独禁法改正法の成立でますます元気な公正取引委員会

 「米国流」の経済運営が破綻、市場原理主義が見直され、官僚が統制する国家管理型資本主義が復活するなか、それに抗するように公正取引委員会(公取委)が元気だ。
 音楽著作権を独占するJASRAC(日本音楽著作権協会)に「同業他社の参入を制限している」として、独禁法違反で排除命令を出し、トヨタホームに対しては「住宅ローン表示に偽りがある」として景品表示法で排除、弁当の値引き販売を禁じていたセブン・イレブンに対しては「優越的地位の濫用」として排除命令を下した。
 競争を阻害するものは、権益団体も日本を代表する大企業も許さないという姿勢は徹底しており、「日本の病理」とまで言われたゼネコン談合は、度重なる告発と巨額課徴金に音をあげて各地の組織が解散、役所の積算価格の100%近くで落札するという「予定調和の世界」は失われた。
 かつて「吠えない市場の番犬」とヤユされた公取委の変化は、小泉純一郎元首相が指名した竹島一彦氏の委員長就任(02年7月)と、竹島氏が各界に根回しした改正独禁法の施行(06年1月)の二つを契機としている。
 談合の事実を“密告”した業者には、刑事罰を課さないし課徴金も減免するという「課徴金減免制度」の導入は、「日本の風土に馴染まない」と言われたものだが、蓋を開けてみると、「密告業者」の第一号が三菱重工業で、今や談合やカルテルは、疑心暗鬼で機能しなくなっている。
 竹島公取委は手を緩めない。改正独禁法をさらに厳しくした独禁法改正法が、今国会を通過、来年1月に施行される。「密告業者」の普及で、「自主申告」という役所側の言葉が違和感なく受け入れられるようになった「課徴金減免制度」は、強化されて業者の「申告」をさらに促し、その一方で新規参入を阻止する私的独占や不公正な取引に対しては課徴金を導入、競争条件を整えることになった。
 昨年秋のリーマン・ブラザーズの倒産が招いた世界的な金融恐慌を機に、市場に重きを置いた新自由主義には逆風が吹き荒れ、政界引退を表明した小泉純一郎元首相は完全に過去の人となり、そのもとで「米国流」を推し進めた竹中平蔵元金融相は批判の矢面に立たされ、日本郵政に送り込まれた西川善文社長は、やはり構造改革派の宮内義彦オリックス会長とともに、袋叩きにあっている。
 唯一、その攻勢から逃れているのが竹島氏だが、それは競争が経済システムを活性化、官の過剰な介入や大手の独占は国力を弱めるという共通認識が各界の識者にあるためで、「市場の番犬」には元気でいてもらわなければ困るのである。【伯】

