2018年4月3日配信「G20で初めて話し合われ『通貨』ではなく『暗号資産』とされた仮想通貨の将来性?」<事件>

 
(☚wikipedia)

 

 

 アルゼンチンの首都・ブエノスアイレスで開かれていたG20(20カ国地域の財務省・中央銀行総裁会議)で、初めて仮想通貨についての話し合いが行われ、仮想通貨については「通貨」ではなく、「暗号資産」として切り分けることが確認された。

 決済、送金手段として用いる通貨ではなく、コンピュータ上に書き込まれた「暗号資産」で、金や株式など実体のある資産ではない、という位置付けである。

 日本で発生した「コインチェック事件」でブロックチェーンに対する信頼が薄らいで価格が暴落、フェイスブックやグーグルが「仮想通貨の広告は取り扱わない」と公表、2017年の熱狂がウソのように静まるなかでのG20の決定は、「仮想通貨バブルの終焉」を意味するものであろう。

 実際、仮想通貨の周辺で起きていることは「犯罪」だらけである。

 G20でも指摘されたことだが、利用者の目的に脱税やマネーロンダリングがあるのは間違いなく、匿名性の高いダークウェブサイトでは、武器や薬物などの決済手段として使われている。

 また、北朝鮮は経済制裁すり抜けの道具として使い、ハッキングで収益を確保してきた。

 しかも、通貨として使われていないため、非中央集権的で管理されない自由があり、国境のカベもなく、土日祝日関係なく、24時間いつでもどこでも利用できるという触れ込みだが、利用者にとって保有する目的は投資であり、決済利用や送金利用は稀。1日に10〜20%変動することが少なくないというボラティリティに惹かれて投資する人が大半だった。

 さらに、通貨といいながら金融商品ではない。

 日本は唯一、改正資金決済法で仮想通貨交換業者の登録を義務付けているが、それでも認めているのは決済手段だけである。

 それが逆に、取引所や投資家の不法を許し、インサイダー取引、相場操縦、風説の流布など「なんでもあり」の状態を招いても、金融商品取引法などで取り締まれないからである。

 そんな仮想通貨が、なぜもてはやされるかといえば、ブロックチェーンという分散台帳技術によって、多数のコンピュータで10分ごとにブロック(台帳)を形成、その帳簿は、改ざんできず、追跡できるという優れた機能を持っているからだ。

 ビットコインに代表される仮想通貨の信用と信頼は、このブロックチェーンによってもたらされている。

 将来的には、各種契約書、出生証明、遺言状、土地登記などが、「改ざん不可で監視できる」というブロックチェーンによって新しい形態になることが予想され、ビジネス環境は一新する。

 そんなブロックチェーンがもたらした「最初の成果」が仮想通貨であり、その将来性に対する期待が、仮想通貨への甘さにつながった。

 G20でも、ブロックチェーンと仮想通貨は切り離すべき、という意見が大半だった。

 コインチェック事件によって仮想通貨の正体は割れ、G20によって国家に見放され、グーグルとフェイスブックが「危険な商品」と判断した仮想通貨の将来は危うい。

 注意すべきは、2017年のブームの際、仮想通貨の引換証であるトークンを発行して事業資金を得るICO(イニシャル・コイン・オファリング)の発行に取りかかったり、準備をしたりしている業者が、「最後の荒稼ぎ」をすることである。

 美辞麗句を並び立てたホワイトペーパー(事業計画書)で、数億円から数十億円のカネを集めるICOは、究極の錬金術といえるもので、9割は詐欺、残り1割のうち実現可能性のあるものは、そのうちの1割に満たない。

 コインチェック事件を機に仮想通貨交換業者にメスを入れた金融庁は、次にICOに監視の目を向ける必要がある。

 浮わついた仮想通貨バブルは今後、折に触れて修正されていくだろうが、今後、「通貨」として復活する兆しはあるのだろうか。

 「ブロックチェーンを使った決済、送金システムとしての仮想通貨は生き残り、その結果、ビットコインなど一部のコインは法定通貨を補完する役割を担うことになるでしょう。しかし、大半は、ボラティリティの高さを期待されたFXのような相場商品として生き残ると思います」(金融庁関係者)

 バブル崩壊は意外に早かったが、コインチェックに代表される交換業者やICOを実施する金融関係者の志の低さを思えば、それも当然であろう。【亥】

 

 

 

 

 

 


2018年3月31日配信<0510archives>「籠池泰典前理事長逮捕でも“怪談・森友劇場”の幕は下りず!」<事件>

 
森友学園塚本幼稚園(☚wikipdia)


 去る7月31日午後、大阪地検特捜部が、籠池泰典・詢子夫妻補助金適正化法違反容疑で逮捕した。

 しかし、これで“ナニワの森友劇場”が治まるはずもなく、いわば本編の第2幕が開いたというべきであろう。

 逮捕に先立った27日に、森友学園の籠池夫妻に対して任意の事情聴取が行われたが、聴取に出かける前に即席の記者会見を開き、帰宅後は、親しい特定のメディアを呼び込んで聴取の様子を語っている。

 その模様は、中継で全国に流れるが、これまでも3月に「安倍昭恵・首相夫人からの100万円寄付」を、野党調査団に告げて以降、籠池氏は基本的に取材に対応してきた。

 従って、国民は大阪地検特捜部が告発を受理して捜査に着手した際、籠池氏がどんな感情を抱き、事件の背景に安倍政権(首相官邸)のどんな思惑があると感じているのかを知ることができた。

