2019年4月13日配信「留学生が1400人も所在不明!――渦中の東京福祉大を“裏支配”する中島恒雄元理事長の罪」<事件>

東京福祉大池袋キャンパス
(☚Wikipedia)

 

 

 コンビニや飲食店を支えている東南アジアを中心とする留学生の実態を、図らずも表面化させたのが、東京福祉大留学生大量失踪事件だった

 正確には、失踪ではなく所在不明。同大は、都内や名古屋市などにキャンパスがあり約8000人が在学。教員も教室も不足して「銭湯の2階が教室」といった劣悪な環境が既に報じられている。

 そうなるのも当然で、在校生のうち留学生が6割超の5133名(18年5月時点)で、そのうち8割超の4208名が、日本語が不自由で大学入学資格を満たさない非正規の学生で占められており、同校では、「研究生」と呼んでいた。

 旅費や当面の生活費などを借金して来日する留学生が大半だから認められた週28時間のアルバイトでは、年間60〜70万円の学費を支払うことができないのは当然で、2カ所、3カ所と掛け持ちするうち、学校にも行かなくなって所在不明のあげく除籍。大学側は「与り知らぬこと」という立場だが、失踪=所在不明を黙認するビジネスモデルだった。

 この種の留学生を食い物にする教育機関は、過去に例がないわけではないが、東京福祉大のデタラメぶりは、創立者の強制猥褻容疑での逮捕がきっかけで表面化した。

 創立者は中島恒雄元理事長(71)で、学習院大を卒業後、30代で専門学校を設立して理事長に就任。経営の才に恵まれ、学校法人の専門領域を広げて、2000年、群馬県伊勢崎市に東京福祉大を開学した。

 専門学校に大学、社会福祉法人での老人ホーム経営と、事業の幅を広げ、「気鋭の福祉教育者で実践家」と、高く評価されるようになっていたが、08年、地位も名誉も一気に失う強制猥褻事件を引き起こし、逮捕・起訴された。

 それも、容疑対象が5人で6件という悪質さで執行猶予もつかず2年の実刑判決を受けて服役。学校教育法第9条では「禁固刑以上の刑に処せられた者は、校長又は教員になることはできない」とされており、実質的には引退しなくてはならない。

 ところが中島氏は、服役中にも手紙などで指示、出所の翌日には学校に来て、新たな経営方針を与えるなど復帰を果たした。

 もちろん対外的に許されることではなく、「(中島氏は経営に)いっさい関わっていません」と、同大のホームページでわざわざ「宣言」していた。

 「校歌の歌詞に自分の名前を入れることでも分かるように、超ワンマンでセクハラ・パワハラは日常茶飯な人。でも、でも表には立てないので、危うい権力を維持するためには、カネで子飼いを増やし、権力を固めるしかない。もともとカネ儲け主義の人だったが、10年7月の出所後は、それに拍車がかかった」(東京福祉大関係者)

 「初年度30億、4年で120億円になるわけだよ。なぜ、それをやらんの!」――11年9月、10数人の学校幹部が出席して開かれた会議で檄を飛ばす中島氏の音声データが残されているが、終始、中島氏のひとり舞台という有様で、その「裏支配」が同校を歪めた。

 文部科学省は、東京福祉大及び運営する学校法人「茶屋四郎次郎記念学園」のそうした実態をある程度、把握していた事件以降、「中島排除」を指導し、何度も私学助成金を減額。17年度には交付された4億3000万円の助成金を18年度は50%減額している。

 だが、思い切ったメスを入れることもなく、これまで「中島支配」を許しており、「1400名所在不明」が大きく報じられた3月26日、ようやく文科省は東京入国管理局と連携して、王子キャンパスなどに実地調査に入った。

 カネとポストで「裏支配」を継続するために留学生を食い物にしてきた中島元理事長はもちろん、御身大事と同氏をのさばらせてきた理事長や学長、顧問といった経営陣、黙認してきた文科省などの責任も合わせて問うべきだろう。【寅】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年4月11日配信「4度目の再逮捕!――ルノー・日産アライアンスから切られたレバシリ商人・ゴーン被告の無残」

 
ゴーン前日産会長
(☚wikipedia)

 

 ブラジルで生まれ、レバノンで育ち、高等教育を受けたのはフランス――3つの国籍を持つカルロス・ゴーン被告は、コスモポリタンでありグローバル経済人だが、その逞しい商魂は、「レバシリ商人のもの」(商社幹部)と指摘されている。

 「レバシリ」とは、かつて大シリアとして同じ国家だったレバノンとシリアのこと。DNAにビジネスマインドが刷り込まれたタフネゴシエーターを輩出、ゴーン被告はその代表のような存在である。

 フランスでエリートを養成するグランゼコールのパリ国立高等鉱業学校を卒業、ミシュラン、ルノーとフランスの大手企業でキャリアを重ねてきたが、商魂はレバシリであり、そこはゴーン被告の後を受け継いでルノー会長となった貴族出身のドミニク・スナール氏とは違う。

 在仏ジャーナリストによれば、「ルノーは早い段階でゴーン切り」を決めていたという。

  「日産は、ゴーン逮捕の直後にゴーンを解任。それに対してルノーは、今年1月24日、ようやく会長退任に追い込みました。『推定無罪の原則を貫いた』といった報道があるけど、それは違う。ゴーンの反撃を恐れ、時間をかけて準備していただけです」(同)

