2019年6月20日配信<0510archives>「『御代替わり』を奉祝する主体となるべき神社本庁で田中恆清総長が開き直りの4選を画策中!」<事件>

(☚神社本庁HP)

 

 天皇陛下の譲位に伴う「御代替わり」を目前に控えた今、各種儀式を奉祝する主体となるべき神社本庁の“揺らぎ”が続いている。
 
 3期9年、総長を続けてきた京都・石清水八旛宮宮司の田中恆清氏が、今年6月の改選にも手を挙げ、異例の4期目に突入すべく画策しているというのだ。
 
 全国2万人の神職、8万ヶ所の神社を統括する神社本庁は、長期化する安倍晋三政権の憲法改正を支持する一大勢力で、政治団体の神道政治連盟(神政連)がその役割を担ってきた。
 
 保守改憲勢力の草の根組織に日本会議があるが、田中総長は日本会議の副会長で、右腕の打田文博・神政連会長は、日本会議系「美しい日本の憲法をつくる国民の会」で事務総長を務めている。
 
 神社本庁は、長く「田中−打田体制」の支配下にあったわけだが、強権が腐敗を生むのは組織の形態や洋の東西を問わない。
 

  「田中―打田体制」も特定勢力を抱え込むうち、基本財産に手を出した疑いが浮上、一昨年来、揉めに揉め、田中排斥の動きが活発化、マスメディアもその動きに乗って、批判の度を強めている。
 
 昨年9月、役員会の場で田中氏は、いったんは「総長を辞める」と、宣言。退任は既定の路線となったが、10月に入ると前言を翻して続投を宣言した。
 
 これに怒ったのが鷹司尚武統理である。
 
 宗教法人上のトップは総長だが、神社本庁には象徴としての権威を持つ統理がいて、組織をまとめる。
 
 以降、田中氏は変節を批判した鷹司氏に距離を置くようになり、ギクシャクした状態が続いている。
 
 もともと田中−打田体制に反発する勢力が反田中派を形成していただけに、神社本庁は今、統理を巻き込む内紛状態にある。 
 
 こうなったきっかけは、バブル期に7億5000万円で購入した百合丘宿舎(川崎市)を、15年、1億8400万円で、「ディンプル・インターナショナル」という不動産会社に随意契約で売却したことだった。
 
 本来、宿舎は神社本庁の基本財産で売却してはならない。
 
 仮に売却の必要性が出てきた場合は、評議員会の議決を経たうえで、競争入札にかけねばならない。
 
 ところが百合丘宿舎は、随意契約のうえ即日転売され、半年後、さらに転売された価格が3億円を超えており、安値売却を疑うことができた。
 
 また、「ディンプル社」に対しては、その前、青山宿舎、中野宿舎も随意契約で売却していることが判明したうえ、同社系列の「日本メディアミックス」が、季刊誌『皇室』の販売元として“中抜き”の利益を得ており、同社の歴代代表が、打田氏と関係が深いことから癒着が疑われた。
 
 疑惑がさらに深まったのは、ディンプル問題を取り上げ、批判した幹部職員2名を懲戒処分にかけ、ひとりを解雇したことである。
 
 これで反田中派が結束、マスメディアの「田中−打田体制批判」が始まった。
 
 3期でも長いだけに、4期目はないと目されていた田中総長だが、昨秋の退任騒動とその後の統理との確執を経て、打田氏共々、自分たちの正当性を誇示するためにも、4選を画策しているという。
 
 そのためには15人の理事の過半数を田中派で固めなければならない。その理事は、評議員会で選任されるため目下、評議員会を固める作業に入っているという。
 
 同時に、今年5月は統理の改選期にもあたり、田中派としては鷹司統理の退任を狙いたい。
 
 その後任には、仏司法当局から東京五輪疑惑で起訴されるのが確実で、「日本オリンピック委員会の会長退任を余儀なくされるのではと目されている」(=全国紙記者)、旧皇族で一時、「日本メディアミックス」役員に就いていたこともある竹田恒和氏の名前も挙がっている。
 
 神社本庁で、今、起きているのは、御代替わりの奉祝どころではない田中、打田両氏の必死の生き残り工作である。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年6月4日配信「コンプラ不全で元気度曲線は右肩上がり⁉――反社勢力御用達の『西武信金』ワンマン理事長が退任!」<事件>

 
西武信金本店(Wikipedia)

 

 

 東京都下の立川駅から歩いて数分の歓楽街に、問題の「融資現場」はあった。
 
 見かけは何の変哲もないない雑居ビル。ラーメン店、風俗案内所、スナックなどが入居しているが、入り口横の見落としそうな場所に、広域暴力団の組名が書かれたインターフォンが設置してある。
 
 ただ、○×組ではなく企業名のようなので、一般には判別がつかない。
 
 だが、反社会的勢力への融資に、ことさら気を遣わねばならない金融機関にとっては、ウィキペディアにも登場するその組名は、注意してしかるべきだろう。
 
 金融機関が、暴力団が入居するビル内の店や、ビル内に事務所を置く法人にチェックを入れるのは当然のことだが、都内中野区に本店を置く「西武信用金庫」はそれを怠たり、ビル内に会社を持ち、パブを経営する夫妻の自宅を担保に融資していた。
 