 そして家宅捜索の日には、自宅にテレビカメラを入れて待ち構えていたので、強制捜査がどんな形で行われるのかを目の当たりにした。

 家宅捜査の実況中継!――地検特捜部が捜査する「特捜案件」で、こうした対応をする被疑者は滅多にいない。

 公判まで見据えた顧問弁護士が、情報をコントロールしたいという思惑があって、メディアに口を開かせないからだ。

 だが、籠池氏は、事件の“キモ”である「刑事訴追に関すること」を除いては、すべてオープンにしてきた。

 森友学園事件では、2011年以降、専任教員の数を偽って人件費補助を申請、また「要支援児」の受け入れに関する虚偽報告で大阪府から約6200万円を詐取したとされた。

 また、「瑞穂の國記念小學院」の建設に絡み、国からの補助金約5600万円を不正受給した疑いが持たれている。

 もちろん、双方とも看過できない事件である。

 しかし国民は、事件発覚から短期間で特捜部が告発を受理した流れに、「ワルは籠池」で決着させたいという意図を感じ取っている。

 それは、「国策捜査だ」と、籠池氏が言い続け、それに同調するメディアが多いこともあるが、なにより大きいのは同時期に疑惑が表面化した「加計学園」との対比においてである。

 同じ“学園モノ”だが、双方の開きは大きい。

 籠池氏の窓口は昭恵夫人であり、安倍首相は会った?こともない。

 それに対して「加計学園」の加計幸太郎理事長は、米留学時代からの“腹心の友”だ。

 加えて、園児たちに「教育勅語」を斉唱させる変わった教育の幼稚園理事長に過ぎない籠池氏に対し、加計氏は三つの大学を擁する一大学園グループの総帥である。

 公訴権と捜査権を握り、いくらでも情実捜査を行える法務・検察は、早くから叩けばホコリの出てくる籠池氏を「資金繰りに窮した挙句の“詐欺”」で逮捕し、逆に「加計学園」には手を出さずに官邸に恩を売ることを決めていた。

 

 閣僚人事を抑えた今の官邸には、法務・検察に忖度させるぐらいの力はある。

 しかし、籠池氏に思わぬ“援軍”が現れた。

 前川喜平・前文科事務次官である。

 国会やメディアの前で「官邸からの圧力」で獣医学部新設が認められたことを明確に証言した。

 国有地を8億円も安く払い下げた「森友学園」のケースと、官僚の忖度は同じである。

 ところが事件発覚後の対応は180度違い、籠池氏を葬り、加計氏を必死で守ろうとしている。

 そこに国民は、「安倍1強」の歪みを感じた。

 都議選の自民党大敗北は、安倍政権への怒りの表明だった。

 都議選最終日、秋葉原に現れ、「嘘は、イカーン!」と、声を張り上げた籠池氏のパフォーマンスは、確実に安倍政権を痛撃した。

 100万円を安倍夫妻に返そうとし、その時の札束が上下2万円だけが本物で、あとは白紙だったという漫画チックなパフォーマンスは、籠池氏の信頼度を落としたが、一方で、「そこまで安倍が憎いのか」という奇妙な感慨を抱かせもする。

 籠池氏は、ネット社会にふさわしい"オープン・リーチの被疑者"である。

 マスコミが黙視したとしても、you tubeやtwitter、face bookなどで映像と主張が流されれば、マスコミも無視するわけにはいかない。

 その発言と自宅を撮影場所に解放する籠池氏の"戦略"によって、「司法記者クラブを味方につけて、事件を自分たちの方向に持って行く」という従来型の特捜捜査は通用しなくなった。

 籠池氏の“無勝手流の戦い”に、傷ついているのは安倍政権である。

 ボタンの掛け違いは、「昭恵夫人からの100万円寄付」を、籠池氏が口にした時、「トットと潰してしまえ!」と、官邸が“発想”し、「国会に呼んで偽証罪で逮捕させる!」と、策を弄した時から始まった。

 心血を注いできた「森友学園」を経営破綻に追い込まれ、身ぐるみ剥がされて刑事被告人になろうとしているにもかかわらず、籠池氏にはどこか剽軽なところがあり、そんなキャラクターを全開させる姿は、メディアにとっては得がたい存在である。

 「昨日の友は今日の難敵」――籠池氏という“特異な人物”の対策を読み違えたことが、安倍首相の“最大の失敗”である。【午】

 

 ※籠池夫妻は逮捕以来8ヶ月経った現在も保釈も叶わず、接見禁止のまま拘留中の身である。

 

 

 

 

 

 

 


2018年3月20日配信<0510archives>「破綻が近づく『みんなのクレジット』オーナー・白石伸生氏の転落の軌跡」<事件>

 

 

 ソーシャルレンディングのいかがわしさを伝える事態が現在進行中だ。

 2015年5月に設立され、ピーク時に45億円を集めていた「みんなのクレジット」(みんクレ)が、7月末に償還予定だった案件の元本を連絡なしで延滞したことで、東京都は9月7日までの業務停止命令を出している。

 「みんクレ」に対する業務停止命令は、3月末の関東財務局の1ヶ月間に次ぐものである。

 関東財務局の停止期間終了後も、早急な業務の改善を目指すとして新規の投資勧誘等を自粛していただけに、「みんクレ」には新たな投資モデルも運用スキームも確立されていない。

 そうしたなかでの償還延滞と、それを理由にした業務停止の先にあるのは「みんクレ」の経営破綻であり、フィンテックブームに水を差すことにもなりそうだ。

 運営会社が仲介役となり、ネットを通じて投資をつのり、集まった資金を事業会社に融資してファンドを組成。投資家はその分配益を得るのがソーシャルレンディングである。

 金融機関が躊躇する投資先が少なくないだけにリスキーだが、その分、利回りは高く、「みんクレ」では最大14・5%を謳っていた。

 後発組ながら「みんクレ」が、1年足らずの間に45億円を集めたのは、高利回りもさることながらソーシャルレンディングを含むフィンテックが金融の世界の変えるという予感に加え、「みんクレ」代表(4月で退任)の白石伸生氏が、多彩な事業歴を持っていたからだ。