「中国系」の増資引き受けで株価が乱高下するラオックスの謎

 流通業界のなかでも最大の激戦区といわれる家電量販店の世界で、秋葉原を拠点にするラオックス(東証2部上場)は、ヤマダ電機やビックカメラといった大手の攻勢を受けて精彩を欠きっ放し。ここ数年は赤字に苦しんで店舗の撤退が相次いでおり、09年3月期決算は、66億円の営業損失を計上した。
 そのラオックスの株価が、6月末から急騰、最近は30円台が“定番”だったのに、アッという間にストップ高の連続で300円近くまで跳ね上がり、かと思えば、「高過ぎる」という別の思惑を生んで急落するという激しい値動きで、証券市場の注目を集めている。
 きっかけは、中国の家電量販店最大手である蘇寧電器と、在日華商の羅怡文氏が経営、日本最大の中華ショッピングモールの「上海新天地大阪店」を運営する日本観光免税(本社・東京都目黒区)が、6月25日、ラオックスとの「資本業務提携」を発表したことだった。来日した蘇寧電器の孫為民総裁は、記者会見で「国を超えた相乗効果を期待できる」と強調した。
 ラオックスは、7月24日、臨時株主総会を開き蘇寧電器と日本観光免税に第三者割当による新株と新株予約権の発行を決議する。それによりラオックスは19億円を調達するが、「中国系」の2社を合わせた株式数は50%を超え、流通業界では初めて「中国系」によるM&Aが成立する。
 株価急騰も理解できるが、気になるのは“落ち目”のラオックスとの「資本業務提携」に、どれだけの意味があるかということだ。
 「日本の流行商品を中国に紹介」、「蘇寧電器の開発した中国ブランドへの開発協力」などが、記者会見で相乗効果としてあげられたが、どれもありきたりのコメントで説得力を欠く。なにより19億円の資本参加が中途半端である。
 「赤字続きのラオックスに19億円では焼け石に水です。店舗の改装費ぐらいにしかならない。一方、『中国側』には有利発行で、1株12円で株が譲渡されるから、彼らは損をしない仕組みになっている。目当ては株価で、身のある提携にならないのではないか、という見方も出ています」(証券アナリスト)
 「中国系」のM&Aでは、日本の証券市場はパシフィックホールディングス(東京1部)で煮え湯を飲まされた。不動産ファンドのパシフィック社を、「中国資本が買収する」というアナウンスで株価は急騰、しかし結局、実現せずにパシフィック社は3月10日に倒産した。
 経済大国になった中国は、今後、日本企業のM&Aを活発に進めることになるが、現実性については、中国企業自身にその経験が少ないだけに難しく、M&Aの真贋は、ラオックスの行方を含めて厳しくチェックする必要があり、簡単に飛び乗って株を購入するのは避けた方がいい。【信】

窃盗罪で立件した「三菱UFJ証券個人情報流出事件」“被害額”は「65円のCD1枚」!?

 先月25日、三菱UFJ証券・システム部元部長代理が、同証券の全顧客148万人の個人情報を持ち出したことで逮捕されたが、その容疑はなんと「被害額CD1枚65円也の窃盗罪」であった。
 持ち出された顧客情報のうち、既に5万人分は32万8000円で名簿業者に売られていたにもかかわらず、なんともバランスを欠く逮捕理由には首を傾げざるを得ないが、一体どういうことなのか?
 「『情報』は刑法の定める『財物』には該たらないので、その情報の内容の如何を問わず罪には問えません。今回の場合、たまたま容疑者がコピーしたCDが会社所有のものだったことで辛うじて窃盗罪(10年以下の懲役または50万円以下の罰金)で立件できましたが、もし私物のCDにコピーされていれば万事休す。精々が不正アクセス禁止法(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)の適用で幕を引くことになったと思います」(捜査関係者)
 その言葉通り、過去の個人情報流出事件にあっても、発覚当初は大騒ぎするのに、結果は拍子抜けするような軽微な処分で幕が引かれている。
 たとえば、864万件もの個人情報が流出した大日本印刷事件(07年)は「窃盗容疑」で逮捕、460万件のソフトバンクBB事件(04年)は「不正アクセス禁止法違反」で書類送検、400万件のKDDI事件(06年)は「著作権法違反」で書類送検、51万件のジャパネットたかた事件(04年)は「背任容疑」で書類送検、03年のローソン事件(流出件数56万件)と05年の大阪信金事件(同57万件)にいたっては“お咎めなし”という甘い処分で済まされている。
 つまり、現行法では「どんなに重要な情報を盗んでも、情報自体の窃盗には該たらないので、周辺の法律をやりくりして立件しているのが実情です」(前出同)というわけだが、コンピューター万能の時代にあって、こんな間の抜けた話はNG!明らかに法律の不備なのは明々白々なのだが…。
 「国民生活を守るのが我々の本分である」との大義名分を掲げ、事ある毎に法律を改正、市民生活を窮屈にする!?ことにやたらと熱心な捜査当局らしからぬスローモーぶりは何故なのか。前出の捜査関係者がオフレコを条件に、その理由を解説してくれた。
 「結論からいえば“美味しくない”からですよ。ETCの搭載や3人乗り自転車なら天下りも確保できるし、業界からの見返りもありますが、情報流出では…ねぇ。不正アクセス禁止法で十分ですよ」(前出同)
 いやはや、冒頭の公式発言とは打って変った正直すぎるコメントには苦笑するしかないが、さすがは世界に誇るわれらが警察の巧みな“仕事”ぶりには脱帽である。【孝】

