだ。

 そこで、13年9月の招致決定の直前、最後の工作に「電通」のアドバイスを求めた。

 その「電通」で、サッカーワールドカップ、国際陸上、オリンピックなどの運営に口を差し挟める“大物”として知られるのが、1970年代後半から国際的なスポーツイベントに関与してきた高橋治之元専務である。

 同氏は、IAAFのラミン・ディアク元会長、FIFAのプラッター元会長らとの太い人脈で知られている。

 09年に電通専務を退任、招致決定時の13年には顧問職も離れていたが、当時も今も、電通内に隠然たる影響力を持っている。

 しかも、高橋氏は幼稚舎からの慶応ボーイで、JOCの竹田会長は幼稚舎の3学年後輩。同窓会幹事役などを通じて昔から親交があり、15年前、竹田氏がJOC会長になる時には、スポーツ界に地位を築いていた高橋氏のプッシュがあったという。

 内外ともに高橋氏の人脈が第一線でスポーツ界を支配している時、「電通」がアドバイザーとなって2020年オリンピック招致を進めていたのだから、高橋氏がその人脈と影響力を生かさないハズがない。

 まして高橋氏は、東京・汐留の電通本社ビル46階最上階に、「ソラシオ」という仏料理店を経営、「電通の接待所」にもなっており、「電通」にとって「特別な存在」である。

 そもそも高橋氏とスポーツの商業化、国際化、イベント化は共にあった。

 オリンピックの歴史が劇的に変わったのは、84年のロサンゼルスオリンピックからで、これを機に「参加することに意義があったスポーツの祭典」は、企業が広告を打って名を売り、スポンサーとして有力選手を高給で遇する場となり、各国オリンピック委員会は莫大な放映権料に潤い、ロゴやグッズでも儲けるという商業主義が浸透していった。

 それはFIFAのサッカーワールドカップ、IAAFの世界陸上も同じで、3大スポーツイベントは巨大なスポーツ利権を生み、そこに生息する理事や委員には、大会誘致をめぐって巨額の賄賂が発生するようになり、なかでもトップクラスの役員には、スポーツ界のボスとして、数千万、数億ドルといったとてつもないカネが流れ込むようになった。

 最近、スイス司法当局が巨額贈賄工作を行っていたスイスのスポーツコンサルタント「インターナショナル・スポーツ&レジャー」(ISL)を摘発、米司法当局が14名のFIFA幹部を贈収賄容疑で起訴、仏司法当局が収賄と資金洗浄でディアク父子を逮捕しているように、今は、そうしたカネまみれとなったスポーツの祭典を、ドンたちの一掃を通じて浄化しようという流れにある。

 その商業化、巨大化を、広告代理店という立場から支え、今、摘発を受けている大物たちとの間に人脈を築き、それを「電通」の業績にするとともに、ワールドカップ招致やオリンピック招致に結びつけたのが高橋氏だった。

 そういう意味では一時代を築き、スポーツ史に名を残した人物ではあるが、自ら提供したかどうかはともかく、カネを欲しがるボスたちに資金を提供するノウハウを持った人であるのも確かだ。

 タン氏は、「電通」が設立に関与したと指摘される「アスレチック・マネジメント&サービス」(AMS)のコンサルタントを勤めていたという。

 ここで、招致委員会からタン氏を通じてディアク父子に流れたという疑惑に、「電通」が大きく絡むことになり、その人脈は無役とはいえ高橋氏のものである。

 仏司法当局の捜査が進めば、高橋氏は間違いなくすべてを知る"キーマン"として浮上することになるのは必至である。【丑】







 

2016年5月2日配信「マスコミ出まくりの巨人軍元投手・笠原将生と中継役・斎藤聡を電光石火で逮捕した警視庁と巨人と熊勝彦コミッショナーの思惑」<事件>

(☚wikipedia)

 全国の野球場が、ゴールデンウィーク初日で満員盛況だった4月29日、警視庁組織犯罪対策4課は、野球人気に冷水を浴びせかけるように捜査着手、賭博開帳図利容疑で元飲食店経営の斎藤聡容疑者(38)を、その幇助容疑で元巨人軍投手の笠原将生容疑者(25)を、それぞれ逮捕した。

 「証拠が少な過ぎる。捜査着手はまだまだ先になる」と、警視庁幹部にごまかされていたマスコミのなかには、「G・W初日の電光石火の逮捕」に驚かされた社もあったが、両容疑者が取材に応じていたので、それなりに準備はできていた。