 市場主義への反発を心に秘める純粋なフランス人にとって、ゴーン被告はやはり「ブラジル生まれのレバノン人」なでのであり、「同化」は認めていない。

 ゴーン被告は、東京地検特捜部と「日産」が合体した“国策捜査”により、4月4日、「オマーンルート」で再逮捕された。

 日産代理店経営者のスへイル・バウワン氏からカネを借り、その謝礼に約1500万ドル(約17億円・当時以下同)を報奨金名目で渡し、そのなかから約500万ドル(約5億6000万円)を自分の実質口座にバックさせたというもの。

 一旦保釈した人間を再逮捕するのは異例だが、もうひとつの特別背任の「サウジアラビアルート」が、やはり日産代理店経営者のハリド・ジュハリ氏に、個人的投資損失の信用保証をしてもらった見返りに、報奨金名目で約1470万ドル(約13億円)を渡したという容疑だったが、ゴーン被告が直接の利益を得ていないという“弱さ”があった。

 それを補完するためには「オマーンルート」は欠かせなかったが、「最悪でも在宅起訴」と踏んでいたゴーン被告と弁護団は苛立った。

 ゴーン被告も、前日の仏メディアのインタビューで、「私は自身の権利を守らなければならない」として、仏政府への救済を訴えた。

 だが、仏政府も政府が大株主の「ルノー」も冷淡。ルメール経済・財務相は「推定無罪が原則で、外交上の保護を受ける」といいながらも「ルノーの過去に何があったか。透明性が求められる」とし、「ルノー」は、同じ「オマーンルート」に疑惑を抱き、ゴーン被告はバウワン氏のルノー代理店に数億円を不正支出させた疑いがあるとして、仏検察当局に通報している。

 ルノー・日産アライアンスは、完全にゴーン被告を切った。

 両社の取締役も外れ、ゴーン被告の公判での肩書は、「無職の元経営者」となる。

 日仏の検察当局が、合同で捜査するわけではないが、「ゴーンの罪を暴く」という意味では共通の目標を持っており、捜査協力体制が敷かれよう。

 繰り返すが、「ゴーン逮捕」は、「日産」を「ルノー」に渡したくない日産役員と官邸=経産省の思惑に乗った地検特捜部による国策捜査だった。

 これに対して「雇用のために日産を傘下に置く」という方針だったマクロン政権が反発、反撃姿勢を取ったことで、ゴーン被告を守るかと思いきや、そうすることなくあっさりと見捨てた。

 そこには、「黄色いベスト運動」など二極化のなかで急落する支持率を高めるために、ゴーン被告のような強欲な経営者は排除、対立より協調を重視して、アライアンス効果を高めたいという思惑があった。

 フランスに完全に同化していないことを意識するゴーン被告は、逮捕容疑の年間報酬の過少申告も、報奨金名目の支払いも、弁護士に確認させ、役員会などを通し、合法であることに気を配ったハズである。

 冒頭の商社幹部氏によれば、世界のビジネス界の3大タフネゴシエーターは、ユダヤに華僑にレバシリだという。

 タフではあるが、国の庇護をあまり受けないために、「カネと法」に強いこだわりを持っており、法は犯さない。

 そのカベを特捜部は、「日産」との司法取引で乗り越え、今、フランスとの捜査共助のなかで容疑を固めようとしている。

 世界の自動車産業にその名を轟かせたゴーン被告は、無残にも日仏両国の一致した思惑の前で逮捕され、また3カ国の国籍を持つがゆえに、「最終的には誰も本気で助けない⁉」という“悲哀”を味合わされている。【午】

 

 

 

 

 

 

 


2019年4月2日配信「大物官僚OBを役員に迎えながら募集の大半が虚偽で金融登録を取り消された『エーアイトラスト』の暗闇部分」<事件>


 (☚エーアイトラスト社HP)

 

 「公共工事には、大物官僚OBの力でいくらでも食い込むことができる」――
そう思わせたいのが露骨にわかる役員構成だったのが、ソーシャルレンディング(SL)業界で初の金融商品取引業の取消処分を受けた「エーアイトラスト」(東京都港区)である。

 

 財務省、防衛省、国交省などのOBが、6人も取締役、監査役に就いており、ホームページの役員紹介には出身官庁を掲載、紹介文には、「公的機関との協調融資など、より安全性の高い商品の開発に努めております」と、「官僚OBの力」が朗々と記されていた。

 

 だが、二度の行政処分を受けたうえ、3月8日、金融登録を取り消されてしまったのを機に、「看板」となっていたOB達は、蜘蛛の子を散らすように遁走。現在の役員欄には、松本卓也代表の名が、ポツンとひとり残されている。

 

 それにしても、関東財務局が記載した「行政処分理由」には、「虚偽」「不正」といった言葉が満載。厳しい処分を受けるのも当然、といった内容だった。

 

 一つ目は、「ファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をする行為」である。

 

 投資家から15億7000万円の出資を受けたファンドは、「本借入人A」が、元受け会社を経由して、「新東名高速道路高取山トンネル西工事」などを受注したとしていたが、「本借入人Aが発注を受けたような事実はない」という。

 

 二つ目は、「ファンドの勧誘に関して誤解を生ぜしめるべき表示」をしたことである。

 

 燃料卸売事業者ローンファンドと称し、投資家から6億2000万円の出資を受けているが、「30億円をボトムラインとして継続成長が計画されている売上規模」という部分が、「これらは何ら根拠のないもの」と、断定している。