トランスデジタルの捜査が大詰めで注目される二人の「大物金融屋」

 昨年9月、民事再生法の適用を申請して倒産したトランスデジタルの周辺が騒がしくなっている。
 「警視庁の捜査が本格化、役員は連日のように事情聴取を受けている。株主を含めトランスデジタルの増資に関わった連中は、みんな戦々恐々だ」(取引先幹部)
 事件化必至の倒産劇だった。
 情報通信機器の販売会社として知られ、1989年にはジャスダックへの上場も果たしたトランスデジタルだが、90年代後半に入ると失速、ここ数年は、株式市場からの資本調達で細々と生き永らえてきた。
 問題となったのは、倒産直前の昨年7月11日に発表した新株予約権による資金調達。8月27日までに全予約権が行使され、「31億円を調達しました」と発表、ところがその翌日には小切手などで不渡りを出し、負債総額約26億円で倒産した。
 架空増資であったのは明白。新株予約権の譲渡先には金融屋がいて、経営陣は資金繰りのために新株予約権で「高利のカネ」に手を出し、調達資金はその返済に回ったうえに、仲介した増資ブローカーらによって“中抜き”された。
 経済事犯を担当する捜査2課が、倒産直後から情報収集に動いたのは当然ながら、この事件で興味深いのは、2人の「大物金融屋」が新株予約権を行使した大株主として登場したことだった。
 野呂周介と永本壹桂……。
 金融業界では、知らぬ者とてない大物である。株や不動産で「急ぎのカネ」が必要な時、二人には即断即決する度胸と資金力がある。ただ、その分、条件は厳しい。また、広域暴力団にそれなりに太いパイプを持ち、そうした自らの“属性”を自覚しているから、決して表に姿を現さない。
 ところが、トランスデジタルの増資では、名前を出してしまった。大株主として登場した野呂氏は、「株式に転換していなかった」として名簿を訂正したものの、後の祭り。自らのグループ企業名などで名乗りをあげた永本氏は、引くに引けないところまでトランスデジタルの資金調達に関与していた。
 業績不振の上場企業が、「資本のハイエナ」「増資マフィア」といわれる連中のテクニックによって資本を調達、架空増資、株価操縦、偽計取引などによって摘発されるのは珍しいことではない。だが、そこに資金を流し込む投資家や金融業者が摘発されることはない。「善意の第三者」と見なされるからだ。
 しかし、この種のマネーゲームが「犯罪の温床」である以上、“常連”の金融屋が「善意の第三者」であるハズがない。トランスデジタルにその突破口を見いだした警視庁は今、「二人の大物」の摘発も視野に入れた捜査を、急ピッチで進めている。【伯】