 逮捕映像は、頭からタオルをかけられた情けないものだったが、笠原容疑者が逮捕前に述べていた「反省と主張」が、各局で流された。

 予想より逮捕が早かったのは、第一にマスコミに向かって情報発信する2人の姿勢が、「事件をコントロールできなくなる」という意味で組対4課には面白くなかったことがあげられる。

 次に、2人の情報を通じて巨人の高木京介投手に波及、さらに「円陣での声掛けご祝儀」といった他の疑惑も発生させていることへの恐れと不満があった。

 そのうえ、オリンピック候補が出場辞退となったバドミントン選手の闇カジノへの出入りも、「斎藤人脈の情報」と指摘されており、組対4課としては、これ以上の放置はメンツに関わる、という思いもあった。

 その点で、警視庁巨人NPB(日本野球機構)の熊勝彦コミッショナーの「事件化して処理し、ケジメはつけるが、騒動をこれ以上、大きくはしない」という思惑は一致している。

 経緯を振り返ってみよう。

 昨年10月5日、巨人が福田聡志投手の野球賭博関与を発表。同日、大鶴基成弁護士を委員長とする調査委員会が初会合を持ち、翌日から全選手、監督、コーチ陣から事情聴取を開始。調査結果を受けて、11月10日、福田、笠原、松本竜也の3投手が野球賭博を行っていたとして無期失格処分とした。

 この間の調査は、携帯電話を提出させて根掘り葉掘り聞いた3選手以外は「聞き取り調査」である。

 しかし、それでは認めるハズがない。

 熊コミッショナーは「(捜査ではない)調査の限界」と、記者会見で述べていたが、全員の携帯をチェックすれば、野球賭博に不可欠な「ハンデ表」などの記録は残っていたに違いなく、巨人同様、芋ずる式の選手関与が明らかとなるのを恐れたとしか思えない。

 熊コミッショナーも大鶴調査委員長も東京地検特捜部長経験者。大阪地検事件以降、“腑抜け”になっている特捜部だが、元気がいい頃は、被疑者をあらゆる捜査権力を使って徹底的に追い詰めることで知られた。

 だが、一方で、検察は「日本の秩序の維持組織」であり、国家秩序までは揺るがせない。

 今回、野球賭博の全容解明が、他の選手に次々に波及、あるいは他球団にまで広がって、プロ野球界を存亡の危機に陥れることを恐れたのではないだろうか。

 そこは、「球界の盟主」をもって任じる巨人も同じであり、調査委員会に積極的に協力、3選手での幕引きを図った。

 その動きに、斎藤、笠原の両容疑者が不満を持つのは当然のこと。斎藤容疑者の親族がフジサンケイグループの記者であることから、最初にスクープした『週刊文春』に情報提供。高木、バドミントン選手へと続き、警視庁が捜査を早める結果につながった。

 ただ、今回の警視庁の捜査が、そんな「予定調和」で終了するとは思えない。

 最初の事件発覚のきっかけとなった橋本投手を裏カジノと野球賭博に誘い、笠原容疑者の中継役でもあった元大学院生・M氏の捜査は、これから本格化しよう。

 また、逮捕した両容疑者の証言から、暴力団関係者が仕切る胴元へと駆け上がることも考えられる。

 事件捜査は本格化したばかりだ。――今後、タテヨコに捜査が進展したとき、思いがけない選手に波及することもあるやもしれない。【卯】







 

2016年4月29日配信「三菱自動車、またもや不祥事発覚で"1兆円損失"を抱えて歩むイバラ道!?」<事件>

 
仏の顔も三度まで?

 またしても!?――「隠蔽」と「ごまかし」が社風といって過言ではないのが「三菱自動車」(本社・港区)である。

 過去、2度に亘ってリコール隠しが発覚、業務上過失致死容疑でグループ前会長らが逮捕され、存亡の危機に立たされ、三菱グループが総力を挙げて支援。ようやく再生を果たした矢先のデータ不正だけに、もはや救いようがない。

 さらに、不正は日を追って大きくなり、最初の軽自動車主力車種の「ekワゴン」「ekスペース」の燃費測定の基となるデータを改ざんして検査機関に提出していたことに加え、必要な走行実験を行わず、国の規定とは異なる方法で走行実験を実施していたうえに、看板車種の電気自動車「i―MiEV」でも不正が顕在化するなど悪質さが増した。