 

 三つめは、「ファンド資金が流出している状況」である。

 

 貸付金が、資金使途通りに使用されているかどうかの確認を行っていなかったため、募集総額52億円のうち、少なくとも15億8000万円が、「各ファンドの案件紹介等に中心的な役割を果たしていた山本幸雄取締役(既に退任)が、実質的に支配する法人に流出していた」という。

 

 これでも簡略化しており、「処分理由」にはもっと呆れた運用実態が記されており、いかに登録取消が厳しいものとはいえ、しょせんは行政処分。虚偽は騙しであり、「エーアイトラスト」は自社SLの「トラストファンディング」を通じ、投資家を騙して資金を集めていた以上、刑事責任を問われて然るべきだろう。

 

 だが、「エーアイトラスト」は、告訴・告発の先手を打つように、損害賠償請求訴訟を起こし、「責任は借入先にある」と主張。明確にしたのは、「投資家に対して行った募集が虚偽だったのは、借入人から虚偽の報告を受けていたからだ」という立場である。

 

 例えば、「処分理由」で説明された「本借入人A」は、元請会社と共謀のうえ、「架空発注を基に、当社を工事現場に案内したり、工事請負書や債権譲渡承諾書等に、それぞれ判を押すなどして該当ファンド等から貸付金を詐取しております」という。

 

 つまり、書類を偽造して受注を装い、「エーアイトラスト」を騙していたというのである。

 

 騙したのは、元請けか、借入人か、ファンドを組成した「エーアイトラスト」か?――争っているのは民事だが、かくも責任逃れするようでは、刑事司法の手を入れて解明するしかあるまい。

 

 その際、キーマンというべきは、業績不振の上場企業に取りつき、「資本のハイエナ」、「増資マフィア」の一員と目される山本幸雄氏である。

 

 各界に人脈がある山本氏が描いたシナリオだとすれば、「処分理由」で説明された高速道路などの公共工事だけでなく、「エーアイトラスト」が辺野古基地建設など沖縄にも手を出し、沖縄に支店を開設した理由もわかる。

 

 山本氏に流れた16億円近い法外なカネの行方も含め、「エーアイトラスト」のSL事業の徹底解明が必要であろう。【戌】

 

 

 

 

 

 

 


2019年3月30日配信<0510archives>「突然の海外逃亡で仮想通貨『GACKTコイン』の事件化は必至⁉」<事件>

 
内助の功が裏目?

 

 仮想通貨SPINDLE(スピンドル)の企画会社「BLACK STAR&CO」が英国に拠点を移すことになった。

 「GACKTコイン」の名で知られ、今年1月のプレセールなどで100億円ともいわれる資金を集めただけに、窓口の移転は投資家たちの目には「海外逃亡」と映るのは無理もなく、その実態に関心を寄せる金融庁、国税庁、警察など関係当局とともに、「このまま黙って逃がさない」という声が広がっている。

 円やドルといった法定通貨に頼らない仮想通貨の世界では、ブロックチェーンを使って事業を起こそうとする業者は、提供するシステムのなかで通用するトークンと呼ばれる仮想通貨の引換証を発行、それを投資家に購入してもらって開発資金を調達する。

 スピンドルは、仮想通貨ヘッジファンドに投資するプラットフォームを構築、そこへの投資によってトークン購入者が、より豊かになる経済圏を目指している。

 そうした構想は、スピンドルの事業計画書であるホワイトペーパー(WP)に書かれているのだが、仮想通貨やブロックチェーンの基礎知識がなければ、読み解くのは容易ではない。

 そこを解消するのが、歌手にして俳優で格付けランキングの上位に位置するGACKT。大城ガクトという本名でスピンドルプロジェクトに参加、自らのブログやセミナーで仮想通貨がもたらすトークンエコノミーの世界を喧伝、そこにおけるスピンドルの優位性を語ってスピンドル人気を高めた。

 プロジェクトが立ち上がってプライベートプレセールスが始まったのが昨年10月。ホワイトペーパーの発表が12月末で、プレセールの終了が今年1月末と、ICO(トークンを発行しての資金調達でイニシャル・コイン・オファリングの略)環境は絶好だった。

 仮想通貨の人気が沸騰、指標通貨のビットコインで200万円、イーサリアムで15万円を突破、年初からの高騰率は20倍にも達し、「億り人」と呼ばれる投資に成功した億万長者が続出していた。

 スピンドルは、プロジェクトを立ち上げた「BLACK STAR&CO」の宇田修一前社長に金融商品取引法上の問題があるとして行政処分を受けた過去があるなどマイナス情報も流されたが、仮想通貨の熱狂はそれを押し返し、プレセール終了の段階で100億円近い資金(実際は法定通貨の円ではなく、ビットコインとイーサリアムで集められた)を調達している。
 
 だが、1月26日に発覚の約580億円が流出したコインチェック事件は、投資家に冷水を浴びせ、ビットコインを始め、軒並み3分の1程度にまで暴落。その後も低迷を続けており、露わになった仮想通貨交換業者の大甘管理は、金融庁の反省を促して、業界を厳しく取り締まる方針に切り替えた。

 仮想通貨バブルの真っ最中のICOだったスピンドル人気もガタ落ち、5月に海外5カ所で上場したが、一時的に1SPD(スピンドルの通貨単位)=20円近くの値はつけたものの、その後、暴落。今や1SPD=1円前後。プレセール時の価格が30円前後だったので、投資家は大きな損失を抱えている。