詐欺だという指摘もある「カーボンオフセット」を国土交通省が推進する怪しさ

 地球温暖化防止には二酸化炭素(CO2)削減が不可欠だとして、日常生活で出すCO2を途上国の省エネ事業などで埋め合わせるカーボンオフセットという仕組みがある。
 自家用車に乗っても、ホテルに泊まっても、とにかく何をしても、人間は生きている限りCO2を排出する。そこで、その排出量を金額に換算、それに見合う分を、例えば途上国の風力発電などに投じてもらう。ホテル1泊のCO2を100円と計算すれば、カーボン(炭素)を風力発電への100円投資でオフセット(相殺)する。
 自己満足の仕組みではあるが、「CO2削減のためなら何でもやる」という意識を持つ英国などでは、国をあげて取り組んでいる。
 もっとも批判する向きもある。世界的な環境NGOとして知られるFoE(フレンズ・オブ・ジ・アース)は、6月2日、「カーボンオフセットは、その小さな自己満足が、炭素排出プロジェクトへのゴーサインとなる詐欺のような仕組み」と、酷評した。
 確かに、今は流行らない「マイ箸ブーム」と同じで、「得られるのは自己満足だけ」といういかがわしさがある。
 ところが、官僚は目ざとい。
 『朝日新聞』は6月22日の夕刊社会面トップでこう報じた。
 「カーボンオフセットを身近な交通機関や旅行にも広めようと、国土交通省と財団が新たなシステムを立ち上げようと決めた」
 財団とは国交省が理事長や理事に多数のOBを送り込んでいる交通エコロジー・モビリティー財団。ここがオフセット取引の窓口となって、交通会社や旅行代理店などが旅行参加者などから集めたオフセット費用の払い込みを受け、途上国の事業に出資する。
 料金は、「国交省推奨」の算定方式などで計算され、例えば東京―大阪間は、一人当たり飛行機なら349円、鉄道なら73円、自家用車なら702円である。
 「環境への優しさ」が“売り”の『朝日新聞』は、当然のことながら全面賛成の論調で、FoEが指摘する「いかがわしき自己満足」に思いを馳せることもなければ、国交省の「天下り財団」が無駄な仕事を増やしていることへの論及もない。
 地球温暖化防止という誰にも反論できない“建前”を持ち出されると、モノがいえなくなるのがマスコミや有識者の“弱さ”だが、そこにいかがわしさが宿っているのが世の常である。
 今後も展開される地球温暖化防止キャンペーン……その裏で誰が稼いでいるかを、よく監視した方がいい。【礼】

「検事総長が自民党大物と仲が良いから民主党を狙う!?」という情報の真贋

 小沢事務所が天の声…。
 西松建設と民主党の小沢一郎前代表を巡る政治資金規正法違反事件で、6月19日、国沢幹雄前社長の公判が始まると、検察側は予想通り「冒頭陳述」で政治権力を利用した小沢氏の「天の声」を示唆、4件約123億円の受注につながったと指摘した。
 前代表の大久保隆規公設第一秘書の逮捕以来、「検察VS民主党」の戦いは尋常ではない。
 遅くとも9月までに実施される総選挙を控えて、「政界ルート」はすべて中断しているものの、総選挙後は、石井一副代表牧義夫代議士が関与した「郵便不正事件」の捜査を大阪地検特捜部は再開するし、西松建設事件は二階(俊博経済産業相)ルートとともに小沢前代表の税金問題が残っている。また、名古屋地検特捜部が捜査着手していた石井副代表や小沢氏の側近の山岡賢次代議士、前田雄吉代議士(民主党を離党)などが絡む「マルチ議連疑惑」も再開の可能性がある。
 なぜ検察は、ここまで民主党に挑戦的なのか。これまでは、「政治主導の官僚人事制度」の導入や「可視化法案」など捜査への政治介入など、「検察は民主党の“出しゃばり”を嫌った」と、言われていたが、ここにきて樋渡利秋検事総長自民党大物代議士との「親密な関係」が指摘されている。
 検察関係者が衝撃の事実を明かす。
 「西松建設事件では、その大物の息子が、九州地区の公共工事で『口利き』を約束、3000万円を取ったとして、東京地検特捜部の事情聴取を受けている。もちろん裏ガネ。政治資金規正法違反やあっせん収賄での立件が考えられるし、西松幹部を脅して『詐欺』でも摘発も可能だった。しかし、最初から特捜部はやる気がなかった。大物政治家と樋渡検事総長の関係は、有名な話だからね」
 この「息子」というのが札付きのワル。親父の威光を笠に着た「口利き」が“仕事”で、ベントレーやロールスロイスを乗り回し、「政治家二世の仲間」と派手に豪遊、過去に反社会的勢力とのつきあいなどで、何度もトラブルを起こしている。
 法務省勤務の長い「赤レンガ派」の樋渡総長は、予算や裁判員制度でこの大物の世話になることが多く、逆に大物は「バカ息子問題」の処理を頼むなど、「持ちつ持たれつ」の関係。さすがに今回は行状が目に余り、「永田町に本社を置くダミー会社の閉鎖と、営業活動の自粛」が、捜査中断の条件として息子に言い渡されたという。
 そんな関係にあるから、検察の民主党への姿勢は、余計に厳しいものとなり、民主党は逆に大反発。総選挙後は民主党が政権を取ることが予想されているだけに、両者の激突は、相当、激しいものになりそうだ。【伯】