 男性は、逮捕歴もある在日中国人系半グレグループのリーダーで、逮捕時には、「中国人マフィア」と報じられた。
 
 金融庁は、5月24日、「西武信金」に業務改善命令を出し、改善計画を6月末までに出すように求めた。
 
 それを受けて「西武信金」は、24日付けで落合郢瞥事長が引責辞任、高橋一朗常務理事が理事長に昇格する人事を発表した。
 
 落合氏は、1973年3月、亜細亜大学を卒業して、「協立信用金庫」と「武陽信用金庫」が合併して3年目の「西武信金」に入社。生え抜きとして順調に出世、10年、理事長に就任する。
 
 そこから、郊外路線とともに都心部にも進出、投資用アパート・マンション融資を核に、急速に業績を上げた。
 
 17年度の貸出金残高は1兆7000億円、預金残高は1兆9000億円と信金ではトップクラス。特筆すべきはその伸びで、落合氏のもとでほぼ倍増させた。
 
 その自信をもとに、年収はメガバンクトップ並みの約8000万円を誇り、2年前には『西武信用金庫はお客さまを絶対的に支援する』(あさ出版)という自画自賛本を上梓している。
 
 その業態と急成長は、「スルガ銀行」に酷似している。
 
 実際、投資用アパート・マンション向けで急成長したのも、森信親前金融庁長官が、「スルガ銀行」同様のビジネスモデルと前のめり経営を讃えたのも同じである。
 
 だが、そこに無理があった。
 
 金融庁は、西武信金に対し次の「三つの処分理由」をあげている。
 
‥蟷駘冑堝飴困砲ける形式的な審査と不適切な信用リスク管理
反社会的勢力等との取引排除に向けた管理体制の不十分
6い発言力を有する理事長に対し、内部統制が機能していない。
 
 その三つのうち、△亮体磴箸覆蠅修Δ覆里、冒頭に挙げた「立川の現場」である。
 
 もちろん金融庁は、個別事例を公表しているわけではないが、コンプライアンス不全であることを示す融資であるのは疑いない。
 
 「西武信金」の問題融資発覚をきっかけに、金融庁は全国の金融機関に対し、「反社会的勢力との取引に関する全国調査」を行なうことを決め、5月に入って、着手している。
 
 反社融資の規制は、日本のみならず世界の課題であり、今秋からマネーロンダリングやテロ・犯罪資金の対策を担う国際組織「金融活動作業部会(FATF)」が、対日検査を行なう予定である。
 
 暴対法、暴排条例を経ても、「スルガ銀行」、「西武信金」のように“前のめり融資”を行なえば、審査が緩くなり反社との関係が生まれる。
 
 それを前長官は、「金融機関のあるべき姿」と褒め、現長官は厳しく取り締まる。――まさしく朝令暮改!――方針を豹変させるだけで恥じることのない金融庁は、さながら“無責任勘定奉行”と揶揄されても仕方あるまい。【午】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年5月30日配信「6月1日に完全施行!――国民を丸裸にする改正通信傍受法の危険度」<事件>

警察庁(wikipedia)


 6月1日の改正通信傍受法の施行で、都道府県警が活用する専用パソコンは、外見は普通のパソコンとなんら変わらない。

 

 しかし、犯罪捜査においては傍受した暗号データをまとめて保存、後で解凍して再生できるということで、会話内容はもちろん、公私にわたる人間関係も行動パターンも手掛けている事業やビジネスの中身も、すべて警察が把握できるという“優れもの”だ。

 

 2010年、大阪地検特捜部で発覚した証拠デッチ上げ事件によって、「調書至上主義による自白の強要」がこのような事件を引き起こしたとして、刑事司法の改革が急がれるようになり、16年6月、改正刑事訴訟法が施行された。

 

 柱はふたつ。――ひとつは取り調べの可視化(録音録画)を導入することで難しくなる捜査を補強するために認められた司法取引。その破壊力は、実質的な第1号事案となったカルロス・ゴーン事件によって実証済みだ。

 

 もうひとつが、改正通信傍受法によって通信傍受の事件範囲が拡大されるとともに、それまで通信業者で行なっていた傍受を警察で出来るようにした。

 

 被告の罪を減じることによって、捜査や公判に協力させる司法取引が注目されがちな改正刑事訴訟法だが、国民一般には改正通信傍受法の影響の方が大きい。

 

 6月1日以降、国民は捜査当局によって丸裸にされる!――こう覚悟していた方がいい。

 

 ネットが、あらゆるものをつなげ、スマホ1台で個人が全世界と交流できる環境は、あらゆる情報を瞬時に取り出す簡便さをもたらす一方で、通信業者やプラットフォーマーに、個人情報を売り渡す結果となった。

 

 そうした環境下に置かれたうえで始まった改正通信傍受法は、薬物、銃器、集団密輸、組織的犯罪の4種類に絞られていた傍受を、殺人、傷害、詐欺、窃盗など9類型を追加したことにより、ほぼ全ての犯罪への適応が可能になった。

 

 この対象犯罪の拡大によって、警察は裁判官の発行する令状か、捜査機関が求める必要な事項照会によって、Google、LINE、Facebookなどのプラットフォーマーから情報を取り出すことができるようになった。

 

 強制(令状)であれ、任意(捜査関係事項照会書)であれ、警察から求められ、それを拒否する選択肢はプラットフォーマー側にはなく、その対象となるのは、被疑者とつながっている人すべてである。

 

 ある日、突然、Aという容疑者と親しく交わしていたLINEメールが原因で、メールを捜査員から突きつけられ、「お前も共犯だろう!」と、任意の事情聴取で攻撃された人がいる。――斯様に容疑はいつでも降りかかってくる。