 そんな怒りが投資家の間に渦巻いている時に、GACKTと親しい野田聖子総務相の事務所が、金融庁の役人を呼びつけ、「BLACK STAR&CO」の幹部を同席させたうえで圧力をかけていた事実が判明。野田総務相の夫・文信氏に、スピンドル販売疑惑があると「週刊文春」などが報じ、スキャンダルにまみれた。
 
 圧力を受けた金融庁は硬化。逆に、仮想通貨交換業の登録なしにスピンドルを売却していたことを問題視、集団的投資スキームの疑いもあるとして調査を進めている。

 国税庁は販売報酬を含めたスピンドル売却の際の納税に関心を寄せており、警察は代理店を使った販売先に反社会的勢力がいなかったどうかを調査中である。

 そして投資家は暴落に怒り、関係官庁は「うまく行き過ぎたICOに違法性がないか」をチェックしているそんな折も折、投資家の利便性を考えず、日本オフィスを閉鎖し、本社を海外に移すのは敵前逃亡に等しい。

 しかも、8月9日にニュースリリースし、お盆の最中の15日には移転するという“逃げ足”の早さには呆れるしかない。

 この海外移転が、濡れ手に粟の100億円を仲間内で分け合うつもりの“準備”なら許されないのは言うまでもなかろう。【午】

 

 

 

 

 

 


2019年3月26日配信「日大利権OBグループ会社が断末魔に利用した40億円偽造為替手形の使い道」<事件>


甘い話にはご用心なのだが
(☚wikipedia)

 

 昨年末、2枚の偽造為替手形のコピーが市中に出回り、騒動となった。
 
 1枚は額面が40億円。振出日が平成30年7月25日で支払期日が31年1月25日。振出人は東京・板橋に本社を置く「エヌ・エス・ティー」で、引受人は東京・中野の西武信用金庫である。
 
 もう1枚は、額面が11億円。振出人、引受人とも同じだが、振出日は平成30年7月31日で支払期日が31年1月31日である。
 
 こんな巨額の為替手形が流通するわけはなく、問い合わせに対し、西武信金は「(エヌ・エス・ティーとの)取引関係はなく、為替手形に押印、記名したような事実はない」と回答。つまり偽造為替手形である。
 
 「エヌ・エス・ティー」の前代表取締役は、過去に倒産歴のある安藤季賢氏。日大問題が騒がしかった昨年春、「日大利権人脈のひとり」として報じられたことがあり、『週刊文春』(18年6月14日号)は、「日大病院建設の裏ガネ工作を行なった人物」として紹介した。
 
 その安藤氏の傘下企業には「エヌ・エス・ティー」の他、同住所に本拠を置く「NU校友会蝓廚ある。
 「NU」とはNIPPON UNIVERSITYの略で安藤氏は、日大生産工学部OBで田中英寿・日大理事長の右腕といわれる石井進常務理事と昵懇だが、日大の役職についているわけではなく、「NU校友会」は石井−安藤ラインの利権会社だった。
 
 その「NU校友会」は、日大アメフト部の危険タックルに端を発した日大問題が噴出している最中の6月20日、関連3社とともに、負債総額7億7000万円で破産した。
 
 3社は、「MFCジャパン」、「スペースパワーホールディングスジャパン」、「一般社団法人都市未来研究所」である。
 
 安藤氏のグループ企業が、断末魔の状況で、手形を降り出したのが破産を免れた「エヌ・エス・ティー」なのだろう。
 
 今後、手形偽造での事件化は避けられないのだが、その利用の一端が、警視庁捜査2課に提出された告訴・告発状で明らかになった。
 
 ただ、訴状は手形詐欺事件ではなく、「アジアコインオークション」を経営する石川雄太氏が、リクルート株購入のために投じた50億円を詐取された、という詐欺事件として告訴・告発がなされている。
 
 事件は複雑な過程を経ており、その分、被告の数も多く8名に達する。
 
 被告8名が組んで石川氏を騙したというより、3段階で詐取した印象が強く、まず、50億円をリクルート株に変える段階で2億円が保証料として詐取され、次に、その購入がうまくいかなかったとして一度は50億円が返却されるものの、50億円を運用して55億円にするという名目でコンサルタント料の1億円が引かれた。
 
 その運用先が「エヌ・エス・ティー」で、同社は、6月15日、見せガネのような形で石川氏の口座に、まず11億4230万円を振り込み、そのうえで次のような説明が石川氏に対してなされたという。
 
「『エヌ・エス・ティー』の実質的経営者は、被告訴人兼被告発人の安藤季賢(以下安藤)であること。安藤が50億円を管理しているため、『エヌ・エス・ティー』が振込名義人となっていること。55億円から上記送金額を控除した残額については、Y(本文実名)名義で、石川が代表を務める『EVONE GOLD』の銀行口座に3500万ドルを振込送金したとのことだった」(訴状)
 
 しかし、実際には送金されず、その代わりに7月25日、石川氏に差し入れられたのが、額面40億円の偽造為替手形だった。
 
 この50億円のそもそもの出し手が、旅行大手「HIS」とテーマパーク「ハウステンボス」澤田秀雄会長であることから、事件は大きく展開するのは必至。日大問題は不起訴で終結したが、リクルート株詐取事件が、解明されなかった日大利権人脈に伸びそうだ。【卯】

 

 

 

 

 

 

 


