服役中の三重県・津刑務所にわざわざ取材記者を呼んで「小沢献金」を告白する水谷建設元会長の狙い?

 監獄法の改正によって、受刑者と外部の接触が可能になった。月に3日と限定されているものの、本人が望めば、基本的に誰とでも面会できる。

 11月18日、共同通信が配信した『水谷建設経営トップが小沢(一郎民主党幹事長)氏側に1億円提供』という記事は、脱税事件で実刑判決を受け、受刑者となった水谷功・元水谷建設会長が、親族を通じて共同通信記者を呼んで、語ったものだった。
 その後、「赤旗」の記者も招いて供述、「スクープ新証言 ホテルで5000万円ずつ秘書に渡した」という日曜版(11月29日号)の記事になっている。

 小沢氏側への献金は、岩手県の胆沢ダムの下請け工事受注に関するもの。04年10月、堤体盛立第1期工事を鹿島建設JVが約204億円で受注、05年3月、原石山材料採取第1期工事を大成建設JVが約159億円で受注。水谷建設はいずれもその下請けに入り、工事経歴書によると受注額は約34億円だった。

 東京地検特捜部は、小沢事務所の大久保隆規秘書を起訴してからも「小沢献金捜査」を継続、ゼネコン、サブコンの政界担当者を任意で参考人聴取、「裏献金したんじゃないか!」と、責め立てていた。

 その対象者のひとりが水谷氏で、サブコンの“政界窓口”とでもいうべき存在の水谷受刑者は、三重県の津刑務所に10回近く出張してきた検事に根負けしたように、「5000万円ずつ計1億円を資金提供しました」と、供述したのだった。

 検察の調べに、落ちてしまう人は少なくない。
 既に服役、「これ以上の罪にはしない」といった検事の誘導に乗った可能性もある。
 ただ、わからないのは数少ない面会時間を記者に振り分け、小沢事務所が立腹するのを承知で「告白」したのはなぜか、ということだ。
 水谷氏と親しい政界関係者が、次のように推察する。

 「鹿島と水谷、大成と水谷は、いずれも民=民の話だから、小沢事務所が声をかけたとしても収賄事件にはならない。その分、気楽に話したと思う。
 ただ、裏献金の暴露だから、それが小沢個人のものと認定されれば脱税、政治資金だとすれば規正法違反を問われる。
 いずれにしても事件化は間違いなく、その際、水谷供述は、特捜部のリークで表に出る。
 それなら自分の方からマスコミに積極的に暴露、『反小沢』を鮮明にし、そちらの陣営に加わろうとしたのではないか」

 ゼネコンの談合組織が“解体”された今も、建設業界への影響力を誇示する小沢事務所への業界の反発は少なくない。
 また、自民党は野党に転落したが、議員のなかには、「反小沢」「反民主」で団結、公共工事の仕組みを完全に理解している強みを生かし、利権を温存させている勢力もある。
 「機を見るに敏」という水谷受刑者は、旗幟を鮮明にすることで、生き残りを図ろうとしたのか…。
 腑に落ちない点は多々あるものの、側近が離反、こうして親密な業者に暴露されてしまうのも小沢一郎という政治家の“人徳”のなさかもしれない。【伯】

祖父が残した「友愛会」と“ゴッドマザー”の連携で成り立つ鳩山献金の背景



 鳩山由紀夫首相の政治献金が、母・安子さんから提供されたものであることは、容易に想像できた。
 というより、祖父の一郎元首相、父の威一郎元外相、そして本人も弟の邦夫元総務相も、鳩山家三代の男たちは、安子さんの生家のブリジストンを創業した石橋家によって支えられてきた。

 ブリジストン株を中心に、数百億円といわれる資産を持つ安子さんは、夫や息子たちの為に資産を提供するのは当然のことだと思っていたし、自分の務めと信じていた。
 その「当然」が、ダメになったのは度重なる政治資金規正法の改正である。政治資金のオープン、透明化が求められるようになって、「母の愛」は表に出せなくなった。

 それにしても、5年で9億円の資金提供は驚きである。鳩山首相は、子分にカネをばら撒くタイプではない。選挙区を顧みることなく東京での政治に没頭、その分、地元と東京に多数の秘書を抱え、活動費がかかるということらしい。