サラ金、商工ローンが貸さなくなってヤミ金融の隆盛

 消費者金融や商工ローンが、顧客を開拓できないでいる。
 「金融庁の指導は厳しく、裁判所の判例も業者に不利なことばかり。まともに審査したら貸せないお客さんが大半で、貸さないのではなく、貸せないのです」
 大手消費者金融幹部がこう嘆くのも無理はない。消費者金融は、ブラックリストに載っている多重債務者以外は無担保融資に応じてきたし、商工ローンは保証人さえしっかりしていれば融資を阻むものはなく、両者とも回収には絶対の自信を持っていた。
 だが、過去、10年、20年と遡って過払い利息を請求され、その負担の重さと貸金業法改正による貸付条件の厳しさで、借りにきた顧客に貸す割合の成約率は、わずか30%にダウンした。
 優良顧客だけを相手にしているようでは、もはや消費者金融ではない。また、商工ローンは「最後の牙城」といわれたSFCGの倒産で、ビジネスモデルが壊れたといっていい。ただ問題は、消費者金融や商工ローンが業務を縮小するのと反比例する形で、認可されない金融業者(ヤミ金)が増えていることだ。
 ベテランの金融業者がいう。
 「いくらカネ貸しを厳しく取り締まったところで、高利でもいいからカネを貸してくれという人間がいなくなることはない。もし法律で規制すれば、貸す側は地下に潜るか表に出ない形で金利を取る。多重債務者は増え、回収は厳しくなり、暴力団と結び付くような業者が増える。決していいことではない」
 既に、萌芽は見え始めている。20%以上の金利は取れないからと、紹介料などさまざま名目で最初にピンはね、融資という形ではなく、出資という形にして法外な配当を受け取ることもある。要は、違法メニューが豊富になっただけで、借り手は厳しい条件を呑まされるケースが少なくない。
 もともと高金利に苦しむ多重債務者を救おうというクレサラ弁護団や、弱者救済代議士などの“善意”で始めたことではあるが、結局、既存の業者は過払い請求でビジネスモデルを壊されて経営危機を迎え、借り手はヤミ金融など高利のカネに走るようになった。
 今、儲かっているのは過払い請求を代行する「ハイエナ弁護士」で、これから儲かるのはヤミ金融業者という構図が透けて見える。
 貸金業法改正の仕上げは来年6月で、グレーゾーン金利は撤廃され、「借入上限は収入の三分の一まで」という総量規制が加わる。そうなるとヤミ金融はますます隆盛。締め付けるだけでいいのか、という問題を提起すべき時にきているのではなかろうか。【凛】

