2016年4月7日配信「第三者委員会報告書で改めて明かされた王将創業家と上杉昌也氏が抱える闇」<事件>


王将フードサービス本社(☚wikipedia)



 それは30年前頃のバブル紳士と金融機関の呆れた融資実態を思い起こさせるような報告書だった。

 「餃子の王将」を展開する「王将フードサービス」(本社・京都市)が、3月29日に公表した第三者委員会の調査報告書――「B」と記された特定の企業グループに流出した資金が、95年から05年までの10年間で約260億円。うち176億円が回収不能。Bグループを率いるのはA氏と表記され、「不適切な取引」ではあるが、「反社会的勢力という認識は持っていない」(渡辺直人社長)…。

 記者会見でも、具体名は最後まで明かされることはなかったが、A氏とは、京都を拠点に事業活動を展開している上杉昌也氏で、Bグループとは「京都通信機建設工業」、「福岡センチュリーゴルフクラブ」などの上杉氏が代表を務めている企業群のことである。

 それにしても驚くのは、上杉企業群に莫大な王将資金が垂れ流されていることである。

 それは例えば、95年3月、祇園の不動ビルを上杉企業群から5億3000万円で購入し、06年9月、第三者に8000万円で売却。あるいは、ハワイの邸宅を95年4月、上杉企業群から18億2900万円で購入し、子会社への譲渡を経て03年7月、第三者に5億9800万円で売却するなど、およそ経済合理性のない取引ばかりだ。

 この種の不可解な貸付は、バブル期にはごく一般的だった。

 ただ、それには概ね金融機関が絡み、「旧住専」からバブル紳士への放漫融資。「興銀」・「長銀」・「日債銀」など、ビジネスモデルを崩壊させた長期信用銀行から不動産・レジャー業者などへの不明朗融資、また「イトマン事件」のように事件屋などに食い込まれた金融機関が、反社に莫大な資金を投入するケースもあった。

 「王将事件」の特異なところは、同社が「他人のカネ」を預かる金融機関ではなく、ひと皿200円強の餃子を中心に、従業員がコツコツと提供した飲食サービスの総体として約400億円(不適切融資期間の平均値)を売り上げる事業会社であることだ。

 一般には無名でも、上杉氏は部落解放同盟元委員長・上杉佐一郎氏(胡人)の異母弟で、佐一郎氏の各界への影響力を利用する形で、行政との調整役やトラブル処理係として実力を発揮してきた。

 だが、上杉企業群への野放図な融資は、2013年頃に問題となり、王将の役職員で構成される特別再発防止委員会が調査、13年11月13日付で、一度まとめた経緯がある。

 今回の第三者委員会は、前社長の大東隆行氏が、13年12月22日に射殺され、殺人事件捜査の過程で、昨年12月、福岡県の暴力団構成員が浮上。再び「王将と反社の関係」が取りざたされたのを受けて組織された。

 13年の再発防止委員会作成の調査報告書を封印したのは大東氏ら経営陣である。

 報告書で指摘されているのは、「不適切」いう言葉より、「不正」というのが相応しく、融資は取締役会の承認がほとんどなく、契約書すら存在しないものがあった。

 いずれも、創業者である加藤朝雄氏の長男・潔社長、次男・欣吾専務が、ほぼ独断で融資を行っていた。

 背任・横領の世界であり、本来、会社側は民事・刑事で経営陣を訴えるべき事案であった。

 だが、朝雄夫人の弟、つまり潔、欣吾両氏の叔父にあたる大東氏は、表沙汰にすることはなかった。そして封印の約40日後に射殺されたのである。

 第三者委員会は、「大東殺人事件」のために設置されたわけではなく、王将と反社との関係を解明、コンプライアンス強化につなげるのが目的である。

 ただ、そこから浮かび上がったのは、13年の調査報告書で指摘されていた不正融資の再確認であり、その後、大東氏が上杉氏との関係を切るのにいかに苦労したか、上杉氏と組んだ潔、欣吾両氏が活発化させる復権運動に、どう抗してきたか、の"歴史"である。

 犯人は不明で、福岡県の暴力団関係者の関与を窺わせるのが、殺害現場近くに残された「DNAが一致したタバコの吸殻一本だけ」と、まことに心もとない。

 だが、殺人事件の要因のひとつが、「王将の抱える闇」であるのは疑いなく、過去の封印を解き、それを浮かび上がらせたという点では意味ある報告書といえよう。【戌】







 

2016年4月1日配信「東京地検特捜部がようやく一色武氏の聴取を開始!――斡旋利得処罰法違反で告発された「甘利捜査」の行方?」<事件>


未だ睡眠障害で休養中!?(☚wikipedia)


 弁護士らが、甘利明前経済再生相と甘利事務所の清島健一元公設第一秘書斡旋利得処罰法違反で東京地検に告発、それを受けて特捜部が「薩摩興業」の総務担当・一色武氏の参考人聴取を行った。

 「週刊文春」のスクープで始まった甘利事務所の「都市再生機構」(UR)への口利き事件は、1月28日、甘利氏の大臣辞任で沈静化。清原和博逮捕や野球賭博の再燃で忘れられた感はあったものの、放置できる問題ではなく、特捜部が告発を受理して捜査着手した以上、全容解明が期待されている。

