2019年11月12日配信「京都市と契約して所属芸人にステマツィートをさせた吉本興業の『税金喰いビジネス』」<事件>

 

 

 「京都最高――みんなで京都を盛り上げましょう!! 京都を愛する人なら誰でも京都市を応援できるんです! 詳しくはここから!」
 
 こんなツイートをしたのは、「吉本興業」のお笑い芸人で兄弟コンビの「ミキ」である。
 
 イケメンの弟・亜生に不細工ないじられキャラの兄・昴生――。若い女性を中心に人気急上昇のミキだが、兄弟で4回のツイートをしただけで100万円の報酬が支払われたというので論義を呼んだ。
 
 ひとつは、いかに多くのフォロワーが存在していたとしても、4回で100万円はあまりに法外。しかも吉本は、京都市と18年9月3日〜18年10月14日までの期間、京都国際映画祭や京都市の重要施策のために420万円で委託契約を結んでおり、ツイートはその一環。つまり税金である。一体、ツイート4回にどれだけの効果があったのか。
 
 もうひとつは、広告であることを明示しないステルスマーケティングではないかというもの。情報発信力のある芸能人などを利用したステマは、それを受け取った人を惑わせ、広告と知らずに誘引させるとして、禁じられている。
 
 京都市は「♯京都市盛り上げ隊」といったハッシュタグがついていることを理由に、「ステマではない」と主張したが疑わしさは否めない。
 
 また京都市は、ミキだけでなく俳優などにも進出している木村祐一のツイートにも50万円を支払っていた。
 
 昨年3月の京都市が定めた「伝統産業の日」をPRするために、木村は和服姿で登場して「着物で乾杯@北野天満宮」と投稿。この業務委託契約は216万円。これもステマ批判があったのに加え、「50万円の税金を支払うだけの価値があったとは思えない」という市民の声が上がった。
 
 行政べったりは、最近の「吉本戦略」である。
 
 今夏の「吉本興業」は、カラテカ入江の仲介による「闇営業」が発覚、ワイドショーを独占する騒動となったことがある。
 
 その際、本誌は<所属芸人の闇営業より深刻な「吉本興業」と「クールジャパン機構」との怪しい関係>(9月6日配信)と題し、吉本が官民ファンドの「クールジャパン機構」から122億円もの大金をせしめていることをお伝えした。
 
 海外へ向けての日本文化の発信というコンセプトはいいのだが、運営があまりにズサンで、18年3月期に当期損失37億円、累積赤字97億円を計上、経営刷新を余儀なくされた。
 
 ここに最も食い込んでいるのが吉本で、アジア向けコンテンツ制作に10億円、大阪城のコンテンツ発信事業に12億円、沖縄を拠点に教育コンテンツを発信する事業に最大100億円の委託を「クールジャパン機構」から受けている。
 
 同機構の惨状を思えば、食い込んでいるというより食い散らかしているという表現の方が当たっている。
 
 役所狙いはそれだけではない。
 
 47都道府県に吉本芸人を送り込み、「あなたの町に“住みます”プロジェクト」を実行しているのはよく知られている。
 
「定住させることによる心のインフラ作り」がキャッチフレーズで、これまでに百数十名が定住したが、ここでの地域活性事業が、吉本のビジネスにつながる。
 
 また、官公庁とタイアップした取り組みは、法務省の「社会を明るくする運動」への協力、「もっと欲しい法務省」の動画制作、国土交通省の「建設業における女性活躍応援キャンペーン」への協力、消費者庁の「消費者月間PR動画」の制作、観光庁の「スポーツ観光モニターツアー」への参加など数多い。
 
 吉本は、09年、株式の公開買付で非上場化を実現、暴力団との関係遮断を宣言した。
 
 その実証として売れっ子芸人・島田紳助のクビを切ったのだが、以降、大崎洋会長は、政治に傾斜。橋下徹、松井一郎といった政治家への個人的パイプを太くするとともに、政府の各種委員会委員を務め、吉本のイメージアップを図るとともに、政府や自治体への食い込みに躍起となった。
 
 京都市とは、京都国際映画祭の運営委託を受けて関係を深め、冒頭のようなツイートで100万円、50万円といった法外な報酬の確保に繋げている。
 
 暴力団の次は政界、政府、自治体という変わり身の早さはさすがだが、京都市の芸人を通じた仕掛けが、来年2月の京都市長選で4選を狙う門川大作市長の「多選批判を封じて圧勝しようとする門川市長の宣伝に繋がっている」という指摘もある。
 