 三菱自動車製造の「デイズ」「デイズルークス」を日産ブランドで売っていた「日産自動車」は、当初、「事態の推移を見守りたい」としていたものの、不正が連鎖することに呆れ果て、販売を停止したうえで、補償請求することを決めた。

 今後、「三菱自動車」は補償請求、損害賠償、エコカー減税を与えていた国への免税分返却などに迫られる。

 相川哲郎社長は「買い取り」を否定しているが、排ガス不正を引き起こした独「フォルクスワーゲン」(VW)は、米国での不正車買い取りに踏み切り、約2兆円の引当金を積んだ。

 今後、「三菱自動車」でも全車買い取りを視野に入れる事態も生じるやもしれず、そうなると1兆円近い負担となり、自力再生は難しい。

 前回のリコール隠しの時は、「腐ってもスリーダイヤ」だった。

 三菱の名を社名に冠した企業を潰せないとばかりに三菱グループが"奉加帳"を回し、「三菱重工」、「三菱商事」、「三菱東京UFJ銀行」が、「三菱自動車」の発行する優先株を引き受けて、再生を支援した。

 そのうえで、「企業倫理委員会」を設置、「三菱商事」出身の益子修氏を社長に据えて、抜本的な構造改革に乗り出した。

 非常事態から脱した「三菱自動車」は、2014年3月期に過去最高益を記録、復配も果たして、三菱グループ「金曜会」の世話役も務めた相川賢太郎・三菱重工業元会長の息子で、社内では「プリンス」と呼ばれていたプロパーの相川哲郎氏を社長に就けた。

 だが、今回の燃費データの不正は、「三菱自動車」の隠蔽・改竄体質が、社員のDNAに刷り込まれた改善不能なものであることを露呈。もはや「次の支援」はなかろう。

 「仏の顔も三度まで」である。

 しかも、三菱グループ各社の置かれた環境は、かつてないほど厳しい。

 約20%を持つ筆頭株主の「三菱重工」は、25日、大型客船の建造が遅れ、508億円の特別損失を計上すると発表。加えて、国産ジェット旅客機「MRJ」も遅延続きで黒字化はずれ込み、豪州での潜水艦受注もフランスの後塵を拝し、米原発事故で約9300億円の損害賠償を求められるなど、数々の試練に直面、自動車支援どころではない。

 「三菱商事」は、資源安が直撃。16年3月期決算は、約4300億円の減損処理に迫られ、約1500億円の最終赤字に陥った。
 これは、連結決算に移行した69年以降、初めてのこと。選択と集中による自社の立て直しが急務で、自動車に構っている余裕はない。

 「三菱東京UFJ銀行」も事件化が濃厚な「日本郵船」を巻き込んだ「ユナイテッドオーシャン・グループ」(UOG)絡みの巨額不正融資疑惑を抱えており、とてもじゃないが「三菱自動車」まで手が回らない。

 そうなると、記憶に蘇るのは、台湾の「ホンハイ」(鴻海精密工業)に身売りした「シャープ」であり、医療、家電部門などを次々に売却して解体されつつある「東芝」である。

 「三菱自動車」は今後、「身売り」「解体」への道を辿ることが現実味を帯びるが、となると、当然、その責任を負うのは、体質を変えることができなかった前・現経営陣ということになるのは必至。"絶縁"か、"破門"か、それとも"残留"か。――懊悩する"三菱一家"は如何なる沙汰を下すのだろうか。【巳】










 

2016年4月22日配信「『甘利事件』で改めて証明されたUR不要論!――東京、千葉、茨城で頻発するトラブルの数々!!」

上西郁夫・UR理事長

 甘利明前経済財政・再生相と清島健一元公設第一秘書が、斡旋利得処罰法違反で告発され、東京地検特捜部が捜査着手した事件は、「都市再生機構」(UR)を被害者ではなく加害者として捉えるべき事件であることが、捜査の進捗とともに明らかになってきた。

 当初、『週刊文春』の連載記事が伝えたのは、千葉県の型枠工事会社である「薩摩興業」(千葉県白井市)の総務担当者である一色武氏が、移転補償費を少しでも多くかち取るために、甘利事務所を金銭と接待で籠絡、「UR」にプレッシャーをかけ続け、思惑通りに合計で3億円近い補償を手にしたというものだった。

 つまり、一色氏の「請託」を受けた甘利事務所が、大物政治家としての権限を行使して補償金を支払うよう「UR」に「斡旋」し、政治献金という「利得」を得たという構図である。