 「あっせん利得処罰法違反は、君らが考えるほど簡単なものじゃない」

 大手マスコミの司法担当記者は、検察幹部らにこう牽制されて捜査の見通しの暗さを感じているが、着手前から難しさを言い募るなど、検察のやる気のなさの表れである。

 要は、官邸を刺激するような捜査はやりたくないというのが本音なのだろう。

 しかし、事件の構図はどこを切っても真っ黒であり、毀損されたのは国民のカネであり、政治家への信頼である。

 広く捉えれば、国家に対する犯罪であり、こうした「被害者なき事件」を解明するのが特捜部の最大の役割であり、事件の解明に「特捜の再生」がかかっている。

 三者、それぞれに筋が悪い。

 まず、甘利事務所。――法律家団体「社会文化法律センター」の告発状によれば、第1の「請託」が、千葉ニュータウン道路工事に伴う「薩摩興業」の不満であり、それを受けた清島元秘書が、「UR」に「斡旋行為」を行い、その結果、「薩摩興業」は2億2000万円の補償金を取得。その謝礼に、500万円を甘利事務所に持参したうえ、その後、大臣室で甘利氏に直接、50万円を支払った。つまり甘利氏と清島氏は「利得」を得たわけで、「請託」「あっせん」「利得」という斡旋利得処罰法の3要件を満たしている。

 「第2の請託」は、その後、生じた工事によるひび割れや建物の傾斜に関する「請託」で、甘利、清島の両氏に対して行われ、その際、50万円が甘利氏に対して渡された。つまり「利得」が成立。URに対する「あっせん行為」は継続されており、ここでも斡旋利得処罰法の要件は満たす。

 難しさは、2000年に成立する際、「請託+あっせん行為+利得」のほかに、「国会議員等の権限に基づく影響力の行使」という曖昧な要件が加えられたことだ。

 これに対して告発状は、ヾ斗氏の有力政治としてのポジション、国交省の100%出資法人に影響力のある立場、という2つを指摘、清島元秘書も同等の政治力を有していたとしている。

 加えれば、この件に関し、甘利事務所は9回も「UR」を呼びつけ、強圧的な申し入れをしており、これこそ「政治力の行使」以外のなにものでもない。

 ただ、「UR」もまた"完全なる被害者"とは言い難い。

「薩摩興業」の敷地は、地主が築いた産業廃棄物の山の上にあり、本来、構造物が認められない場所なのに、それを承知で設置したので、登記もしていない。

 確かに不法建築物でも、「薩摩興業」が20年以上、営業しているので財産権は認められるだろうが、それなら裁判で争い、判決をもらうか、裁判所の斡旋で和解するのが筋だろう。

 ところが「UR」は、道路上の構造物撤去費用として1500万円をまず支払い、甘利事務所の口利きに応じる形で2億2000万円。次に、甘利事務所の第2の「請託」をうけた「あっせん行為」で5000万円を支払ったうえに、「週刊文春」の報道で露顕するまで、1億2000万円の補償金支払い交渉を行っていた。

 未遂はともかく、既遂の2億8500万円は裁判所のような公的手順を経ることなく、圧力に屈して“勝手”に支払った印象で、経営陣の背任を疑うこともできる。

 さらに、一色氏の手法である。

 元同和運動活動家で、元右翼活動家だという一色氏は、すべての領収書を残し、会話は録音、領収書を残さないカネは逐一メモにしており、それを“脅し”の道具に使っていた。

 今回、マスコミに持ち込んだため、露骨な要求はできなくなったが、これを直接、行えばURに対しても、甘利事務所に対しても、恐喝行為になりかねない。

 「不法構造物を利用した補償金要求」という手口と合わせ、国から少しでも多くのカネを引き出そうという“輩”の発想に共感する人はおらず、検察捜査とは別の視点で、同氏が本拠地とする神奈川県警が、一色氏の周辺を洗う準備をしているという。

 奪われたのは「UR=国」のカネであり、告発されているのは甘利事務所だが、「UR」と一色氏にも「犯罪の影」がある。

 その構図を解き明かせないなら、「特捜部不要論」が再燃することになろう。【亥】










2016年3月24日配信「LED詐欺事件で『全員無罪判決!』は、電通と"握った"警察の大失態!」<事件>


握ったばかりに!?



 「被告人全員を無罪と処す!」

 警視庁にとって衝撃の判決が、3月16日に下された。

 電通子会社の「電通ワークス」に、発光ダイオード(LED)の架空取引を持ち掛け、購入代金約56億円をだまし取ったというこの事件。――警視庁組織犯罪対策4課が、2年に及ぶ捜査の末に立件、東京地裁で2年近く公判の末に、出された結論が無罪だった。

 有罪率99%以上の刑事裁判で無罪判決を受けるのは、検察・警察の捜査当局にとっては大失態。裁判所にとっても、捜査当局寄りの判決を下した方がラクなだけに、有罪判決にするにはあまりに無理な事件の組み立てだったことが窺える。

 そして小誌は、捜査過程で何度かこの事件を取り上げ、組対4課が強制捜査に着手した2013年11月8日の直後、<循環取引がまずあった。その過程で詐欺が発生した。そこに暴力団関係者がいた――これが正しい事件構図のハズである>(13年11月13日)と、配信した。

 ところが、警視庁は循環取引を認めなかった。

 代理店の「ウェルバーグ」「G&A」が、LED開発会社の「ワールド・ワイド・エンジニアリング」(WWE)と組んで、架空取引を持ちかけてだまし取ったという事件構図を描いた。

 これが、どれだけ荒唐無稽か。

 「電通ワークス」は、「電通」という看板はあっても、当時、業務はビル管理と人材派遣が主の年商約200億円程度の会社である。

 その会社が、「代理店ウェルバーグ社向けLED照明」として、10年9月22日、1枚のやけに簡単な発注書で、「WWE」に約114億円分も発注していた。

 これはLED照明約77万本分で、これだけの案件が、「電通ワークス」の一担当者を騙すことで成り立つハズがない。

 であれば、この取引は何だったのか。

 商取引に通じていなくとも、「電通ワークス」が承知の循環取引であることが想像できよう。

 実際、それまでにも取引は繰り返され、「WWE」以外にも商流は確立されていた。

 江見健一裁判長は、「架空取引とは知らなかった」と主張する電通ワークスOグループ長の証言に対し、「自己の責任回避という強い動機があり信用できない。架空取引と知っていたと認められる」と、強い口調で述べた。