 

 それに加えて、6月1日から始まる警察での通信傍受。18年、改正通信傍受法で通話が傍受されたのは12事件逮捕者は82名だった。

 

 少ない印象だが、東京の大手通信業者に出向き、業者立ち会いの下で通信傍受を行なうのはいかにも使い勝手が悪く、少ない数字は、その“証明”だった。

 

 警察庁は、「専用パソコンは管区警察局において貸し出し、傍受指導官を置いてチェックする」とし、乱用に歯止めをかけるという。

 

 だが、いずれも「身内」であり、第三者機関のチェックが入るわけではない。

 

 必要とあれば、広範に網をかけた事件捜査を名目に、どんな個人の携帯電話も盗聴できよう。

 

 ネット環境の便利さと引き換えに、我々は通信業者やプラットフォーマーに個人情報を無防備にさらけ出した。――それを警察が利用して摘発に利用するという危険性を、国民は自覚すべきだろう。【卯】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年5月28日配信<0510archives>「個人を司法取引と通信傍受で丸裸⁉――警察国家への道、着々‼」<事件>

 
すべて丸裸?(☚wikipedia)

 

 警視庁が、日本大学アメリカンフットボール部選手の「殺人タックル事件」捜査に着手した。

 警視庁調布署が、タックルを受けた選手・家族の傷害罪での被害届と告訴を受けて、5月28日、東京・市ヶ谷の日本大学本部を訪れ、関係者の事情聴取を行なった。

 腰が重く、被害届や告訴告発を受けても、なかなか着手しない警視庁だが、国民注視の事件だけに、今回は動きが速かった。

 警視庁捜査一課と調布署が、総力を挙げ、実行犯の宮川泰介選手、直接、指示をした井上奨コーチ、指揮官である内田正人監督を調べることになる。

 着手は一斉に報じられたが、5月31日発売の『週刊文春』は、警視庁関係者の話としてこう書いた。

 「警察当局はすでに宮川選手と井上前コーチの携帯の通話記録を取り寄せ、井上前コーチが宮川選手に送信した“口止め”ともとれるメールも入手している」

 何気なく読めば、捜査は着実に進んでいるということだが、事件発覚から1ヵ月も経っておらず、被害届を受けて2週間に満たない時点で、当然、当事者の宮川選手や井上コーチの事情聴取に踏み切る前の段階で、なぜ通話記録を入手しているのか。

 考えられるのは、刑事訴訟法改正に伴う通信傍受法の改正で、通話記録やメールのやりとりを任意提出させたのではないか?ということである。

 刑事訴訟法の改正で、今年6月1日から司法取引が導入された。

 マスメディアは「司法取引とは何か」を、識者の解説や海外の事例をもとに説明しているが、実際のところ、司法取引第1号案件が現出しなければ、どんなものかを理解するのは難しい。

 指摘される「罪を逃れるための偽証」による冤罪の発生を含め、やってみないとわからないのは、検察、警察の捜査当局も同じだろう。

 だが、確実にいえるのは、被疑者となった国民は、国家(捜査当局)によって丸裸にされることである。

 被疑者や被告が捜査協力者となって検察と協議を重ね、組織トップや主犯格の犯罪摘発に協力。見返りに刑事処分の免責を得る「協議・合意制度」と呼ばれる司法取引は、対象犯罪数を一気に増やし、かなりの犯罪の通信傍受を認めた改正通信傍受法とセットになっている。

 証拠を改竄してまで厚労省女性局長を罪に陥れようとした「大阪地検特捜部事件」への反省から、取り調べの可視化(録音録画)が求められるようになった。

 が、そうなると贈収賄、脱税、談合、粉飾決算など国家秩序を揺るがす犯罪の摘発が難しくなるとして、法務・検察は新しい武器を求め、それが司法取引であり、通信傍受の拡大だった。

 二つ合わせて、捜査当局が手にしたのは、「供述頼りの捜査」からの脱却である。

 有罪判決を取るために、検事や刑事は密室の取調室で被疑者を徹底的に追い詰め、家族友人への事件の波及を臭わせるなどして落とし、それは供述調書にまとめられ、公判では絶対の証拠となった。

 刑事訴訟法の改正は、その無理を排する代わりに、被疑者を丸裸にして追い込むものである。

 スマートフォンの普及で、我々は、SNSやラインなどで通話歴、メール、位置情報などを残す。

 そうした情報を持つ通信大手や「フェイスブック」「ライン」などのプラットフォーマーは、裁判所の発する令状か、捜査機関が報告を求める捜査関係事項照会書によって、そうした記録を入手できる。

 そのうえ司法取引は、職場の上司、同僚部下が、刑事免責を求め、証拠を提出、証言を重ねるだけに、供述はもちろん、PCに入った資料、メール交換歴、備忘録などを提出。その結果、事件を含む被疑者の組織内での過去はすべて明らかになる。

 私的にも公的にも、捜査当局に狙われると、被疑者にプライバシーはなく、丸裸にされ、そのうえで追い込まれるのだから、「割り屋」と呼ばれるベテランの検事や刑事でなくとも自供させるのは容易だろう。