2019年3月19日配信「嗚呼、父子鷹!――いよいよ退任が避けられなくなった竹田JOC会長と息子のタニマチ依存体質」<事件>

 
棄権寸前?(Wikipedia)

 

 旧皇族の据わりの良さで日本オリンピック委員会(JOC)会長を10期18年も続けている竹田恒和氏に責任論が急浮上、6月の改選を待たずに退任しそうだ。

 実際、竹田氏は追い詰められている。

 2020年東京五輪招致の際、仏司法当局がパパ・マッサタ・ディアク氏の「隠し口座」と認定しているシンガポールの「ブラック・タイディングス社」の銀行口座に、日本の五輪招致委員会(招致決定後に解散)が180万ユーロ(約2億2000万円)を振り込んだ疑惑は、2年前に発覚している。

 だが、その後の仏司法当局の捜査で、事件はリュインベック予審判事の手で訴追手続きに入ることになり、竹田氏は昨年12月、事情聴取を受けた。

 同氏はこれを「捜査協力」といったニュアンスで説明したが、実際は、身柄を拘束されなかっただけで、容疑者となったのと同じである。

 この状態となれば、9割以上の確率で起訴される。

 従って、仏では予審判事の手に移れば閣僚など政府の重要ポストに就いていれば退任するのが一般的だ。

 しかも、追撃するように、シンガポールに口座を持つイアン・タン・トンタン氏が、「自分の口座は、実際はパパ・マッサタのもの」と、証言を変え、1月16日、偽証罪で有罪判決を受けた。

 パパ・マッサタ氏の父は、収賄座で仏に勾留されているラミン・ディアク氏。五輪招致委が、五輪で汚れたカネを票に替えるディアク父子の「隠し口座」に振り込んだことが、間接的に証明された。

 竹田氏の弁明は、「私は知らなかった」というもの。しかし、「知ろうとしなかった」というのが実態で、一連の招致活動を裏で仕切っていたのが「電通」で、さらに「電通」の“司令塔”が高橋治之元専務だという構図を考えれば、退任が秒読みに入ったと考えていい。

 仏司法当局やそこへの取材を進める英米のメディア、それにリュインベック予審判事から捜査共助を要請された東京地検特捜部が、関係者の事情聴取を始めるのは必至で、日本のメディアも追撃する。

 そうした攻勢に竹田氏が耐えられるはずもなく、「東京五輪に悪影響を与えたくない」という名目で、退任することになろう。

 それに、竹田JOC会長に居続けさせるほどの功績はない。

 01年、任期途中で前会長の八木祐四郎氏が急逝。後を受けて副会長の竹田氏が就任するが、それは2人のタニマチの意向だった。

 ひとりはJOC元会長で、戦後、困窮した竹田宮家を救うように品川の広大な敷地を購入、そこにプリンスホテルを建設した堤義明氏である。

 もうひとりは、竹田氏の兄と慶応幼稚舎の同級生で子供のころから竹田氏を知っていたという高橋氏。無給の名誉職だったJOC会長の給与を1500万円にしたのは、竹田氏の苦境を知っていたからだ。

 その苦境は、竹田氏の妻の実家が、不動産投資の失敗で破産状態になったことに起因している。

 小平市で「松見病院」を経営する義母の松見イク氏は種々の投資好きで知られ、それが嵩じてバブル崩壊により、病院を残してすべて失った。

 竹田氏がカネのかかる馬術に打ち込み、2度のオリンピックに出場、引退後もスポーツ界に関与できたのは、「松見家」の資力だった。

 だが、バブル崩壊で麻布の豪邸売却を余儀なくされると、代表を務める旅行代理店のエルティ―ケーライゼ・ビューロージャパンの経営も思わしくなく、JOC会長職で一息ついたのが実態だった。

 竹田氏だけではない。

 皇室評論家としてメディアに露出する機会の多い竹田恒泰氏は、今回の裏ガネ騒動の際、「周りによって来る人から距離を取るように教えてくれた父が、裏ガネに手を染めるわけがない」と、弁明しフォローしていたが、恒泰氏自身が危ないタニマチに支えられた人である。

 2年前、教育訓練をした企業に与えられる「中小企業緊急安定助成金」を詐取したとして、太陽光発電システムの「日本スマートハウジング」前山亜杜武代表が逮捕されたが、この前山氏が竹田氏とともに「日本を研究し、青少年を育成する」ことを目的とした「竹田研究会」のパートナーだった。

 また、恒泰氏は、06年、『語られなかった皇族たちの真実』を上梓、山本七平賞を受賞して文壇デビューを果たすが、そのころ事務所を置いていたのは、今井洋氏が代表を務める芝・大門の「ナスカジャパン」で、同社の役員にも就いていた。

 今井氏は、不動産業界では名の知れたブローカーで暴力団幹部とともに、真珠宮ビルの物件売却に絡んで逮捕されたこともある。

 親子揃ってタニマチ依存体質。――その正体が判明、五輪の役に立たないばかりは、むしろ悪影響を及ぼすのであれば、恒和氏にはJOC会長の職を辞し、恒泰氏には「竹田家の威光」を利用した言論活動を自粛してもらうしかない。【午】(2019・2/26)

 

 

 

 

 

 


2019年3月12日配信<0510archives>「『maneoマーケット』に対する厳しい業務改善命令でソーシャルレンディングの終焉」<事件>

葬儀委員長?を務める味形衛新社長(maneoHP)