 「電通」とすれば、「電通子会社ぐるみの循環取引」という形にしたくなかった。

 そうなると100%出資子会社の事件だけに、『電通粉飾事件』という構図になる。

 それを避けるには、「電通は被害者」という形にするしかなく、捜査に当たったのが暴力団担当の組対4課で、代理店などの商流には過去に逮捕歴があるような反社会的勢力が含まれていることから、「電通」と組対4課の思惑が一致、「反社が電通を食った」という事件構図となったのである。

 小誌が、まず循環取引があり、次に詐欺事件と読んだのは、「WWE」の長谷川篤志社長らが、循環取引であることを隠さず、またそうでなくては成り立たない犯罪だったからだ。

 そして詐欺の構図は「WWE」とは別にあり、それは13年12月31日配信<『LED詐欺事件』で電通ワークス被害者説を覆すもうひとつの民事訴訟>で指摘した。

 これは「電通ワークス」が「G&A」という代理店に架空発注した事件で、こちらは民事訴訟だったが、「G&A」の実質的経営者の森田敏男本部長が、「印鑑等を偽造、ビジネスを成立させた」と、罪を認めていた。

 こちらの商流でも逮捕者を出し、分離して公判が行われ、詐欺罪が成立して有罪判決が下されている。

 一方の「WWE」が無罪になったのは、循環取引ではあっても、発注書に基づいた製造が行われ、製品が納入されているためで、江見裁判長は、「電通ワークス」が「WWE」に支払ったカネの趣旨は不明としたものの、「詐欺罪は成立しない」と、結論づけた。

 "天下の電通"を被害者とする無理な事件構図はもろくも崩れた。

こうした失態を繰り返させないためには、「電通」と捜査当局の“握り”が、いつどのような形で行われたかの検証作業が必要であろう。【戌】








2016年3月17日配信「分裂した山口組の本格抗争を阻むのは4半世紀に及ぶ暴力団締め付けの強化!」<事件>


警察庁(☚wikipedia)



 先月2月15日、東京・歌舞伎町で発生した「6代目山口組」「神戸山口組」の"市街戦"を機に、連日のように小競り合い、襲撃、発砲事件が相次いだこともあり、夕刊紙や週刊誌などの見出しに『本格抗争へ』といった文字が踊るようになった。

 実際、首都圏への波及を恐れた警察庁は、対立抗争状態と認定、対策本部を設置した。

 思い出されるのは、市民を巻き添えにしつつ、25人もの死者を出した山口組一和会が壮絶な戦いを繰り広げた「山一抗争」である。

 あの時も、84年6月に山口組から分裂して一和会が結成され、7ヶ月後の85年1月、一和会の襲撃部隊によって竹中正久4代目組長が射殺された。

 山口組が分裂して7ヶ月が経過、双方の組員は自由な活動を許されず、シノギも激減、ストレスを抱えて一触即発の環境は整っている。

 そういう意味では、報復が信条の暴力団だけに、いつ本格抗争に突入してもおかしくないのだが、30年前の「山一抗争」と、現在の「名神抗争」では、時代背景が全く異なる。

 司法当局が、度重なる法改正で強大な力を得た現在、「抗争は両トップへの芋づる式逮捕と組織の徹底殲滅」を意味する。

 それを承知の双方の幹部が、「抗争の指示」など出せるわけがない。

 振り返ってみよう。

 バブル期に暴力団の資金量が飛躍的にアップ、首相選定(日本皇民党の竹下登首相候補への褒め殺しを稲川会会長が中断させた)に関与し、銀行への侵食(山口組企業舎弟が旧住友銀行に乗り込んだ「イトマン事件」)が社会問題化したこともあって、92年3月には暴対法が施行された。

 「憲法違反だ!」とする学者の意見もあったが、暴力団の脅威の前にかき消され、指定暴力団と認定された段階で、債権取り立て、みかじめ料、不当な株や土地の取り引きなど、暴力団の主要なシノギは封じられた。

 しかし、暴力団を対象にした初めての本格的な取り締まりの法律とあって“穴”は多く、たとえば企業舎弟といった周辺者が、ビジネスの前線に立って、暴力団の“代わり”を務めた。

 警察は、手を拱いていたわけではない。

 国会に働きかけて、暴対法を次々に改正。第1次(93年)で禁止行為を追加、第2次(97年)で準構成員(企業舎弟など)も適用対象とし、第3次(04年)で使用者責任を規定、第4次(08年)で使用者責任の適用範囲を拡大、第5次(12年)で特定指定団体への直罰規定を導入した。

 手足を縛られ、身動きが取れず、暴力団のシノギは激減したが、暴力団トップの行動を規制するようになったのは「使用者責任の厳格化」だろう。

 従業員の不法行為は雇い主が損害賠償責任を負うという民法の考え方を取り入れたもので、裁判を起こされたら負けることが常識化、最近でも、山口組傘下組員の詐欺被害にあった男性が司忍6代目らを訴えたところ、昨年12月末までに和解が成立、和解金額は6000万円である。


 共謀共同正犯の拡大解釈も手足を縛った。

 97年9月、桑田兼吉・山健組組長、司忍・弘道会会長など有力組長が、ボディガードの拳銃所持で軒並み逮捕され、翌年、司6代目は懲役6年の実刑判決が確定した。

 配下の罪は組長が担い、違法を認知していてもいなくとも、共謀を認定される。

 さらに、00年2月には、組織的犯罪処罰法が施行され、組織的犯罪には刑を加重、犯罪収益については厳しく規制することになった。

 端的な例が今年2月、控訴を棄却された山口組2代目小西一家の落合勇治総長で、無罪を主張、配下が「検事に司法取引を持ちかけられて総長の関与を証言したが、本当は総長は知らなかった」と、証言を覆しても、組織犯罪処罰法違反(組織的殺人)での落合総長の無期判決は覆らなかった。