 そのうえに段階的に施行が続く刑事訴訟法の改正は、19年6月、暗号技術を利用した特定装置の導入で、最後の仕上げとなる。

 所轄の警察署にこの装置を配備すれば、被疑者の携帯、固定全ての通話が、圧縮され、すべて録音される。

 既に、国中に張り巡らされた監視カメラやNシステムと呼ばれるナンバー自動読み取り装置によって、国民は国家の監視対象とされているが、いったん捜査当局に狙われると、身内や同僚までが敵に回り、すべての会話やメールが筒抜けになり、証拠となって罰せられる可能性がある。

 それが、現在進行中の司法取引を含む刑事訴訟法の改正である。

 共謀罪は、司法取引や通信傍受法改正の対象には含まれていないというものの、捜査過程で得たメールや会話の記録が、共謀罪に援用される可能性は十分にある。

 つまり国民が、なんの気なしに使っている電話での会話やメール、パソコンの閲覧、スマホに残した移動記録などすべてが、捜査当局の捜査対象になるということだ。

 司法取引を含む刑事訴訟法の改正は、そんな警察国家への第一歩であり、国民はそれを自覚した対応を求められる時代となった。

 それは「日大事件」の何気ない報道にも表れている。【午】

 

 

 

 

 

 

 


2019年5月18日<0510archives>「詐欺、脱税、マネロンの巣窟――監督官庁・捜査当局の規制強化で仮想通貨バブルは崩壊寸前!」<事件>

(☚wikipedia)

 

 

 2017年は仮想通貨バブルに湧き、「億り人」と呼ばれる億万長者が続出した。

 ブームに乗り遅れまいと、仮想通貨取引所に口座を開く人が増え、「ビットフライヤー」など取引所も活況を呈しており、著名俳優を利用したテレビCMを頻繁に流している。

 そのブームは18年も続くのか。

 結論をいえば、明らかなバブル状態をこのまま放置することはない。

 「仮想通貨が法定通貨を超えて、決済や送金手段の中核となることはない。国家が通貨発行権限を保持するのは当然のこと。投機対象の仮想通貨が、実体経済を侵食すれば、当然、規制に入る」(金融庁関係者)

 しかも仮想通貨は、現在、詐欺や脱税やマネーロンダリングに使われているという現実があり、監督官庁だけでなく検察、警察、国税といった捜査当局も、やがて摘発に入らざるを得ない。

 金融当局の規制捜査当局の摘発が、同時に進行するのが今年であり、流通量の最も大きなビットコインでがわずか1年で20倍に高騰した昨年のバブルは、どこかの時点で崩壊する。

 実際、凄まじい狂騒である。

 例えば海外からの投資である。

 ビットコインで得た利益は、当然、課税されるのだが、証券などと違い、「雑所得」と認定される。

 つまり、申告が必要なわけで、総合課税されると、かなりの部分を税金で持っていかれることになる。

 また、取得価格を申告する必要があり、資金の出所を聞かれて困る人は少なくない。

 そんな投資家に、海外からの投資を持ちかける業者がいる。

 日本は仮想通貨の取引所が登録制とされており、口座開設時に本人確認を求められるのでごまかしがきかない。

 ところが海外では、規制されておらず、本人確認もなければ取引履歴を探られることもなく、1000万、2000万円と業者に預け、海外で運用している投資家は少なくない。

 持ち運びも便利だ。

 スマートフォンのなかに蓄財しているわけで、現金や証券を持ち出す時のような面倒臭さがない。

 そんな便利さはあるものの、投資家の弱みにつけこむ悪徳業者が多いのも事実で、早晩トラブルが続出すると見られている。

 しかも、そんな投資は脱税やマネーロンダリングにも直結するわけで、国税当局は国内での課税処分に力を入れる一方、仮想通貨投資を目的にした海外送金にも目を光らせ、そうした業者の把握に務めている。

 詐欺的仮想通貨商法も多くなっている。

 昨年10月、大阪の仮想通貨取引業者「リップルトレードジャパン」の代表が、顧客から現金を受け取りながら、通貨取引に必要な「IOU」と呼ばれる債権を渡さなかったとして逮捕された。

 これなど単純な詐欺だが、仮想通貨の世界では、金融商品取引違反の行為が日常化している。

 顧客の売買を自社内で、相対で行って利益を消し込んでしまう「ノミ行為」や、勝手に取引を行って顧客に不利なレートで取引が成立したと報告する「叩き」「握り」などもあり、かつての悪徳証券会社や不良商品先物業者を彷彿とさせる。

 仮想通貨技術を使ったICO(イニシャル・コイン・オファリング)と呼ばれる資金調達はもっと露骨で、海のものとも山のものともわからない技術に将来性があるとして通貨を発行する詐欺集団が後を絶たない。

 “子供銀行の偽紙幣”のようなものだが、仮想通貨バブルが、「早いうちに買っておいて売り抜ければ儲かる」という幻想を投資家に与えるのか、引っ掛かる人が続出している。

 そうした悪質業者の決まり文句は「投資は自己責任」だが、犯罪を前提とした投資に誘い込む行為が許されるはずもなく、今年は捜査当局もノウハウを蓄積して悪質業者を取り締まることになる。

 人類の歴史を振り返っても、16世紀オランダのチューリップバブル以降、バブルに華咲く経済はない。

 仮想通貨バブルの崩壊も、「自然の理」というべきだろう。【寅】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年4月25日配信「組織ぐるみか、単独犯か?――秋元司環境副大臣の口利き疑惑まで飛び出した東レ架空取引事件の深層」<事件>

   
秋元司環境副大臣
(wikipedia)