 在宅起訴される勝場啓二元秘書は、「約10年前から貸付金の形で安子さんから資金提供を受けるようになった」と、特捜部の調べに供述、その窓口は「鳩山家の関係する公益法人の幹部」と、報じられている。
 このことは事実ではあるが、歴史的経緯を考えなければ、「鳩山献金」の謎は解けない。

 鳩山首相の「友愛」は、戦後、公職追放された一郎元首相が、“EUの生みの親”といわれるオーストリアのカレルギ―伯爵の「友愛革命」に触発され、その著作を翻訳するとともに、1953年4月、「友愛青年同志会」を立ち上げたことを端緒としている。
 「友愛青年同志会」は現在も「日本友愛青年協会」(友愛会)として存続。ただ、かつて海部俊樹、渡部恒三といった政治家を生んだ青年政治運動から国際交流のボランティア団体に衣替えしている。

 この友愛会の幹部が、鳩山家の男たちに仕える「家の子郎党」で、その筆頭が、鳩山会館の館長、鳩山友愛塾塾長補佐、友愛会常務理事を務める川手正一郎氏だった。今や大半が70歳後半となった彼らへの鳩山家の信頼は厚く、芳賀大輔元政策秘書が友愛政経懇話会の会計責任者を辞任、代わってその職に就いたのは、友愛会幹部で威一郎元外相の秘書官を務めた長田正太郎氏だった。

 1986年の総選挙で鳩山首相は北海道旧4区から出馬、初当選を果たすが、選挙戦を取り仕切ったのは当時、50代の友愛会幹部たちであり、室蘭に自宅と選挙事務所を建て、広大な旧4区に後援会組織を築く原資は、安子さんのカネだった。
 つまり鳩山首相は、「母と家の子郎党」に支えられ、大きくなった政治家である。
 かつてはそれが許され、そして今は禁じられた。その認識が本人にまったくないところが、この事件の最大の問題なのである。【潤】

「小沢一郎に1億円提供」とマスコミにリークする特捜検察の狙いは何か?

小沢一郎・民主党幹事長 「小沢(一郎民主党幹事長)VS検察」の構図が、ますます明確となった。

 共同通信は、11月18日、「水谷建設の水谷功元会長が、1億円を小沢氏側に提供」と配信。『東京新聞』と『産経新聞』が、独自情報を入れて翌日の朝刊で追撃、小沢捜査がまだ終了していないことを認識させた。
 同時にそれは、法務・検察人事に口を出し、可視化法案を成立させようとする民主党に検察が反発、両者の不信が、容易ならざるところまできていることを意味する。

 検察捜査はしつこい。西松建設からの不正献金問題で小沢幹事長の秘書の大久保隆規秘書を逮捕、民主党から「国策捜査」の批判を浴びると、それに抗するようにゼネコン、サブコンの業務担当者を呼び、「表」のカネだけではなく、政治資金収支報告書に記載されない「裏」のカネもあるのではないかとする捜査が始まった。

 8月末の総選挙への影響を恐れ、8月のお盆休みの頃にいったん終了するが、その捜査は多い人で10数回もの呼び出しを受ける厳しいもので、法人税法違反で実刑判決を受け、現在、服役中の水谷氏のところにも検事が何度も足を運んだ。

 それは、水谷受刑者がゼネコンの代理として大型工事の“前捌き”をするサブコンのリーダーで、政界に幅広い人脈を持つからだった。
 “前捌き”とは着工前の条件整備で、そのなかには工事に反対する地元住民、口出しする暴力団、カネを欲しがる政治家などを、“調整”する役割も含まれている。

 水谷建設は、「小沢ダム」の別名がある岩手県の胆沢ダムで、鹿島と大成建設が落札した工事の下請け業者に名を連ね、受注金額は約80億円にのぼった。
 岩手県の公共工事において、小沢事務所に挨拶なしの受注はないし、まして“サブコン界のボス”として政界に名の通った水谷元会長が、献金していないわけがない……。