 さらにとどめを刺すように、11年10月、暴拝条例が全国施行される。

 暴力団に対峙するのは警察だったが、この条例によって企業や市民が暴力団への対峙を迫られ、親密交際を指摘されれば、「反社会的勢力」と認定され、暴力団構成員同様、社会活動を妨げられる。

 ただ、「認定」の基準は曖昧で難しく、それより効果的だったのは銀行、不動産、保険、ゴルフ場、ホテルなど企業の側が暴排条項を設定し、暴力団の利用を制限したことだろう。

 それでも、銀行口座は必要だし、ホテルやゴルフ場も利用する。その際、他人名義を使えば詐欺罪で逮捕されるようになった。

 暴力団を取り巻く環境は、様変わりである。

 暴対法、改正暴対法、組織犯罪処罰法、刑法の共謀共同正犯、暴排条例などでがんじがらめの規制を受け、どんな罪でも着せられる。
 しかも、本格抗争が組長や執行部、直参らの長期の懲役を意味することがわかっているのに、「タマを取れ!」と、指示できる者はいない。

 マスコミの一部には、あたかも両組織の激突が必至のような煽り報道も見られるが、抗争の行方を確かめるには一層、"冷静な見極め"が必要であろう。【丑】

2016年2月26日配信<週刊0510archives>「問題化必至!――籾井勝人NHK会長が大枚350億円を投じて取得しようとした渋谷・宇田川町の土地の謎」<事件>


城主交代近し?(wikipedia)



 よくよく「懲りない人」である。

 その言葉しか見当たらないのが、「NHK」の籾井勝人会長だ。

 初会見での従軍慰安婦問題の失言に始まって、「日付なしの辞表」を理事全員に求めた問題、私的利用のハイヤー代を「NHK」に請求した問題、そして今回は、放送法に違反する債務保証を犯しながら土地を購入しようとした。

 問題の土地は、NHK放送センターに近い渋谷区宇田川町にある。

 広さ3419.75平方メートルで、現在は116台を収容できる大規模な駐車場だ。

 ここに高層ビルを建て、超高精密画質4Kや8Kのスタジオにして、周囲に散在するNHKグループ各社を入居させようという計画は悪くない。

 が、それなら本体が購入すればいいのに、NHK経営委員会の了解を得るのが面倒で、グループ会社9社で共同購入することにして、その“工作”を『毎日新聞』にスクープされて断念した。

 バレたから止めた――。

 もちろん、それで済む話ではない。

 放送法違反の債務保証と覚しき文書を提出したのは誰か、グループ9社の購入にしようとしたのは誰の発案か、そしてなにより、籾井会長が相場の2倍近い値段で強硬に購入を主張したのはなぜなのか。

 年末の話題だったので、週刊誌や夕刊紙は合併号作業等があって取り上げ方は小さかったが、年明けの1月4日から始まる通常国会で元NHK記者の柿沢未途代議士などは国会での追求を公言しているし、購入を決めた理事会の議事録が公開されれば再燃するのは必至の情勢である。

 これまで安倍晋三首相直々の人事で選ばれたことで庇ってきた官邸も、「さすがに今回ばかりは見放すのではないか」(政治部記者)という観測もあり、籾井会長は正念場を迎えそうである。

 そもそも、どんな土地なのか。

 家督相続で受け継がれていた土地が、「交換」という形で、1993年9月、都内の不動産会社に移転。翌年、「私立学校教職員共済組合」が取得したものの、08年1月、ジャスダック上場の不動産会社「レーサム」に売却した。

 「レーサム」は、ホテルを建設する予定で「RD Legendベータ特定目的会社」を設立するものの、リーマンショックのあおりを受けた不動産不況に直面。計画を断念して「大和証券SMBCプリンシバル・インベストメンツ」に売却した。

 「レーサム」の取得価格が470億円で、「大和証券SMBC〜」への売却価格(特定目的会社の売買)が270億円ということだから「レーサム」にとっては屋台骨を揺るがしかねない大失敗のプロジェクトだった。

 その後、市況が回復しているとはいえ、「周囲の取引事例などから考えると200億円前後が相場」(不動産業者)ということで、「NHK」が提示した350億円はその2倍弱。「大和証券SMBC〜」は渡りに船で売却しようとした。

 12月18日に決済の予定だったが、その日、手付金1割(35億円)を用意しなければならず、それだけの現金が子会社にないため、「NHK」は購入窓口の「NHKビジネスクリエイト」の八幡恒二社長、「NHK」の福井敬専務理事、井上樹彦理事の3人が、「確認書」という名の実質的な債務保証「みずほ信託銀行」に入れ、融資を受けることになった。

 それを『毎日新聞』がスッパ抜いたのは12月8日である。

 NHKの理事会が、当日の午前中に開かれ、当然、紛糾する。

 出席者12名のうち大半の理事が反対に回るなか、籾井会長は、「放送法違反、コンプラ違反などない」と、強硬に主張、購入を決めた。

 だが、同日午後、反籾井派の委員が多い経営委員会が開かれると、「手続きの正当性や購入価格に不明な点がある」という結論がアッサリと出され、執行部に慎重な対応を求めたために、さしもの籾井会長も購入を断念せざるを得なかった。

 籾井会長が、経営委員会の目を免れるような工作を施しつつ、ここまで強引に買収を進めようとしたのはなぜか。

 誰かと、何らかの「蜜約」があったのではないかという観測が広がるのも無理からぬことである。

 危うし、籾井!――これまでは官邸の意向を受けて「籾井派」と見られていた理事までが反籾井に回っていることもあって、一連の謎が暴かれる可能性は濃厚である。【申】<2016年1月6日配信>

※折も折、放送禁止用語でいよいよ"籾殻アタマ"のクビが飛ぶ…?