 白石氏は、今から23年前の94年9月、ブライダルジュエリーの「シーマ」を、大学生時代に立ち上げたところから起業家人生をスタートさせた。

 以後、目まぐるしく様々な事業に関与、ITバブルの最盛期には「ネットスーパー」を企画して話題を集め、04年にはペット向け共済(ペット保険)の運営業務を行う「スロー・グループ」を立ち上げている。

 白石氏は、そうした企業群の事業が軌道に乗って付加価値がついたところで売却、次のステージに移動。――現在、そうした“連続起業家“のことをシリアルアントレプレナーと呼び、新規事業の開拓者としてそれなりに評価されている。

 同氏は、その“先駆け”ではあるが、「シーマ」の上場(99年)で「若手起業家」として脚光を浴びた頃と比べると、最近は事業の失敗による“逃走”が目立つ。

 白石氏の“転落”は、企業再生を目的とした「スピードパートナーズ」において、「富士ハウス」「ラ・パレル」「サクラダ」「新井組」「大和システム」などの再生スポンサーとなりながら、再生を成し得ないまま撤退したところから始まっている。

 最も話題となったのは、事業というよりは趣味が嵩じた12年11月の「全日本プロレス」の買収だが、これは選手らとの軋轢を引き起こしただけに終わった。

 しかも、破綻企業を受け入れていた「スピードパートナーズは、13年8月、「八丁堀投資」と社名変更するとともに、白石氏は代表を退任。経営は次第に悪化、債権者から破産を申し立てられ、14年5月、東京地裁から破産開始決定を受けた。

 経営のプロで企業再生家を自認していた人が、再生にことごとく失敗、破産を余儀なくされてしまった。

 この時点で、一般投資家からカネを集める金融業者の資格はないといっていいだろう。

 ところが、フィンテックブームを背景に、40代半ばになった白石氏は、起死回生の勝負に出た。

 それがソーシャルレンディングの「みんクレ」の設立だった。

 事業再生の過程で、「右のポケットのカネを左のポケットに移し替える」という作業は「急場をしのぐ行為」として、認められることもある。

 だが、投資家のカネを預かる金融業者にとって「分別管理」が当然であって、資金流用など許されることではない。

 白石氏は、その禁を破り、ファンドで集めたカネを自社グループへの融資に回し、担保にはグループ企業の株を入れ、しかも自身の借金返済に回すこともあったが、禁じ手であるのは自明の理。関東財務局は、厳しい処分を下し“自転車操業”を止めさせた。

 その時点で退任した白石氏は、「八丁堀投資」同様、逃げ切るつもりだろうが、今回も同じ手が通用するとは思えない。

 いずれ民事刑事の両方で責任を問われる可能性が高いが、同氏に功績があるとすれば、フィンテックの装いを被った金融商法には、詐欺的要素の危ない投資が少なからず含まれていることを「みんクレ」の経営破綻によって、改めて国民に“広報宣伝”したことぐらいであろう。【寅】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年3月9日配信「積水ハウスで発生したクーデターの真相と海喜館地面師事件の行方」<事件>

 (☚wikipedia)


 老害排除保身クーデターか――。

 「積水ハウス」で発生した社長、会長交代劇の真相は、報道だけでは判然としない。

 会社側の公式発表によれば、1月24日の取締役で決まったのは、66歳の阿部俊則社長(現会長)から52歳の仲井嘉宏取締役(現社長)への経営刷新人事であり、その流れに沿って76歳の和田勇会長(現取締役相談役)が身を退いた、というものである。

 しかし、和田氏は「(五反田で発生した地面師による)詐欺事件の調査対策委員会の最終報告書では、『阿部氏の責任が重い』と記されており、これを受けて退任を求めたら、阿部氏から私の退任を求める緊急動議が出た。地面師に引っかかった自分たちの責任を消すためにクーデターを起こした、という感じだ」と、「日本経済新聞」に答えている。

 どちらの発言が正しいのか。

 「和田氏の言っていることが本当です。調査対策委員会は、和田氏が委嘱したものですが、五反田の土地を決裁したのは阿部氏であり、『社長直轄案件』となったことで現場が、怪しい物件であることに気が付きながら、契約に向けて突っ走ってしまったのです。誰か責任を取るとすれば、当然、阿部氏です。でもそうなると、株主代表訴訟のリスクにもさらされるということで、取締役会までに阿部氏は票固めをして、逆に自分を下ろそうとした和田氏のクビを取ったのです」(住宅業界事情通)

 平仄が合うのは、9月7日に調査対策委員会を立ち上げ、1月24日、同委員会から「最終報告書」を受け取りながら、それを公表していないことだ。

 この事件は、「天下の積水ハウスともあろうものが〜」と、あらゆるメディアが報じ、ワイドショーにも取り上げられたことで「地面師」なる一般人には馴染みのない詐欺師の存在を、主婦層にまで知るしめることになった事件である。

 偽造したパスポートと印鑑証明を用意、所有者に成りすました女の“三文芝居”に63億円も支払ってしまった(そのうち55億円は10行に分けて送金され、直後にそれらの口座は凍結されたので実質的な被害は8億円との指摘もある)「積水ハウス」は、その経緯を株主や投資家に説明する義務がある。

 ところが、「積水ハウス」は公表しない。

 1月24日の社長交代記者会見で、新社長に決まった仲井取締役は、地面師事件との関係を問われて、「まったく関係ない」と、言い切った。

 阿部氏に付き、和田氏を放逐する側に回ったのだから当然だが、2月20日、和田氏が日経に真相を暴露しても、報告書を明らかにしない事態が続いている。

 「弁護士や社外取締役で構成される調査対策委員会が、自分たちの結論が無視されたうえ、委嘱してきた和田氏のクビを切ってしまった現経営陣に反発しているんです。4月26日の株主総会に向けて、今回の人事を覆す手立てはないかと、いろいろ画策しています。それがわかっているから、会社側も下手に動けないのです」(前出の事情通)