 権限行使の部分が、「国会で質問するぞ!」といった具体的なものでないだけに弱いものの、斡旋利得処罰法違反が十分に疑える事件である。

 ただ、この構図のなかではプレッシャーを受けて高額の補償金を支払わされ、被害者となるハズの「UR」だが、窓口の担当者が一色氏から総額100万円近い接待を受け、情報を漏洩していたことが判明した。

 本来なら訴訟で判決を受けて支払うべき補償費を、勝手に積み上げていたことと合わせ、これでは「UR」を単純に被害者とは言えないのではないか。

 「UR」は住宅供給を目的に設立された日本公団が前身で、「住宅・都市整備公団」を経て現在の「独立行政法人UR」となった。

 従って、まだ実質的に国の組織であり、「みなし公務員」として収賄罪が適用される。

 接待を受けて情報を漏らし、補償金額を甘利事務所と“一体”となって釣り上げていった姿勢から感じられるのは、「UR」は事件の「共犯者」であり、その「被害者」は国民である。

 「UR」には、この種の事件がすこぶる多く、トラブルが頻発している。

 昨年3月、「UR」は東京・北区の「日本油脂」の工場跡地約2万4000平方メートルの再開発を「総合評価方式」で入札にかけたが、業界が騒然としたのは、そのあまりに恣意的な入札結果である。

 価格点を50、企画点を50とする入札だったが、60億円で応札。価格点で満点だった「新日鉄興和不動産JV」は、約21億円も低い約39億円で入札した「大和ハウス工業JV」に企画点でひっくり返された。

 「企画点は土壌汚染対策、地域への貢献、事業推進体制などですが、約21億円もの価格差を逆転できるものではない。考えられるのは最初から『UR』と親密な『大和ハウス』に決まっていて、企画点はその便法に使われたとしか思えない」(不動産会社幹部)

 茨城県つくば市では、市政を二分する総合運動公園の土地売買をめぐって、「UR」とつくば市長との不自然な関係が指摘されている。

 「UR」が所有していた約46ヘクタールの土地を、市は不動産鑑定評価に基づき、1万4500円/屐約66億円で購入したが、その価格が「高過ぎる」と批判された。

 その後、市議会でもうひとつ別の鑑定価格があることが判明。それは9130円/屬如△海舛蕕暴召┐約42億円で24億円も安くついた。

 高値づかみしたのはなぜか。

 「運動公園は300億円という高額予算が問題となり、昨年8月の住民投票の結果、反対が8割以上に達し、白紙撤回となりました。一連の動きは、I市長とその周辺者が利権として推進していたもので、結果的に『UR』は、高額過ぎる事業計画に加担。様々な"策謀"もあったようですが、白紙撤回で急激に力を失った同市長は市長選への不出馬を表明、疑惑は封印されそうです」(つくば市議会関係者)

 千葉県香取市でも「UR」絡みでおかしな事業計画が進行、市議会が紛糾した。

 香取市は、2017年3月の完成予定で橘ふれあい公園整備事業を進めていたのだが、事業費が急騰、批判を浴び、事業計画がストップした。

 なかでも問題とされたのは5億6000万円の事業予算が15億2000万円に跳ね上がった公園内の生きがい交流館で、野放図ともいえる予算膨張に、業務委託先の「UR」に対する批判が高まった。

 「事業費がどんどん高くなったのは、U市長と『UR』との親密な関係が背後にあると指摘されました。結局、『UR』が政治力を受け入れて?余計なものをくっつけたことが原因でしょう」(香取市議会関係者)

 千葉ニュータウンの「薩摩興業」、北区工場跡地整備計画、つくば市運動公園、香取市ふれあい交流館……。

 いずれにも共通するキーワードは「お手盛り」である。

 いろんな理屈をつけて民営化せず、国交省役人たちの天下りの場になっているから政治に弱い。その結果、政治家が口利きを行い、それを安易に受け入れる。

 言うまでもなく「お手盛り」で被害を受けるのは、国民であり住民である。

 そうした犯罪を摘発するのが特捜部の役割であり、甘利事件では「URの犯罪」にまで踏み込むべきなのだが…。【丑】




 

2016年4月14日配信「バドミントン五輪候補に波及した暴力団シノギの原点・ニッポン闇カジノ事情」<事件>

(☚www.smash-net.tv)