 また、闇営業騒動やチュートリアル・徳井義実の脱税事件に見られるように、芸人は破天荒が“性”で、簡単に秩序の側、正論の側に回れないという“宿命”もある。
 
 それを踏まえたうえでの行政への擦り寄りと税金喰い!――“お笑い王国”の安易な行政との一体化を、泉下の先達たちはどう思っているであろうか。【寅】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年11月9日配信<0510archives>「稀代の仕事師・許永中氏の自叙伝出版に合わせたように晩節を汚す元住友銀行・國重惇史氏の“悲劇”!!」<事件>


 「日本一の仕事師」という異名を取ったこともある許永中の自叙伝『海峡に立つ 泥と血の我が半生』(小学館)が、8月28日に上梓され、好調な売れ行きを見せている。
 
 コーポレートガバナンス(企業統治)とコンプラインス(法令遵守)を重視する世相は、企業社会からグレーゾーンの反社会的勢力を排除したが、建前ばかりの清廉な経営からは人間臭いドラマは生まれず、許が体現した貧困と差別から己の才覚と腕力でのし上がっていく過程は、読者を魅了する。
 
 「イトマン」という老舗商社の内紛にかこつけて、伊藤寿永光というもう1人の事件屋を表に立て、暴力団社会との接点が色濃い自分は裏に回り、「イトマン」から「伊藤プロジェクト」に3000億円を流し込み、そのメインバンクの旧住友銀行にまで駆け上がろうとする姿には、戦慄すべき凄みがある。
 
 イトマン社長と担当専務、西武百貨店幹部と絵画担当課長、「住銀の帝王」と呼ばれた磯田一郎会長とその娘、画廊フィクサー・福本邦雄と竹下登の女婿…。
 
 いずれも許と伊藤が“手玉”に取った。
 
 ふたりとも、頭の回転の早さと弁舌の巧みさは抜群で、相手の望むものを与えて取り込む籠絡のテクニックを持ち、誰もが、気が付くと2人の術中に嵌まっていた。
 
「型に嵌まる」と抜け出すのは容易ではないし、当事者にとっては地獄である。
 
 だが、経済ドラマの読み手、観客としてはこれほど面白い世界はない。
 
 バブル期の物語が、暴力団を含むグレーゾーン領域を活写するものとして人気が高いのは、「白」と「黒」にハッキリ分けた平成の中期以降、人間ドラマが面白みのない法律と弁護士に奪われるようになったからだ。
 
 許の自叙伝は、仕事師にならざるを得なかった男の一代記だが、その発売直後の8月30日、イトマン事件で許に対峙した男のフェイスブック(FB)が、驚愕の内容で関係者の注目を集めた。
 
「僕は完治しない難病に罹患しています。今は車椅子ですが、寝たきりになる前に過去を懺悔して、いつか天国に昇りたいです」
 
 こんな書き出しで始まる文書を書いたのは、現在、都下の老人施設で療養生活を送る國重惇史である。
 
 昭和20年生まれで学年は許のひとつ上。だが、経歴は真逆で東大経済学部を卒業して住友銀行に入行、旧大蔵省を担当するMOF担として名を売り、取締役東京支配人を経て子会社副社長。その後、三木谷浩史に乞われて「樂天」に転じ、「樂天証券」、「樂天銀行」など金融部門を統括した。
 
 住銀エリートが、「イトマン」の異常事態に気付いたのは、約1兆3000億円の資産のうち約6000億円が固定化、金利負担が重くのしかかっていたからで、90年3月、「バブルを謳歌している日常の裏で、恐ろしい出来事が起きている」という直感のもと、「イトマン」に関し、詳細なメモを取り始める。
 