 東京・五反田の「海喜館」という老舗旅館は、3代目を継いだ海老澤某女が、養父母の残した旅館を自分の代で潰したくないと、ひとりで守り抜いてきた。

 身寄りはなく独り身の女性が持つ抵当権がまったくついてない“真っさら”な約600坪。不動山ブローカーや地面師たちの間では超有名物件で、売却話が流れれば、疑わない方がおかしい代物である。

 そこに上手くはめ込んだのは、小山某、土井某、前野某といった連中で、金野某女なる成りすまし女を用意、「積水ハウス」にパイプのある「IKUTAホールディングス」(事件当時の本社所在地は小林興起・元衆院議員の千代田区内の事務所内)に話を持ちかけ、金野某の本人確認に代理人弁護士を立てることで、「積水ハウス」の担当者と(積水側の)司法書士を騙し、4月24日、売買契約に持ち込み、手付けの14億円を手に入れた。

 警視庁は捜査に着手しているものの、「IKUTAホールディングス」も小山某らも、「自分も金野が海老澤さんと信じた」と言い張り、金野某の行方が知れないという隘路に陥っている。

 阿部氏の責任は、単に騙されただけではない。

 4月24日から6月1日の最終決済日に残金49億円を支払うまでに、地面師工作から外された不動産ブローカーのM氏や、海老澤某女の関係者らが、「これは詐欺事件であり、所有権移転は無効だ」という手紙を出して警告しているのに無視し続けたのも迂闊の一語では済まされない大チョンボである。

 「せめて私らに、(パスポートの)写真を見せて確認してくれたら、詐欺だとわかったのにね」と、町内会の人が驚くのは当然の反応で、にもかかわらず誰も責任をとらないというのも、2兆円企業の名が泣くおかしな話である。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年3月3日配信<0510archives>「APA事件摘発以降も続く“地面師捜査”の行方?」<事件>

 

 

 地面師の話題が尽きない。

 新橋白骨死体事件、史上最高63億円詐欺の海喜館事件、そして容疑者が逮捕されたAPAホテル事件……。

 新橋4丁目に自宅と合わせ10億円の資産を持つ高橋礼子さんが、昨年10月、地面師に土地を収奪されたあげく、白骨死体となって発見された事件は、「資産家で身寄りのない孤独なひとり住まい」という地面師に狙われ条件を整えていたのだが、警視庁はロクな捜査もしないまま、「事件性はない」と結論付け、無惨さを倍化させた。

 アル中気味で奇矯な行動をすることもあった高橋さんが、失踪時の服装のまま路地の隙間で死んでいたのは「酩酊状態の死」というのが警視庁の見立てだった。

 ではせめて、地面師事件の方は暴いてもらいたいと思っていたところ、APA事件が弾けたことで早期着手の可能性が出てきた。

 APA事件の報道で幾つかのメディアは、逮捕された9名の容疑者のうち、唯一の女性である秋葉紘子(73)が、新橋4丁目案件にも絡んでいると報じた。

 「秋葉容疑者は、一昨年、東京・港区の土地を巡っても自らが土地の所有者に成りすますなど、不正な取引に関与していたことが分かりました。パスポートの顔写真を張り替えて悪用していました」(ANNニュース)

 高橋さんが所有する新橋4丁目の約170平方メートルの土地を狙った地面師は、15年4月、大田区大森のワンルームのアパートに高橋さんが移転したことにして、印鑑登録証やパスポートを偽造、成りすまし女を使って土地の名義を書き換えた。

 その成りすまし女が秋葉容疑者だったというのである。

 土地の所有権は、高橋さんから15年4月28日、「三京」(木更津市)に移ったのを皮切りに、「CKエージェント」(相模原市)→「平和興産」(千代田区)→「京栄商事」(港区)→「中央都市管理」(新宿区)→京栄商事→「NTT都市開発」(千代田区)と、わずか3ヵ月の間に、複雑な移転を繰り返している。

 どこまでが「善意の第三者」なのかは不明だが、鍵を握る秋葉容疑者の逮捕によって、早い段階の事件化は間違いない。

 「犯行の連鎖」は、APAホテル事件の前から始まっていた。

 例えば、15年11月10日に関係者が逮捕された杉並区の地面師事件である。

 マスコミ報道では首謀者だけだが、この時は、八重森和夫を筆頭に内田マイク・渡邉政志・大賀義隆・福田尚人・上村寿一・大島洋一・広井秀一・山本諭の9名が逮捕された。

 このうち八重森、内田、福田の3容疑者は、多くの地面師事件に登場する“有名人”である。

 また、今年2月14日には、墨田区曳舟の3階建て店舗兼住宅に住む独居婦人の土地をだまし取ろうとした地面師グループ6名(宮田康徳・亀野裕之・松元哲・岩佐彰巳・田村久彰・高橋利久)が逮捕された。

 このうち首謀者は過去にも地面師事件を手がけていた宮田容疑者であり、そのパートナーというべき司法書士の亀野容疑者である。

 宮田グループには別件もあり、それが今回のAPAホテル事件であり、2人は逮捕されたが、西五反田の医療法人を舞台にした地面師事件も手がけており、そこには松元容疑者も関与しており、こちらに事件が波及する可能性も十分だ。