 リオデジャネイロ五輪でメダル候補と言われた男子バドミントンの桃田賢人選手と元五輪代表の田児賢一選手闇カジノにハマっていたことが判明、改めて闇カジノの一般社会への侵食が証明された。

 野球賭博で選手生命を失った巨人3選手と中継役らとの出会いと交流の場も、また闇カジノだった。

 もともと暴力団の多くが博徒系で、かつての手本引きなどの賭場が廃れて、バカラ主体の闇カジノになっただけだと思えば、暴力団が"シノギの原点"に回帰、本流に力を入れているわけで、驚くには値しない。

 暴対法や暴排条例による締め付けで、表の企業社会との接点を断たれた暴力団は、「裏」で稼ぐしかなく、覚せい剤、振り込め詐欺、闇カジノの三つがシノギの柱となった。

 このうち闇カジノは、インターネットカジノ、野球賭博、覚せい剤などに顧客を引き込む舞台装置にも使えるわけで、追い詰められた暴力団にとっては、最も使い勝手のいいシノギの場である。

 闇カジノにも流行がある。

 「かつては贅を競いました。立派なバカラ台を置いて、綺麗な女性スタッフを揃え、酒と食事のサービスを絶やさず、客に極上の気分を味わせて高額を張ってもらった。が、今は、摘発を恐れて、舞台装置にはこだわらない。贅沢な気分にさせる工夫はしますが、バカラ台を簡素にし、いつでも移動可能にして、実際、2ヶ月と同じ場所にはいません」

 ギャンブルは人間の本能のようなもの。だから客には困らない。

 いずれも会員制を取っており、「客引きに誘われた」という田児選手の発言は論外で、実際は、タニマチが贔屓の歌手、芸能人、プロスポーツ選手を連れてやってくるし、今回のバドミントン選手や巨人軍投手で実証されたように、先輩後輩の縦社会のなか、先輩に誘われるとイヤと言えずにやってきて、ハマってしまう。

 要は、口コミと紹介による芋づる式の普及である。
 加えて、深夜以降は、飲食店やクラブがハネた後、ホステスが客を連れてやってくる。

 彼女たちには「同伴客の負けた分の一定割合」が支給され、「ダメージバック」と言われているが、客を増やし、女を配して場を華やかにする店にとっては優れたシステムだ。

 さらに、6代目山口組と神戸山口組の抗争が、闇カジノの世界にも影響を与えている。

 「東京の六本木、赤坂、歌舞伎町、渋谷、錦糸町などの繁華街、大阪ならミナミとキタなどにはそれぞれ数十軒の闇カジノがあって、ギャンブル好きを食い合っています。抗争激化とともに闇カジノ間の競争も激しくなり、警察への密かな“情報提供”も増えました」(警視庁捜査関係者)

 匿名情報には、ダミーの届け出名義人、裏の経営者、ケツ持ちの暴力団、3〜4ヵ所の移動先を含めた店の場所などの詳細が書かれている。

 ただ、情報を得ても、場所の特定、出入りの確認、資金ルート、関係する暴力団の背後関係まで調べたうえで、捜査となれば延べで数百人の捜査員を用意しなければならず、いざ家宅捜索の際には100人単位の陣容が必要だ。

 現在、神戸山口組の広域暴力団指定と、抗争防止に人手を割かれて、暴力団がシノギと活動の拠点にしている闇カジノにまで手が回らないうえに、覚せい剤と同じで現行犯逮捕でなくてはならず、失敗は許されない。

 3選手に高木京介投手も加えた巨人軍賭博問題もバトミントン2選手の闇カジノも、最大の情報ルートは笠原将生投手のバックにもなっていたマスコミで「B氏」と表記される人物S氏である。

 同氏の兄弟が産経グループの記者で、それが産経新聞、サンスポ、夕刊フジなどのスクープにつながっている。

 一個人の情報だけでこれだけの拡がりがあることを思えば、カジノ全体に捜査が及べば大変な騒ぎになることは必至。――「このカジノには、他のスポーツ選手やOB、芸能人なども通っていた」(週刊誌記者)と取材を始めたマスコミもあり、まだしばらくは"カジノ賭博フィーバー"が続きそうである。【巳】





 

2016年4月7日配信「第三者委員会報告書で改めて明かされた王将創業家と上杉昌也氏が抱える闇」<事件>


王将フードサービス本社(☚wikipedia)