 榊原定征・経団連前会長の出身母体で、売上高2兆円を誇り、「産業界の雄」といっていい存在の「東レ」が、架空取引を主導、連帯保証まで行なっていたという証拠書類が、今年2月頃から情報通の間で出回っていた。

 連帯保証は、日覺昭廣社長が登録した印鑑証明書付き。「登録された印鑑は厳重に管理。印鑑証明書も簡単に取れるものじゃない。本物か、偽造のどちらか」(書類を入手した社会部記者)と、判断するのが一般的。判断が付かないだけに記事にするのが難しく、幾つかのニュースサイトが取り上げ、『週刊ポスト』が後追いするのにとどまっていた。

 そこに「文春砲」が炸裂。『週刊文春』は、4月18日発売号で『ヤミ金借金1・2億円を取り立てた副大臣』と、報じた。

 副大臣とは参議院1回、衆議院3回生の秋元司・環境副大臣のことなのだが、秋元事務所は、発売後、日覺社長に電話したことは認めつつ「東レに債務の連帯保証の有無を確認。『そんな事実はない』という回答を得ただけ」と、コメントを発表した。

 確かに、最終的には「言った、言わない」の話である。

 ヤミ金といっても金銭消費貸借契約書に「月利10%」を謳っているわけではなく、「口利き」といっても業者から陳情を受ければその確認を行なうのはごく一般的な政治家の仕事。それを「弁護士法違反」と、サブタイトルで攻撃するのは「走り過ぎ」の印象で、「文春砲」にしては小ぶりだった。

 それよりも、まず問うべきは「東レの水処理装置を3億円で購入すれば、3カ月後に3億5000万円で買い戻す」という不可解な取引を、水処理システム事業部F元営業部長(昨年11月に解雇)が「単独」で行なったのか、事業部長など上層部も関与した「組織ぐるみ」なのか、という点だろう。

 本サイトが入手した一連の契約書が示すのは、あまりに不可解な契約であることだ。

 「東レ」が組んだ代理店のO社が、18年7月24日、S社宛てに金額3億円の「御見積書」を提出。それを保証するように、7月31日、水処理システム事業部が「製品保証書」を提出。それを受けて、8月3日、買戻し特約(総額3億5000万円)付きの「物品売買契約書」が、O社とS社の間で結ばれ、O社の連帯保証人となったのが「東レ」で、日覺社長はF元部長に「委任状」を渡し、それに印鑑証明書が添えられていた。

 ここまで手順をキチンとしていれば「騙されるな」という方が無理だろう。

 「天下の東レ」の保証付き。一方で、なぜ「東レ」が、O社のような街金レベルしか相手にしないような信用のない会社とつきあっているのか、なぜ3億が3億5000万円なのか、という疑問が残る。

 そこはO社とF元部長の特殊な関係が背後にあると考えるのが自然だ。

 「東レ」は、2月12日、F元部長を書類偽造容疑で警視庁中央署に刑事告訴している。

 とはいえ、これがバングラデシュ向けという海外プラント案件で、16年7月に発生した日本人を含む22名が死亡した「ダッカ事件」の余波で、15億円分の水処理装置が宙に浮き、それを売り上げ計上したために起きた事件だと聞けば話は別である。

 実は、先ほどのO社とS社が交わした契約書類は、ほかにも複数あり、「東レ」が代理店としたのはO社だけではなく、他にも幾つもの商流があるようなのだ。

 ハッキリした商流は、資料が流出しO社のものだけで、これが5億4000万円。他にも15億円分の商流もあるようだし、「粉飾額は50億円以上」という説もある。

 それだけの粉飾をF部長が個人プレーで捌くのはさすがに難しく、現に、同じ水処理システム事業部のH部長やその上司の役員の関与も指摘されている。

 そうした疑惑が膨らむのは、日覺社長の登録印を含め、これだけ大量の資料が流出するのは珍しいのに、「東レ」が「刑事告訴中」を理由に一切の説明を避けているせいでもある。

 いったい何があったのか?――「東レ」には真摯な説明責任があると言えよう。【辰】

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年4月17日配信<0510archives>「ロシアゲートでSNS規制論の最中に巨額利益を上げたFBなどが果たすべき責任」<事件>

(☚wikipedia)


 ロシア政府が、交流サイトのSNSを使って不正な世論操作を行い、2016年の大統領選で「トランプ当選」に有利なように働きかけたという、いわゆる「ロシア疑惑」は、10月30日にトランプ陣営の元選挙対策本部長が起訴され、11月1日には、米議会の公聴会にフェイスブック(FB)、グーグル、ツイッターの幹部が呼ばれて追及を受けるなど、米国を揺るがす問題に発展している。

 他国が、特定の意図を持って情報を操作、自国に有利な候補を当選させようと働きかけたのが事実なら、論外な内政干渉であり、民主主義への冒涜である。

 その舞台となったSNSの主要3社幹部が、事態をどう把握し、どう改善しようとしているかを問いただされるのも当然だろう。

 皮肉にも、公聴会の最中の1日、FBは2017年7〜9月期決算を発表。それは広告収入の伸びで増収増益を実現、売上高が103億ドル(約1兆1600億円)、純利益が47億ドル(約5300億円)だった。

 売上高の約半分が純利益という驚異的な収益構造は、FBがサイトへの参加者に対して行うサービスへの見返りとして、ログイン時に必要な住所、年齢、性別などの個人情報に加えて、友人知人、趣味嗜好などの獲得したデータを使い、効果的な広告を打てるからである。