 そこから始まった戦いは、大蔵省銀行局長への内部告発となり、その文書がメディアに流出したことでイトマン事件が周知のものとなる。
 
 國重は、日経新聞記者などの協力を得て、住銀に防御体制を敷くとともに、事件化への道筋をつけた。
 
 その過程を綴った膨大なメモをもとに、16年10月に著わしたのが『住友銀行秘史』(講談社)である。
 
 同書は13万部を超えるベストセラーとなったが、「秘史」は住銀関係者にとっては、文字通り“秘す”べきものであり、國重は住銀のみならず金融界での立ち位置を失った。
 
 ただ、それは樂天を退職後、東証2部に上場する「リミックスポイント」の社長に就任した頃から始まっていた。
 
 樂天退任は数々の女性スキャンダルが発覚した結果だったし、「リミックスポイント」は金融界では評判の良くない松浦大助グループと目されていた。
 
 パーキンソン病に似た難病に罹患、リミックス社を退任してからは、松浦グループに面倒を見てもらう状況だったが、病気の進行は体の自由を完全に奪い、一方で過去の女性との金銭トラブルは解決せず、それがリミックス株で行なった不正行為の数々をFBで暴露するという開き直りにつながった。
 
 俺の口を塞ぎたければ、俺の面倒を見ろー−。國重の気持ちを代弁すれば、こんなところだろうか。
 
 許の健在を示す自叙伝の出版と國重の零落を物語るFBでの告発。――イトマン事件から27年が経過、同時代を生きた2人は、さながらドラマのような好対照を見せている。(文中敬称略)【寅】

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年11月8日配信「東京仙人島minimini情報」

「どこの道府県警でもそうだが、監察の役目は警察官の犯罪や不正を摘発することではなく、いかにしてその犯罪を隠蔽するかにある。とりわけ保安や暴犯担当の長い刑事は女や博打や組筋とのつきあいで身を持ちくずすことが多く、定年まで勤めあげる刑事はほかの部署に比べて圧倒的に少ない」(『悪果』・黒川博行)

 

……………………………
 
<社会>
 
★「冤罪確実!」…湖東記念病院で男性患者の人工呼吸器を外して死亡させたとして殺人罪で服役後、3月に再審開始が決定した西山美香さんの再審公判で、検察側が有罪立証を断念。
 
◆「利権争奪マラソン」東京→札幌?→福島?→東京?→札幌――マラソン&競歩会場めぐって魑魅魍魎たちが暗闘中。
 
★「やりもやったり7億円」…警視庁新宿署が日本マクドナルド財務税務IR部統括マネージャー・西町崇容疑者を業務上横領容疑で再逮捕。
 
◆「他人を呪わば穴ふたつ?」富士本淳・ユニバーサルエンターテインメント社長に4350万ドル違法送金疑惑で株主代表訴訟。
 
★「アヤ付き五輪!」小池百合子都知事と会談したジョン・コーツ国際オリンピック委員会調整委員長が東京五輪のマラソンと競歩の札幌移転案を撤回する可能性はないと明言。
 
◆「色ボケ警察」北海道警函館西署の美人巡査が都合7人の警察官と集団不倫。
 
★「被害総額20億円超」…元国会議員を広告塔にした仮装通貨詐欺の被害者11人が提訴。
 
◆「幕引き!」…不渡り発生で「馬ヶ島売却騒動」が遂に終結。
 
★「罪つくり これでもか これでもかと 貶める」森友学園詐欺事件公判で検察側が籠池夫妻にそれぞれ懲役7年を求刑。
 
◆「1本50万円」…京都市をPRするステマ疑惑で所属芸人を“加害者”にした「吉本興業」に批判噴出。
 
★「隠蔽は不治の病」…日本郵便・芝郵便局神田郵便局内で料金別納制度を悪用した5・4億円横領事件発生も公表せず。
 
◆「世も末」『特殊詐欺 捕らえてみれば ウチの会社の社員なり』――受け子役の神奈川県警交通機動隊所属警察官が逮捕。
 
 
<政治>
 
★「正直大臣」…「地盤の衆院福岡5区を川崎市とか、北九州とか、田川じゃなくて、品の良さが買われたかどうか知らないけど、そこで当選をさせて頂いた」――麻生財務相が原田義昭前環境相のパーティーで久々の咆哮。
 