 それは30年前頃のバブル紳士と金融機関の呆れた融資実態を思い起こさせるような報告書だった。

 「餃子の王将」を展開する「王将フードサービス」(本社・京都市)が、3月29日に公表した第三者委員会の調査報告書――「B」と記された特定の企業グループに流出した資金が、95年から05年までの10年間で約260億円。うち176億円が回収不能。Bグループを率いるのはA氏と表記され、「不適切な取引」ではあるが、「反社会的勢力という認識は持っていない」(渡辺直人社長)…。

 記者会見でも、具体名は最後まで明かされることはなかったが、A氏とは、京都を拠点に事業活動を展開している上杉昌也氏で、Bグループとは「京都通信機建設工業」、「福岡センチュリーゴルフクラブ」などの上杉氏が代表を務めている企業群のことである。

 それにしても驚くのは、上杉企業群に莫大な王将資金が垂れ流されていることである。

 それは例えば、95年3月、祇園の不動ビルを上杉企業群から5億3000万円で購入し、06年9月、第三者に8000万円で売却。あるいは、ハワイの邸宅を95年4月、上杉企業群から18億2900万円で購入し、子会社への譲渡を経て03年7月、第三者に5億9800万円で売却するなど、およそ経済合理性のない取引ばかりだ。

 この種の不可解な貸付は、バブル期にはごく一般的だった。

 ただ、それには概ね金融機関が絡み、「旧住専」からバブル紳士への放漫融資。「興銀」・「長銀」・「日債銀」など、ビジネスモデルを崩壊させた長期信用銀行から不動産・レジャー業者などへの不明朗融資、また「イトマン事件」のように事件屋などに食い込まれた金融機関が、反社に莫大な資金を投入するケースもあった。

 「王将事件」の特異なところは、同社が「他人のカネ」を預かる金融機関ではなく、ひと皿200円強の餃子を中心に、従業員がコツコツと提供した飲食サービスの総体として約400億円(不適切融資期間の平均値)を売り上げる事業会社であることだ。

 一般には無名でも、上杉氏は部落解放同盟元委員長・上杉佐一郎氏(胡人)の異母弟で、佐一郎氏の各界への影響力を利用する形で、行政との調整役やトラブル処理係として実力を発揮してきた。

 だが、上杉企業群への野放図な融資は、2013年頃に問題となり、王将の役職員で構成される特別再発防止委員会が調査、13年11月13日付で、一度まとめた経緯がある。

 今回の第三者委員会は、前社長の大東隆行氏が、13年12月22日に射殺され、殺人事件捜査の過程で、昨年12月、福岡県の暴力団構成員が浮上。再び「王将と反社の関係」が取りざたされたのを受けて組織された。

 13年の再発防止委員会作成の調査報告書を封印したのは大東氏ら経営陣である。

 報告書で指摘されているのは、「不適切」いう言葉より、「不正」というのが相応しく、融資は取締役会の承認がほとんどなく、契約書すら存在しないものがあった。

 いずれも、創業者である加藤朝雄氏の長男・潔社長、次男・欣吾専務が、ほぼ独断で融資を行っていた。

 背任・横領の世界であり、本来、会社側は民事・刑事で経営陣を訴えるべき事案であった。

 だが、朝雄夫人の弟、つまり潔、欣吾両氏の叔父にあたる大東氏は、表沙汰にすることはなかった。そして封印の約40日後に射殺されたのである。

 第三者委員会は、「大東殺人事件」のために設置されたわけではなく、王将と反社との関係を解明、コンプライアンス強化につなげるのが目的である。

 ただ、そこから浮かび上がったのは、13年の調査報告書で指摘されていた不正融資の再確認であり、その後、大東氏が上杉氏との関係を切るのにいかに苦労したか、上杉氏と組んだ潔、欣吾両氏が活発化させる復権運動に、どう抗してきたか、の"歴史"である。

 犯人は不明で、福岡県の暴力団関係者の関与を窺わせるのが、殺害現場近くに残された「DNAが一致したタバコの吸殻一本だけ」と、まことに心もとない。

 だが、殺人事件の要因のひとつが、「王将の抱える闇」であるのは疑いなく、過去の封印を解き、それを浮かび上がらせたという点では意味ある報告書といえよう。【戌】







 

2016年4月1日配信「東京地検特捜部がようやく一色武氏の聴取を開始!――斡旋利得処罰法違反で告発された「甘利捜査」の行方?」<事件>


未だ睡眠障害で休養中!?(☚wikipedia)