郵便不正利用事件、総選挙後に先送りされた「政界ルート」はいずれも民主党

 大阪地検特捜部が手がける「郵便不正事件」は、中央政界を見据えながら、順調に展開している。広告代理店の脱税と郵便法違反での摘発をきっかけに、郵便事業会社幹部や利用者側のベスト電器幹部などを逮捕、やがて厚労省の役人にも飛び火、中央政界に延びるのは時間の問題となった。
 検察がターゲットにしている政治家は明白だ。摘発された白山会の守田義国会長と20年来の仲で、業者寄りの国会質問を行った牧義夫代議士と、白山会の設立に尽力した倉沢邦夫代表が、秘書として一時、仕えていた石井一議員である。
 民主党副代表の要職にある石井氏は、厚労省の幹部に倉沢代表への対応を依頼したという「口利き報道」に立腹しており、「(倉沢は)20年以上も前に出入りしていただけ。また、口利きの電話をしたような事実もない!」と、声を荒げている。
 遅くとも9月までには総選挙が実施されるだけに、捜査は「政界ルート」を目前に中断、しばらくは地下に潜る。選挙に影響を与えてはならないからで、それを承知の石井氏は、「ここは強く出て、潔白をアピールすべき」と、計算している。
 ただ、注意すべきは、総選挙の結果、民主党がかなりの確率で野党から与党になることだ。そこで検察は、遠慮なく民主党に牙を剥いてくることが予想される。
 「民主党はキャリア官僚幹部に辞表を迫るなど、霞が関の秩序を壊そうとしています。取調室での可視化法案など、捜査手法にも注文をつけている。法務・検察にとっては面白くない相手で、野党であったがゆえに緩やかだった検察の追及が、今後、鋭くなるのは間違いありません」(法務省OB)
 そうなると「裾の汚れた政治家」が狙われるのは自明で、石井議員には今回の郵便不正事件だけでなく、「マルチ議連」の「健全なるネットワークビジネスを育てる議員連盟」を立ち上げた過去がある。
 名古屋地検特捜部が内偵していたマルチ議連問題では、マルチ商法の政治団体から政治献金を受けて国会質問をした前田雄吉代議士に対する「国会質問と政治献金」との関係解明が行われておらず、今後、捜査が復活、他の民主党議員(石井氏や山岡賢次代議士など)を巻き込む事件に発展する可能性がある。
 検察捜査は、時の政治権力に対する法務・検察幹部のスタンスによって決まる。小沢秘書逮捕で「国策捜査」の怖さを知った民主党だが、ターゲットになるのはむしろこれからだ。西松建設事件小沢ルートも水面下では継続、小沢側近の石井氏と小沢チルドレンの牧、前田の両氏が絡む疑惑には、総選挙後、なんらかの動きがあると考えた方がいい。【伯】

グッドウィルM&A脱税で100億円を稼いだ弱冠30歳、緋田将士とは何者ぞ?

 東京地検特捜部のエース班である直告1班が、西松建設事件の次に「グッドウィルM&A脱税」を手がけているのは、一瞬にして抜かれた383億円のカネの行方が興味深く、民主党の小沢一郎前代表を政治資金規正法違反で辞任に追い込めないなど失点続きの検察に、政界や暴力団につながる「宝の山」をもたらす可能性があるからだ。
 登場人物は少なく背景はシンプル。折口雅博氏が「日本一の派遣」を目指してクリスタルグループを買収、折口氏は883億円を用意したものの、M&Aに使われたのは500億円。残りの383億円は、公認会計士の中澤秀夫氏が経費込みで183億円、M&Aを仲介した極真空手の松井章圭館長と投資ファンド主宰者の緋田将士氏が、各100億円を受け取った。
 3人のなかで、ワールド創業者の畑崎広敏氏を初め関西の富裕層を顧客に抱える中澤、極真空手を率いる松井の両氏は、それなりに知名度はあるのだが、緋田(あけた)という珍しい姓を持つファンド主宰者はまったくの無名。年も30歳と若い。
 なぜ100億円の“余録”に預かったのか。
 「広島県呉市の出身。20歳の頃から港湾荷役などの人材派遣をやっていて、捌きのうまさと度胸の良さでクリスタルオーナーの(純一)さんに気に入られ、可愛がられた。林さんが会社売却を考えた時、旧知の松井館長に話を持って行って、グッドウィルによるM&Aが決まった。その功績が、莫大な配当につながった」(緋田氏の知人)
 沈着冷静で金融の知識もあるというが、M&Aが行われたのは06年10月で28歳の若さ。有頂天になるのも無理はなく、大物お笑い芸人Sに5000万円ものロールスロイスファントムをポンとプレゼントしたのは有名な話だし、その年に六本木で開いたクリスマスパーティーはバブルの絶頂を思わせる華やかさ。しかも友人知人を結集、07年春にかけて、UA(ユナイテッドアジア)グループと称する企業群を次々に設立した。
 マスコミには登場せず、緋田氏の名が「とてつもない資産を持つ若手実業家」として一部で知られるようになると、UAグループ各社の代表を降りるなど注意深いところを見せていた。だが、女優の飯島愛が急死すると、彼女が最後にかけていた実業(女性のためのコンドーム会社)の出資者として取り沙汰されるなど、目立つのは否めなかった。
 検察の興味は、「濡れ手に粟」の383億円を3人が浪費しただけではないということ。資金洗浄目的で海外ファンドに流れたカネは少なくなく、複数の政治家の名があがっているし、広域暴力団幹部への“上納”もあるという。
 果たして、緋田氏はどんな役割を担ったのか。…検察捜査は7月から本格化する。【仁】