2016年2月23日配信「チクリ屋・渡辺大蔵を"シャブ友"にした往年の大スター・清原和博の自業自得!」<事件>


往年の雄姿(☚wikipedia)



 さながら洪水のような報道のなかで、清原和博容疑者が、重度の覚醒剤中毒であることが判明した。

 警視庁組織犯罪対策5課は、10年以上前から清原を疑っていながら、「有名人だけに失敗は許されない」と、慎重姿勢に終始したということだが、もっと早くても良かっただろう。

 自業自得とはいえ、14年3月の週刊文春報道、そして同年9月の離婚発表以降、清原の薬物依存度は、取り返しがつかないほどに進んでしまった。

 組対5課は、ASKAに続く"金星"で、薬物の代償がどれほど大きいかを世に知らしめてポイントをあげた。

 また、編集方法のあざとさに異論はあるものの膨大な長時間をかけて取材、『清原容疑者追跡1200時間』と大袈裟なタイトルを打って報道した『フジテレビ』は、なんとか取材費を"回収"?した。

 では、これほどの大騒動を引き起こしたのは誰なのか。

 既に、幾つかの週刊誌で「ダイちゃん」「ナベちゃん」と、清原が自分を呼んでいたと、自ら語っていた渡辺大蔵である。

 競馬予報やパチンコの攻略本で財を築き、脱税逮捕で転落、清原をマスコミに売って、幾ばくかのカネを得た、この「チクリ屋」の存在ほど、この種の事件報道の"裏"を明かすものはない。

 渡辺は、20代にしてとてつもない財を築き、羽振りの良さで知られた。

 経営していたのは、経営コンサルタント会社の「グローバルワン」(中央区)、登録会員にパチンコ攻略法を提供する「グローバルブレインネットワーク」(新宿区)、同様に競馬の予想情報を会員に提供する「コアテッド」(千代田区)、そしてそうした事業の広告宣伝を請け負う「アイクリエイティブ」(渋谷区)だった。

 謳い文句は「独自に開発した新規攻略法」というのだが、パチンコにしろ競馬にしろ、そんなものはなく、要は、広告宣伝の“腕”の良さで入会金10万円、情報料月5万円を荒稼ぎ。2002年7月に東京地検に告発された時の所得隠し額は約20億円だった。

 とてつもないアブク銭を掴んだ渡辺は、そのカネでタニマチを気取って豪遊三昧、注ぎ込んだ先が引退した力士でありプロゴルファーでありプロ野球選手だった。

 特に、大の巨人ファンだった彼は、清原が巨人に入団した直後に知り合い、年齢も清原の3つ下ということで、清原としても渡辺は気を使わなくて済む友人で、しかもタニマチということで意気投合。すぐに飲食を共にする仲となったが、01年11月のゴルフコンペで、「ダイちゃん、これ持ってて」と、コカインを渡され、それを自分のモノと供述して逮捕されたという。

 02年2月、コカイン所持で懲役2年6月、執行猶予4年の判決を受け、それから半年も経たずに今度は脱税。ここからが渡辺の転落の始まりで、05年9月に脱税事件で実刑判決を受けて収監され、09年3月まで服役したが、出所後も「もう用はない!」と、ばかりに清原は渡辺に連絡することはなかった。

 しかし文春報道で追い詰められ、山口組系暴力団の密売組織から「清原に流すのは危険過ぎる」と、関係を切られてからは覚醒剤の入手先に困った。

 そこで、14年8月、「ダイちゃん、アレ(=覚醒剤)まだやってんの?」と、渡辺にメールを入れ、関係が復活した。

 この頃、生活が困窮していた渡辺は、清原の売人になるとともに、1億円以上のカネを借り、ふたりは、毎日のように一緒にいて、仲良く覚醒剤を打っていたという。

 翌年2月に、渡辺は再び覚醒剤で逮捕され、この時、「清原との関係を切れ!」と、清原周辺の暴力団関係者に脅され、関係は切れたのだが、それが清原を"売る動機"になった。

 清原との関係を警察とマスコミに売って、1億円以上の借金をチャラにするとともに、情報提供という形でマスコミ相手に"営業"、弁護士費用などに充てた。

 巷間言われている「群馬ルート」「渡辺ルート」である。

 清原は、危ういとは知りつつ、他の売人ルートを開拓する怖さがあり、「渡辺ルート」を使い続けた。

 その間、渡辺の警察やマスコミへの"実況中継"ばりの詳細な情報提供は続き、結局、清原は逃れられなかった。

 生涯獲得年俸50億円のスタープレーヤーが、最後に頼ったのは「チクリ屋」だった。

 清原が逮捕されたのは自業自得である。

 事件はまったく異なるが、経済再生担当相だった甘利明議員がゲスな「事件屋」に仕掛けられ、大臣の椅子から降りざるを得なかったように、事件の"発火点"は、その程度の人物であることが多い。が、何より、そうした輩を周辺に呼び寄せる自身の"体質"こそが、事件を招く最大の"原因"であろう。【辰】








2016年2月9日配信「甘利明・前TPP担当大臣電撃辞任の背景」<事件>


無念の辞任!(☚wikipedia)


 自らを「国会の阻害要因」として甘利大臣電撃辞任、マスコミ報道も小康状態となっているが、疑惑の解明はこれからだ。

 まず、不記載や期ズレが明らかとなった政治資金規正法違反は、いずれ告発を受けて捜査着手せざるを得ない。

 また、「薩摩興業」の総務担当・一色武氏の陳情を受けて、秘書らが「都市再生機構」(UR)職員らと12回も面談した問題については、斡旋利得処罰法違反を疑わざるを得ない。

 しかし、立件のハードルは高いという。

「単なる口利きだけでは、国会議員やその秘書の日常業務のひとつである『問い合わせ』までもが対象となってしまう。口利きで利益を得たうえに、人事異動をほのめかすなど、口利きの実行を強く迫った事実が必要。それゆえ、2013年の施行以降、国会議員や秘書に適用されたことはない」(検察OB弁護士)