 11月8日のAPAホテル事件の容疑者を列挙すると以下の通りである。

 宮田康徳・藤井明・永田浩資・亀野裕之・星野芳彦・秋葉紘子・白根学・松尾充泰・石川仁。

 このうち秋葉容疑者が新橋4丁目案件に絡むのは前述の通りだが、秋葉容疑者が五反田「海喜館事件」の女将・海老澤某女(今年6月死去)の成りすまし犯?という説もあり、そうなると「あの『積水ハウス』さえだまされた」と、大きな話題を呼んだ海喜館事件に波及する可能性がある。

 いずれにせよ、多数の地面師事件を抱え、水面下で捜査してきた捜査2課の地道な努力が、関係者の大量逮捕と収集してきた情報の蓄積によって大きく実っており、警視庁の人事異動を機に”火砕流”のような捜査となりそうである。【巳】

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年2月27日配信「ホラ吹き男爵と名指しされた斎藤ウィリアム浩幸元内閣府・経産省参与と中国との怪しすぎる関係」<事件>

 
節穴大臣?(wikipedia)


 テレビコメンテーターとして人気を博していたショーンK氏「ホラッチョ」なら、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)医学部卒の起業家でサイバーセキュリティ専門家の斎藤ウィリアム浩幸氏「ホラ吹き男爵」である。

 どちらも天性のウソつきである。

 「アメリカ人の血」をありがたがる日本人はまだ多く、ショーンK氏はマスコミの寵児となり、斎藤氏は政界にも食い込んで内閣府と経済産業省の参与となった。

 動かしがたい経歴詐称を暴かれて、2人とも早々に表舞台から去ったが、「声のいいイケメンコメンテーター」のショーンKこと川上伸一郎氏は放置してもいいが、政権の中枢部近くで活躍していた斎藤氏には解明されていない重大な疑惑があり、このまま逃がしてはいけない。

 質すべきは中国疑惑である。

 著名ブロガーの山本一郎氏が火を付けたこの疑惑は、会員制月刊誌『FACTA』が追撃、ノンフィクション作家の森功氏が、『週刊現代』でさらに追った。

 UCKA医学部卒も、在学中に起業した会社を「マイクロソフト」に高値で転売したのも、東京電力福島第一原発の事故調査委員会でCTO(最高技術責任者)を務めたサイバーセキュリティ専門家というのもすべてウソだった。

 ところが、その経歴詐称によって、世耕弘成経産相など政治家に食い込み、内閣府参与、経産省参与の肩書を得た。

 その信用が、NPO法人や公益財団法人の理事や顧問、「博報堂DYホールディングス」、「PwCジャパン」、「ファーストリテイリング」などのアドバイザー役や顧問職につながり、「JAL」ではサイバーセキュリティ担当の非常勤執行役員に就任しているのだから、まるで経歴詐称の「わらしべ長者」である。

 昨年12月9日に山本氏が経歴詐称を指摘、11日に『FACTA』の取材を受けた斎藤氏は、すぐに“白旗”を上げた。

 12日に内閣府、16日に経産省に辞表を提出すると、「JAL」を始め民間企業の役職をすべて下り、自らのブログでこう謝罪した。

 <このような肩書を用いることが適切と言えたかと問われると、軽率だったと反省しています>

 自分が引き立てた経緯もあって簡単には謝罪できない世耕経産相は、辞表提出を受けた記者会見で、「我々としても仕事にはひと区切りがついておりますので、それを受理しました」と、まるで他人事のコメントを口にした。

 だが、問題は「マイクロソフト日本法人」で会長を務めた古川亨氏が、「私もマイクロソフトも被害にあった。私が知る限り最低のペテン師の真実が今暴かれる」とまで書き込んだ斎藤氏が、中国企業に食い込もうとして残した疑惑の数々である。

 参与として国家機密に触れられる立場の斎藤氏が、食い込むためにどんな情報を流していたのか。

 斎藤氏には、中国の政商兼大物スパイで、今は中国当局の追及を逃れて米国に在住。我が身の保全のために、数々の機密情報を効果的に米国政府やメディアに流し続ける郭文貴氏との接点疑惑がある。

 また、中国の通信大手「ファーウェイ」(華為技術)に日本法人CTOとして自分を売り込んでいた節がある。

 現段階では未だ「疑惑」だが、使えるものは何でも利用、ウソとハッタリを多用しながら日本で大きくなった斎藤氏が、中国が欲しがる機密情報に接触できる立場にあったことは動かせない事実である。

 「ペテン師の真実」を暴くのはメディアの役割ではあるが、強制力のないメディアには限界がある。

 嘘を見抜けず安易に参与職を与えていた反省を踏まえ、世耕大臣らは「経歴詐称」を“罪”として告発、司直の手に委ねるべきであろう。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年2月20日配信「先祖返り?した強気の『東京地検特捜部』vs資料隠蔽発覚でも強気で反撃する『大成建設』――どっちもどっちのせめぎ合い⁉」<事件>

 (☚wikipedia)


 「ふざけるな!」「社長の前でもウソをつくのか!」

 リニア中央新幹線の談合事件を捜査する特捜部経済班サブキャップ・関善貴検事は、「大成建設」の役職員を社長室に呼びつけると、こう怒鳴りつけたという。

 いつか見た風景である。

 国家秩序を担っているという高ぶりと、公訴権と捜査権の双方を握っているという驕りが、人柄的には謙虚な特捜検事であっても、捜査がうまく行かなかった時には、思わず怒りとなって噴出、被疑者であれ参考人であれ、だれかれ関係なく面罵する。

 それが証拠改竄につながった「大阪地検特捜部事件」(2010年)のような犯罪を生み、その反省のもと、大人しくなっていたのに、事件を再開すれば、やはり元の強引な特捜に戻ってしまう。