 特捜検事の狙いは当たり、「収賄罪にはしない」といった条件を、検事が出したかどうかは判然としないが、水谷元会長は落ちた。その事実を知るのは、同氏が“塀の中”にいるから検察のみである。ということは、報道は検察によるリークということになる。
 マスコミにリークして世論を誘導しようとする特捜検察の狙いは何か。

 「特捜部は、水谷建設からの1億円だけでなく、他のゼネコン、サブコンからの裏献金の存在も突き止めています。ところが、検事総長など検察首脳は、小沢に手をつけるのをためらっている。鳩山(由紀夫)首相の政治資金規正法違反でも秘書を起訴しなければならないしね。だからストップがかかり、捜査現場には、『証拠も証言もあるのに、捜査させないなんて、冗談じゃない!』という空気がある。それがマスコミへのリークにつながっている」(検察OBの弁護士)

 実際、現場の声に押されるように、小沢捜査班が再編成されたという。“影の首相”といわれる剛腕・小沢幹事長に危機が迫っている。【伯】

警察当局が後押しする銀行主導の「反社狩り」でアングラ経済がマフィア化する!?

警視庁

 「銀行口座の開設が認められませんのや。商売になりまへん。『なんでや!』と、聞いても銀行は理由をいわない。ブチ切れそうになりましたわ」

 こう嘆くのは、大阪の面倒な案件を手掛けることの多い不動産業者である。もう足を洗って四半世紀を過ぎたが、かつては経済ヤクザとして名を馳せた。
 今も、その頃の人脈はあるものの、商売上、付き合うことはない。従って、本人の意識は堅気。また、社長を息子に譲り、株式も売却、実態上も「堅気の会社」と、本人は信じている。

 ところが、銀行の認定は「反社会的勢力(反社)」。その認定に従って、銀行は取引を拒否。これは全国銀行協会(全銀協)の通知なので、他行に行っても同じである。

 「反社狩り」が強化されている。
 きっかけは、2007年6月19日、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を、政府が「犯罪対策閣僚会議」で申し合わせたことだった。この指針に沿って、全銀協は「反社の排除へ向けた取り組み」を強化する。

 具体的には、“深劼両霾鵑鮗集、各機関で共有するシステム作り、反社と判明した場合の取引契約解除の規定整備、7抻‥局や外部専門機関との連携強化、などである。

 そうした準備を整えたうえで、警察庁、金融庁、預金保険機構、全銀協各部会の代表行などで「反社会的勢力介入排除対策協議会」を設置した。情報の完全なる共有によるデータベース化と、「反社」と認定した勢力に対し一致団結して取り組むための組織である。これによって、「反社」のレッテルは、「表の経済活動からの完全なる締め出し」を意味するようになった。

 それでもデータベースは完全ではない。同時並行して、都道府県警では、組織犯罪対策三課の捜査員が中心となって、暴力団事務所や企業舎弟、共生企業に出入りする人物の写真を撮って特定、飲食を共にするなどの日常のつきあいもチェックのうえで認定していった。

 こうした作業の末、全銀協は今年9月24日の理事会で、完全排除の方針を打ち出して、加盟187行に通知。普通預金口座のほか当座預金、貸し金庫の取引も拒否、公共料金の引き落としなどの日常生活に関するものも拒否することになった。

 「社名を変え、役員を入れ替え、完全にワシとの関係を切って、地下に潜らんとあきまへんな」
 冒頭の元組長はこう嘆くが、「何事も過ぎたるは及ばざるが如し」…行き過ぎた「反社狩り」による“マフィア化”は、経済の透明性、健全性を損なうばかりか、元暴力団員とその周辺者の人権を損ない、更生そのものをも阻むことになるのではないか。

 「反社狩り」…ネーミングは絶妙だが、警察の後押しを受けた銀行主導の安易な排除が正しいかどうか。
 万端もたらされる諸々の“副作用”を勘案すれば、双手を挙げて賛成するわけにはいかない。
【潤】