TV各局はジャニーズに萎縮…「草事件」めぐるメディアの呆れた舞台裏!

 東京・赤坂の公園で全裸になったとして公然わいせつ容疑で逮捕され、不起訴(起訴猶予)となった人気アイドルグループSMAPの草剛さんが5月29日、フジテレビ系の「笑っていいとも!」で芸能活動復帰を果たした。バラエティー番組に似つかわしくない黒いジャケットにネクタイ姿。ややこわばった表情で頭を下げ、観客の大きな拍手を受けた。
 復帰の是非や時期について議論する気はない。一連の騒ぎで明らかになったのは日本のメディアの「平和」な風景だ。公然わいせつと言うと仰々しい感じはするが、要は酔っぱらいの悪ふざけレベル。都心とはいえ、午前3時の公園に「被害者らしい被害者」がいるとも思えない。
 にもかかわらず、朝日、毎日、読売の全国紙3紙は4月23日の逮捕を夕刊1面で報道。東京新聞にいたっては1面トップで伝えたが、5日後になって朝刊の看板記事である「こちら特報部」で“自己批判”。反省しないよりはマシだが、何とも締まらない。
 「外部から取材を受けると後づけで『社会的に影響力のある“公人”であることを考慮した』などと答えるのでしょうが、実際の現場でそんなことを考える余裕はありません。『騒がないより騒いでおいた方がいい』という程度で、逮捕や自宅の家宅捜索が妥当だったのかなど、社会部的な視点が欠如していると言われても仕方がない」(全国紙社会部記者)。
 つまるところ、新聞の社会面がテレビ化、2ちゃんねる化しているのが実情と言っても過言ではない体たらくなのである。
 また、報道に過剰反応して、横並びでCM放送の中止を決めたスポンサー企業も、メディアの“狂騒”が終わると、すぐに放送を再開。見事なまでに定見のなさを露呈した。
 それよりも、今回の騒動で浮き彫りになったのは、ジャニーズ事務所のように多くの人気タレントを抱える大手芸能事務所の「影響力」だ。一部女性誌で報じられたが、関係者によると、同事務所ともっとも関係が深いと言われる民放では、いち早く逮捕の情報をキャッチしたものの、テロップを流そうとした矢先に「編成」からストップがかかったという。結局は別の民放が報じたことから一気に報道は過熱したが、少しでも先行することは避けたかったというのが本音だろう。
 別の民放でも、社内で「あまり騒がないように」「煽るのはやめよう」という声が自然と上がったという。「テレビ局は、今回のような芸能事務所だけでなく、スポンサー企業の影響も常に受けています。だけど、実際に“タブー”と言われるものはそんなに多くありません。ジャニーズ事務所は数少ない例外のひとつです」(民放記者)。
 一方、別の民放記者は「実はうちの社ではジャニーズタブーはあまりありません。経営の状況によっても“媚びる”度合いは変わるようです」と話す。
 「貧すれば鈍す」…いずれにしてもジャニーズ事務所のタレントが出演する「ドル箱」番組を抱えていれば萎縮するのも仕方がないのかもしれないが、これでは日頃の“正論”は何処へやら?…マスコミ失格と批判されても已むを得ない。
 もうひとつの問題点は、こうしたテレビ局と大手芸能事務所との関係について全国紙などが関心を示さないことだ。「所詮は芸能話ということでしょうが、言論・報道の問題であることに変わりはないはずです。もっと真摯に議論すべきだと思います」(全国紙記者)【海老蔵】


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