 「大成建設」の顧問弁護士は検察上がりのヤメ検。特捜部は、二度、三度と「追いガサ」を繰り返し、そのなかには法務部も含まれ、弁護士のパソコンまで押収した。

 取り調べの際の想定問答やアドバイスなど手の内を握られ、怒り心頭に達したのであろう。

 「検察のストーリーに沿った自白を強要しようとして圧力を加えているもの」と、顧問弁護士は、その捜査姿勢に反発、「抗議書」を送り付けた。

 特捜部には自信があった。

 ひとつは、「JR東海」からの内部告発が公正取引委員会に寄せられ、その情報と資料をもとに、まず「大林組」に偽計業務妨害容疑で家宅捜索に入れば、独禁法違反での摘発が容易と判断できたこと。もうひとつは、「JR東海」には総工費9兆円のうちの3兆円が財政投融資として注ぎ込まれていたこと。そして、「JR東海」は「民」だが、事業は「国家プロジェクト」であり、特捜案件にふさわしい事案だった。

 誤算は、受注予定表を押収された「大林組」が課徴金減免制度(リーニエンシー)を使って自首。次いで「清水建設」も従ったのに、「大成建設」「鹿島建設」が突っ張ったことで、「4社が自首して幕引き」のシナリオは崩れた。

 また、「JR東海」をゼネコン談合の「被害者」にしなれればならないのも、入札実態との間に大きな差があった。

 難工事が予想されるうえ、民間企業として「JR東海」自身が収益を確保するため、ゼネコン各社との間に協議を続けてきた。

 それは技術と価格の擦り合わせを含むもので、「官製談合」の側面がある。

 立件には、そこは除かねばならず、談合事件として仕上げる際の歪みをもたらしている。

 「大成建設」が、突っ張っているのも、民間会社として「施主=JR東海」の意向に沿って情報を集め、技術提案をして価格を擦り合わせてきただけ、という思いであり、だから談合ではなく、設計協力を含む営業努力と主張している。

 そこには、亡くなった「JR東海」のリニア担当と最も親しかった元常務が、リニアの推進を担ってきたという自負がある。

 難工事といわれる大深度の南アルプストンネルの受注は、そうした互いの「信頼関係のなかでの貸し借り」で生まれたもので、「業務屋」と呼ばれる談合担当が、話し合いだけで受注を決める従来の談合にはほど遠い、というわけである。

 しかし、「大成建設」にも弱みがあった。

 代々木にある幹部寮に隠してあった段ボール約40箱のリニア中央新幹線に絡む資料が、顧問弁護士が「抗議書」を送った直後に発覚、「JR東海との守秘義務に関するもので、隠蔽のつもりはなかった」と弁明したものの、いかにも苦しい。

 どっちもどっちのせめぎ合いのなか、3月末の立件に向けて神経質な争いが続いている。【巳】

 

 

 

 

 

 

 


2018年2月16日配信<0510archives>「『セイクレスト事件』で逮捕された“大物粉飾アレンジャー”=松尾隆容疑者の転落の軌跡」<事件>

 

「あなたたちは、口を開けば粉飾、粉飾と騒ぐが、業績不振で金融機関などが見放した企業に“合法的な手法”で資金調達の手伝いをすることが、どうしていけないんだ!」――証券犯罪を取材テーマにしている記者に対峙した際の、“大物粉飾アレンジャー”=松尾隆容疑者のコメントは、いつも“合法の自信”に満ち溢れていた。
 
 つまりは“粉飾を正当化する達人”なのである。それだけに、気に障った取材や記事に対しては執拗に抗議、相手が音を上げるまで止めない熱心さは、数ある“兜町の怪人”のなかでも右に出る者はいないと言っても過言ではない。
 
「上手の手から水が洩れた?」――その達人が「セイクレスト」(元ジャスダック・5月2日破産申請)の水増し増資疑惑で遂に逮捕された。
 
 だが、今回の逮捕容疑は、粉飾があまりにも露骨すぎて、情けなかった。
 
 2010年3月期決算で債務超過に転落しそうだった「セイクレスト」元社長で、今回一緒に逮された青木勝稔容疑者が、松尾に相談。松尾が実質的に経営する不動産会社を引受先にして、現物出資による第三者割当増資を計画、20億円と不当に高く評価して債務超過を逃れたという疑いである。
 
 本誌は、今年4月に大阪府警と証券取引等監視委員会(SEC)が、合同で家宅捜索した時点からこの事件に注目、「逮捕寸前!『佐渡SEC』に睨まれた“元祖増資マフィア”=松尾隆の“黒い軌跡”!」(2012・6/6)と題した記事を配信した。
 
 それから逮捕までに5カ月以上が経過、証券界では「今回も松尾は逃げ切るんじゃないか?」という声も流れたが、当局のテーマが「何が何でも松尾の逮捕!!」だっただけに潰れることはなかった。
 ここまで時間を要したのは、松尾らが法廷で繰り出してくるであろう「合法の論理」を崩しておくのに時間がかかっただけである。
 
 しかし、松尾容疑者が“異能の人”であるのは認めないわけにはいかない。
 
 1969年3月、一橋大学経済学部を卒業して「日産自動車」に勤務。71年2月に退職、いったんは一橋大学商学部に学士入学するが、中退して「山種証券」に入社、84年3月に外資系の「スミスバーニー証券」に転籍。マーケットがバブル経済に沸き始めた頃、外資に移ったことが、資金調達アレンジャーとしての“凄腕”につながり、「プレデンシャル証券」を経て、94年4月、バブル崩壊に呻吟する上場企業が増えた頃に独立したことが、資金調達=粉飾アレンジャーとしての松尾の“居場所”につながった。
 
 実際、“怪しい資金調達の元祖”と言っていい。
 
 まだ海外のタックスヘイブン(租税回避地)を利用した資金調達が一般化していない頃、魑魅魍魎が跋扈、没落した製鉄会社「ヤハギ」が香港で発行するユーロ建て転換社債の発行に関与、タックスヘイブンのペーパーカンパニーを受け皿に、私募CB(転換社債)を発行させた。それが今から14年前の98年のことである。
 