羽田空港D滑走路で国を詐欺した「鹿島」と破門された住吉会最高幹部との関係



 詐取したカネは約500万円である。企業犯罪としては、まことに規模が小さい。
 だが、その裏に潜む構図は、国家事業の汚染の証明で、かつてないスケールといっていい。

 それが、天保11年(1840年)創業のゼネコン最大手・鹿島による羽田D滑走路への不法投棄疑惑である。
 国交省は、鹿島が届出以外の建設工事現場から出た砂利や粘土などを不正転用したとして、11日、警視庁に被害届を提出した。
 正規の「西伊豆産の石材」と、タダどころかカネを払ってでも廃棄する砂利や建設廃材との差額が約500万円だが、鹿島広報室は「連絡ミスで下請けが間違えた」とマスコミ各社に答えており、徹底抗戦の構えだ。
 強気の背景はなにか。捜査関係者が苦笑して明かす。

 「捜査は、鹿島の総工事責任者の立件を視野に進めている。そうなると6000億円近いビッグプロジェクトにおいて、鹿島が組織ぐるみで罪を犯していたことになる。長い指名停止となるのは確実。鹿島としては到底、認めるわけにはいかない」

 警視庁組織犯罪対策三課の捜査は、大詰めを迎えている。不法投棄現場の接続部護岸工事の責任者である鹿島のA工区長と、その道案内役となった建設ブローカーのSらが「詐欺の実行部隊」として逮捕されよう。

 それだけなら国家の被害金額500万円の個人犯罪だが、鹿島で専務執行役を務める羽田D滑走路総工事責任者のMの関与が明らかになると、「鹿島が6000億円を食い物にした」というスケールの大きな話となる。
 Mは知っていたのか知らなかったのか。あるいは黙認しただけなのか。
 その“認定”をするのに欠かせない人物が、数ヶ月前、広域暴力団住吉会を破門になったという。

 アングラ経済の事情通がいう。
 「直接の原因は金銭トラブルだが、根っこには『羽田問題』がある。彼は住吉会でも名門の一家を継承、経済ヤクザとして鹿島にも人脈があった。その縁で、建設ブローカーのSが不法投棄を理由に鹿島に金銭的な支払いを求めた時、鹿島の側について、元山口組系の組織にいたこともあるこわもてのSの対応をした。それが、総工事責任者のMの依頼によるものだといわれている」
 
 鹿島は、毒をもって毒を制したということか。総責任者が関与しているとなると、一工区の問題だけではなく、滑走路全体で不法投棄が行われていたと、疑わざるを得ない。
 
 もともと、羽田D滑走路は、ゼネコン談合で造船業界を排除、そのうえで鹿島が談合組織のトップに立ち、予定価格の99.8%で落札した。
 談合で国家を欺き、埋め立てでも欺いた鹿島……。組対三課は、個人犯罪で終わらせることなく、徹底捜査しなければなるまい。【伯】

警視庁の「トランスデジタル捜査」が大詰めで首筋の寒い裏金融の大物たち!

トランスデジタル社 業績不振の上場企業を利用、増資を仕掛けて株価操縦やインサイダー取引などで利益を得ようという不心得者の犯罪が後を絶たない。
 その理由のひとつが、「増資マフィア」と呼ばれる“輩”の背後に「カネ主」がいて、彼らを裏で操っているからだということを、本誌は前号(11月9日号)の『大阪府警摘発のユニオンホールディングス株価操縦事件』でお伝えした。

 “臭い匂い”と同じで、この種の犯罪は元から断たなければダメである。だから大阪府警は、逮捕した証券ブローカーの背後の“黒い金融屋”を狙っているわけだが、警視庁も同種の「増資マフィア事件」において、会社経営陣と証券ブローカーを踊らせた大物金融屋を最終ターゲットにした捜査を進め、現在、大詰めを迎えている。

 対象銘柄はジャスダックに上場していたソフト開発のトランスデジタル。昨年8月27日、「新株予約権の転換によって31億円を調達しました」と開示しながら、その翌日と翌々日に不渡りを出して倒産した。
 「適時開示」に謳った子会社の番組製作費用など“前向き”な資金使途はすべてウソ。新株予約権は高利の運転資金を借りていた金融屋などに回っており、彼らはそれを転換、株を叩き売って回収、会社に入ってくるカネなどなかった。

 「当時の経営陣は、新株予約権を引き受ける投資家や金融屋が送り込んでいた。だから、金利も増資の条件も彼らの思うまま。月に1割は当たり前。しかも、手数料を引かれていた。だから、増資をしたところで相殺されてカネは残らず、調達直後の倒産となった」(事情通)