 収入の大半が広告で賄われる広告業者のFBは、テレビ、新聞、雑誌などの旧来型メディアが、「マス」(不特定多数)に向けて拡散するだけで効果が測れないのに対し、ビッグデータに格納されたプライバシー情報を広告主の求めに応じて取り出し、最適な形で望ましいと思われる購買層に発信する。

 このマイクロターゲティング効果は抜群で、しかも広告を閲覧したかどうか、成約に至ったかどうかも計測できるとあって、既存メディアの広告を“食い”、しかも他のネット広告業者を上回る業績を上げてきた。

 FBに対抗できるのは、動画サイトのユーチューブを傘下に持ち、検索エンジンを使って優位な広告を打てるグーグルだけで、両社の市場占有率は6割を越える。

 広告を打つに際して広告主は、顧客管理システムなどのデータも効果的な広告効果のために提供する。

 それがビッグデータとなって蓄積され、ますます両社は巨大化する。

 しかも投資は、人材とネットワークに関するものだけで、装置産業のような設備投資を必要としない。

 さらにFB、グーグル、ツイッターのような交流サイトは、情報を流すだけの「プラットフォーム」という位置づけで、そうした企業群を育成しようとした米政府によって、「包括免責」を与えられている。

 90年代末に制定された通信品位法などによって、例えばユーチューブ上を悪意があり、根拠のない名誉毀損映像が流されれば、既存メディアではメディアの側が厳しい罰則を受けるのに対し、SNSでは罪を問われるのはユーチューバーであり、プラットフォームは免責される。

 ビッグデータは、世界の個人と企業と政府が、コンピュータとつながることによってもたらされる「公共財」である。

 ならば特定の事業者が、自社の利益のためにだけ使うのは許されない。

 まして、個人のプライバシーを使って、他国の有権者の投票活動を誘引しようとする勢力に対し、それもまたビジネスと割り切ってプラットフォームを提供するのは、国家国民への冒涜であり犯罪行為である。

 公聴会で3社の幹部は、「不正広告のチェックは事実不可能」と、開き直ったが、不可能ではなく「包括免責」をタテにフェイクニュースも悪意のある情報も、公序良俗に反する広告も放置してきた。

 その怠慢のうえに利益はかさ上げされ、その巨大な利益でM&Aを繰り返し、新たなプラットフォーマーを取り込んで増殖してきた。

 利益を上げることが悪いわけではない。

 その収益構造に問題があり、それが「免責」を原因とするものなら、どれだけコストがかかろうと、プラットフォーマーに応分の負担を求めるのは当然のことだろう。

 「包括免責」「ネット性善説」に立って、原則的には自由が認められてきた米国で、初めてネット規制の論議が本格化している。

 日本でも状況は同じである。

 9人が殺害された「座間殺人事件」もネット上の自殺の書き込みを利用したものであり、「ネットはそういうものだ」と看過できない事件である。


 「だからと言って、責任の一端をネットのせいにするのはお門違いだ!」「あくまでユーザーの問題だ!」――異論、反論はあろうが、ネットを流れる「情報と広告の制御」について、本格的に論議すべき時期であろう。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年4月13日配信「留学生が1400人も所在不明!――渦中の東京福祉大を“裏支配”する中島恒雄元理事長の罪」<事件>

東京福祉大池袋キャンパス
(☚Wikipedia)

 

 

 コンビニや飲食店を支えている東南アジアを中心とする留学生の実態を、図らずも表面化させたのが、東京福祉大留学生大量失踪事件だった

 正確には、失踪ではなく所在不明。同大は、都内や名古屋市などにキャンパスがあり約8000人が在学。教員も教室も不足して「銭湯の2階が教室」といった劣悪な環境が既に報じられている。

 そうなるのも当然で、在校生のうち留学生が6割超の5133名(18年5月時点)で、そのうち8割超の4208名が、日本語が不自由で大学入学資格を満たさない非正規の学生で占められており、同校では、「研究生」と呼んでいた。

 旅費や当面の生活費などを借金して来日する留学生が大半だから認められた週28時間のアルバイトでは、年間60〜70万円の学費を支払うことができないのは当然で、2カ所、3カ所と掛け持ちするうち、学校にも行かなくなって所在不明のあげく除籍。大学側は「与り知らぬこと」という立場だが、失踪=所在不明を黙認するビジネスモデルだった。

 この種の留学生を食い物にする教育機関は、過去に例がないわけではないが、東京福祉大のデタラメぶりは、創立者の強制猥褻容疑での逮捕がきっかけで表面化した。

 創立者は中島恒雄元理事長(71)で、学習院大を卒業後、30代で専門学校を設立して理事長に就任。経営の才に恵まれ、学校法人の専門領域を広げて、2000年、群馬県伊勢崎市に東京福祉大を開学した。

 専門学校に大学、社会福祉法人での老人ホーム経営と、事業の幅を広げ、「気鋭の福祉教育者で実践家」と、高く評価されるようになっていたが、08年、地位も名誉も一気に失う強制猥褻事件を引き起こし、逮捕・起訴された。

 それも、容疑対象が5人で6件という悪質さで執行猶予もつかず2年の実刑判決を受けて服役。学校教育法第9条では「禁固刑以上の刑に処せられた者は、校長又は教員になることはできない」とされており、実質的には引退しなくてはならない。