 弁護士らが、甘利明前経済再生相と甘利事務所の清島健一元公設第一秘書斡旋利得処罰法違反で東京地検に告発、それを受けて特捜部が「薩摩興業」の総務担当・一色武氏の参考人聴取を行った。

 「週刊文春」のスクープで始まった甘利事務所の「都市再生機構」(UR)への口利き事件は、1月28日、甘利氏の大臣辞任で沈静化。清原和博逮捕や野球賭博の再燃で忘れられた感はあったものの、放置できる問題ではなく、特捜部が告発を受理して捜査着手した以上、全容解明が期待されている。

 「あっせん利得処罰法違反は、君らが考えるほど簡単なものじゃない」

 大手マスコミの司法担当記者は、検察幹部らにこう牽制されて捜査の見通しの暗さを感じているが、着手前から難しさを言い募るなど、検察のやる気のなさの表れである。

 要は、官邸を刺激するような捜査はやりたくないというのが本音なのだろう。

 しかし、事件の構図はどこを切っても真っ黒であり、毀損されたのは国民のカネであり、政治家への信頼である。

 広く捉えれば、国家に対する犯罪であり、こうした「被害者なき事件」を解明するのが特捜部の最大の役割であり、事件の解明に「特捜の再生」がかかっている。

 三者、それぞれに筋が悪い。

 まず、甘利事務所。――法律家団体「社会文化法律センター」の告発状によれば、第1の「請託」が、千葉ニュータウン道路工事に伴う「薩摩興業」の不満であり、それを受けた清島元秘書が、「UR」に「斡旋行為」を行い、その結果、「薩摩興業」は2億2000万円の補償金を取得。その謝礼に、500万円を甘利事務所に持参したうえ、その後、大臣室で甘利氏に直接、50万円を支払った。つまり甘利氏と清島氏は「利得」を得たわけで、「請託」「あっせん」「利得」という斡旋利得処罰法の3要件を満たしている。

 「第2の請託」は、その後、生じた工事によるひび割れや建物の傾斜に関する「請託」で、甘利、清島の両氏に対して行われ、その際、50万円が甘利氏に対して渡された。つまり「利得」が成立。URに対する「あっせん行為」は継続されており、ここでも斡旋利得処罰法の要件は満たす。

 難しさは、2000年に成立する際、「請託+あっせん行為+利得」のほかに、「国会議員等の権限に基づく影響力の行使」という曖昧な要件が加えられたことだ。

 これに対して告発状は、ヾ斗氏の有力政治としてのポジション、国交省の100%出資法人に影響力のある立場、という2つを指摘、清島元秘書も同等の政治力を有していたとしている。

 加えれば、この件に関し、甘利事務所は9回も「UR」を呼びつけ、強圧的な申し入れをしており、これこそ「政治力の行使」以外のなにものでもない。

 ただ、「UR」もまた"完全なる被害者"とは言い難い。

「薩摩興業」の敷地は、地主が築いた産業廃棄物の山の上にあり、本来、構造物が認められない場所なのに、それを承知で設置したので、登記もしていない。

 確かに不法建築物でも、「薩摩興業」が20年以上、営業しているので財産権は認められるだろうが、それなら裁判で争い、判決をもらうか、裁判所の斡旋で和解するのが筋だろう。

 ところが「UR」は、道路上の構造物撤去費用として1500万円をまず支払い、甘利事務所の口利きに応じる形で2億2000万円。次に、甘利事務所の第2の「請託」をうけた「あっせん行為」で5000万円を支払ったうえに、「週刊文春」の報道で露顕するまで、1億2000万円の補償金支払い交渉を行っていた。

 未遂はともかく、既遂の2億8500万円は裁判所のような公的手順を経ることなく、圧力に屈して“勝手”に支払った印象で、経営陣の背任を疑うこともできる。

 さらに、一色氏の手法である。

 元同和運動活動家で、元右翼活動家だという一色氏は、すべての領収書を残し、会話は録音、領収書を残さないカネは逐一メモにしており、それを“脅し”の道具に使っていた。

 今回、マスコミに持ち込んだため、露骨な要求はできなくなったが、これを直接、行えばURに対しても、甘利事務所に対しても、恐喝行為になりかねない。

 「不法構造物を利用した補償金要求」という手口と合わせ、国から少しでも多くのカネを引き出そうという“輩”の発想に共感する人はおらず、検察捜査とは別の視点で、同氏が本拠地とする神奈川県警が、一色氏の周辺を洗う準備をしているという。

 奪われたのは「UR=国」のカネであり、告発されているのは甘利事務所だが、「UR」と一色氏にも「犯罪の影」がある。

 その構図を解き明かせないなら、「特捜部不要論」が再燃することになろう。【亥】










2016年3月24日配信「LED詐欺事件で『全員無罪判決!』は、電通と"握った"警察の大失態!」<事件>


握ったばかりに!?