 ここまで証券市場をバカにした企業も少ないが、倒産の直後から警視庁の捜査二課と組織犯罪対策四課が関心を寄せて捜査、合同で強制捜査に踏み切る可能性が高い。その際、興味深いのは、いつもは陰に隠れるカネ主たちが、新株予約権の譲渡先として姿を晒していることである。

 一時は、筆頭株主に躍り出た野呂周介氏(後に新株予約権の合意解除で訂正)、永本壹柱氏がオーナーの神商などで、彼らに新株予約権を譲渡したTD戦略投資事業組合は、先ごろ、東京地検特捜部にグッドウィルグル―プのM&Aに絡む脱税事件で逮捕された鬼頭和孝容疑者のファンドだった。

 捜査当局は、この3人の大物と、彼らの“手先”となって動いたトランスデジタル顧問の峰岸一氏、その背後の金融ブローカーの黒木正博氏、それに会社側責任者である後藤幸英元社長、鈴木康平副社長などの責任を追及する。
 猛者たちに迫れるのか。まさに警視庁の鼎の軽重が問われている。【昂】

辻恵代議士5億円供託金返還請求事件の「黒幕」は数々の経済事件に登場する大津洋三郎!



 マスコミ各社が取材合戦を続けるなか、早さでは定評のある「産経新聞」がスクープしたのが『辻恵代議士5億円供託金返還請求事件』だった。

 医薬品大手の富士薬品が、民主党の辻恵代議士に対し、不動産処分禁止の仮処分申請に必要な供託金を預けていたところ、手続きが終わったにもかかわらず、供託金返還義務を果たさないことから、約5億円の返還を求めて東京地裁に提訴した。

 辻代議士は当選2回。落選中の2007年10月に引き受けた事件とはいえ、代議士となったからにはこの種のトラブルを報じられるのも仕方ない。ただ、辻代議士を「主語」に報じると、事件が見えなくなる。

 仮処分申請は、辻代議士が東京・六本木の「TSKビル」の不動産処分禁止を求める不動産会社の代理人として提出したもの。 「TSKビル」といえば、暴力団組織・東声会を率いた町井久之氏が建設、その権利関係の複雑さから町井氏の死後、さまざま組織や企業が乗り込んで混乱、仮処分を申請した不動産会社はそのなかの1社の東洋不動産。辻代議士は、一切、そのゴタゴタに関知していない。

 事情通が首を傾げる。
 「朝鮮総連事件に連動するぐらいTSKビルはややこしい案件だった。それに加えて、仮処分を申請した東洋不動産の大津洋三郎といえば、トラブル案件を得意とする人間。幾らもらったかは知らないけど、そんな危険な仕事を落選中とはいえ名のある弁護士が、よく引き受けたものだと驚いた」

 予想通りトラブルとなった。辻代議士は、供託金の取り戻し請求権を譲渡するという書類を偽造され、その書類をもとに「供託金の回収を困難にした」として、供託金の出し手である富士薬品に提訴された。既に、辻代議士は偽造した暴力団関係者を警視庁に有印私文書偽造で告訴、「私は被害者だ」と、殺到する取材に答えている。

 事件の「黒幕」は大津氏である。「TSKビル」の地上げに早くから関与、その権利を主張して仮処分を申請しようとしたが資金がない。そこで、不動産事業を積極的に展開していた富士薬品に供託金の支援を求めたが、「信用不足」を理由に「信頼できる人の介在」を求められ、そこで辻代議士に「ハンコ料」での代理を依頼したのだった。

 ところが、供託金をただ積んでいるのはもったいないと、大津氏は「取戻請求権」の利用を検討、辻代議士が質権設定を承諾したという「覚書」を作成したこともあった。そうした各種工作の過程で、暴力団関係者による偽造が発生した。

 その偽造に大津氏が関与したとされるわけではないが、ホテルニュージャパン跡地、新橋・木利屋ビルの地上げ、永代信組絡みの不動産、TSKビル、朝鮮総連本部ビルなど「大津案件」はややこしいものばかりである。
 辻代議士は、そこに顔を突っ込んだがゆえにトラブルに巻き込まれたのであり、産経報道ではまったく触れられていないこの「黒幕」の正体を知ることなしに、事件は解読できない。【凛】

羽田空港D滑走路を「建廃処分場」にした鹿島と暴力団と国交省!