 ところが中島氏は、服役中にも手紙などで指示、出所の翌日には学校に来て、新たな経営方針を与えるなど復帰を果たした。

 もちろん対外的に許されることではなく、「(中島氏は経営に)いっさい関わっていません」と、同大のホームページでわざわざ「宣言」していた。

 「校歌の歌詞に自分の名前を入れることでも分かるように、超ワンマンでセクハラ・パワハラは日常茶飯な人。でも、でも表には立てないので、危うい権力を維持するためには、カネで子飼いを増やし、権力を固めるしかない。もともとカネ儲け主義の人だったが、10年7月の出所後は、それに拍車がかかった」(東京福祉大関係者)

 「初年度30億、4年で120億円になるわけだよ。なぜ、それをやらんの!」――11年9月、10数人の学校幹部が出席して開かれた会議で檄を飛ばす中島氏の音声データが残されているが、終始、中島氏のひとり舞台という有様で、その「裏支配」が同校を歪めた。

 文部科学省は、東京福祉大及び運営する学校法人「茶屋四郎次郎記念学園」のそうした実態をある程度、把握していた事件以降、「中島排除」を指導し、何度も私学助成金を減額。17年度には交付された4億3000万円の助成金を18年度は50%減額している。

 だが、思い切ったメスを入れることもなく、これまで「中島支配」を許しており、「1400名所在不明」が大きく報じられた3月26日、ようやく文科省は東京入国管理局と連携して、王子キャンパスなどに実地調査に入った。

 カネとポストで「裏支配」を継続するために留学生を食い物にしてきた中島元理事長はもちろん、御身大事と同氏をのさばらせてきた理事長や学長、顧問といった経営陣、黙認してきた文科省などの責任も合わせて問うべきだろう。【寅】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年4月11日配信「4度目の再逮捕!――ルノー・日産アライアンスから切られたレバシリ商人・ゴーン被告の無残」

 
ゴーン前日産会長
(☚wikipedia)

 

 ブラジルで生まれ、レバノンで育ち、高等教育を受けたのはフランス――3つの国籍を持つカルロス・ゴーン被告は、コスモポリタンでありグローバル経済人だが、その逞しい商魂は、「レバシリ商人のもの」(商社幹部)と指摘されている。

 「レバシリ」とは、かつて大シリアとして同じ国家だったレバノンとシリアのこと。DNAにビジネスマインドが刷り込まれたタフネゴシエーターを輩出、ゴーン被告はその代表のような存在である。

 フランスでエリートを養成するグランゼコールのパリ国立高等鉱業学校を卒業、ミシュラン、ルノーとフランスの大手企業でキャリアを重ねてきたが、商魂はレバシリであり、そこはゴーン被告の後を受け継いでルノー会長となった貴族出身のドミニク・スナール氏とは違う。

 在仏ジャーナリストによれば、「ルノーは早い段階でゴーン切り」を決めていたという。

  「日産は、ゴーン逮捕の直後にゴーンを解任。それに対してルノーは、今年1月24日、ようやく会長退任に追い込みました。『推定無罪の原則を貫いた』といった報道があるけど、それは違う。ゴーンの反撃を恐れ、時間をかけて準備していただけです」(同)

 市場主義への反発を心に秘める純粋なフランス人にとって、ゴーン被告はやはり「ブラジル生まれのレバノン人」なでのであり、「同化」は認めていない。

 ゴーン被告は、東京地検特捜部と「日産」が合体した“国策捜査”により、4月4日、「オマーンルート」で再逮捕された。

 日産代理店経営者のスへイル・バウワン氏からカネを借り、その謝礼に約1500万ドル(約17億円・当時以下同)を報奨金名目で渡し、そのなかから約500万ドル(約5億6000万円)を自分の実質口座にバックさせたというもの。

 一旦保釈した人間を再逮捕するのは異例だが、もうひとつの特別背任の「サウジアラビアルート」が、やはり日産代理店経営者のハリド・ジュハリ氏に、個人的投資損失の信用保証をしてもらった見返りに、報奨金名目で約1470万ドル(約13億円)を渡したという容疑だったが、ゴーン被告が直接の利益を得ていないという“弱さ”があった。

 それを補完するためには「オマーンルート」は欠かせなかったが、「最悪でも在宅起訴」と踏んでいたゴーン被告と弁護団は苛立った。

 ゴーン被告も、前日の仏メディアのインタビューで、「私は自身の権利を守らなければならない」として、仏政府への救済を訴えた。

 だが、仏政府も政府が大株主の「ルノー」も冷淡。ルメール経済・財務相は「推定無罪が原則で、外交上の保護を受ける」といいながらも「ルノーの過去に何があったか。透明性が求められる」とし、「ルノー」は、同じ「オマーンルート」に疑惑を抱き、ゴーン被告はバウワン氏のルノー代理店に数億円を不正支出させた疑いがあるとして、仏検察当局に通報している。

 ルノー・日産アライアンスは、完全にゴーン被告を切った。

 両社の取締役も外れ、ゴーン被告の公判での肩書は、「無職の元経営者」となる。

 日仏の検察当局が、合同で捜査するわけではないが、「ゴーンの罪を暴く」という意味では共通の目標を持っており、捜査協力体制が敷かれよう。

 繰り返すが、「ゴーン逮捕」は、「日産」を「ルノー」に渡したくない日産役員と官邸=経産省の思惑に乗った地検特捜部による国策捜査だった。

 これに対して「雇用のために日産を傘下に置く」という方針だったマクロン政権が反発、反撃姿勢を取ったことで、ゴーン被告を守るかと思いきや、そうすることなくあっさりと見捨てた。