 その後も松尾は、常に先端を走った。
 
 時価より安く発行価格を決める私募CBの次は、転換価格を自由に調整できるMSCB(修正条項付き転換社債)の発行を資金難の企業に伝授した。
 
 「ヤハギ」「ヒューネット」「ヤマシナ」「日本ファーネス工業」「キーイングホーム」「ゼクス」、そして今回の「セイクレスト」――松尾容疑者が関与した銘柄は数多く、いずれにも“増資マフィア”、“資本のハイエナ”と呼ばれる連中が群がったが、調達に関わったのは一緒でも、株価操縦やインサイダー取引など、違法を承知でカネ儲けに走る連中と“同列”に見られることを極端に嫌い、一線を画していた。
 
 
 「私は、企業再生のアドバイザーであり、資金調達のお手伝いをしているだけだ。批判されるいわれはない!」
 
 これが松尾の変わらぬ主張である。
 
 だが、「企業再生といいながら、再生した企業など皆無ではないか」と、反論されると、「それは経営者サイドの問題であり、経営者の質がどんどん悪くなっているから再生できないのだ」と、問題をスリ替えた。
 
 ただ、松尾が「合法」にこだわったのは確かである。
 
 05年には「ヤマシナ」で「10株を1株に併合、ただし転換価格は従来通り」とするとんでもない増資を仕掛けている。
 単純計算で「10倍の儲け」が引受先にもたらされたが、株主総会の議決など手順は踏んでおり、グレーゾーンではあっても違法ではなかった。
 
 もちろんSECも証券業界も手をこまぬいていたわけではない。
 グレーゾーンは次々につぶしていき、私募CB、MSCB、株式併合マジックなどは、使えなくなっていった。
 
 そうした逆風のなか、追い詰められた松尾容疑者が手を染めたのが、二束三文の土地を高く鑑定させるという工夫の見えない粉飾アレンジだったのである。
 
 証券トラブルによって、多くの民事訴訟を起こされ、儲かってもいないし、調達企業に感謝されたわけでもない。そのうえマスコミには叩かれ、捜査当局には狙われ続けて最後には逮捕された。

 逮捕前の松尾は、「法に触れることは何もしていないから、逮捕されることはない。仮に逮捕、起訴されても、当然無罪だ。最悪のケースでも、執行猶予ですぐ出て来る」(周辺関係者)と強がっていたと言われるが、相手は満を持して逮捕に踏み切ったSECだけに予断は許さない。
 
 一体、自己弁護の達人”である“大物粉飾アレンジャー”は、傍目には、苦労の多い、収支の合わないとしか思えない金融マンとしての人生を、どう総括しているのだろうか。【鰍】

 

 

 

      

                                                      

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年2月10日配信「脱税で収束?――『スパ・コン事件』で解明されない怪し過ぎる斎藤元章容疑者と麻生財務相との関係」<事件>

 

 

 

 「スパコン業界の小型化、省エネ化の旗手」といわれた斎藤元章被告が、詐欺に加えて脱税でも起訴され、完全に地に墜ちた。

 それにしても、なぜ実績のない「ペジーコンピューティンググループ」に、約100億円もの国のカネが流れたのか?

 

 「復活」が伝えられる東京地検特捜部だけに、「政界ルート」への切り込みを期待したが、そこに踏み込むだけの材料はなかったということで、事件は収束に向かっている。

 国会で「モリ、カケ、スパ」という符丁で呼ばれた安倍晋三政権スキャンダルは、「森友学園事件」で財務省近畿財務局が残していた内部文書など、幾つかの新事実は明らかになったものの、「加計学園疑惑」ともども政権を追い込むまでには至らなかった。

 「スパ」こと「スパコン事件」絡みも、斎藤被告の事件化した「新エネルギー開発機構」(NEDO)からだまし取った約6億5300万円に政治家の関与はうかがえず、8億円を申告せず、2億5000万円を脱税したという事件も、その用途は趣味の自動車レースに突っ込んだ負債の穴埋めが目的ということで、個人犯罪の色が濃い。

 そのなかで、事件化した「NEDO」より多い60億円の国家予算が注ぎ込まれた「産学協同実用化開発事業」については、麻生太郎財務相との不可解な関係があまりに多い。

 1月30日の衆院予算委員会で、希望の党の今井雅人代議士は、‘盂嬋椶陵識者会議に斎藤被告が7人いた委員の一人として選ばれ、スパコンの必要性を指摘したこと、△修裡稿後に募集が始まった文部科学省所管の「科学技術振興機構」(JST)の融資で、斎藤被告が関与する「エクサスケーラー」60億円の無利子融資を認められたこと、しかも融資は上限の50億円を超えるもので、上限超えは過去に例がないことで、そこに「何かあると疑われても仕方がない」と、質した。

 その「何」に相当するのが麻生財務相との関係である。

 時系列で眺めてみよう。

 斎藤被告は、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏が16年5月、「TBS」を退社するのに伴って「ペジー社」の顧問に迎え入れ、月に百数十万円の都心ホテルの事務所費を負担するなど、厚遇した。

 『総理』という著書のある山口氏は、「首相に最も近い男」といわれているが、安倍首相より古く近いのは、麻生氏の方である。

 16年5月といえば伊勢志摩サミットのあった時であり、安倍首相は成長戦略のための財政出動を約束、6月に参院選を前にした選挙公約もそれを打ち出し、8月には「未来への投資を実現する経済対策」を閣議決定。これを受けて「JST」は、120億円の予算枠をもらい、「産学協同化開発事業」を緊急募集した。