羽田空港

 羽田空港のD滑走路は、「羽田」を24時間利用可能な国際空港にしたい民主党政権の期待を担った国家プロジェクトである。総工費6000億円。国にとっては不要だが、官僚や地元土建業者にとっては必要な「ダム」とは比較にならない重みを持つ。

 その国家プロジェクトで、ゼネコン業界のリーダー役として工事をまとめた鹿島が、滑走路の埋立地に自社が横浜市で請け負った建設工事で出た建廃(建設廃棄物)を、1000立方メートルもぶち込み、「国家への詐欺」で捜査対象となっていることが判明した。

 捜査を進めているのは警視庁組織犯罪対策3課。普段は、暴力団などの組織犯罪を摘発する組対3課が乗り出しているのは、当初、「鹿島が暴力団関係者に恐喝されている」という情報からスタートしたからだ。

 「横浜に、鹿島を主な顧客とする建設ブローカーのSがいて、この人間の関与によって、横浜市の放送施設跡地から出た建廃を、密かに海洋投棄する話が進み、玉砂利を中心とする残土が運ばれていった。ところが鹿島はSに手数料を払わない。そこでSと鹿島がトラブルになり、最初は鹿島の訴えでSを恐喝で調べていたものの、捜査の過程で『鹿島の犯罪』であることが判明、『詐欺』に切り替えた」(捜査関係者)

 組対3課が総動員される捜査の過程で、「事件の闇」が深くなっている。
 計画では投棄する予定の建廃は約5000立方メートル。1000立方メートルの段階で発覚したということだが、それでも隙間があって水より比重の軽い砂利の場合、10トントラックで150台はピストン輸送することになるという。

 被疑者は、不法投棄場所の鹿島の工区長であるAとブローカーのSだが、廃棄物であることが誰にもわかる砂利を、現場責任者の判断で投棄できるわけがないということで、国土交通省の現場責任者の関与や、鹿島の総責任者が「黙認」していたのではないか、という疑いも浮上している。

 そうなると、造船業界を押しのけて6000億円事業をまとめた鹿島が、暴力団関係者と国土交通省の担当者を巻き込んで、国家の最重要課題の新滑走路に、価格タダの廃棄物を不法投棄、本来、投棄すべき「築堤材」の費用をだまし取ったというとんでもない事件となる。

 組対3課にとっては少々、荷が重いが、それだけにやる気は十分で、縦横に延ばすことを想定、11月の早い時期に捜査着手する方針を固めている。【伯】

海千山千の「人脈屋」に転がされる民主党新人代議士143人の危うさ!

民主党本部

 民主党代議士308人のうち過半近い143人が新人である。
 既に、ヌードで映画出演していた田中美絵子代議士、自己破産していた渡辺義彦代議士、名前を貸していただけのフリーター・磯谷香代子代議士らが話題を集めているが、彼らは極端にせよ、政権党の過半が右も左もわからない新人なのだから怖い。

 ただ、前歴はどうあれ、代議士に当選しただけで、議員会館に部屋と三人の秘書を与えられ、都心の一等地に10万円以下で宿舎を提供され、「先生」と呼ばれ、霞が関の官僚が電話一本で飛んでくるのだから、9月16日の初登院から40日以上が経過した今、しみじみと「当選の有難味」を噛みしめていることだろう。

 なにしろ9月16日には、8月の歳費と文書通信費などで、約230万円が一律、支給された。8月の実働は、投開票のあった30日と31日の2日だけ。世間の常識では日割り計算だが、歳費の返納は公職選挙法で禁じられており、満額支給だった。
 これではみんな勘違いする。小泉チルドレンの時の杉村太蔵氏のように、「料亭に行きてぇー!」という連中も出てくる。また、それを見計らったように、民主党新人に「人脈屋」が接触しているという。