 それなら、今回、格好の初適用となるのではないか。

 口利きの“効果”なのだろう。――「UR」は13年8月、「薩摩興業」に2億2000万円の補償金を支払い、その“謝礼”として、一色氏は500万円の献金をした。

 甘利氏は、「200万円は適正に処理。300万円はA(清島健一)秘書が私的に流用した」と、説明したが、見返りが生じたのは疑いない。

 「二匹目のドジョウ」を狙い、献金と接待攻勢がエスカレート、甘利氏には50万円が2回、届けられ、清島秘書と鈴木陵允秘書は、飲食の接待に溺れた。

 が、工作は実らず、『週刊文春』への告発となったが、そうした利益供与総額は1200万円を超えるという。

 これだけの証拠があるのだから、告発を受けた東京地検特書部の捜査は粛々と進むかもしれないが、秘書の犯罪は立件されても「甘利氏本人」に到達するのは難しいかも知れない。

 同時に、一色氏の罪も問われるわけだが、その背景も解明されるべきだろう。

 誰もが感じる疑問。――それは、「自ら罪に問われ、補償金支払いの道は閉ざされるのに、なぜ文春にすべてを告白したのか」という点だ。

 一般的な観測は、カネを使ったのにニッチもサッチもいかなくなって、「マスコミに暴露して恨みを晴らそうとした」というものだろうが、一色氏の経歴を見れば、そんな甘い見方には無理がある。

 不動産業の傍ら、神奈川県平塚市で差別問題に取り組む人権センターの理事長Iに取り入り、政治家や行政に圧力をかけて、利権に絡んできた経緯があり、さらに10数年前からは八王子市に本部がある右翼団体Dに所属。熱心な会員ではないが、街宣活動にも参加していた。

 「薩摩興業」との関係は、右翼団体を除名処分後で、当時、千葉ニュータウン北環状線の建設予定地に同社の本社と資材置き場があり、補償をめぐる千葉県企業庁(後にUR」に委託)とのトラブルに介入するようになった。

 そこで、300万円を八王子の団体と相模原の団体Nに渡し、企業庁に圧力をかけようとした。

 同時に、青森県選出の元閣僚Tに口利きを依頼。その元閣僚は、「5億円にはなる」と安請け合いしたものの、右翼の力も政治力も通用せずに交渉は中断した。

 一色氏は、右翼団体を離れて「薩摩興業」の非常勤社員となり、12年頃から「UR」を攻めるようになり、知人を介して甘利事務所とのタイアップに成功。秘書との関係を深め、次の補償を狙ったわけだが、最初の成功が13年8月で、週刊文春の記者に接触したのが15年8月ということだから2年近くの歳月を要しても、成果が出なかったことになる。

 一色氏の経歴は前述の通りヤワではないが、「薩摩興業」の寺床博好代表も同じ。右翼を脅しに使うのを厭わないだけじゃなく、その効果が出ないとなると、右翼団体に対し「払った300万円に上乗せ、1000万円を返せ!」と、迫ったこともあったという。

 だとすれば、成果が出ず、カネばかり使う一色氏を追い込んだのも容易に想像がつく。

 恐らく、もとから会話を録音、詳細なメモや領収書を残していたという一色氏は、文春を「イザという時のカード」に使うつもりだったのだろう。

 最初の文春との接触が昨年8月で、すべての資料やメモ、録音テープなどを渡したのが今年1月。その間は、「マスコミの名を出して揺さぶる機会」を狙っていたのではないか。

 しかし、その揺さぶりに効果がないと思って、甘利事務所を‟道連れ”にする「自爆テロ」を選んだのだろうか。

 いや、「薩摩興業」と一色氏の“過去”を顧みれば、そんなカネにならないことはしないだろう。

 そんな彼らの“思惑”が伺えるのが、甘利氏が記者会見で明らかにした寺床代表の清島秘書への電話である。

口裏合わせでもなんでもいいけどさ、大臣が口を利いて、(URとの交渉がうまくいけば)一色が出てきて『実を言うと内輪揉めでありもしないことを言った』と言えば済む話になると思いますよ」

「(大臣室の録音はないので)一色が言うには、解決すれば自分が出て行って頭を下げるって言ってるんだよ。私が虚偽で言いましたって

 事実なら、週刊誌を使った‟マッチポンプ”である。

 開き直って、文春への告発を「虚偽だ」として頭を下げ、批判も罪も一色氏が一身に被り、甘利氏への恩にして、補償交渉を優位に進める――。

 そんなストーリーが通用するとも思わないが、次の補償が30億円とも言われるとてつもない金額であったことを考えれば、一色氏が寺床代表のプレッシャーに耐えかね、究極の選択をしたという観測も成り立つのではないだろうか。【巳】