 金融庁は、7月13日、証券取引等監視委員会からの勧告を受けて調べていた「maneoマーケット」(千代田区・瀧本憲治社長)に対し、8月13日を報告期限とする業務改善命令を出した。

 maneo社が行なっているのは、金融庁の説明では「ウェブサイトにおいて多数の事業会社を営業者とするファンドの取得勧誘(以下プラットフォーム事業という)」であり、一般ではソーシャルレンディングという。

 ソーシャルレンディングは、ここ数年で急増、2017年の市場規模は前年比2・5倍の1316億円だった。

 第二種金融商品取引業者であるmaneo社は、自前の国内最大ファンド事業を行なうとともに、ソーシャルレンディング業者にプラットフォームを貸して勧誘を行なっていた。

 今回、そのなかの「グリーンインフラレンディング」(GIL)において行なわれていた不正が発覚、maneo社は業務改善命令を受けたのだが、その内容は一般投資家の資金を預かる金融業者の資格が問われるものだった。

 第一に受けた命令は、「投資者保護上、問題のある業務運営について、責任の所在を明確にして発生原因を究明すること」である。

 GIL社のファンドへの出資者は3084名で貸付残高は約103億円。ファンドの取得勧誘の際に謳われていたのは、「太陽光発電やバイオマス発電など再生可能エネルギー事業の開発資金」だった。

 だが、実態はGIL社の親会社「JCサービス」が、自社の資金繰りなどに、好き勝手に使っていた。

 その象徴が、「JCサービス」の子会社で将来は運用部門を担う「JC証券」に貸し付けられた2億5000万円のうち5000万円が、細野豪志元環境相に融資されていたことである。

 当然、ファンドの説明には入っていないわけで、「ファンド資金は区分管理されず、ほぼひとつの口座で入出金している状態」(金融庁の発表文)だったという。“横流し”も当然だ。

 maneo社は、GILを差配する中久保正己・JCサービス代表に、ファンド資金の使途と管理運営を一任してきた。

 金融庁は、それが第一の命令につながる行為を生み出したとして、二番目に「金融商品取引業者として必要な営業者の選定・管理に関する業務運営態勢を再構築すること」と、命じている。

 さらに三番目は、「全ての顧客に適切な説明を実施し、説明結果を報告すること」であり、四番目は、「顧客からの問い合わせに誠実かつ適切に対応し、説明責任を果たすこと」。そして五番目が、「一」から「四」までの対応について、8月13日と期限を区切った報告を求めているのだが、どう考えても、期限までに最も重要な(一)の虚偽報告を改善できそうにない。

 ソーシャルレンディング業者が説明する。

 「人気の秘密は10%内外という配当の高さにあります。それだけの配当を払って成り立つ ビジネスがあれば、もっといい条件で銀行が貸してくれます。結果的にGILは、ファンド資金を他のファンドの配当に回す自転車操業に陥った。それがソーシャルレンディングの宿命です。『虚偽勧誘』を止めれば、『maneoマーケット』は回っていきません」

 ソーシャルレンディングのなかでもmaneo社は、「業界のパイオニア、業界最大」を謳うだけに1000億円を超えて群を抜く規模で、GILだけでなく反社会的勢力ともズブズブの「LCレンディング」など幾つもの業者がmaneo社のプラットフォームを利用している。

 金融庁が突き付けた業務改善命令は、maneo社が08年から築き上げたソーシャルレンディングというビジネスモデルを崩壊させるものだった。

 急遽、瀧本憲治社長が代表を降り、新社長を据えたものの、その衝撃を乗り越える簡便な方法があるハズもなく、maneo社の選択肢は顧客離れの果ての「緩慢な死」か、諦めての「突然死(倒産)」のどちらかといわれている。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年3月5日配信「日大利権OBグループ会社が断末魔に利用した40億円偽造為替手形の使い道」<事件>

甘い話にはご用心なのだが
(☚wikipedia)

 

 

 昨年末、2枚の偽造為替手形のコピーが市中に出回り、騒動となった。


 1枚は額面が40億円。振出日が平成30年7月25日で支払期日が31年1月25日。振出人は東京・板橋に本社を置く「エヌ・エス・ティー」で、引受人は東京・中野の西武信用金庫である。

 もう1枚は、額面が11億円。振出人、引受人とも同じだが、振出日は平成30年7月31日で支払期日が31年1月31日である。

 こんな巨額の為替手形が流通するわけはなく、問い合わせに対し、西武信金は「(エヌ・エス・ティーとの)取引関係はなく、為替手形に押印、記名したような事実はない」と回答。つまり偽造為替手形である。

 「エヌ・エス・ティー」の前代表取締役は、過去に倒産歴のある安藤季賢氏。日大問題が騒がしかった昨年春、「日大利権人脈のひとり」として報じられたことがあり、『週刊文春』(18年6月14日号)は、「日大病院建設の裏ガネ工作を行なった人物」として紹介した。

 その安藤氏の傘下企業には「エヌ・エス・ティー」の他、同住所に本拠を置く「NU校友会蝓廚ある。
「NU」とはNIPPON UNIVERSITYの略で安藤氏は、日大生産工学部OBで田中英寿・日大理事長の右腕といわれる石井進常務理事と昵懇だが、日大の役職についているわけではなく、「NU校友会」は石井−安藤ラインの利権会社だった。