 民主党大物のベテラン秘書が心配する。
 「永田町には、業界や企業の政界担当、政界と業界をつなぐコンサルタント、企業の代弁をするロビイスト、利権やビジネスチャンスを探る情報屋といった有象無象が、山ほどいます。人脈が命の彼らが今、民主党新人代議士の“青田刈り”をやっています。注意はしても、地元の後援者や先輩ルートで接触してくれば、断れない。料亭やクラブでの接待が続けば、必ず取り込まれます」

 1回生議員に力はない。あくまで将来の先行投資。ただ、代議士でなければ入手できない情報もあって、使えないこともない。飲み食いの接待に車代など安いもので、何百万円分のパーティー券を押しつけられるうえに、横並びのつきあいしかしてくれない自民党大物代議士とのつきあいにくらべれば、“お座敷”を喜ぶ民主党新人など可愛いものだ。

 自民党には派閥という教育機関があり、近づく有象無象に対するベテラン議員の監視の目があった。しかし、与党になったばかりで上から下まで浮かれる民主党には、そんな排除システムはなく、基本は議員の自己管理。それにつけ込む「人脈屋」たちが、永田町にようやく慣れた新人たちを、夜な夜な引っぱり回している。
 民主党政権が続けば、5年後、10年後の政界汚職のうちのいくつかは、こうした人間関係の果てに築かれたものであるのは間違いあるまい。【伯】

「楽天・三木谷」の逮捕騒動の元となった秀吉ビル売却の企業舎弟に地検特捜部がメス!

秀吉ビル 3年前、捜査当局が狙う「MMH」の最後のひとりとして、三木谷浩史・楽天社長の逮捕情報が流れたことがある。
 「MMH」とは、第4の権力であるマスコミに手をかけた村上ファンドの村上世彰、ライブドアの堀江貴文、そして楽天の三木谷の3氏である。
 乗っ取りを仕掛けられたフジテレビやTBSが「秩序の側」で、仕掛けた「MMH」が「秩序の破壊者」であるという位置づけは間違っているが、普段、マスコミの支援を受けて“正義”を執行する検察が、泣きついてきたテレビ局に“恩を”売るために「MMH」を狙ったのは間違いない。

 しかし三木谷氏については、TBS買収劇を洗ったものの、逮捕に至る不正は見当たらなかった。逆に、05年7月、楽天系の不動産会社が行った「秀吉ビル」の買収で、暴力団筋への「利益供与」が行われたとして06年夏に問題となり、右翼団体が楽天本社に街宣をかけ、週刊誌等が「三木谷逮捕説」を報道する騒動となった。

 結果は「誤報」で、逮捕説を流した週刊誌は楽天に訴えられて敗訴したのだが、「秀吉ビル」の売買に、社会的問題があるのは事実だった。楽天系不動産会社に売却したのは港区の不動産会社である湊開発。ミニバブルを映して、約70平方メートルの借地権の売買価格は約46億円。それに対して湊開発の購入価格は、長い年月をかけてはいるものの半値以下だったという。

 東京国税局からの告発を受けた東京地検特捜部は、警視庁組織犯罪対策4課などの応援も入れて、10月6日、湊開発とその関係先を法人税法違反で家宅捜索した。国税当局が特捜部の力を借りたのは、湊開発が稲川会系組織の企業舎弟と目されているからで、今は引退しているその組織の組長も、摘発される可能性がある。

 「秀吉ビル」は、90年代末、銀座から始まった不動産の「局地バブル」を象徴する物件で、その権利関係の複雑さから、稲川会系だけでなく、会津小鉄会系、山口組系など東西の組織がさまざまな思惑で群がり、地価高騰の恩恵を受けて、富を分け合った。

 最終購入者は楽天系だが、正確に言えば、購入の三ヵ月後、楽天に買収された不動産会社であり、しかも同社と湊開発の間には、中間登記省略の形で、別の不動産業者が介在、言い方を変えれば、「それだけの業者が群がっても儲かる不動産バブル」だった。
 「正直申告」であれば何の問題もない。しかし、そこでごまかしたくなるのが地上げ屋の“性”のようなもの。今回の摘発は、不動産が主たる収入源という変わらぬアングラ経済の実態を暴くことにもなりそうだ。【凛】


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