★「身の丈辞任!」「身の丈に合わせて受験すればいい」――生田文科相が大学入学共通テストに導入される予定だった民間試験の実施を延期すると発表。
 
★「台風大臣!」「私が雨男だから台風が3つもきた」――河野防衛相の政治資金パーティで自衛隊派遣を自慢の巻。
 
◆「在任1ヶ月余、ローヤルゼリーに続く香典でアウト!」…相次ぐ公選法違反疑惑で菅原一秀経産相が辞任、後任に梶山弘志元地方創生相。
 
「“反省”は9回目!」安倍首相「任命責任は私にあります」「責任は取りません」と解釈すべし。
 
◆「目指せ、宇宙人党」鳩山由紀夫元首相が新党「共和党」の結党に向けた準備会が発足。
 
◆「投票率20・8%」…参院埼玉選挙区補欠選挙前埼玉県知事で無所属新人の上田清司氏が当選。
 
★「文春砲で2人目の辞任!」…7月の参院で当選した妻の案里女史の選挙運動でウグイス嬢に違法な報酬払った疑惑で河井克行法務大臣が辞任。
 
◆「メンツ丸潰れ」小池都知事の抵抗虚しく東京五輪のマラソン、競歩の札幌での開催が決定。
 
 
<企業>
 
◆「ノジマ銀行?」「ノジマ」が経営再建中の「スルガ銀行」の創業家らが所有する全株式の買取を決定。
 
★「地銀の次はネット銀行」「SBIHD」「ジャパンネットバンク」に触手の噂。
 
◆「端緒はリクナビ事件」「Cookie」について公正取引委員会が利用者の同意なく収集して利用すれば独占禁止法違反になる恐れがあるとして規制する方向で検討
 
★「配線ミス」…台湾の交通部鉄路管理局が脱線事故を起こした車両を納入した「住友商事」に約6億1100万台湾元(約21億8700万円)の損害賠償を請求。
 
 
<海外>
 
◆「時期早尚で〜」米・フエィスブックが仮装通貨「リブラ」の発行を延期。
 
★「ホンマ?」…「世界はより安全になった」――トランプ大統領がイスラム国のバクダディ最高指導者殺害を自画自賛。
 
◆「四年ぶりの左派政権」…アルゼンチン大統領選で野党のアルベルト・フェルナンデス元首相が現職のマクリ氏を破って初当選。
 
★「7月以来3度目」米連邦準備制度理事会は連邦公開市場委員会が政策金利を0・25%引き下げ、年1・5〜1・75%にすると決定した。
 
◆「どこかの国とはエライ違い?」…韓国検察が長餮桔〜の妻に続いて義弟を逮捕。
 
 
<訃報>
 
❁漫画家・植木金矢さん。行年97。 
 
吉田博美・自民党前参院幹事長。行年70。
  
❁女優・八千草薫さん。行年88.
 
緒方貞子・元国連難民高等弁務官。行年92。
 
❁俳人・金久美智子さん。行年89。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年11月7日配信「週刊0510のおススメBOOKS」

 

 

 


2019年11月4日配信「週刊0510のおススメ舞台」

 

 


2019年11月2日配信<0510archives>「企業保育でも活躍した学者政商・竹中平蔵氏に改めて問われる“罪”!」<政治>


貧乏エビス(Wikipedia)

 

「経済犯罪の巣窟」と指摘されていた企業保育の助成事業に東京地検特捜部のメスが入り、川崎大資被告らが逮捕・起訴された。
 
 改姓・改名前の塩田大介時代から「カネのためなら違法を問わず、使える人脈は何でも使う」といったタイプの人物だけに、「保育所落ちた、日本死ね!」のメールから始まったアベノミクスの目玉事業は、年間に1000億円以上も投じられながら、当初は児童育成協会の職員10数名が、申請書類をチェックするだけの大甘体制だっただけに、川崎被告にとっては格好の詐欺の舞台だった。
 
 事件化は制度を見直す良い機会となったが、この制度設計に政府の産業競争力会議(現・未来投資会議)が関わり、メンバ−の竹中平蔵氏が会長を務める「パソナ」が事業の中核を担ったことは、あまり指摘されていない。
 
 制度説明会は、16年度から全国で開催され、その多くを「パソナ」が受注した。
 
 また、「パソナ」は児童育成協会から委託を受け、保育所の指導・監督業務を行なっており、その委託料は6億9000万円(18年度)にのぼる。
 
 一方で子会社の「パソナフォスター」は、18カ所の企業主導型保育所を運営している。
 
 監督するものが運営する!――二律背反が批判されるのは当然だし、「なぜパソナなのか」と、問われた時、制度設計に竹中氏が関わったことが指摘されるのも当然だが、竹中氏はそれを臆面もなくやる人として“認知”されている。
 