 その「NU校友会」は、日大アメフト部の危険タックルに端を発した日大問題が噴出している最中の6月20日、関連3社とともに、負債総額7億7000万円で破産した。

 3社は、「MFCジャパン」、「スペースパワーホールディングスジャパン」、「一般社団法人都市未来研究所」である。

 安藤氏のグループ企業が、断末魔の状況で、手形を降り出したのが破産を免れた「エヌ・エス・ティー」なのだろう。

 今後、手形偽造での事件化は避けられないのだが、その利用の一端が、警視庁捜査2課に提出された告訴・告発状で明らかになった。

 ただ、訴状は手形詐欺事件ではなく、「アジアコインオークション」を経営する石川雄太氏が、リクルート株購入のために投じた50億円を詐取された、という詐欺事件として告訴・告発がなされている。

 事件は複雑な過程を経ており、その分、被告の数も多く8名に達する。

 被告8名が組んで石川氏を騙したというより、3段階で詐取した印象が強く、まず、50億円をリクルート株に変える段階で2億円が保証料として詐取され、次に、その購入がうまくいかなかったとして一度は50億円が返却されるものの、50億円を運用して55億円にするという名目でコンサルタント料の1億円が引かれた。

 その運用先が「エヌ・エス・ティー」で、同社は、6月15日、見せガネのような形で石川氏の口座に、まず11億4230万円を振り込み、そのうえで次のような説明が石川氏に対してなされたという。

 「『エヌ・エス・ティー』の実質的経営者は、被告訴人兼被告発人の安藤季賢(以下安藤)であること。安藤が50億円を管理しているため、『エヌ・エス・ティー』が振込名義人となっていること。55億円から上記送金額を控除した残額については、Y(本文実名)名義で、石川が代表を務める『EVONE GOLD』の銀行口座に3500万ドルを振込送金したとのことだった」(訴状)

 しかし、実際には送金されず、その代わりに7月25日、石川氏に差し入れられたのが、額面40億円の偽造為替手形だった。

 この50億円のそもそもの出し手が、旅行大手「HIS」とテーマパーク「ハウステンボス」澤田秀雄会長であることから、事件は大きく展開するのは必至。日大問題は不起訴で終結したが、リクルート株詐取事件が、解明されなかった日大利権人脈に伸びそうだ。【卯】

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年2月13日配信「ゴーンを保釈させるか否かーー検察と外圧の狭間で右顧左眄する裁判所」<事件>

 
ヒラメ砦(Wikipedia)


 保釈を認めたり、認めなかったり、カルロス・ゴーン被告の処遇を巡って、裁判所が右顧左眄を重ねている。

 保釈を認めなかったのは、検察と一体となって「秩序を守る」という原則から外れ、裁判所が自立しているようにも見えるが、一方で今年に入って、長期勾留に応じているのは、元の原則に戻ったようにも思える。

 裁判所の“揺らぎ”を検証してみよう。

 昨年12月20日、東京地裁が東京地検の勾留期間延長を却下した時、大慌てした特捜部は、前倒しでゴーン被告を特別背任容疑で再逮捕した。

 これは「異例の事態」――「特捜案件」で、東京地裁が勾留延長を却下するなど過去に例がない。

 そこで、「人質司法」と呼ばれているような容疑者・被告が否認する案件については、「何ヵ月でも拘置所を出さない」という“イジメ”のような刑事手続きを止め、法律に沿った裁判所に変化する兆しではないかと、受け止められた。

 ゴーン被告が世界的に著名な経営者で、ブラジル、レバノン、フランスに国籍を持つエスタブリッシュメントにしてコスモポリタンだけに、「弁護士を立ち会わせずに取り調べ、長期勾留して自白を迫る刑事手続きは人権を無視している」と、海外メディアは批判。裁判所は、その“外圧”に屈したようにも思われた。

 検察幹部も、「海外から批判されて裁判所は日和った」と、批判した。

 しかし、本来は保釈は被告人の権利。刑事訴訟法第89条で、保釈の請求があれば、証拠の隠滅、逃亡の恐れがない場合、原則として保釈を認めなければならない。

 ところが、特捜案件の場合、「お上」に逆らって否認している限り、保釈を認めず、何百日も留め置き、事実上の懲罰を加えるのが“原則”だった。

 もっともらしい理由だが、「証拠隠滅」と「逃亡」は、あくまで検察と裁判所の言い逃れに過ぎない。

 全国的に顔と名前が知られ、国会論戦やマスコミ報道で、どこにも逃れられるハズがなく、隠滅する証拠もないのに、「森友学園事件」で被告となった籠池夫妻を1年近くも勾留していたのは、その典型だろう。

 裁判所が特捜案件の被告を否認のまま閉じ込めておくのは100%に近く、被告の有罪率は99・9%に達する。

 特捜案件は、「検察と裁判所が一体となって裁く国家に対する犯罪」であり、無罪であってはならなかった。

 この“予定調和の世界”は、裁判所が検察に従属することによって成り立っている。

 裁判官は、外に対してほとんど情報発信することがない、いわば「ひきこもり族」である。

 ツイッターでつぶやいていたことを理由に懲戒処分を受けた岡口基一裁判官は、その理由をこう語っている。

 「秘密のベールに包まれていれば、権威は高まります。実際、20代で裁判官になっても一人前になるには時間がかかりますから、彼らの実力を知られたら困るわけです」

 また、『絶望の裁判所』(講談社現代新書)の著者の瀬木比呂志元裁判官は、裁判所の実態をこう切り捨てている。

 「日本の司法というあなたの前のステージは、ピラミッド型ヒエラルキーのキャリアシステムと、その奴隷であり、それに毒された裁判官たちによって、すっかり汚されてしまっている」