 「被告人全員を無罪と処す!」

 警視庁にとって衝撃の判決が、3月16日に下された。

 電通子会社の「電通ワークス」に、発光ダイオード(LED)の架空取引を持ち掛け、購入代金約56億円をだまし取ったというこの事件。――警視庁組織犯罪対策4課が、2年に及ぶ捜査の末に立件、東京地裁で2年近く公判の末に、出された結論が無罪だった。

 有罪率99%以上の刑事裁判で無罪判決を受けるのは、検察・警察の捜査当局にとっては大失態。裁判所にとっても、捜査当局寄りの判決を下した方がラクなだけに、有罪判決にするにはあまりに無理な事件の組み立てだったことが窺える。

 そして小誌は、捜査過程で何度かこの事件を取り上げ、組対4課が強制捜査に着手した2013年11月8日の直後、<循環取引がまずあった。その過程で詐欺が発生した。そこに暴力団関係者がいた――これが正しい事件構図のハズである>(13年11月13日)と、配信した。

 ところが、警視庁は循環取引を認めなかった。

 代理店の「ウェルバーグ」「G&A」が、LED開発会社の「ワールド・ワイド・エンジニアリング」(WWE)と組んで、架空取引を持ちかけてだまし取ったという事件構図を描いた。

 これが、どれだけ荒唐無稽か。

 「電通ワークス」は、「電通」という看板はあっても、当時、業務はビル管理と人材派遣が主の年商約200億円程度の会社である。

 その会社が、「代理店ウェルバーグ社向けLED照明」として、10年9月22日、1枚のやけに簡単な発注書で、「WWE」に約114億円分も発注していた。

 これはLED照明約77万本分で、これだけの案件が、「電通ワークス」の一担当者を騙すことで成り立つハズがない。

 であれば、この取引は何だったのか。

 商取引に通じていなくとも、「電通ワークス」が承知の循環取引であることが想像できよう。

 実際、それまでにも取引は繰り返され、「WWE」以外にも商流は確立されていた。

 江見健一裁判長は、「架空取引とは知らなかった」と主張する電通ワークスOグループ長の証言に対し、「自己の責任回避という強い動機があり信用できない。架空取引と知っていたと認められる」と、強い口調で述べた。

 「電通」とすれば、「電通子会社ぐるみの循環取引」という形にしたくなかった。

 そうなると100%出資子会社の事件だけに、『電通粉飾事件』という構図になる。

 それを避けるには、「電通は被害者」という形にするしかなく、捜査に当たったのが暴力団担当の組対4課で、代理店などの商流には過去に逮捕歴があるような反社会的勢力が含まれていることから、「電通」と組対4課の思惑が一致、「反社が電通を食った」という事件構図となったのである。

 小誌が、まず循環取引があり、次に詐欺事件と読んだのは、「WWE」の長谷川篤志社長らが、循環取引であることを隠さず、またそうでなくては成り立たない犯罪だったからだ。

 そして詐欺の構図は「WWE」とは別にあり、それは13年12月31日配信<『LED詐欺事件』で電通ワークス被害者説を覆すもうひとつの民事訴訟>で指摘した。

 これは「電通ワークス」が「G&A」という代理店に架空発注した事件で、こちらは民事訴訟だったが、「G&A」の実質的経営者の森田敏男本部長が、「印鑑等を偽造、ビジネスを成立させた」と、罪を認めていた。

 こちらの商流でも逮捕者を出し、分離して公判が行われ、詐欺罪が成立して有罪判決が下されている。

 一方の「WWE」が無罪になったのは、循環取引ではあっても、発注書に基づいた製造が行われ、製品が納入されているためで、江見裁判長は、「電通ワークス」が「WWE」に支払ったカネの趣旨は不明としたものの、「詐欺罪は成立しない」と、結論づけた。

 "天下の電通"を被害者とする無理な事件構図はもろくも崩れた。

こうした失態を繰り返させないためには、「電通」と捜査当局の“握り”が、いつどのような形で行われたかの検証作業が必要であろう。【戌】









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