「いかがなものか」ではあるが違法ではない。
 
「我田引水」をやるから竹中氏なのであり、だから「学者政商」と呼ばれる。
 
 公的インフラ運営の民営化についてもそうである。
 
 産業競争力会議で、空港6件、下水道6件、有料道路1件、水道6件などの民営化を数値目標として提案。その流れのなかで、18年、浜松市は全国で初めて下水道を民営化したが、それを請け負った「浜松ウォーターシンフォニー」には「オリックス」が出資。同社の社外取締役は竹中氏である。
 
 小泉純一郎内閣で金融相など主要閣僚を歴任。その勢いで、一度、参院議員となるが、小泉退陣に合わせて政界を引退、学究の道に戻って、慶応大学教授を経て、現在、東洋大学教授。その一方で産業競争力会議のほか「国家戦略特区」の政府委員を務めている。
 
 これは、特定の地区において規制を緩和、特定業者の参入を認めて支援する会議だが、ここでも「パソナ」「オリックス」が有利に特区参入を果たしている。
 
 まさしく「学者政商」の名に恥じない活躍ぶりだが、「いかがなものか!」で批判がとどまっていたのは、グローバリズムと新自由主義が、竹中氏の信念に基づくものであり、そこから導き出される「規制緩和と構造改革は、日本の成長に欠かせない」という認識が、国民にもあったからだ。
 
 それは、「自民党をぶっ壊す」と公言した小泉氏が、05年9月の郵政選挙の際、郵政民営化の「踏み絵」を踏ませ、反対の議員には「守旧派」のレッテルを張って刺客を送り込み、「既得権益を守ろうとする守旧派は日本のためにならない」と、国民に刷り込んだためでもある。
 
 しかし、今、竹中氏が推進した規制緩和と構造改革が、「成長どころか日本の不況を深刻にした」という批判が起きている。
 
「長引く不況は、平成とほぼ時期を同じくしてデフレが進行していたため」という認識が、経済界で共通のものとなっている。
 
 デフレは需要が不足して供給が過多の際に発生する。
 
 需要を増やすためには、正規雇用を増やして賃金を上げ、規制を強化して新規参入を阻み、料金の下落を防ぐなど、政府の権限を活用して供給サイドを絞り、需要を喚起すべきなのに、竹中路線は派遣の拡大やタクシーの規制緩和による料金と賃金の暴落など、デフレを進行させるものばかりだった、という批判である。
 
 自由競争は過当競争となって料金を引き下げる。参入障壁の撤廃は外資の乱入によって値引き競争となる。規制緩和は新規参入の業者を増やして過当競争を生む。――根っからの新自由主義者の竹中氏は、この混乱が、切磋琢磨となって日本の成長に繋がるという信念を持つのだが、デフレ下に行なわれたこうした施策は、ひとにぎりの成功者が総取りするという二極化を生み、大多数の国民の収入は上がらず、需要には繋がらないというデフレスパイラルを生んだ。
 
「学者政商」は、多くの国民を不幸にして“身内”を富ませているだけではないのか!――今やこうした批判が、“貧乏エビス”さながらの竹中氏に向けられているのだが、それに対する同氏の説得力ある回答は、未だない。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年11月1日配信「週刊0510のおススメBOOKS」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年10月31日配信<0510archives>「月刊『Hanada』で復活を果たした山口敬之氏の暴論と限界」<事件>


 
(伊藤詩織著・文藝春秋)


 

 

 颯爽とデビュー、確固とした地位を築いていた言論人の“転落”は、目にしたくないものである。


 元TBSテレビのワシントン支局長だった山口敬之氏が、退社後にフリーとなり、2016年5月、『総理』(幻冬舎)を著した時、「迫真のリアリティをもって描く政権中枢の人間ドラマ」という惹句がピッタリの内容で、安倍晋三首相をはじめとする政権中枢への食い込みに、読者は驚嘆した。