 募集期間は10月12日から10月25日までと短く、しかも説明会は締め切りの4日前で、決定を受けた「エクサス社」との「特別な関係」を疑われた。

 この間、斎藤被告は山口氏の「麻生ルート」に乗ったかのように、麻生氏との関係を深めている。

 7月には、斎藤被告が開発に関わるスパコンの視察に、わざわざ埼玉県和光市のR研究所を訪れた。

 また17年1月には「エクサス社」は「JST」の60億円無利子融資の決定を受け、スパコンの開発に入るのだが、以降、麻生氏は何度も斎藤氏を側面支援した。

 17年5月の参院財政委員会では、「日本で今年も多分、世界一になると思いますが、ペジーコンピューターというのが出てきました」と、讃え、講演会などでも「斎藤先生を紹介してくれ、口を利いてくれ、という依頼が私の所にも来るんですよ」と、「スパコンの旗手」を持ち上げ続けた。

 さらにいえば、麻生財務相の元秘書官は、財務省に戻って文部科学省担当の主計官を務めており、「JST」予算に関与できる立場だった。

 「忖度」にとどまらない「疑惑」があるのは間違いないが、秘書官から大物政治家へと駆け上がる「気合いと力」は、まだ特捜部には戻ってきていないようである。【巳】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2018年2月6日配信「『コインチェック』の『580億円流出騒動』で分かった甘すぎる仮想通貨業者の“暗”と“明”」<事件>

 
和田晃一良社長
(コインチエック社HP)


 

 仮想通貨バブルを狙い撃ちにしたような被害金額約580億円の不正アクセス事件が発覚した。

 顧客は仮想通貨NEMを預けていた「コインチェック」の甘すぎる管理に呆れる一方、可能か、どうかはともかく、全額返金表明(返金額はNEMの下落で約460億円)にひとまずはホッとするとともに、履歴を解析して流出資金を監視できるというブロックチェーンの持つ機能に、改めて驚かされている。

 昨年12月から、多くのバラエティ番組で活躍中のお笑いタレント・出川哲朗を起用したテレビCMを打ちまくり、知名度を上げて顧客を獲得、仮想通貨取引所の最大手「ビットフライヤー」に並ぶ勢いだった「コインチェック」だが、その管理体制は「杜撰」の一語に尽きるものだった。

 仮想通貨を管理する場所は、「ウォレット(財布)」と呼ばれるが、ネットで売買される取引所は、常に外部からの不正アクセスにさらされるだけに、オンラインから切り離した「コールドウォレット」という場所でデータを管理するのが一般的で、なにより記者会見に登場する大塚雄介取締役が、自著のなかでこう述べている。

 

 「(預り資産の)全体を100とすると、そのうちの数%しかオンライン上に置かず、それ以外はインターネットから物理的に切り離して、オフライン環境で厳重に保護してあります」

 オンライン環境での「ホットウォレット」での管理がいかに危険かを自ら指摘、「インターネット環境から完全に切り離して、USBメモリのような物理デバイスに入れ、複数のバックアップをとって、別々の金庫に保管してあります」と、ヌケヌケといってのけていたのだから罪深い。

 さらに仮想通貨NEMは、「New Economy Movement(新しい経済運動)」の略称で、その普及活動のために「NEM財団」が設立されているが、同財団が求めていた管理体制は、「コールドウォレット」と「マルチシブ」と呼ばれる秘密鍵を複数に分割、別々に管理する手法を組み合わせている。

 当然、こちらも怠っていて、ひとつの秘密鍵だけだった。

 和田晃一良社長は、「技術的な難しさと人材不足から対応できていなかった」と述べたが、記者会見で「広告に投じるより先にやることがあったのではないか」と、突っ込まれるのも当然だ。

 この大甘管理が仮想通貨業者の抱える「暗」なら、資金の移転がブロックチェーン上の台帳に記録され、それを追うことで、不正に支出されたNEMの使用を監視でき、凍結させられるというのは「明」だろう。

 大塚取締役は、28日、被害状況や個客への補償方針を金融庁に報告した後の囲み取材で、「不正アクセスで流出したNEMの行方はわかっている。(奪われた通貨は)まだ現金化されていない」と、述べた。

 ブロックチェーン上に、資金移動の記録が改竄されない形で残され、追跡できるのは仮想通貨犯罪の防御に役立つ

 今回、ネット雑誌の要請を受けたブロックチェーンの専門家が、事件発覚から2日もしない間に、ハッキングの様子を公開した。

 それによれば、コインチェックのオンラインに侵入したハッカーは、NC4から始まる40桁のアドレスに、1月26日午前0時2分から09分の間に被害金額の大半を送金。それは続けて、10カ所のアカウントに送金されており、そのアドレスは確認済みだ。

 大塚取締役によれば、「現金化はされていない」ということなので、監視によって包囲すればハッカーは身動きできず、被害は出ないことになる。

 現在、仮想通貨は世界中で1500種類以上あるといわれている。

 

 誰もが勝手に「通貨発行人」になれるのだから、それも道理であるが、「以前、流行した未公開株詐欺みたいなもので、仮想通貨の99%は詐欺師たちのカネ集めです」(経済誌記者)との指摘もある。

 

 「今回のコインチェック事件を機に関係官庁の”介入”が強まるのは必至です。特にブロックチェーンで資金の流れが捕捉できる税務当局にしてみれば、仮想通貨が現金化される段階で網を張っていればいいのですから、恰好の”獲物”。『往きはよいよい、帰りは怖い』――”億り人”だ”自由(十億)人”だ、と浮かれていられるのも今のうちだけでしょう」(前出の記者)

 

 およそ「人さまのカネ」を扱う資格のない業者が、仮想通貨を成り立たせている「ブロックチェーンで救われ」、同時に被害を免れた”仮想通貨成金たち”が「ブロックチェーンで捕捉される」――何とも皮肉である。【丑】

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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