2016年1月26日配信「歴史ある経済誌が“丸乗り”?――村上世彰氏が『東洋経済』誌上で証券監視委に大反論!」<事件>



 捜査当局に狙われ、ジリジリと包囲網を狭まれ、いつ逮捕されるかも知れない恐怖が、どれだけのプレッシャーを人間に与えるかは想像に難くない。

 「物言う株主」村上世彰氏が、昨年11月25日、株価操縦容疑で証券取引等監視委員会の強制調査を受けた。

 東京地検への刑事告発を前提としているだけに村上氏は震え上がった。

 既に、一度、インサイダー事件で逮捕起訴された経験があるが、慣れる訳がない。

 どうすれば逮捕を免れるか――。

 頭脳も弁舌も一流の村上氏が採ったのは、「取引の正当性」を認めさせることだった。

 その舞台に選んだのが、『週刊東洋経済』(2016年1月16日号)。――「独占追跡 村上強制調査」と題した16ページの大特集である。

 捜査当局が必ずしも正義ではないのは誰もが知るところであり、こういう機会をメディアが与えるのは悪いことではない。

 しかし、“丸乗り”は良くない。

 村上氏は、既に、自身のホームページで、12月4日に反論を行っており、そこには矛盾もアラも見えていた。

 その疑問を解消しつつ、村上氏の弁明を紹介するならまだしも、「反論」を補強、“肉付け”する内容になっている。

 これでは、村上氏に利用された?に等しく、老舗経済専門誌の看板を汚すようなものである。

 一番の問題は、「なぜ、株価を急落する空売りを行ったか?」という疑問に応えていないことだ。

 これに対しては、「議決権の移動を(女性向けアパレル大手の)TSI(ホールディングス)に見られたくなかったから」と、説明している。

 証券監視委が問題にしたのは、14年6月27日と7月16日の2日間に大量にTSI株を空売り、相場を操縦したという点である。

 この時点で村上氏の関連会社A社は、約400万株のTSI株を所有していたのだが、空売りをするならA社で行えばいいのに、なぜ村上グループ内の他社を使ったのか。

 それは、村上グループ内で行われた「利益の付け替えによる節税対策」だったとしか思えない。

 だが、その肝心な部分を、『東洋経済』は次のように一蹴するのである。

 <村上氏の関連会社にはすべて税務上の繰越損失があるので、関連会社の間で利益を移し替えなくても節税効果は出る。しかも、TSI株取引による税メリットは世彰氏にとって取るに足らないものだった>

 こんな酷い検証記事は見たことがない。

 『東洋経済』は、グループ関連6社を使ったTSI株の利益の移し替えだったことは認めている。

 疑惑の取引は14年6月27日7月16日の「2日」。

 6月27日までに、B社が23万株、C社が20万株を空売り。6月27日、時間外取引のToSTNetを使って、グループ内で360万株を保有するA社が、この日の終値よりも約6%低い価格でB、C社に売却して決済。一連の取引で、B社とC社は約4500万円の利益を得て、A社は約4500万円の損失を出し、グループ内で利益は相殺されたという。

 もうひとつは、同じような手法で行われた7月16日までの取引で、グループ内のD社が同日までに79万株を空売り。それを、TSI株217万株を持つA社が、D社にトストネットを使って売却して決済され、D社は約4500万円の利益を出し、A社は同額の損失を出した。

 こうして4社間で利益が相殺されたことにより、A社の税負担は減り、繰越損を持つB、C、D社の収益は、税負担をすることなく改善することが容易に推察できる。

 なのに、それがどうして<取るに足らないこと>なのか!

 もし、本当に取るに足らないことなら、今回、記事中にあるように、弁護士事務所の弁護士立ち会いのもと、村上氏サイドが全面協力して記事が作成され、資料等は全て揃っているのだから、A社、B社とせずに、実名で記載すべきではないか。

 6社の経営状態が判明、繰越欠損がどこにいくらあるかがハッキリすれば、どれだけの節税効果があり、それが本当に取るに足らないものかどうかの判断が読者につく。

 ところが、取引の価格も時間も得られた利益もすべてオープンにしているのに、肝心の社名が伏せられているのでは判断できない。

 都合のいい情報だけを開示、結論が村上氏サイドと同じで、だから「株価操縦ではない」とは、牽強付会も極まれり!――首を傾げるのは小誌だけではないはずである。【巳】











2016年1月14日配信「‟迷刹”湖雲寺の祟り?――『六本木・500億円高層ホテル構想』が頓挫!」<事件>



 東京・地下鉄日比谷線六本木駅から徒歩5分の約4000平方メートルの敷地に、香港の高級ホテルチェーン「ランガム」が、30階建ての高層ホテルを建設する計画は、2015年7月末に土地の取得契約は交わしていたものの、条件が整わず、同年12月22日を期限とした決済は行われずに頓挫した。

 かつてここには、江戸時代から続く曹洞宗の名刹「湖雲寺」があり、本堂、庫裡書院などが建てられていた。

 先代の住職が08年4月に引退、長男の副住職が後を継ぐが、その少し前から不動産登記簿謄本は、目まぐるしく変遷する。

 まず、06年4月、京都在住の8名が1平方メートル当たり1月2060円で地上権を設定、本堂等の建て替えも含め、再開発事業を目論んでいたようだ。

 だが、うまくいかず、10年9月、都内の投資会社に信託。翌年、受託者が静岡県の不動産会社に移ったあたりから、土地の履歴には様々な業者が登場、謄本は汚れていく。

 湖雲寺住職の思惑通りには計画は進まず、不動産業者やブローカーの口車に乗って、資金をむしり取られ、その度に借金はかさみ、本堂などを取り壊した後、駐車場として利用していたものの、とても間に合わず、最終的にはすべて売却。複雑過ぎる権利関係を調整のうえで、大阪の日用雑貨販売会社「ライフ堂」が一括購入した。

 13年10月のこの売買で、ようやく再開発に向かうかと思われが、「ライフ堂」も自己資金ではなく、スポンサーが関西の安売りスーパー「玉出」だったことでスッタモンダ、両社は事業計画をめぐって対立した。

 その後、紆余曲折を経て「ライフ堂」は15年までに、ほとんどの土地を売却。現在、西側部分を豪腕で知られるA氏率いる「アルデプロ」(JQ)、東側部分を大阪の不動産会社「ミヤ産業」が所有、「ライフ堂」が一部の権利を残す形となっている。

 このややこしい案件を取りまとめたのが、外資系デベロッパーの「パシフィカ・キャピタル」だった。

 同社が「アルデプロ」や「ミヤ産業」などから取得する価格は222億円。もちろん、謄本を眺めるだけで両社に複雑な要素はうかがえるわけで、契約から決済までに約5ヶ月の歳月を要したのは、それまでに売却側が権利関係を調整するのが条件で、何の障害もなくプロジェクトを推進できるかどうかを見極めたうえで決済されることになっていた。