 そこには、「黄色いベスト運動」など二極化のなかで急落する支持率を高めるために、ゴーン被告のような強欲な経営者は排除、対立より協調を重視して、アライアンス効果を高めたいという思惑があった。

 フランスに完全に同化していないことを意識するゴーン被告は、逮捕容疑の年間報酬の過少申告も、報奨金名目の支払いも、弁護士に確認させ、役員会などを通し、合法であることに気を配ったハズである。

 冒頭の商社幹部氏によれば、世界のビジネス界の3大タフネゴシエーターは、ユダヤに華僑にレバシリだという。

 タフではあるが、国の庇護をあまり受けないために、「カネと法」に強いこだわりを持っており、法は犯さない。

 そのカベを特捜部は、「日産」との司法取引で乗り越え、今、フランスとの捜査共助のなかで容疑を固めようとしている。

 世界の自動車産業にその名を轟かせたゴーン被告は、無残にも日仏両国の一致した思惑の前で逮捕され、また3カ国の国籍を持つがゆえに、「最終的には誰も本気で助けない⁉」という“悲哀”を味合わされている。【午】

 

 

 

 

 

 

 


2019年4月2日配信「大物官僚OBを役員に迎えながら募集の大半が虚偽で金融登録を取り消された『エーアイトラスト』の暗闇部分」<事件>


 (☚エーアイトラスト社HP)

 

 「公共工事には、大物官僚OBの力でいくらでも食い込むことができる」――
そう思わせたいのが露骨にわかる役員構成だったのが、ソーシャルレンディング(SL)業界で初の金融商品取引業の取消処分を受けた「エーアイトラスト」(東京都港区)である。

 

 財務省、防衛省、国交省などのOBが、6人も取締役、監査役に就いており、ホームページの役員紹介には出身官庁を掲載、紹介文には、「公的機関との協調融資など、より安全性の高い商品の開発に努めております」と、「官僚OBの力」が朗々と記されていた。

 

 だが、二度の行政処分を受けたうえ、3月8日、金融登録を取り消されてしまったのを機に、「看板」となっていたOB達は、蜘蛛の子を散らすように遁走。現在の役員欄には、松本卓也代表の名が、ポツンとひとり残されている。

 

 それにしても、関東財務局が記載した「行政処分理由」には、「虚偽」「不正」といった言葉が満載。厳しい処分を受けるのも当然、といった内容だった。

 

 一つ目は、「ファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をする行為」である。

 

 投資家から15億7000万円の出資を受けたファンドは、「本借入人A」が、元受け会社を経由して、「新東名高速道路高取山トンネル西工事」などを受注したとしていたが、「本借入人Aが発注を受けたような事実はない」という。

 

 二つ目は、「ファンドの勧誘に関して誤解を生ぜしめるべき表示」をしたことである。

 

 燃料卸売事業者ローンファンドと称し、投資家から6億2000万円の出資を受けているが、「30億円をボトムラインとして継続成長が計画されている売上規模」という部分が、「これらは何ら根拠のないもの」と、断定している。

 

 三つめは、「ファンド資金が流出している状況」である。

 

 貸付金が、資金使途通りに使用されているかどうかの確認を行っていなかったため、募集総額52億円のうち、少なくとも15億8000万円が、「各ファンドの案件紹介等に中心的な役割を果たしていた山本幸雄取締役(既に退任)が、実質的に支配する法人に流出していた」という。

 

 これでも簡略化しており、「処分理由」にはもっと呆れた運用実態が記されており、いかに登録取消が厳しいものとはいえ、しょせんは行政処分。虚偽は騙しであり、「エーアイトラスト」は自社SLの「トラストファンディング」を通じ、投資家を騙して資金を集めていた以上、刑事責任を問われて然るべきだろう。

 

 だが、「エーアイトラスト」は、告訴・告発の先手を打つように、損害賠償請求訴訟を起こし、「責任は借入先にある」と主張。明確にしたのは、「投資家に対して行った募集が虚偽だったのは、借入人から虚偽の報告を受けていたからだ」という立場である。

 

 例えば、「処分理由」で説明された「本借入人A」は、元請会社と共謀のうえ、「架空発注を基に、当社を工事現場に案内したり、工事請負書や債権譲渡承諾書等に、それぞれ判を押すなどして該当ファンド等から貸付金を詐取しております」という。

 

 つまり、書類を偽造して受注を装い、「エーアイトラスト」を騙していたというのである。

 

 騙したのは、元請けか、借入人か、ファンドを組成した「エーアイトラスト」か?――争っているのは民事だが、かくも責任逃れするようでは、刑事司法の手を入れて解明するしかあるまい。

 

 その際、キーマンというべきは、業績不振の上場企業に取りつき、「資本のハイエナ」、「増資マフィア」の一員と目される山本幸雄氏である。

 

 各界に人脈がある山本氏が描いたシナリオだとすれば、「処分理由」で説明された高速道路などの公共工事だけでなく、「エーアイトラスト」が辺野古基地建設など沖縄にも手を出し、沖縄に支店を開設した理由もわかる。

 

 山本氏に流れた16億円近い法外なカネの行方も含め、「エーアイトラスト」のSL事業の徹底解明が必要であろう。【戌】

 

 

 

 

 

 

 



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