 が、そこからの“転落”は早かった。

 1年後の17年5月、「山口氏にレイプされた」と、ジャーナリストの伊藤詩織さん(28)が記者会見を開き、顔を出して告発した。

 それまで山口氏は、報道番組などに頻繁に登場、政権擁護発言をするジャーナリストとして知られていたが、一切、表には出なくなった。

 同氏がマスメディアから忌避されたのは、「レイプ疑惑の主」だったからではない。

 詩織さん(告発当初は姓を名乗らなかった)の訴えを警視庁は受理して捜査、山口氏を送検したものの、検察の結論は嫌疑不十分で不起訴処分だった。

 記者会見は、詩織さんの検察審査会への申し立てを理由とするものだったが、この時、山口氏がメディアに対して、真摯な対応をしていれば、「山口バッシング」は起きなかっただろう。

 だが、同氏は「私は被疑者でも容疑者でもない」と強調、「間違った記述があれば、法的措置も辞さない」という強気のコメントは、取材者たちを鼻白ませた。

 要は、メディアを味方に付けることができなかった。

 詩織さんの検察審査会への申し立ては、4ヶ月後の17年9月、「不起訴相当」の議決となって認められなかった。

 詩織さんは納得できず、翌月『ブラックボックス』(文藝春秋)を著して、告発を続けた。

 それを受けて、山口氏は初めて反論に出た。

 保守派の言論雑誌で「親安倍路線」の『月刊Hanada』(12月号)で、「私を訴えた伊藤詩織さんへ」を、同じ路線の『月刊Will』(12月号)で「安倍総理の“どす黒い孤独”」を、それぞれ寄稿した。

 これまではメディアの記者、報道局、編集部などとのやりとりだけだったが、自分の思いを新たに表明すると同時に、“ジャーナリスト復帰宣言”ともいうべき記事だった。

 しかし、両作とも高い評価は受けられなかった。

 

 「詩織さんへ」と題する記事は、検察の「不起訴」と検察審査会での「不起訴相当」をもって自己弁護する内容で、「合意なくホテルに連れ込み、セックスに及んだこと」への道義的倫理的な反省はまったくなく、読者に不快感を残した。


 安倍首相への応援歌となった記事は相変わらずだったが、切り込みも分析も不十分で、政界と官邸から距離を置かれた?ジャーナリストの悲哀を感じさせた。

 「やはり『臨時国会冒頭』しか、(安倍首相の)解散の選択肢はなかったのである」と、最後にまとめた記事を誰が興味をもって読むだろうか。

 11月25日発売の『月刊Hanada』(1月号)は、さらに悲哀を感じさせる内容だった。

 「伊藤詩織問題 独占スクープ第2弾」として「記者を名乗る活動家 金平茂紀(TBS報道特集キャスター)と望月衣塑子の正体」と題し、自分に向けられた批判に対して反論しているのだが、罵詈雑言の類で、およそ読者の共感は得られないし、不快感ばかりが残る記事だ。

 冒頭、「取材依頼がなく、意見も聞かないから2人は記者ではない」というのだが、金平氏も望月氏も記者会見やインタビューでの発言であり、山口氏に取材依頼をして確認すべき内容ではない。

 なにより、山口氏は公式コメンを出したり、記事を発表しているのだから、それをもとに論評ないし、記者会見やインタビューで発言するのは認められる行為である。

 挙げ句、「金平という男は、気に入らない政治家を貶めるためなら、記者としての基本動作も放棄し、同僚や部下を平気で裏切り、自分だけは生き残ろうとする唾棄すべき人物である」と、言い切っている。

 この名誉毀損以外の何物でもない文章を執筆するにあたり、山口氏は金平氏に取材依頼をしたのだろうか。

 細かく書き連ねても仕方があるまい。

 

 何ら反省することなく、向かってきた勢力はすべて敵とみなして噛み付く!――レイプ疑惑は、刑事事件としては不起訴でも、そう疑われるような行為があったことをまず反省、そのうえで被害者やそれを報じようとするメディアにどう対応するかを山口氏は、真摯に考えるべきだろう。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年10月30日配信「週刊0510の特選レース」<週間レース社提供>

 

 


2019年10月29日配信「関西電力事件で役立たずが明らかになった検察OBを日本の企業社会はいつまで重用するのか?」<事件>

 

 

 

 政府は、10月18日、会社法の改正を閣議決定、今国会で法案を成立させる方針。目的は上場企業のガバナンス(統治)を強化することで、そのうちのひとつが社外取締役設置の義務化である。
 
 既に、東京証券取引所がコーポレート・ガバナンスコードの設置により、経営から独立した2名以上の社外取締役の設置を求めており、現在約98%が社外取締役を置いているが、法制化でより強化される。
 