 そうした「物言う裁判官」の発言から浮かび上がってくるのは、なるべく自分で判断せず、過去の慣例に従っていれば、裁判所の権威は保たれ、最高裁の覚えもめでたいという究極の「事なかれ主義」である。

 だから、勾留する、しないの判断は検察に任せ、「人質司法」を容認した。

 が、その予定調和の世界が、ゴーンという「黒船」の登場で変わった。

 もともと、8年の有価証券報告書の虚偽記載を、5年と3年の2回に分けて最長で40日勾留。その間に特別背任など次の事件を固めるという検察の捜査手法が間違っていた。

 それを容認すれば、海外のメディアから批判され、それを日本のメディアが報じて権威が侵されるのが裁判所には耐えられなかった?ことが、昨年12月20日の勾留期間延長棄却の理由である。

 ただ、それで完全に検察から自立したわけではない。

 今年に入って、特別背任罪で起訴した後も、起訴後勾留を続け、弁護人の2度の保釈請求を却下している。

 「口裏合わせによる証拠隠滅」を疑い、保釈しないということだが、本当は、勾留理由の開示請求や、獄中で『日本経済新聞』のインタビューに応じ、日本の司法批判を続けるゴーン被告が許せない。

 それでは保つべき裁判所の権威が汚される。――それが、保釈を認めない理由だという。

 そもそも裁判所に守るべき権威はあるのか!――揺れ動く裁判所の判断は、逆に、その姑息な思いを内外に抱かせる結果となっている。【戌】

 

 

 

 

 

 

 

 


2019年2月5日配信「歌舞伎町銃撃、川崎発砲、大宮刺傷……暴力団による“内向きの事件”頻発の背景」<事件>

 
同類相食む?(☚wikipedia)

 

 

 暴力団が絡む殺傷事件が相次いでいる。

 1月21日午後6時半頃、東京・歌舞伎町のカラオケ店個室で、広域暴力団住吉会系向後睦会の阿部勝幹部(56)が、同じ住吉会系中村会の香山興宗元幹部(65)を射殺した。

 日本有数の繁華街、しかも暴力団の組事務所が密集している場所とあって、「暴力団同士の抗争か」という情報が流れ、一時は警察と地元組織が騒然としたが、「個人的なトラブル」ということで沈静化した。

 住吉会系組織の幹部が、こう解説してくれた。

 「阿部が長期服役中、香山氏が阿部の女に手を出し、クスリ漬けにしたのがトラブルの原因。話し合いはつかず、激高した阿部が、香山氏に数発の銃弾を撃ち込んだ。あまり表沙汰にはしたくないみっともない話だ」

 阿部容疑者は、現場からバイクに乗って逃走し、24日、指名手配された。

 その4日前の1月17日には、午後8時半頃、川崎市川崎区の路上で、広域暴力団稲川会系山川一家若頭補佐の大井司・大井組組長の車に乗っていた男女が、近付いてきた男に撃たれ、重傷を負った。

 運転手を務めていた組員(51)と、組長の姐さん(47)で、銃弾は組員の首、姐さんの肩に当たったものの、命に別状はなく、大井組長は無事だった。

 スーツに帽子、マスク姿の犯人はその場から逃走したが、捜査関係者は、こう推測する。

 「山川一家は稲川会の中核組織で、今も内堀和也組長が稲川会ナンバー2の理事長を務める。その分、組織内の主導権争いは激しく、内紛が絶えない。今回もその一環という説がある」

 その翌日の1月18日には、さいたま市大宮区の雑居ビルに置かれた住吉会系平塚一家の組事務所で、午後3時過ぎ、同じ組織に属する男が、51歳と49歳の組幹部を刃物で襲い、腹を刺して逃走した。

 大宮駅東口駅近くの繁華街。近くには学校などもあって騒然としたが、警察は防犯カメラの映像からすぐに平塚一家組員の柴田郁男容疑者(49)を逮捕。刺された組幹部の命に別状はなかった。

 立て続けに起こった3件の事件に共通しているのは、組織内のトラブルである。

 それも抗争につながる話ではなく、個人的な恨みの果ての殺傷事件の可能性が高く、少なくとも、暴力団以外の企業や組織、人物に“刃”が向かったものではない。

 暴力団担当刑事がいう。

 「一般社会に危害を加えれば、どれだけ激しい弾圧が待っているかを、暴力団幹部はよくわかっている。だから、手を出すことはない。その分、暴力団同士の争いが激しくなり、山口組のように分裂するが、抗争はただでさえシノギが厳しく弱っている組織を、さらに弱める。勢い、うっぷんは内部に向かい、組織内での近親憎悪的なトラブルが多い」

 暴力団への締め付けが、縄張り争いを含む抗争となり、その段階を過ぎて、抗争さえままならなくなると、持て余した暴力が、身内に向かうわけである。

 しかも、高齢化が目立つ。

 暴力団の中核が50代から60代になっているのを象徴するように、今回の事件は、被害者も加害者も“若い衆”にはほど遠い年齢ばかりである。

 暴力団構成員数は、2017年末で3万5000人を割った。――前年比5000人減。確実に絶滅に向かって進んでおり、頻発する身内の抗争は、その“断末魔ぶり”を映している。【丑】

 

 

 

 

 

 

 

 



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