 それが冒頭に書いたように決済できなかったのは、調整がつかなかったことを意味する。

 なにより「湖雲寺」の件が残されている。

 いくら名刹転じて‟迷刹”になったとはいえ、かりにも宗教法人である。

 不動産登記簿謄本に「境内建物、境内地、宝物の処分等に関する定め」とあり、その条件に「曹洞宗の代表役員の承認を要する」とある。

 湖雲寺の住職が事業に失敗、資産を売り払ったとしても、それは「許可なくやったこと」として認められない。

 そのうえ、「湖雲寺」は15年2月に第三者破産をかけられ、現在、破産手続きが進行中だ。

 つまり債権者が残っていて、破産管財人が配当などを話し合っている段階で、勝手に事業は進められない。

 まして「湖雲寺」には10数人の檀家がいて、片隅には移転先を見つけなければならない10数基のお墓が残されたまま。そんな状態で、高層の高級ホテル建設など画に描いた餅だろう。

 「湖雲寺」の代表役員は、昨年5月に吉川ビル(浅草・田原町)を巡る不動産侵奪事件で逮捕された札付きの僧侶・酒井某に2ヶ月間だけ移り、また元の住職に戻っている。

 債権を逃れようと必死なのだろう。

 そして住職の住所は、前述の「札付きの僧侶」が持つ「自修院」(横浜市緑区)になっているが、そこには住んでおらず、債権者集会に姿を現さないどころか、破産管財人の電話にも出ない。つまりは失踪状態”というわけだ。

 そんな状態では、今後も事業が立ち上がるはずもなく、しばらくは塩漬けが続くだろう。

 今なお残された墓の祟りなのか?――222億円での売却を見込んでいた「アルデプロ」「ミヤ産業」、そして売却でスポンサーとの精算を見込んでいた「ライフ堂」は、いずれも思惑が外れて窮地に立たされてしまった。【寅】






2015年12月18日配信「ウイッツ学園高校就学支援金不正受給容疑で特捜部の強制捜査を受けた福村康廣・東理HD社長の教育錬金術」<事件>


問題のウイッツ青山学園高校(学校案内より)


 不況を映して、生活保護費、診療報酬、柔道整復療養費、介護保険など、取りっぱぐれのない“国絡み”の資金を狙った詐欺事件が連続するなか、今度は就学支援金不正受給が表面化、東京地検特捜部が強制調査に入った。

 就学支援金とは、高校の授業料を国が生徒に代わって学校に支給する仕組み。――まさに「授業料援助」だが、その制度を悪用、既に高校を卒業、受給資格のない3人の生徒が、「ウィッツ青山学園高校」(三重県)に入学、就学支援金を申請、計約90万円を受け取っていた。

 3人は、いずれも通信課程の四谷LETSキャンパスの生徒で、その入学案内には、就学支援金と各種奨学金制度が詳しく説明されており、「国から支援金を受け取ること」を目的としたビジネスモデルであることがわかる。

 顰蹙を買ったのは、実質的に「ウィッツ青山学園高校」を運営する「東理ホールディングス(HD)」の福村康廣社長が、制度の悪用を認めながら、「キャンパスは独立採算で学校運営とは無関係。不正受給は寝耳に水だった」と、開き直ったからである。

 「知らなかった」では済まされないのはもちろんだが、福村社長の弁は、次の二つの点からも批判されなければならない。

 第一に、今回、直接の容疑をかけられた四谷LETSキャンパスである。

 ここは、千代田区二番町のマンションの一室を「キャンパス」と称しているが、マンションは単なる連絡場所で、実質的な運営場所は千代田区飯田橋のペンシルビルにある。

 このビルの所有者が結婚相談所も運営しているU女史で、自身も不正受給した3人のなかのひとりであり、様々なイベントを仕掛ける過程で知り合った男女に入学を勧めていたことが、「お金が無くても卒業できる」「友達を紹介してください」といったパンフレットの言葉に伺える。

 このU女史は「東理HD」の幹部との人間関係のなかで四谷LETSキャンパスの仕事を始めており「東理HDの主導」を裏付けている。

 第二は、教育を事業の柱にしながら、「人を教えること」をビジネスにするのではなく、教育を「錬金術」にしてきた福村社長の姿勢である。

 それが、検察幹部を「支援金の趣旨を完全に逸脱した違法行為だ」と、怒らせる今回の捜査に繋がっている。

 熊本大学医学部を中退後、学習塾経営に少し手を染めた後、90年代半ばに携帯電話販売事業を成功させたうえで上京。上場している業績不振の学習塾をM&Aによって、次々に傘下に収めた。

 ただ、学習塾をチェーン展開で大きく伸ばすというより、主な“使途”は、「増資マフィア」の一員として、材料をつけて株価を上げるというマネーゲームで、以後は製造業にも手を伸ばし、その過程で手に入れたのが「東理HD」だった。

 福村社長は、かつて「東理HD」が行った新株予約権による資金調達で集めた80億円のうちの17億円をコンサルタント料として受け取り、特別背任容疑で逮捕された過去がある。

 結果は無罪判決だったが、捜査当局の認定は「増資マフィア」であり、それが、今回、特捜部が再度、目をつけた原因のひとつだろう。

 そして、不正受給そのものは今日的事件であり、着手する意味も価値もあるのだが、わざわざ特捜部が捜査着手したからには、事件構図のなかに政界を察知しているのかも知れない。

 伊賀市に特区制度を利用して「ウィッツ青山学園高校」を設立したのは森本一氏である。

 同氏は、「ウイン」という学習塾を初めて本格的に上場させた人物だが、その「ウイン」をM&Aで傘下に収めたのが福村社長である。

 森本氏は、同じ塾経営出身の下村博文前文科相の有力な後援者として知られているが、森本=福村=下村の三角関係に何かしらの“問題”はないのか。

 特捜部の永田町への踏み込みが“タブー化”した昨今、「どうせバッジまでは届かず手、中途半端に終わるのではないか?」と見るムキが大方だが、喩えは不遜ながら、ここは大穴一発!――「さすがは特捜!」と世間を唸らせる捜査を“期待”したいのだが、果たして…。【申】










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