 この社外取締役と同時に、「就任前5年間、会社と関係のなかったもの」という規定のある社外監査役も、会社から独立した存在として、厳格な監査が期待されている。
 
 ガバナンスとコンプライアンス(法令遵守)の強化は、今や企業社会では当然と受け止められており、社外取締役、社外監査役の重要性は増しているのだが、一方で適任者は少なく、経営陣の友人知人、シンパの評論家やジャーナリスト、監督官庁OBなどを雇うと、中立性が疑われる。
 
 そこで重宝されるのが検察官OB(ヤメ検)である。
 
 法律の専門家としての見識に加え、企業社会の監視役として粉飾決算、金融・証券犯罪、脱税などに目を光らせてきた実績がある。
 
 つまり“座り”が良く、反論しにくい。
 
 それが「形だけのもの」であったのを示したのが、関西電力事件だった。
 
 森山栄治元高浜町助役から3億2000万円の工作資金を20人の経営幹部が受け取っていたことを突き止めていた社内調査委員会の小林敬委員長は、「個人の問題ではなく、会社の体質」として不問に付した。
 
 関電コンプライアンス委員会の委員でもある小林氏は、元大阪地検検事正で関電との関係は社外監査役を務めた土肥孝治元検事総長との関係によるものである。
 
 土肥氏らの監査役会は、小林委員長の「報告書」で原発マネーの還流を知りながら、「報告書は妥当」として、取締役会への報告も公表もしなかった。
 
 土肥氏は、今年6月、社外監査役を退任するが、後を受け継いだのは佐々木茂夫元大阪高検検事長。――つまり関西検察OBたちは、経営体制のチェック役ではなく守護神なのである。
 
 関電は、10月9日、その甘い社内調査報告書を見直すために、第三者委員会を立ち上げたが、委員長に就いたのは但木敬一元検事総長である。
 
 土肥氏の後輩ながら東京検察OB。ラインが違うとはいえ「先輩の失敗」に踏み込むような精神は持ち合わせておらず、但木氏もまた「検察一体の原則」のなかで生きてきた。
 
 結局、第三者委員会も人選と費用は関電が拠出するのだから中立性は形だけ。関電にとっては、12月中をメドとした報告書が公表される頃には、人々の記憶が薄れ、“穏当な糾弾”となっていることを期待している。
 
 つまり、ヤメ検は使い勝手がいいのである。
 
 社外取締役、社外監査役、コンプライアンス委員会委員など、企業社会に「法的・倫理的な監視」が求められるようになり、その格好の人材供給先がヤメ検となった。
 
 それも、ひとり当たりの就任会社数が多く、とてもまともに経営チェックなどできない。
 
 社外取締役や社外監査役に就いている検察OBリスト(17年3月末)によれば、2〜5社の就任は当たり前。あまりに数が多いので高検検事長以上に限っても、次のようなOBたちが顔を並べている。
 
樋渡利秋元検事総長(ホンダ、トーヨーカネツ、野村證券、鹿児島銀行)、◇大林宏元検事総長(三菱電機、大和証券、日本たばこ産業、新日鐵住金)、◇但木敬一元検事総長(日本生命保険、大和証券グループ本社、ミロク情報サービス、イオン)、◇頃安健司元検事長(東海旅客鉄道、古河電気工業)、◇勝丸充啓元検事長(大陽日酸、シマノ)◇河村博元検事長(石井鉄工所、旭硝子)……。
 
 いうまでもないことだが、これでもほんの一部である。
 
 これに元検事正や各地検の部長、副部長などの幹部で退職したヤメ検を加えればその人数は星の数。いかに彼らが上場企業を“浸食”しているかがわかる。
 
 建前では、彼らの雇用はガバナンス強化のため。それを政府も東証などは、制度化で後押しする。
 
 だが、現実には「関電社内調査報告書」のような代物を作成する際の“権威付け”であり、それを外部に批判させない“監視役”であり、捜査・調査機関が乗り出した際の“ガード役”である。
 
 ガバナンスとコンプライアンス強化のためのシステムが、ヤメ検によって“骨抜き”にされているという現状と、それによって生ずる矛楯をどう解消するか。――論義すべき段階に入っているのではあるまいか。【辰】

 

 

 

 

 

 

 

 


 



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